アルゴン戦記

Last-modified: 2013-11-18 (月) 14:49:13

私の名前はシオナ・エリーン。
エリーヌの末裔であり、セレン様の祝福を受けたエリーンの王女。



美しき故郷、月の湖を旅立ってからというもの、多くの人と出会い、様々な経験をした。
ここにその旅の一部、特にアルゴン戦争について記録する。



事の発端は、クベル商団に居たエルリオンとの出会いからだ。
エルリオンは当時、商団とは別にハスミナとシャラ南部を旅しており、旅に不慣れな私を快く仲間に入れてくれた。
私が氷で覆われた世界を見たいというとエルリオンとハスミナは限りなく広がる氷の平原を見せてくれた.



そしてクベル商団員からの伝言によって戦争の始まりを知った。


アルレマンシアからの報告によると、シャラ北部大陸の大都市、カイアトールが何者かによって襲撃を受けたらしい。
その者たちは「未知の存在」という意味で「アルゴン」と名付けられた。



この襲撃により、シャラ北部大陸はカイアトールを除く全てを占領されてしまった。
その直後、カイアトールはペガサスさえも絶たれた。



おそらくカイアトールをアルゴンから守るため、戦神カイアにより設置されたバリアが、他の都市との連絡手段をも断ってしまったのだ。



かねてよりカイアトールと交流があったヒューマンとポポリはカイアトールを心配した。
アーマンは月の湖の平和のため、積極的に手を貸してくれたから……。
私も心配になり、ヴェリカへ向かった。



そしてまもなく、ヴェリカで種族同士の会合が開かれた。
私は女王の指示を受け、エリーンとポポリを代表してその会合に出席した。



会合には、ヒューマンのギヨム・バラハム。キャスタニックのソフィア・ラハナ、バラカの灰石・サバン、ハイエルフのフレイア・ローヘン、アーマンのカイドゥン・トゥルカンが参加した。
シャラ南部大陸にいたカイドゥンは、ハイエルフの代表と共に来たようだった。



カイアトールからきた伝令は、シャラ北部大陸が一瞬にして青い怪物に占領された様子を事細かに語った。



アーマンと親交の深いキャスタニックは、彼らを助ける方法を思案し始めた。また、かつてデヴァとの戦争時、アーマンから助けを受けたヒューマンも、彼らの支援を主張した。



私も月の湖を代表してカイアトールを助けるべきだと主張した。



ただ、ハイエルフだけは躊躇しているようだった。



十日間に及ぶ会合の末、ハイエルフもカイアトールを助けることに同意した。恐らくヴェリック様の一言によるものだろう。



ヴェリカの守護神ヴェリック様や、その他の神々でさえ青い光を出す存在、アルゴンの事を全くご存じなかったのだ。



ヴェリック様はカイアトールの守護神であるカイア様の身を案じられた。カイアトールの使者によると、アルゴンは言葉も通じないとの事だった。



私も尋ねたいことは色々とあったが、その時はまだ王女ではなかったため、そうすることは出来なかった。



ハイエルフは、ヴェリック様ですらご存知ではない「アルゴン」に興味を抱いたのか、とにかく、最終的には協力することに同意した。



アルゴンによる被害はシャラ北部大陸に限定されているものの、みな未知の敵に対し、恐怖を感じざるを得なかった。神界が閉ざされたことも関係しているのかもしれない。

その後、七種族によるヴァルキオン連合が創設された。



シャラ北部大陸は既に青い怪物、アルゴンに占領されてしまったため、ペガサスは利用できなかった。
キャスタニックの技術者達が、効力を失ったペガサスの石を復活させる方法がないか提案したが、誰かがカイアトールに行かない限り不可能な方法ばかりだった。



カイアトールに入ることが出来たななら、北と南から同時に攻撃し、一部の地域だけでも奪還することが出来る。



議論の末にシャラ北部大陸への潜入が決まり、その潜入隊を任されたのがエルリオン・クベルだった。



エルリオン・クベルは自ら潜入隊に志願した。
連合としては彼の申し出を断る理由もなかった。



潜入隊の投入が決定すると、エルリオンは私に声をかけてきた。私は好奇心も手伝って快く承諾した。
私の他、ハスミナ、灰石のサバン、コビット・ヘインズも合流した。



私たちはアルレマンシアが登録したペガサスの石を持って、シャラ北部大陸に潜入した。



偶然なのか、それともエルリオンは事前に知っていたのかわからないが、シャラ北部大陸でアルゴンから隠れていたシカンダリに会うことが出来た。



彼らは精霊の気を持つ種族であるため、私だけが話しをすることが出来た。エルリオンが私を誘ったのは、このためだったのか?
だとすれば、彼はこのことを予見していたことになる。彼に尋ねてみたがただ笑っているだけだった。



シカンダリには、彼らの創造主シカンダーに関する言い伝えが合った。私たちは彼らとともにシカンダーが眠るというアメナ・クアトラの封印を解くことにした。



アメナ・クアトラとその近隣の森を拠点として、アルゴンたちに反撃する。それがエルリオンの作戦だった。その土地の存在は知られていなかったため、アルゴンも攻撃されるとは考えなかったはずだ。



アメナ・クアトラの封印を解いた後は、計画通りに進んだ。常闇の森にペガサスの石を設置したことで、アルレマンシアとの飛行移動が可能になり、連合の兵力が続々とシャラ北部大陸に集合した。



連合の反撃準備は強力かつ効果的だった。アルゴンの反撃も許さぬまま後退させ、カイアトールまでの土地を奪還することに成功した。



特に、ヒューマンのサマエル・クランウッド将軍はめざましい活躍を見せた。



カイアトールまでの路は無事確保したものの、アルゴンもそれ以降は引かず、結局カイアトールの西で膠着状態となった。



アルゴンは再び攻撃しては来なかった。連合の反撃に驚いた彼らは、次の計画を練っているようだった。
その頃から巨大な青い鳥が空を飛ぶ姿が目撃されるようになった。



やがて、戦局は小康状態となり、連合はカイアトール近隣の復旧に力を注いだ。
言葉も通じないアルゴンとは、休戦協定を結び用もない。彼らは私達とは別の方法で意思疎通をしているようだった。



そして潜入隊も解散となった。



エルリオンはアルレマンシアからの召集令を受け旅立っていった。灰石・サバンは自身の記録を残すため、故郷であるバルデロンへ旅立ち。ハスミナは姉のヘレンと一緒に別の攻撃部隊に志願したと聞いた。コビット・ヘインズもなにか探しものがあるといって出て行った。



私は妖精の森にとどまり、森の復旧に手を貸すことにした。



そんなある晩、夢を見て、月の湖の王女となった。私はどこか北の方へ行くことになるようだ。



セレン様が私を「黒地の王女」と呼んだのは、おそらくそのためだろう。