分液・抽出

Last-modified: 2018-04-26 (木) 10:02:00

ガチャガチャいわんで、ロート振れ

分液

酸・アルカリに弱い化合物の分液操作

分液漏斗に氷を入れると、分解防止に効果があるという意見あり。
ただし分液漏斗に固形物を入れることに強いアレルギーを持つ人も多く、「分液が壊れるからありえない」と主張する根強い意見があることを付記しておく。
有機合成専用スレ y.2% http://logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/bake/1307994272/
の236以降を参照。

  • 冷やしたいなら、ナスフラを氷浴につけて、
    撹拌子で撹拌 → 撹拌止めて静置 → ピペットで下層を抜き取る
    という手も。
    ただし、撹拌は強めにする必要があるのと、ピペットで分液するため綺麗に分液しきれないのがネック。

まずは抽出溶媒を少量入れよう

コックが閉じていることを確認してもすぐに溶液を入れるのではなく、その前に抽出溶媒を少量入れよう。
コックのスリの密着が甘かったりして溶液がしみだしてきたり、垂れたりすることを防げる。

  • いや、水入れれ
  • ↑抽出溶媒次第だろう。
    クロホや塩メチなら抽出溶媒が先だし、
    エーテルや酢エチなら水を先に入れるってことかと
    重要なのは下層に来る溶媒を先に入れろということでは?
  • 思わぬ液漏れでモノをロスしないように、という趣旨じゃない?
    つまり、液漏れが無いことが分かれば良いのだから、水でも有機溶媒でもOKかと。
    強いて言うなら、低粘性な方(大抵は有機溶媒)が良いかとは思うが、大差ない。

【仰天新常識】重曹水は作り置きできません

  • 重曹水中の炭酸ガスの蒸気圧は空気中の炭酸ガス濃度と平衡関係にあり(当たり前)、空気中で放置するとどんどん炭酸ガスを失ってpHが上昇する。今すぐ実験台に放置した重曹水のpHを測って、作りたてのと比べてみよ。アルカリに弱い保護基などは、古い重曹水を使うと分解することがある。
    重曹水は用事調製すること。

弱酸との分配

  • 研究室によって、飽和塩化アンモニウム水溶液・5%硫酸水素カリウム・クエン酸水溶液の各派がある。どれでも変わんねっす。
    • クエン酸は有機物なので、量が過剰だと水層に目的化合物を少し逃げさせてしまう可能性があるのでは?
    • 塩化アンモニウムは、アンモニアと反応してしまう可能性のある物を扱っている時は要注意(アルデヒドやMichaelアクセプター等)。反応クエンチ時も同様。

ピリジンの除去

  • ひたすら濃縮する
    可能な限りエバポで飛ばした後にモノが溶けない溶媒ぶち込んで
    3回ほどスラリー洗浄して真空ポンプで終夜乾燥するのが常套手段かな
  • 分液で希塩酸を加えて塩酸塩にして除去する
  • 分液で硫酸銅水溶液(弱酸性)を加えて銅錯体にして除去する。*1
    塩酸塩にする方法は酸に弱い化合物に対しては使えない。
  • トルエン入れてエバポで共沸して除く

フラスコから他の容器に溶液うつすときガラス棒使っても裏漏れするんだけど

  • びくびくやってるからこぼれる。勢いよくやれ。そのための三角ロートだ。
  • 三角ロート使え。元の容器の半分以上に溶液を入れておくな。
    十分傾けないと溶液が出ないようにすれば、ケツに回りにくくなる。
    左手に容器。右手に洗いこみ用のピペット。これ常識。
    壁面付着のぶんはたかが知れてる。溶媒増加によるデメリットとの兼ね合いを考えるべき。
    モノへの執着は捨ててはいけない。
  • わたしはエリュート管を斜めにセットして三角フラスコをエリュート管にかぶせる様にして一気にザバ!!
    エリュート管はまぶかだからおつりをもらう心配は皆無。
    これ最強
  • ロートを使って大量の液体をフラスコに入れるときは、フラスコの口に何かU字型のものを噛ませてから上にロートを乗せるとよい。(エバポ用のクリップやピンセットが使いやすい)
    そのまま大量の液体を勢いよくそそぐとロートのところで空気がゴポゴポいって液が飛び散ってしまう可能性があるが、空気の逃げ道を作ってやることでその可能性をなくすことができる。

分液でエマった(エマルジョン化した)

  • 迷わずセライト濾過の準備をする。躊躇が短ければ傷も浅い。
    そのうちにヤバそうなやつがだんだんわかってきて、反応液を一滴取ってサンプル瓶で
    後処理のシミュレーションをするようになる。そうすれば分液以外の処理ができる。
  • 一種の平衡状態なので崩すという手もある。
    抽出溶媒を少しだけ足してやる。うまくいくとみるみる分かれていく(事もある)。
    • わずかに分離したところで分かれた有機層を取り、その分の有機溶媒を足してまた分液を振る。これを2~3回繰り返すと、なぜか分かれる有機層の量が少しずつ増えていき、最終的にエマルジョンが解消される。
      • これ、実は有名テクニック。理由がさっぱり理解できないが。
    • 飽和食塩水を少々加える。水層の極性が上がり分かれやすくなる。
    • ヘキサンを少々加える。油層の極性が下がり分かれやすくなる。
    • 逆に少量のメタノールを入れてみる。分離を妨害していた不溶物が溶解して分かれることがある。
    • 分液漏斗に少量のセライトを加えてみる。ゲル状のエマリ原因物質が、吸着されて分かれるかも。
    • 大量の気泡を含んでいる場合、上の穴からちょっと減圧して解放するということを何回か繰り返す。気泡がはじけてなくなるから、分かれることがある。
    • 面倒だったら、下管にピペットの玉でもつけて中身が出ないようにして、家に帰ってしまうという荒業もある。明日の朝には分かれているかもしれん
    • 遠心分離を用いることで、きれいに分かれることがあります。

分液したいけど、エーテル系とか重曹とか破裂するっていうし怖い

  • 破裂する前に栓が飛ぶから大丈夫
  • フラスコで攪拌しろ。
  • 初めて重曹で分液したときは蓋が飛んでいった
    正直、発泡の圧力をなめてた
  • こまめにコック開ければ大丈夫でしょう
  • 大量の酸を重曹で潰すときにはビーカーで攪拌しましょう。分液を吹かせてモノを失ったら、泣くに泣けない。
  • (1)エーテル系、重曹溶液入れたら、焦らずワイングラス回すみたいにクルクルする。
     (2)それから上蓋しめてひっくり返す。
     (3)ひっくり返したらすぐコルク?捻ってガス抜きする(ひっくり返す時に混ざってガス出るから)
     (4)コルク閉めて通常運転 
    ↑コックじゃ?

モノが水に溶けやすくて分液しきれないよ

  • いっそのこと水相をエバポにかける。(参照:エバポ-水をエバポにかけたい)そのあとでクロホかなんかで溶出すれば塩は除ける。
  • 次善の策としてはNaCl飽和よりも塩析効果の高いNa2SO4かMgSO4の飽和水にすることを勧める。
  • 反応液をそのまま濃縮してカラムにかける。あるいはショートカラムで脱塩する。
  • MIBK(methyl isobutyl ketone)で抽出すると水溶性のものも有機層に来やすい、というが、方法論としては古い。しかもMIBKは臭いし。
  • 分液して水層に落ちるものがわかっている場合は分液振らないでイオン交換樹脂で処理する。
     (例えばエステルの加水分解(ケン化)でカルボン酸が水層に落ちて回収できない場合、
      酸性イオン交換樹脂で中和してアルカリを除去する。Na+やK+が樹脂に補足されちまえば、
      あとは水しか残らん。分液を振る必要もない。)
     (酸触媒で脱保護したあとのジオールの処理も、陰イオン交換樹脂を使えば分液を振らなくて済む。)

有機層と水層の界面がわからない

分液したら真っ黒だったりして界面がわからなくなった時
  • 懐中電灯で照らす
  • 氷を加える
  • ブラックライトで照らし、蛍光を見る。
    • ガラスはUV通さないと思うけど。
    • 365nmなら行けるで。

乾燥

分液したあとの有機層の乾燥が面倒なんだけど

乾燥カラムつかえ。
エリュート管に乾燥剤を詰めて、分液後の有機層をそのまま流して乾燥する。
エリュート管がなければ三角ロートに綿栓して乾燥剤をしいてから有機層を流しても代用できる。
マイヤーに乾燥剤を入れて乾燥させて濾過するよりも早いし、洗い物も少なくて済む。

有機層を乾燥させるときの注意点は?

目視で明らかに水が多量に混入してるようなら乾燥剤を入れても無駄なので、静置してから抽出をやり直す

  • この状態で上記の乾燥カラムを使うと面倒なことになるので注意。
    硫酸ナトリウムならただ水が含まれた溶媒が出てくるだけだが、硫酸マグネシウムでやるとデロデロになって最悪カラムが詰まる。
    特にエマったやつを強引に持ってきた場合は水が除けていないことが多いので要注意。

乾燥剤の選択

硫酸マグネシウムはマグネシウムにルイス酸性があるので系内にアルコールなどがある場合吸着されて回収不能になることがある。
ドロドロになってろ過はできないので、心配なら使わないか短時間で切り上げるようにする。
硫酸マグネシウムは乾燥が早いから入れたらすぐに分けるのが懸命かもしれない。

乾燥剤を入れてからの乾燥時間は?

分液後、硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウム入れてからどれくらい置きます?

うちの研究室に居たドクターの人は入れてすぐろ過してましたが、 助教には3時間程度~半日は置かないとだめって言われました。

乾燥のスピードは結構遅いものだいう印象はありますが、実際どうなんでしょう?

これもまた研究室ごとにローカルルールが大きく異なるので注意が必要。
乾燥時間も「すぐろ過でも平気」派、「10分」派、「攪拌し入れて混ぜろ」派
ろ過をするのに「ひだ折りろ紙」派、「綿栓」派、「グラスフィルター」派で論争になる。
けんかになるようならローカルルールに従うのも一つ。いずれにせよ数時間はあまりにも長すぎる。
質問に対する回答としては

  • 硫酸マグネシウム
    入れてすぐ~5分。もしくは15分程度。
  • 硫酸ナトリウム
    硫酸マグネシウム+15分程度。

完全に水分を除きたいならトルエン共沸なりを用いるが、酢エチはそもそも水とは結構共沸するので多少水分除去が不完全でも構わない。水滴が残っているとそこに溶けている無機塩が作業を妨害するが、それは硫酸ナトリウムと軽く攪拌してろ過すればすぐに除去できる。
エーテルを抽出溶媒に使ったら、硫酸マグネシウムでしっかり乾燥しておくのが吉。エーテルは水とは共沸しない上、水を結構な量溶かすので不完全な乾燥で濃縮すると必ず水を析出する。

乾燥剤を通した後の溶液を濃縮してたら白色固体が析出してきた

マスバランス合わないし、何より心当たりがなかったら十中八九乾燥剤です。
水でシャバシャバの溶液を流したか、水層を流していたか吸水しきれず水に溶解した乾燥剤が析出したものです。

  • 違うんじゃないかな?
    • 違わないと思うけど
      • だいたい最後に飽和食塩水で振る。その液滴が残った状態で濃縮し、水が酢エチと共沸して除去されれば、残るのは食塩。

*1 モノが壊れたという報告あり@質問スレ:ペプチド禁忌