チキタ☆GUGU 1話〜33話

Last-modified: 2010-10-16 (土) 22:21:18

チキタ☆GUGU/TONO

33 :チキタ☆GUGU :04/05/04 02:06 ID:???
第一話

呪い師か占い師かお祓い師かなんかのグーグー家の血をひくチキタ。
彼は赤ん坊のころ、祖父や父母を人喰い妖怪に殺され、金持ちのハイカ家へ引き取られ、
その家の娘ハイカと兄妹、もしくは幼馴染のように暮らしていた。
ある日実家に帰ると遠縁のものだと名乗るラー・ラム・デラルが現れ、
チキタと一緒に暮らすことになる。しかし翌日には美しい女だったはずのラーは男に変身し、
さらに翌日にはチキタほどの子供に、さらにはへびや鳥になったりした。
ラーは自分の形態が一定していないことを気にする様子はなく、チキタにご飯を作り、
好き嫌いはするなと口うるさく世話をする。チキタが「俺のお父さんてどんな人だった?」と聞くと、
鳥の姿をしたラーはよだれをたらしながら「とっても美味しい人だった…」という。
祖父母や父母はこのいろいろな姿に変わる妖怪に喰われてしまっていたのだった。
何度か逃亡を図るも、無駄に終わり、家にある呪術道具の使い方も分からず、チキタはさとる。
「だって毎日牛や豚食ったって 牛や豚から仇討ちなんてされたことないし
 考えてみれば食物連鎖のなかで人間だけ何からも食われないでいるなんてズルいもんな」
と、人食い妖怪に家畜として飼育されることを受け入れる。
ある日、身の丈4.5メートル、緑の肌に真っ赤な目をした妖怪カナヤンに人が食べられ、
呪い師か占い師かお祓い師かなんかのグーグー家の血をひくチキタになんとかしろと村人は迫るが、
呪術を使いかたを知らないチキタは何もできない。
しかし村人らは何かできるだろうとチキタを人が食われた森の樹に縛りつけて帰ってしまう。



34 :チキタ☆GUGU :04/05/04 02:11 ID:???
一人取り残されたチキタの前に妖怪カナヤンが現れ、「カ、カナヤン…!?」といったチキタに
カナヤンは「あらこの人間しゃべったわ」とびっくりする。
「人間って『アグアグアグ…』とか『おたおたぐふっ』とか鳴くだけのもんだとおもってました」
そこへラーが気を失わせたハイカをつれて現れ、「こいつは特別だもん おれが飼育してるから」と声をかける。
カナヤンはラーに久しぶりだと挨拶し、
「ごめんなさいね あなたのもんなら悪いわね やめておきましょう」と文化的会話を交わし、
ラーは「こいつはまだ苦いんだ」と代わりにハイカをカナヤンに差し出す。
チキタはハイカを守ろうと鎖を引きちぎり泣きながらカナヤンに突進。
そのはずみでチキタからこぼれおちた涙をカナヤンは舐めてしまい、絶叫し、
「まずい、苦い」を連呼して泣き叫び、消える。
ラーは時々人間の中にチキタのようにまずい人間がいると語る。
祖父や父母を食べた後、赤ん坊のころのチキタを食べようとしたが、
ひとなめで胃を痛め、人肉をめっきり食べれなくなったという。
「じゃあどうしておまえ俺のそばにいるのさ」とチキタが聞くと、ところがお前のような人間がな、歳を経ると逆に甘くおいしくなるという。
「年を経るってどのくらいの年?」
「百年」その言葉にチキタは大笑いする。
(つまり、これから百年 やがて食べることが目的とはいえ自分を守ってくれるのか。「親の仇」!?
そんなこたどうでもいい だって村はずれの森でひっそりとカナヤンが死んでいたって聞いたときも
俺は心から悪かったな と思ったんだ。)
第一話 終



67 :マロン名無しさん :04/05/04 15:15 ID:???
第二話
まずい人間を百年飼育すると美味しくなると、人喰い妖怪ラー・ラム・デラルはチキタ・グーグーを飼育中。
呪い師か占い師かお祓い師かなんかのグーグー家の血をひくチキタのもとに、ティン・ハオと名乗る壮年の男が、
自分が作った桃をたくさんもって現れる。
桃の美味しさに舌鼓を打つチキタに、もうこの桃をだれも買ってくれない、と相談する。
桃の農園から、人間の死体があらわれたせいだという。人為的な様子も見られないのにあちこちの墓場から人間の死体がティン・ハオの桃の農園の土に埋まっていて、
そのうわさが広まり桃はまるで売れず、畑男もやめてしまうと嘆くティン・ハオの言葉に
チキタはあわてて食べていた桃を吐き、ティン・ハオが帰った後、桃をラー・ラム・デラルに捨てろという。
「畑ってのはどっちにしろ鶏糞や生ごみが埋まってるもんだろ
 死体が埋まってたからってどうして突然この桃が喰えなくなるのさ!?」とラーは不思議がる。
そこへ帰ったはずのティン・ハオが現れ、「人がせっかく育てた桃を」とチキタに襲い掛かる。
それを止めてラーは「確かにこの桃は食えたもんじゃないな」という。
ティン・ハオが畑に死体を埋めたのか、と聞くチキタにラーは「前半のティン・ハオの話は本当だ」といい、
「お前と別れた後、こいつはこの桃を食べたんだ そしてのっとられた。」



68 :マロン名無しさん :04/05/04 15:19 ID:???
ティン・ハオの畑に行ってみると、畑男が殺され、畑に埋められているのを見つける。
そこでチキタは得体の知れない視線を感じ、ラーは
「まるでお前が ココナッツのパイでも見るときみたいな目つきでおまえを見てるね…」という。
その視線の主はその桃の畑の一番大きな桃の木からだった。
この桃の木が、近隣から死体を集め、畑男をティン・ハオに殺させて畑に埋めさせたのだった。
ラーはチキタの血を一滴だけ桃の木にふりかけ、
「こいつが人喰いなら、これで二度とお前に食指を動かしたりしないさ」と告げる。
後日、先日の記憶のないティン・ハオは畑に死体が出てこなくなったことを喜んで桃をたくさんもってきて報告する。
一番大きな桃の木はどうなったか、ラーが聞くと、あの木は山から移植をしたばかりでデリケートなケアが必要だったのか枯れてしまった、と答える。
ラーは「カナヤンのときといい まずいどころかほとんど毒だな…お前って」とあきれる。
チキタは山のなか、自殺者や人の争いなど、いろんな偶然が重なってあの木は人の味を覚えたのだとぼんやりと思う。
そういえば畑男の死体はどうしたのかとラーに聞くと、肉も骨も一ミリほどのカケラにして土に混ぜた、という。
「だから来年もティン・ハオの桃は大豊作さ」ラーの言葉に
チキタは(さすが妖怪…ものすげえ人でなし…)とお茶を飲みながら思う。

まだまだ百年ははじまったばかりである。

第二話 終



71 :チキタ☆GUGU :04/05/04 17:41 ID:???
第三話
チキタの住む村の周りに熊が出没。
猟師が山に入るが捕まらず、人々はみな熊よけの鈴、太鼓を身につけ、まるでチンドンやの様な格好をしていた。
さらには村に洗っていない下着を盗む変態があらわれ、チキタはハイカの父に気をつけるように注意される。
ラーはチキタの母のしゃれこうべをなめつつ、「人間を研究するんだ」という。
より効率よく人間を餌食にする、と宣言するラーに、
チキタは「そんなこと考えなくてもお前はほとんど万能で無敵だろ?」と聞くがラーは「そうでもないよ」と答える。
チキタはラーのことをほとんど知らないことを思いだし、気をつけようと思う。
木こりが熊に襲われ、熊におわれたときの対処法として服を脱ぎ捨て、ジグザグに走ってにげたところ
熊は人に見向きもせず脱ぎ捨てた服にすっ飛んでいったと語る。
「あんなの熊じゃない」熊は木こりの脱いだ服を食べ、体には水玉模様をしていたという。
「あれは熊じゃない おまえの管轄だぞ!あやしい屋のチキタ・グーグー!」
そこへ水玉模様の熊が現れ,きこりを部屋の外へチキタは追い出す。
ラーは「ハロー シャルボンヌ」と挨拶する。「また人喰いかよ」と口走ったチキタに熊のシャルボンヌは
「ばかが てめえらみたいなきちゃなげなもん食らうかよぉ」と話す。
ラーはシャルボンヌは布喰いで、人間の汗やアカの染みた布が大好物なのだという。
「ほんじゃーけん 好きなもんは人間の下着じゃー」といい、
ラーに「こげにフケツで臭かもん よう喰う気おこるな」
チキタの家の外で駆けつけてきたハイカ父らにあわて、チキタは熊を追い出そうとし、
「帰らないと俺の下着を喰らわすぞ!」とおどし、シャルボンヌは「おっとろしかー」と逃げる。
チキタは人間でないものに侮辱され腹立つ。
(ラーが人間を研究しようというなら俺はこいつらを研究しよう)と決意するが呪術道具の読み方一つ分からず、祖母のしゃれこうべにすがるのだった。



72 :チキタ☆GUGU :04/05/04 18:05 ID:???
第四話
近頃チキタはいろんな人に注目され、話しかけられる。それでチキタは自分の体の異変に気づく。
跡が残るといわれた古傷がきえ、黒子がきえ、髪はサラサラ、肌はスベスベ。
不審に思い、ラーに「俺に何をした?」と問いただすと、
ラーは「食品のアク抜き」だという。
「ゆくゆくはチキタをおいしくいただくための下ごしらえ」
「ホクロやキズってまずいんかい」
「ホクロやキズもシミもアザも体にたまるどんな毒素も不純物もどんどん取り除かせてもらう」
あらためて自分が妖怪のエサであることにショックを受けるチキタ。
 ラーは一人暗闇のなか、しゃれこうべに「怒ってるのか?」と話しかける。
しゃれこうべは「おまえに怒りを感じたことなど一度もない だってお前は何にも分かっちゃいないんだから」
「どういうことだよ」
「おまえは人間のことも鳥も獣も何にも分かっちゃいない 何にも知らない」その言葉にラーは怒り、
「俺は人喰いでずーっとやってきたんだ獣や鳥はともかく人間のことなら良く分かってる!」と暴れる。
 豚小屋の前で豚を見ながら
(おなかま おなかま)と思っていたチキタの前に幼馴染のハイカが現れ、
「どんなに変わってもチキタはチキタだもんね」といってくれ、チキタは元気になる。
家に帰ると、室内はめちゃめちゃ、ラーの形態も人の顔に角、翼、蛇の尻尾がついているなどめちゃくちゃな姿になっていた。
とぐろを巻いてチキタにまとわりつき、「百年経ったら必ずお前をおなかいっぱい食べるんだ」と宣言。
チキタはラーが落ち込んでいると感じ、人間みたいだと思う。
第四話 終



73 :マロン名無しさん :04/05/04 19:39 ID:???
チキタって美形なの?



75 :マロン名無しさん :04/05/04 20:06 ID:???
>73
どうなんでしょ?
ラーは人間に好かれなきゃいけないんで男だろうがおんなだろうが美形に変身しますが…
チキタは美少年としっかりかかれたわけではないけど一応美形なのかもしれません。



160 :チキタ☆GUGU :04/05/06 01:52 ID:???
第5話
チキタは夢を見ていた。
昔、どこかのサーカスで育ったシャルボンヌという熊の夢を。
太鼓がたたけ、笛が吹けた人気者だったが、人気がなくなってきたため
親方はシャルボンヌに水玉模様のペンキをぬり、人気は少し盛り返すも、
そのペンキは毒だったのでシャルボンヌは弱り、使い物にならなくなり山の中に捨てられる。
そこでチキタは夢から覚め、かわいそうだと泣く。
ラー・ラム・デラルは「あの下着喰いのこと?」ときき、「そういやそうだ」とおもうチキタ。
なぜこんな夢を見たのかと不思議がる。ラーは無言でチキタのベッドにある祖父母のしゃれこうべを見る。
最近チキタの様子が変わったせいか、美容関係の悩み事を持ち込む女が増える。
くせ毛の黒髪美女があらわれ、チキタにもっと美しくなりたいと相談。
チキタは成長期の作用のせいで秘法や秘薬とは無関係だと追い返す。
その夜、またチキタはシャルボンヌの夢を見る。
捨てられ、死に掛けたシャルボンヌはラッパを吹こうとする。そこに声がかけられ、
「バカなくまだ それを吹けばもう一度サーカスが戻ってくると思っているのか?」
さらに、「子供のころから人間に育てられたのか だから檻に入れられ、ムチをくらいあげくそんな目にあってもお前は分からないんだな 人間が憎いのか恋しいのか」
チキタが夢から覚めると両手両足を縛られ、のどもとに剣をつきつけられていた。
昼間きた黒髪の女がきれいになる方法を教えろと迫る。
知らないというチキタに女は剣でチキタの足を刺し、おどす。
そこにラーがあらわれ、女はラーの額にある印を細い棒で貫き、ラーは倒れる。
ラーを心配しさわぐチキタに女はうるさがり喉に剣を刺し、チキタは死ぬと思う。
そしてシャルボンヌの夢の続きを見る。



161 :チキタ☆GUGU :04/05/06 01:52 ID:???
「このまま消えうせるも切なかろう 時が許す限りさまよってごらん」
謎の声で死に掛けたシャルボンヌは甦るが、何も覚えていなかった。
ふと心引かれる匂いを感じ、それが自分を捨てた人間の下着と知らず、熊は布を口にする。
そうしてシャルボンヌは布喰いになった。
見守るチキタの前にラーが現れるが、それはラーの姿を借りた別の存在だった。
「いつもラーの中にいるよ 私たちをあの子の中に見つけてくれるね」微笑んでいう。
目を覚ましたチキタの目前に、先ほどの女が殺され天井から吊り下げられていた。
ラーが回復してやったものらしい。チキタはラーを心配するがラーは
「ちょっと転んだだけ」といい、相手にしない。
翌日、死体のぶら下がる部屋で、チキタはラーに熊の姿になってもらう。
白い熊のすがたをしたラーに抱きつき、チキタはシャルボンヌの夢が実際起こったことだと思い、(ごめんよ…)と謝る。



162 :チキタ☆GUGU :04/05/06 01:55 ID:???
第6話
ラーは人間を百年飼育するには、精神のケアが何より重要だと聞き、
他の妖怪のアドバイスどおりチキタの家族になろうとする。
チキタは家業の事を勉強しようと、同業者一族のいる隣村の山の中へ白い熊の姿をしたラーをつれて行く。
その一族、シャンシャン家の長はチキタを歓迎し、いろいろな話を聞かせてくれる。
妖(あやかし)の分類は大きく分けて「人が作ったもの」と「そうでないもの」に分けられ、
チキタの一族グーグー家は妖作りの名人だったという。
チキタは薦められたお茶を飲むがその中には毒が入っていた。
チキタをラーは心配するが、シャンシャンの術にかかり、ラーは体が動かせない。
シャンシャンは「人が家畜のようにエサとして妖に飼われようとは 恥の生より誇り高き死を」と告げる。
そこへ先日チキタを殺そうとした黒髪美女そっくりの茶髪の少年が、
「俺の母親を殺したな」とチキタの髪をつかむ。
あせるラーに、ふいに外部から助力が入り、シャンシャンの術から開放される。
ラーはすぐさまチキタを助け、震えるシャンシャンに
「誇り高く全滅すっかシャンシャン」と笑いかける。
シャンシャンの息子の茶髪少年は泣いて震えながら「親の敵」とラーに刃向かうが、
ラーは「おまえさー蚊とかボウフラに勝負とかいわれてもこまるだろ
 たった百年生きるのも難儀な弱虫のくせにアホなことにうつつを抜かすな せっせと生きろ」
見逃し、チキタをつれシャンシャンを去る。
ラーは先ほどの外部から助力した存在に「出て来い」というと、
「なんだい さっきのお礼?その子を半分くれるのかい?」と金髪の少年が現れる。
なに者かとたずねるラーに「分かるだろ お前と同じ人喰いだよ」と笑いかける。



165 :チキタ☆GUGU :04/05/06 01:59 ID:???
第七話
チキタが目を覚ますとクリップと名乗る人喰いの金髪の少年が、これからチキタのそばにいると言い出す。
シャルボンヌの物語や二度殺されかけたせいで人間に嫌気がさしていたチキタはそれをすんなり受け入れる。
クリップがラーがずっと熊の姿をしているのはなぜかと尋ねると、ラーは
「チキタが熊を好きみたいだから…」という。からかうクリップにラーはけんかをふっかける。
 あわてた様子でけがをしたぼろぼろの男が一人やってきて、一緒に来てくれとチキタに頼む。
妖しい関係は何もできないと断るが押し切られ、行くと、大きな木のてっぺんに大きな鳥が止まっていて、
その木には三人の赤ん坊がぶらさげられていた。その大きな鳥がやったのだという。
すぐに村の男達が木に登って助けようとしたが、大きな鳥の妨害にあい、だれもその鳥を倒せずにいたのだった。
実は、その木は村で二番目に大きい木で、一番大きい木はこの間切り落としてしまっていた。
その木にあった鳥の巣に、ヒナが三羽いた。



168 :チキタ☆GUGU :04/05/06 02:00 ID:???
少年の形態をしたラーは「人間の命もあの赤ん坊で丁度3人 これで鳥の怒りも収まる」と笑って言う。
クリップは「木を切るにしてもせめてあなたがたはヒナが巣立つまで待つべきだったんです。今回の事は自分がまいた種 高い代償でお気の毒でしたが」
その言葉に赤ん坊の母親は泣く。
チキタは村人がみな怪我を負わされたのを見て、かわりに赤ん坊の遺体を連れ帰ろうとする。
ラーは熊に変身し、チキタを背中に乗せ空中へあがる。チキタは
ラーに「熊じゃなくてもおまえのこと好きだよ」といい、ラーは照れてぐるぐる回る。
チキタは傷や血まみれの大きな鳥を見て
(痛ましい たとえ怪物でも傷は痛かろうに)と思い、さらに赤ん坊にもこの子には何の罪もないのに、と気の毒に思う。
しかし三日目にさらわれた赤ん坊だけはまだ息があった。そして大きな鳥も息絶え、地へ落ちる。
結局赤ん坊一人だけが助かるも、後味の悪い話だったというチキタに、
クリップは「あの鳥がいつ命を失ったか分かるかい?」とたずねる。
チキタが鳥の傷に気づき、痛ましいと心を寄せたとき、鳥はもう死んでもいいと思ったのだと。
「どんな怪物でもね 分かってもらえるってことにはすごく弱い」
そしてチキタは無自覚とはいえ人喰いをすっかり手なずけている、
と杖を持ちながら思う。



170 :チキタ☆GUGU :04/05/06 02:05 ID:???
第八話
ラーに変身能力があるのは、人の心を捉えるためだという。
若い男には美しい娘、若い娘には美青年、または小動物の擬態で狙った人間を誘い込み、食べるのだと。
「だから俺が変身するものは全部人の目にかわいく美しく好ましくうつるようなものときまってるんだよ」
クリップは何かに化けたりはしないのか、と聞くチキタに「私はこの形ひとつで」と答え、
チキタは「女性専門なんだ」と納得する。ラーは「偏食かい」男も老人も子供も食わないと、というが、
「子供はともかく女以外は喰いたくない」とクリップは言う。
そんな二匹の人喰い話に加わっている事にぞっとしつつも、チキタは最近昔ハイカの家にいたときのように楽しいとベッドに入り込んでくるくまラーを見ながら思う。
夜中、目が覚めるとクリップの前に女の幽霊が現れ、
「どうか思いを遂げさせてくれ」と泣くのを見る。
翌日、またもや妖しい関係の以来が来、断るも連れ出される。
ある村の一番大きな家の屋上に、たくさんの魚が運ばれてくる。
主人の男は、最初カラスの餌場になったのかと思うが、ほかにもサルや猫、蛇などいろんな動物が魚を運んできて、
追い払ってもキリがなく召使も妻も逃げてしまったという。
クリップは微笑んで「大丈夫 奥さんが戻ってくれば終わりますよ」という。
最後の魚とともに「うらめしや」と夜中にクリップの前にあらわれた幽霊がでる。



171 :チキタ☆GUGU :04/05/06 02:06 ID:???
「あなたが殺して海に捨てた奥さんでしょう?!」クリップの言葉を男は否定するが幽霊は
「これでやっと全部揃った 私をむさぼった海の魚
 あなたに殺されこれだけの魚についばまれて骨になったんだ」おまえも同じようにしてやる、
と魚を襲い掛からせるが、ラーが男を助ける。「この人を殺して捨てたのは事実だぞ 敵を取らせてやらないのか?」クリップの言葉にラーは
「チキタの前での人殺しは健全な精神の育成に支障が起こる」というと
クリップは「何にも知らん妖怪のくせに 人間同士の話に割り込むな」という。
怒るラーを止め、チキタは仇とかそういうのいやだ、といい、おびえる男に謝れ、とどなる。
「そういう問題か?」とあきれるクリップに、
「だってこの人だっていつか死ぬんだ だから何も今殺さなくてもいいじゃないか
 いつか死んで火に焼かれたり土の中で虫に食われたりいつか奥さん あんたと一緒になるんだ
 だからその日まで待ってくれ」必死で言うチキタ。
男は泣いて土下座しながら「許してくれ」と何度も謝り、幽霊は涙を流して消え去る。
クリップは家で杖を抱きしめながら
「さみしいな いいかげん目を覚ましてくれよ オルグ」と杖に話しかける。
チキタはクリップに「あんたあの時ラーに『人間同士の話に割り込むな』といったね あんたひょっとして…」
いいかけるチキタの手をとり、クリップは噛み付き、その血をなめていう。
「ご名答 私は『人間』なんだ 『人間』で『人喰い』なんだ 最低だろ」と人喰い人間クリップは舌を出す。



253 :チキタ☆GUGU :04/05/06 23:23 ID:???
チキタ☆GUGU
一巻までの登場人物整理
チキタ・グーグー…占い師だかまじない師の血を引く黒髪の少年。
妖怪にとって死ぬほどまずい人間。
ラー・ラム・デラル…人喰い妖怪。チキタで「百年」をしようとする。
変幻自在。額に(作中いわく猫の肛門のシワのような)印がある。
ハイカ・ハイカ…(ハイカ家のハイカとあったのでおそらくこの名前だが確証はない)
チキタと育った幼馴染の女の子。ラーをチキタの親類だと信じている。
シャルボンヌ…水玉模様の熊。人に毒のペンキを塗られる。布喰い。
シャンシャン一族…チキタの家と同業。
クリップ…金髪の少年。いつも蜜柑の枝で作った杖を持ち歩く。実は人喰い人間。

この話は文にするとかなり残酷なものばかりですが、漫画だと絵が雑でかわいらしくてリアリティがないのであまりそんな印象は感じないようです。



254 :チキタ☆GUGU :04/05/06 23:26 ID:???
第9話
クリップはラーに自分は百年の経験者だと語り、協力を申し出る。
もののけパーティでラーは他の妖怪たちにクリップのことを話し、
「どうしてただの人間が空を飛んだりするの?」とみなで不思議がる。
そして「妖怪造りの名家 グーグー家が造りだした傑作ラー・ラム・デラル」とクリップにいわれたことを思い出し、心当たりがなく悩む。
チキタの元へ全身に古傷を負った若い女性テシアがたずねてくる。
テシアは双子の姉キヌアがいて、キヌアが怪我をするたび必ずテシアの体に移ってきてこんな体になってしまった、と泣く。
クリップは「きっとおもしろい経験ができる」とチキタを連れて行く。
テシアの家にはキヌアに求婚するシタンという男が現れていた。
キヌアはまた顔に怪我を負い、「また迷惑をかけるわね テシア。ごめんなさい」と微笑む。
テシアは泣きながら昔からよく双子が生まれる家系だが、片方しか生き残る事はないと語る。
それがなぜかさだかでないが、生き残るのはキヌアだろうとくやしがる。
クリップは「人喰いの妖怪は人間の傷跡を消して清めてから食うんだよ だから生き残るのはテシアだ」という。



255 :チキタ☆GUGU :04/05/06 23:28 ID:???
そこへキヌアとシタンが現れ、ラーは「もうその女は美味しそうな匂いをプンプンさせてるなーシタン」とシタンに笑いかける。
シタンは竜のような巨大な妖怪の姿になり、止めようとするチキタをさえぎり、
クリップとキヌアを食らおうとする。
戦うクリップとシタンを見ながらキヌアはテシアに謝る。
自分が生き残れない方だと知っていたキヌアは、自分ひとり死んでゆくのが悔しくてわざとたくさん傷を負って妹を苦しめたのだった。
「でも私が死ねばその傷は全部消えるから許してね」微笑み、
キヌアはシタンに喰われ、同時にテシアの体から傷が消え去る。
次にクリップを食べようとするシタンの前に、小さなリスのような黒い妖怪オルグが現れ、シタンを消す。
オルグはクリップにぱむぱむと駆け寄り、くりくりと
「クリップ クリップ 大好き 大好き」といったあと杖に戻る。
今のは何かとたずねるチキタにラーは「すっごく古くて強い大妖怪オルグ」と答える。
キヌアの葬式で、テシアは
「もう双子が生まれてもこんな悲しいことは起こりませんよね」と泣いてたずね、チキタはそれにうなずく。
一方クリップは杖を抱きしめ、
「俺はこのオルグが『百年』をかけた人間なんだ」という。3百年生きていると聞いて、
ラーは「百年は当に過ぎているのにどうしてオルグはお前を喰わないんだ!!」と聞く。
「百年ってね…そういう時間なんだよ」
そしてクリップは過去を語りだす。



256 :チキタ☆GUGU :04/05/06 23:31 ID:???
第10話
3百年前、クリップが住んでいた所に山奥には戦で畑はなく、獣の姿もまれで、
生きるためにクリップの両親は山に転がっていた兵士の死体を食べ始めた。
クリップはそれを当たり前のこととして育ち、大きくなり山の外れで人と出会い、恋をする。
平然と人を食べることに恐れをなし、彼女は逃げ、彼女に人を喰らうことを聞き、
村人や兵士はクリップら家族を追い、父母は逃げ切れず殺される。
クリップは死後自分の死体が無駄に火にくべられるのが我慢できず、
せめて妖の血肉になりたいと自ら人喰いに食べられに行くが、
妖怪チョロルはクリップをひとなめしてあまりのまずさに息絶える。
チョロルの友人オルグは「今からお前で『百年』やってうさばらしする」
と干からびた人肉を口にするクリップにみかんをあたえる。
 百年経つがオルグはクリップを食べようとせず、
「今日はお腹空いてないから明日食べるもんね」と先延ばしにする。何も口にしないオルグに、
「いいかげん俺を食べろよ」というが、
「クリップの周りに美味しい空気がいっぱいあっておなかいっぱい」という。
蜜柑の木の枝を切りその上にオルグをのせると、そのうちに杖と一体化して何も話さなくなる。
 ある日、チキタは山を越える旅人に狼よけの護符をかいてやる。
効き目は2,3時間しか持たず、旅人は狼に食われてしまう。
気づいていながらなにもいわなかったラーにチキタは怒り、泣き喚くが、ラーはなぜ怒るか分からず怒る。
クリップは旅人の死体の一部を食べようと持ち帰る。
チキタは「もうそんなもの食べなくてもいいじゃないか」と蜜柑を渡す。
クリップは「オルグとの百年はかけがえのない時間だった
 こんなになってもまだ生きていかなければならないなら、もう一度オルグを取り戻したい」
チキタとラーのそばにいればその方法が見つかるかもしれない、と。
ラーが山の狼を全滅させると騒ぐのをチキタはなだめ、
「狼や人喰いは全滅してほしいわけじゃない、俺はお前も狼も好きなんだよ」
「喰ったり殺したりしても?」たずねるラーにチキタはうなずく。

すっかりくまが板についたラーは自分が本当は誰かのたくらみに落ちつつあるのを気づいていなかった。



258 :チキタ☆GUGU :04/05/06 23:35 ID:???
第11話
布喰い熊のシャルボンヌが首にラッパをぶらさげ、チキタの家を訪ねる。
くまのラーをみて「まーねしまねし」とぐるぐる回る。
シャルボンヌを見たものはみな逃げるが、人家で布を漁っていた時、
酔った老夫婦と仲良くなり、シャルボンヌはおじいさんの手伝いをしてともに暮らすようになったとうれしそうに語る。
「寒さで年寄りがまいっとるで 何か精の付くものよこせや」といい、
シャルボンヌから腐った肉の匂いがするのが気になり、チキタは老夫婦の家についていく。
その老人の家にはシャンシャンとその息子がいて、シャルボンヌをみて騒ぐ。
何があったのかと尋ねると、シャルボンヌと一緒に暮らしはじめてから、
老夫婦はたびたび寝込むようになり、10日ほど前には口も聞かなくなったとシャルボンヌは語る。
「皆冬眠に入ったんだと思ったんだども…ちゃうのけ?」黙るチキタに
「じゃあおじいさんもおばあさんも死んだのけ…?」チキタはそれにうなずく。
シャンシャンはシャルボンヌの体の水玉の染料の毒が老夫婦を殺したという。



259 :チキタ☆GUGU :04/05/06 23:37 ID:???
シャンシャンの息子は
「どうしておまえはいつも妖のそばにつくんだ!?人間のくせに」と糾弾する。
チキタは「一番最初にこいつを毒の染料で染めたのは人間なんだ!」と反論するが
シャンシャンの息子は鼻で笑い「そんな人喰いちっとも怖くない」といい去る。
シャルボンヌはおじいさんの
「あれはいい熊だ 今ではわしらの家族じゃ」という言葉を思い出しながら、
「ラッパを吹いたら誰かが喜んで一緒に暮らしてくれるかもしれないもんな」という。
ラーは「てめぇと一緒にいたからあの二人は死んだ だれがおまえと暮らすかよ」とののしり、
その言葉に「俺と一緒にいたからあの二人死んじゃったのか」
「でもそれはおまえのせいじゃない」チキタはいうが、
「これからもずっとこうなんだ…そんならもういいや……」そしてシャルボンヌは消え去る。
あとには毛皮の切れ端とラッパしかのこらなかった。
 クリップは木が枯れる時は、木が「もう十分生きた、もういいや」と思ったときだと語る。
熊のシャルボンヌもそうだったのだろうと。
チキタはどのくらいいきたら「もういいや」と思うのだろうか、と思い、
クリップはもとが人間の自分には今の自分は長すぎる寿命だと思う。

遠い昔、誰かが「人間を憎いのか恋しいのか ときが許す限りさまよってごらん」
と死に掛けた熊を甦らせた。
結局シャルボンヌは人間を憎いのか恋しいのか 誰も知らない。



267 :マロン名無しさん :04/05/07 00:35 ID:???
第12話
ラーは人間を食べると、あったまって幸せな気持ちになっていた。
しかし長い間人間を食べていない事に思い当たり、最近腹が減らない事を不思議に思う。

チキタはシャンシャンの息子ニッケル・シャンシャンに呼び出される。
侍女にお茶を出させるニッケルにチキタは
「お前の母親は俺を殺そうとしたからラーが殺した」というと、ニッケルは
「俺の母親は若いころから目的のためなら手段を選ばず、
自分さえよければどうでもいいと思う女だった だけど俺が生まれて変わったんだ
 俺と自分さえよければどうでもいいとと思う女になったんだ」という。
シャンシャンは一夫多妻制で、ニッケルの母シータはニッケルにシャンシャンを継がせるため、
夫の妻や子供を次々と暗殺していった。
彼女が死んで父も新しい女に手が出せると喜び、悲しむものはニッケルただ一人。
「ひどい悪女だがたった一人の母親だ」といい、仇をとるから同じくラーに
親を殺されたチキタにも協力しろと迫る。
チキタは一人で寂しくてラーに飼われていただけなのかと気づく。
(ラーが俺の家族を皆殺しにしたから一人ぼっちなのに…)
突然お茶を飲んでいたニッケルが倒れる。
シャンシャンが手を出した侍女が、ニッケルの母に流産させられたのをうらんで、ニッケルのお茶に毒を入れたのだった。
苦しむニッケルに、シータの幽霊が現れとりすがるがなにもできない。
ラーがチキタを探しに来て、ニッケルを「ざまあみろぃ」と笑うが、
チキタはラーに何度も懇願し、ニッケルの毒消しをしてもらう。
ニッケルは意識を失い、ラーは「あとは体力勝負」だという。
チキタは願いを聞いてくれたラーに、今ではもう家族なのだと感じる。
(どうしたらいいんだろう 無邪気で残酷なお前を知れば知るほど もう憎めない)

帰り道、ラーは
(ああそうだ チキタと一緒にいるとあったかくなって 腹が減らないんだ)と思い当たる。
そろそろもう半年も絶食中のラー・ラム・デラルだった。



293 :チキタ☆GUGU :04/05/07 22:37 ID:???
第13話
 クリップ、チキタの前でラーはチキタの両親はバカだったという。
チキタの命を助けてくれるならと、四人もの人間が大喜びで命を捧げた、と。
「怒ったか」と聞くくまラーに、チキタはこうして心無い化け物とともにいる自分も、
そんな自分を守るため死んでいった両親も本当にバカだと思う。

 チキタの妖しい家業はたどたどしくも回り始め、分からないところは
クリップやラーに聞いて学ぶようになる。
 ある日、死んだ子を生き返らせてくれとわめく女が現れる。
たまたま来ていたハイカは、女を叩き
「そんなことチキタにできるわけないじゃない」と怒り、追い返す。
ハイカとその父はチキタをいたわり、なごむチキタ。お茶を出した美女バージョンのラーの姿を見て
「そいつに近寄らないで」と叫び、危険だからもう二度と来るなとハイカと父を追い返す。
「どうして俺の家族を殺したのさ」
「腹ペコだったから」とラーは答え、チキタは笑い、ひとり部屋に閉じこもる。
おじさんやハイカになにかあったらどうしよう、と泣き、ラーをこのままにしてはいけないかもしれないと感じる。
 いつしか寝入ったチキタの前に大妖怪オルグがあらわれ、みかんのうえに立つとスースーする、チキタもやれ、という。
チキタがやろうとすると当然みかんはつぶれ、オルグは泣いて悲しみ
「この子の絶叫が聞こえた?」ときく。わけが分からないチキタに
「ラーと百年やるのはやめてこの俺と百年やろうよ」と誘いかける。
一方、ラーはチキタに冷たくされ(寒い…おなかすいた)と思い、チキタを心配して家の周りをうろついてたハイカの後をつける。



294 :チキタ☆GUGU :04/05/07 22:41 ID:???
第14話
 オルグはチキタに「俺と百年いくならラーを始末してね」という。
ラーは不死身では、というチキタに「自分の体のことを忘れたの?」といい、
ラーが人肉のほかに唯一口にする飲み物にチキタの血をいれろとささやく。
 チキタが目覚めると、ハイカが行方不明になり大騒ぎになっていた。
ラーに食べられたのかと心配するが、ハイカは、昨日子供を生き返らせろときた女が首を吊った所をみて気絶していたところを見つかる。
気づいたハイカはチキタに「また一緒に暮らそう」といい、チキタはそれにうなずく。
 家に帰ると、ラーとクリップが食事から帰ったところだった。人喰いかと聞くチキタに
「当たり前じゃん 人喰いなんだから」とクリップは答える。
チキタはラーを殺そうと自分の血が入ったジュースを飲まそうとするが、ラーが食事しに行くも、ハイカも隣村の人間をみつくろうが
「どいつを見てもチキタに似ていて 殺す気になれなくって…」と結局人間を食べれらなかった事を知り、ジュースを自分で飲みほす。
ラーは分けが分からず、クリップにかわりにとお茶を渡され飲む。途端苦しみだす。
クリップは笑って自分の血をその茶に入れたという。
「百年効果はやはりともに過ごした妖しにしか効かないらしいな 俺を喰える妖怪はオルグだけってことだ」
ラーは人型を保てなくなり、得体の知れない形になる。チキタは怒り、
「俺のラー・ラム・デラルに何てことをするんだ」とクリップを殴る。
チキタは苦しむラーを抱きしめているうちに眠ってしまう。



295 :チキタ☆GUGU :04/05/07 22:43 ID:???
夢でハイカやその父に慰められる。オルグが現れ、
「その二人の中には見つけたんだね」という
「お前はクリップにこの間こんなものを食べろっていったけど、こんなものでも生きているんだよ」と蜜柑をつつく。
「だけどこの子の絶叫が聞こえた?」首を振るチキタに
「ラーにもまだ聞こえないだけなんだよ みんな毎日いろんな命を殺して
 生きていく…いつかラーがお前の声を完全に聞き取れるようになったら
 ハイカの中に私たちを見つけてくれたように ラーの中に私たちを見つけてくれるね」
いつもそばにいる、という声でチキタは遠い昔聞いた懐かしい声だと思う。
 一方クリップはチキタの親のしゃれこうべを粉々にし、
「オルグの姿を利用した罰だぜ グーグー。俺もオルグもお前らの計画の手駒になる気はない」と告げる。
オルグも、昨日のラーのような理由で人間を食べれなくなっていたとしたら…とクリップは思う。
(3百年前、オルグと一緒に最後まで行くと自分で決めたんだ)
チキタもラーと百年いく決心をした事に気づく。
一晩でラーは復活し、チキタはハイカらにもう少し家でがんばるという。

以上二巻までの人物整理
ラー・ラム・デラル…この頃から少年かくまの形態でいる事が多くなる。
         人間に近づくような言動をみせることも。
クリップ…3百年生きている人間。オルグを取り戻したがっている。
オルグ…伝説の大妖怪。クリップで百年を行い、結局クリップを食べられずに物言わぬ杖と同化する。
シャルボンヌ…死に掛けたところを謎の声で甦り、以来妖しに。老夫婦の死により自分も消える。
ニッケル・シャンシャン…シャンシャンの跡取り。茶髪の少年。母をラーに殺される。



296 :チキタ☆GUGU :04/05/07 22:46 ID:???
第15話
 ラーは体温を自在に調節でき、夏はひんやり、冬は体をあたたかくしてチキタの湯たんぽになったりしている。
ラーは昔のことが思い出せず、クリップは「ラーは大昔にグーグー家に作られた妖だとオルグに聞いた」という。
そこへニッケル・シャンシャンが現れ、チキタに妖怪退治を手伝わせようとする。
クリップを見かけ、何者かとチキタに尋ね、
「よくあんな恐ろしい気味の悪い奴と一緒にいるな」とクリップをけなす。
 ニッケルに連れて行かれたさきには、ある家の一帯だけ砂漠と化し、その家では立て続けに人が体の水分が抜け、ミイラのようになって死んだという。
ニッケルは木を利用して人の水分が移され死ぬ事に気づき、
庭中の木を切らせるが、一時しのぎにしかならなかった。
ラーの言葉に従い、チキタは最近主人が手に入れた白い宝石が人喰いだと見破る。
夜行性の白い宝石が目覚めるのを待つ間、チキタは寒さに震えるニッケルをラーにあたためてもらおうとする。
ためらうニッケルに「もうこいつはやたらと人を喰わない」というと
「ハナっから怖くないよ こんな奴。…俺が怖いのは……夜だ」という。
 夜半白い宝石の人喰いは目覚め、ラーと挨拶を交わす。
ラーはチキタを「俺のお弁当」と紹介し、
白い人喰いはチキタを見て「毒入りに」次にニッケルをみて「呪いつきかー」といった後また眠りにつく。
ニッケルは白い妖怪を殺そうとするが、チキタは止め、ラーに
「4,5人喰ったら50年は眠る」事を聞き
「元通り、人気の多い通りにでも捨てておこう それであと2,3人死んでも、
それは誰かのものを、黙ってネコババするような人間への罰だよ」
それを聞いてその家の主人は土下座して謝る。



297 :チキタ☆GUGU :04/05/07 22:49 ID:???
 帰り道、ニッケルは腹を押さえながらチキタが主人の不実を見破ったことをほめ、
チキタはそれをほとんどラーが見破った、という。
「俺はもう駄目だよ…あんな大きな木を無駄に何本も切って…無駄な恨みを買って…」
チキタはきょとんとするが、ラーは「木霊の呪いかー」と気づく。
ニッケルの腹部から血が流れている事に気づいたチキタは人を呼ぼうとするが、
ニッケルは泣いて「誰にも知られたくない」と叫ぶ。
ラーは「今 そいつの子供が死んだんだよ 上手に隠してたなあ メスだったんだ そいつ」
チキタは「メス…女?」とおどろく。
「だけど腹に子がなきゃ木霊にお前が命とられてたんだからラッキーじゃん」ラーはいう。
チキタはニッケルをシャンシャンへ送ろうとするが、ニッケルは二度と帰らないという。
「誰にも…秘密にしていたのに…死に掛けて女だとばれた 親父は怒り狂った
 よくもだましていたなと俺をののしった やっと座れるようになった…途端
 毎晩一族の男共がきて 人の体が利かないのをいいことに 大勢で無理やり…」
目を見開くチキタ。
「このまま死んだほうがましだ もう二度とあそこには帰らない」
 チキタはニッケルを自分の家に連れ帰る。
一人でいたくないというニッケルをラーが41度くらいになってあたためる。
ラーをちっとも怖がらないニッケルに驚くと、
「こいつは赤ん坊みたいだから怖くない」といい、寝入る。
チキタはその言葉に彼女の死んだ赤ん坊を思い、
(どうせ命が失われるなら その子の父親こそふさわしかろう)と、
シャンシャン一族のところまで白い宝石を捨てに行く。



448 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/08 00:01 ID:???
第16話
ニッケルは順調に回復する。夜にはニッケルはくまラーを寝床へ連れて行き、ラーは拒まずニッケルを暖めてやる。
ある日、ずっと眠り続ける少女の目を覚ましてほしいという依頼が来て、それをニッケルは世話になっている礼として手伝う。
その依頼はかつて人に使い魔にされたカワウソが、術者が死んだ今もその効力が抜けず、行っていたものだった。
その使い魔の主人は、不老不死の研究をしていたと見破るニッケル。
シャンシャンもずっと不老不死の方法を探しているという言葉に、
チキタは3百年少年の姿のままのクリップは不老不死に当たるのではないかと思う。
カワウソのかけられた術をとき、仲間の下へ返してやる。
「好きな女の子とかっている…?」ニッケルの言葉にチキタはハイカを思い浮かべうなずく。
「じゃあ俺あと4,5日したらここ出て行くよ」とニッケルはいう。それにラーはぼそりと「さみしいなぁ…」といい、
チキタはラーが人間みたいだと驚く。
人間に使い魔にされたカワウソが、人間を模していたあわれさに、ラーの変化を胸に痛く思う。

第17話
隣村の長者はかつて国一番と謳われる美女を嫁にした。
しかし彼女は、美しさをねたんだ周りの女に寝ているときは、
起きている時と違って醜いといわれたのを気に病み、不眠症となりその果てに亡くなってしまった。
そして先日、隣村の長者が美人を見初め、山ほど支度金を積み強引に美女を妻にしたが、美人嫁はひどい不眠症でやつれる。
かつての再来か、なにかのたたりかとチキタが呼ばれるが、ニッケルもラーもただの不眠症だと断じる。
彼女が眠らない理由は昔の恋人の名を寝言で言ってしまうのを聞かれまいとしてのことだったと分かる。



449 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/08 00:04 ID:???
寝言なんて誰でも言うのにね」というラーに「俺は言わないぜ」とニッケルは答えるが
ラーは「いってるよ毎晩『止めろ』『嫌だ離せ』『あっ』とかいって泣いたりしてんの」とラーはいう。
ニッケルはその言葉にショックを受ける。心配するチキタに、
「最初の夜な 野郎の一人が俺を押さえつけながらこういった
『これは復讐だ お前の母親は俺の兄弟の仇だから』
そいつの小さい弟は俺の母親に暗殺されていたんだ…だから俺も仕方ないと思った。
俺がこうして痛い目見るのも仕方ないって」ニッケルは泣く。
「ラーは人間の敵なのに一体どうしてそんなことどうでもよくなっちまったんだろう…」
ニッケルをなだめ、家に帰るとクリップが蜜柑をたくさんもって帰る。
ニッケルは目を輝かせ、毛嫌いしていたクリップに話しかけ、蜜柑を貰う。
その夜、ベッドでくまラーにニッケルはいう。
「俺を喰ってもいいよ」「俺そんなこと言われたのはじめて」
「俺だってこんなこというのはじめて 明日でも明後日でも 次にお前が腹減って
誰か喰わなきゃならない時にはいつでも俺を喰えよな」
寝入るニッケルを見つめながら、ラーは人を襲っていた頃、年中腹ペコだったけれど、
チキタと『百年』はじめてからちっとも腹が減らないと思う。
チキタはニッケルを以前自分が住んでいたハイカの家に間借りさせる。
ニッケルはハイカと仲良くなり、少し女の子らしくなったりしている。



460 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/08 22:54 ID:???
第18話
「ラーの額の猫の肛門のしわみたいなバカみたいなマークはグーグー家の家紋だよ」とニッケルはチキタに教え、
ラーはグーグー家が作り出した妖なのだろうと推測する。
チキタのもとに左頬に火傷を負った黒髪の美女が尋ねてくる。
チキタは彼女の火傷の傷をみてやり、少し跡は残るものの傷跡は随分薄くなる。彼女はそのお礼にと球根をチキタにおくる。
その球根を土に植えてみると、きれいな花を咲かせ、香りを放つと同時にチキタは意識を失う。
目覚めないチキタを心配したラーがハイカ家のニッケルに助けを求めると、「これは魂呼びだ」とニッケルは気づく。
魂呼びとは、人のいない山奥でこの花の球根を術者が口に咥え横たわる。
やがて術者の舌や喉に球根の根が張り出て花が咲けば、呼び出したい人間の魂を呼び出せるという術だ。
「シャンシャンが遠方の人間の暗殺に使った方法だ」
ニッケルはシャンシャン家へいき、球根を手に入れようとする。
そこにチキタの元へ花を贈った左頬に火傷の跡がある人間キサス・シャンシャンが現れる。
キサスは男だが、女装してチキタのもとへ訪れ、球根を送ったのだった。
キサスは笑ってニッケルを侮辱し、球根をあっさり渡す。
この花を渡してチキタの魂を呼び出したのは、キサスの同母弟チグル。
「だから生きてるお前が花を咲かせたってチキタを呼び返せない」チグルはニッケルの母シータに殺されていたのだった。
キサスは墓から掘り返したチグルの死体に球根を咥えさせてチキタの魂を呼び出したのだ。



461 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/08 22:56 ID:???
 一方チキタの魂はどこかの山奥でチグルという小さな少年と会い、仲良くなる。
そこで土中のチグルの死体から咲いた花に囲いをしているシャンシャンの男二人の話を聞いてしまう。
「そんなにニッケルが憎いかね あいつ みなを率先してニッケルのところに夜這いかけたりしてよ」
「いや、あいつ一週間も経たないうちに 今度はニッケルに通ってたやつらに手を引けと言い出して、
顔に火傷を負ってまで全員と渡り合ったんだぜ ニッケルを独り占めしたくなったんだろ。
ところがニッケルはグーグー家に転がり込んでよろしくしてやがる それでキサスはチキタを殺したいのさ」
「恋ってのはバカなもんだ」
笑って話す男二人の前に一つ目妖怪ギスチョが現れ、彼らを喰らい、
囲いとその下に守られた花をめちゃくちゃにする。
ニッケルは死んだ人間しかチキタを呼び戻せないのなら、いざとなれば自分が死んで球根を咥える、と宣言。
その言葉にキサスは動揺する。
ラーの力で瞬間移動して、チキタの家に戻り、ほかに方法はないかと考えていると、クリップが現れ、
あっさりと自分が代わりに死のうとする。
ラーがクリップに手をかけようとした瞬間、花が折られた事で魂が体に戻ったチキタが間に割ってはいり事無きを得る。
ニッケルはクリップに
「自分の命が大切でない人間なんて他人の命をおろそかにする人間よりずっと始末が悪い お前はラーより危険だ」といい捨て、ハイカ家へと帰途につく。
キサスの「お前って女は死んだ母親そっくりだ」との言葉を思い返し、ずっとそうやって生きてきたのに、
チキタのために死のうとしたとき本気だったと思い、チキタが助かった事に安堵するニッケルの前に、
馬に乗り全速力で駆けつけたキサスが現れ、ニッケルの無事を見て
「何が死んで球根を咥えるだ このカタリめ!」とののしり去る。
(俺が死んでるのを確かめに来たんかい)とニッケルはあきれる。
 一つ目妖怪ギスチョはラー・ラム・デラルが百年をやっていると聞き、見に行こうとする。



462 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/08 23:00 ID:???
第19話
 チキタはニッケルの言葉に従い、自分の髪や爪を特殊な方法で灰にしたもので額にグーグー家の家紋を書き、
恋人のいる男に恋をしたものの叶わず、逆恨みして自殺し、その恋人達を呪う娘の死霊を追い払う。
恋人たちから多額の礼金をせしめ、
「失恋して死んだ女といい、恋だの愛だのってやつはバカばっかりだ」というニッケルにチキタはキサスのことを思い出し、
キサスの真意を語るがニッケルは取り合わない。
(確かに途中から何もせず 黙ってそばにいたり花や菓子をもって来たけど、
 そんなことはどうでもいい ただずっとチキタのそばで手伝っていければいい…)
チキタが家に帰るとクリップはまたいない。死に掛けているオルグのために山に入り蜜柑を探しているのだろう。
ラーはチキタの額の印を見てうれしそうに「おそろーい」とはしゃぐ。 
 先程追い払ったはずの死霊が突然現れ、恋人達を呪い殺してしまう。
死霊はその恋人たちに恋心をもてあそばれ、笑われ、それをうらんで自殺したのだった。
娘の両親はシャンシャンに娘の思いを遂げさせてやってくれと依頼し、女装したキサスが手伝ってやったのだった。
復讐を終えた娘はもう元の姿に戻れない、と泣く。ニッケルが来て、死霊を慰め両親のもとに帰す。
キサスはニッケルを侮辱しからかう。ニッケルは「おまえもういつ死んでもいいと思ってんだろ」と見抜き、
「俺とやり足りないならいつでもやりに来い。いくらでも相手してやるから」
「何…!?」
「あんなこと俺にとっちゃもう何でもないんだよ。だから俺とやりたいんだったらいつでもやりに来い」
といい、激昂したキサスに殴られる。
「剣があったら刺し殺してやるところだぞっ…こっ、このあばずれ!!」
その夜、顔が腫れているからとチキタはニッケルを家に泊める。
ニッケルは落ち込み、
「こういうのを自爆って言うんだな 何もチキタがいる前でキサスに
 あんなこということないじゃないか 俺ってバカ…」と泣き、くまラーになぐさめられる。
翌日、チキタに「このまま俺の仕事手伝ってくれる?」と聞かれ、ニッケルは頬を染めうれしそうに笑う。



477 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/09 21:56 ID:???
第20話
隣村の大きな食堂で、料理人たちが無意識にサラダに貝殻を混ぜたり、
なべに洗剤を入れたりとすることがおこり、チキタはラーと二人でその食堂へ出かける。
そこにはキサス・シャンシャンも妖しい屋として呼び出されていた。
女装したキサスをチキタは殴り、「どうしてニッケルを殴った!?」と責める。
キサスはそれには答えずチキタに額にグーグー家の家紋を書くよう指図する。
キサスにいわれるままにチキタが食材の前にたつと、無意識に体が動き、
砂入りパンの水浸し、ジャガイモの磨き粉煮、もずくのあんこ添えなど、人が到底食べられないようなものを作ってしまう。
女装を解いたキサスによると、昔この食堂で死んだ人間や、その他人外のものが食事したくて
料理人たちの脳に働きかけ、自分達好みの食事を作らせようとし、このような怪異が起こったのだという。
ひとしきり奇妙な料理を作り、これで食堂の霊も満足するとキサスとチキタは食堂を後にする。
キサスはさつまいもの練乳煮をチキタに差し出し、弟チグルが夢枕に立ってチキタがやさしくしてくれたといったという。
「お前に礼と…侘びも一言言いたかった。すまなかった、もう手出しはしない」
キサスは、ニッケルはシャンシャンで誰もが一目置く存在で、恨みもあったが惚れ惚れする思いで見つめていたと語る。
「女だってわかってタガがはずれた」



478 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/09 21:58 ID:???
そんなキサスにくまラーは「腹の子の父親はお前かい?」とたずねる。
シャンシャンを出るときニッケルが妊娠していたと聞き、キサスは驚愕し震える。
「あいつ…だってそんな一言も…そんな…」
「誰の子かわからないっていってたからな…」ラーの言葉に
「い…や 俺の子だ…!」という。
「だって…」言いかけるチキタをさえぎり、
「俺の子だ…それなのに あいつ一人で…」と泣く。
「知らなかったよ…取り返しのつかないことってあるんだな…」
チキタにニッケルへ「もう二度と姿を現さないから元気で」と伝言を残す。
それをきいたニッケルはためらうもキサスのつくったさつまいもの練乳煮を食す。
チキタはキサスの泣き顔はニッケルによく似ていたと感じる。
こんな話を聞いてほしかった相手のクリップはもう数日以上帰ってきていなかった。

以上三巻までの人物整理
ラー・ラム・デラル…グーグー家が作った妖かもしれないと判明。
           ニッケルと仲良くなり、一緒に寝たときは37℃になって暖めてやったりしている。
           くまの形態のときはかわいいといわれると喜ぶ。人間にどんどん近づいてくる。
ニッケル・シャンシャン…男のふりをしていた少女。それが12話で倒れたときにばれ、シャンシャンと決別。
キサス・シャンシャン…ニッケルの異母兄弟。黒髪短髪(女装したときは鬘をかぶる)。
              ニッケルがいなくなりシャンシャンの跡継ぎ的立場に。ニッケルに屈折した感情を抱く。
チグル・シャンシャン…キサスの同母弟。ニッケルの母シータに暗殺される。
ギスチョ…一つ目妖怪。唯一の武器は長い爪。それで人を引き裂き喰らう。

補足:キサスは作者が男キャラを書くのが嫌なあまり女装させられたらしい。
またキサスとニッケルの関係においては作中の誰も近親相姦だとタブー視していないため、
日本古代のように異母兄弟の婚姻は可能な世界なのかもしれないが真偽は不明。



479 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/09 22:01 ID:???
第21話
一つ目妖怪ギスチョ。彼が生まれたせいで母親は家を追い出され、山で一人でギスチョを育て、
時々人里に行き、物乞いや盗みをして生きていた。
ギスチョは生きていくため、鹿や鳥よりもたやすく取れる人間を捕らえ、母親には「鹿だ」とごまかし食べていた。
それに気づいた母親はある日、白いまんじゅうを持ってきて、ギスチョとともに食べ、
「ごめんよギスチョ」と謝り、息絶える。ギスチョは死に切れず、
誰かの「生きたいかい?」と問う声に「生きたい」と答える。
「哀れな子供…それならばさまよってごらん…時が許す限り」
そしてギスチョは甦ったのだった。

クリップが10日も帰らないこと心配するチキタ。
ラーは別に帰らなくてもいいとチキタとけんかし、訪れていたニッケルになだめられる。
「俺の事をかわいいっていわないからクリップがやだ」というラーにニッケルは
「かわいいっていわれるのがすきなのか かわいいなあ ラー」とくまラーを抱きしめる。
ニッケルが帰った後、一つ目妖怪ギスチョが現れ、妖には猛毒のチキタの体液を妖虫に吸わせ、ラーに注入する。ラーは苦しむ。
今度はチキタの右目に大きな枝を刺し、気を失わせ、チキタの体を乾燥させ毒粉にして利用しようとする。
帰路についていたニッケルはさらわれるチキタを見つけ、ギスチョの後を追う。
そのすぐ近くではシャンシャン一族が大勢で人喰い退治をしていた。乱入するギスチョにシャンシャンは苦戦。
追いついたニッケルをかばいキサスはギスチョの長い爪で首を取られる。
ニッケルはチキタが死んでいず気を失っているだけなのを確かめ、
「チキタ バイバイ」といい、父親らシャンシャンと協力してギスチョと戦う。



480 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/09 22:04 ID:???
(この混乱に背を向けて 生き延びる道がないわけじゃない
 お前達を忘れてもう一度一人から始める勇気だってないわけじゃない
 だけどチキタ 俺はもうそんな事したくないんだ)
次々とギスチョに殺されていくシャンシャンを横目で見ながら思うニッケル。

 チキタは夢の中、赤ん坊を抱くニッケルに出会う。
「これはラー・ラム・デラルだよ 名前を呼んでやってくれ」やさしく微笑むニッケル。
「意外に思うかもしれないけど、生んでやりたかった…こいつを」
そこでチキタが夢から覚めると、目の前には多くのバラバラにされた屍がある。
チキタのすぐそばには、頭部から胸部までしかないニッケルの姿が。
チキタは冷静に自分の額に手をかざし、グーグー家の家紋を瞬時に出現させ、ラーを復活させる。
そして食事中だったギスチョを攻撃させる。
瀕死のギスチョは逃げ、「いだいよ おがあちゃん」と泣く。
ギスチョが逃げたさきに居合わせたクリップは、死に切れず苦しむギスチョに止めを刺す。
(おでは うまいもんなんか喰いたいと思わねえ だって今までで一番うまかったのは
 おがあちゃんと喰った白いまんじゅうだったんだもの そしてそれは毒だったんだもの)
クリップは息絶えたギスチョからでてきた小さな光を瀕死の状態の杖オルグに注ぐ。



492 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/10 22:10 ID:???
第22話
クリップがチキタの家に帰ってきた。小さな棺に入れられたニッケルを見て、
「一つ目のやつにとどめも刺さずに惨い事しやがると思ったがこれが原因かい」
と一つ目妖怪が元は人間だった事をチキタに話す。一方、くまラーはニッケルを燃やすと聞き
「俺はニッケルが大好きなんだ ずっと一緒にいたいんだ やだよ」と叫ぶ。
「俺だってそうさ でもこのまま置いてちゃいけない。炎で灰に」その言葉をさえぎり、少年の姿をとったラーは何度も嫌だと駄々をこねる。
「何人殺した?ラー。何十人何百人殺しても分からないのか!?みんな還ってこないんだ」
ラーの造りだした炎でニッケルを燃やす。チキタは自分が涙を流さない事を不思議に感じる。
ラーは元気がなく、ラーのほうが人間のようだと思う。チキタはクリップに
「外出時は行き先と戻ってくる日にちを告げてくれ 俺はお前の帰りを待ってたんだから」といい、クリップは面食らうが微笑みうなずく。
ニッケルの灰を小さな壷にいれると、ラーはその壷を持ち歩き、夜も抱いて眠る。
 ラーがいなくなったのでチキタが探していると、ハイカがくまラーを連れて現れ、ハイカ家のニッケルの部屋にいたと語る。
家に入ったラーは、ニッケルの骨壷を壊し、ばんばん叩いて
「こんなの こんなのニッケルじゃ…ないっ」と泣く。われに返ったラーは
「どうして俺はこんなことしちまったんだろう…」とチキタにいう。
「ニッケルを灰に…ずっと37℃くらいであたためていたかったのに…教えてくれチキタ、俺も一回ニッケルに会いたいんだようっ」と盛大に泣く。
チキタは、一つ目妖怪ギスチョがもとは人間だった事、
そして赤ん坊を抱いたニッケルの夢を思い出し、ラーの正体がなにかやっと分かったと思う。



493 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/06/10 22:11 ID:???
ハイカにニッケルの死を伝えようとすると、ハイカはニッケルに昨日あったと話し、チキタとラーは驚愕する。
ニッケルは「急に母さんのところに行く事になったんだ」とつげ、
ニッケルの母、頬に火傷のあるキサスという少年、そして小さな男の子(チグル)とともに行くと話した。
「俺がこれから行くところはそりゃあ素晴らしいところなんだ だからチキタはいつかラーを連れてきてやってくれ」
とハイカにチキタへの伝言を頼み、キサスと手をつないで去った。
その言葉を伝えられチキタはくまラーを抱きしめ、初めて泣く。
「楽しそうに出かけたんだ…よかった」ラーは
(いつかチキタとともにニッケルの所へ行きたい!)と生まれて初めてその心に強く希望を抱く。
一方、クリップはチキタへ『行き先…どこか、戻る日…いつか』と書いた手紙を置いて、復活したオルグとともに去る。



80 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/08/30 02:04 ID:???
第23話

七年後、ハイカは美しく成長し、隣村の名家に嫁いでいく。
花も咲かない、風の強い季節の輿入れ道中だったが、突然風が止まり、周囲に花が咲き出す。
周囲は妖術使いのチキタ・グーグーがやったことだと驚き、ハイカは涙ぐむ。
ハイカを送り出した後、チキタの家でハイカの父は
「頑固な娘で随分てこずったけど幸せになってくれるだろう」とくまラーにお茶を入れてもらいながらいう。
花や風のことに礼をいうが、自分の前に姿をあらわそうとしないチキタに怒る。チキタは
「人前に出ないことがくせになってしまって…」とハイカ父の前に姿を現す。チキタの姿は7年前から少しも成長していなかった。
ハイカ父は「最初からお前をこの家に戻すべきではなかった。一緒に暮らそう」とチキタを心配するが、
「いつも言うけどおれはこれで幸せなんだ」と笑う。
ラーは「チキタの成長が止まったのは全部おれのせいだ…」と泣くが、
「ハイカのことは寂しいけど、おれにはお前がいてくれるからいいんだ」とチキタ。
 
七年前、ニッケルの死後、隣接したある五つの村と二つの町が一夜にして滅んだ。
豚や牛などの家畜は無事だが、人間だけが無傷で延々と死んでいたのだという。
原因は分からず、その土地はそれ以後「髑髏(しゃれこうべ)の土地」といわれ、封鎖された。
髪を二つに結わえた少女パイエに醜い妖しを倒してくれと依頼され、チキタはその土地に足を踏み入れる。
そこにはずっと燃え続け苦しむ幽霊の姿があった。
チキタが詳しく話を聞くと、彼は盗賊一味の下っ端で腐臭漂う土地で死体をあさって、盗みを働かせられていた。
そこに金髪の美しい少女が現れ、「死体から物を盗むなんて…恥知らず!地獄の業火に焼かれろ 盗人!」とののしられ、
その言葉が頭からはなれず病になり、盗賊仲間に生きながら焼かれてしまった。
その思いを死後もひきずって苦しんでいたのだった。チキタは彼を昇華させてやる。



81 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/08/30 02:06 ID:???
そこに金髪の少女が来て「私の失策を取り繕ってくださって有難う」とチキタに礼を言う。
少女の名はサデュース・ザイセル。チキタと同業の一族の出で、言霊使いだった。
サデュースはパイエと知り合いだった。パイエは先程昇華した幽霊の親方の盗賊の娘で、親の悪行の証拠を消そうとしてチキタに依頼したのだろうという。
二人はののしりあい、パイエは妖術を使ってその場を去る。

 サデュースはチキタにこの土地を髑髏の地にした悪魔を探す手助けをしてほしいと頼む。
「それが何者かもうわかっておいでなんですか?」
「ええ…その悪魔はクリップという名の若い男です」
チキタは髑髏の地へ行こうと思いつつ、ずっと行くことができなかった。
(それは恐ろしかったからだ きっと こんな事実を知ることが…)

第24話
七年前、髑髏の地で恋人を失った男が、妻や子をもうけ、
妻の持ち山で猟をして暮らしながら、いまだ死んだ恋人を忘れられず、苦しんでいた。
チキタは、彼が自分で自分を縛って、妻に尽くされながら未だに昔を忘れられないのを許せないでいた事を見破る。
それと同時に、男の縛る心が強くて離れられずにいた恋人の少女の幽霊は、「やっと飛んでいけますわ」と喜ぶ。
彼女の死後、エサも水もつきかけた鳥かごから、空に鳥を逃がしてくれた明るい髪の男の人が鳥を逃がしてくれたと語り、
「その人にも会えたらお礼を…」
チキタはそれがクリップだと感じ、
「伝えます…必ず」
チキタは明日からクリップとオルグを探す事を決意する。



92 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/08/31 01:34 ID:???
第25話
サデュース・ザイセルは、クリップはモロン朝廷の皇帝ペトラスのところにいるのではないかと語る。
髑髏の地の中の滅びた町のいくつかはモロンの土地で、サデュースのすんでいたところは自治区だった。
しかし、七年前の災禍で、モロン朝廷がその一帯をまとめて管理することになり、立ち入り禁止区されてしまったのだった。
ペトラスは七年前の災禍にかこつけて、髑髏の地周辺をすべて自分のものにしてしまった。
そしてそれ以後、周辺の少数民族を髑髏の地を理由に制圧した。
数ヶ月前からそれは治まり、かわりに国中の妖しい屋を宮廷に集めだした。それはおそらくクリップに関る事なのだとサデュースは語った。
ある日チキタはパイエの告げ口により、立ち入り禁止の髑髏の地へ入ったとして皇帝に呼び出される。
皇帝の使いはシャンシャン一族と協力しラーを呪術で捕縛。チキタは「生きてたんかいおっさん」とあきれる。
朝廷に連れてこられたチキタは、ニッケルやキサスの弟、バランス・シャンシャンに会う。
彼は、シャンシャンの父は毎月のように女を変えるので兄弟はたくさんいると話す。
しかし七年前の一つ目妖怪との戦いで年上のものはほとんど亡くなり、バランスのような少年がこの危険な地に来る事になったのだと。
朝廷には、いつのまにか歯がなかったり、脳がなかったりすることが多く、それは人喰いに体の一部だけ食べられてしまっていたのだった。
水は真っ黒で、チキタが触れると途端に水は逃げ、真っ黒なものにおおいつくされた廊下もチキタが足を踏み入れた途端ザッと消え去る。
バランスはこの黒いものが体に触れるとあざのようになり、栄養を吸収していく人喰いだとはなし、チキタに黒いものが触れないのを驚く。
そこにラーが出現し、(だってこの世に俺を喰えるのはラーだけだもの)とチキタは微笑む。
「どうやってシャンシャンの封印を解いてきたのさ?」
「ごめんなさい。 どうしても早くチキタに会いたくって全員半殺しにしてきました」
とくまラーはもじもじしてかわいく笑う。
しかしきちんと治療はしてやっていたのだった。



93 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/08/31 01:37 ID:???
第26話
人喰いにはいろんな種類があるという。
肉食生物にミジンコからライオンまであるように、人喰いにもラーのような人喰いから黒いカビや細菌のような人喰いまでいるのだとバランスは話す。

ペトラス皇帝は頭に花輪をかざったしわくちゃの慈愛に満ちた老いた皇帝だった。
「この歳になって…こんなシワシワになって恥ずかしいことなんじゃがーな 実は死ぬのが怖い」
「そ…それはー誰だって」
「ちびっとでいいんじゃもうちょっと長生きできる方法を考えてくれんかの…?」
髑髏の地のことで呼ばれたと思っていたチキタは驚く。
皇帝は惨い事件だったが、あのくらいの量の人間はいつも死んでいると話す。
戦争、飢饉、疫病…様々な要因で死んでいく民を守るため、努力してきた。
そして以前よりも良い民のための統治をできる皇帝になったのにもうじき死に、自分の知恵も経験も無になっていくのが恐ろしいと。
そこにバランスの異母弟、チャック・シャンシャンが現れる。
ペトラス皇帝に傾倒してもうシャンシャンには帰らないというチャックと、皇帝の面前である事も忘れ、バランスはけんかになる。
一方、チャックのかたにオルグが止まっているのにチキタは驚く。
皇帝の前を退出し、「皇帝をどう思う…?」とのバランスの問いに、
「魅力的だな 思わず力を貸したくなる…」とチキタは答え、
「シワシワだな やわらかそう」と意見を求められてドキドキしたくまラーは答える。
バランスは、皇帝が大勢の人間の救い主でも、自分にとって有害だと直感で分かると話す。
あまり才能はないが、自分が生き延びるための直感に関しては自身があると。
チャックは、皇帝は毎日2,3時間しか眠らず、粗食、冠や宝石も民のために手放したと皇帝の善行を語り、
「俺はペトラス皇帝ほどすばらしい人は見たことない!!」と言い捨て去る。
チキタは残ったオルグに話しかけるが、それはオルグではなく、オルグの形をした黒いカビだった。
カビはバランスに襲い掛かり、体に巣くう、ラーはそれをバランスの体の中で殺し、そのうち死体は便となって排出されると話す。



94 名前:チキタ☆GUGU 投稿日:04/08/31 01:39 ID:???
 ペトラス皇帝はお抱えの妖しい屋集団に割烹着を着て差し入れを持っていく。
妖しい屋の一人は長生きの薬の材料を皇帝に頼む。
「トカゲの舌40、カワウソの皮70、赤児の肝臓40、子供の手のひら60枚。成人男性の心臓10、同じく女性の40…か」
「やはり人間向けの体には材料に人間の体がいるんじゃなぁ」
「痛ましい事です」
「だけど仕方のないことじゃの…」
(ああ早く犠牲にしただけの命に見合う結果がでてくれれば…あと二千年…いやほんの千年でいいから…)
皇帝はあとほんのちょっとの長生き、と思う。

 ラーはチキタに、黒いカビが強い妖怪オルグの姿を擬態したという事は、
クリップもこの朝廷にいるだろうと、墨汁で遊びながら話す。
一方バランスは、シャンシャンであるチャックがずっと一緒にいて黒いカビの正体に気づかないのはおかしい
「俺の弟はどうしちまったんでしょう…」と不審がる。

以上四巻までの人物整理

ニッケル・シャンシャン…男装の少女。一つ目妖怪との戦いで殺される。
キサス・シャンシャン…ニッケルの異母兄弟。一つ目からニッケルを守り死ぬ。
ギスチョ…一つ目妖怪だが、もとは人間だった。クリップに止めを刺される。
クリップ…オルグと百年契約をする。オルグを復活させチキタの家を去る。
オルグ…伝説の大妖怪。何も食さず死に掛けていたがクリップにより復活。
チキタ・グーグー…ラーに飼育されているため、成長しない体に。
ハイカ・ハイカ…23話で成長し嫁ぐ。
パイエ…髪を二つに分けている。盗賊の首領の娘。少し妖術を使える。
サデュース・ザイセル…金髪にくせのある長い髪の美少女。言霊使い。髑髏の地の生き残り。
バランス・シャンシャン…褐色の肌にくせっ毛。キサスやニッケルの弟。
チャック・シャンシャン…バランスの異母弟。幼い少年。
ペトラス皇帝…モロン朝廷の主。シワシワの老人。頭に花輪を宝冠のかわりにかざっている。

以上で既刊4巻までです。この先は雑誌立ち読みなので解説は無理です。



139 名前:チキタ☆GUGUのつづき[sage] 投稿日:2007/06/29(金) 23:24:30 ID:???
チキタの夢にクリップの100年の相手であり、何千年も生きている大妖怪オルグが現れる。
オルグはずっと人間を食べて過ごしてきたが、クリップと出会ってから人間を食べるのが嫌になり、食べないまま餓死しようと思っていた。
「幸せな日々でした・・・・お腹は空っぽでもあの子と一緒なら心は満腹」「だけど、それは私の勝手な幸せだったんです」
クリップは大量の人間を殺害し、餓死寸前のオルグに食べさせたのだった。クリップは笑って言った
「ついに俺は人でなくなったね」
その言葉を聞いたオルグは大好きなクリップが自分の為にとんでもない事をしてしまったと涙を流すのだった。
「だけど、もうなにもかも元には戻らない」「そこで私は密かにある事を決意しました」
「クリップが私の為に人間の命を奪ったのならば、今度はそれと同じ数だけの人間の命をこれから私はクリップの為に救ってみせよう」
「そうすればあの子はもう一度人間に戻れるでしょうか?」
目を覚ましたチキタはバランスから長生き研究会の知り合いに食事に誘われたサデュースが戻らないと聞かされる。
その頃、サデュースは飲み物に毒を盛られて倒れていた。気を失ったサデュースの美しい髪をカツラにすると言って切り取って行くパイエ
サデュースを探すチキタは遠くに立つ人影を見つける。そこにはクリップとオルグが立っていた。「久しぶりだな、デラル」
「うん、クリップ・・・すごく・・・」 ラーとチキタとクリップは七年ぶりに再会した。
一方、サデュースはバランスに毒を吐かせてもらい命を取り留めた。パイエが髪を持って行った事に気付き微笑むサデュース
二人は皇帝の信奉者に襲われそうになるがバランスの力で逃げ出しチキタ達と合流した。
クリップは事件の全てを知っており説明を始める。
その頃、報告を受けているぺトラス皇帝
「チキタとバランスとサデュースちゃんはやっぱり味方になってくれなんだか」「まぁ仕方ないねえ・・じゃあ今度見かけたら寂しいけどもう居なくなってもらおうね」
「今までみたいに世界の平和の為に」

28話終わり



161 名前:チキタ☆GUGUのつづき[sage] 投稿日:2007/07/07(土) 17:40:41 ID:???
疫病、地震、津波、大火事、戦争・・・真面目に取り組むほど国で起こる問題には果てが無い。
「だから・・わしも果ての無いものにならなければ・・・」信奉者達に涙ながらに語るぺトラス。
黒カビの正体は人喰いの菌。とりつかれると人喰いの性質につられて人殺しをするように操られる。
人間の歴史の中に時々現れる何百万もの人間を殺す虐殺者達は皆黒カビに犯されたもの達。
黒カビの厄介な所はとりつかれた対象の人間性が丸々残ってしまう事、殺人に対する抵抗が無くなるだけで涙も笑顔も本物。
ぺトラスのような善良で誠実な人間ほど黒カビの媒体になり易く、どんどん増殖し、とりつかれたら助からない。以上がクリップとオルグの説明。
そこにバランスの弟チャックが現れ、このままだと信奉者達に殺されるから皇帝の仲間になれ、と手を握りバランスを説得する。
チャックは油断したバランスを殺そうとするが、ラーに返り討ちに遭う。ぺトラスの邪魔をするなと言い残して死ぬチャック。彼も黒カビの犠牲者だった。
弟の死に呆然とするバランス、そこに信奉者達が襲い掛かるがチキタたちはそれを撃退した。
サデュースは善良で誠実な人間に程遠いパイエが何故とりつかれたのか疑問に思う。
オルグは心に深い傷や孤独を抱えた人間もとりつかれ易いと答えるのだった。
一方パイエは持ち去ったサデュースの髪が少しずつ落ちて宮殿の奥までの目印になっている事に気付く、彼女はサデュースに利用されたのだ。
チャックの亡骸に触れ涙を流すバランス。
「行こうか、ぺトラス皇帝の所へ・・・」「俺にはまだまだ弟や妹がいるんだ、第二第三のチャックを作るわけにはいかない」
ラーは宮殿の外に結界が張られた事に気付く。シャンシャン一族とサイゼル一族が妖を一匹残らず滅する為に外を取り囲んでいたのだった。

29話終わり



162 名前:チキタ☆GUGUのつづき[sage] 投稿日:2007/07/07(土) 18:02:50 ID:???
しまった・・・サデュースがクリップに名前を尋ねた事書くの忘れてた・・・





81 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 22:23:21 ID:???
チキタ★GUGUの続きから、五巻収録分だけとりあえず投下します。
以前の分はまとめwikiを参照してください。
レスがいきなり途切れたら多分連投規制を受けています。
規制がかかったら、時間を空けてからまた投下します。

(関係ないが別のスレにレスを誤爆していた…誤爆ってはじめてやったが恥ずかしいな)



82 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 22:24:06 ID:???
第30話

ぺトラス皇帝のもとへ行くために城の中を進むうちに、
チキタたちは、皇帝とその取り巻きたちがなにをやっていたかを知っていく。
ある扉を開くと、中からは山のように積っていた人間の骨粉があふれだしてきた。
大きなツボをひっくり返してみれば、赤ん坊の爪が大量にこぼれた。
黒カビに感染したことによって、皇帝は脳を壊されてしまったのだとオルグは言う。
「袋の中のカビたみかん 伝染病の家畜 あいつらに罪があるわけじゃない
 でも もうわかるよ どんなにしんどくってもそのままにしておけない」

クリップは、自分の肩の上でそう話すオルグの存在を感じながら、7年前のことを思い出す。
7年前、人を大量に殺してオルグに与えた後、クリップは眠ってばかりいるようになった。
”もう一度お前に会いたい” その願いを果たし終えた後のクリップはひどく無気力だったのだ。
そんなクリップの前に現れたのが皇帝だった。
「しばらくあそこで休もうよ 俺がベッド作ってあげるから ね」
クリップは大量殺人の件で多くの人間に狙われる身であり、
オルグは彼らから隠れるために皇帝のもとに行くよう言った。
(ほんとはもう人間なんかひとりもいらない
 オルグとふたりだけの場所でずっと一緒にいたかった でも結局ぺトラスのところで7年…)

城の奥へと進んでいく一行。
問答無用で襲いかかってくる皇帝のシンパたちを殺しながら奥へ向かっていく。
顔見知りを殺さなければならないことに泣くサデュースを、バランスは慰める。
その様子からすると二人はとても親密な仲に見えた。
稼業が同じなもので、実は昔からの顔なじみなのだという。
一方、サデュースは、チキタとクリップの方も顔なじみなのかと訊いた。
そうだと言われ、サデュースは複雑な反応をした。

やがて一行は隠し扉を抜けて、皇帝のもとへとたどり着いた。
大きな部屋の中央には花畑があり、その中に皇帝は座っていた。
 *この花畑は、チキタと再会する前、皇帝に匿われている間にクリップが寝床にしていた場所



83 :チキタ☆GUGU:2010/07/11(日) 22:25:31 ID:???
バランスは皇帝を殺そうとするが、何故か攻撃は跳ね返された。
大妖怪であるオルグが同じことをしても、やはり皇帝に攻撃することはできなかった。
花畑の周囲にシールドのようなものがつくられているのだった。
この花畑は、クリップにゆっくりしてもらうためにオルグがつくったものだった。
害意のある者を退ける働きがシールドにはあった。
その上、ここに来るまでに一行が殺してきた皇帝シンパたちの思念が、
皇帝を守るためによりシールドを強固なものとしていた。

物理的な攻撃が効かないため、口で刃向かうサデュースとバランス。
黒カビは今も皇帝の周りを漂っており、少しでも皇帝に共感を感じればすぐに感染する。
問答するのは危険なことだった。チキタは二人を制止した。

チキタは、最後の手段として、皇帝を閉じ込めることを提案した。
「扉も窓も出入り口全部封鎖して 水 食料なしで
 1か月 念のために2、3か月もおいとけば」
皆はそれに同意した。
「これ、眠るみたいに死ねる薬 つらかったら飲んでくれ」
バランスは毒薬を置いていき、そして一行は部屋の外へ出た。

皇帝のいる部屋は閉ざされた。まだ開けられたままの天窓などは、
外に待機しているシャンシャン一族やザイセル一族の人手に閉めてもらうことにした。
天窓を通して、皇帝が赤子のように泣く声が聞こえた。
「開けてくれ 誰か 誰か ああ ああ 誰か ひっひとりはいや」

皇帝が死ねば黒カビの流行はおさまる、
これで人をたくさん助けられたねとオルグは嬉しそうだった。
「そう? だけど見ろよあの2人 戦いは終わったって顔じゃないぜ」
クリップがあごで示すその先には、クリップを見つめるサデュースとバランスの姿があった。

30話おわり



84 :チキタ☆GUGU:2010/07/11(日) 22:26:42 ID:???
第31話

クリップは、7年前の大量死は、オルグに人を食わせるために自分がやったのだと言った。
途端に、サデュースはクリップを攻撃したが、クリップは難なくその攻撃をそらした。
泣きながら非難の言葉をぶつけるサデュースを、バランスがなだめて押さえつける。
「やってみせようか? もう一度人間の脳みそだけを一瞬でぶち壊す音波のようなものをつくるんだ
 半径1・2キロ以内の人間がいっぺんで倒れる」
そう言って音波をつくろうとクリップは片手を挙げる。
オルグは、今は満腹だからいいと言ってすりすりして止めようとする。
そしてチキタは、クリップが挙げていた方の手首を掴んで制止した。
「帰ろうクリップ 約束しただろう いつか帰るって」

オルグはサデュースに対して「ごめんよお嬢さん」と声をかけ、
チキタもサデュースとバランスに別れの言葉を残し去っていこうとする。
サデュースは泣きながら言う。自分は7年前まで5人兄弟の末っ子だった、
だが、兄も姉も母もクリップによって殺され、オルグのエサにされてしまったのだという。
「私はこれからもけっしてその男を許さない」

チキタも涙を流し、言った。
「俺だってこいつが クリップがやったことは許せない
 だから…だからこそもう二度と 俺はこいつから目を離さない
 二度とお前から目を離さないからな クリップ」
そうしてチキタとラー、クリップとオルグはその場を去って行った。

シャンシャン一族やザイセル一族の者たちが恐れながら遠巻きに見ていることを感じ、クリップは思い出した。
かつて山の中を追われた時のこと、死ぬためにオルグに会いに行った時のことを。
(あの時からずいぶん時間がすぎたはずなのに おかしいな何もかもあの時のままじゃないか)
俺はどこを歩いているんだろう、そう思った時に、チキタが振り返って「クリップ」と名前を呼んだ。

(ああ……そうか チキタの後を歩いているんだ)

85 :チキタ☆GUGU:2010/07/11(日) 22:28:24 ID:???
チキタはひたすら歩き続け、気づけば真夜中になっていた。
いつもなら大きくなったり鳥になったりしてチキタを運んでくれるはずのラーは、
元気がない様子で運搬係にはなってくれず、野宿をすることになった。
クリップはちゃんとついてきてはいるようだが、
たらたら歩いているようでその場まではまだついてきていなかった。

くま姿から少年姿に変化したラーは、やはり落ち込んだような様子だった。
ラーは、クリップを絶対に許さないのかと訊く。チキタは「うん」と答えた。
「ひょっとして……俺の事も……許さないのか……
 俺も山のように人を殺してきた ずっと お前は俺を許してなかったのか?」
その質問にもやはりチキタは「うん」と答えた。
「俺はお前のことも許さないよ ラー・ラム・デラル
 これからも決して クリップやオルグやペトラスのことも」
ラーは泣きだし、くま姿になった。そんなラーをチキタは抱き上げる。

チキタは言う。自分は人間だから、人間である限りは、人間を殺すことは許せないと。
「お前は"人喰い"だろ!? お前が喰うのは"人間"だものな ラー
 だからいつか絶対に 俺を喰ってくれよな」
不老のまま長い時をさまよう事になっても、ラーのために最後まで人間でい続けようとチキタは思った。
ラーは泣きながら「うん」と言った。

その夜のおそくに、ペトラス皇帝はひっそりと生きることをやめた。
一週間くらいは生きると思っていたのにあっけなかったねとチキタとラーは話した。
「ヘトヘトだったんだろうね……体も魂(こころ)も」
チキタの言葉に、ラーはまた涙を浮かべて「良かったね」とつぶやいた。

(サデュースの為に バランスの為に 俺やチキタの為に
 そしてなによりペトラス自身の為に それはやっと少し嬉しい事だった…)

31話終わり



86 :チキタ☆GUGU:2010/07/11(日) 22:31:23 ID:???
第32話

チキタたちは、髪も肌も瞳の色さえも真っ白な女性の中にいる、妖を退治しているところだった。
ここしばらく、色素のない白い食べ物ばかり食べさせていた女性の口からは、蛾のようなものが這い出てきた。
オルグは言う。人喰いにも色んなタイプがいるのだと。
「肉を喰う奴 皮を喰う奴 人間の水分だけ喰う奴 精気を吸う奴 電流を喰う奴
 男しか喰えない奴 女しか喰えない奴……こいつは人間の"色素"だけ喰うんだよ」
蛾の妖はクリップによって退治された。女性は、元のようには戻れないものの、しばらくすればまた色づくらしい。

人喰いであるオルグが食べるのは、
「今際の際に人間の心臓のまわりを流れる一番きれいな光」だという。
ラーは一体なにを食べたのだろうか、とチキタは思うのだった。

皆が妖退治に出ていく中、留守番をしていた少年姿のラーのもとにサデュースとバランスが訪ねてきた。
ニッケルの墓とチキタの両親の墓が並ぶ前に座り込んでいたラーは、二人に相談をする。
百年たったらチキタを食べると約束したが、食べ終わったらどうすればいいのだろうかと。
「ニッケルが死んだ後 俺は寂しくて寂しくてニッケルに会いたくてたまらなくなった
 もしも今チキタがいなくなったら きっともっともっと寂しくて絶対もう我慢できない」
人喰いであるラーがそんな発言をすることに、サデュースはいらだった態度を見せる。
百年も経てば、喰われなくなったって寿命で人間は死ぬものだと怒りながら言う。
ラーはただただ茫然とした。

帰ってきたチキタに、サデュースとバランスは訪問の用件を話した。
ペトラス皇帝は宮殿ごと閉じ込めていたのだが、後の調査で隠し通路があることが発覚した。
宮殿の中ではパイエの死体だけが発見されていないので、彼女が逃亡した恐れがあった。
黒カビは、稀に見るカリスマであるペトラスが核となったからこそ広まったものであり、
パイエ一人が生き残ったところで更に広まる恐れはないとオルグは言い、とりあえずその件は保留となった。



87 :チキタ☆GUGU:2010/07/11(日) 22:33:18 ID:???
サデュースたちは、美白の薬を飲んで全身真っ白になる女性が近頃多く出ていることにも頭を悩ませていた。
チキタたちが冒頭で退治した妖の卵が薬として売られているせいだった。
日光のあたらないところに閉じ込め、色のない食べ物を食べさせればエサを求めて妖が出てくるとオルグはアドバイスした。
帰路につきながらサデュースとバランスは、ラーが人間味のある発言をしたことへの驚きや、
長年生きているだけあって妖退治の博学な知識を持つオルグについて語った。
サデュースは、オルグが憎いけどなにもできないことが悔しく、無力さを感じると歯噛みした。
「無力なんかじゃないさ 早いところ白くなってるお姉さんたちを助けてあげなきゃ!」
バランスはそう言って励ました。

寝入りばなに、お前は人間のなにを食べるのかとチキタはくま姿のラーに訊いた。
「お前は一体人間の何で腹が満ちてたのさ…?」
「わかんない…ただ… 人間を殺さなきゃ…やってはいけなかったんだよ……」
なのにどうしよう、ラーはそう思い、既に眠りに就いたチキタの横で震えた。
(もうお前なしでなんかやっていけない お前を食べるどころか…
 あとたった百年…もう…考えるだけで怖い チキタ…お前を失うのが怖い)

眠るクリップのそばにいたオルグは、ラーのそんな思いを感じ取る。
気持ちはわかるけど俺みたいになっちゃだめだよ、そうオルグは思った。

昼間にラーが座り込んでいた墓場の近くに、カナヤンとチョロルが姿を現した。
いよいよだね、最後の力をふりしぼってラーを仕上げよう、と二人は言い合った。

※カナヤンは第1話でチキタの涙を食べて毒にやられて死んだ妖
  チョロルはかつてクリップを舐めて死んだ妖
  何故かラーの夢の中に今までも度々現れている
 夢に出るのはカナヤン・チョロル本人ではなく、姿を借りている別の者らしい
  以前にはオルグの姿を借りたこともあり、その直後にクリップが「オルグの姿を勝手に借りやがって」と
  言いながらチキタの両親の頭蓋骨を粉砕している

32話終わり



88 :チキタ☆GUGU:2010/07/11(日) 22:34:40 ID:???
第33話

気がつけば、周囲には花、目の前にはテーブル、その上には豪華なごちそう。
そんな場所にチキタとラーは並んで座っていた。
カナヤンとチョロルから酌を受けながら、これは俺がよく見る夢だとラーは説明する。
こんなに早くに二人一緒に夢の中にこられるようになって嬉しいチョロルは言う。
そのチョロルを見ながら、なにかを感じるチキタ。

どうしてチキタが今日は一緒にいるのか、そういえばこの夢を見るのも久しぶりだなと言うラー。
「力を貯めてたのよ 今日のこの日を信じて 
 私たちも淋しいけれど無限ってわけじゃないから…」
涙を流すカナヤン。ラーは、目の前にいるカナヤンがかつて出会ったことのある妖だったと思い出す。
チキタの毒にやられて死んだはずなのに、どうしてここにいるのだと不思議がる。
「体はとうになくしたわ… あなたと話したくてずっと待ち続けていたのよ
 チキタにしがみつきたくてあなたがクマに化けるように、これは仮の姿」

カナヤンとチョロルはラーに語りかける。
「もう知ってるね チキタを それからニッケルを
 振り返ることを知って 思い出を持って やっと我々の声も聞ける」

「この後 クリップの中にチキタを見つけなさい
 かつて ニッケルの中にチキタを見たように」

「クリップの中に それからサデュースやバランスの中に
 これからどんどん出会う色んな人の中に
 お前はこれからずっとチキタを見つけていきなさい
 ラー・ラム・デラル…」

そしてチキタに対し、ラーの中に私たちを見つけてくれてありがとうと二人は言う。
「お礼なんて……俺の……方こそ ありがとう 父さん母さん」
二人は驚いて目を見開き、そして泣き、去って行った。
「なごり惜しいけどそろそろ バランスが死んじゃうわ またねチキタ いつの日か」



89 :チキタ☆GUGU:2010/07/11(日) 22:36:01 ID:???
バランスは、巨大な土虫のようなものに襲われ、腕がとびちったりと死にかけの状態だった。
これは助からないかもとつぶやくオルグ、泣いているサデュース、
どうせ死ぬんだし喰っちまえよとオルグに話しかけるクリップ。

そこにラーとチキタが駆け付ける。ラーによって虫は倒された。
ラーは巨大な救急袋の中にバランスを突っ込み、ちぎれていた腕なども放り込んだ。しばらくすると完治する。
 ※救急袋はチキタが大怪我した時などに何回か登場 傷の部分に巻きつけたり、
   全身まるごと袋の中に入ったりすると傷などが治るチートアイテム

サデュースたちは、美白薬の出所を探り訪ねたところ、
そこにいた土虫にいきなり襲われたのだという。
危険な敵だったので、立ち向かうバランスを残してサデュースはチキタを頼りに来たが、
チキタもラーも眠っており、その周囲にもシールドのようなものがあるせいで何故か近づけなかったという。
代わりにクリップとオルグが来てくれたが、その時にはもうバランスは死にかけていた。
美白の薬も土虫も、誰かの陰険な罠ではないかとサデュースは言う。

クリップの中にチキタを探しなさい――そんな言葉を思い返しながら、クリップのもとに行くラー。
「サデュース達がな 少しだけど感謝してたぞお前のおかげで助かったって……」
すぐに「うそつき」と返された。続けてなにも言えず、ラーは落ち込む。
去っていこうとしたところ、クリップは引きとめ、百年たったらチキタをどうするのかと訊いた。
どうするべきだろうかと言うラーに「チキタは人間なのだからちゃんと喰ってやれ」とクリップは言う。
「オルグの事を思うと……たまらない 本当に…申し訳ない気持ちでいっぱいになる」

クリップは言う。7年前に人を大量に殺した時に、きっと自分は人ではなくなったのだろうと。
そもそも、幼いころからずっと人を喰ってきた自分は人間だったことなど無かったのではないかと。
「オルグが哀れだ 何年もの時間を俺なんかのために費やして 命まで落としかけて
 結局俺を喰うこともできない……あいつは本当に俺にあたって不幸だ…
 だけどチキタは俺とちがってまっとうな人間だ だから迷うならデラル 安心して百年を待て」



90 :チキタ☆GUGU:2010/07/11(日) 22:37:44 ID:???
晩に眠るチキタの横で、ラーは泣いた。クリップが人間じゃないなんて悲しいと思えてだった。
(これが…クリップの中にチキタを捜すということなのかな?)

バランスは無事に全回復した。腕もくっついた。
だがしかし、服までは回復せず全裸状態なのでチキタに服を貸してくれとねだった。

第33話おわり

以上、5巻まで。
前に書いていた人は巻ごとにキャラプロフィールを整理していたようなので倣います。


チキタ・グーグー
人喰い妖にとって毒となるほどまずい人間。ラーに両親を喰われている。
まずい人間は百年飼育したら美味くなるという伝承に従ったラーに飼われているが、
段々ラーと仲良くなっている。『百年』の影響で不老状態になっている。
妖退治などを生業とする「妖しい屋」をやっており、色々不思議なこともできる。
ラー・ラムーデラル
人喰い妖。チキタと『百年』をやっている。
なんにでも変身できるが、おでこの印だけはどの姿でも固定されている。
おでこの印はグーグー家の家紋なので、グーグー家の人間に造られた妖らしい。
チキタに情がわき、食べられないと思い始める。
クリップ
人喰い人間。妖のオグルと『百年』をやっており、300年ぐらい生きているが不老なので少年の姿。
食料のない土地に生まれて物心つくころから人肉を喰っていた。
オルグが好きで、オルグに食われたいと思っている。
オルグ
黒いウサギのような姿をした人喰い妖。死に際の人間の心臓のあたりに流れる光を食べる。
情がわいてクリップを喰い殺せない。
バランス・シャンシャン
妖しい屋一族のシャンシャン家の息子。チキタを慕っている。サデュースと懇意。
サデュース・ザイセル
妖しい屋一族のザイセル家の娘。
クリップに家族を殺され、オルグに家族を喰われ、二人を憎んでいる。言霊が使える。
パイエ
盗賊の頭領の娘。妖しい屋じゃないが不思議な力を使える。色々と性格が悪い。サデュースとの仲は険悪。
ニッケル・シャンシャン
バランスの異母姉(シャンシャン一族は子供がたくさんいる)。
人喰いに襲われたチキタをかばって7年前に死亡している。チキタ以外でラーが初めて心を開いた相手。