【ドラゴンクエスト プリンセスアリーナ】

Last-modified: 2020-03-25 (水) 11:47:05

概要

【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】を下敷きにした漫画作品。
1997年から2000年にかけて、【月刊Gファンタジー】において連載された。
作者はシナリオが【トルネコ一家の冒険記】も手掛けた【小松崎康弘】(途中まで)、作画が八坂麻美子。
 
タイトルからわかる通りDQ4屈指の人気キャラ・【アリーナ】を主人公に据えており、【第二章 おてんば姫の冒険】を下敷きにストーリーは進む。
途中まではオリジナル展開を交えつつも原作であるゲームのストーリーに沿って話が進んでいくが、中盤以降完全にゲームのシナリオは無視され、エルフの里(ゲームに登場した【エルフの里】とは別物)とエンドール軍の戦争、裏で暗躍する魔族一味、それを防ごうと奔走するアリーナたちというオリジナルのストーリーに発展していく。
最後はエンドールに向けて旅立つところで完結しており、本来ならば第二章最大の見せ場である【武術大会】は描かれることがなかった。
 
この途中からの急激な路線転向、実はシナリオ担当の小松崎と作画担当の八坂の仲違いによるもの。
送られてくるシナリオを完全に無視して、八坂が自分が考えた話を描くようになり、小松崎は自分の書いた話と全く違う内容の完成原稿が誌面に載ることに困惑。
単行本巻末の作者コメントなどに両者の不協和音がちらほらと見え始め、最終的に第18話を最後に小松崎は降板し(本人いわく「草葉の陰から見守る」)、19話以降は完全に八坂のみの作品となった。
この顛末は最終巻の作者コメントでも触れられている。
インターネットも普及していない時代だと言うのに、そうした「内輪もめ」を単行本にて読者に晒したことが祟ってか、後に八坂はエニックス系の雑誌からも姿を消すことになる。
こうした暴走に至ったのは、当時のGファンタジーが綺羅星の如き連載陣であり、ゲームのコミカライズも何本か連載されていたため、余程インパクトが強くないと注目すらされないことに対しての苛立ちもあったのかもしれないが。
 
もっとも、八坂による完全なオリジナルストーリーに転向した19話以降の本作はDQ4本来の作風やキャラクターからあまりにもかけ離れており(「呪いの宿編」などは八坂の趣味であるホラー系作品の雰囲気が強い(幽霊の存在や屋敷自体が魔物となるなど))、読者からの評判も落ちてしまったのか、結局打ち切りに近い形で終わっている。
 
このため同じコミカライズ作品でも、ゲームのシナリオをベースにした上で豪快にアレンジされた【ドラゴンクエスト 幻の大地】や、ゲームシナリオの空白を想像した物語ながらもしっかり仕上げている【ドラゴンクエスト 天空物語】などと比べても本作の評価は高いとは言えず、賛否両論あった上打ち切り同然に終わった【ドラゴンクエスト エデンの戦士たち】と比較しても、本作に関しては語られること自体がほとんどない。
それ故、知名度そのものもかなり低い。