【まんたん】

Last-modified: 2023-12-02 (土) 09:34:10

概要

まんたん(満タン)とは、容器が内容物でいっぱいになること。フル(full)ともいう。タンは「タンク」の略であり、日常ではガソリンスタンドでお馴染みの言葉。
DQシリーズでは、パーティ全員の【HP】がその名の通り全快する(満タンになる)まで回復呪文を唱え続けるという機能。
DQ5から移動中の【コマンド】として登場。以降すべてのナンバリングとリメイク版DQ3・DQ4、DQMJ2以降のモンスターズなどに実装されている。
語源に従うなら「まんタン」が正しい表記であるが、ドラクエでは初登場から一貫して全部平仮名で「まんたん」である。
 
全員が全快する前に回復呪文の術者全員の【MP】が尽きるとそこで終了する。
あくまでも【呪文】による回復のみで、回復アイテムなどは持っていても一切使わない。
【キアリー】での解毒や【キアリク】でのマヒ治療も同時にやってくれる。【シャナク】【ザオリク】を覚えていても解呪や蘇生は行われない場合が多い。
ナンバリング・DQMシリーズとも一度選択すると、途中で選択解除はできない。

DQ5

【つよさ】のサブコマンドとして初搭載されたSFC版DQ5では、非常に丁寧に設計された便利なコマンドとなっており、【ホイミ】【ベホイミ】の使い手が揃っていれば、必ず最高のMP効率で回復を考えてくれる。
しかも、本作のみ、ホイミやベホイミは必ずランダム幅の最大値回復するので、非常にお得である。
また、このコマンドを利用することで、青年時代前半の【フローラ】のように、移動中には任意に回復呪文を唱えさせられないキャラにも、呪文を唱えさせることができる。
 

アルゴリズム

本作の「まんたん」コマンドのHP回復呪文の選択のアルゴリズムは、以下のようになっている。

  1. パーティ(馬車がいた場合は馬車内のメンバーを含む)の先頭から順に毒状態のキャラを探す。
    1. 該当者を発見→パーティの中の最後尾から探して最初に見つかるMP3以上のキアリー習得者がキアリーを唱え、1へ戻る。候補者が行動不能(マヒor死亡)だった場合は次の候補者を探す。先頭まで探しても該当者がいなかった場合は2へ。
    2. 最後尾まで探しても該当者がいない→2へ。
  2. パーティの中にマヒ状態のキャラを探す。
    1. 該当者を発見→パーティの最後尾から探して最初に見つかるMP2以上のキアリク習得者がキアリクを唱え、2へ。候補者が行動不能(マヒor死亡)だった場合は次の候補者を探す。先頭まで探しても該当者がいなかった場合は3へ。
    2. 最後尾まで探しても該当者がいない→3へ。
  3. パーティの中にHPの減っているキャラがいる?
    1. YES→4へ。
    2. NO→終了。
  4. 現在HP/最大HPの値が最も小さいキャラを導き出し、そのダメージを算出。
    1. 96ポイント以上→5へ。
    2. 41~95ポイント→8へ。
    3. 1~40ポイント→10へ。
  5. パーティの最後尾から順にMP7以上のベホマ習得者で、マヒ・死亡していないキャラを探す。
    1. 該当者を発見→該当者がベホマを唱え、3へ戻る。
    2. 先頭まで探しても該当者がいない→6へ。
  6. パーティの最後尾から順にMP5以上のベホイミ習得者で、マヒ・死亡していないキャラを探す。
    1. 該当者を発見→該当者がベホイミを唱え、3へ戻る。
    2. 先頭まで探しても該当者がいない→7へ。
  7. パーティの最後尾から順にMP3以上のホイミ習得者で、マヒ・死亡していないキャラを探す。
    1. 該当者を発見→該当者がホイミを唱え、3へ戻る。
    2. 先頭まで探しても該当者がいない→終了。
  8. パーティの最後尾から順にMP5以上のベホイミ習得者で、マヒ・死亡していないキャラを探す。
    1. 該当者を発見→該当者がベホイミを唱え、3へ戻る。
    2. 先頭まで探しても該当者がいない→9へ。
  9. パーティの先頭から順にMP3以上のホイミ習得者もしくはMP7以上のベホマ習得者で、マヒ・死亡していないキャラを探す。
    1. 条件を満たすホイミの習得者を先に発見→該当者がホイミを唱え、3へ戻る。
    2. 条件を満たすベホマの習得者を先に発見→該当者がベホマを唱え、3へ戻る。
    3. 最後尾まで探しても該当者がいない→終了。
  10. パーティの最後尾から順にMP3以上のホイミ習得者で、マヒ・死亡していないキャラを探す。
    1. 該当者を発見→該当者がホイミを唱え、3へ戻る。
    2. 先頭まで探しても該当者がいない→11へ。
  11. パーティの先頭から順にMP5以上のベホイミの習得者で、マヒ・死亡していないキャラを探す。
    1. 該当者を発見→該当者がベホイミを唱え、3へ戻る。
    2. 最後尾まで探しても該当者がいない→12へ。
  12. パーティの先頭から順にMP7以上のベホマの習得者で、マヒ・死亡していないキャラを探す。
    1. 該当者を発見→該当者がベホマを唱え、3へ戻る。
    2. 最後尾まで探しても該当者がいない→終了。

ちなみに、このコマンドを使って、【MP0でも回復呪文を使う裏技】がある。

解説

ほんの少しだけダメージを受けたキャラにまで過剰な回復を行うのを避けたい場合は、【作戦】【じゅもんつかうな】【じゅもんせつやく】にしておけば、現在HPが最大HPの9割以上残っていればいちいち回復しない設定になっている(本来は作戦を指示する側の【主人公】自身もこの時は作戦の影響を受ける)。
これによって、【馬車】の中でレベルが上がっただけのキャラなどのために回復呪文を唱えるような事態はほとんど避けられる。
また、基本的に回復呪文を唱える候補者は、最後尾から順に選択される。
つまり、馬車とのやりとりが可能な場所では、馬車控え組が優先的に回復呪文を唱えるようになっている。
ただし、ホイミやベホイミが必要な時に【パーティ】に習得者がいなかった場合のみ、先頭から別の回復呪文の習得者を探しなおすことがある。
とは言え、主人公がパーティにいる限り、ホイミ・ベホイミの習得者がいないという状況は起きにくいので、あまり気にする必要はない。
さらに、現在HP/最大HPの割合が最も低いキャラから優先的に回復する。つまり、よりピンチなキャラから順に回復してくれる。
これは、MPが十分にある状況であれば最終的に全員全快するので特に意味はないが、MPが逼迫した状況で生きてくる。非常に細やかな心配りである。
MPに余裕があるときに使うコマンドというイメージが強いが、「まんたん」ではランダム幅の最大値回復する効果もあいまって、実はMPが残り少ないときこそ、最大の効果を発揮する。
 
上記の様に、ほとんどデメリットなく快適に使っていける設計になっているので、積極的に利用していきたいコマンドである。
 
ちなみに、HP9割以上のキャラをわざわざ回復しないという仕様は次作以降20年以上忘れ去られていたが、モンパレで【ほぼまんたん】コマンドとして復活した。

PS2版

【さくせん】のサブコマンドに移り、うってかわって粗悪なコマンドに落ちぶれた。
ホイミ・ベホイミ・ベホマを覚えているキャラがいるとすると、レベルアップでHPが微増しただけの味方に【ベホマ】を使ったり、ホイミを使った後に同じ相手にベホマを使う等、意味不明な行動が多い。
加えて【ベホマラー】も覚えている場合、複数のキャラにベホマを使った後にベホマラーを使うという、MPの効率など欠片も考えていないであろう順序で回復する。
PS2版でこのコマンドを使う意味は手間の節約のみ。手動で回復する場合以上のMPを必ず消費すると思っていい。
回復呪文がホイミ・ベホイミのみの序盤であれば気兼ねなく使えるのだが。

DQ6~DQ9・リメイク作品

これ以降さくせんのサブコマンドとして搭載された。
DQ6から制作会社が変わった影響か、必ずしも最高のMP効率で回復するわけではなくなり、使う価値が乏しいコマンドとなった。
上記の作戦による過剰回復の回避はなくなり、【じゅもんつかうな】にしていてもHPが1ポイントでも減っていればホイミをかける。
DQ6ではすべてのダンジョンで馬車とのやりとりが可能となっているが、それにもかかわらず町やダンジョンでまんたんコマンドを使用した場合は、バトルメンバーが呪文を唱える点にも注意。
馬車内のスタンバイメンバーに回復呪文を使わせたい場合は、当然、手動で行うしかない。
ただし、さすがにダンジョン探索中にスタンバイメンバーに回復呪文を唱えたりはしないので、そこは安心していい。
フィールド上なら、スタンバイメンバーが唱えてくれる代わりに、馬車の中でレベルが上がっただけのメンバーにも無駄に回復呪文を唱えることが起こりうる。
また、ピンチのキャラから優先的にという考えもなく、バカ正直に先頭のキャラから回復していく。
前列のHPが数ポイント減っているだけでほぼ無傷のキャラを回復させた結果、後列の瀕死のキャラを回復するMPが残っていないということも起こる。
さらに、移動中に【ベホマラー】が使えるようになった影響で、やたらとこれを唱えたがる。
SFC版DQ6、リメイク版DQ3ではいずれもMP消費が「全員にベホマ<ベホマラー2発」なのに、べホマとベホマラーの両方を覚えていても、狂ったようにベホマラーばかり連発してMPをごっそり減らしてくれる。
それどころか、2人以上がHP1でも減っていれば、容赦なくベホマラーを唱えるという無能ぶり。
DQ7以後(リメイク版DQ4含む)はベホマラーのMP消費が減少(10)して、これに加えDQ9からはべホマの消費量が24と大幅に上昇した(ベホマラーも16に増えたが)のでベホマラー連発の方が安くなるケースも増えたが、やはり頭が悪いらしく3DS版DQ7でもベホマ4回(MP24)で済ませばいいのに、ベホマラー3回+ベホマ(MP36)など平気でやらかすことがある。
なにかスタッフにベホマラーへのこだわりがあるのだろうか?
 
また、ベホマ以外の回復呪文の回復量が、普通に唱えた時と同じくランダムになった。
これは、例えばリメイク版DQ5のように、消費MPがホイミ×2>ベホイミ×1、ベホイミ×1+ホイミ×1>ベホマ×1となっている場合に問題が生じる。
まんたんコマンドのアルゴリズムの関係で、ベホイミなら1回(MP5)で済むのに、ホイミを2回(MP6)唱えるなんてことが頻繁におきる。
消費MPがホイミ(2)、ベホイミ(4)、ベホマ(6)となっている作品では、一応、結果は同じなのでストレスは比較的小さい。
 
SFC版DQ5の頃の便利さは影も形も残っていない。どうしてこうなった?

DQ10オフライン

メインメニューとして搭載された。
PS4版DQ11と同じく【ほぼまんたん】はメインメニューからボタン一発で実行可能。

DQ10オンライン

まんたんが再注目されたのはDQ10オンラインであろう。
高効率でしかも一瞬のうちに全回復できる上、解呪や蘇生も(対応呪文・特技があれば)させるという、非常に便利なものとなっている。
HP回復はホイミで統一されている。
詳細はこちらを参照。

DQ11

概ねDQ10オンラインの仕様を引き継いでいる。
また、モンパレから【ほぼまんたん】が逆輸入された。

DQM

DQMJ2以降のモンスターズでは主人公の【特技】として扱われ、石碑に触れて習得して初めてまんたんの指示を出せるようになる。

DQMSL

【スラミチ】が覚える特技。
戦闘中1回だけ且つクエストでのみ使用でき、力尽きた味方全員を復活させ、味方全員のHPを完全に回復する。簡単に言えばクエスト専用となった体技版【ザオリーマ】である。消費MP250。