最終話、酒オチの問題点について(よく出る批判のまとめ)

Last-modified: 2023-09-09 (土) 16:42:09

「紫が二重囮作戦で綿月姉妹を欺き、その間に幽々子が酒を盗んで永琳をびびらす」
が儚月抄のオチだったわけですが、儚スレでは批判が多いです。
頻出の意見をまとめてみました。
下に、オチをコピペしておきます

紫はにやりと笑った。
その笑顔は永琳の心の奥深くに刻まれ、忘れることの出来ない不気味さをもたらした。
死ぬことのない者へ与える、生きることを意味する悩み。正体の分からないものへの恐怖。
それが八雲紫の考えた第二次月面戦争の正体だった。(小説最終話 神主視点)

紫に関する問題点

都合が良い展開が多すぎる

①【エスパーな幽々子

紫「それで一番なにも考えていなさそうな幽々子に協力してもらったの 
  藍が私の作った切れ目に入って豊姫の能力を引きつけている間に 
  こっそりもう一つ穴を空けておいたのよ 
  二つのおとりで月の使者の家はがら空きになった 
  幽々子には直接指示はしなかったけど 必ずもう一つの穴を見つけて
  屋敷に忍び込んでくれる、と」

つまり幽々子は作中の言葉だけ(つまり指示ゼロ)で、
①紫が自ら囮になる二重作戦を把握し、
②こっそり開けておいたもう一つのスキマを見つけ
③屋敷に忍び込んで宝物を盗む
と、ここまで悟ったことになり、非常に強引である。
さらに、酒に関してはなお酷く、紫は狙う宝は酒以外だと思っていた

紫「幽々子が手荒な真似をするとは思えないし 何か宝物を盗んできているんじゃないかしら 
  それに気づいた綿月姉妹がぎゃふんと言ってくれるはずよ」
幽々子「賢者の家には珍しい物も置かれていたけど 剣とか玉ばっかりであんまり面白そうな
    物がなかったので…これにしたわ」
紫「…幽々子、この古くさい壺は何かしら?」
幽々子「お・さ・け 月の都に置かれた千年物の超々古酒よ」(漫画最終話)

全体的に指示もなしに都合良く動きすぎである。

なおエスパー幽々子には前科がある。

妖夢「といっても、実は目的地が分かっていないので……。」
慧音「当ても無くふらふらしているのか?」
幽々子「いやいや、妖夢。 ちゃんと目的地に向っているわ。
    あなたは私の言う通りにすればいいのよ。」
慧音「お前達の目的とは何だ?」
妖夢「この異常な月を元に戻す事。」
幽々子「いやいや、妖夢。」
妖夢「!?」
幽々子「素敵でお腹いっぱいな夜の観光旅行。」
(中略)
幽々子「ねぇねぇ妖夢。 今日は、虫、鳥、と来て次は獣よ。」
妖夢「何が言いたいのですか。」
(中略)
幽々子「さぁ、次は龍料理ね。 楽しみだわ。妖夢。」
妖夢「幽々子さま、目的地は分かっているって言ってましたよね?
   なんか不安になってきましたよ。
幽々子「でも、龍は鱗が多そうね。」
(中略)
幽々子「次は薬膳よ。しかも最後なの。 龍じゃないのが残念だけど。
妖夢「幽々子さま。 なんか知っているんですか?」
幽々子「全然。」

 

②【綿月姉妹の胸先三寸の作戦
綿月姉妹は殺そうと思えばいつでも殺せたというのが酷い、という意見。
特に依姫に関しては、

魔理沙「こ、降参だ 降参! 今のままじゃ こっちに勝ち目がないしお互い大きな被害を被るだろうし」

依姫「あら、あっけない」

魔理沙「ただな 幻想郷には知的で美しい決闘ルールがあるんだ 
     力の強い妖怪が多い幻想郷だからこそ生まれたルールだ それで少しの間楽しまないか?

という暇潰しでしかないごっこ遊びに乗るという流れが批判される。
豊姫についても、紫をフェムトファイバーで縛るだけで放置という寛大な処置をしている。
つまり、綿月側の不自然なまでの好意、寛大を前提にした作戦なのだ。
無論、これに関しては

豊姫「月では殺生は好まれないですからね」(小説最終話)

依姫「ここでは要らぬ殺生は行いません 貴方たちはもうすぐ地上へ送り返します」(漫画20話)

という設定と、月人は殺しから来る穢れを嫌うという設定からの反論がある。つまり、紫は
月人の「殺しが出来ない」という弱点を突いたという見方だが、それでも問題は残る。
綿月姉妹は作中で殺し(しかも東方中唯一)を行っている上、穢れを浄化する手段もあるのだ。

妹に鴉の追跡を任せ、私は先回りをし鴉の行き先を操作する事にした。
(中略)大気と重力を失った鴉は、飛ぶ力を失い回転しながらゆっくり墜落し、
口から泡を吹いた。そして間もなく息絶えた。呼吸が出来ずに窒息死したのだ。(小説三話)

豊姫「この扇子は、森を一瞬で素粒子レベルで浄化する風を起こす
    そんな月の最新兵器相手に貴方は何ができる?
紫「どうかその扇子で無に帰すのは勘弁願えないだろうか」(漫画18話)

依姫「伊豆能売よ、私に代わって穢れを払え!」(漫画18話)

もしも、これらがなければ十分に策だったと言えただろう。
しかし、これらの手段がある以上、「月人は殺しを行えない」とは言えない。
つくづく月インフレが足を引っ張っている。

ちなみにメタ的に見ても、通常キャラクターは何らかの弱点や欠点を必ず持っているものである。
しかし、ここでは弱点と思われていた「穢れ」をなんの苦労もなく克服できることによってまさかの完全無欠の最強無敵キャラが誕生してしまった。

 

③【月の民からの報復

幽々子がお酒を盗み出した理由はただ一つ。月の民に喧嘩を売らずに
一度は惨敗した綿月姉妹に復讐をする為であった。(小説最終話 神主視点)

「復讐対象は綿月姉妹、月の民に喧嘩を売らず」だが、綿月姉妹の進言によって月の民側が怒り、報復してくる可能性への対策が皆無。
綿月姉妹は他の月の民に進言できないほど立場が低い存在だと高をくくっていた事になる。
また、ロケット組が無茶をやらかして月の民に被害を与える危険性についてもほとんど触れられていない。
(②と異なり月インフレが無ければ月の民に喧嘩を売る行為としか言えない穢れテロをした人もいるが)

 

④【レイセンがいなかったら
永琳の考えとして、

たまたま月から兎が逃げてきたのでその兎を利用し、綿月姉妹に手紙を送った。
もしその兎が居なければ、再び月を偽物と入れ替え、主犯だけを月に到達させないつもりでいた。
ただ、それはまた幻想郷に不安をもたらす危険な方法ではあったが…。(小説最終話)

という設定がある。つまり、
たまたま来たレイセンによって、ロケット組を月へ行かせる策が採られたが、
そうでなければ偽の月作戦だったのだ。
紫の策の第一歩である霊夢の神降ろし修行は、レイセンが来る前から始まっている。
ここでも、不確定要素に救われている。

 

⑤【カタルシスが足りない
敵側の白星である依姫無双、第一次月面戦争惨敗に対し、味方側が半土下座して酒一本では
読み手としてスッキリできないという意見。これに関しては矛盾うんぬんではなく、感情論である。
依姫無双の作画と単調極まる展開(負けるにしても、負け方というものがある)、
二重囮作戦がたいした策ではないのが問題なのだろう。
もしも、読み手が思いもよらない、それこそ賢者らしい策で勝利していれば
大いに溜飲も下がったろうが、感想として三月精と大差ないとまで言われる。

永琳に関する問題点

間抜けすぎ&インフレしすぎ
①【肝心なところで鈍い賢者
小説第五話に、

藍「今…私達はその月の賢者が仕掛けたという罠にまんまと嵌っている事になりませんか? 
 月の都に辿り着くのに時間が掛かれば、戻ってきた頃には満月ではなくなっていると思います。
 そしたらやはり帰れなくなってしまう。実際、月の都の結界を破るのには時間が掛かるんですよね?」
紫「あらいやだ、気が付かなかったわ」
藍「いやお願いですから巫山戯ないでくださいよ(略)」

という会話がある。読んで分かるように、第一次で仕掛けられた罠(月の公転トラップ)に、
もう一度かかりに行くことが異常であるとされている。この会話が無くても異常だろう。
そうであるのに、永琳は疑問を持たず、スルーしている。わずかに

「うまく行きすぎると不安になるのは 心の病かしら」(漫画19話)

と呟いているに過ぎない。紫が月のトラップにもう一度掛かると考えているのなら
いくらなんでも紫をナメすぎだろう。
この辺りも「永琳が(紫にとって)都合よく疑問を持たない」と言い換えられるのかもしれない。
そのあまりの鈍さと惰弱っぷりから、「永琳は本当に賢者なのか」と言う問題にまで発展しているのだから。

 

②【びびるとは思えない永琳
儚月抄にて永琳は綿月姉妹の師匠であり、億単位の年齢が確定し、月の都創設に関わり、
月の公転の操作をやってのけている。要するに設定がインフレしすぎているのだ。
これと、紫に裏を掻かれて心の奥深くに恐怖が刻まれるというオチが釣り合っていない。
ただでさえ紫の二重囮は読み手に割れている上に永琳がインフレしているため、
説得力がまるでないという事態に陥っている。

幽々子に関する問題点

ゆゆステルスが酷すぎる
①【ゆゆステルスとは
下記の設定である。

亡霊には生死が無い。その事が、穢れのない月の都と相性が良かった。
幽々子は月の都にひと月ほど滞在し、誰にも怪しまれることなく行動していたのだ。
そして堂々とお酒を盗み出すと、次の満月の時に紫に再び月面と地上の通路を空けて貰い、
地上に降りてきたのだ。
月の都に亡霊の姿など、誰が想像しただろう。
だが、秘密裏に行動するのにこれ程便利な組み合わせもなかった。
亡霊は元々浄土に住む者である。つまりは生死に関わる穢れが少なく、
その結果そこに居たという痕跡を残さずに行動出来たのだ。
そのことを知っている妖怪はあまりいない。かつて妖怪が月に攻め入ったとき、
偶然気付いた妖怪が居たくらいだ。その穢れの少ない亡霊が、
ここの屋敷にいることも偶然なのだろうか?居やこれも偶然ではなかったことは誰の目にも明白だ。
ある妖怪──八雲紫が導いたのである。無事付きの都に潜入した亡霊はどういう行動を取ったのか。
それが紫の計画の総仕上げとなるのだが、はたして。(小説最終話)

紫「幽々子を選んだ理由はそれもあるわ 私が再び月と地上を結ぶことができる次の満月まで 
  月の都に忍び込んでいても目立たないから」
妖夢「どういうことです? 十分目立っていた気も」(兎と幽々子がキャッキャしてるコマ)
紫「月の都は穢れを嫌うけど 貴方たちはすでに浄土の住人だからね」
藍「さすが紫様です」(漫画版最終話)

 

②【まず、タイミングが酷い。
こんな重要かつ強力な設定が最終話で来るというのはメチャクチャである。
これに関して「永夜抄で伏線があった」とされるが、該当台詞は下記であり、際どい。

輝夜 「楽しいわね。穢い人間でも妖怪でもない者か。
    見ていて気持ちのいい位、何にもないのね」(永夜抄 幽冥の住人チーム)

「見ていて気持ちのいいくらい何もない」では、月人の中でも浮く。
月人も穢れているからだ。

そうでなくても月の都に住んでいる民も、僅かにだが穢れを持っている。
 私達だって何れ寿命で死ぬ運命にあるのかも知れない。(小説3話)

つまり「何もない」では伏線として成立し難い。

もうひとつの該当台詞は

永琳「ああ、人じゃなくて幽霊ね。それじゃ腐らないか。」
永琳「でも、発酵の能力は神の力。貴方達亡霊は神も見捨てたって事よ!」

これを受けて冥界組Aエンディングでは漬け物を作り、緋想天で漬け物の顛末が語られる。
緋想天に関しては儚月抄連載中に儚月抄終了後を描いたものであり、伏線回収というよりネタばらしにあたる。

 

③【さらに、内容も酷い。
「そこに居たという痕跡を残さずに行動出来る」というならば幽々子を送り込めば勝ちであり、
策はまるで必要ないし、関係がない。
また、漫画との描写齟齬もある。

(謀反の噂について)
玉兎1「あれって何者かが勝手に神様を呼び出して使役していることが発覚したからよ」
玉兎2「ふむふむ」
玉兎1「それで依姫様が真っ先に疑われたの そんなことできるのも依姫様くらいだったしね 
    でも本当はあの巫女にもできるって見せて廻るんだって」
ゆゆ「その話 詳しく聞きたいわ」
兎達振り向く
「誰?」
(ページ切り替わり)
兎「お前は…?」
ゆゆ「そう怖がらないの ただの迷子なんだから 
   ここの主人が留守の間に 桃でも食べて休憩しましょう?」(漫画二十話)

妖夢「どういうことです? 十分目立っていた気も(兎と幽々子がキャッキャしてるコマ」(漫画最終話)

まず、玉兎は思い切り怪しがっている
それにもかかわらず、綿月姉妹に報告はしなかったらしい。
兎は報告すらできないのか? 百歩譲って報告しないまでも、噂好きではなかったのか?
仮に、監視カメラがあったらこの時点で少なくとも幽々子達は
間違いなく不審者として映っているはずである。 
要人の家に防犯設備があるくらいの発想は無かったのだろうか?

 

以上の問題点を指してゆゆステルスと呼ばれている。

文に関する問題点

発言と行動が不一致
どう見ても嘘をついているとは思えない独り言はこの際置いておくにしても、

①全然追っていない

藍「次に天狗ですが スクープを独占したいとのことで天狗の頭領と話をすることができませんでした
第三の目として行動したい感じでしたので 協力してくれるとは言い難いかもしれません」(漫画1話)

文「呼ばれなくても駆けつけますよ 新聞記者ですから!」(漫画最終話)

登場したのは何もかも終わって10日も経った最終話のみ。
他の天狗達がいなかったにも関わらず、ロケット発射時にもいなかったのは確か。
結局二次創作の捏造報道等、嫌な設定が肯定されてしまっている。そんなんだから発行部数増えないんだよ…

②何も無い
博麗神社で式神鴉をじっと見て意味深な表情を浮かべておきながら、

うどんげ「なんでそんなこと急に・・・」
文「それはコレを見たからですよ」
うどんげ「どれどれ・・・」
(文々。新聞 【幻想の海あらわる】)
うどんげ「ずいぶんと小さい海ね・・・ っていうか室内プール?」
(うどんげっしょー 第23回「まごうことなく」)

それ言ったらおしまいだ。
結局何も追求することも無く、うどんげっしょーですらプールの話のみ。

彼女の思考能力は非常に高く、それが真実かどうかはともかく、人の何倍ものスピードで考えを巡らす。

何を考えているのか予想することは非常に困難。

その上、表面上は相手のレベルに合わせてくるため、一緒にいる誰もが居心地の悪い気分になる。 (緋想天テキスト)

本当に何を考えているのか予想できない。
後の書籍等でフォローされることを祈るしかない。

霊夢・魔理沙に関する問題点

月の都で見かけた知り合いの幽霊=幽々子と気づかない

霊夢「ふ 不思議と言えばねぇ・・・ なんとなく見覚えのある奴を見た気がする月の都で」
魔理沙「月の兎に知り合いでもいたとか?」
霊夢「いや兎じゃなくてさ 大体兎の顔の違いなんて分らないし
   もっとこう 柳の下に立っていそうなアレが・・・」(漫画20話)

魔理沙「柳の下に立っていそうなアレ・・・って幽霊のことか?」
霊夢「うん
魔理沙「あれ? 月の都の奴らは死なないんじゃなかったっけ?」(漫画最終話)

幽霊・知り合いと言っておきながら、幽々子達を連想しないのはどうかと…
紫繋がりで最後に気づいてもおかしくないと思うが。
だから博麗の巫女はいつまでも下賤なのよ
つっても霊夢は他人に興味を持たないからねえ。
しゃーないんじゃないかね。