ゴッドチャイルド

Last-modified: 2023-04-21 (金) 17:51:22

伯爵カインシリーズ(ゴッドチャイルド)/由貴 香織里

18 :ゴッドチャイルド 前まで 1/2 :04/02/20 04:20 ID:???
*「ゴッドチャイルド」は「伯爵カインシリーズ」の一番大きな章です。
 シリーズの既刊は
 「忘れられたジュリエット」→「少年の孵化する音」→「カフカ」→「赤い羊の刻印」→「ゴッチャ」の順。
 
 短編集が多く、少しずつシリーズを通した敵や目的が明らかになってくる作りになっています。
 時系列があやふやなので、ゴッチャ前とゴッチャ後に分けて大まかな説明を。


<はじめに>
舞台は中世のイギリス。
毒を集める趣味をもつ、若き伯爵カイン・C・ハーグリーヴズ。
その彼に幼い頃から付き従う若き執事リフ。
そしてある事件をきっかけに家に引き取られた、カインに溺愛される妹マリーウェザー。
この3人とカインの父アレクシス、義理の兄ジザベル、その他ゲストキャラを中心に事件は回ります。


<ゴッチャ前までのおはなし>
幼い頃に父が失踪し、若くして伯爵家を継いだカインは「毒の伯爵」の悪名を持つ放蕩貴族。
彼にはある出生の秘密があった。
彼は父アレクシスとその姉オーガスタが近親相姦して生まれた禁忌の子供だったのである。
オーガスタはカインを産んだため狂い、そのためカインはアレクシスに憎まれて育つ。
育ての母親に殺されかけたり、アレクシスに毎晩鞭打たれたり、可愛がっている動物が
皆いつのまにか死んでいたりと不幸一杯に育ったカインは、父の歪んだ愛情を信じた箱入り息子に成長する。


そんなカインが12歳になったある日。
家が火事で焼けて全てを失った元医学生の青年リフが、アレクシスの後見の元ハーグリーヴズ家にやってくる。
リフは、家に閉じこめられ父に毎夜鞭打たれるカインの奇妙な生活を目撃し、カインのお守りこと世話係となった。
そんな生活の中、リフはアレクシスが本気でカインを憎んでおり、砒素によって殺そうとしていることに気づく。
カインもそのことに薄々気づいてはいたが、父の愛情を信じていたいため真実から目をそむけ続けていた。
傷ついたカインは癒しを求めて、精神病院にいる優しい伯母オーガスタの元を尋ねていく。



19 :ゴッドチャイルド 前まで 2/2 :04/02/20 04:23 ID:???
ところが面会した途端、カインにアレクシスをだぶらせオーガスタはパニックに陥り、狂気のまま窓から身を投げる。
最期に正気に戻ったオーガスタは「私の坊や アレクシスに負けてはいけない」てなことを言い残し息絶えた。
そしてカインは、父が自分を憎んでいたことをやっと肯定し、覚醒する。


家に帰ったカインは愛する姉が死んで怒りMAXの父アレクシスを罠にかけ毒を盛る。
死にかけのアレクシスはその身を海に躍らせ行方不明に。そしてカインは12歳で伯爵家を継ぐこととなった。
事の一部始終を見届けたリフはカインの全てを知るものとして忠誠を誓い、
親のような存在となって主人を助けていくようになる。


また、ある事件で知り合った辻占いをしていた美少女マリーは、アレクシスと
メイドの間の子であったとわかりハーグリーヴズ家に引き取られる。
カインは血の繋がった肉親を得て、彼女をマスコット的に溺愛するようになる。


そしてとうとうある日、カインは父が生きており自分を狙っていることを知る。
父は巨大悪の組織“デライラ”の頂点に座り、ある計画を着々と進行させていた。
デライラの幹部には父アレクシス以外にも、カインの義理の兄であるDr.ジザベルがいた。
元々繊細な少年だったジザベルはアレクシスのサド行為によって人間を憎む極端なナチュラリスト
になっており、さらに父アレクシスの執着がカイン>ジザベルであることを憎悪し、
リフとカインの絶対的な信頼関係に嫉妬したり、さらにほんのり自殺願望まであったりと
色々忙しく複雑で可哀想なお人であった。
彼は今後色々な罠をしかけて、カインを苦しめたり助けたりするようになる。


その後もデライラが絡んだ切り裂きジャック事件に巻き込まれ婚約者を失ったり、
恋した少女が死人であったりと踏んだり蹴ったりなカイン。
カインが愛した少女は、デライラの実験体「屍人形(デッドリードール)」であったのだ。
死んだ人間をデライラの錬金魔術で蘇らせるという何ともトンデモ設定登場だが、
この後も屍人形は物語に絡んでくるようになる。


*ゴッチャの前までは、親に呪われて一人で生きていくはずだったカインがリフやマリーなど
大切な者を得て自分の存在価値を実感していく、というところがメインとなっているようです。


そしてゴッチャへ。



27 :マロン名無しさん :04/02/20 22:21 ID:???
>26
少女漫画だ。けどゴッドチャイルドの前までは男でも短編集として読めると思う。
そうだな、鋼の錬金術師のオマケ漫画にあったなんか盲目のオッサンが出てくる話
あんな感じの短編が揃ってる。不条理エンドとかが好きなら結構イケルと思うが。

ゴッドチャイルドは前半はいいんだが、後半はフォモ臭くなってくるので結構キツかろう。



68 :ゴッドチャイルド1 :04/04/03 21:55 ID:???
相変わらず事件に巻き込まれつつも、マイペースな生活を送る伯爵カイン、執事リフ、愛妹マリー。
デライラは影で怪しい動きをしており、時々カイン達にもちょっかいをかけてくる。
事件に巻き込まれることでますます深まるご主人様と執事の仲、兄妹の仲。


父の影に怯えるカインはあまり事に巻き込まれたくなく消極的だったのだが、
マリーや叔父のニール、リフにも危機が及んだことでとうとう覚悟を決め、防戦一方から攻撃態勢に移る。
霊媒師クレハドールと知り合ったカインはデライラの情報を得て、周りから少しずつ父の力を削いでいこうとする。
しかしその戦いの途中では体調を崩し徐々に憔悴していくリフの姿が…。
戦いに集中するカインはリフの不調に気付けなかった。


そしていざ追いつめるというときになって、最悪の事態到来。
今までのリフは消えて、別人格の男が目覚める。
カインが最も信頼し常に側に仕えていたリフは、父がカインにダメージを与えるための餌だったのである。
良心的な疑似人格であったリフは消え本来の冷酷な姿に戻り、カインを突き放し冷たく別れを告げた。
裏切りは許さない、失うくらいなら殺してやると、カインはその手でリフと父を殺すことを決意する。


リフの裏切りで何かが壊れてしまったカインは、冷酷な采配ぶりで本格的にデライラを潰しにかかる。
そしてようやくデライラの本拠地にカインが単身攻め込んだとき、デライラはある儀式を行っていた。
混乱の中、リフはアレクシスを殺して自分がデライラを支配しようとアレクシスに銃を向ける。
カインの兄であるDr.ジザベルは、アレクシスをかばい撃たれた。
なおもリフはアレクシスを殺そうとするが、それはかなわなかった。リフの腕が腐って落ち始めたのである。


リフはアレクシスによって作られた屍人形だったのだ。
5年前、冷酷なリフは家族を殺し家を焼き払った。しかしその時、弟の手によってリフもまた死亡していた。
アレクシスはリフの破壊的な性格を気に入り、屍人形として蘇生させた。そしてデライラのカードとして
リフは生まれ変わり、疑似人格を植え付けられカインの元に送り込まれていたのである。
ショックを受けるリフとカインに向け、アレクシスは冷たくリフの消滅を言い渡す。



69 :ゴッドチャイルド2 :04/04/03 21:59 ID:???
自らの命が果てることを知り恐慌状態に陥ったリフは、その心の弱さをもう一人のリフに突かれのり代わられる。
カインに忠誠を誓ったリフは消えていなかった。影に潜んで人格交代のチャンスを待っていたのである。
そしてカインはとうとうかつてのリフと再会するが、建物の崩壊に巻き込まれリフは転落、再び離ればなれに。


屍人形でもはや時間が残されていないリフは、命がつきようとしているジザベルに頼みこみ
命をわずかに延ばしてもらいカインの元へと急いだ。ジザベルは父の支配からは逃れられなかったが、
自分に尽くしてくれていた部下に見守られ薄幸な人生を閉じる。


カインは一人父の元へ対決に向かった。
そして辿り着いた先に居た父は、ロンドン中を巻き込む儀式を行い、愛する姉オーガスタを蘇らせようとしていた。
今までの様々な残酷な事件は、全て父アレクシスの姉さんハァハァなシスコンパワーで引き起こされたものだったのである。
オーガスタの頭骨を用意し、アレクシスの強要で憑り代に彼女の魂を降ろそうとする霊媒師クレハドール。


オーガスタの復活は目前と思われた。
そしてアレクシスは自分の元まで来たのはお前だけだ、とカインを迎え抱きしめる。
よくここまで辿り着いた、と。 しかしカインはアレクシスに毒針を刺した。
「死んだ者を生き返らせてはいけない、悲しみを背負って生きていく。
それが残された者に与えられた使命だ」
「こんな悲しいことは、もうこれで終りにするんだ」
カインはそう叫び、元凶となったオーガスタの頭骨を破壊しようと剣を振り下ろした。
アレクシスはそれをかばい斬られる。
憎みながらも自分がカインを愛し続けていたことを暗に示唆し、アレクシスは息子の手で息絶える。
塔が崩れ落ち、全てが瓦礫に飲み込まれていった。



70 :ゴッドチャイルド3 :04/04/03 22:02 ID:???
クレハドールともはぐれ、塔をひたすら脱出しようとするカインだが、出口は遠く体にも限界がきた。
自分は父のかつての予言通り一人で死んでいくのか。
そう覚悟を決めたカインの前に現れたのはリフだった。
なぜ自分の場所が分かったのか、と驚くカインにリフは甘さ全開の忠誠の台詞をのたまう。
しかしやっと再会できたリフの命はもう尽きていた。
目の前で砂となって崩れ落ちながら「地獄までお供出来ず申し訳ない」と詫びるリフに、
カインは最後まで自分に仕えるといったはずだ、と叫ぶ。
降り注いだガラス片からリフはカインを突き飛ばすが、カインは
「今更俺から逃げられるなどと自惚れるなよ…」と、残ることを選び…。


家でカインを待ち続けるマリーは、カインの異変を感じ取った。


しばらくたったが、事件のあった塔は崩壊しておりカインの生死は不明。
カインを亡きものとして争うハーグリーヴズ一族に、マリーは自分が家を継ぐことを宣言し兄の帰りを待ち続ける。
そしてカインを可愛がっていた叔父ニールは、カインの手紙を受け取っていた。
それは、マリーが本当はハーグリーヴズ家の娘ではない赤の他人であり、それを知っていながら
ニールがマリーを受け入れてくれたことに対する礼が書かれていた。
身内しか愛せない、他人を愛することができなかったカインにとって、マリーは血の繋がりがなくても
真実愛することができた奇跡のような存在だった。
そのことで自分が救われたこと、ニールに感謝している、マリーを頼む、という遺言のような手紙だった。



71 :ゴッドチャイルド4 :04/04/03 22:11 ID:???
そしてマリーは以前からカインが作らせていた霊廟に居た。
裏切ったリフのための墓かと思っていたが、これは本当は誰のための墓だったのか。
そう問うマリーの前に現れたのはなんと死んだはずのアレクシス。しかも女声。
ななんとアレクシスにオーガスタ憑依という裏技である。本性丸出しにしたオーガスタはマリーに語り始める。
即ちオーガスタこそが諸悪の根元であったということを。


呪われた血族の結晶のようなオーガスタは、弟のアレクシスハァハァでありしかも根っから変態気質(この一族って…)。
さらに一番愛する者=アレクシスの不幸になる姿を見てコーフンするという真性サドであったのである。
アレクシスがオーガスタを襲ったというより、オーガスタの方からアレクシスを誘った。
そしてカインを産み、狂気に陥った自分を見て荒れるアレクシスにまたハァハァ。
さらにダメ押しで自分が自殺して霊になって、アレクシスがますます狂いカインと殺し合う様を見てもうハァハァという、
なんともとんでもない女である。
そのことを誇らしげに宣言し、マリーを殺してハーグリーヴズの呪いに終止符を、といい襲いかかってくるオーガスタ。
ところがカインが墓に仕掛けたトリックで、オーガスタは胸を貫かれ棺桶に自動収納される。
マリーをカインは守り通し、呪われたハーグリーヴズの正統な血にも終止符がうたれ、悪の根源とやらは滅びたのである。


数年後、美しく成長し結婚したマリーの元に一人の紳士が訪れる。
その紳士はマリーには会わずに一つの指輪を残していった。カインの指輪を。
「お兄様ったら…」それを見て咽び泣くマリー。


その紳士はクレハドールだった。
指輪に込められたカインの想いを、彼はマリーに届けにきたのである。
あの時、塔が崩壊して怪我を負ったが生き延びていたクレハドールは
骨となったリフがカインを最後までかばい、カインがリフに守られ息絶えている、その光景を見た。
そこにあったのは不変の絆と、カインのいまだ生きているかのような微笑だった。
クレハドールは思う。
「だが自分は彼の死を信じてはいないのだろう だって彼は、いつものように優雅に微笑む---」



72 :ゴッドチャイルド書いたヤシ :04/04/03 22:13 ID:???
すんません「完」つけ忘れました。これで終わり。
最後は漫画のテーマというか描写がわざと曖昧なので、
文章もかきにくく曖昧になってしまいました。ご容赦。