バビル2世

Last-modified: 2008-11-15 (土) 14:56:11

バビル2世/横山 光輝

62 名前:バビル2世 第一部 1/2[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 18:08:16 ID:???
日本の少年、山野浩一は毎夜奇妙な夢に悩まされていた。
聖書の「バベルの塔」そっくりなその夢は、夜ごと鮮明になり、浩一に呼びかける。
そしてある夜、家に降り立った巨大な怪鳥に乗って、浩一は呼ばれるままに飛び去ってしまった。
怪鳥が彼を運んだのは、砂嵐に包まれた砂漠の中の遺跡。そこには高度なコンピュータが備えられており
浩一はそのコンピュータから、5000年前に用意されたメッセージを受け取った。
5000年前、バビルという名の宇宙人が事故で地球に不時着した。彼は救援を求めるための目印として
土地の王に巨大な塔を作らせようとしたが、当時の地球人には機械を扱う知識が無く
ささいな不注意から、塔もろとも機械を爆発させてしまったのだ。これが「バベルの塔」伝説の真実だった。
バビルは帰郷をあきらめ、定住して地球人との間に子供をもうけたが、内心は孤独に苛まれていた。
そこで彼は、はるか未来に生まれてくるだろう、自分と同等の能力を持つ子孫に対し
地球外文明の科学技術を与えるべく、バベルの塔の廃墟に己の遺産を隠したのである。
そう、浩一こそ宇宙人バビルの後継者と認められた「バビル2世」であった。
要塞化されたバベルの塔と、バビル2世のために控えた「三つのしもべ」は
世界征服すら可能にする強力なものだったが、浩一はこの力を平和のために使うことを選ぶようになる。

バベルの塔のコンピュータによって、その潜在能力を引き出され超能力者となった浩一は
コンピュータの指示に従い、ヒマラヤに居を構えるヨミという男に会いに行った。
大勢の信者を従えたヨミは、バベルの塔についても知っているらしく、浩一がバビル2世だと確信すると
彼とよしみを結び、ともに世界を征服しようと持ちかけてきた。
しかし、彼が残忍な男だと見た浩一が申し出を断ると、ヨミはすぐさま浩一に攻撃を仕掛ける。
ヨミの念力で操る石巨人ゴーリキを、浩一は三つのしもべのうち不定形生命体「ロデム」と
巨大怪鳥「ロプロス」の力で退けた。
この敗北を知ったヨミは、バビル2世との全面対決を決定する。
一方でヨミの力を調べようとした浩一は、ヨミのアジトに高度な科学設備が備えられていたのを見た。
ヨミはただの狂信者のリーダーではなく、世界規模の秘密結社を抱えた陰謀家でもあったのだ。



63 名前:バビル2世 第一部 2/2[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 18:09:10 ID:???
ヨミの企みとは、人体改造技術によって世界中の要人を自分に従う改造人間に置き換え
世界を牛耳るというものであった。
この企みを看破した浩一は日本の国家保安局にこの情報をリークし、保安局の協力を得ようとする。
一方ヨミは、手駒のひとりであるR国のソドム大佐を介し、バベルの塔を攻撃させるが
塔はこの攻撃を退け、逆にソドム大佐を捕らえて彼からヨミの情報を引き出した。
情報に従い浩一は、ヨミの人体改造施設を三つのしもべの一、鉄巨人「ポセイドン」で爆破する。
計画に大打撃を受けたヨミだが、この戦いの中でヨミはひとつの事実を思い出す。
ヨミもまたバビルの血を引くものであり、かつてバビル2世候補としてバベルの塔に招かれたことがあった。
しかし彼の能力はバビルの定めた基準にわずかに足りず、塔に関する記憶を消され追放された。
この記憶から、ヨミは自分の能力が浩一に決定的に劣るものではないという自信を得る。

ヨミの部下たちは、浩一が手を結ぼうとした国家保安局の局長を人質にして浩一を捕らえようとした。
しかし三つのしもべのまえにヨミの部下たちは惨敗し、逆に浩一がヨミの本拠地に入り込むことを許してしまう。
地下に立て篭ったヨミに猛攻撃を浴びせる三つのしもべ。だがヨミは反撃の糸口を見出した。
自分もバビルの末裔なら、その思念波は三つのしもべに届くはず。ヨミは自己暗示で浩一になりきり
三つのしもべに命令を発した。するとしもべたちは混乱し、浩一とヨミの間で右往左往し始める。
しもべの予想外の反乱によって負傷し退く浩一。しかしヨミは、巨大なロプロスとポセイドンに気を取られ
ひそかに基地内に入り込んでいたロデムを見落としていた。ロデムは基地の自爆装置を誤作動させ
基地は大爆発。かろうじて脱出したヨミを残して壊滅してしまう。
この上は自ら浩一と決闘して雌雄を決すべしと、ロプロスを操ってバベルの塔へ向かうヨミ。
しかしそれは浩一も望むところであった。塔を守る砂嵐の中で二人の対決が始まる。
最初、対決は続けざまに衝撃波を浴びせるヨミの優勢に見えた。だが、やがてヨミはくたくたに疲労し
逆に浩一は平気な様子で立ち上がる。浩一はわざと攻撃を受け、その力を吸収していたのだ。
衰弱したところへ浩一の攻撃を受け、ついにヨミは倒れ、砂嵐の中に打ち捨てられたのであった。



64 名前:バビル2世 第二部 1/2[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 18:10:17 ID:???
ヨミとの戦いからしばらくして、日本で旅客機の墜落事故が発生した。
乗り合わせていた自衛隊の司令官だけが奇跡的に助かったが、浩一はこの事件に疑問を持つ。
調査したところ、司令官は何ものかの操る改造人間と化していた。
浩一は、司令官を守っていた恐るべき霊媒師と戦って破るが、その霊媒師も別の刺客に粛清された。
バベルの塔のコンピュータは、一連のデータからこの事件がヨミの陰謀に酷似していると分析する。
そう、浩一が倒したと思っていたヨミは、仮死状態になることで浩一の目を逃れ生き延びていたのだ。
あの敗戦で、ヨミはひとつの確信を得ていた。自分や浩一の持つ超能力は無尽蔵のものではない。
超能力を使いすぎたときの脱力感は単なる疲労ではなく、生命力そのものの枯渇であり
力の使いすぎは死に繋がる。つまり、超能力を乱発させれば浩一を倒すことも可能…
一度死にかけた自分だからこそ気付いたこの事実を、まだ浩一は知るまいとヨミは判断し
自分の集めていた多数の超能力者たちをバベルの塔に差し向け、浩一と戦わせる。
ヨミの刺客たちの超能力は浩一に及ぶものではなかったが、戦い慣れした彼らの戦術によって
浩一は毒針を受け重傷状態に陥ってしまう。
この機を逃さず、ヨミは増援として強力なロボット、バランを投入。バベルの塔へ侵攻した。
侵入者を殺す塔内の罠を粉砕して進むバランは、ついに浩一の寝室へ到達、浩一を惨殺する。
勝利を喜ぶヨミ。しかし、倒された浩一の正体はロデムの擬態だった。
バランも超能力者部隊も全滅し、逆に彼らの通信機からヨミの本拠地が浩一に知られてしまう。
回復した浩一の出撃を妨害するため、ヨミは近隣国の軍隊を操ってバベルの塔を爆撃させる。
この軍隊を退けることは簡単だが、あまり派手に迎撃すればバベルの塔の存在が露見することになる。
浩一は、降り注ぐ爆弾を自らの念動力でそらし、直撃を避けることで塔を守るが
今までになく超能力を振り絞った浩一の体には強い疲労感が残った。
この疲労の正体について、浩一はコンピュータに問うが
コンピュータは、疲労が超能力の使いすぎによるものと答えはしても
「超能力を限界以上に使いすぎるとどうなるか」は決して答えようとしないのだった。



65 名前:バビル2世 第二部 2/2[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 18:11:09 ID:???
浩一はロプロスに乗り、ヨミの秘密基地を強襲した。
ヨミの放った戦闘機が迎え撃つがあっさり破れ、ロプロスは捕獲した戦闘機を盾に基地に迫る。
このままロプロスに着陸を許せば被害は甚大。ヨミはあえて戦闘機もろともロプロスを撃つよう命じ
対空砲の集中砲火に晒されたロプロスは戦闘機を放して逃走した。だが、これも浩一の計略だった。
開放されて基地へ逃げ帰った戦闘機にこっそり張り付いて、浩一は秘密基地への潜入を遂げる。
基地内勤務の超能力者にすりかわり、基地の奥へ進む浩一をいぶりだすために
ヨミは再びバベルの塔を爆撃させ、その映像を基地内に流して浩一の動揺を誘う。
正体を暴かれ、超能力者やロボット軍団の波状攻撃に追い詰められていく浩一。
だが、そこに三つのしもべが駆けつけた。しもべたちの圧倒的攻撃力が基地を破壊していく。
ここでヨミは、基地の最深部に一人で篭り、新開発のテレパシー増幅装置を持ち出した。
自らの思念波を機械で増幅し、三つのしもべの支配権を奪い取って反撃しようというわけだ。
装置を介した強力な思念波に操られた三つのしもべは、浩一に反旗を翻し
ヨミの部下たちとともに浩一を追い始める。かろうじて攻撃をかわしていくものの、今や瀕死の浩一。
だが、通風孔に逃げ込んだ浩一を追いつめたかと思った時、三つのしもべは突如動きを止めた。
なぜヨミは攻撃を止めたのか?浩一を見つけ出すこともできず、ヨミの部下たちはいたずらに時を過ごす。
そして一夜明けた朝、動き出した三つのしもべは基地の破壊を再開した。
自分たちの主がどうなったのか、テレパシー増幅装置の部屋へ入った部下たちが見たのは
増幅装置に腰掛けたままミイラ化したヨミの姿だった。
ヨミが増幅装置のつもりで作り上げたのは、自身の超能力を強制的に放出する機械であり
一時的に高い出力を得ることはできたものの、彼は急速に自分の生命力を使い果たして衰弱死したのだ。
ヨミの死を知った浩一は、最後に基地のコンピュータを爆破する。
直後に自爆装置が作動し始め、ヨミは彼自身の野望と共にヒマラヤの万年雪に埋もれていった。



66 名前:バビル2世 第三部 1/3[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 18:13:32 ID:???
ヨミの死から間もないころ、米国の人工衛星が突然軌道を外れ、日本のとある山村に墜落する。
山村の住民、そして衛星回収に訪れた米軍兵士たちは、次々と血を吐いて死んでいった。
独自の調査でこの事件を知った浩一は現場を訪れ、生き残っていた一人の男を発見する。
何かに操られるように浩一を攻撃してきた男を捕獲し、バベルの塔のコンピュータに分析させた浩一は
一連の怪異の正体が宇宙からのビールスであると知った。
このビールスは、適合して生き延びた宿主を支配して操ると同時に
宿主を守るためにその肉体を超人化し、さまざまな超能力を与えるのだ。
過去にもこのビールスは地球に降りてきたことがあるが、ニンニクなどの特定植物に弱いという性質があり
その影響は、ごく一部地域で吸血鬼伝説として語り継がれる程度に留まっていたらしい。
コンピュータは更なる研究を行おうとしたが、ビールス人間はコンピュータを破壊して逃走。
しかもその際、ビールス人間は浩一とヨミの戦いに関するデータを獲得し
ヨミを宇宙ビールスの力で蘇らせ、自分たちの味方につけようとヒマラヤへ向かっていた。
ロプロスに乗ってビールス人間を追った浩一は、今まさにヨミの屍を掘り出していたビールス人間を発見し
ビールスを駆除する薬を打ち込んで彼を倒す。だが、ビールス人間との戦いに気を取られているうち
ヨミの屍は忽然と消えうせていた。ビールスによるヨミの蘇生計画は達成されてしまったのだ。
蘇生したヨミは再び世界征服を企み始める。だが、ビールスにも予想できぬことがあった。
強い精神力とプライドを持つヨミは、ビールスの支配に抵抗し、あくまで過去の陰謀の延長上で
組織を操り、自分の超能力と計略をめぐらすことで世界を征服しようとしていたのだ。

ヨミの新たな基地を探し出すべく、浩一は世界各地を探索し始めた。
だが、ある高山地帯を調べようとしたところで、突如降り注いだ雹によって調査をさえぎられてしまう。
実はこの雹、ヨミの超能力によって山全体に降り注いだものであった。
今や、ビールスの増強効果で浩一を上回る超能力を獲得していたヨミだが
過去の2度の敗北ゆえに浩一を高く評価していたヨミは、決しておごることはせず
慎重に力を蓄え、浩一を迎え撃つことを計画する。



67 名前:バビル2世 第三部 2/3[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 18:14:13 ID:???
ヨミのかく乱戦術に惑わされていた浩一だが、やがて秘密基地の存在を悟り、基地に迫る。
通常兵器では歯が立たないと知るヨミは、自身の超能力を限界まで振り絞り
浩一に「基地が壊滅した」幻覚を見せることで、彼を追い払うことに成功した。
この幻覚攻撃のために、ヨミもかなり消耗してしまうが、そうして稼いだ貴重な時間によって
彼の二つの切り札、ロプロスを模した怪鳥型飛行戦艦「V号」と、ビールス人間軍団が完成する。
幻覚に気付いてふたたび基地へやってきた浩一の前に、完全武装のV号が立ちはだかった。
三つのしもべの攻撃を想定して作られたV号には、ロプロスやポセイドンの攻撃も通じない。
V号の攻撃と、放棄された秘密基地の自爆によって、浩一たちは大打撃を受けてしまう。
自身の回復と、爆発で埋もれたロプロスやポセイドンの掘り出しに手間取った浩一が塔に帰ろうと
ロプロスで飛んでいると、なぜか軍隊がロプロスを撃墜しようと飛んできた。
これもヨミの計略である。V号でバベルの塔周辺諸国を爆撃し、その罪を浩一になすり付けていたのだ。
混乱にまぎれてバベルの塔にビールス人間を送り込み、コンピュータを改造して制圧しようとするヨミ、
塔を守ろうとする浩一に、爆撃の復讐戦を挑んできた周辺国の軍隊も絡んで三つ巴となり
浩一とバベルの塔は大ダメージを追ってしまう。しかしV号も少なからず損傷し
慎重なヨミは、確実に塔を制圧できる戦力を整えるために去っていった。

時間を掛けて傷を治した浩一は、情報を求めて国家保安局長に面会。
そこで、日本のF市で奇妙な通信断絶が起きたとの情報を得た浩一は
保安局のエージェント伊賀野と共にF市へ向かった。
だが、浩一の悪い予感が的中し、すでにF市には多数のビールス人間が生まれていた。
ビールス人間には、手をつなぎ合って集中することで超能力を強化できるという特性があり
町中のビールス人間に結託されると、浩一でも太刀打ちできなくなってしまう。
浩一に立ち向かうべく姿を現したビールス人間たちによって、町中の人間がビールスに感染し
死ぬか、新たなビールス人間となって浩一と伊賀野に襲い掛かる。
駆けつけた自衛隊も、ビールスによる死とビールス人間の超能力攻撃によってあっという間に壊滅。
浩一たちはどんどん追い詰められていった。



68 名前:バビル2世 第三部 3/3[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 18:15:11 ID:???
浩一は伊賀野に連絡を任せて彼を逃がすが、一人になった浩一の前にV号が現れる。
己の手で確実に浩一をしとめようというヨミの攻撃であった。
V号は浩一を爆撃するが、逆に投下孔から新入したロデムに破壊されてしまう。
だがヨミを追い詰めるためV号内に入った浩一は、密かに脱出したヨミによってV号内に閉じ込められ
ヨミが操るロプロスとポセイドンの攻撃によってV号ごと爆破されてしまう。
しかし浩一もさるもの、ヨミの使った非常口を発見し、爆破直前で抜け出していた。
V号を失い直接向き合う浩一とヨミ。
だが浩一が自分に無い「エネルギー吸収能力」を持っているのを思い出したヨミは、浩一と直接戦わず
ビールスに感染した動物たちをけしかけ、浩一の消耗を狙う。
ビールス動物の群れに囲まれ袋叩きにされる浩一。だが、そこへ新たな援軍が登場した。
伊賀野の連絡によって、国家保安局が用意した対ビールス用の薬弾を持った部隊が到着したのだ。
戦力を大幅に失ったヨミは、F市の地下に作られた秘密基地へと退く。
激しい戦いの連続で消耗した浩一だったが、保安局に保護されて休息し力を取り戻すと
地下基地に立てこもるヨミをいぶり出すため、F市じゅうの水道管を破裂させた。
保安局によって下水はふさがれており、地下基地は完全に水没してしまう。
追い詰められたヨミは、一か八か浩一との直接対決に現れた。ビールスで増強されている自分の力で
浩一の吸収能力を上回るエネルギーを叩き込んで浩一を倒そうという算段だ。
だが浩一は、ヨミの部下たちが地下に閉じ込められたまま苦しんでいる事実を突きつける。
意外に部下思いのヨミは、浩一との対決より部下の救出を優先し、大きく疲労してしまった。
浩一への怒りから、膨大な念力を発揮するヨミ。だがその体には限界が近づいていた。
老人のごとき白髪と化したヨミに、容赦なく攻撃を叩き込む浩一。
己の敗北を悟ったヨミは、謎の指令「PH304」を指示する。だがそれは逆転の切り札ではなく
死んだヨミの体を回収するロケット型の棺だった。死体を晒さぬことがヨミの最後の矜持だったのだ。
戦いは終わった。そして浩一は、すでにヨミの死を見て、超能力乱発の果てにあるものを悟っていた。
もはや戦いの必要も無い。バベルの塔とバビル2世は再び砂嵐のかなたへ消えていくのだった。



69 名前:バビル2世 第四部(完結編) 1/1[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 18:16:20 ID:???
ある日、浩一は国家保安局長から奇妙な事件を知らされる。
事故で手や足を失った人間が、死体から手足を移植される手術を受けて復帰した後
次々に「助けてくれ、殺される」と言いながら自殺したというのである。
しかも保安局の情報によると、どうやら移植された手足の提供者は、あのヨミであるらしい。
伊賀野とともにこの事件を調査することにした浩一。
やがて、自殺者が移植した手足の勝手な動きに悩まされていたこと、
そして彼らの死後、再び手足が回収されたことが分かった。。
もしや、ヨミが自らの体を接ぎ木のようにして他人の生命力を利用し、復活するのではないか。
浩一たちは移植手術の大本である全身包帯の男を探し出すが、男は正体を明かすことなく逃げてしまった。

不安を抱きながら、世界中の情報をチェックしていた浩一は
米国の原子力潜水艦が北極海で行方不明になったとのニュースを聞き調査に乗り出した。
だが実は、北極海にはあの包帯男の秘密基地があり、調査に来た浩一とロプロスを攻撃する。
原潜から奪った水爆ミサイルの直撃を受け、ロプロスは破壊されてしまった。
追いついてきたポセイドンと合流し、浩一は更なる調査を進め、ついに秘密基地を見つける。
それは、様々な科学兵器で隠された、バベルの塔によく似た要塞であった。
やはり包帯男の正体はヨミだった。だが、彼はかつてのような壮健な姿ではなかった。
度重なる敗北と死を乗り越え、老人のような姿と化したヨミは、最後の切り札であるこの要塞に立てこもり
浩一との決着、そして世界征服計画の再開を企んでいたのだ。
だが、バベルの塔を模したとはいえ、地球の未熟な科学で作られた要塞は
管理を人間のオペレーターに任せざるを得ず、浩一はその隙を突いて要塞内部に潜入。
真っ先にエアコンを破壊したため、要塞内の気温が低下し、ヨミの部下たちは凍えて倒れていく。
易々とメインコンピュータまでたどり着き、破壊しようとした浩一の前にヨミが現れた。
彼は、ここを壊すと原子炉が爆発し、北極の氷を溶かして地球を壊滅させると説いた。
完敗を認め、野望を放棄して安らかな死を望むヨミの言葉を聞き入れて、浩一は基地を破壊せず去る。
その後、ヨミは要塞を自らの棺に、北極海の底で永遠の眠りについた。