私掠船長と魔の海域/会話

Last-modified: 2016-05-11 (水) 20:54:51
ネタバレ注意
1:私掠船の船長
1:開始時

アンナ

王子、ここが報告にあった地点です。
最近この一帯で海の魔物の活動が
活発になっているようです。

ユリアン

とはいってもなぁ……。
さっきから見回ってるが静かなもんだぜ?

???

あなたたち、のんきなものね。
そんなだから背後をとられちゃうのよ。
恨みはないけど身ぐるみ剥がさせてもらうわ!

ユリアン

……! 海賊か!
いつの間に近づいてきたんだ!?

ジョバンニ

いや待て……あれは、海賊じゃねぇな。
おそらく私掠船の類だろう。
不意打ち、騙し討ちが得意な海賊の面汚しさ。

モーティマ

し、しりゃく、せん?
なんだそりゃ、海賊じゃねえのか?

ジョバンニ

敵国の船を襲撃することを
国から正式に許可された
私掠免許を得た船のことだ。
海賊は無法者だが、
私掠船はれっきとした海軍の一部ってわけさ。

アンナ

海軍に所属しているのなら、話合いも可能では?
まずは、こちらの話を聞いて下さい!
あなた達が所属している国は何処なのですか?

私掠船長

国? そんなものはとっくに滅びてるわ。
私たちは……まあ話しても無駄なことね。
これも仲間の為なの、悪く思わないでね?

モーティマ

俺たちの身ぐるみをはごうなんて
ふてえ野郎だ。
返り討ちにして、ひんむいてやるぜ!
1:終了時

私掠船長

……私の負けね。
好きにすればいいわ……。
どうせもう、何もかも終わりなんだから。

モーティマ

ぐへへ、それでは遠慮なく――。

アンナ

やめなさい。
彼女には何か事情がありそうです。
まずは私達に詳しい話を聞かせてください。
1:終了後

サブリナ

それじゃあまずは自己紹介ね。
私の名はサブリナよ、ヨロシクね。
私掠船の船長を務めてるわ。
実は私達は、魔物の私掠船として活動してるの。
まぁ……王子クンたちからしたら
聞き流せない話よね。
もちろん、好きで魔物に手を貸してるわけじゃ
ないんだからね! 勘違いしないでよ!?
これにはちゃんと理由があるの。
祖国を魔物に滅ぼされて、初めに私は海賊になった。
最初は上手くいかないことばっかりだったけど、
徐々に名をあげ、一端の海賊気取りだったわ。
そんな時よ。魚人に船が襲われ、仲間を人質に
とられてしまったのは。それから私達は魚人達
の私掠船としての活動を余儀なくされたの。
王子クンを襲ったのだってマーマンと呼ばれる
魚人の魔物が私達に命令したのが原因なの。
やつらは、とんでもない計画を企ててるわ。
それは、魔神ウェパルの復活よ。
その為には、女神の加護を受ける王子クンの
魂が必要だってあいつらは言ってたわ。
マーマン達は、私の仲間を解放する交換条件
として、王子クンを連れてこいって言ってる。
でもその計画もこの通り失敗ってわけね。
王子クンたちが強すぎるのがいけないのよ。
もう、仲間も私も終わりだって絶望したわ。
でもね、私はある計画をひらめいちゃったの。
それは王子クン達と協力して、マーマン達を
一網打尽にし、そんでもって私の船員たちを
助け出すって作戦よ! ああ、私ってば天才?
だからね、その……、身勝手な頼みだけどさ、
人質となっている仲間を助けるために
是非とも王子クンの力を貸してもらいたいの。
もちろん、成功の暁には、お礼をタップリするわ。
こう見えて結構お宝を貯め込んでるのよ?
だから、お願い!
王子クンにとってもきっと悪い話じゃないと
思う……んだけど、その、だめ……かな?
……え? 手伝ってくれるの? 本当に?
しかも金の為じゃなく、海の平和の為に?
うそだぁ……え、真面目に?!
王子クンってお人好しだね。でもそういうの、
嫌いじゃないよ。海の人間は皆、義理人情で
動いてるようなものだからね。
よーしッ!
そうと決まれば話は早い!
さっそく出発よ! ヨーソローッ!
2:マーマン
2:開始時

アンナ

それでは、サブリナさん、作戦を確認させて
いただきます。まずは、マーマン達を退けて、
逃げ帰る彼らの後をつければいいのですね。

サブリナ

その通りよ。ここらで待ち構えている
マーマン達を私らが上手いこと誘い出すから、
後は王子クン達が手はず通りにやってね!

アンナ

分かりました。
よろしくお願いします。

サブリナ

じゃあ、マーマン達のところに行ってくるわ。
作戦がうまくいったら、私は暫くマーマン達と
行動を共にして、奴らを信用させるわ。
2:戦闘中

サブリナ

…………これでアンタらも文句ないわよね?
さ、次はそっちが約束を守る番よ。

マーマン

ふん、まだ王子達はあの島に到着していない。
やつらが我らの海域にたどり着いて初めて
貴様らが約束を果たしたと認めよう。

サブリナ

いいわ。どちらにせよ完璧にやってやるわよ。
但し、万が一にも約条を反故にしてみなさい?
アンタら全員、無事じゃすまないからね?

マーマン

我が種族をなめるな。そこらの蛮族共などとは
比べものにならない程の高貴な種族よ。
我らが約束を違えることはない。ふん……。

サブリナ

――…………ようやく行ったわね。
まったく、厄介なことになっちゃったなぁ。
王子クン、私たちの為にも頑張ってね……。
2:終了時

アンナ

なんとか敵を退けましたね。
お疲れ様でした、王子。

ケイティ

作戦もうまくいったようですね。
マーマン達が海へ逃げていきます。
急ぎ、後を追いましょう。
3:投槍の一撃
3:開始時

アンナ

マーマン達が到着した島はここですね。
とりあえずはサブリナさんと合流しましょう。

サブリナ

……ふふ、私なら、ここにいるわよ。

アンナ

そちらにいらして――きゃッ!?

ユリアン

おい、いきなり攻撃してくるって、
一体どういうことだよ!
気でも狂ったかッ!?

私掠船長の部下

悪いけど、こういうことなのさッ!

マーマン

ふん、誘き出されたとも気づかんとはな。
さすが下等生物の人間共といったところか。
貴様らに逃げ場はない、大人しくするのだな。

ケイティ

どうやら全て仕組まれていたことだったのね。
あの浜辺で出会ったときから、何もかも……。

サブリナ

恨み言はなしよ?
海ではね、騙されたやつが悪いの。
略奪者こそが正義、それが海の掟よ!

アンナ

サブリナさん、そんな……。
ですが、嘆いている場合ではありませんね。
この危機を何とかして脱しましょう。王子!
3:戦闘中

兵士

報告ッ!
マーマンの放つ投げ槍に、
陣形が次々と瓦解していきます!

ユリアン

なんつー破壊力だ、全く。
いいかお前ら、あの投げ槍は特に気をつけろ。
マーマンの屈強さを甘く見たら命取りだぜ!
3-1:終了時

サブリナ

に、二回も負けるなんて……、
……うそ、でしょ?
王子クン、強すぎ……。

アンナ

サブリナさん、一体どういう事なんですか?!
ここで合流してマーマン達を倒す作戦だった
のに……。本当に私たちを裏切ったのですか?

サブリナ

……ごめんね、王子クン。
裏切るつもりはなかったんだけど、
もう私たちには時間がないみたいなの。

アンナ

事情を話して下さい! 先ほどの戦いで、
あなた達は手加減をされていたように
私には見受けられたのですが……。

サブリナ

……それがね、マーマン達は
王子の魂を手に入れるまでは
人質を返さないって脅してきたの……。
王子の魂が手に入らなければ、
代わりに仲間たちを
魔神復活のよりしろにするって言いだして……。

ユリアン

おいおいおい、王子、本気で
こんなやつの戯言を信じるってのか?
真実だって保障はねぇぞ?

王子

……。

サブリナ

もし、もう一度だけ信じてもらえるなら、
マーマン達のいる海域に行ってくれないかな。
身勝手なお願いなのはわかってる……。
でも、王子クンがそこにいけば、この島の
警備は手薄になる。そうすれば、私だけでも
仲間を助け出す事が出来るはずよ……。

アンナ

王子、嘘をついているかもしれませんが、
確かに、魔神の復活には本来、
沢山の捧げ物が必要と聞いた事があります。
彼女のいう事にも信ぴょう性がありますし、
もう一度信じてみましょう。
それに、魔神の事も捨て置けません。

サブリナ

……ありがとう……ほんとうに、ありがとう。
乗組員を助け出したらすぐに合流するから、
それまで、どうか私を信じて待っていて。

アンナ

はい、私は、サブリナさんを信じています。

サブリナ

マーマン達がいるのはあの辺りの海域なの。
王子クンの船がそこへ向かえば、
この島のマーマン達もそっちに向かうはずよ。

アンナ

分かりました。
王子、急ぎあちらの海域に向かいましょう!
3-2:終了時2

サブリナ

ありがとぉ王子クン………………あーあ。
本当に行っちゃった。いくら私の嘘泣きが
真に迫ってたからって、とんだお人好しだわ。

マーマン

貴様も含めて人間など皆、間抜けの集まりよ。
まぁ貴様は人間の中でも、使える部類だがな。
今回は予想以上の働きをしてくれた。

サブリナ

……ふん。

マーマン

どれ、最後の仕上げといこうではないか。
貴様もさっさと準備をしろ。

サブリナ

さっきの戦いで疲弊しきってるのよ。
少しは休ませて。ちょっと休憩したら、
すぐにアンタらに追いつくから。いいでしょ?

マーマン

ふん、なんとも弱々しい種族よ。
貴様らの休息などに付き合ってはおれん。
それでは先に向こうで待っているからな。

サブリナ

…………そして誰もいなくなった、ってね。
よし! これでようやく皆と再会できる!
急がなきゃ!!
4:挟撃の甲板
4:開始時

アンナ

サブリナさんが仰っていた海域に到着します。
警戒を怠らぬようにお願いします!

マーマン

くっくっく、待っていたぞ下等生物、人間共よ。
のこのこと海まで来るとはな。
貴様らにもう逃げ場は無いぞ!

兵士

船のまわりに多数の魔物を確認!
既に囲まれてしまっているようです!

ユリアン

ちっ、来やがったな魚野郎!
人間の力を見せてやる!

マーマン

人間の力?
ちっぽけな者どもがいくら抵抗したところで、
何ができようか。
貴様らにできることと言えば、
魔神復活のよりしろとなるくらいなものだ。
さあ、大人しく殺されるがよい!

アンナ

船上の戦いとなります。
いつもとは勝手が違いますので、
くれぐれも用心してください、王子!
4:終了時

マーマン

――ぐぁッ!?
そんな、我らが負ける、だと?
人間達のどこにそんな強さが……。
王子を魔神復活のよりしろとし、完全な姿で
魔神ウェパル様を復活させる計画が……。
断念せねばならぬというのか……?
否ッ!
何が何でも復活させねばならぬ!
こうなれば、あの人質どもを使って……。
ウェパル様が復活すれば、
あのような人間共に負けるはずが……、
負けるはずがないのだぁッ!!

アンナ

敵が後退していきます。
ですが、こちらも相当な痛手を負いました。
深追いはしない方が良いでしょう。

ケイティ

そうですね。
兵たちも疲弊しておりますし、
近くの島へむかい、サブリナさんを待ちましょう。
5:魔神ウェパル
5:開始時

アンナ

とりあえず、岸に戻ることができましたね。
サブリナさんは大丈夫でしょうか……。

マーマン

人間どもめ……。
まだ終わってないぞ……!
我らには、魔神ウェパル様がついている!
王子の魂なぞなくとも、
下等な魂を大量に使えば完全体でなくとも、
ウェパル様を復活させる事はできるのだ!

アンナ

魔神が復活してしまった……!?
まさかサブリナさんは仲間を助ける事が
出来なかったというのですか……?!

サブリナ

海の平和は、私がまもーる!!
マーマン達! ざーんねんだったわね♪
仲間達はとっくに助け出させてもらったわ!

マーマン

な……! 貴様……裏切ったというのか!!
くっそぉぉおッ!
我らが下等な人間ごときにぃ……っ!
許さん……。
ぜったいに許さんぞぉぉおお!

サブリナ

王子クン待たせたわね!
仲間は全員解放したわ! これで心置きなく
王子クン達の味方ができるわよ!

ユリアン

まったく、本当なのかよ?
また裏切るんじゃないだろうな?!

サブリナ

そりゃあそうよね。
すぐには信じてもらえないよね?
言ってもだめならまずやってみろ!
これぞサブリナ私掠船団の鉄則!
嫌がられても王子クン達に加勢するわよ!

アンナ

王子、サブリナさん!
マーマン達が向かってきます……!
迎撃の準備を!
5:戦闘中

ユリアン

なんだ、あの異様な化け物は……。

マーマン

ふはははは!
あの方こそが、魔神ウェパル様だ。
人間どもよ、恐怖するがいい。

サブリナ

そんな……。
まさか、王子クン死んじゃったの!?

王子

……。

サブリナ

あ、いたのね。
ご、ごめんなさい、悪気はないのよ……?
でも……じゃあ、一体どうして……。

マーマン

魔神ウェパル様に捧げられた人間どもの魂は、
すでに復活するには充分ではあったのだ。
だが、ウェパル様が完全なお姿を取り戻すには
魂の数が不足していた。女神の加護を持つ王子
一人の魂で補填する方が楽だったというだけ話だ。
我らの絶対神であらせられる
魔神ウェパル様であれば、
不完全だろうと人間を殺し尽くすには十分よ!

サブリナ

……参ったなぁ。
まさか魔神が復活しちゃうなんてねー。
私の人生ここで終わりかなぁ……。
ねえ王子クン? もしこの窮地を脱して無事に
生還できたらさ、私たち王子クンの国の
私掠船団になってもいいかな?
ううん。絶対なる! もう決めた!
だからさ、絶対に生きて帰ろうね!
キミとなら魔神だって倒せるって信じられる。
5:終了時

マーマン

そんな……ウェパル様が……負ける?
貴方様は私の唯一神……負けるなど……、
あってはならない……あっては……。

ユリアン

おい。あの野郎、ウェパルの屍を抱えて
海へ逃げていくぜ。これ以上は
戦いじゃねえ。どうせ、何もできないだろう。

サブリナ

あの、王子クン……その、今までごめんなさい。
本当に、私達は逆らうことができなかったの。
仲間達は家族……見捨てるなんてできないわ。

アンナ

いえいえ。仲間を思う気持ちは、
私達もとてもよくわかります。
では、サブリナさんも私達とともにお城へ――

私掠船長の部下

――船長ぉ~~~~~~!
やっと追いつきましたぜ!

サブリナ

あ、みんな……!
もう遅かったじゃない!
心配したんだからね!

私掠船長の部下

へへへ!あっしらは大丈夫でさぁ。
なんたってサブリナ船長の部下なんすよ!
さーーって、船長!
早速サブリナ船団の再出発を祝って、
恒例の乱痴気騒ぎといきましょうや!

サブリナ

再出発……。えと、その話なんだけど……、
――いや、今はいいか!
とりあえず!
私もみんなも疲れてるから、
一度王子クンの所で休むことが先ね。
6:それぞれの自由
6:開始時

サブリナ

聞けぇッ、野郎どもー!
激戦の末、私達は魚人族からの支配を脱した!
もう私らを縛るものは何もないわーッ!

私掠船長の部下

うぉおおおお!
船長サブリナーッ!!
俺らは自由だーッ!

サブリナ

そこで、サブリナ船団の再出発を祝おうと思う!
そして……。
新しい船長も指名する……っ!

私掠船長の部下

うぉぉおおーッ! って、え……。
新しい船長?
何言って……。

サブリナ

私ね。王子クンの仲間になることに決めたの。

私掠船長の部下

……俺たちを見捨てるって……、ことですかぃ。
そいつはねぇよ! せっかくこうして再出発できる
っていうのによぉ!!

サブリナ

私が初めて心奪われた男なの。
なにより、王子クンがいれば私はもっと
強くなれる気がする……。

私掠船長の部下

船長がそこまでいうなら、俺たちは
それに従うだけだ……。
だが――
それは俺たちも認めた男だけだ!!
おいそこの色男ォ! 船長に釣り合う男かどうか、
試させてもらうからな!!
6:終了時

サブリナ

いやー、ここまでしても勝てないかぁ。
王子クンの強さは本物だわ。彼がいれば、
本当に海を制覇できるかも……ふふ。

私掠船長の部下

ま、まさか、船長。
王子を海にひっぱりだそうって言うんですか?

サブリナ

と、一瞬は思ったんだけどね。
そんな星の下にあの人は生まれてないみたい。
海にも収まりきらない器ってことね。

私掠船長の部下

船長……。俺たちはいつでも船長の部下っす。
たとえ新しい海賊として生まれ変わっても。
これだけは変わらねぇっすから!

サブリナ

全く……。そんな今生の別れみたいに言わないでよ!
会おうと思えば会えるんだし。
なんてったって海は繋がってるのよ?
船はいつだって私達を好きな所に
連れてってくれるんだから!
そこんとこ、ちゃーんと覚えておきなさい。

私掠船長の部下

へいっ!!

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