あらしのよるに

Last-modified: 2008-09-22 (月) 23:01:57

あらしのよるに/原作:きむらゆういち 漫画:空十雲

695 名前:あらしのよるに1/空十雲[sage] 投稿日:2006/01/16(月) 23:17:27 ID:???

絵本『あらしのよるに/原作者:木村裕一 挿絵:あべ弘士』の漫画版。
作画の空十雲は『そらとくも』と読む。
話は全く同じで、オイシイとこどりのコンパクトサイズ。
絵柄がとてもコミカルにデフォルメされていて
動物的にありえないポーズとかとってるけどそこはご愛嬌。
基本的にどのシリーズも話は同じだけど、漫画版よりもちょっと多めに内容書いときます。
(つまり絵本・小説版の話もちょっと込み)


ある嵐の夜に、山小屋の中へと偶然非難してきたヤギとオオカミ。
雨のせいで鼻もきかず夜中なので相手の顔も見えないが
心細さから会話を始め、お互いが結構気の会う相手だとわかる。
『もしよかったら、今度お天気のいい日に一緒にお食事でもどうですか?』
『いいっすね!それじゃ明日の昼にでも!』
『でも、お互いの顔がわからなかったらどうしましょう・・・』
『じゃあ合言葉なんてどうすかね。オイラ、『嵐の夜に出会った者です』って言いやんすよ』
『ふふふ・・・『あらしのよるに』だけで十分ですよ』
そして翌日、山小屋の前で落ち合った2匹は、何と天敵同士のオオカミとヤギだった。


なんとかヤギが機転をきかせてオオカミには食われずに済み
それ以降も何度も逢瀬を重ねていく。『わたしたちって、秘密の友達ですね!』
そんなヤギを前にして、度々食ってしまいたい衝動にかられるオオカミだが
会話をする度、出会う度に『このヤギはとっても素敵で大切な友人でやんす』と思い始める。
しかし、とうとうお互いの種族に2匹の秘密がバレてしまい
『ヤツの種族から色んな情報を取って来い。そうすれば許してやる。』
と言われ、互いに微妙な雰囲気で会うも、やっぱり相手を裏切るなんて無理だ!
という結論に達し、2匹は激しい川の中に飛び込んで互いの種族を振り切る。
それでもしつこいオオカミの群れの追随により、とうとう決意する。
『まだ誰も行った事の無い、あの山の向こうに。きっと素晴らしい緑の森があるハズですよ』
それは猛吹雪の中の山越え。あるかも判らない楽園のような緑の森を信じて。


696 名前:あらしのよるに2/空十雲[sage] 投稿日:2006/01/16(月) 23:21:17 ID:???
途中で痴話ゲンカっぽいのをしたり昔話をしてみたり
ヤギに隠れて夜に動物を食ってくるオオカミと衝突したりもするが、2匹はお互いを信じて山を越えていく。
『今はオイラ、ヤギの肉じゃなくって、ヤギが好きでやんすよ。』
しかしエサも無く体力が付き、吹雪から逃げ込んだほら穴の中でヤギは言う。
『エサならあるじゃないですか。あなたの目の前に。
 私を食べてあなたは元気になって、この山を越えてください。』
オオカミの意思に反して鳴る腹の音。
『鳴るな鳴るな鳴るな!!!腹なんて減ってない!
 ・・・どうしてオイラ、オオカミなんかに生まれてきちまったでやんすか・・・!』
互いが互いの為を思い、オオカミは外からやってきて偶然ヤギを見つけたフリをして食べる。
という事に落ち着いた。が、ほら穴から出てきたオオカミはそんな気は毛頭なく
この吹雪の中をなおも追いかけてくるオオカミの群れを見つけていた。
そしてヤギを守るため、大きく一声吼えて群れに突進。
その声によって起きた雪崩により、群れと共に谷底へと落ちていく・・・
翌朝、吹雪などウソのように晴れ渡りほら穴から出てきたヤギ。そして山下に森を見つける。
『あった!やっぱり緑の森はあったんだよ!ねぇ、早くおいでよ!緑の森があったんだ!』
いつまでも呼び続けるが、いつも一緒に居たあのオオカミの声は、返ってこなかった。
(ここまでと、これからの話の間に約3年半も間があった。本当はここまでで完結だった)


それから1人で山を下り緑の森に辿りついたヤギ。
来る日も来る日もオオカミを待ち続けるが一向に現れずに日々が過ぎてゆく。
せっかくの緑の楽園なのに、あなたが居なかったら全然意味が無いじゃない。
心身ともに衰弱しきって、もう死んでしまおうかと思ったさなか、
この緑の森にオオカミが現れた!という動物達の話が耳に入る。 
喜び勇んで走って行くヤギだが、あちらからも走ってきたオオカミと正面衝突して気絶してしまう。
気が付けばほら穴の中。『良かった!生きていたんだ!もう、会えないかと思ったよ・・・』
『・・・・・・うるせぇな。お前、誰だ?オレにはヤギの友達なんてイネェんだよ!』
オオカミはあの雪崩から奇跡的に生還したが、何とそのショックで記憶を無くしてしまっていた。


697 名前:あらしのよるに3/空十雲[sage] 投稿日:2006/01/16(月) 23:22:45 ID:???
お互いの思い出を必死に語るヤギ。
『黙れ!食われたくないからってウソばかり並べるな!!
 お前は今夜、キレェな満月の夜に食ってやるんだよ。それまで草でも食って太ってな!』
そして大きな満月が登る。
『・・・たとえアナタにならば、食べられてもいいと思った。でも今のアナタはただのオオカミだ・・・
 こんな気持ちになるんなら、再会しなければよかった!
 こんな事になるんなら、あの山を越えなければよかった!!
 こんな終わりになるのなら、あの嵐の夜に出会わなければよかった!!!』


『・・・・え?今、何て・・・嵐の夜に・・・?あらしのよる・・・あらしのよるに・・・』


いちばんさいしょの合言葉によって
オオカミの中に蘇るヤギとの思い出の数々。



『・・・・・あれ?こんなところで、何してるでやんすか?』


『・・・・・・・・ずっと、あなたを待っていたんですよ!』


丘の上に登って、2人で見る満月。
『ねぇ、わたしたち、これからずっとずっと一緒だよね?』
『ずっと、ずーーーーっと、一緒でやんすよ!』



698 名前:あらしのよるに4/空十雲[sage] 投稿日:2006/01/16(月) 23:25:56 ID:???

・他のシリーズ展開の補足説明
 基本的には全部内容は同じ。


・絵本 幼年~絵本好きな大人向け
     絵がリアルでちょっと怖い(特にヤギの目がヤギ目(横目)になってる)
     平仮名だらけなので多少読みづらい。1番最初に出た本。
     大判(6冊)とリトル版(7冊)がある。最後まで出てるのはリトル版の方。
     当初、吹雪の中でオオカミが埋まってヤギが1匹だけ助かった巻で終わっていたが
     ある男の子からのファンレター『ふたりはまたあえるよね?』等を受け、
     前巻発売日より3年半後に、2匹が再会する最終完結版『まんげつのよるに』が描かれた。
     他の物(漫画・小説・映画)にも、この完結話までが入っている。
     個人的に感動レベルは、この絵本版の最終巻の描写が1番高いと思う。
     (それ以前の全巻を読んでおけばさらに感動できる)


・漫画 小学生~一般向け
     『まんがチック』な絵柄だがコンパクトにまとまっていて読みやすい。
     しかし短いので展開がものっそ早い。


・小説 中学生~一般向け
     絵本のほぼ全部のストーリーが入っていて
     更に2匹の心理描写がとても丁寧で判りやすい。
     ここにだけ入っている書き下ろしエピローグ(2Pほど)がある。ちょっと切ない。


・映画 声が付いた事により、ヤギがオスだった事が判明して
     大多数の読者がビビった。(今までの文面ではメスっぽかったので)
     内容サイズ的には漫画版とほぼ同じだが
     コンパクトになりすぎてて最後の再会時の感動がちょっと薄い。


・ゲーム 映画版のタイアップとして出たと思われるニンテンドーDSソフト。
     映画と同じストーリーが基本だが、途中に挟まれるミニゲームの成績などで分岐して
     計7つのエンディングがあるなど純粋にストーリー面だけ見ればなかなかいいらしい。
     しかしそのミニゲームの難易度が少しキツめ(小さい子じゃたぶん無理)なため
     「好成績が必要なエンディングがなかなか見られない」
     「子供のために買ったのに子供がクリアできない」
     などの不満の声も聞かれる。