【アバカム】

Last-modified: 2024-03-16 (土) 04:12:11

概要

本編ではDQ2とDQ3、DQ10オンラインにのみに登場。
【魔法使い】の高等呪文という立場で、対応する鍵を持っていなくても全ての扉を開くことができる。
昔からファンタジー作品などで魔法使いがよく使うジャンルの魔法である。
もしも現実に存在したら、まず間違いなく悪用されるであろう呪文の1つ。【盗賊】あたりにありがたがられそうである。
これがあれば鍵いらずと言いたいところだが、高等呪文のため覚えられるのは終盤。仮に序盤に覚えられたら攻略の順番がメチャクチャになってしまうので、あくまでオマケの呪文である。
ストーリーの順序が重要視・固定化された、DQ3より後の作品ではDQ10オンラインでイベント台詞として登場した以外では本編作品には実装されていない。
 
なお、後述の通りDQ4には没呪文としてデータ上にのみ存在する。

DQ2

消費MP2。【ムーンブルクの王女】が習得するが、習得レベルは機種によって異なる。
FC・MSX・MSX2版ではLv23だったが、SFC・GB版ではLv29と大幅に遅くなり、通常の攻略ならクリアできるレベル以上の経験値を要求されるようになった。
スマホ版では習得Lvが36へと数値自体は遅くなったが、必要経験値はGB版以前のLv23程度に相当し再び早くなった。消費MPも1に下がっている。
 
ほぼ完全なオマケの呪文であり今更感が漂う呪文なのだが、覚えたら覚えたでかなり便利。
DQ2では一部の扉を除いて、鍵同士に互換性がなく対応する扉が別々なので、全ての扉を満遍なく開けるためには常に銀・金・牢屋と3つの鍵を持ち歩かなければならない。
そのくせ道具欄は最大8しかない。
【ローレシアの王子】は通常、武器・鎧・盾・兜をフル装備しているはずなので、【まよけのすず】を装備したら空きは3枠になる。
【サマルトリアの王子】は兜の枠が空きがちなので、残り4枠、ムーンブルクの王女はさらに盾が空いて5枠、ここに必須アイテムとして【ルビスのまもり】【じゃしんのぞう】が加わり、この時点で自由が利くのは残り10枠。
余裕があるようにも見えるが、【せかいじゅのは】【いのりのゆびわ】【やくそう】【ちからのたて】などロンダルキアの大地を探索するのに持っていきたいものは多いので、カギを持ち歩くと圧迫される。
そこでアバカムを覚えれば、全てのカギを手放すことができ、いくつかスペースを空けられる。
道具欄のスペースで困っていなかったとしても、余計な道具を持たないことは【復活の呪文】の短縮につながるため、その意味でもメリットがある。
MPを消費すると言っても微々たるもので、攻略上はほとんど影響しない。
ただし、【ろうやのカギ】を手放した状態でローレシアの王子のみが生き残り(全滅後の再開時も同様)、世界樹の葉もない場合は【ロンダルキア南のほこら】から【ベラヌール】に戻れなくなる点には注意が必要。
その場合は復活の呪文を聞いて再開すれば死んだ仲間は自動的に生き返るが、牢屋の鍵だけはアバカム習得後も一応持っておいたほうが無難かもしれない。
逆の言い方をすると、アバカムを未習得のまま、ロンダルキア南のほこらから【ロンダルキアへの洞窟】を抜けて【ロンダルキアのほこら】に辿り着くまでの道中で誤って牢屋の鍵を捨ててしまうとかなり悲惨なことになる。
その状況ではハーゴンの神殿の2階以上に進むことができず、ベラヌール方面へ戻ることもできず、さらにロンダルキアのほこらで復活の呪文まで聞いてしまうと、【ルーラ】や全滅からの再開で地上に戻る手段も失われる。
そうなると、ロンダルキアの地で強敵を相手にアバカムを覚えるまでレベルを上げるか、それができないような戦力だった場合は泣く泣く1個手前(ロンダルキアへの洞窟を抜ける前)の復活の呪文で再開するしか手はない。
 
金の扉についてはラスダンの攻略に1ヶ所あるだけなので、金の鍵を持ち歩くメリットはここでわずかにMPを節約できる点のみ。
銀の扉については用が済めば何度も開ける必要のない扉ばかりなので、銀の鍵はこころおきなく手放せる。
ラスダンであるハーゴンの神殿にある銀の扉は開けても特に意味の無い台詞が聞けるだけなのだが、初見プレーなどでどうしても聞いておきたいのであれば、アバカムに任せればよいだろう。
 
なお、ムーンブルクの王女を仲間にしてすぐにものすごく頑張ってこの呪文を覚えた場合、わずかだが冒険の道筋を歪めることが可能。
具体的には、【きんのカギ】の扉を開けられるため先に【デルコンダル】に入ったり、【ムーンブルク西のほこら】から各地を経由して【ルプガナ北のほこら】まで飛べる(【ドラゴンの角】を通る必要が無くなる)ため、【かぜのマント】の入手を無視できる。
【ぎんのカギ】は元々王女を仲間にする前に入手できるものなので攻略順に影響は無く、ろうやのカギは入手のタイミングが必要になるポイントの直前なので、無視しても2000Gの節約になるだけ。
 
最後に、【すいもんのカギ】の代用はできない。
【ラゴス】は攻略本なしでは相当難解な謎解きポイントだったことや、『ファミコン通信』87年第7号の質問コーナー『出張版 アルゴリズム相談室』では「水門は呪文で開きますか?」という質問に対して「どうしてもダメな場合は王女が"アバカム"を覚えるまで待とう。これで水門が開くぞ。」誤答していたこともあって、この呪文で代用しようと必死になってレベル上げして習得したプレイヤーもいたとかいなかったとか…。
もっとも、水門自体は開けることができないにしても、本作はどこかで意識してレベル上げをしないと力不足に陥りやすいので、その行動自体はまんざらムダでもなかったりする。

リメイク版

SFC版以降は、道具欄が10個に増えたことで、道具欄のスペースに困ることはほとんどなく、アバカムの利用価値は大きく減少した。
しかも鍵さえあれば【便利ボタン】一つで扉を開けられるので、アバカムを唱える場合わずかながら手間がかかってしまう。

PS4・3DS版

消費MPが0になり、また便利ボタンでの開錠にも対応しているため、習得以降は(ムーンが死亡しない限り)鍵を持ち歩く必要が完全になくなった。
【ふしぎなぼうし】を装備するとMP消費は1と誤表示されるが、実際には0。

ゲームブック(エニックス)

この呪文の効力を持つ「アバカムの宝石」という道具が登場し、いにしえの【ローラの門】を通る際に銀の鍵を手に入れていない場合は、サマルトリアの『魔法を売る店』でこの道具を買うことになる。
ただし非常に高価であるため、手に入れるには【不思議な帽子】を売るか、無ければ装備品とフラグアイテムを除いた全てのアイテムとゴールドを手放さなければならない。
 
アバカムの呪文は原作通りにムーンブルクの王女ナナが覚え、【ハーゴンの神殿】の入口を開くときに唱える。

DQ3

消費MP0。【魔法使い】【賢者】がLv35で習得。
本作から鍵同士に序列ができ、上位のカギは下位のカギの扉も開けられる互換性を持つようになった。
最終的に【さいごのかぎ】1つを持つだけで事足りるため、道具欄の圧迫がDQ2に比べ軽減されている。
この呪文は【呪文】コマンドの一番下(しかも賢者の場合は2頁目)に登録される。
そのため扉を開ける際にはこの呪文を唱えるよりも、最後の鍵を先頭の仲間の道具欄の一番上に置いておいた方が手間を省ける。
 
一方で、道筋短縮の機会は、DQ2のときよりも増えている。

など。
これをすると「初対面のはずのポルトガ王がさも面識があるかのように話しかけてくる」という珍現象を引き起こせる。
また、その場合は【おうのてがみ】が手に入らず、【ノルド】にバーンの抜け道を教えてもらうことができなくなる。
もちろん、あらかじめポルトガ王に会って手紙をもらっておけば、船を入手した後からでもバーンの抜け道を開通させることはできる。
 
果てしない根気と時間があれば全てのカギを代用し、最後のカギを入手するまではカギ無しで進むことができる。
もしくは、アリアハン脱出に盗賊の鍵だけは必要になるものの、【アッサラーム】【ゆめみるルビー】を用いた【棺桶バグ】で経験値カンストを行えば、割と容易にアバカムを覚えられる。しかしこちらはあくまでバグを利用する非正規の方法であるためリスクが大きいことには注意。
 
ただしアバカムは呪文扱いのため、すべての呪文がかき消される【ピラミッド】の地下では使用できない。
ここで【おうごんのつめ】が欲しいなら、魔法の鍵か最後の鍵が必要。
 
【ドラゴンクエスト4コママンガ劇場】ではMPを浪費している賢者が仲間たちから理由を探られた結果これを乱用していたというネタがあったものの、前作と違って本作における実際の作中ではMPを消費しない。

リメイク版

【ふくろ】の存在により道具欄を圧迫することが完全に無くなったため、道具欄のスペース節約という存在意義はほぼ無くなった。
また覚えていると扉に触れるだけで開けられるので唱える必要もなくなった。
ただし、GBC版ではカギがないと自動で開かないので唱える必要がある。
 
最後のカギだけは入手そのものが商人の町発展のフラグになっているので、クリアするまでに入手だけはしなければならなくなった。盗賊・魔法のカギは入手せずに終わらせることが可能。
 
リメイクより、この呪文を廃人的に頑張って序盤に習得しなければ見られない隠し台詞が追加された。

GBC版

本作のみ【キメラバグ】を利用すればアリアハン大陸にいるうちでも簡単に修得可能。
上記の隠し台詞やショートカットを堪能したい人はこちらで試してみるといいだろう。

DQ4(没)

FC版の呪文データ内にアバカムの存在が確認されている。
実際に機能して【さいごのかぎ】に対応した扉を開けることができる。
本作には前作以上にカギの有無によってシナリオ進行が制限されている箇所が多いため、実装されていたらストーリーが木っ端微塵にブッ壊れるおそれがあることは想像に難くない。
 
習得する候補は【ブライ】【マーニャ】、もしくは【勇者】あたりが考えられるだろう。
【オーリン】のようにNPCの仲間が鍵開けの特技を持つのは意図した仕様であるため、【ホイミン】【ロレンス】がアバカムを習得していたとは考えにくい(そもそもこれらのキャラは移動呪文は使えない)。
したがって、勇者以外が使えたとすれば第二章・四章のいずれか、そして全員が仲間になる五章では誰かが使えるということになると思われる。
まず、第二章では【とうぞくのかぎ】の有無で【さえずりの塔】を登れるかどうかが変わるが、それ以前に【フレノール】以降のシナリオを一気にすっとばして【エンドールへの旅の扉】から【エンドール】へ行けてしまう。
また、第二章のうちにサントハイムの宝物庫から【マグマのつえ】を入手できてしまう。
仮にここでフライングゲットしたとしても後述の通り【ガーデンブルグ】の最後のカギの入手自体をスルーできるのでシナリオ上はあまり関係ないが、4択前提の特殊仕様である【ベロリンマン】戦における全体対象の道具使用効果は何らかのバグが生じても不思議ではない。
ついでに言えば【武術大会】終了後にエンドール城から飛び降りて脱出できるので、サントハイムの一大事を伝えに来た兵士の【ぐふっ…!】の処理がバグる可能性もあるだろう。
第四章でマーニャが習得できたとすると、【オーリン】を仲間にすることなく【キングレオ城】に潜入できることになる。
その後の展開で仲間になっていないはずのオーリンが追手を食い止めなければならず、大きなシナリオ矛盾を生む(あるいは処理がおかしくなってフリーズする)ことになるだろう。
そして、やはり一番致命的なのは第五章で、【アリーナ】が(強制的に)持っている盗賊のカギによるシナリオ進行制限が機能しなくなるため、ここを起点とした一連のシナリオがまるごとすっ飛ばせるようになる。
具体的には、船入手直後に【王家の墓】【へんげのつえ】を入手し、【デスパレス】のイベントを進めて【エスターク】復活まで一気にショートカットができてしまう。
エスタークさえ倒せば【気球】を入手できるので、【透明気球】に匹敵するシナリオ破壊が成立する。したがってアリーナ一行や【ライアン】を加入させることなく天空装備一式を入手でき、【デスピサロ】撃破まで話を進められてしまう。詳細は透明気球の項に詳しいが、複数の致命的なバグを誘発することになるため、実装が見送られたのは当然といえば当然だろう。
 
もっとも、上記のシナリオ破壊は現状の設定に一切手を加えずにそのままアバカムを実装した場合の話であり、アバカムの存在を前提として、フラグ管理などの設定をいくつか手直しすれば、シナリオ破壊を防止するのはさほど難しくはない。たとえば下記の工夫で概ね解決する。

  • 第二章のエンドールへの旅の扉の牢屋の扉をなくして壁にすれば、ここを抜けることはできなくなる(この扉は元々存在意義がない)
  • フレノールの誘拐イベントのクリアと、さえずりの塔の頂上の蜜を持ったエルフの出現をフラグ管理で紐づければ、シナリオを飛ばせなくなる(リメイク版にはこれに少し似たフラグ管理がある)
  • 第二章のラスト、エンドールの魔法の鍵の扉の前に一時的にNPCを配置するだけで防具屋に飛び降りるルートを防げる
  • 第四章で、オーリンが加入するまで、キングレオ城の大臣が留守になるようにフラグ管理すれば、オーリン加入をスルーできなくなる
  • 第五章では、導かれし者たちが全員加入、かつバルザックを撃破するまではデスパレスでのデスピサロ演説が始まらないようにフラグ管理すれば、シナリオ的にも特に違和感なくスルーを防げる
  • ガーデンブルグの濡れ衣イベントは本筋にあまり関与しないが、これのスルーを防ぎたければ、天空の盾の宝物庫の前にNPC(兵士)を1人おいておくだけでスルーできなくなる。
  • 第二章で武術大会にマグマの杖を持ち込ませたくなければ、サントハイムの宝物庫前にNPC(兵士)を配置するだけで意図しない侵入を防げる(第五章ではこれと同じ方法で防ぐ処理がある)。あるいは五章のバルザックを撃破したときにマグマの杖の宝箱が出現する仕様にしてしまうのもアリだろう(それっぽい長いこん棒を持っているし)。

DQ10オンライン

Ver.4.1ストーリーにて、秘められた遺跡の入口を開く秘密の合言葉として、ムービー中の台詞に登場した。
詳しくはこちらを参照。

トルネコ2

魔法使いの呪文で登場。
【カギ】の代用ができるが、カギは井戸のダンジョンで簡単に入手可能なので、特に重要ではない。
むしろ【宝物部屋】のないダンジョン攻略中に覚えてガッカリする呪文。
持ち込み不可のもっと不思議のダンジョンで覚えられれば、カギを持ち運ぶ手間は減るが、この呪文自体を忘れてしまう可能性もあるため、完璧ではない。

ダイの大冒険

漢字表記は「開扉呪文」。
【アバン】【破邪の秘法】とセットで【バーン】の超魔力で閉ざされた【バーンパレス】の正門を開くために使用された。
 
バーンパレスの門は魔力で封印されている上に鍵穴自体がない扉。
部外者が開けるなら扉自体を破壊するかアバカムを使うしか無い訳だが、バーンの超魔力によって閉じられている為、門は異常な強度を誇るので破壊は極めて困難であり、アバカムにしても普通ならまるで歯が立たない。
 
ところが、アバンは破邪の秘法によってこの呪文の威力を増幅させることでこれを易々と開け放った。
久々に再登場したアバンの実力を如実に示す華々しい活躍のシーンを請け負ったことになる。
同時に、以前類似した扉を父と共に砕き、今回はどうやって破壊したらいいかと考えていたダイに力以外の手段で開かせることが可能であることを示し、バーンが言う「力だけが正義」がやはり間違いだと確信させた。

アベル伝説

バラモスがゾーマのいる神殿に入る際に使用した。

幻の大地

DQ6のコミカライズ【ドラゴンクエスト 幻の大地】では、【グランマーズ】【セバスのかぶと】の隠されている秘密部屋を開ける際に使用している。
天空シリーズでは登場しないため、「異次元の呪文」でグランマーズ以外は扱えないと説明されている。そのため、習得しようとメモしていたチャモロがそれを知って衝撃を受けていた。

蒼天のソウラ

4巻で登場。解錠呪文と書いてアバカムと読む。使い手は魔公子イシュマリク
ただのアバカムとして使うのではなく、呪文を【エクステンション・ライン】で拡大した拡大・解錠呪文(エクス・アヴァク)にして使用した。
その効果はユルールが構える盾に衝撃を与えることすらなく、盾を構成する部品同士の結合を解くことでバラバラにした。
正にアバカムの概念や解釈を拡大した効果となっている。