書き起こし/ファッセ4

Last-modified: 2016-06-19 (日) 02:18:49

●1、オープニング
SE:太鼓の音どーん!
低いイメージのbgm

紫「
はじめ、頼朝は自分自身が幽々子の身代わりになろうと考えた。
やがてそれは不可能だと知る。
西行妖の依《よ》り代《しろ》となるには資格があり、自分にはその資格がない。
依り代たる資格。それは己の、頼朝の血を継いだ次代《じだい》の者のみが有する。

死を操る能力が奪った命は、力として蓄えられ様々な能力を顕現《けんげん》する。
反魂《はんごん》の術。
西行妖の力は命を奪うだけではない。
命を与える能力も有している。
死者を蘇らせるように。人形に命を与えるように。

頼朝は考えた。己では幽々子に代われないなら。己の次代にのみ、それが可能というのならば。
次代たりうる者を己の肉体から作り出せばいい、と。
西行妖の力を、反魂の術を用いて

爆発音
一話のオープニングのクライマックスからの続き
満身創痍の頼朝。妖忌の斬撃を受けきったものの息も絶え絶えである。
頼朝「くっ・・・魂魄妖忌・・・っ!まさかこれだけの力を隠していたとは・・・」
妖忌「クソッタレ・・・こいつでも届かねえってのか・・・頼朝ぉ・・・!!」
頼朝「西行や魂魄那由他が相手ならばともかく貴様ごときに・・・侮ったわ・・・」
妖忌「まだだ、まだ終わっちゃいねぇ・・・」
頼朝「だがこの術だけは達成させてもらう。その後ならば我が命などいくらでもくれてやろう」
ブシュウ!自分の右腕を切り落とす頼朝
妖忌「自分の腕を切り落としただと!狂ったか頼朝!」
頼朝「いつくもの命を奪った、戦で、幽々子の力で。全てはこの術を完成させるため!いまこそ顕現せよ反魂《はんごん》の術!!」
発動する反魂の術。
術の反動で巻き起こる嵐の中、突如現れる那由他
那由他「妖忌ー!」
妖忌「那由他てめえ!なぜここに!」
頼朝「はああああ・・・!!!」
妖忌「なにしてやがる!俺はいいからお嬢を救え!」
那由他「幽々子は手遅れだ!」
妖忌「なんだとてめえ!」
那由他「幽々子は頼朝の傍にいる!やつを倒さなきゃ救えないんだよ!」
妖忌「(だから)俺とてめえで野郎をぶったおせば!」
ごごごごごご
那由他「アレはいけない。なにかとてつもなく悪い予感がする」
妖忌「ゴチャゴチャうるせぇ・・・ぐはっ!」
那由他「恨むならなら恨め。君を殺させはしない」
妖忌「より・・・とも・・・うっ・・・」
意識を失う妖忌。消える那由他と妖忌
紫「頼朝は己の右腕を素体《そたい》にホムンクルスを作り出す計画を思いついた。幽々子の身代わりを生み出すために幽々子の力を利用したのよ。そしてその計画は実行された」
頼朝「切り落とせしわが右腕に、宿れ反魂の術。戦で、幽々子の力で」
紫「次郎君、あなたは源頼朝の右腕と世界中の命を犠牲に作り出された人造人間」
頼朝「世界中から奪った生命を糧にいまこそ産まれるのだ!」
紫「源頼朝は西行妖に魂を捧げた最初の人間。あなたは西行妖の依り代として作り出された、生まれながらにして西行妖の従者。頼朝に次ぐ第二の深きもの」
頼朝「我に次ぐ第二の深きもの、次郎左衛門よ!」
次郎「嘘だー!!」

オープニング曲

●2、義経vs頼朝
場面:平原。西行妖復活に選ばれた土地。
頼朝と義経が対峙している。響き渡る頼朝の声。
頼朝「どうした九郎、西行妖復活を迎えた今になって、この兄に挨拶にでも参ったか」
宿敵を前に不貞腐れたような態度の義経。
義経「だぁれが兄だ、このクソ野郎。私を九郎と呼ぶんじゃねえよ」
頼朝「貴様は西行妖の傀儡、九番目の深き者。言わば我らは兄妹だよ」
義経「反吐が出るぜ・・・」
頼朝「不満か?」
義経「ああ不満だね。よくも私を戦争の道具にしてくれやがったな」
頼朝「傀儡としての縛鎖《ばくさ》をまさか断ち切り、己が意識《いし》を取り戻せる者がいるとは思わなんだぞ」
義経「幾重もの呪いをこの身に焼きいれた。今の私は言ってみりゃ皮膚の下に呪いの詰まった呪い袋さ。今こうしてる間も身が焼かれ続けてる」
頼朝「蓬莱人といえど苦痛がないわけではあるまい」
義経「西行妖の・・・てめえの呪縛から逃れる代償なら安いもんさ」
頼朝「そうか!それほどまでに屈辱であったか!意識と反した行動を強いられたことが。何人殺した?男を、女を、妖を、敵を、味方を、罪もない民を、子供を!!。獣より速く戦場を駆け、不死の体もちて動く者すべてを狩りつくす!爽快であったぞ九郎!貴様の殺しっぷりはな!はははは!(笑長く、次の義経のセリフその裏、編集で裏につけるので、頼朝の笑は単独で)」
義経「頼朝ぉ!!!!」
頼朝「私に見せてみろ!貴様が身につけた力を!!!」
義経「はあああああ!!!!」
SEパワー高まる音、気合とともに、もこもこパワーが高まる
義経「こいつでてめえの腐った脳みそをファックしてやらぁ!凱風快晴!フジヤマヴォルケイノ!!!」
ヴォルケイノの派手なSE
頼朝「ははははは!!素晴らしい!素晴らしいぞ九郎!!」
義経「ケツの穴まで燃え尽きろ!!源頼朝ォ!!!」
ヴォルケイノの炎徐々に収まってゆく。
義経「はー・・・はー・・・やったか・・・?」
ぱち、ぱち、ぱち、ぱち 冷静な拍手の音 。録音します
楽しげな頼朝
頼朝「見事だ九郎。現世《うつしよ》を超え、幽世《かくりよ》に届く炎であった」
無傷の頼朝。それを見て怯む義経
義経「クソッタレ・・・!いくらなんでも・・・」
頼朝「人の身で、これほどまでの力を得るに払った代償は並大抵ではなかっただろう」
義経「無傷だと・・・そんな、馬鹿な・・・」
頼朝「どうした。追撃がないようだが」
義経「なめんじゃねぇ!」
炎を浴びせる義経。まるで通じていない。
近づいてくる頼朝
頼朝「なんだこれは?普通の炎で私には届かんぞ。それとも・・・」
義経「はああああ!!!」
さらに義経の攻撃
頼朝「あれは先ほどの一撃で打ち切りか。そうだな、あれを放っただけでも驚嘆に値する。それを二度などと、高望みがすぎるというもの。ああ、そうか」
義経「はぁ、はぁ・・・くっ・・・くそ・・・」
膝をつく義経
頼朝「お前は鬼との戦闘の後であったな」
がしっ!首を掴まれ吊るし上げられる義経
義経「くはっ!・・・は、はなせ・・・!」
頼朝「ふむ、気が変わった。お前にはもう一度我が手足となってもらおう」
締め上げられる
義経「あ、あっ・・・ぐ・・・」
頼朝「自慢の減らず口もだせまい?蓬莱人といえど人間。だが案ずるがいい。再び人を超越せし力、今与えてやろう」
頼朝のセリフの裏で共鳴音が高まってゆく
義経「や・・・やめ、ろぉ・・・」
那由他「断命剣《だんめいけん》冥想斬《めいそうざん》」
轟音、爆音、冥想斬が炸裂する
しばらく後、轟音が沈静する。パチパチとなにかが燃えはぜる余韻
那由他「源頼朝、あの程度で死ぬような君じゃないだろ」
シュワワワ。冥想斬でミンチになった義経、復活する
義経「こっちはいっぺん死んだ!」
那由他「へえ、今のが蓬莱人のリザレクションか。あれだけミンチになっても蘇るんだ。すごいな」
義経「すごいな、じゃねえ!人を殺しといて詫びの一つもねえのか!・・・(相手が那由他だと気がつき)てめえ、魂魄那由他かァ!」
那由他「悪いが君の相手をしてる暇はない」
義経「あぁん?」
那由他「今の俺の敵は源頼朝だ」
義経「(私とっても頼朝は敵だが)てめえの態度が気に入らねえ。(割って入ってきて)なんだそのツラは。あぁ!?」
那由他「来るぞ」
義経「シカトこいてんじゃねえぞてめぇ」
ゴゴゴゴ・・・砂塵が晴れて頼朝が再び姿を現す。無傷である
頼朝「魂魄那由他。私が唯一恐れを抱いた人間。なにがあった?短い間にずいぶんと弱くなったではないか」
那由他「お前が知る那由他という男は死んだよ。今は俺が魂魄妖忌だ」
頼朝「業を保ち続るために資格ある者に精神と魂を流転《るてん》させる、人の身でありながら妖《あやかし》さえも忌み嫌う化け物、魂魄妖忌。なるほど・・・今度は那由他の肉体を得たか」
那由他「ペラペラとよく動く口だ。輪切りにしたらもっと喋りやすくなるかもね」
頼朝「くくく・・・人でありながら人にあらざる者。それが二人もそろって私に挑むか。面白い」
義経「挑むだぁ?勘違いすんじゃねえ、捻り潰してやんだよ」
那由他「さっきまでクビられていたのは君の方だけどね」
義経「うるっせえ!てめえが割ってはいんなきゃいまごろ野郎なんざとっくにぶっ殺してたぜ!」
那由他「噂通りの思い上がりだな。俺が割って入ったから君は助かったんだよ」
燃え上がる義経
義経「んだとこの野郎!!」
放たれる炎と斬撃の音。共に頼朝に放たれている
頼朝「む・・・!?」
結界に塞がれる。ギギギン!
義経「チッ、やっぱ全然効かねえじゃねえか」
那由他「馬鹿が、腑抜けた攻撃はやつに通じない」
義経「腑抜けた攻撃だぁ?いまのてめえの斬撃《ざんげき》のことか?」
頼朝「我が肉体に傷をつけるか。己の血を見るのは久方ぶりだ」
那由他「誰の斬撃が腑抜けてるって?」
義経「アホか、ありゃ私の炎がやったんだよ」
頼朝オーラを纏うSE
頼朝「いいだろう。かかってくるがいい」
なにかが瞬間移動してくる音
義経「なんだ!?」
謎の声
与一「だめだよ頼朝サン。あんたの悪い癖だ」
頼朝「貴様は・・・」
義経「この声・・・まさか?」
与一「クククク・・・さあおいで、君の相手はボクがしてあげるよ。九郎ちゃん?」
空中に黒い球体が現れる。嵐のような音、共鳴と瞬間移動音。
体ごと中空に投げ出される義経
義経「おお!?なんだこりゃ・・・うわあああ!!」
那由他「まるでブラックホールだ。すごいな」
義経「すごいなじゃねえ!見てねえで助けろ!」
那由他「なんで俺がそんなこと。それに君、ご指名みたいだよ」
義経「頼朝は私の敵だ!!」
那由他「はいはい。頼朝の相手は俺に任せて行ってきなよ」
しゃべりながらフェードアウトする義経の声。編集でやるのでセリフは全力でやってください
義経「てめえ後でぶっ殺してやるからなー!!」

頼朝「彼奴か・・・ふん、余計な真似を・・・」
那由他「邪魔者はいなくなった・・・源頼朝、貴様は俺が倒す」
チャキ剣の音

●3、失意の次郎
紫の話を聞いているうちに崩れ落ちてしまう幽々子。
両手で口元をおおっている様子。
幽々子「そんな・・・それじゃあ次郎は・・・」
次郎「俺が、頼朝の、複製・・・俺の記憶は嘘っぱちの幻だっていうのか・・・」
紫「ええ」
次郎「信じられるかよそんなの!俺はいままで父上に、母上に報いるために生きてきたんだ!父上と母上も架空の記憶だってのかよ!」
紫「・・・それは」
次郎「答えろよ紫。知ってるんだろ」
紫「・・・」
次郎「答えろ!!!」
紫「あなたの記憶は幽々子の記憶をモデルにしてる・・・つまり記憶なかのあなたのお父様は・・・」
次郎「(なんてこったという気持ちで)源頼朝・・・」
紫「・・・」
次郎「俺は自分の意志なんてなかった。父上の背中が、母上の言葉があったらから生きてこれた。俺は空っぽだった。ずっと空っぽだったんだ。それを埋めるためになんでもやった。助け屋だってそうさ。心にでかい穴が空いてて、そこをなにかで埋めようと必死だったんだ!埋まるわけがないじゃないか!・・・その理由が今わかったよ。そうだ、俺はずっと自分が空っぽのように感じてた!そりゃそうだよ!なんにもなかったんだから」
幽々子「次郎」
次郎「なんにもなかった。俺自身存在してなかった」
幽々子「次郎、私は・・・」
次郎「今いる俺は存在したかもしれないもう一人の頼朝なんだ」
幽々子「聞いて次郎」
次郎「こんな馬鹿げたことってあるかよ・・・それじゃあ俺は一体、誰なんだよ!!!」

●4、源氏の亡霊
落下音。ドサっ。落ちる義経
義経「いてててて・・・どこだここは?」
与一「重力操作で作り出した閉鎖空間さ」
義経「てめえは宗隆《むねたか》 !那須宗隆か!!」
与一「久しぶりだね九郎ちゃん。えーと、5年・・・いや、6年ぶりくらいだっけ?」
義経「宗隆お前、まだ頼朝に手ェ貸してやがるのか」
与一「あのさ、悪いんだけど、いま僕、与一って名乗ってるんだ。そこんところよろしく」
義経「与一だ?」
与一「そ、数字の十一のことさ。君ならこの意味、わかるよねぇ?」
義経「十一・・・十一だと?宗隆まさかてめえ!!」
与一「だーから、宗隆じゃないってば。ナンバーイレブン那須与一。これで君とも兄弟ってことになるのかな?」
義経「やりやがったな頼朝。強けりゃ見境なしかよ」
与一「ん?もしかして君、僕が無理やり深き者にされたって思ってる?これって僕が自分で頼朝サンに頼んだ事なんだけど?」
義経「なんだと」
与一「そう(間)彼と違ってね」
義経「彼・・・だと・・・?」
義仲登場。
甲冑の隙間より垣間みえる肌の血色が悪く、目は赤く血走っている。
全身から異様な気配を発しており、その姿はさながらゾンビのようである。
義仲「源九郎義経・・・」
義経「木曽義仲!?・・・そんな馬鹿な!お前はたしかにあの時死んだはずだ」
与一「あれ?知らなかったの?この人、君より前に深き者どもの仲間入りしてたんだけど」
義経「どういうことだ。こいつは手段はどうあれ己を滅して清盛と戦った仲間じゃねえのか」
与一「彼はね、頼朝サンの奥方を殺した張本人なのサ。酷いよね、清盛を討つためとはいえ親友の奥さんを殺しちゃうなんてさ。ま、おかげであの人も人間を見限る踏ん切りがついたんだけどね」
義経「ふん。そういうことかよ」
与一「僕達がこうやって深き者になることに成功したのは、彼らが実験台が下地になってくれたおかげなんだよ。感謝しなくちゃねぇ?」
義経「私をてめえらと一緒にするんじゃねえよ。野郎の呪縛なんざとっくになかったことにしてやった」
与一「それだよ。西行妖に命を操られた者は死してなお支配から逃れることはできない。はずなんだけど、どうなってるの君?」
義経「んなことたぁどうでもいい。こいつらは己を滅して世界のために戦った・・・。それを・・・なんでこんな」
与一「ふん、そんなこともわかんないの?・・・義仲、やっちゃってよ」
義仲「がああああ!」
唸り声をあげて襲いかかってくる二人。剣撃
義経「くそ!やるしかねえのか!」
弓矢が義経めがけて飛んでくる。すんでのところで躱す義経
義経「うっ!!」
与一「チッ。いまのを躱すのか・・・背中に目でも付いてんの?」
義経
義経「こそこそ背中から狙い撃ちかよ。相変わらずセコい野郎だ」
与一「君こそ相変わらず動物みたいな勘だね。特注の麻痺毒矢が無駄になっちゃったよ」
義経「麻痺毒だぁ?」
低くうなる義仲
義仲「ぐおおおお!!」
義仲の攻撃。これも躱す義経
義経「うわ!」
与一「アンデッド相手には動きを封じるのが定石だって、君が教えてくれたんだよ九郎ちゃん?」
義経「へっ・・・私がアンデッドか。言い得て妙だなそりゃあよぉ!!」
義経の蹴りが命中する。吹き飛ぶ義仲。
義仲「おおおお!!」
突然精彩をとりもどした義経の電光石火に驚く与一
与一「なっ!?」
義経「はっ!はああああ!」
さらに義経の蹴りx2。2撃目の蹴りが義仲を吹き飛ばし、炎がとどめをさす
義仲「ごあああ・・・」
義経「義仲、雑な火葬ですまねえな。これが私からの弔いだ」
与一「すごいや、まだそれだけの動きができるなんて・・・」
義経「てめえみたいなカスと一緒にするんじゃねえ」
与一「ねえ、また一緒に殺してまわろうよ。人間を殺すがいやなんだったら妖怪だけを狙ってもいい」
義経「頼朝の言いなりになってか。西行妖の力だかなんだか知らねえが、要するにバケモンの出したクソだろがそんなもん」
与一「あはははは。クソは酷いな」
義経「クソは食うもんじゃなくてひり出すもんだ。私はごめんだね」
与一「西行妖に支配される僕らを見下してるんだろ?不死という牢獄に囚われている君と僕らのどこに差があるっていうんだい?」
表情がこわばる義経
義経「あ?」
サディスティックな微笑を浮かべる与一
与一「ねえ九郎ちゃん、前から聞きたかったんだけど・・・君さ、どうして岩傘《いわかさ》を殺したの?」
沈黙の間
義経「黙れよ宗隆。息がクソくせえぞ」
与一「与一だって言ってるだろ。しょうがない。じゃあ、僕《・》達《・》がお相手するよ」
義経「まだツレがいやがるのか」
与一「深き者どもの最新ナンバーさ」
義経「私とタイマンはるのがそんなにこええか?チキン野郎」
与一「ああ怖いね。君がいなければ平家には勝てなかった。清盛は頼朝に負けたんじゃない。君に負けたんだ。僕は勝つ。僕は君を侮らない」
義経「最新だかなんだか知らねえが一人だなんてケチケチしねえで山盛りでもってこいよ。てめえらクソ人形なんざ何匹相手だろうが焼き殺してやらぁ」
与一「だってさ。君の若君は闘争を所望だよ。・・・目覚めろ!ナンバートゥエルブ!」
ぐももも禍々しいbgm
弁慶「若・・・おひさしゅうござる」
義経「てめえ弁慶・・・武蔵坊弁慶か!!」

場面転換

※岩傘=公式設定注小説版東方儚月抄より:月に帰ったかぐや姫が竹取の翁に残した不老不死の薬=蓬莱の薬を不死山の火口に捨てて始末るように命令された人物。幼い妹紅は蓬莱の薬を捨てる旅をする岩傘をつけ回し、やがて同行するようになる。一行は旅の末に不死山を発見。蓬莱の薬を捨てようとしたその時、妹紅は突然、岩傘を殺害。蓬莱の薬の薬を奪い飲んでしまう。理由や動機は不明。

●5、那由他vs頼朝1
戦闘のBGM
剣撃、魔法っぽいSEなど

頼朝「魂魄那由他。この程度であったか。期待はずれだったな」
那由他「ふん・・・悔しいけど、やっぱり俺じゃあ、あんたに勝てないみたいだ」
チャキ。刀の音
頼朝「諦めのいいことだ・・・ならばその魂、食らってさらなら力としてくれよう」
妖忌の声リバーブ
妖忌「ケッ、ずいぶんと落ちぶれたもんだなぁ。頼朝よぅ!」
頼朝「その声は・・・」
妖忌「西行妖は復活させねえ。(そのためにも)てめえはここで止めるぜ。今度こそな」
頼朝「貴様、魂魄妖忌」
那由他「ああ、俺だよ。正確には・・・」
妖忌「もうじき、俺、だな。那由他、自分を終わらせる覚悟はすんだか?」
那由他「覚悟?・・・ふん、ちがうね。頼朝は俺一人の手で倒したかっただけだ。最後に人としてね」
妖忌「それが覚悟できてねえっていうんだよ」
那由他「悔しいけど無理だったよ」
妖忌「そーかい・・・じゃ、もういいんだな」
那由他「ああ」
妖忌「いくぜ」
妖忌・那由他「はああああああ!!!」
バチバチバチ、どーん。爆発音
頼朝「む・・・これが真の・・・合身半霊」
那由他「待たせたな、源頼朝!!」
激しい剣撃
頼朝「貴様との因縁。ここで祓《はら》わせてもらおう。魂魄那由他、いや、魂魄妖忌よ!」
那由他「貴様の力の秘密は西行妖から常に注がれる無限の妖力。断ち切らせてもらうぞ、それを!はぁああああ!!」
どおん!矢のように放たれる那由他
頼朝「させぬ!」
ビームを放つ頼朝。だが結界に弾かれる
頼朝「なに!?」
那由他「はぁああああ!!」
頼朝「森羅《しんら》結界!これが貴様の切り札か!!」
すごいSE
那由他「獄神剣《ごくしんけん》業風神閃斬《ごうふうしんせんざん》」
さらに激しくなるSE
那由他「はああああ!!!」

●6、場面転換
幽々子「西行妖と戦うって・・・でもそんなことしたら妖怪であるあなたは・・・」
紫「いいの。世界が滅んでしまったら元も子もないもん。それに、今次郎君を救えるのは・・・」

幽々子「次郎を救えるのは、なに?」

紫「なんでもない。幽々子、次郎君を頼むわよ」
幽々子「はい」
紫「ちぇ、自信満々な顔しちゃって」
幽々子「ごめんなさい・・・やっぱり、紫は・・・」
紫「ええ・・・私は広有のためにここにいるわ。ずっと広有を探していた。広有と出会うために全てを費やしてきた。・・・それがほかのコに取られちゃうなんてなんてね」
幽々子「ご、ごめんなさい。私は、その・・・」
紫「冗談よ。ねえ幽々子」
幽々子「え?」
紫「広有が何者か教えて欲しい?私がそこまでして探し求めた広有って何者か知りたい?」
幽々子「ううん」
紫「そっか」
幽々子「うん」
紫「わかった。じゃあいくわね」
幽々子「ええ。またあとでね、紫。さようならは言わないよ」
紫「ふふ。そうね。また後で会いましょう、幽々子
消える紫のスキマ音

●7、義経 vs 与一2
どぉん!弁慶のすごい打撃。すんででかわす義経
義経「おわあ!(間)クソ!やるじゃねえか弁慶!」
弁慶「若!お逃げくだされ!」
義経「んだと!?」
弁慶「多勢に無勢とあってはいかに若といえど不利」
義経「んなこと言うなら殴りかかってくるんじゃねえよ!」
弁慶「身体の自由が効かないのでござる!」
義経「相変わらず使えねえデクだな!てめえは!」
弁慶「申し訳ござらん!」
義経「はあああ!!」
義経の蹴りが命中。爆音。全く効いていない
弁慶「はあっ!」
金棒を振り回すぶうん!どおん!
義経「どああ!!クソッタレ!直撃しただろうが!よろけるくらいしやがれ!」
弁慶「申し訳ござらん!」
義経心の声リバーブ
義経「クソ・・・まじいぞ。いくら不死身っつっても体力が無地蔵ってわけじゃねえ・・・そこにきてクソ頑丈な弁慶相手とはこのままじゃあ・・・」
飛んでくる弓矢が義経に突き刺さる ヒュオー! どぉん!
義経「ぐあああああ!!!」
弁慶「若ー!!!」
与一「ヒャーッハッハハハ!!ビンゴー!!」
義経「クッソ・・・やりやがったな、このチキン野郎が・・・」
与一「いいね~さすがは武蔵坊弁慶、九郎クンの手の内を知りつくてるって感じ?」
弁慶「お主も一角《ひとかど》の武士《もののふ》であろう!潔く一騎打ちにて戦い候《そうら》へ!!」
与一「うるさいよポンコツ。お前は僕の命令に従ってればいいんだ!」
共鳴音。弁慶操られる。下のセリフにかぶせて大きくなる
弁慶「ぬうう!?おのれぇ!!」
弁慶の攻撃が義経に命中
義経「ぐあああ!!」
吹き飛ぶ義経死亡。すぐに復活する
与一「馬鹿か弁慶!せっかくの麻痺毒が命中したのに、殺したらリザレクションしてリセットしちゃうだろ!」
弁慶「き、貴様ぁ・・・」
与一「まあいいよ。もうすぐこっちのコマも復活する」
蘇る義仲
義仲「うううううう」
弁慶「よ、義仲殿!」
与一「すごいだろ?このタイプはしぶとさだけがとりえでね。ほとんどゾンビだね」
弁慶「どこまで我らを愚弄すれば気がすむのだ!!」
与一「世界が終わるまで、さ」
弁慶「くっ!?・・・む、無念、拙僧にはなにもできぬのか・・・」
義経「安心しろ弁慶。お前は私の手でじきじきに殺してやる」
弁慶「若!?」
与一「あ~あ、もうリザレクっちゃったか」
義経「クソに殺されたお前がクソの手で蘇ったんだ。それじゃあんまりに座りがわるかろうよ」
輝き出す義経の身体。炎とは違う力を発揮する
義経「受け取れ、これが正真正銘、私のとっておきだ」
義経爆発。インペリシャブルシューティング発動
与一「自爆しやがっただと!?なにを考えて・・・まさか!?」
弁慶「なりません若!そのような荒技を使われては!頼朝殿との戦いが待っているのでござろう!」
義経「(ふっと軽く)あっちはもういい。(真剣に鬼気迫る感じ。声を荒げないように)次郎が負ければどのみち世界は終わるさ」
与一「自爆とリザレクションを繰り返してるのか!!」
義経「命、生命力、生物《せいぶつ》が一生をかけて賭《と》すべきエネルギー全てを炸裂させ、弾幕と化す」
義仲「ぐおおおお!!」
与一「なんだあれは!触れた部分が消滅している!!」
義経「インペリシャブルシューティング!!!」
シュアアアア!!共鳴音大きくなる
弁慶「凄まじき技前。今度こそ本当に、おさらばです

義経「ああ、さらばだ弁慶。いままでの忠義ご苦労であった」
弁慶「二度目の命、あなたの手にかかり失うことを誇りに思いますぞ」
消える弁慶
義経「はああああ!!!」
爆発音
与一「い、いやだ!みとめない!僕が負けるなんて!!」
爆発の間隔が短くなってゆく
与一「いやだー!!!」

●8、頼朝の過去。より多くを救おうとした結果、妻を失った頼朝。
ナレ「その時私は、京都に進行する民軍を撤退させる役目についていた」
兵A「伝令!源頼朝様に伝令でござる!」
頼朝「何事だ!」
兵A「瀬戸内より人妖入り混じりし軍が、京都へ向けて進行中!恐らく狙いは・・・」
頼朝「平清盛・・・瀬戸内よりと申したか」
兵A「はい。族《やから》の大将首は、旭《あさひ》将軍・・・」
頼朝「木曽義仲《きそよしなか》!瀬戸内の海賊が相手だったのか!清盛殿は彼らを寄せ集めの民軍と侮っている。このままでは・・・」
兵A「なお、民軍は兵を分隊し、本隊は京都を目指しておりますが、分隊は・・・真っ直ぐ頼朝殿の庵を目指しているということ」
頼朝「なんだと・・・?」
ナレ「私は質素を好んだ妻とともに京から離れた庵に暮らしていた。それを知るのは一部の親族のみ。間違いない、私を京都の守護から引き離すために義仲が差し向けたのだ。実の娘か赤の他人か・・・私の頭を西行の言葉がリフレインしていた・・・だが」
頼朝「残った兵に伝えよ。源頼朝が撤退軍の殿《しんがり》へ向かっているとな」
兵A「頼朝殿!それでは奥方様が!」
頼朝「にべもない。私の任務は京都の守護である。京の人々と妻一人の安否、どちらを優先するかなどくらぶるまでもない」
兵A「・・・承知した」

義仲「久しいな、鬼若《おにわか》(頼朝の幼名)叔父ごは息災か!?」
頼朝「引け駒王《こまおう》(義仲の幼名)いまはその時ではない」
義仲「ああ、引いてやる。今日のところはな。お前が現れた時点で作戦は失敗だ」
頼朝「武家を結託させようなどと・・・お前の企みはクーデータにすぎないのだぞ」
義仲「大義なんざ知ったことか。今の世の実態、お前も自分の目で見て知っているはずだぜ」
頼朝「だからこそ、内より働きかけ、少しづつでも世をなおそうというのだ」
義仲「義なき力は大きいほどに毒をもつ。清盛は討つ。帝に義なくば帝も討つ」
頼朝「清盛は落ちん。無駄死にが関の山だ」
義仲「ケッ、んなこたぁ百も承知だぜ」
頼朝「ならば!」
義仲「木曽義仲は男でござる。打算でイモ引けるかよ」
ナレ「そうだ。彼はこういう男だ。だが、頭領として、友として、むざむざ義仲を殺せるわけにはいかない」
義仲「甘ぇ、甘ぇよ。お前は甘ぇ。いまだって俺を殺さずに逃がすつもりだろう」
頼朝「共に同じ源氏。なぜ殺さねばならん」
義仲「なぜだと?敵は殺す。敵に組みした者も殺す。その一族郎党も見せしめに殺す。できるだけ派手にできるだけ残忍にな」
頼朝「武家の鉄則か・・・私は・・・」
義仲「甘ぇんだよ。鬼若、お前のその気質、清盛は大いに利用しているんだよ。気がついてねえとは言わせねえぞ」
頼朝「それは、だが、それでも私は・・・」
義仲「後悔しな。俺はお前のように甘くない。(馬を走らせる気合)はあっ!」
馬のいななき
ナレ「簡単な殲滅戦と踏んでいた瀬戸内軍との戦《いくさ》は、想定以上の苦戦をしいられた。
義仲の戦闘力もさることながら、瀬戸内の妖怪が味方していたのだ。
なんとか勝利を納めるものの軍は疲弊。その責任は初戦で義仲を取り逃がしたという銘で私にふりかかった。
事が済み、我が家に戻った私を待っていたものは、変わり果てた妻の姿だった」

●9、那由他vs頼朝2
神閃斬の威力であたりが焦土と化している
息を切らし、膝をつく那由他
那由他「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・やったか・・・」

那由他「三千世界を次元ごと断ち切る万の斬撃。これで生きているならばこの世で頼朝を殺せるものはなにもない・・・」

頼朝「ならば我が身もまた不死身ということか」
那由他「なんだと!?」
壮大なBGM
頼朝「はははははは!あの日を思い出すではないか魂魄妖忌!」
那由他「神閃斬は西行妖と頼朝を繋ぐ妖力のパイプを確かに断ち切った。なぜ生きていられる!?」
頼朝「あの日、西行妖は満開をむかえることはなかった!だが!!」
西行妖復活
頼朝「みろ!この巨大な桜を。これこそ太古より伝わる滅びの神よ!」
那由他「これが・・・西行妖・・・」
頼朝「私の勝ちだ人類よ。世界は、今日終わるのだ」
那由他「依り代もなく復活したというか」
頼朝「飽和した世界は滅びを望み、西行妖はそれに応えた」
那由他「いやちがう、これは・・・」
頼朝「いわばこの世界そのものが西行妖の依り代なのだ。私はその手助けをしたにすぎない」
那由他「己自身の肉体を西行妖の核としたのか!」
頼朝「西行妖の出現は世界により定められた予定調和。文明の破壊はもはや止めることはできん」
那由他「馬鹿な、これでは幽々子と西行妖の同化は免れない!」
頼朝「だからどうだというのだ。世界という盃を満たすのが人間では、酔うのもまた人間のみ」
那由他「貴様が人類を滅ぼすと言うのか!西行妖より先に!」
頼朝「偽善、欺瞞、虚言、虚栄、自己顕示、自己愛、簒奪、暴虐!!・・・かつて西行は私のに問うたよ、実の娘と赤の他人、どちらを救うのだとな!人間よ、幽々子のために今ここで終われ!!」
那由他「神にでもなったつもりならもっとましにやってほしいもんだ。いまの貴様のその姿、まるで人間だ」
頼朝「受け入れよ人間。この滅びを否定することは運命を否定することに他ならない」
那由他「ふん・・・いやだね。俺は生きる。息の根がとまる瞬間まで足掻く。足掻いて足掻いて、人類最後の一人になるまで戦ってやるさ!」
頼朝「愚かなり自由意志。世界に刃《やいば》を向けるか」
那由他「楼観剣、白楼剣、俺に力をかしてくれ!」
共鳴音大きくなる
那由他「妖怪が鍛えし我が楼観剣、斬れぬ物は、なに一つない!!」

●10、次郎と対峙する幽々子
幽々子は次郎に何か声をかけようして、最初から選択の決定をしているわけではなくいくつかの選択を賢明に考えている。
その中かから決意を持って口に出す、その心情を自分の解釈で表現すること。
間を流さない。
幽々子「次郎、次郎起きて」
次郎「う・・・俺は、そうだ那由他に斬られて、それで・・・」
幽々子「次郎」
次郎「幽々子・・・そうだ、俺は・・・」
幽々子「次郎、目が覚めた?」
次郎「・・・俺、お前にどんな顔していいかわかんないよ」
幽々子「どうして?」
次郎「聞いてたろ、全部頼朝に仕組まれてたことなんだ、俺の記憶も感情も、術で仕組まれたプログラムだったんだよ」

次郎のセリフの途中から下の頼朝のセリフにクロス

頼朝「
神は、世界に光と大地を作りたもうた。そこに命が生まれ、命は文明を育てる。そして文明はさらに高度を目指して進化する。
それが生命の宿命だ。
けれども生命は、文明は、緩慢《かんまん》にしか進化ない。進化はやがて飽和《ほうわ》に追い越され、やはり緩慢に、破滅へと向かってゆく。
それが日常とよばれる時代。
だが、神は緩やかな破滅など待たない。世界の更なる進化のためにすべてを破壊する。
世界を作り出した神がいるように、破壊を行う神がいる。それが、西行妖。
誕生し、育て、壊される。そうして歴史は繰り返し、絶え間無く進化を続けてきた。
人類が、いや、生命が生まれる以前からだ。

クロスする次郎のセリフが切れて、ちょい間。後に上の頼朝のセリフの裏に那由他と紫のやり取り
那由他「俺は、生きる、俺は、まだ負けないっ・・・!」
頼朝から放たれるビームが那由他を襲う
結界に弾かれる
紫「くっ・・・こんなエネルギーいままで受けたことがないわ・・・これが西行妖の・・・」
那由他「なっ?き、貴様・・・八雲紫か!」
紫「話はあと。今は力をかしてあげますわ」
那由他「くそっ、やむを得ん」
紫「なにかっこつけてますの!次がきますわ!」
再びビーム、結界に弾かれる、が
ヒビが入る音
紫「やっぱり私の結界じゃもたない!」
ビームがびゅんびゅん飛んでくる
那由他「八雲紫」
紫「なんですの!」
那由他「次郎は、どうした」
紫「・・・話は伝えましたわ・・・あとは・・・彼と、幽々子次第よ」
那由他「そうか・・・ならば案ずることはない!」
ザザッ踏み込みの音
紫「待ちなさい!いま結界から出たら!」
那由他「はああああ!!」

次郎「すべては世界の意志に導かれるままに・・・俺には無理だ。もしかしたら自分の意志がなくなって頼朝に操られるかもしれない。いや、そんなことじゃない。俺なんかなんの役にも立てない」
幽々子「そんなことないと思う」
次郎「相手は本物の神様なんだ。もう俺一人がなにかしてどうにかなるような相手じゃないんだよ」
幽々子「西行妖を封じるために君の力が必要だ。必ず立ち上がり共に戦って欲しい」
次郎「・・・」
幽々子「那由他があなたに伝えて欲しいって」
次郎「それじゃ、あいつは」
幽々子「うん。義経様と紫も」
次郎「馬鹿だ・・・馬鹿だよ、知ってるはずだろ、相手が何者くらいあいつらなら!俺の力を貸してくれだって!?なにもできやしない!世界は今日終わる。みんな死ぬんだ。義経も、紫も・・・」

幽々子「私、考えた。自分がどうしたいのか・・・お父様に会いに行ってくる」
次郎「・・・え?」
幽々子「西行妖とシンクロしたからもしれない。私にもわかるの。あなたの言うとおり世界はきっと今日で終わるわ。でもその前にお・・・」
次郎「まさか・・・幽々子、お前!」
幽々子「お父様に馬鹿って言って引っ叩いてやる」

次郎「え?・・・」
幽々子「だって、頭にくるじゃない、相談もしないで勝手に一人で突っ走っちゃってさ」
次郎「そんなこと・・・」
幽々子「そんなことなんかじゃないよ。苦悩を分け合って欲しかった。離れてても親子だって、信じてのに・・・今のお父様と会ったら戦いは避けられないわ。次郎の力を私に貸して欲しい」
次郎「無理だよ。勝てっこない・・・それに今の俺になにができるっていうんだ」

幽々子「私があの地下から出られたこと、自分の罪と向き合えたこと、あなたが手を引いてくれたから。あなたが私を受け止めてくれたから」
次郎「それは・・・だって俺は・・・俺の正体は西行妖の・・・」
幽々子「あなたが何者だとしても構わない。正体がなんだろうと、記憶がどうだろうと、次郎は次郎だもん。あなたの気持ちも言葉も、偽物なんかじゃない。全部あなたから生まれた大切なあなた自身なんだよ」
次郎う「俺の気持ちは俺自身・・・」
幽々子「私、お父様に感謝してることがひとつあるんだ」
次郎「頼朝に感謝してる、こと?」
幽々子「それはね、あなたと出会えたこと」

幽々子「世界は終わるかもしれない。だからってただ座って泣いているだけはいや。私は私のできることをしたい。世界のためじゃなくて私のために」
次郎「お前は、強いんだな」
幽々子「ううん。私は強くなんかないよ。ただ、あなたがいるから」
次郎「俺が」
幽々子「あなたはいつでも真っ直ぐに前だけを駆け抜けて行った。どんな苦難にも理不尽にも負けないで。あなたの強い瞳が私に勇気をくれたの」
次郎「それは・・・それは、幽々子、お前を守りたかったからだよ。俺は、強くなんかない」
幽々子「うん。あなたはいつでも私を守ってくれた。今度は私の番。いこう次郎、世界のためじゃなく、私達のために」

次郎「幽々子、俺、怖いんだ。戦うのが」
幽々子「うん」
次郎「楼観剣もないし、妖忌もいなくなっちゃったしさ」
幽々子「うん」
次郎「でも俺、お前とだったら戦える。いまはっきりわかった。お前がいれば何も怖くないよ」
幽々子「次郎・・・」
次郎「幽々子、いこう、頼朝を引っ叩きに!」
幽々子「はい!」

●11、頼朝vs次郎
満身創痍の那由他
那由他「くっ・・・」
頼朝「これでわかっただろう人間よ。世界は終わるのだ」
紫「どういうこと・・・幽々子も次郎君なしで西行妖が復活するなんて」

頼朝「核だ」
那由他「核?」
頼朝「西行妖の核のみをこの世に実体化させ、幽々子を通じて西行妖の力のみを引き出す」
紫「まさかそんなことが・・・まさか、それじゃあ」
頼朝「そうだ。あの桜は実体を持たぬ影にすぎない」
那由他「馬鹿な、そんなことであれは抑えきれない。蓄えた力が暴走し、いずれこの世に溢れ出すぞ!」
頼朝「核の力が西行妖を上回ればどうかな」
那由他「それが貴様の計画の全貌か!」
頼朝「魂魄妖忌、貴様は力の一部になってもらおう。その魂いただくぞ」
那由他「くっ!抵抗する余力はない、か・・・八雲紫!」
紫「えっ?」
那由他「次郎に伝えてくれ!世界を・・幽々子を頼むと!」
西行妖に吸収される那由他
紫「那由他、あなた・・・」
頼朝「八雲紫、私に知識を与えてくれたことは感謝しよう。だが、貴様も、いや、すべての命は今となっては不要」
紫「あなたなんかに負けない!せめて次郎君がくるまでは・・・」
頼朝「貴様も捧げよ。その魂をな」
紫「きゃー!」
頼朝からビームが放たれる。結界がこれを防ぐが破壊される。
紫の悲鳴。閃光の共鳴音。収まるとしばらくの沈黙。間
紫「生きてる?・・・私、どうして・・・」
頼朝「来たか、我が亡霊よ」
次郎「西行妖の核・・・それは、あんた自身だ、源頼朝」
紫「じ・・次郎君!!」
幽々子「紫!」
紫「幽々子!」
幽々子「待たせてごめんね」
頼朝「いかにも。一人目の深き者であった私だが、もはや西行妖の従者にあらず。我が身は西行妖の核。滅びの神はいまや我が意のままよ」
幽々子「お父様、西行妖を止めてください」
頼朝「幽々子、お前には新たな役目を授けよう、西行妖と私をつなぐ門としての役目をな」
幽々子「世界の破滅になんの意味があるのです」
頼朝「次の文明が作られるのだ。そのためにいまの文明は滅びなければならない」
次郎「フッ(鼻で笑う次郎。難しいようだったら喉を入れてフンでも可。試して)」
頼朝「何がおかしい」
次郎「紫、那由他と義経は?」
紫「魂魄那由他は西行妖に取り込まれて・・・義経さんは消えましたわ。新たな敵の攻撃で」
次郎「まさか、死んだのか?」
紫「いいえ。おそらく、私のスキマの様な能力で別の空間に送り込まれたんだと思う」
次郎「わかった。じゃあ紫は義経のところへ行ってくれ。助けが必要かもしれない」
紫「え?で、でも」
次郎「頼朝のことは俺に任せてよ」
紫「で、でも」
幽々子「大丈夫。次郎を信じて」

紫「わかった。幽々子、次郎君、世界を頼むわ」
次郎「ああ」
消える紫
次郎「待たせたな。アンタが源頼朝か」
頼朝「選ぶがいいナンバーツー次郎左衛門。滅びの歯車となるか、私の手にかかりその短い命を消すかを」
次郎「いちいち大げさなやつだなぁ。普通にしゃべれないわけ?」
頼朝「なに?」
次郎「俺は頭にきてんだ幽々子を何年も閉じ込めたのはアンタだろ。それでも父親か」
頼朝「貴様にはなにもわからんよ。全ては幽々子のために・・・」
次郎「ごちゃごちゃうるせーよ!頼朝、俺が勝ったら幽々子にごめんなさいって言え!」
頼朝「ふん・・・所詮は失敗作。話も通じんとはな」
次郎「頼朝!」
頼朝「もはや問答は無用。舞え!黒死蝶!やつの命を奪うのだ!」
次郎「これって幽々子の・・・なんて数だ」
頼朝「死をもたらす黒死蝶。定命《じょうみょう》の者に抗《あらが》うすべはない」
幽々子「させません」
幽々子の結界発動。黒死蝶を相殺する
幽々子「絶対死の能力は私達には通じませんよ」
次郎「サンキュー幽々子」
幽々子「うん」
頼朝「小賢しい。だが、絶対死の能力が通じないのはこちらも同様」
次郎「俺はお前が大っ嫌いだ!!」
頼朝「私に敵うとでも思っているのか。半霊もなく、剣(つるぎ)も失った貴様が」
頼朝に飛びかかる次郎
次郎「はああ!!」
頼朝にパンチを振るうが結界に阻まれる
頼朝「拳ひとつで私に挑む勇気は賞賛しよう。だが、当然それでは話にならん。はっ!」
頼朝裏拳で次郎をなぎ払う。
次郎「うわあああ!」
どさっ。次郎ダウン
次郎「いっててて・・・くっそぅ」
幽々子「次郎!」
次郎「くるな!大丈夫、俺に任せて」
心配そうに
幽々子「う、うん・・・」
頼朝「どんなに虚勢をはろうと貴様にはなにもできん。そろそろ幽々子は返してもらおう!はああ!!!」
派手なビーム音。しばらく続き。後沈黙。うぃんうぃんいってるSE。次郎の結界
次郎「頼朝、お前がいままでどんな思いで戦ってきたか、俺にはわからない。でも」
頼朝「これは・・・さきほど八雲紫を護った力・・・これはまさか」
次郎「俺はお前が大っ嫌いだ!ぶん殴らなきゃ気がすまない!」
頼朝「貴様の力だというのか次郎左衛門!!」
次郎「はああ!!」
再び頼朝にパンチを振るう次郎。同じように結界に阻まれる
頼朝「無駄だと言うのが・・・なにっ!?」
びきっ!結界にヒビがはいる
頼朝「これは、結界が・・・!」
次郎「広有!人間の味方なんだろう!俺は人を救ってやる!だから・・・俺に力を貸してくれー!!」
ぱりーん!ガラスが割れるSE。パンチが頼朝に命中。吹き飛ばれされるが、踏みとどまる頼朝。
頼朝「ぬうう!!・・・これは・・・広有の力か!!」
次郎「無駄だというのが、なんだよ。一発いれてやったぜ」
頼朝「飽くまでも人間の味方をするか広有・・・!!」
抜刀する頼朝
次郎「源頼朝・・・アンタを倒す!」
ぶああ。次郎の手からライトサーベル的なものが現れる。次郎の攻撃にあわせて。例の効果音
頼朝「その力だ。その力が西行妖の支配から貴様を逃し私の計画を邪魔したのだ!はああ!」
頼朝ビーム。弾かれる
次郎「諦めろ頼朝!アンタの術は何一つ俺には通じないぜ!」
※二人のチャンバラ。全身全霊をかけた最後の攻防。次第に頼朝に押されて次郎が劣勢になってゆく。
次郎、頼朝、気合の攻撃声と押され声5個づつ。他作品などを参考にして何いうか考えておいてください。本番で思いつきのぶっつけはやらないように。絶対失敗します。
頼朝「やはり付け焼き刃では我が剣には及ばんようだな!」
突き飛ばされる次郎。ダウン
頼朝「止めだ広有。我が因縁。ここで絶たせてもらう!」
頼朝のとどめの一撃がみまわれるが、ガキィン!それを受け止める次郎
頼朝「なに!?貴様、まだ」
次郎「お前には負けない」
頼朝「なんだと?」
次郎「幽々子を泣かせたお前には絶対負けない!」
パワーが集まる音
頼朝「なに!」
次郎「惚れた女も守れないで・・・なにが男だー!!!」
次郎の斬撃が頼朝に命中。共鳴音
頼朝「うっ・・・な、なんだこの斬撃は」
次郎「頼朝。お前の力、全て封じさせてもらった。お前の、負けだ」
頼朝「いいやまだだ」
次郎「なに?」
頼朝「世界には滅んでもらう。そのためならば我が命など惜しくはない」
次郎「そんな・・・いまの一撃で西行妖の呪縛は解けたはずなのに」
頼朝「私は西行妖の意志に操られたことなど一度もない」
次郎「なんだって?」
頼朝「全ては私の意志。人類を世界を滅ぼし、幽々子のための新世界を作り出すのだ!!!」
上のセリフで頼朝の声が徐々にエフェクトがかってゆく。変身する頼朝
次郎「これは、秀衡《ひでひら》の時と同じ」
頼朝「滅べ世界よ!私は神となるのだ!ははははは!」
嵐が起こる。豪風の音
次郎「だめだ、頼朝はもう」
幽々子「お父様・・・」
次郎「幽々子、頼朝を止めなきゃ。いいね?」
幽々子「うん」
次郎「行ってくるよ。幽々子は下がっててくれ」
幽々子「わかった・・・次郎、あなたは帰ってきてね」
次郎「ああ」
間 かっこいい曲
次郎「高まれ!俺に眠る広有の力!!(区切り)西行妖これで最後だ!」
次郎「夢想封印!」
次郎の体から無数の光球が発せられ頼朝を包む
頼朝「馬鹿な!神を封じると言うのか!歴史を世界を否定してまで!」
下の次郎の叫び、頼朝のうめき声とクロスでつかいます。
次郎「はああああ!!!」
頼朝うめき声、グイグイ押されるように強くなり、最後は絶叫
頼朝「う・・・うう、ううう!!うああああ!!!!」
爆発音。後、沈黙

●12、次郎と頼朝
次郎「くっ!広有の力がここまで強力だなんて!このままじゃ俺まで・・・うわあああ!!」
共鳴音。ポスっ。頼朝に受け止められる次郎
頼朝「次郎左衛門、お前は帰れ」
次郎「あ、アンタ、どうして」
頼朝「いままで幽々子を救ってくれた礼だ」
次郎「アンタもいままで、たった一人で幽々子のために戦ってたんだよな」
頼朝「その結果がこれだ」
次郎「できればアンタとちゃんと話てみたかったよ」
頼朝「私もだよ次郎左衛門。お前はなれたかもしれないもう一人の私だ(間)最後にたのみがある」
次郎「なに?」
頼朝「もう幽々子には関わらないで欲しい」
次郎「だろうと思った。一応理由を聞かせてよ」
頼朝「・・・お前は私の右腕から作り出されたクローンだ。脳や内臓といった複雑な器官を作り出すには細胞の少なすぎる」
次郎「ってことはつまり・・・」
頼朝「お前の肉体はもうとっくに寿命をすぎているのだ。生きていることが不思議なくらいにな」
次郎「・・・」
頼朝「幽々子にこれ以上辛い思いはさせたくない」
次郎「あー・・・いや、いいよ。なんとなく気がついてたんだ。紫から話を聞いたときから」
頼朝「そして次郎左衛門。西行妖の核たる存在になればアレを意のままに操ることができる。いまこの言葉を言う意味、
わかるな」
次郎「ああ、わかってるさ」
頼朝「すまない」
次郎「いいってば。俺がアンタでもきっと同じことを言ったよ」
頼朝「ふっ、そうだな」
次郎「じゃあお別れだ源頼朝」
頼朝「ああ、さらばだ。隠岐次郎左衛門広有」
共鳴音
頼朝の最後
沈黙の中 長めのリバーブの頼朝の声
頼朝「結局私はなにも残せなかった・・・孤独か・・・私にふさわしい最後だ」
政子「私はそうは思いませんよ」
頼朝「お前・・・どうして?」
政子「だって、一人じゃお寂しいでしょ」
頼朝「あの時、迷わずお前の元へ駆けつけるべきだった。思えばあれが私の・・・」
政子「いいえ。あなたはやるべきことをやっただけ、もし私の元へきたならば、私は許しませんでした」
頼朝「すまない・・・私にはそれしか言葉がない。許されるべきではないことはわかってるのに」
政子「なにを言っているのですか。私があなたを許さなかったら、一体だれがあなたを許すというのです」
頼朝「え?」
政子「ご苦労様でした。おかえりなさい。あなた」
頼朝「ああ・・・ただいま」

●13、頼朝に勝利する次郎

沈黙、間
紫「終わったの・・・?」
幽々子「次郎・・・じろうー!!」
紫「幽々子・・・あそこ!」
幽々子「あれは・・・次郎!」
駆け寄る二人
次郎「うっ・・・」
幽々子「次郎!」
次郎「幽々子・・・俺、お前の父さんを・・・」
幽々子「ううん・・・次郎が無事でよかった」
ごごごごごご。西行妖のうめき声
紫「これは・・・地場の崩壊が止まらない、どういうこと!?」
幽々子「西行妖が・・・満開に・・・」
力を増すように輝き出す西行妖の桜
次郎「西行妖はこっちで力を使いすぎた。頼朝を倒しただけじゃ今更元の世界に追い返せないんだ」
紫「そんな、それじゃあ」

次郎「頼朝が言ってたよ。核になる存在なら西行妖を操れるって。頼朝にできたんだったら俺にだってその資格がある」
紫「次郎君、あなたまさか・・・あう!」
ビーム音。体の動きを封じられる紫
次郎「核になってとりこまれれば、内側から西行妖を封じられる」
紫「くっ、体が動かない・・・次郎君、あなたなの?」
次郎「ごめんな紫、ちょっとだけそうしててくれ」
紫「やめなさい次郎君!そんなことをしたら意志を持ったまま身動きもとれずに永遠に近い時を生き続けることになるのよ!?」
幽々子「次郎」
紫「幽々子、次郎君を止めて!」
次郎「やっとわかったんだ。俺はこの時のために生まれたんだよ」
うなだれている幽々子
幽々子「うん・・・」
次郎「俺は、幽々子と、幽々子のいるこの世界を護る」
共鳴音大きくなる
幽々子「はっ・・・待って!次郎、次郎ー!!」

●14、次郎と幽々子
幽々子「はぁはぁはぁ・・・」
次郎「幽々子!」
幽々子「さ、最後にお別れしたくて」
次郎「だ、だめだって、危なからみんなのところへいってなきゃ!」
幽々子「でも、次郎、絶対怖がってるもん」
次郎「な、なに言ってんだよ。俺は平気だって。覚悟はとっくにすんでるぜ!」
幽々子「嘘ばっかり」
次郎「え?」
幽々子「意地はるのがカッコいいと思ってるんでしょ。本当は怖いくせに」
次郎「あ、あははは・・・やっぱ幽々子には嘘つけないかぁ」
幽々子「もう・・・どうしてなんて強がり言うの?」
次郎「だって、カッコ悪いじゃん」
幽々子「ううん・・・次郎はカッコいいよ。そのままでもすごくカッコいい。自信もって?」
次郎「か、かっこいいか、なんかてれるな。みんな俺のこと可愛い可愛いっていうからさ、俺は男だっつーのにさ」
幽々子「しょうがないよ、お父様もお母様も私のこと可愛い可愛いって言ってくれたから」
次郎「そっか、俺の記憶って幽々子の記憶だったっけ。はは、なっさけねー・・・」
幽々子「これからは二人で、私達の思い出を増やしていこう?」
次郎「そうだな。ゆっくりでいい。二人でいろんな所を旅したり、怒ったり、笑ったり・・・」
幽々子「覚えてる?始めて出会った時のこと」
次郎「鎌倉のあの地下洞で、お前はすごくさみしそうな目をしてた」
幽々子「あなたはあの時のまま・・・私の時間はあの時始まったんだわ」
共鳴音徐々に大きくなる
次郎「幽々子」
幽々子「はい」
次郎f「いってきます」
幽々子「うん。すぐ帰って来てね」
次郎「幽々子」
幽々子「はい」
次郎「俺、お前と会えてよかった」
幽々子「うん」
次郎「幽々子」
幽々子「はい」
幽々子「次郎?」
幽々子「なに?なんていったの?」
次郎「幽々子。お前を愛してる。世界中の誰よりも」
共鳴音さらに大きくなり声がかき消えるほどになる
やがて沈黙
意識を失い倒れてる幽々子。紫が介抱し声をかけている
紫「幽々子・・・幽々子。幽々子!!」
意識を取り戻す幽々子
幽々子「ゆかり・・・」
紫「よかった・・・なんて無茶を(するの)!あなたまで取り込まれるところだったのよ!」
幽々子「取り込まれてしまえばよかった」
紫「なんですって?」
幽々子「なにも伝えられなかった。なにもできなかった!次郎、私は・・・」
紫「幽々子・・・」
幽々子「行かないで!私を置いていかないでよ!ずっと一緒にいてくれるって約束したじゃない!」
幽々子の号泣
ナレ「こうして、世界崩壊の危機は去る。西行妖は消え、桜の巨木は一切の妖気を失い、その後も花を咲かすことはなかった」

●15、義経と呼ばれた少女
幽々子「それはここでお別れなのですね。義経様、いえ、藤原様」
義経「私にはもうひとりケジメつけなきゃいけねぇやつがいてな。なんとしてもそいつのツラに一発ブチ込んでやらなきゃいけねーんだ」
幽々子「ぶちこ・・・?」
紫「やっつけたいってことよ。ホント敵つくるのが好きなコですわね。何者ですのそいつは」
義経「宇宙人だ」
幽々子「うちゅーじん、ですか」
紫「あなた、妙に顔が広いですわよね・・・」
義経「そいつは父上を・・・いや、そういうことじゃない・・・結局、私は・・・」
幽々子「藤原様?」
義経「んん?・・・ま、長く生きてりゃいろいろあるってことさ」
幽々子「それじゃあ・・・」
義経「ああ。ここでお別れだ」
幽々子「私・・・あなたのことを忘れません。いつまでも」
義経「ああそうかい。私はアンタのことなんざすぐ忘れちまうぜ。忘れっぽいかならなぁ」
幽々子「藤原様・・・」
義経「あー・・・よせよせ。湿っぽいのはごめんだぜ」
幽々子「いえ、そうじゃなくて・・・あの!」
義経「ん?」
幽々子「最後にあなたのお名前を、本当のお名前を聞かせていただけませんか」
義経「へっ・・・どこぞの誰かにいわせりゃ、名前なんざただの記号らしいからな。アンタと共に戦ったガラのわりぃ女がいた。それでいいじゃねえか」
幽々子「そう、ですか」
義経「わりいな。いまさら自己紹介なんて照れ臭ぇことできるガラでもないんでね」
幽々子「そうですか、わかりましたよ、くろぉーさんっ」
義経「てめッ・・・!」
紫「あら。なにをムキになってるの。名前なんてただの記号なんでしょ」
義経「ッ・・・へっ、最後まで食えねえヤツだぜ。おめーらはよ」
幽々子に背を向けて去ってゆく義経
幽々子「お元気で」
義経「言われなくても、私は永遠にお元気な身なんでね」
紫「最後まで口が減りませんこと。蓬莱人だって風邪くらいひくでしょうに」
義経「幽々子!」
幽々子「はい!」
義経「いい女になれよ・・・次郎のためにもな」
幽々子「・・・はい」
ナレ「こうして幽々子は源義経と呼ばれた少女と別れを告げる。この後少女は歴史から忽然と姿を消し、幽々子と少女は再開することはなかった」

●16、君がいる星空の下で

うまく尻がつながる感じでエンディング曲フルバージョンスタート

ナレ「その後、幽々子は、世界を行脚する。懺悔をするためではない。歌を歌い人を慰めて回ったのだ。その傍《かたわら》には、一人の女性と、一人の剣士が片時も離れることなく共だっていたという。何年、何十年、旅は終わることなく、世界中のあらゆる土地を、3人は訪れた。そして、旅は終わり『その時』は幽々子にも訪れる」

老幽々子「妖忌」
那由他「ああ」
老幽々子「紫」
紫「ここにいるわよ。幽々子」
老幽々子「二人とも、いままで本当にありがとう。あなた方のおかげで私の人生は光り輝く物になったわ・・・」
那由他「なにをいまさら、君のおかげで俺は俺でいられたんだ。お礼を言うのはこっちの方さ」
老幽々子「ふふ・・・あなたは変わらないわね、妖忌」
那由他「君も、いつまでも可愛いよ」
老幽々子「ありがとう。あなたのその強さに何時救われたことでしょう」
紫「なぁにいってますの。騙されちゃだめよ幽々子。こいつはまた適当なおべんちゃらかましてるだけですからね」
老幽々子「これであなたも自分の目的に没頭できるわね」
紫「あのねえ・・・その時々自虐っぽくなる感じ、そろそろなおしてもらえません。テンション合わせるのめんどくさいったらありゃしませんわ」
老幽々子「ごめんね」
紫「まったくですわよ。これからようやく今の広有を探しにいけますわ。広有とは、決して絶えることなく世界に存在し続ける人類の切り札。力に取り付く呪いのようなもの。必ずどこかに新たな広有が生まれているわ」
老幽々子「そう・・・」
紫「でもま、広有って呼び名は改めましょう。もっと華麗で優雅な呼び名の方が私に相応しいですし、それに・・・広有は次郎クンの名前だもん」
老幽々子「紫、ありがとう」
紫「幻想郷は必ず完成させますわ。幽々子はあっちで見ててくださいましね」
老幽々子「うん。頑張って紫。あのね、私・・・伝えるなきゃいけないことが・・・」
那由他「どうした幽々子?」
老幽々子「次郎・・・ごめんね、最後まで伝えることができなくて・・・」
那由他「どうした幽々子、なにを謝っているんだ?」
幽々子、消え入りそうな声でゆっくりと一言。最後に間をおいてため息
老幽々子「ありがとう・・・」
那由他「幽々子?・・・幽々子!」
幽々子を案じ近寄ろうとする那由他。それを手で制する紫
紫「だめよ・・・ここから先はあなたにはまだ早い・・・」
那由他大きく息を整え
那由他「・・・また会おう幽々子。次郎に会ったらよろしく伝えてくれ」
間 水滴の滴る音がしばらく続き
下セリフ老幽々子とヤング幽々子二重録り。編集で徐々に声が若返る演出をつけます
幽々子「ありがとう次郎、私、あなたに会えてよかった」
寝ている幽々子を起こすような次郎の声
次郎「幽々子・・・幽々子・・・」
幽々子「んっ・・・だれ?」
次郎「幽々子」
幽々子「・・・次郎?(寝ぼけ風からガバっと起き上がる音)次郎!」
次郎「会いたかった。幽々子」
幽々子「私も・・・」
次郎「ごめんな、お前が辛い間、俺、なにもしてやれなくて」
幽々子「私こそ待たせちゃってごめんね」
次郎「ああ・・・これからはずっと一緒だ」
幽々子「うん・・・次郎」
次郎「なに?」
幽々子「ずっと伝えられなかったこと、今聞いて欲しいの」
次郎「え、ええ~・・・い、いまじゃなきゃだめか?」
幽々子「うん。ずっと、次に会ったら一番最初に言おうって決めてたから」
次郎「わかった。幽々子、お前の気持ち、聞かせてくれ」
幽々子「うん・・・次郎・・・私、あなたが大好き」

ナレ「西行寺幽々子。後年、歌聖《かせい》と呼ばれるこの人物の生涯はこうして幕を閉じる。残していた辞世の句に従い桜の木のたもとに埋葬された。その桜は、決して花を咲かせることが、なかった」

幽々子「願わくは 花のもとにて 春死なむ その如月《きさらぎ》の 望月《もちづき》の頃」

●17、エピローグ
エンディング曲後(エンディング後10秒(?)開けて後、隠しトラック
※本連続作品の大オチ、謎明かし、東方妖々夢本編に繋がる大事な大事な場面です
場面:現在の幻想郷。白玉楼の庭先を箒で掃き掃除機している妖夢。

妖夢「幽々子様~どこにおられるのですか~。お庭の掃除終わりましたよー・・・もう、どこいっちゃったんだろ・・・」
さくさくさく。足音がトントントンというふうにかわる。
家屋に移動したのだ。やがて屋敷の書庫にて本を見つめている幽々子を見つける妖夢
妖夢「ゆゆ、こさま・・・」
間 いつものあっけらかんとした雰囲気とは違う幽々子の様子に気がつき、おそるおそると声をかける
妖夢「幽々子様?」
幽々子「あら・・・妖夢。どうしたの?」
いつもどおり、あっけらかんとした様子にもどる幽々子様。妖夢、ホッと一息。安心して口調が軽くなる
妖夢「どうしたのじゃないですよ。お庭の掃除が終わったのでおゆはんを伺いにきました」
幽々子「もう、そんなの好きにしてくれればいいのに」
妖夢「勝手に献立決めたらふてくされるのは幽々子様じゃないですか~」
幽々子が本を開き、眺めていることに気がつく妖夢
妖夢「・・・なんです?その本」
幽々子「これ?これはね・・・」
妖夢「はい」
幽々子「お庭の桜に一本だけ、花をつけない桜があるのを知ってる?」
妖夢「あ、はい。あのでっかいやつですよね。西行妖っていいましたっけ?(花をつけないのは)枯れているわけでもないのに変な桜ですよね」
幽々子「この本には、あの桜の事が書かれてあるの」
妖夢「へぇ~。お師匠様も『それは凄い桜だったが、もう二度と咲くことは無いだろう』っておっしゃってましたけど、本になってるなんて。なんかすごいですね。なんか云《い》われでもあるんですか?あれって」
すぅっと雰囲気が変わり、神妙になる幽々子
幽々子「『富士見《ふじみ》の娘、西行妖満開の時、幽明境《めいりょうさかい》を分かつ、その魂、白玉楼で安らむ様、西行妖の花を封印しこれを持って結界とする。願うなら、二度と苦しみを味わうことの無い様、永久に転生することを忘れ・・・』」
妖夢「幽明境《めいりょうさかい》を分かつ・・・」
幽々子「死んだ、ということよ」
妖夢「ひえぇっ!?」
幽々子「ふふ、妖夢は怖がりねぇ」
妖夢「だ、だって、あの木の下にはその・・・」※妖夢は幽霊やお化けが苦手。怖い
幽々子「富士見《ふじみ》の娘が眠っている・・・西行妖はその娘を封印しているんだわ」
妖夢「西行妖の花を封印しこれを持って結界とする、ですか・・・だから花をつけないんですかね」
幽々子「そのこはなんで封印されたの?どんな悪いことをしたのかしら?ねえ妖夢、気にならない?」
妖夢「は、はぁ・・・(生返事をするが、振り返った幽々子が泣いていることに気がつき、ぎょっとして)えっ!?」
幽々子「あの桜を、西行妖をもう一度満開にすることができれば、きっと会えるはずよ。富士見《ふじみ》の娘に」
妖夢「あああ、あの・・・幽々子さま・・・?」
徐々に忘我のようにトリップしてゆく幽々子。声もしだいに嗚咽となる
幽々子「『西行妖の花を封印しこれを持って結界とする』西行妖を満開にすればきっとそのこに会えるんだわ。ねえ妖夢、会ってみたいと思わない?あの花を咲かせて、西行妖の、満開にするの、そして、顔を見せて、あなたの声が聞きたい、触れたい、もう一度、逢いたい」
幽々子の体を揺さぶって正気に戻そうとする妖夢。下の幽々子の名を呼ぶ声、編集で上のセリフとかぶせます。(同時でいけるなら、やって、どうぞ)最初は遠慮しがちに徐々に強く
妖夢「幽々子様・・・幽々子様。幽々子様!!」
幽々子「あ・・・」
妖夢「一体なにをおっしゃってるんです?あいたい、って誰にです?桜の人のこと知ってるんですか!?」
幽々子「わからない・・・ただ、とても懐かしくて、胸が苦しくて・・・張り裂けそうなの」
妖夢「幽々子様・・・」
幽々子「お願い、妖夢・・・幻想郷の春を集めて頂戴。西行妖を、もう一度満開にするほどの春を」

●CM
だんだん組 東方ドラマCD第12弾ついに登場

西行妖は目覚め世界は破滅へと向かってゆく。
次郎左衛門の正体とは、幽々子の運命の行方は。
そして、春雪異変《しゅんせついへん》の隠された謎が明らかになる。
幻想記新伝ファントムセイバー 最終話。
博麗神社例大祭堂々頒布。
いま明かされる究極《アルティメット》の真実《トルゥース》。