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添付元祖ドッキリ妖怪
幻想郷で急速に勢力を拡大させる命蓮寺からの刺客
正体不明の獣、そして化け傘を持つ妖怪少女
妖しげなオーラを纏った新世代が今、新たな笑いの時代を切り開く！
エントリーナンバー13023番、ミステリーパラソル
傘：どうも～こんにちは～！
鵺：はいどうも
傘：うわぁ～お客さんがたくさん入ってますね～！
鵺：うん、たくさん入ってありがたいと思いますけどね
傘：はい
鵺：まぁでもどうせあれですよね 霊夢とか早苗とかね、そういうスター目当ての人たちばっかでしょ
傘：っ……うん
鵺：まぁでもそれはしょうがないことですよ
じゃああなたね、命蓮寺オンリーライブを見に行きますかと訊かれたら、私なら行かない！と答えますけどね
そう考えれば、もうしょうがないことです でも寂しくはないからね、慣れてるから
傘：はぁ
鵺：まぁーそれでも私たちはやっていかないといけないから、今日もがんばっていこうと思います
傘：……。
鵺：はいどうも～ミステリーパラソルですよろしくお願いします！
傘：なになになに！？
鵺：なに？
傘：なんか……ずいぶん長い間喋ってたよ
鵺：心の声で
傘：出てたよー！心の声出てましたよ
鵺：あ、出てた？
傘：はっきり出てましたよ
鵺：愚痴が、出てたか
傘：愚痴が出てましたよ
鵺：なるべく独り以外では言わないようにしてるんだけどね
傘：独りでも言わないでください
鵺：出ちゃいましたね、はいよろしくお願いします
傘：お願いします やーでも私たちは人を驚かすことを生業としてますが
鵺：そうだね
傘：最近は里の人たちも慣れてしまってまったく釣れないですね
鵺：釣れない、これは怖がらない 我々の業界用語
傘：最後に食事したのはあなたを驚かせたとき
鵺：あれ最後か！
傘：あれ以来食べてないからひもじくて……
鵺：小傘は駄目だセンスがない
傘：そうかな～
鵺：まずさ、このオブジェ。ベロて
傘：えぇ？駄目ぇ？
鵺：ベロ出しときゃ怖がるだろっていう発想が古い
傘：なんと！？ワチキが時代遅れと申すか！？
鵺：っふふ……急にぶっ込んできたな ま、とにかく古いんだよデザインが
傘：じゃあどんなのがいいの？
鵺：例えば目を見開いて、にやけた口を付けて、牙生やして、よだれでしょ
傘：こわぁーい！持ちたくないそんな傘！
鵺：傘をいじりなって まずはそこからでしょ
傘：いやですよ～これがかわいいんじゃないの
鵺：っふふ…… 聞きました今？「かわいい」ってこの絵に描いたような矛盾
傘：このままっこのまま人を驚かせたいの！
鵺：無理無理！このご時世だから工夫しないと！
傘：工夫かぁ
鵺：ほら、じゃああれだ
傘：うん
鵺：怪談話
傘：おっ！
鵺：妖怪が語る怪談話
傘：おぉー！
鵺：これで生計を立て直してみなよ
傘：怪談話かぁ、それ栄養あるの？
鵺：あるよ 怪談でも相手が驚いたことに変わりない
傘：あぁ～……
鵺：原理は一緒
傘：でもそれおいしいの？
鵺：そうだな～、例えば道を歩いてて段差に気付かずに足を踏み外して
「うおっ！」と驚いたときくらいの味かな
傘：うわぁ～おいしそう！
鵺：でしょ？だから、多々良小傘の怪談話！で立て直していこうか
傘：うーん、でも私ね
鵺：うん
傘：怖い話とか持ってないや
鵺：それなら作りなよ～1個か2個
傘：どんな風に？
鵺：大体ああいうのはパターンがあるんだよ
傘：うんうん
鵺：友達と墓場に肝試しに行って
傘：はいはいはい
鵺：しくしく泣いてる女の子が座ってて
傘：うんうんうん
鵺：その子に話しかけたら
傘：うんうん
鵺：なんとかだよぉー！みたいな
傘：あぁ～驚かすやつね
鵺：こんなので大体間違いない
傘：あぁ～それくらいならできそうだね
鵺：ちょっとやってみなよ
傘：うん
鵺：聞かせて聞かせて
傘：うん！やってみる！
(BGM)たたら小傘のこわ～い話！！
鵺：待て待て待て！……なんだそれ
傘：え？
鵺：怖がらせる気0だろ
傘：いやぁ～タイトルは必要だと思って
鵺：いらないよ～スッと入ればいい
傘：そうなんだ
鵺：ほら蝋燭とか立ててさ
傘：あぁ～
鵺：怖そうな口調で喋るの
傘：はぁ～なるほど、分かった分かった！
(笑顔)こないだね、お墓に行ったの♪
鵺：かわいいな！なになにそのノリ
傘：え？
鵺：え？じゃないよ なんでそんな口調？
傘：怖そうにって言ったじゃん
鵺：怖くないよ
傘：言ったじゃんさっき
鵺：いやいや、怖さを履き違えてるよ
傘：どうやるの？
鵺：そうだな～例えば入りはさ
傘：うん
鵺：阿求から聞いた話なんですが……
傘：わぁ～なんかぽいぽい！
鵺：ね？
傘：リアリティ増すよね！
鵺：うんそうそう 阿求から聞いた話なんですが……
傘：わぁ～ぽいぽい！めっちゃリアリティある！
鵺：こんな感じでやってみて
傘：そんな感じで！
こないだね、阿求から聞いた話なんです(笑)
鵺：にやけてる！？
傘：なんか
鵺：にやけたら駄目だよ
傘：ぁあ～そんなのぽいぽいと思ったらテンション上がって
鵺：なんかエロい話するみたいじゃないの
傘：なんかテンション上がって私
鵺：真顔で！
傘：真顔で？
鵺：怖い感じ
傘：うん
これは……阿求から聞いた話なんですが……ある2人の青年が命蓮寺のお墓に肝試しに行ったそうです
鵺：おっ、やればできるじゃん
傘：2人がお墓に向かって歩いていると……
「えーんえーん」奥のほうから女の子の泣き声が聞こえてくるのです
鵺：あぁいいね
傘：青年たちは気になり 声のするほうへ歩いて行くと
鵺：うん
傘：近付くにつれて 泣き声がだんだんと大きくなっていくのです
鵺：うわぁ～
傘：しばらく歩くと うずくまって泣いている女の子がいました
鵺：うんうん
傘：青年の1人が声をかけました
「こんなところでどうしたの？」「えーんえーん」「お母さんは？」「えーんえーん」
鵺：うん……
傘：「お父さんは？」と訊くと泣き声がぴたっと止んで青年のほうにバッと振り向いて
鵺：うん！
傘：私だよーーーーーー！！！！！！
鵺：……なにが！？ なにが！？
傘：と、言ったそうな
鵺：おかしいよ！会話になってないよ
傘：なんでぇ？
鵺：女の子に「お父さんは？」って訊いて私だよーはおかしいだろ！
傘：え、と、とう
鵺：違うそこは「お前だよー！」じゃ
傘：あ、お前だよーか
鵺：そうそう、それでもう1回やってみて
傘：うん、わかった
2人の青年がお墓に入って行くと……女の子の泣き声が聞こえてくるのです
鵺：うんうん
傘：しばらく進むと 泣き声はだんだんと大きくなって
鵺：うん
傘：近付くと 女の子がうずくまって座っていたのです
青年の1人が「こんなところでどうしたの？」と訊くと「えーんえーん」「お母さんは？」「えーんえーん」
鵺：うん
傘：「お父さんは？」と訊くと泣き声がぴたっと止んで青年のほうにバッと振り向いて
鵺：うん！
傘：にゃっほ～～～い！
鵺：ぶっ殺すぞお前！ぶっ殺すぞお前……「お前だよー」はどこに行ったの
傘：お前だよー、か
鵺：違うよ
傘：お前だよ、だった
鵺：そうそう それとさ、もっと怖くなるように登場人物を増やそうか
傘：なに？登場人物を増やすって
鵺：白髪のおばあさんとか
傘：わぁー！白髪のおばあさんは怖い！
鵺：これ怖いよ～
傘：白髪のおばあさん怖いよね
鵺：怖い怖い怖い
傘：紫の髪のおばあさんはおもしろいけどね
鵺：いるけどさ、いるけど……ここは白髪のおばあさんにしようか
傘：なるほどぉ！それいいね
鵺：やってみよう
傘：うん
あのこれ、白髪のおばあさんから聞いた話なんですが
鵺：ちょちょちょ、そこで出したら駄目！そこで出したら駄目だろ！
傘：どこで出すのぉ？
鵺：違っ……阿求から聞いた話でしょ？
傘：うん
鵺：いや女の子のくだりが終わってから出しなさいよ
傘：あぁ終わってから
阿求から聞いた話なんですが……2人がお墓に肝試しに行くと
鵺：うん
傘：奥から女の子の泣き声が聞こえてきたのです
鵺：うん
傘：「あれ？女の子の泣き声じゃないか？」「見に行ってみようよ」
鵺：うん
傘：「いやぁいいよいいよ」と白髪のおばあさんが言って
鵺：いやおかしいって！なんでそこで出てくる！？
傘：ぁ～どこでどこで出そう！？どこで出そう！？
鵺：なんで白髪のおばあさんと肝試しに行く！？
傘：どこで出そう……！？
鵺：違う、「お前だよー」の後！
傘：あぁぁ、お前だよーの後か
鵺：そう
傘：お前だよー、ね
青年の1人が「こんなところでどうしたの？」と訊くと「えーんえーん」「お母さんは？」「えーんえーん」
鵺：うん
傘：「お父さんは？」と訊くとバッと振り向いて白髪のおばあさんが横からバッと出てきて
「お前だよーーーーーー！！！！！！」
鵺：どういうこと！？なにが！？はぁ？
傘：お前だよ
鵺：ばあさんが言うの！？お前だよって横から！？
傘：うん
鵺：じゃあ泣いてた女の子はなにをするの
傘：にゃっほ～～～い！
鵺：ぶっ殺すぞお前向いてないわいい加減にしろ
傘：どうも、ありがとうございました～！
