ぽてとーく/2014-08-02

Last-modified: 2014-08-02 (土) 07:06:31

 
 
 
 [ぽてちょんのちょっと怖い話]
 
 
 
皆さんは死後の世界…どこに行くと思いますか?
 
今日の話は、死んだ人間がどのような行動を取るのか!という話です。
 
 
 
 
ぽては、骨弱いのかポキポキ骨折します。
今までに、3回骨折しています。
今日の話は、2回目の骨折で入院した時のお話。
 
 
 
バイクを運転してて、おもっきりコケて左手首を複雑骨折してしまい、全治6カ月の入院を余儀なくされました。
 
救急車で運ばれた病院は、家の近所のあまり大きくない外科病院でした。
 
内臓も破損してる恐れがあるので、外科病院の判断になったのだと思います。

 
緊急手術を終え、病室に運ばれて医者の説明を聞きました。
あと数回、手術の必要があるとの事。あと神経も断裂していたので
その時の術後用に、キツい麻酔は取っておきたいとの説明でした。
 
術後の痛みは、それはそれは激烈な痛みでした。
 
痛み止めの注射も、後の手術の為に使いたくないとの事で
ただただ耐えるしかない痛みでした。
 
 
そんな地獄の痛みの中で、隣のベットのオジサンが
何かと気を使ってくれて、いろんな面白い話なんかしてくれて、随分と気を紛らわす事が出来ました。
 
私の入院した病室は、そのオジサンと2人部屋で、設備も整っていました。
そのオジサンの名前は池見さん(仮名)といいました。
 
池見さんは肝臓が悪く、長く入院してるとの話でした。
 
不思議とウマが合い、奥さんの漬けた漬け物をいただいたり
毎日毎日、一日中話をしていました。
 
ある日、ぽてが2回目の手術を受けた日の夜中
池見さんが苦しそうに喘いでいたので、慌ててナースコールを押しました。
 
その時の夜勤の看護士が、クソみたいな奴で
「池見さんが苦しそうにしてるんです!」と言うと、
「あと2時間したら先生出てくるから我慢して」
 
私は自分の痛みも忘れて、池見さんのベットの側で
ずっと腰をさすっていました。
 
でも池見さんの体の色が、どんどん黒く変色していく気がするんです…
 
怖くなって、またナースコールを押しました。
 
ぽて:とりあえず来て下さい!池見さんおかしいんです!」
 
するとその看護士は、面倒くさそうな返事をしてナースコールは切れました。
 
結局、朝の6時半まで看護士は来ませんでした。
 
 
夜勤と交代したのは、たまたま婦長さんで
ナース服を着るのも止めて、私服で駆けつけて来ました。
 
ぽては腹が立って、婦長さんに「何故、誰も来てくれないんだ!」「朝まで我慢しろとか、何なんだ!」
怒りを婦長さんにぶつけてしまいました。
 
婦長さんも話を聞いて「それ本当の事なの!?」とびっくりしていました。
 
朝7時過ぎには、先生も駆けつけて、ぽては病室を変わる事になりました。
 
慌ただしく用意していると、入院からずっと履いていたサンダルが
ブチっと横からちぎれて、転びそうになりました。
 
看護士らと一瞬目が合い、心の中で「虫の知らせとは、この事なのかな」
なんて不謹慎な事を、考えてしまいました。
 
 
ぽての引っ越した病室は、いわゆる死に部屋という部屋で
末期の人の入る病室でした…
 
「ここしか部屋ないの?」と言うと、婦長さんが「すぐにまた部屋空けるから今日は我慢して」
嫌だなぁと思いつつも、しかたないと思い直し、今夜の宿は死に部屋になりました。
 
広い病室に1人きりで、妙に落ち着かない…
当然眠れません。
 
やっとウトウトしだしたのが、深夜の3時過ぎくらいで
病室の入り口を背にして、壁に向いて寝ていました。
 
どの位寝たのかわからないけど、突然…病室の扉がガラガラと音をたてて開きました。
 
もう検温の時間かな?
 
ウトウトしながら、そんな事を考えていると、足音が近づいてきました。
スリッパを地面に擦るような足音…すぐにピンときました!
毎日毎日聞いていた、池見さんの足音です!
 
 
池見さん元気になったんだ!喜んで振り向こうとすると
突然、強烈な耳鳴りがしました。
 
その耳鳴りと同時に、後頭部の辺りの枕を、指でリズムよく叩く音も聞こえてきました!
 
キィーーーーーーンという音と、トントコトントコ枕を叩く音…
 
 
「池見さん!」と名前を呼ぼうとするのに、声が出ません。
どう力を入れても、体が動かないんです。
 
必死にもがいていると、突然…枕を叩く音が大きくなりました!
 
音が大きくなると同時に、腕の辺りに明らかな人の息づかいを感じました。
 
池見さんに話かけたくて、必死に声を出そうとするけど、口がパクパク動くだけ…
 
そうこうしてる内に、耳鳴りが小さくなり、枕を叩く音も消えていきます…
 
シーーーンとした病室になり、動くかも?と思い、ゆったりと体を動かすと、寝返りをうてました…
 
そこに池見さんの姿はなく、病室の扉だけが開いていました…
 
ふと、今何時だ?と思い時計を見ると、午前05:46
 
そのまま眠れずに、朝7時の検温の時間を迎えました…
 
看護士さんは、起きてるぽてにビックリしながらも「ぽてちゃん今日は早起きね」と言いました。
 
 
ぽて:池見さんが朝早く遊びにきて、それから寝られんかったんよ
 
 
看護士さんの顔色が、明らかに変わりました。
 
看護士:池見さん…亡くなったのよ?
 
ぽて:え!いつ!何時!さっき来たんだよ!
 
 
看護士さんは、亡くなった時間まではわからないけど、今朝亡くなったとの事でした…
 
 
 
朝ご飯も食べる気になれず、ボーっとしていると、朝10時の回診が始まり先生がきました。
 
 
先生は開口一番、「池見さんに会ったんだって?元気そうだったか池見さん?」
と、私に聞いてきました…
 
私は、池見さんは部屋に来たけど、体が動かなくて話すら出来なかったと言いました。
続けざまに、いったい何時に亡くなったんですか?と聞きました。
 
先生は婦長さんを見ながら、「おい!何時だ亡くなったの!」と聞きました。
 
婦長さんはカルテの山を掻き分けながら、池見さんのカルテを見つけると
 
「05:40です」
 
 
私は溢れ出る涙を止める事が出来ませんでした…
 
 
最後に池見さんは、お別れの挨拶に立ち寄ってくれたのです…
 
 
奥さんも私の部屋に立ち寄ってくれて、「池見がお世話になりました」と泣きながら挨拶してくれました…
 
 
 
私は病院のずさんな対応を話そうと思いましたが、言葉に出来ませんでした…
 
きっと池見さんは、泥沼の裁判なんて望んでいないと思ったからです…
 
 
お墓参り、行けなくてごめんなさい池見さん…
 
安らかに お休みください。