綿月 豊姫

Last-modified: 2023-09-10 (日) 14:56:06

基本設定

2.綿月のスペルカード~Lunatic Blue
一巻だと殆ど出てこない綿月姉妹ですが
これから陽気な月侵略者たちとの戦闘になるはずなのでそのイメージで作りました。
負けず劣らず陽気な綿月姉妹。でも、戦いになるとそれはもう強いんです。

今一緒に暮らしている輝夜姫以外にも、二人のお姫様姉妹を小さい頃から教育していた。
二人の姫は私の遠い親族である。人間風に言えば私から見て又甥の嫁、
及び又甥夫婦の夫婦の息子の嫁、という何とも遠い縁だったが、
私は二人の教育係として様々な事を教えた。姉は天性の幸運で富に恵まれ何不自由なく暮らし、
妹のお姫様は非常に頭が切れ、私の言うことを何でも吸収していった。
私はいずれこの二人に月の使者を任せる事になるであろうと考えていた。(小説一話)

紫「月の使者のリーダーは二人
  一人は神様をその身に降ろして戦う実力派 一人は地上と月を結ぶ援護要員」
 (漫画版最終話)

ZUN えー。綿月姉妹は月の姫で、豊姫の方が「山と海をつなぐ能力」、
   これはどこでも移動できる能力ですね。重要なのは月の都と地上を移動できるという点で、
   山は幻想郷、海は月を意味しているわけです。
―― あ、割と具体的な意味だったんですね。
   彼女は桃を食べてるイメージと超兵器を持ってるイメージしか……。
ZUN  秋★枝さんにも兵器の説明はしてないという超アバウト仕様ですからね(笑)。
   で、妹の依姫の方が普通なキャラなんです。

性格、価値観

豊姫の価値観

豊姫の価値観についてを参照

八意XXに対して

だが、八意様は間違ったことを言わないのである。私達は絶対の信頼を置いていた。
だからその案を採用する事にした。

お師匠様にはこうなる未来が見えていたのだろうか。愚かな疑問である。
当然見えていたのだろう。でなければ、三百年余り眠らせた人工冬眠も老いてしまう玉匣も、
ただの戯れとなってしまう。お師匠様は厳しそうに見えて、一番優しかったのである。
(小説三話)

豊姫「許すも何も あのお方は私達の恩師です」
依姫「燕雀いずくんぞこ鴻鵠の志を知らんや 私達から見たら地上に追放された形になってるけど
   間違ったことをする方じゃないからね」
豊姫「もちろん 建前上は月の使者のリーダーである私達が討伐しなければならない相手 
   ということになっていますが…きっとその日は永遠に来ないでしょう」(漫画7話)

能力「海と山を繋ぐ」

豊姫の能力についてを参照

森を一瞬で素粒子レベルで浄化する扇子

豊姫「この扇子は、森を一瞬で素粒子レベルで浄化する風を起こす
    そんな月の最新兵器相手に貴方は何ができる?」
(中略)
紫「すべては愚かな一妖怪の所行 地上に住むすべての生き物には罪はない 
  どうかその扇子で無に帰すのは勘弁願えないだろうか」(漫画18話)

(豊姫が扇子を無くして)

レイセン「あんな物騒な物をなくされたんですか?割と大事なのでは・・・」
豊「そうねぇ」
うどん「そんななんですか?」
永琳「幻想郷壊滅の危機ね」(うどんげっしょー)

優曇華「それってそんなに危ない物なんですか?」
永琳「ええ、かなり危ないわ
永琳「うかつに振り回すととても危険なのです」(うどんげっしょー)

輝夜「いやだわ この扇子の危なさくらいちゃんとわかってるわよ」(うどんげっしょー)

詳しい解説は豊姫の素粒子扇子についてを参照

浦島と豊姫

それはもう千五百年以上昔の話であるが、水江浦島子と名乗る人物が水に映った青い星から
出てきたことがあった。神隠しにあった大抵の人間はすぐにパニック状態になり、自分の理解できる世界に帰りたがるものである。だから見つけ次第私の力ですぐに帰してやることにしていた。
だが、彼は違った。栄華を極めた月の都を観るなり地上に帰ることも忘れ、
もう少しここにいたいと言い始めた。彼はもしかしたらアタマが少し弱かったのかも知れない。
ただ私も地上の人間に興味があったので、八意様には内緒でうちの屋敷で匿うことにした。
(中略)
(浦島は)ようやく辿り着いた月の都を海の向こうの国だと勘違いしていた。
海の向こうの国─実際は月の都だったのだが、それを蓬莱国だと思い込んでいたのだ。

私はそれは違うと訂正した。``お前が今居る場所は蓬莱国などではなく海底に存在する『竜宮城』である``と
嘘を教えた。誤植の亀は迷子になっていた私のペットであり、探していたら貴方が背中に捕まっていたという事にした。嘘を教えたのは地上の人間が月の都への興味を持ち、権力者が月の都を目指すことを恐れたからだ。今思うとこの判断は間違っていたと思う、そのマチガイは後に八意様の手で修正されることとなる。

依「水江浦島子? ああ、確かにそんな人間もいたわね。確か、釣り好きな彼もめでたく神になったんでしたっけ?」
彼は三年経って、ようやく家が恋しくなったと言い始めたのだ。普通の人間なら数時間で思いそうな感情を覚えるまで随分と時間がかかったものだ。
「そうよ、その人間よ。今では彼は筒川大明神だわ。一回の平凡な漁師が出世したものね」

私としても帰りたいという人間を帰さない理由はない。そもそも黙って月の都に穢れのある人間を入れていたのだから、ばれる前に帰したほうがよい。だが一つ気がかりなことがあった。彼を地上に帰して三年間も何処に行っていたのかを問われれば、彼はここで過ごした経験を語るだろう。そうすれば竜宮城─月の都に興味を持つ者が出てくるかも知れない。それは月の都のピンチを招きかねないのでは無いか。

私は八意様に全てを打ち明け、そしてどうすればいいかを相談した。意外にも八意様は人間を匿っていた事に関しては何も怒りはしなかった。八意様は即断で``そのような人間は亡き者にするのが一番です。海に出てから三年も姿が見えなければ、地上では死んだ人間として扱われているでしょう。大体、地上から来た生き物を興味半分で匿うからそのような事態に陥ってしまうのですが…``と言った。
依「そうそう、筒川大明神ね。あんな罪深き凡庸な人間を神として祀っているなんて、私達から観たら滑稽ですけどね」
豊「八意様は即断で殺せって仰ってたけど、流石にそれは可哀想だしねぇ」
私は流石に自分が匿った所為という事もあり、とても殺す気にはなれなかった。妹も同様であり、やはり殺す気にはなれなかった。

仕方がなくそれ以外の方法はないのですかと聞いてみた。そうすると八意様は微笑んで``勿論ありますよ。貴方たちは優しいのね``と言って、別の案から最善のものを教えてくれた。
別の案とは、『水江浦島子を覚えている人間が存在しない時代に送り返す』という物である。つまり、竜宮城と地上では時間の流れが百倍近く違うと言うことにし、三百年後の地上へ送り返すという物だった。
当時の私達は何故その案が最善なのかはよく判っていなかった。自分の事を知っている人間が誰もいない世界に送り返されたら、人間は途方に暮れるだろうし、竜宮城のことを皆に言いふらすことには変わりないのではないか。だが、八意様は間違ったことを言わないのである。私達は絶対の信頼を置いていた。だからその案を採用することにした。(小説三話)

彼は砂浜に着いたときから何か違和感を感じていた。白い砂、松の木、青い空、漁をしていた頃と何一つ変わらぬはずなのに、海風に違和感を覚えた。不安になった浦島子は自分の家に戻ったが、家があるはずの場所には何もなく草が生えていた。さらに知人の家を訪ねても、そこに住んでいる者には見覚えはなく、それどころか村の誰一人、浦島子の事を知っている人はいなかった。彼はあまりの絶望に悲嘆した。
(中略)
物語はそこで終わらない。八意様は地上にお隠れになる前に、浦島子に手土産として「玉くしげ」を渡せと言っていたのだ。さらに彼には``この玉くしげは地上での生活に困ったら開けなさい、しかし再び竜宮城に期待のであれば決して開けてはいけません``と伝えろと言われていた。あの玉くしげに何が入っていたのだろうか。八意様の居ない今となっては、確かめる手段も中身を再現することも出来ない。
どうやら浦島子は地上に降りてからすぐに玉くしげを開けてしまったようだ。自分を覚えている人が誰もいない世界に余程絶望したのだろう。泣き叫びながら玉くしげを開けた。しかし不幸はまだ終わらなかった。玉くしげを開けた彼の肉体はみるみる間に若狭を失い、そこに歩くこともままならない老体が残された。その玉くしげは
肉体を老いさせる何かがつまっていたのだ。

しかし、老人となったことが幸いした。三百年前の話を知っている老人は、村では生き神様のような扱いを受けるようになった。彼の不思議な話は神の世界の話と信じられ村では伝説となった。当時の人間には彼ほど老いられるまで生きられることは少なく、また文字も読めなかったため、話が出来る老人は持て囃されたのだ。浦島子が若い姿のままだったら、ただの与太話と思われただろう。
さらに浦島子の伝説は時の天皇、淳和天皇の耳にまで届いたのだ。淳和天皇は浦島この竜宮城の話を聞き、それこそが常世の国─蓬莱国であると予想し、非常に関心を持った。蓬莱国は不老不死の国であり、当時の権力者は誰しもが疑うように探していた。ただ、伝説は既に陳腐化し始め蓬莱国の存在は疑われ始めていたから、浦島この存在は天皇を大いに喜ばせたのだ。
淳和天皇の予想は的を射ていたが時は既に遅かった。浦島子は一歩も動けぬほど老いており、天皇の遣いが到着してまもなく息を引き取ったのだ。
天皇は水江浦島子に蓬莱国から帰還した数少ない人間という威徳を認め、彼のために神社を造らせ、さらに彼に筒川大明神という神号を贈った。
偶然神隠しに遭った水江浦島子。彼は神様の仲間入りを果たし、それと同時に蓬莱国─月の都信仰も確固たるものとし、地上の権力者に蓬莱の民の威厳を知らしめたのである。

お師匠様にはこうなる未来が見えていたのだろうか。愚かな疑問である。
当然見えていたのだろう。でなければ、三百年余り眠らせた人工冬眠も老いてしまう玉匣も、
ただの戯れとなってしまう。お師匠様は厳しそうに見えて、一番優しかったのである。

「今では、何百年も時を越えて未来の世界へ行くことを『ウラシマ効果』と呼ぶらしいですわ」
「神様となり、その上に未だに名前が残っているのであれば彼も幸せでしょう。ねぇ依姫…(以下略)」
(小説三話)