【グリンフレーク】

Last-modified: 2022-04-16 (土) 22:22:25

DQ7

【グリンフレーク地方】にある【町】。たまに間違えられるが、「"グリーン"フレーク」ではない。
英語版での地名はPS版ではVerdham、3DS版ではGreenthumb Gardens。
ハーブで有名な町で、町の北側には見事なハーブ園がある。
そしてプレイヤーにとっては、ドロドロすぎる昼ドラ劇場として名高い。
 
この地方に対して魔物が及ぼした影響はというと、【あめふらし】がグリンフレークの人々を石にしただけ。
石化現象は早々に主人公らの手によって元に戻され、あめふらし自身も退治されているのだが、この地方が現代に復活するのはそれよりももっと後。
そういう意味では、事件の背景にちゃんと魔王の手先がいた【レブレサック】と異なり、このグリンフレークは魔王や魔物の存在など一切関係なく、延々と人間による昼メロドラマ「だけ」が展開されるという、シリーズの中でもかなり異彩を放つ物語となっている。
結果としてはドロドロやった挙句に関係者全員が不幸になって散り散りになり、町もこれが遠因で消滅するため、中には次の時代を担う子供たちが真実を知り、それを風化させまいと奮起するレブレサックのほうがまだ救いがあってマシという意見さえある。
2回目(リートルード経由で来るとき)のイベントのほうはスルー可能な点が唯一の救い(良心?)と言えるかもしれないが、それも周回プレイを行う場合の話。
石版を集めなければならないという根本的なゲーム事情から、初見でスルーできた人はまずいないだろう。
 
何気に現代には残っていない町村のひとつで、選択次第で存亡が変わる【ルーメン】と訪れた時点ですでに廃墟だった【ダイアラック】を除けば、ここの他に【アボン】【フズ】【ふきだまりの町】【ラグラーズ】がある。

過去

最初に訪れたときは【灰色の雨】によって人々が【石化】している。屋敷の屋上でそれを降らせた黒幕であるあめふらしとの戦闘に突入。
ダイアラックはほとんどの住民がまともに灰色の雨を浴びたうえ、約50年もの間雨ざらしのまま風化しきってしまったことで手遅れになってしまった。
対してこちらは元凶がまだ立ち去っていないことからもわかるように石化からさほど時間が経っておらず、また雨が降った直後に住民の大半が室内に避難していたため、元凶を倒して【天使の涙】を使い救出することができた。
なおこの時点では教会がまだなく、セーブは宿屋のテーブルの上に置かれている冒険の書に直接書き込む形。それ以外は宿屋にいる神父が担当してくれる。
 
ところがこの石化事件を解決するやいなや、DQ史上類を見ない昼ドラが開幕。
この街に住む娘【リンダ】は借金のカタにハーブ園の主人の息子【イワン】と婚約させられているが、リンダはそのハーブ園で雇われている庭師【ペペ】と恋仲にある。
一方イワンの家に奉公するメイド【カヤ】はイワンに首ったけで、当のイワンは「昔は」カヤの方を向いていたが、今はリンダに熱を上げている。
…と、これだけ聞いても想像がつくように、「カヤ→イワン→リンダ⇔ペペ」というかなりややこしい四角関係の恋愛模様が繰り広げられる。
ペペはリンダを庇って灰色の雨をもろに浴びてしまい、天使の涙だけでは完治に至らなかったため、主人公たちが【エンゴウ】【パミラのひやく】をもらってくることに。
 
ペペの治療が済んだ後、カヤはリンダと駆け落ちするよう彼をけしかけ、リンダ自身もペペと一緒に逃げることを懇願。
しかし、ペペは残される人々のことを考えてそれらを頑なに拒み、ひとり町を去ってしまった。
1回目のイベントはこれでいったん終わりだが、現代に大陸を復活させるにはこのドラマを最後まで見届けなくてはならない。
イベント終了後、町の北西にある【沼地の洞窟】の情報が聞ける。
 
なおここの武器と防具の店には【やいばのブーメラン】など強力かつ高価なものが複数売られているうえ、ここの次に行くことになる後述の現代のメモリアリーフやその次の【ユバール族の休息地】には、店らしい店が一切登場しない。
ボス戦こそないものの、装備を整えるためには遠路はるばるここまで戻ってくる必要があるのだ。
グリンフレークの次に登場するマトモな店は、二つ先の地域に登場する【旅の宿】にある店である。
 
またここには踊り子風で妹に無理やり踊り子の服を着せようとしている姉と、姉がギャンブルするたびに不幸になる水晶とタロットを持った内気な妹というどこかで見たような二人組がいる。詳細は【グリンフレークの姉妹】を参照。

現代

町は滅んでハーブ園の跡地が残るのみの【廃墟】となり、老人が一人いるだけ。
東に位置する【メモリアリーフ】の従業員からは「かつて西に町があったが、時とともに廃れて荒野の一部になってしまった」という話が聞ける。
キーファはメモリアリーフで聞いた話から「グリンフレークが滅んだのは町の名前すら忘れ去られる程の昔で、メモリアリーフが繁栄したことでグリンフレークが廃れたのではないか」と推測している。
ここには次の【ユバール族の休息地地方】へ向かうための【ふしぎな石版緑】が手に入る。
異変後には老人がいなくなり、かわりに白骨死体が一つ放置されている。
彼の死体とは断定できないが、もしそうならそこで孤独死したか魔物に襲われてしまったのだろう。
ちなみに老人がいなくなったことで焚火も消えてしまっている。
リメイク版では異変後に老人がいなくなるのは同じだが死体はなく、焚火はつきっぱなしである。
 
PS版では移民の出現場所になっているものの、ルーラで行けない地点なのでわざわざここへ行く人は少ないだろう。
ちなみにここに出現した移民は「メモリアリーフ出身」となる。グリンフレークという地名すら忘れ去られてしまったためだろうか。

過去(その2)

その後この町に、過去【リートルード地方】から【バロックの橋】を渡って再び訪れることができる。
 
前回から30年ほどの時が流れており、前回はなかった教会が新たに建てられている。
PS版では前回とはまた別のアイテムが拾えるが、3DS版では前回取った場所からアイテムは取れなくなった。
石版のかけら等はなく、現代での大陸出現フラグにもなっていないので、ここでのドラマに関心がない、深入りしたくないようであればスルーしても問題はない。
 
イワンはリンダと結婚し、周囲の反対をはねのけハーブ園をブドウ園に改造するものの、見事に経営に失敗した挙句に破産。
元通りのハーブ園になり、屋敷の主もカヤと結婚した【カサドール】に取って代わられている。
またリンダは【エペ】という息子をもうけているが、リンダは既に町を出ていきここにはいない。
そしてイワンに想いを寄せていたカヤにより、火曜サスペンスもビックリのカサドール毒殺未遂事件が発生している。
彼女がイベント中に落とす【むらさきの小ビン】を拾ってメイドの【チェリ】に見せることで真実が発覚。
イワンとカヤは町を追い出されることになり、これでここでのドラマは完結だが、メモリアリーフではまた別の物語が展開される。
 
なお、一連のイベントをこなしても現代のグリンフレーク跡地には何も変化はない。メモリアリーフのほうはイベントにより現代に変化が起きていることを考えると、イワンやカヤの存在に関係なくグリンフレークの滅亡は避けられない運命だったようである。
 
双方のハーブ園で昼ドラの如き展開が繰り広げられている一方、武器と防具の店にある本棚には、「怪力マチョー」によって著されたエッセイが置かれている。
彼女の本のあとがきにはこう書かれている……。

”1位になったら 私をふった あのヒトを
 思いっきり だきしめてやるわっ!
 背骨がくだけるほど 強くね……。

……この願いは、DQ4の【海辺の村】の宿屋の本を見るからに無事(?)成就したようだ。
 
前述では「30年ほどの時が流れている」と述べたが、【デバッグルーム】のリートルード編とハーメリア編のフラグを扱うコーナーの間に「ハーブ32年ご・しょきじょうたい」という項目があるため、詳しい数値は32年後と思われる。
ただし、開発中の仮の設定という可能性もあるため、製品版であろうと【チート】を使わないと確認できない設定は鵜呑みにしないほうがよいかもしれない。

リメイク版

イベントには特に変化はないが、マリベルの仲間会話テキストが大幅に変更されている。

PS版では、

  • 石化した町の住人をよそに買い物ができないことへの不満を口にし、【あめふらし】を退治した際にも買い物ができないので早く石化の呪いを解くようにと急かす。
  • ペペとリンダが折り重なって石化しているのを見て「あのふたりヘンタイじゃないの!ふけつよ ふけつ!」と思い込みで非難する。
  • 石化の呪いを解いた後、イワンがペペとリンダの様子を見てハーブ園に向かった際、面白そうだからと主人公に彼を追いかけるように促す。
  • 石化の呪いを解いた後、その功績を鼻に掛けるような発言を繰り返す。

など、(らしいと言えばらしいという意見もあるが)毒舌では済まされない自己中心的な言動が目立っていたため、それを考慮しての変更と思われる。
 
このほか、石化した住人を最初に調べた際の仲間会話がメッセージに組み込まれる形になり、通常はキーファのセリフが後に続くが、キーファが死亡しているときはマリベル、両者が死亡しているときはガボのセリフに代わる。主人公以外全滅している時は、メッセージは出ない。
また、着替え中に石化してしまったシスターを調べたときのメッセージから「見えそうで見えない…」の文が削除されている。

リメイク英語版

この町、及び【メモリアリーフ】の登場人物の名前がPS英語版から変更され、全員植物に関係する名前になっている。

漫画版

漫画版の作者藤原カムイにもここのイベントは嫌われたようで、漫画版では大幅にカット、オリジナル展開になっている。
 
グリンフレークを解放したのは【グレン】であり、アルス達は解放後にこの町へ訪れることになる。
その後、【ベゼル】が現れて修行をすることになるのだが、その際にこの町の顛末などを幻影を用いた回想で見ることになる。
グレンがグリンフレークを解放後に愛憎劇を繰り広げるのは一緒だが、ベゼルは何かあると残っただけで愛憎劇には一切触れなかった。
その後はダイジェスト形式でベゼルの話になり、ペペがいなくなった後に父親は病に伏し、ポルタが仕事を継ぐもハーブを育てる才能がなく失敗。
いつしか町の人も減っていき、ボルックも急死したことでボルック家は一家離散となったことが語られている。

小説版

小説版では尺の都合ゆえか存在そのものがカット。フォロッド地方の直後にそのままユバール族の休息地地方に向かう流れになっている。
ちなみに移民の町関係のエピソードを語るためにダイアラックのエピソードはそのままなので、小説版では灰色の雨に関する問題は根本的には全く解決していなかったりする。

その他

ここにいる【グリンフレークの姉妹】【マーニャ】【ミネア】のパロディキャラ。
 
この姉妹に特にストーリーがあったりするわけではないが、ペペ復活パーティ中の両名のセリフからするに、姉のほうは男漁りに積極的な性格であること、妹はそれを諫めようとしていること、それまで父親の仇を討つことを目的に旅をしてきたらしいことが窺える。
 
しかし服装は妹のほうがどう見ても踊り子な派手なドレスを着ているが、これは姉に無理矢理着せられた模様。

余談

ハーブは現実世界では料理の隠し味等に幅広く使われているが、繁殖力が物凄いものも多い(たとえばミント)ため、一度植えると栄養を吸い付くして植生を上書きし、環境を完全に破壊するほどに手が付けられなくなりえる。実際、日本でも首都圏の公園等でミントが繁茂してしまい問題視されている。
 
料理に使えるから等と軽い気持ちで適当に庭に植えたりすると、端にちょっと植えただけで庭が埋まるどころか自重せず溢れかえる草花と匂いで近所迷惑に発展するぐらい大変なことになる。
雑種交配も起こりやすい上に、雑種のハーブは風味・薬効が落ちる劣等品で使い道がなく、めちゃくちゃ繁殖しやすいだけの厄介者でしかない。
 
わずかな葉や根が残っていれば何度でもしぶとく復活するため抜いたり焼いたりでは不十分、完全に撤去するには土をまるごと入れ換えるぐらいやる必要がある。
栽培する際は基本的に鉢植えで管理し土植えは避けるべき。畑を作るなら相当の準備と覚悟が必要。
 
グリンフレークは現在では放逐された荒れ地だが、管理者なき後も未だにハーブらしき草花は大量に生い茂っていることからもその生命力の強さが見える。