A「それで、あの・・・ お前なんなの?」
B「河童です」
A「は?」
B「河童です」
A「・・・・・・えーと・・・」
B「超河童です」
A「いや、分かったから。・・・しかし、河童・・・、・・・このご時世に」
B「平成河童合戦カッパパです」
A「なんでジ〇リにまで精通してんだよ」
B「狸が化けて出ているわけではないのでご安心ください、正真正銘河童です」
A「どっちにしろリアリティが皆無だから安心できねぇよ」
B「そうですか」
A「・・・・・・まぁ、一般的なイメージとはだいぶ違う外見のようだけどな。くちばしも水かきも無いし」
B「帽子を取ればお皿はあります、が、退化気味ですね。時代に合わせた姿に変わっていくのが、我々怪(あやかし)というものですから」
A「へぇ」
B「いわゆる『萌え』というやつに則ってみました」
A「合わせるってそっちのニーズにかよ。 今なお古き良き妖怪を探求する研究家の人とかに謝れよ」
B「案外喜んでもらえるのではないかと」
A「・・・確かに。・・・で、その河童がなんで川でうつむきに浮いてるんだよ。普通に人間の溺死体かと思ったぞ」
B「その割に冷静なあなたにびっくりな私、河童です」
A「知ってるよ」
B「昨今の川は非常に泳ぎにくいのです。が、ここ数日の雨で水が増えていたため、うきうきと泳いでいたら岩にぶつかりました。完璧に油断を突かれた形になります」
A「類稀なるアホだな」
B「まさに河童の川流れ」
A「文字通り過ぎるわ。エエ顔すんな」
B「そんな私を助けていただきありがとうございます」
A「いや、だから溺れた人かと思っただけなんだけどな」
B「しかしあなたも中々大胆です」
A「は?」
B「河童とはいえ知識はあります。あれは接吻というのでしょう?」
A「いや、あれ人工呼吸・・・」
B「時代に合わせて外見を愛らしくし過ぎたのがいけないのでしょうか、まさか河童であろうと毒牙にかけ痛い」
A「殴るぞ」
B「殴られました・・・。冗談はともかく、あなたにお願いがあるのですが」
A「・・・流れからして、あれが欲しいんだな? 多分うちの冷蔵庫の野菜室に・・・」
B「お持ちですか、 ねるねるねるね」
A「ねるねるねるね!?」
B「大好物です」
A「・・・ちなみに、好きなスポーツは」
B「カバディです」
A「お前のどこが河童なんだよ」
河童「色がか~わるまっほうじゃ♪ ねっておいし~ねるねるね~るね~♪」
A「おい、そこの自称河童。買い物行ってくるけど、何か欲しいものあるか?」
河童「ねるねるねるね! メロンソーダ味!」
A「てめえが今うきうきねってるそれもねるねるねるねじゃねぇのかよ」
河童「ストックを所望します!」
A「・・・・・・いや、流石にお前、そんなねるねるねるね好き好きキャラを押してくと、そのうち河童的パーツが一つもなくなるぞ」
河童「ふむ、そうですねぇ。今のところ私、パッと見甘いものが大好きな可愛い女の子ですものねぇ」
A「そんなレベルの誇大広告は初めて聞いた。せいぜいが緑っぽい服の女の子だ」
河童「森ガールってやつですね!」
A「川だ、お前の住まいは」
河童「森にも川はありますよぅ。・・・・・・しかしあれですねぇ」
A「?」
河童「私の外見特徴が明示されるたびに某projectに登場する河童の存在が浮上してくる気がしますね」
A「やめろ。多分みんな分かってて口に出さずにいてくれてるんだから。そしてお前の根幹にそんなキャラクターはいない」
河童「ええ。みなさんご安心ください。私は東方project第10弾、東方風神録3面ボスキャラクターであるところの河城(かわしろ)にとりさんとは何の関係もないのです」
A「だからやめろ! 視聴者に検索ワードを与えるんじゃない! 知らない人がぐぐっちゃうだろ!」
河童「そういう視点で行くと、このメタメタしいやりとりも何だか某蝸牛(かたつむり)の迷子みたいですよね」
A「お前・・・ひょっとして自分で自分を追い詰めていることに気付いていないのか・・・・・・?」
河童「常に新たな視点で妖怪界を走り抜ける私、河童です! えへっ!」
A「知ってるよ! 最近怪しくなってきたけど! あとお前笑顔可愛いな!」
河童「なんでそんなとこだけストレートに言うんですか貴方。さておき、私もまたお皿が退化してきちゃうかもしれませんねぇ」
A「そんなシステムだったのかよ。あ、でもそういや、お前のお皿って結局どんなもんなのか見た事ねーや。ちょっと見せて・・・」
河童「触んな、殺すぞ」
A「何そのキャラーッ!!?」
河童「おっと失礼。しかしこのお皿に関してはデリケートなのでトップシークレットです」
A「あ、ああ。なんだよ先に言えよ・・・思わずガチ泣きするところだった」
河童「大の男が少女型河童に凄まれてガチ泣きとかやめてください」
A「しかし実際、お前のお皿ってどんなもんなんだよ」
河童「お皿の秘密を知りたければ河童ルートに進んだのち、然るべきフラグを立てていただかなくては」
A「ねるねるねるね3色セットでどうだ」
河童「ぐぬう!」
A「今ぐぬうって言ったこの河童・・・」
河童「い、いやいや。いやいやいや。アイテム如きではつられませんよ」
A「いや、まぁ何気にあれ高いから俺もやだよ。つぅか攻略なんかするか」
河童「・・・そうですか。残念です、私は攻略されても構いませんのに」
A「嘘ごめん超愛してる」
河童「貴方ちょろすぎやしませんか」
A「ギャップに弱いんだ、俺は」
河童「何故誇らしげ・・・。私よりあなたがキャラ崩壊してどうするんです。・・・そしていつ私のねるねるねるねを買ってきてくれるんです」
A「おっと、そうだった、買い物買い物。じゃ、行ってくるぞ。留守番よろしくな」
河童「行ってらっしゃいませ~」
河童「・・・・・うーん。まさか留守番まで任されてしまうとは」
河童「まったく」
河童「―――居なくなりづらいじゃありませんか」
河童「―――はー・・・。雨、全然やみませんねぇ」
河童「・・・こんな天気なのに、どうして川べりをうろついたりするんでしょうかねぇ」
河童「―――そんな事されたら」
河童「河童としては、『お仕事』するしかないじゃないですか」
河童「―――って、答えるわけないですね」
河童「私が、川に引きずり込んだんですから」
河童「―――私が、殺したんですから」
河童「―――――っ・・・、ごめんなさい・・・。ごめんなさい・・・・・・っ・・・」
河童「・・・帰りますか。帰ってねるねるねるねをねるねるしましょう・・・」
河童「多分もうすぐあの人もかえ・・・」
A「・・・・・・・」
河童「・・・って・・・・」
A「・・・・・・何してるんだ、お前」
河童「・・・・・・あはっ・・・」
A「・・・何、してるんだよ、お前っ」
河童「・・・見られちゃいましたか」
A「・・・・・・その人、どうしたんだ」
河童「溺れて、死にました」
A「どうして」
河童「私がっ、川に引きずり込みましたっ」
A「どうして!」
河童「私は!!」
A「・・・っ!」
河童「・・・私は、河童、なんですよ・・・っ!河童は、不用意に川に近づいた人を溺れさせるんです! そうして人間は、暗い夜や増水している日には川に近づくのは危険だって、広めていくんですよ・・・っ!」
A「・・・・・・河童」
河童「だから、私たちがいるんですっ! それが、私たちの存在意義なんですよっ。そうしないと、私たちが居る意味なんて、ないんですよ!」
A「・・・でも、こんな! 殺すことないだろ!」
河童「貴方がいけないんですっ!」
A「・・・はあ!?」
河童「あ、貴方が・・・っ! 私に優しくするからっ! 私を家において、一緒に住ませてくれたり、ねるねるねるねを買ってくれたりするからっ! ・・・だから、私はどんどん、河童としての役割を果たせなくなって・・・人間が、好きになって・・・! 貴方の事が、大好きになって・・・っ!!」
河童「・・・・・・そしたら私は、河童としての存在が薄れ始めて、貴方の前から居なくならなきゃいけないって、分かって・・・・・・」
A「・・・・・なんで、誰が、そんな事」
河童「分かりませんよ、そんなの・・・。私、河童ですから。妖怪ですから。化け物、ですから・・・っ」
A「・・・・・・っ」
河童「・・・でも、もういいです。貴方に見られちゃったから、いいんですよ」
A「・・・そんな・・・」
河童「こんな、人殺しの化け物。居ない方が、いいですよね。貴方も、私の事、嫌いになっちゃいましたよねっ」
A「・・・馬鹿野郎」
河童「・・・えっへっへ。そんなわけで、ばいばいです。私の事は忘れてくださいっ。うちにあるねるねるねるねは、・・・もったいないですけど、捨てちゃっていいで・・・」
A「っ!」ぎゅっ
河童「っ・・・、ちょっ・・・何ですか。やめてくださいよぅ・・・。っていうか、服がぬれててきもいんですけどっ・・・!」
A「・・・・・・ごめん」
河童「・・・・・・離してください。居なくなれないじゃ、ないですか・・・」
A「・・・ごめん、ごめん、ごめん、ごめん」
河童「・・・・・・まったく。貴方はなんというか、甘えん坊ですねぇ。いつものきれきれな突っ込みは、どうしちゃったんですか」
A「・・・お前がぼけてくれないと、俺の突っ込みは活きないんだよ」
河童「・・・そですか」
A「だから居なくなるな」
河童「・・・無理ですよ、そんなの。困った人ですねぇ」
A「・・・・・・っ、つーか・・・あんな甘ったるいもんいくつもうちに残していこうとするな。ちゃんと、全部食べろ」
河童「・・・・・・っ」
A「・・・・・・それから、俺がお前の事嫌いになったとか、そういうの、勝手に決めるなっ」
A「・・・俺はお前の事超愛してるって、言っただろうが」
河童「・・・・・・っ・・・ぐすっ・・・」
A「河童だから、人を溺れさせないといけないとか、意味がわかんねぇよ。・・・絶対に、お前を消えさせやしない」
河童「―――――・・・・・・まったくもう、かっこいいこと言ってくれますねぇ。キャラ崩壊どころじゃないですね・・・っ」
河童「でもやっぱり、―――私はそんなあなたも、大好きですよ」
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河童「・・・・・・的な夢を見ました」
A「・・・・・・お前、よくそういう夢を恥ずかしげもなく・・・・・・」
河童「恥ずかしいに決まってるじゃないですかっ!! 何ですかこのくっさい夢!!『絶対お前を消えさせやしない』とか、寒すぎです!!」
A「俺に言うな! お前の夢だろ!!」
河童「あー! こんなことならシリアスなフラグとか立てなきゃよかったです! せめて本気の感動路線ならまだよかったものの! 夢オチとか恥ずかしい一方じゃないですかっ!!」
A「そもそもオチも用意せず伏線を張るな!」
河童「はー! もういいです! ヤケねるねるねるねと洒落込むことにしますっ! さあさあ早く私のためにねるねるねるねを買ってくる作業に戻るのですクサいおにーさんっ!」
A「てめぇしまいにゃ追い出すぞこのやろう!!」