儚月抄:上巻

Last-modified: 2023-07-20 (木) 13:03:17

第一話 賢者の計画

単行本だと白黒で分かりませんが、紫が、「月の海」の底からゴポッと出現するシーンから始まります。

超大型企画!.jpg
※このイラストから、紫は月の海に立ち、地球(地上)を見上げていることが分かる

紫「さあ行きなさい 私のかわいい式神たちよ
神酒を手に 晴れを越え雨を越え嵐を越え
そして賢者を捜しなさい」

 
判定:伏線破壊

そこは月の海だった。藍も私に続けて入ってきた。
実はここの所、毎月、ここにやってきていたので藍も特に驚くことはなかった。
ここから鴉に式神を憑けて地上の様子を見張っていたのだ。
言うまでもなく、月の民の真似事をしてみただけだ。
(小説五話)

この大仰な一コマ目は「月の民の真似事をしてみただけ」で特に意味はないらしいです。
「晴れを越え雨を越え嵐を越え」って言ってるから月の都を捜索させてるはずなのですが
更新されたのでしょう。
あるいは、
「月の都を探したり、月人ごっこをしたり」と、二種類の行動を取っていたとも解釈できますが、
それはそれで「じゃあ月人ごっこの方はなんだよ!」と、別の疑問が湧いてきます

 

このように、ただの雰囲気漫画と見せかけて
「伏線が破壊される」「伏線が伏線を呼ぶ」という、超次元展開が裏で広がっている。
これが儚月抄です。

 

場面転換で、博霊神社。
魔理沙が訪れると、霊夢と紫が戦闘しています。スペカじゃなく。

 

霊「……っ」 
紫「もう一度 かかってきなさい
  その程度じゃ うちの式神のほうが よっぽど強いわ」

 

なんでこんなことしなきゃいけないの、と愚痴りつつも 目を閉じて手を合わせ、呪文を唱える霊夢。
魔理沙の冷やかしをシカトしつつ、これまでにない技を発動させます。

 

霊「天岩門別命」
(ゴッ、という音と共に、真っ黒で巨大な落とし穴が出現)
紫「そうそういい感じ でも この穴は──弱い幻覚」

 

紫が飛び込むと、その落とし穴は紫ごとあっさりと消滅。どうやら一段落ついたらしいので、魔理沙と霊夢は縁側でお茶を飲みつつ駄弁りはじめました。

 

霊「何かね 紫が急に稽古を付けるって言ってきたのよ」
魔「今のは稽古だったのか? なんで妖怪が人間に稽古を付けるんだ? 
    力をつけたって自分たちが退治されるだけなのに」
霊「せっかく巫女なんだから 将来に備えて神様の力を借りる方法を身につけなさいって 
  突然襲いかかってきたのよ」

 

どうせいつもの気まぐれだろうとしつつも、最近紫の様子がおかしいのが気になる、
と言う霊夢をよそに、魔理沙はさっきの神降ろしが気になってしょうがない様子。

 

魔「ちなみにさっきの穴は神様の力なのか? あんな技を使える神が八百万もいるんだろ? 
  すごいじゃないか! 私も巫女になろうかな」
霊「はぁ…私の周りの…八割は 厄介で出来ているなぁ」

 

場面転換し、永遠亭。妖怪兎たちが変な歌を歌いつつ餅をついてます。うどんげとてゐの会話。

 

兎たち「一つ搗いてはダイコクさま~ 二つ搗いてはダイコクさま~
    百八十柱の御子のため 搗き続けましょーはぁ続けましょ」

うどん「てゐ 兎達は何を歌ってるの?」
てゐ「これらの餅は大国様とその百八十の子どものためにって」
うどん「ダイコク様? 誰よ それ」
てゐ「大変な美男子 兎達の憧れ」

うどん「てゐもこの兎達をちゃんと躾なさい この餅は尊き方の怒りを鎮めるためのお供え物よ 
     今日は満月の日 大切な例月祭の日なんだから」
ナレーション:──例月祭 毎月満月の日に行うお祭り 月の都から逃げ続けた輝夜、永琳、鈴仙
       たちが自分たちの罪を償うために行っている行事である
       薬草の入ったお餅を搗きそれを丸めて捧げ物とする 他にも丸い物を集めて祀る風習がある

解説:小説にある追加設定

今、庭では兎達が団子を搗いているはずである。
その団子には私(永琳)の指示により様々な薬が混ぜられている。
その薬にはふたつの意味がある。月の兎が搗いている物は、今はお餅と言われているが本来は
薬であるという事と、もう一つは兎たちが団子をつまみ食いする事を想定したという事である。
団子に兎を興奮させる薬が入っている為、予定通り兎がつまみ食いをすれば
祭りは弥が上にも盛り上がるのである(小説一話)

主語が変なことになってますが保管してください。
しかしヤクでムリヤリ盛り上げてなんか意味あるんでしょうか…

 

さらに場面転換し、永遠亭、輝夜と永琳の部屋。二人の長い会話が始まります。

 

輝「今月も 何事も起こらなかったようね」
永「そうかしら? そう見えるならいいんだけどね」
輝「何かあったの?」
永「月光が生み出す影に大きな変化が見られる 影が段々と質量を持つようになっている」

判定:伏線放置

月光やら質量を持った影やらは後の展開にまったく絡みません
というか、ここ以外で語られることはありません。
気にしないで下さい。

輝「あらあら じゃあ鈴仙が言っていたことは本当だったのかしら? 月に新しい勢力が生まれて 
  月を支配しようとしているって 月の兎達がどっちについていいのかわからず 大慌てだって」
永「兎たちは大げさで嘘吐きだから どこまで本当なのかね」

判定:伏線放置

この「月に新しい勢力」あるいは「反体制派」というワードは、
この後上巻の終わりあたりまでは出てくるのですが、それ以降立ち消えです。
おそらく普通に噂だったという処理で終わったのでしょう。
ふつうの漫画だと「まるっきり事実じゃないにせよ、後の展開にからむ」のがセオリーなのですが
これは儚月抄です。甘えないでください。

永「ただ 新勢力によって月に立っている人間の旗が抜かれたらしいわよ 
  その旗は地上に投げ返されたらしいの 私はその旗を森で見つけたのよ 妖精がおもちゃにしていたわ」
輝「へぇ 人間の旗って月の都の誰にも抜けなかったんじゃないの?」
永「不思議なんだけどね」
永「月の都の人は表の月を弄れなかったはず

判定:伏線破壊

依「表の月には人間が置いていった大きな鏡があります。月との距離を測るために 
  地上からレーザーを飛ばしていますからね 霊験も何もない鏡で
  ''心ない兎達が 良く位置をずらして遊んでいるようですが…(漫画15話)

ゲッシャーが見つけたフォローとしては
①「やってはいけない」という話だっただけで、できないわけではなかった
 (「抜けなかった」と言ってるけど、言葉のチョイスミスかこちらの目の錯覚と処理)
②月の民が進化した。

の二つがあります。もっとも、この旗についてはやはりこれ以降は放置で、
けっきょく誰がどう抜いたのか分からずじまいで終わってしまったため
矛盾していても大勢に影響はないです。次いってみよう。

輝「旗を抜いたってことは ついに始まるのかしら?」
永「始まるわね 月の都を我が物にしようと 増長した月の民同士の穢れなき争い──月面戦争が」

判定:伏線破壊

うどん「では、まず現在の月の状態から報告します。簡単に言うと、『地上からの侵略者』の
     痕跡が見つかって大騒ぎだそうです」
永「地上からの侵略者?」私は、月の内部分裂だと思っていたのだが……また外の人間の仕業なのだろうか
(小説一話)

月の内部分裂、反体制派など、これ以降もチラチラ出てきますがこれで終わりです。
二度と出てきませんので忘れてください。

永「そして、確実に来るでしょう 月の都の使者と罪人が」

判定:伏線放置

来ません。
レイセン二号が来るのは偶然ですし、
月の使者になるのはこの後月に帰ってからだし…

たまたま月から兎が逃げてきたのでその兎を利用し、綿月姉妹に手紙を送った。(小説最終話)

 

場面転換し、ロマンティックな夜の博霊神社。「よくない感じがするから」と、めずらしく修行に励む霊夢。
でも先程の天岩門別命はイマイチなので別の神にしようとしています。

ただイケ霊夢.jpg

霊「大国主命とかどうかしら? 美形だって言うし」

ここで、空から「月の兎」(霊夢は地上のウサギだと思っている)、後のレイセン二号が降ってきます。
霊夢が声を掛けると、返事をするより先に倒れてしまいまいた。

霊「妖怪兎…罠にでも掛かったのかしら」

 

またまた場面転換し、今度は「地上の湖」の上にいる紫。
式神カラスの「後鬼」の報告を受けているところに、「最強の妖獣」藍が現れ、続けて報告をします。

 

藍「紫様 現在のところ 賛同者は 
  まず吸血鬼ですが 計画自体は興味津々でしたが 我々とは異なる手段を以て
  それを達成すると言っていました ですが他の手段は現在の幻想郷では達成し得ないと思うので 
  協力してくれることは時間の問題かと思われます 
  次に幽霊たちですが 特に興味もないようでした ただ 非常に退屈そうでしたので
  顔を出してくる可能性は高いです 顔を出した場合は ほぼ間違いなく協力してくれると思われます
  次に鬼ですが 話の大半を理解できていなかった様子でした 協力してくれないかも知れませんが
  邪魔することもないでしょう
  次に天狗ですが スクープを独占したいとのことで 天狗の頭領と話をすることが出来ませんでした 
  第三の目として行動したい感じでしたので 協力してくれるとは言い難いかも知れません
  次にかっ──」(なぜかアリスが飛んでる シュール)
紫「わかったわかった もういい そんなに協力者はいらないわ」

判定:伏線放置

この後文が登場するのは20話です。20/21話です
しかも

文「神社から巫女の姿が消えて早25日」(漫画20話)

とあるように、すごいトロいです。
公式サイトに企画「文々。新聞」があり、これが毎月更新されていくのかとの予想もありましたが
未だにComing Soon!です

 

ここでもう一匹の式神ガラス「前鬼」が到着し、報告。それを聞いた紫は「予定より遅かったが、
ついに宇宙人が動き始めた」とニヤリ。宇宙人が動き始めないと自分たちも動けないらしいです。
湖の上に大きなスキマを開き、ゴポゴポ言いながら沈んでゆきます。

 

紫「今回はうまく行くかも知れないわ 神様を従えた巫女さえ動けば 敵に勝ち目はない
  始めるわ 美しき幻想の闘い第二次月面戦争を」

第二話 玉兎の手紙

博霊神社の一部屋で、レイセン二号が目覚めるシーンから。
「月の羽衣」がなくなっていることに気付き辺りを探していると、
霊夢が出現。月の羽衣を手に持っています。

 

二号「! それそれ それ私の羽衣!」
霊「言われなくても 返すつもりはないわ」
二号「意地悪」
背後に回る.jpg
ふっ、(背後へ瞬間移動)
霊「あっあれ? 今どうやって?」
ふっ (さらに瞬間移動、正面へ。霊夢の羽衣を取り戻している)
二号「あなたが助けてくれたのね いちおう礼を言うわ ありがとう」
霊「あ、あれ?」

解説:二号(月から来た兎)の能力設定

これっきり説明がなく、設定テキストもないため極めて不明瞭です
一応、弾幕ごっこ外で霊夢の背後を取るということを完遂してるので
そこは評価されますが、いかんせん豆腐メンタルが過ぎるため
そこまで話題になるわけではありません。
レイセンのダメ兎っぷりはこれから発揮されていきます

 

そんなやりとりの後、お茶と、ミカンみたいなお茶菓子を味わう二人。会話が始まります。

 

霊「もう怪我は大丈夫なの?」
二号「大分寝たから平気」
霊「確かに 怪我はもうなさそうだけど…妖怪は治癒能力が高くていいわねぇ
二号「妖怪…ねぇ 私は 妖怪かしら…?」
霊「? 妖怪じゃなければ何なのよ 打ち所の悪かった妖怪?」

二号「し 失礼ねぇ打ち所はよかったわよ ちょっと三寸級のスペースデブリにぶつかっただけ」

解説:玉兎の耐久力

このくだりは、玉兎の耐久力のソースとして扱われたりします
ちなみにスペースデブリは、秒速3~10kmの速度で地球の周りを回っており、
もし宇宙船に直径 10cmのスペースデブリがぶつかってしまったら、完全に破壊されるという。
三寸 = 9.09090909 センチメートル

小説にも、似た記述があります

長旅の疲れか、それとも途中でスペースデブリに一撃を喰らったからか判らないが、
私は辿り着くなり気を失ってしまった。その時介抱してくれたのがその巫女である。(小説六話)

実際にスペースデブリを喰らったかどうか本人にも曖昧ですが、
「三寸級スペースデブリの一撃を、長旅の疲れと同列で、気を失う程度で済むと認識している。
 実際に、怪我+気絶で済んでおり、一晩で回復している。
 加えて、月の羽衣には防御力に関する設定はない」
ということから、玉兎の耐久力はやっぱりスゲー、と評価する人がいます。

一方で、琳が

永「私は嘘はつきません 月から逃げてきた玉兎の一匹や二匹 
  スペースデブリで亡くなったことにするくらい簡単なことです
   なのに なぜ嘘をつく必要があるのでしょう?」

と発言しているため、疑問とする声も大きいです。
3寸以上はムリなのか、当たりようで違うのか、そもそもレイセンが正しいデブリの知識を持ってるかどうか…
まあどっちにしろ玉兎は嘘吐きで臆病だと言われたり、「元々戦闘に向かない(小説最終話)」
とされているので「強キャラではない」ってのはだいたい共通理解です。

霊「なんだぁ そんなに治癒能力が高いなら、医者の所まで行かなきゃよかった」

 

霊夢はひとつしかない布団をレイセン二号に与えたため、寝られなかったらしいです。
畳の上でごろりと横になり、そのまま眠ってしまいました。
レイセン二号はそんな霊夢や、枝に止まった小鳥を眺めつつ、まったりしています。

 

永琳「…玉兎よ…XXの罰を受け負い続ける玉兎よ……」

謎のテレパシーが発生し、驚くレイセン二号。
外を見てみると、木の向こうで超巨大な右手が、こっちへ来いと手招きしてる
という謎幻術が…レイセンはその手が招く方向へと走って行きました。

判定:永琳の謎テレパシー&謎幻術

何コレ。
玉兎通信に干渉したのか、テレパシー能力なのか。
そして幻術。作画ミス…は、この段階(上巻前半)だとほとんど発生してないし…
お手元の儚月抄上巻、40pをご覧ください。

 

場面転換で、竹林。レイセン二号は永琳と初対面します。

 

二号「XX様の名前を口にできるあなたは一体…」
永「その名前を呼んだのはあなたが月の兎かどうか確かめるため」
二号「私が月の兎だってこと知っているの!? XX様の名前だって地上の人には発音できないはず」
永「もう気安くその名前を呼ばない方がいいわ 地上ではXXは嫦娥と呼ばれているから 
  これからはそうしなさい

ナレーション:──嫦娥計画。現在の月の都では人間が送り込んだ
     刺客アポロの脅威はほとんど失われていた。
     新たに危険視しているのは嫦娥計画と呼ばれる中国の月面探査である。
      アポロは太陽神である。太陽と月の都は相容れなかったため月の都は見つからず危機は免れた。
      だが嫦娥は不死の薬を飲んで今でも月の都に幽閉された実在の人物である。
      その名前を冠する計画は月の都にとって恐怖であるのに違いなかった。
     ''ちなみに月の兎達の多くが幽閉されている嫦娥の罰の代わりに薬を搗き続けている。

判定:設定齟齬&伏線放置

その昔、人間は月面に旗を立てて、月を自分たちの物だといった時代があった。
人間は自分の科学力を盲信していて、月ですら自分の物だと思ったのだろう。
しかし、蓋を開けてみると月の都の科学力とは雲泥の差であった。
月に月面をつくると豪語していた人間も、
基地どころか建造物を造るような段階まで至らずに逃げ帰ってきたのだ。
人間の惨敗だった。
外の世界では、月面着陸は大成功のように報道されているが、
惨敗だったときは報道されていない。最初の月面到達以来、人間は負け続き
だったのでそれ以降月面には行っていないことになっている。
本当は、何度も月に行っては月面基地開発に失敗している事を、
月と通じている私たちは知っていた。
人間は大して成長していない。むしろ退化している位である。
再び月を侵略開始しようと、月の都にとって大した恐怖ではないだろう。(小説一話)

ナレーションだと脅威として扱われていたのが、
小説だとぜんぜん脅威じゃない、話になってないという扱いになっています。
また、アポロという名前が月と相容れなかったがために月の都が見つからなかったらしいが、
月に関する名前の計画はほかにもある。
JAXAのかぐやは月から追放されている人の名前だから良かったとしても、
ソ連のルナ計画はどうしようもないだろう。

 

ついでに、嫦娥についてはこれ以降二度と登場しないので忘れてください。

カッコイイ.jpg
永「私は八意XX 玉兎たちが仕える嫦娥が飲んだ不老不死の薬も とある月のお姫様が飲んだ
  不老不死の薬も造ったのは私 覚えているかしら?」
二号「八意XX様!? 遙か昔に月から逃亡したと言われる八意様であられますか?」

解説:永琳の本名

永琳の本名は八意XX(地上では発音できない)です。
「永琳」ではなく「XX様」あるいは「ダブルエックス様」と表記するのが
儚月抄マニアの間で粋とされています。レッツトライ!

 

レイセン二号は「これは幸運」と大はしゃぎ。「わたしを匿って欲しい」と要求します。

 

永「匿うって 貴方も逃げてきたの?」
二号「嫦娥の罰の代わりはもうこりごり いつまで薬を搗いていればいいのやらわかりゃしない
   そこで噂を聞いたのが──」
永「革命ってこと?」
二号「さすが分かってらっしゃる そしてその革命のリーダーが地上にいるって耳に入りましてねぇ」
永「それが私ってことになってるわけね 貴方の言いたいことはよくわかったわ」」

返り血….jpg

ナレーション:月の都では何やら不穏な動きが起きているという ただ 月の民の中では
       不確かな憶測が飛び交い現在も混乱している
       その中湧いて出てきたのが地上に逃げた賢者 八意永琳の逆襲という説 
       その場にいない者を悪役にすると民のベクトルが収束し混乱を避けやすい
       そういう理由で誰かが流した噂であろう

判定:問題設定

「その場にいない者を悪役にすると民のベクトルが収束し混乱を避けやすい」というのは
国内に問題を抱える政府が矛先を変えるためにやる常套手段ですね。
戦争ムードを煽るのもとても効果的です。

まあ、この予測は永琳の勘違いだったわけですが

 

永琳は、「月の羽衣で降りてきたと言うことは、まだ月の都に未練があるということ。
そのような者は匿えない」という理由でレイセン二号の要求を拒否します。
(月の羽衣は、地上と月を行ったり来たりできます)

 

永「残念ながらわたしは革命も侵略もしない もう月の都には興味がありません
   だから貴方が月の都を忘れられない兎である限り 匿うわけにはいかないのです」
二号「本当ですか? 月の都の混乱の原因は 本当に八意様ではないのですか?」
永琳「私はその混乱の原因を探りたいのです 誰が月の都を侵略し 私を悪役に仕立てているのかを」
二号「八意様…」
永琳「私は嘘はつきません 月から逃げてきた玉兎の一匹や二匹 
   スペースデブリで亡くなったことにするくらい簡単なことです
   なのに なぜ嘘をつく必要があるのでしょう?」
二号「失礼しました八意様」

しかし、このまま帰ったら罰せられてしまうと、帰るのをためらうレイセン二号に対し、
「地上に降りてきたことを正当化できる仕事」として、
永琳は自分の「封書」を、月のとある人物に渡してこいと命じます。

永「この封書を そこに書いてある人物に届けなさい」
二号「ええっと ええ!? 綿月様の所にですか? 
   無理ですよ 私みたいなただの兎が簡単には近づけません」
永「…あの娘はそんなに偉くなったの?」
二号「ずっと昔から地上と月を繋ぐ者たちのリーダーですよ 
     それに今は月の都が混乱しているから…その」
永「私だと思われている侵略者から 月の都を守る部隊のリーダーでもあると
   大丈夫 むしろ好都合だわ」 

判定:描写齟齬

そう言えば月の使者として輝夜をお迎えに行く前日、二人の姫に月の使者の後任をお願いしていた。
あれから、千年以上は優に過ぎている、姫達は何も言わずに置いてきた事を怒っているのだろうか
(小説一話 永琳視点)

「ここは見つかりません。てゐが月の使者を寄せ付けないようにしてくれているのですから。
  それに、月の使者に私の味方がいます」
鈴仙は驚いた顔をして「味方……ですか?」と言った。
「そうです。恐らく今は月の使者のリーダーをやっている筈です」
といったものの正直、味方になってくれるのか心配だった。(小説一話)

儚月抄ではよくあることです。

永「堂々と私の名前を出してこの封書を渡しなさい
  この封書にはいま起きている現実とこれから起こるであろう未来が書かれています
  この通りにすれば月の都は安泰でしょう」

判定:設定矛盾

前の台詞で

永「私はその混乱の原因を探りたいのです 誰が月の都を侵略し 私を悪役に仕立てているのかを」

いつの間にか月面戦争に巻き込まれていることを考え、私を利用している犯人を
この手で捕まえてやると心に誓ったのだった。」(小説一話 永琳視点)

とあるように、この段階では、永琳は犯人が誰なのか分かっていません。
なのに、手紙の内容は明らかに黒幕を把握しているものでした。
ちょっと長くなるので、詳しくは別ページ永琳の手紙:?をご覧ください

 

こうして、永琳の手紙を手にし、月の都へと飛び立ったレイセン二号。
輝く月の羽衣を纏い、夜空のむこうへ飛んで行く。
その光景は、登る流れ星のよう…
って魔理沙がいってました。

 

魔「なんだありゃ 登る流れ星か
 滝を登り切った鯉が龍にでも成長したかな 縁起がいいぜ」

第三話 紅いロケット

夜、紅魔館、バルコニーにあるテーブルに着き、頬杖をついて夜空を眺めるレミリア。

 

咲「お茶が入りました」
レミ「ありがとさん」

紫色の紅茶に狼狽するレミリア。
モンターニュブルーをヒントに頑張って青い紅茶を作ってみたと語る咲夜。
なんで頑張ったのかは語られません。
そんな謎会話はさておき、パチュリーを加えた三人は「一ヶ月前の出来事」を回想します。

藍「ですから 貴方のような強力な妖怪なら 簡単にめぼしい物を見つけてくれると思いまして」
レミ「ふーん 面白そうな話じゃない」
藍「月の都には幻想郷にはない珍しい物や技術があるのです 
  それを盗み出して妖怪の技術に活かしたいのです 紫様は停滞してしまった幻想郷の妖怪の 
   生活向上を目指しているのですよ」
なんか違う.jpg
レミ「それって何? 山の天狗や河童には負けたくないってこと? 
   馬鹿みたい あんな企業戦士になって何が楽しいのよ」
藍「たしかに 外の世界は科学力も技術力もありますが 精神面の豊かさは本当に惨めなものです
  山の天狗や河童は中途半端に外の世界を真似ただけなのです ですが 
  月の都のそれは外の世界と同じではありません」
レミ「外の世界と 違う?」
藍「ええ 今みたいに 毎日遊びながら無限のエネルギーを得られるような技術なのです
  紫様も今から数百年前に一度 その技術を奪おうかと思って月に行ったのですが 
  その時は不慮の事故で手に入れることは出来なかったのです…」
レミ「聞いたことがあるわ 不慮の事故って 
   月の民にコテンパンにされて逃げ帰ってきたんでしょ?
   なんで今更そんな計画を持ちかけてくるのかしら?」
藍「……あのころに比べ妖怪の数が増えたからです みんなが協力してくれれば
  こんどは負けることはないでしょう
  さっきも言いましたが、貴方のような強力な妖怪が協力してくれるのなら簡単にめぼしい物を
  見つけてくれると思いまして」
レミ「ふん どんな計画なのかしら?」
藍「紫様が今年の冬に 湖に映った幻の満月と本物の満月の境界を弄り 
  湖から月に飛び込めるようにします レミリアさんには紫様が結界を見張っている間に
  月の都に忍び込んで頂きたいのです──」

 

回想を終え場面転換し、紅魔館の地下室。木造のロケットがあります。

 

パ「こんな感じで 決定的な資料不足により煮詰まっているの」
計画.jpg
レミ「困ったわねぇ そんなんじゃ紫が冬に月へ行くまでに間に合わないじゃない
   せっかく 私が先に行って月を侵略して紫を驚かす計画 が 成功しないじゃないのよ」

解説:レミリアの目的

本当にコロコロ変わるので、今のうちにレミリアの目的についてで確認しておいてください

この後、「月ロケットの資料を集めてこい」というレミリアコマンドを受けた咲夜が
コーリンドーへ赴き、資料を調達してくるという流れなのですが省略。
こーりんファンの方、ぜひ購入してね!(販促)
そんなこんなで、パチュリーが「サターンV」の資料をゲットだ。

パ「ふむふむ サターンV人類初の有人月飛行ロケットであると……
    月に到達するために他種類の大型エンジンを必要とし そのためロケットは三段で構成されている
    ありがとう咲夜 月に行くためのロケットは三段で構成されてないといけないのね」

パ「今まで外枠に関してはただの筒状としか認識していなかったけど 三段で構成される筒
  を見つければそれだけでほぼ完成に持って行ける 
  これは『月侵略にとっては小さな一歩だけど私にとっては大きな一歩だわ』

第四話 旧友の雨月

冒頭から7ページ、ゆゆようむによる特に意味のない「雨月」トーク。
ゆゆ様のうっとうしい話術に酔いしれろ!

妖「最近の天気を見ていると 今夜も雨になると思いますよ」
幽「そんなことわかっているわよ(溜息)」

幽「だいたい中秋の名月って言うけど この時期って昔から天気が悪いのが普通なのよ
 十年のうち九年は雨が降って見られないと言われるほどなの 
 つまり 実際はほとんど見られないのも名月たる所以…」
妖「じゃあ今 私は何のためにお団子を捏ねているのでしょう?」
幽「お団子を食べるため以外に用途はあるのかしら?」
妖「まあそうですけど ただ食べるだけなら今日でなくてもいいじゃないですか」
幽「他にもお月見をするためよ 十年のうち九年は行ってきた方法で」

幽「雨月と言ってね 特に雨が長引きやすい中秋の名月は雨が降って月が隠れても
  雲の上の名月を想像してお月見を楽しんだのよ」
妖「苦し紛れの楽しみ方ですね」
幽「いやいや そのほうが風流なのよ 昔から名月そのものを見るより 
   丸い物を見て名月を想像することが風流とされたの 
   昔の人は 実物より想像の方が何倍も大きく何倍も美しいことを 経験から知っていたのね
   料理にお団子一つついてるだけで 名月を想像できたんだから 簡単でいいでしょう?
   そしてその究極の形が──底にあるはずの名月を想像する 雨月というわけ」
妖「なるほど そうでしたか でしたら 団子も実物を食べるより想像の方が何倍も
  おいしいんじゃないでしょうか?  
  そんなにお団子を食べられたら 想像できる名月も想像できなくなってしまいますよ」

判定:伏線放置

ここまで語っといて特に意味のない会話です。
合理に背を向け、無駄を愛する。
これが儚月抄の「風流」です。

 

場面転換し、紅魔館。前回から一ヶ月経ったが、肝心の推進力が見つからないとのこと。

 

レミ「いま進捗率はどれくらい?」
パ「70%くらいは進んでいると思う 外枠は完成しつつあるんだけど
  …どうも満足のいく推進力が得られなくて」

 

「とりあえず勘の鋭い巫女に尋ねてみるのもアリなのかと」ということで、
咲夜を神社に向かわせたと語ります。
雨の中、透明のレインコートを着て神社へ向かう咲夜さんが描かれています。
咲夜さんファンは購入安定(販促)。

 
 

場面転換し、ふたたび白玉楼。ゆゆようむは「二月前の紫様の話」を回想します。

 

藍「…と言うわけで あなた方には 吸血鬼達の監視をしていただきたいのです」
妖「監視…って、なぜですか? 月に行きたいのなら勝手に行かせればいいじゃないですか
  前から行きたがってたみたいだし…」
藍「知っての通り 紫様は一度月の都に攻め入って敗北しています 
  それでいつか月の都に復讐しようとその時が来るのを待っています 
  次は吸血鬼たちの力も借りて 戦力を盤石なものにしようと話を持ちかけたのですが 
  やはり自分たちの力だけで月に行こうと考えているようです 
  現状では紫様の協力なしでは月に行く願いは叶わないと紫様は仰っていますが……
  万に一つにも 吸血鬼だけで月に行かれたら困るのです」
幽「……」
妖「どうしてですか?」
藍「無策では吸血鬼たちに勝ち目はないでしょう それほど 月の民たちは強力なのです
  地上からの侵略者があれば月の都は再び警戒します それが 紫様にとっては喜ばしくないことなのです」
幽「……興味ないわ 吸血鬼たちだけじゃ月に行くことなんて できっこないんでしょ?」
藍「そ そうですか… 幽々子様は 月面戦争を見たことがあるのですぐに理解するはずと
  紫様は仰ってましたが」
幽「理解したわ 理解したから興味がないの」

 

回想終了。以下、ゆゆようむのマジでよくわからない会話がつづきます。半霊の子かわいそう。

 

幽「ふふん 紫は念を入れ過ぎよ いくら地上に月の民(スパイ)がいるからって」
妖「…でも なんか腑に落ちない依頼でしたね 紫様が直々に吸血鬼たちを見張ればいいのに」
幽「あら 妖夢はなんにも理解していないのね
   恐らく あの狐も紫の作戦をわかっていなかったみたいだけど…」
妖「なんの話ですか?」
幽「言葉の通りよ 紫は私にあることを依頼してきたの」
妖「…してきましたね」

 

このあたりで雨が止み、月が出てきます。

 

幽「せっかくの雨月が名月になってしまったわ そろそろ 私達も動いた方がいいのかもしれないわね」
妖「……吸血鬼たちの監視ですか? 実は幽々子様は動き出しそうになかったので 
  ここ2ヶ月間は私ひとりで こっそり監視しておきました 
  結構本気で月に行こうとしているみたいで 月ロケット
  の外枠はほぼ完成しています 後は宇宙を航海する推進力が必要だと 
  それを探している段階のようです
  最近は何やら神社へ行って 霊夢たちを巻き込もうとしているみたいですが…」
幽「本当に分かっていないのね そんなだから雨月を楽しむ想像力も持てないのよ
  これからは私の言うとおりに行動しなさい」
妖「あ 勝手な行動をとってすみません まぁ 監視というか観察をしていただけで それ以外の行動は
  幽々子様に報告してからと思っていましたが」

判定:問題描写

ゆゆこの台詞全般についてですが、全体的に曖昧な台詞である上にハラが立つフレーズが多いため
検証が不十分です。有志の方、検証なりまとめなりお願いいたします

 

幽々子は妖夢に耳打ちし「ロケットの推進力に関するヒント」を教え、
それを神社にいる巫女に伝えろと命令します。そうすれば、吸血鬼のロケットが完成するとのこと。

 

妖「幽々子は何を企んでいるのです?」
幽「雨月の楽しみ方も分からない貴方は 私の言うとおりに動いていればいいのよ」 

第五話 住吉計画

博霊神社。賽銭箱にケツをのっけて栗を食べてる魔理沙と、不機嫌そうな霊夢。

 

魔「すっかり秋になって食べ物もおいしくなってきたっていうのに 何が不満なんだ?」
霊「……もう三月以上も経ったっていうのに 何も起きていないのよ」
魔「何が三月以上?」
霊「修行を初めてからよ せっかく神様の力を借りる手段が分かってきたっていうのに」
魔「あ──? 何も起きてないって 神社乗っ取られそうになったり色々あったじゃん」
霊「あれは別の話よ 神様の力を借りても 神様に敵うわけないでしょ?
  それに私に神様の力を借りる修行を付けたのは紫 あの神様たちの登場は
  紫のシナリオには入っていないだろうし」

解説:依姫VS神

ここの「神様の力を借りても 神様に敵うわけない」の台詞から
「依姫は秋姉妹にすら負ける。まして神奈子には敵わない」
と取る人がいたり、
「霊夢に神降ろしを教えたのが紫で、その紫が『地上の者は月人に決して敵わない』
 と言ってるんだから、ムリがある。そもそも、この発言が厳密にどういう意図なのか、
 依姫に適用できるのか分からないんだから、そんな断定は不可能だ」
という人がいたりしました。
今はどっちも話題になってませんね。

 

そんな会話をしていると、咲夜が登場。「妖怪ロケットの相談」にのってくれと霊夢に頼む。
ここで、「数日前」の回想に移ります。

 

咲「だいぶ形はそれっぽくなってきましたね」(三段の筒状のロケット)
パ「形だけはね それに冷暖房水道完備の快適なロケットだわ」

解説:スカトロ

「あのロケットうんことかどうすんの」と何度か話題になりましたが
水道、冷暖房があるくらいですし普通にトイレもあるんでしょうね。
残念です。

 

これなら紅茶も淹れられそうだと喜ぶ咲夜に、
「三段の筒はまだ見つからないのか」と質問します。
咲夜は「このロケットがちょうど三段だしもういいじゃないですか」的なことを言うが、
どうやら違ったようです。パチュリーが求めていたのは、「容れ物」ではなく
「容れ物に入れる魔力」とのこと

 

咲「もしかして私に探させてた物って…」
パ「そう三段の筒状の魔力 それがロケットの推進力よ」

 

私が探さなきゃいけないものは「ただの三段の筒」じゃなく「三段の筒状の魔力を持った物」
だったみたい。勘違いしてた…っていうかちゃんと指示しましょうよォーッ
「三段の筒状の魔力を持った物」というワードに反応し
「その時を待っていたわ!」と絶叫する少女が一人。妖夢登場です。
すっげえ面白いギャグ会話の後に、本題に入ります。
ギャグが気になる? 購入しようぜ!(販促)

 

妖「ロケットは宇宙を飛ぶ船なのです つまり 推進力を探すなら
  航海に関する物を探さないといけません」
咲「…確かに そうね 幻想郷には海がないから そのへん抜け落ちていたわ」
妖「船を進める力がロケットを進め 海を鎮める力が航海を安全にするのです……
  って幽々子様が言ってました」

 

ここで霊夢がティンと来る!

 

霊「あー! 三段の筒見つけたわ!」

 

場面転換し、紅魔館。
「航海の神、住吉三神。各々の名は、
 上筒男命(うわつつのおのみこと)
 中筒男命(なかつつのおのみこと)
 底筒男命(そこつつのおのみこと)」
奇しくも、「航海の神様で三段の筒」この神様の持つ人力こそロケットに相応しい…
これはバツグンにうまいこと言ってますよね。一部ではこれがやりたかっただけだろと言われてます。

 

ダブルパチュリー!!!.jpg

パ「三段の筒でさらに航海の神だなんて 完璧すぎて裏がありそうなくらい! 
  サターンもアポロも目じゃない 私達の宇宙計画は住吉さんを名乗れば必ず成功する!
  『住吉月面侵略計画(プロジェクトスミヨシ)』 ついに我々は月の都にたどり着く」

判定:伏線破壊

咲「私たちの目的は月に行くことであって 月から帰ることではないからね」

なんか途中で「行ったら勝利」みたいになっちゃってるんですよね。「侵略」じゃなくて。
後このロケット、たった一話で全壊します。
(アカン)

第六話 三神式月ロケット

博霊神社にて、魔理沙と霊夢による神様講座。長いのでくさいとこ突いてく感じで抜粋しときます。

魔「本気で修行してるんだな お前らしくもない」
霊「住吉さんは三柱の神様だからね 通常の三倍で修行しないと」
魔「神様も大変だな 巫女の体を借りるとすると 3世代住宅みたいなもんだろ?」

霊「日本の神様には面白い性質があるの 神様は何分割しようと 
    元の神様と同じ力を持つ 神様の宿る場所さえあれば 無限に神様を増やすことができるの」

魔「ということは お前に神様が宿るってのは…」
霊「その神様の性格を持つ、ってだけの話ね」
魔「なんだ、3世代住宅じゃなく 三重人格者になるってだけか」

魔「神奈子たちはどうなんだ? アレも無限に分身するのか?」
霊「肉体を持っている神様は 自分の神霊を分霊させるのよ 
  その神様の肉体と神霊の関係は 本体と生き霊みたいなもんよ 
  生き霊はいくつにも分かれるけど本体は増えたりしない」
魔「ふん 分身しても面白かったんだがな」

 

上巻P131にすごくかわいい魔理沙&霊夢のコマがあります(販促)
魔理沙は「忍び込む」という形でロケットに乗ろうとしているようです。

 

場面転換、紅魔館。レミリアとパチュリーが完成間近のロケットを眺めています。
魔術的な仕掛けを施している、とのことで、適当に触ったレミリアの右手が燃えて黒こげ。
しかしレミリア、ハンカチを被せて一、二、三で元通りに回復。

 

レミ「私はもっと洋風の方がよかったけど…」
パ「ロケットに限らず魔術は──」
レミ「形式が重要ってことでしょ?」
名言 ずるい.jpg 
パ「オリジナルを尊重し そこにさらにオリジナリティを付加して残すのが我々魔法使いの誇りですから」

 

場面転換で、久々の八雲紫。月の海でスキマを広げ、そこに座っています。

 

紫「道は近きにあり、然るに、これを遠きに求む。 吸血鬼も外の世界の魔法など頼らずとも 
  幻想郷だけであすべて完結するというのに」

 

紫は式神カラスを飛ばし、スキマの中に消えます。視点をカラスに移しつつ、
紫によるナレーションが入ります。

 

紫:外のロケットで行くには月の都は遠すぎる
私の力では月の都は近すぎる
月における月の都は 地上での幻想郷と同じ関係にある
外のロケットでは 月の都は見つけられない
私の力では 別の生き物を表の月まで連れて行くことは出来ない
だが 幻想郷のロケットなら あるいは──
藍しゃまがオフィスラブしてた相手.jpg 

月の都(中華風)に近づいたところで、式神ガラスごらんの有様に。

解説:小説での描写

妹に鴉の追跡を任せ、私は先回りをし鴉の行き先を操作する事にした。
月の都に辿り着く為の最後の海に罠を仕掛けるためだ。
海の上で暫く待っていると鴉は生物とは思えないほど、私の頭上に正確に飛んできた。
「穢土に生まれ、悪心に操られし穢身、お前の浄土はここではない!」
私が両手を広げると足元の海が次第に水分を失い、乾いた大地が姿を現し始めた。
草木の生えていない荒涼とした山、人間の月面探査の残骸、黒い空。そして空気のない世界。
荒涼とした表の月──これこそ地上の人間が追い求めた月の姿である。何と醜い、
寂しい世界なのだろう。大気と重力を失った鴉は、飛ぶ力を失い回転しながらゆっくり墜落し、
口から泡を吹いた。そして間もなく息絶えた。呼吸が出来ずに窒息死したのだ。
私は海と山を繋ぐ事が出来る。表の月と裏の月を結ぶ事もできる数少ない者の一人である。
鴉が完全に動かなくなった事を確認すると、再び海は水を湛え、豊かな大地が姿を現した。
(東方儚月抄 小説3話)

 

第七話 月のお姫様

最初で最後の、月の都お披露目回。
ここでいよいよ、豊姫&依姫が登場します。
まずは豊姫。部屋の窓(丸型)から桃の木を眺めています。

豊「──桃李ものいわざれども下自ずから蹊を成す 桃や李はおいしい実を付けるので
  何も言わなくても人が集まってくる」
(窓から身を乗り出し、二つの扇子で桃の実を取ろうとしている)
豊「ん あと少し……あと少しで おいしい桃への道ができるわ」
(桃 落下。)
豊「しょうがない 桃は私に運動をしろと言っているのね」
(窓から、桃の木に向かって飛び込む)

 

場面転換し、綿月屋敷の門。
作中唯一の「モブ月人」である門番二人と、レイセン二号のやりとりです。

 

ライトセーバーとか月スゲー.jpg 
月門番ビームサーベル持ち「だから 兎風情が綿月様になんの用事があるって言うんだ?」
          二号「緊急の用事なのです あるお方からの命令で……」
月門番ビームサーベル持ち「だったらその証拠を出せばいいじゃないか」
          二号「……それは…その」
  月門番茶髪真ん中分け「それに お前は誰に仕えている兎なんだ?」

 

身元を明かすと地上へ逃げたのがばれるし、手紙は誰にも見せるなと言われている。
どうしよう…とレイセン二号が悩んでいるところに豊姫が落ちてきます。

 

(むぎゅ、と、豊姫が二号を踏みつける)
月門番ビームサーベル持ち「あ あれ?」
月門番茶髪真ん中分け「豊姫様!?」
        豊姫「桃を拾いながら運動をしていたら 何やら表門が騒がしかったから見に来たの
           で 何をもめていたのかしら?」
月門番ビームサーベル持ち「いやその 豊姫様の足元で寝ている兎が 
             どうしても豊姫様と依姫様に会いたいと」
        豊姫「はい、桃 あや そんなんで揉めてたの? はい」

解説:豊姫は飛べない?

先程の「桃を扇子で取ろうとしている描写」と、この「門のてっぺんから飛び降りる描写」
に加え、豊姫は作中で空を飛ぶシーンがなかったことから
豊姫は空を飛べないのではないかと疑われたことがあるそうです。
が、

・「自室から、窓の近くにある桃の木に飛び乗り、そこから門のてっぺんまで移動している」
・「レイセン二号をふみつけて『むぎゅ』で済んでる」
・「小説三話で、『月の都に辿り着くための最後の海に罠を仕掛けるためだ。
  海の上で暫く待っていると…』とあるように、海上へ移動し、静止している」

という点から、豊姫にだけ空を飛べない設定があるとは考えづらいでしょう。
小説三話については「海面を猛スピードで走っているだけ」という反論もあったようですが、
よくわかりません。

 

ちなみに依姫は↓のカットがあるため飛行可能とされてました
扉絵.jpg 

 

場面転換し、綿月屋敷の廊下。ここで古女房こと依姫が初登場です。

 

依「お姉様? また新しいペットですか? もう いい加減にしてくださいよ」
豊「残念ながら ペットじゃないわよ」
二号「ペットじゃありません」
依「それにその桃だって庭に成っていた奴でしょ? もうちょっと熟れたら 
  全部取って宴会を開こうと思ってましたのに」

 

豊姫が依姫に「永琳の手紙」を見せると、依姫が百合漫画に出てきそうな感じで
頬を赤く染めます。是非お手元の儚月抄上巻でご確認下さい。(販促)
さらに場面転換で、綿月屋敷のうちソファ?がある部屋
レイセン二号と綿月姉妹の会話です

 

二号「地上に逃亡した八意様を許されるのですか?」
豊「許すも何も あのお方は私達の恩師です」
依「燕雀いずくんぞこ鴻鵠の志を知らんや 私達から見たら地上に追放された形になってるけど
  間違ったことをする方じゃないからね
豊「もちろん 建前上は月の使者のリーダーである私達が討伐しなければならない相手 
  ということになっていますが…きっとその日は永遠に来ないでしょう

依「でも 貴方が地上に逃げた罰は与えなければなりません
二号「え? あ なんで?」
依「月の兎には課せられた仕事があるはずです それが嫌だからって逃げてしまえば
  罰があるのは当然のこと 貴方の仕事は餅つきだったはず
  

依「貴方への罰は この宮殿に住み私たちと共に月の都を守ること 現場の餅搗きに 
  もう戻れないでしょう?」
豊「晴れて新しいペットになれたね 今日から貴方のことはレイセンと呼ぶわ
  これは昔地上に逃げたペットの名前 貴方には丁度良いわね」
二号「はい」

 

綿月姉妹の優しさやら甘さやらは儚月抄においてとても重要な設定です
これがないとマジで話が成立しませんからね…
そんなこんなでレイセン二号が退出し、姉妹二人の会話。

 

依「あ~あ 私たちは甘いなあ」
豊「あら 八意様が手紙を託すくらいなんだから 罰を与えてやってくれって言ってる気がしたけど」

依「でもねぇ これで玉兎を束ねるリーダーにまた目を付けられちゃうよ」
豊「何を今更 最近は月の都に不穏な空気が流れているからね 私たちの人手は多いに越したことはない」

判定:伏線放置

儚Wikiができるまでスレでもほとんど話題にならなかった激レアなキャラ、玉兎のリーダー。
もちろん二度と登場しません。
なお、「玉兎のリーダー程度に目を付けられるのだから、綿月姉妹は実は弱いのでは」
という意見も出たことがありますが、玉兎のリーダーが月人なのか兎なのか強いのか弱いのかは
まったく設定がないため、なんとも言えませんね。

 

そんなこんなの会話をした後、いよいよ永琳の手紙を開きます。
永琳の手紙には細工がしてあり、読んだ人数が分かるという。
わくわくしながら読む姉妹ですが、その内容に表情がこおりつく!
中巻に続きます

 

(封を切ると、なんかの魔法が起動し、空中に「1」という数字が表示されます)
豊「まだ誰も読んでないわね」

解説:永琳の量子印

私は手紙を書いた。書き手が八意永琳であることを証明するために二人のお姫様の
小さな頃の思い出話から書いた。途中で誰かに読まれたり改竄されることを恐れて
量子印をつけた。量子印は、量子の特性により中身を読んだ人の数が分かる特別な印鑑である。
これを発明したのは私である。未だ私にしか作れないので、これも本人証明になる。
その他にも二重三重に仕掛けを施し、最後に薬草で封をした。(小説第一話)

他の人に見られちゃいけない手紙なんだから自爆装置とかの方が…って意見もありますが
そのへんは「その他に施した二重三重に仕掛け」に期待って感じで…

豊「月に帰ってくるって言うのなら 私は大歓迎ですけど……」
依「私もよ」
謎手紙.jpg 

判定:設定無視

第二話にもあるが、

ナレーション:月の都では何やら不穏な動きが起きているという ただ 月の民の中では
       不確かな憶測が飛び交い現在も混乱している
       その中湧いて出てきたのが地上に逃げた賢者 八意永琳の逆襲という説 
       その場にいない者を悪役にすると民のベクトルが収束し混乱を避けやすい
       そういう理由で誰かが流した噂であろう

・月の都の創設者の一人(小説三話)
・月人のトップ、月夜身より年上
・飲んだら極刑な「蓬莱の薬」を二つも作った(漫画二話、ていうかこの回)
・月の公転、自転速度を狂わせるトラップを作成(小説五話)
・使者皆殺しで地上へ逃亡(永夜抄)

そんな噂が流れている最中に帰ってきたらえらいことになるのは考えれば分かること。
内容的にそんなもんじゃないくらい考えろとしか言いようがない。

中巻につづく!