【キャスリング】

Last-modified: 2022-12-07 (水) 21:48:15

ダイの大冒険

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場する【ハドラー親衛騎団】の一人【ブロック】が使える自己犠牲技。城兵(ルック)の駒から生まれたブロックならではの固有能力で、元ネタはチェスの同名のルールから来ている。
 
使用者のブロックが自らの肉体である巨大な鎧を二つに割り、内部から現れたスリムな本体がヒム以上の敏捷性で動き、王(キング)たる【ハドラー】と入れ替り身代わりとなる。鎧を脱ぎ捨てる際、【ミストバーン】【闘魔滅砕陣】を力業で突破するほどの力を同時に見せた。
割れた鎧は細かく砕けてバリアボールへと変貌し、ハドラーと仲間達を包み込んで守護すると同時に遠くへと転移させる。
この能力は【アルビナス】でさえも知らなかったようで、ブロックのキャスリングを見て初めて【黒の核晶】が爆発した際に親衛騎団が無事だったのは、この能力によるものだったと悟っている。その際元の巨漢に戻っていることから、王が安全圏に移動した後(元ネタでいうならゲーム終了後)ブロックが生存していればバリアボールは元の鎧に戻る機能もあるらしい。
またキャスリングは攻めの手にも利用されるので、緊急回避だけでなく、攻めを目的として鎧を展開、スリムな高い機動力の状態で戦い続けることも可能と思われる。
 
劇中では、反旗を翻したハドラーが【ザボエラ】の横槍で拘束され、【バーン】【光魔の杖】を投げつけられて改めて処刑されかける瞬間、主であるハドラーを救うべく発動、その身を挺してハドラーと仲間達を救い、自ら代わりに光魔の杖を胴に受けて核(コア)を貫かれ散った…。
 
因みに、本来のチェスのキャスリングは王が好きな方向の城兵の居る側へ2マス動き、それから王が動いた側の城兵が王を跨いだ隣側に移動するというもの。
チェスは駒の機動力が全体に高いゲームであり、一手で王を他の駒に守られた位置に送れる上、戦力でありながら隅に初期配置されるため活かしにくい城兵を中央に持って行けるキャスリングは有用である。
しかし、発動には幾つかの制約があり、以下の条件を満たしていないと行う事は出来ない。
 
[1]…王と、入れ替わりたい方の城兵が共にまだ一度も動いていない
[2]…入れ替わる互いの駒の間のマスに何もない
[3]…王がチェック(王手)及びチェックメイト(詰み)されてない
[4]…王が通過するマスやキャスリング後に来るマスに敵の駒が利いていない
 
然るにバーンが本来のルールで反則だと言っていたのは、ハドラーが拘束&処刑寸前(=チェックメイト状態)であり、キャスリングしたブロックはそのままハドラーの代わりにチェックメイトの手を受け破壊されたため、明らかに[3]に触れている事である。
更に言えば、ハドラーとバーンの戦闘に割り込んで発動しているため[1]、ブロックを拘束していたミストバーンを弾き飛ばしているため[2]と[4]についても怪しい。
もっともこのルールを忠実に守るとにしたら、互いに動いておらずかつ安全圏でしか使用出来ない関係上、せいぜい出撃時ぐらいしか発動機会はなく、緊急回避手段としてのキャスリング自体、まず間違いなく[3]に引っ掛かって反則になってしまう。
動きのある戦場でキャスリングを物語に有用に取り込むにあたっては仕方のない補正だったと思われる。
肯定的に解釈すれば、死んだハドラーの灰がアバンを守ったことが奇跡の力だと受け取れるような描き方をされていたように、ブロックのこの力もまた、主を守りぬかんとするブロックの意思が本来何よりも順守すべきルールを無視してまで起こした奇跡とでもいうべきなのかもしれない。
 
もっとも、それはあくまでもチェスの勝負の話であって、ブロックのそれは戦いの中で使用した技のため、反則だのなんだのイチャモンを付ける方がナンセンスなのだが。
 
なおこれはチェスで城兵が持つ能力であるため【マキシマム】配下の城兵も使えた可能性はあるが、こちらは一歩も動く映写もないまま真っ二つにされてしまい大事な場面で発動する事はなかった。