【やみのせんし】

Last-modified: 2024-02-17 (土) 10:09:27

ビルダーズ1

【りゅうおう】問いかけに「はい」と答えてしまったロトの血を引く者の成れの果て。【ラダトーム】周辺の地域を蝕む闇と呪いの元凶として描かれる。
 
本編・外伝共に他に登場例のない、今作オリジナルモンスターの1体。
外見は、【ごろつき】系の覆面とパンツ一丁という、シリーズファンなら馴染み深い風体である。先祖返りしたのだろうか……。また、王様がまとうような赤ビロード風の豪華なマントを覆面代わりにしているほか、王冠も被っている。
姿形が激変しようとも伝説の装備自体はまだ身につけているが、ベースがごろつき系統のデザインのためか、【ロトのよろい】【ロトのかぶと】は見当たらず、原典であるDQ1には登場しない【ロトのたて】を装備している。また竜王への友情の証として明け渡したはずの【ロトのつるぎ】をなぜか現在でも構えているが、竜王に忠誠を誓ったためなのか、これらの装備からはロトの紋章が象眼された赤い宝玉が抜き取られている。そして首には【おうじょのあい】がかかったままなのがなんとも哀愁を誘う。
なお、本作で主人公が装備できるロトのつるぎは主人公が一から作り出した物であり、モノづくりを忌避する竜王が一から作ったとは思えないので、彼が持っているロトのつるぎが正真正銘本物ということになる。
肩書きは「いつわりの王」
 
主人公と彼が初めて明確に接点を持つのは、【終章 ラダトーム編】【ローラ姫】の石化を解除し、続けて発生する最初の【竜王軍バトル】に勝利した直後。
ローラ姫の復活によってわずかに蘇った光に反応して、呻き声をあげながら苦しみ出す。その時の台詞はひらがなとカタカナ交じりで表現され、すでに正常な理性を失っていることが窺える。
 
物語終盤、看板に【セカイノハンブン】と書きなぐられただけの建物に閉じ込められた彼の元へ乗り込み、直接対面を果たすことになる。
登場するやいなや「ぐひゃははははははッ!」と狂ったような哄笑をあげ、主人公の存在に気付くと、過剰に反応して騒いだ末、その場に彼と主人公しかいないにもかかわらず、まるで大勢の群衆に聞かせるかのように周囲へ向かって「オレは 王様だ 王様だぞォオオーー!」と仰々しい身振り手振り(Ⅷ以降の作品でごろつき系が仲間を呼ぶ際のモーションと同じ)でがなり立てる。偽りの王という肩書きの通り、本当に自分がこの世界の王だと思い込んでいる様子で、来訪した主人公を無礼者と一蹴して戦いを挑んでくる。
 
長きにわたり閉じ込められていたせいか、精神は完全に崩壊してしまっている。分別もなく常軌を逸した言動は下手なモンスターより恐怖心を煽り、まさしく狂人そのもの。その様子からはかつての勇者の面影は全く感じられない。
これが数百年前はDQ1の主人公であり、もっと言えば勇者として攫われた姫を取り戻し世界に平和をもたらそうと真摯に旅を続けていた青年だったというのだから、精神的にかなり刺さるものがある。
DQ1の時代から数百年を経た本作の時代においても健在である彼は、もはや人間ですらなくなってしまっているのかもしれない(【アレフガルド】には【ラダトーム城の老人】や呪いを解くおっさん等、やたら長生きな人間もいるにはいるが、本来彼がDQ2以降の時代で存命していることはあり得ない)。
はるか遠方の地で点ったかすかな光を感じただけで苦しみ出す点から考えても、既にりゅうおうが司る「闇」の側に染まりきってしまったようだ。
 
彼の選択こそが世界が闇に包まれた元凶であるため、【ルビス】はあくまで「とある戦士」と称して元勇者とは決して呼ばず、彼を知っているはずの町民はおろか、かつての想い人ローラ姫ですら彼について触れようとしない有様である。
せめてもの救済という訳でも無かろうが、竜王討伐後にルビスからは「それも人間らしい回答」と言われ、【エル】からは周囲から常に勇者らしい行動のみを求められ続けた結果、本気で世界を欲したのではなく純粋な好奇心で勇者らしくない選択をしてみただけではないのかと、その心情を推察されている(実際、モノローグでは最初の問いかけに「いいえ」と返答している)。
他にも、勇者として戦っていた頃はラダトーム城で旅支度がショボイだとか文句を垂れて兵士を困らせていたらしいが、これは【初期装備】の項でプレイヤーの誰もが思っていた「『王様はケチ』という印象」をゲーム上で再現したものである。
つまり闇堕ち以前は、プレイヤーたちがかつて操作した、そして人によっては「はい」と答えた勇者とそう変わりない人物だったのだろう。プレイヤーに「自分たちのよく知る勇者」であることを共感させているところに大きな意味がある。
また、会話時の名前欄は「****」であり、従来の名もなきNPCとは異なり【*】ではない。
単なる名無しではなく、「4文字まで名前を決められる」ことを表現している。恐らくそこにはあの日プレイヤー達が名付けた名前が入っているのだろう…

戦闘

理性と共に失ってしまったのか呪文は使わず物理攻撃のみ。モーションは大振りなのでここまで来たプレイヤーなら見てから回避するのも容易だろう。当たってしまった場合のダメージはそこそこ大きいので注意。
また、斬撃の軌跡が赤黒いものになっており、ここでも邪悪に染まっているであろう事を伺わせる。

HPが減ってくると妙なポーズ(【マッスルポーズ】)をとりだし、回転斬りを繰り出してきたり【メーダロード】を呼び出してくるようになる。
ちなみにマッスルポーズらしきものをとっている間、攻撃は当たるがダメージにはならない。…が、ここまで来ているなら
こちらも伝説の装備が揃っている事もあり、メーダロードの処理さえ何とか出来れば正攻法でも撃破はさほど難しくない。
更に【超げきとつマシン】を用いれば無敵時間を利用してノーダメージで勝ててしまうヌルゲーになる。
やみのせんしを撃退した後もメーダロードは残るので、できればきっちり処理しておこう。
 
残りHPをもう少しというところまで減らすと叫びながらどこかへ逃げてしまい、倒すことは出来ないまま戦闘終了となる。
戦闘後は一切登場しないため、彼の顛末については一切不明のまま物語は幕を閉じることになる。

余談

なお、ビルダーズには一部のオブジェクトを用いて高い所へ移動するバグがあるのだが、これを利用するなどして最後の鍵を使わずにセカイノハンブンへ入る事ができる。
その場合、扉から数歩奥に入ったところで出現ムービーが流れるが、その状態では実際には出現しない。
この事から、鍵の開放が彼を出現させるフラグとなっている事が分かる。

DQMSL

同名で登場しているが、あちらでは王冠を被っておらず装備は【どうのつるぎ】【かわのたて】になっている。王冠を被りロトシリーズの装備を身に着けている方は、転生先の「偽りの王やみのせんし」として登場した。
ちなみにこちらではデイン属性をもつ【ジゴスパーク】や魔王に代表される【????系】に大ダメージを与える【聖魔斬】を習得するなど、このような姿に堕ちても確かに元は勇者であったことを思わせる特技を習得する辺りが興味深い。