【ドラゴンクエストI・II】

Last-modified: 2023-12-18 (月) 09:24:04

・DQ本編シリーズ

DQ1DQ2DQ3DQ4DQ5DQ6DQ7DQ8DQ9DQ10DQ11

DQ1・2DQ1・2・3BSDQ1DQ10オフライン

概要

DQシリーズ初のリメイク作。ファミコンで発売された第1作【ドラゴンクエスト】と第2作【ドラゴンクエストII 悪霊の神々】をリメイクして一本のスーパーファミコン用ソフトに収録した作品。
発売日は1993年(平成5年)12月18日。リメイク作品では唯一開発が【チュンソフト】であるが、著作権表示にはクレジットされていない。容量は当時の最新作であるDQ5と同じ12メガビット。
出荷本数は120万本。SFC版の海外展開は行われていない。
1999年にはSFC版をベースとした『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』も発売されている(後述)。
公式の作品紹介ページはこちら
 
パッケージイラストはこの手のカップリング移植にありがちな両タイトルの主人公が描かれるといったものではなく、【シドー】の壁画をバックに静かな面持ちで佇む3人というDQ2のイラストが単独で描かれるのみとなっている。
一方、カセットのラベルには【主人公(DQ1)】【ローラ姫】が登場している。しかしその初期版ラベルには【すぎやまこういち】が「すぎやこういち」になっているという痛恨の誤字があるが、後期版では「すぎやまこういち」に修正されている。
 
2011年9月15日に発売されたWii【ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III】にも本作が収録されているほか、DQ1・DQ2それぞれ単独での配信となったガラケー版以降も、このSFC版『DQ1・2』をベースにしている。
 
DQ5が発売された頃になるとゲームハードの主流は完全にSFCに移行しており、SFCはあるがFCは持っていないというユーザーも現れるようになった。そのような層から「DQ1からプレイしてみたい」という要望もあったことから、SFCでのリメイクが決まった。
当初は1作ずつリメイクする話もあったが、DQ5の後にDQ1単独ではボリューム不足ということもあり、カップリング作品となった。逆にDQ3までの【ロトシリーズ】すべてを1本にまとめたかったとも【堀井雄二】は語っていたが、容量の都合でDQ2までとなり、DQ3のリメイクはこの3年後まで待つことになった。
(参考:『ファミコン通信』1993年4月23日号、11月12日・19日合併号)
またそれまでのゲーム業界では「アーケードやパソコンから同時期の家庭用ゲーム機への移植」といったパターンは多くあったが、本作は同時期に任天堂から発売された『スーパーマリオコレクション』とともに、「過去のゲーム機で出た作品を最新ゲーム機向けにリメイク」したゲームの先駆けともなった。
 
なお、本作発売直後の1993年12月22日に刊行された漫画【ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章】第8巻の巻末収録イラストで本作の宣伝が行われ、アルスが本作のパッケージを手にとって購入しようとしているシーンが描かれている。
 
このページでは主にDQ1とDQ2で共通した、ソフトとしての特徴(グラフィックやUI面)について記述する。
作品別の特徴はこちらを参照→DQ1DQ2

ゲーム内容

電源を入れるとまず『ドラゴンクエストI・II』としてのタイトル画面が表示され、そこでプレイするタイトルを選択するとDQ1・DQ2それぞれのタイトルロゴが表示される。
DQ1とDQ2はグラフィックやインタフェースが共通化されてはいるものの、ゲームとしてはそれぞれ独立しており、【冒険の書】はDQ1とDQ2それぞれで3つずつ作成できる。
DQ1をクリアしないとDQ2で遊べないなどといったことはなく、主人公の名前やステータスの引き継ぎなどといった要素も無い。
 
基本的にストーリーに大きな変更は無いが、ゲームバランスに調整が施されており、難易度が下げられている。特にモンスターの能力値は、DQ3以降のリメイクには見られないほど細かく変更されている。
システムは前年のDQ5の仕様を反映したものとなっているが、本作独自の点が多く見られる。
なお【ゆうてい】(堀井雄二)や【アンナ】【牧野アンナ】)など実在人物をモチーフとしたキャラはすべて削除された。

演出面の特徴

グラフィックはSFCの性能に合わせて洗練され、木漏れ日や靄(もや)などDQ5には無かった演出効果も取り入れられた。DQ2の【塔】では多重スクロール機能を活かして地上の風景が背景として映るようになった。
マップチップのバリエーションはDQ5よりも増え、城や町ごとに壁や床の模様・色などに変化を持たせるようになった。一方キャラの大きさや壁の厚さ(DQ1のダンジョンを除く)などはFC版に準拠している。
移動中のメッセージウィンドウは文字が大きくなり、漢字も使用されている。一度に4行まで表示可能。
 
戦闘画面はDQ5と同じウィンドウ形式(大きさは両タイトルで異なる)で、風景画も表示され、パターンも多彩になっている。敵側に対する攻撃・呪文のアニメーションも追加された。
ただし、ダメージを与えたモンスターの点滅時間が他の作品よりも長めであり、バギやいかずちのつえといったグループ対象の攻撃では一体一体エフェクトが出て時間がかかるという欠点もある。
敵が呪文を唱えた時にはモンスター自体がフラッシュするが、メッセージ表示よりも前に演出が挿入されるという特徴があり、この点はDQ6のモンスターアニメーションにも継承されている。
モンスター画はドットの打ち方がFC時代に近かったDQ5より進化しており、【鳥山明】の原画により近いものになっている(【ドラキー】【ギガンテス】を比較すると違いがよくわかる)。
 
BGMはオーケストラ版に基づいてリニューアルされた。
一部は両タイトルで共通化されており、DQ1ではDQ2の【聖なるほこら(曲名)】【レクイエム】が、DQ2の【アレフガルド】ではFC版時の【広野を行く】だけでなく【ラダトーム城】【洞窟(曲名)】も使用されている。

システム面の特徴

インタフェース面では以下の点がDQ5から継承されている。

  • 【名前】にカタカナが使えるようになり、また濁点・半濁点で1文字分とらなくなった。
  • 移動単位が1/2マスに変更された。
  • 【便利ボタン】の追加。
  • 呪文の消費MPが表示。また未習得の呪文欄に?マークが表示されるようになった。
  • 【ゴールド】を99999Gまで所持可能になった。
  • 【そうび】コマンドで、装備可能な道具の着け外しも可能になった。
  • 新たに【壷】【タンス】が調査対象に加わった。
  • 買い物の際には装備可能なキャラと装備後の能力値の変動が一覧表示される。また買った時にその場で装備ができる。
  • 【たたかう】コマンドが【こうげき】に変更。

 
一方、本作独特で以降発売のナンバリングにも見られない点もある。

  • コマンド決定音の音程が、台詞が表示される時の【ポポポ音】と同じ低い音程になっている。
  • 移動中のメインコマンドは「はなす/つよさ/とびら/どうぐ/じゅもん/しらべる」の6つ。そうびコマンドは【つよさ】のサブコマンドとなっている。
  • 戦闘中での味方側の「◯◯の こうげき!」表示時のビープのような音が鳴らない(武器の効果音のみ鳴る)。
  • アイテムの名称はFC版と同じくかな表記だが、移動中のメッセージウィンドウにはアイテム名が漢字変換されて表示される(例:てつのたて→「鉄の盾」)。
  • ステータスウィンドウはDQ3以降のスタイルに合わせられたが、名前下の横罫線が無く、その部分には【状態変化】が表示される。
    DQ2では戦闘中、コマンド入力してターンが始まるとHP欄以外は非表示となるが、このレイアウト変更のために状態変化は常時表示できる。移動中の表示でも同様であり、表示のためにレベル欄を間借りすることはない。

 
その他、この作品で変更された点。

  • 【アイテム発見】のMEが変更。
    FC版で宝箱に入っていた重要アイテムの一部はマップ上に直接置かれている形に変更され、地面や宝箱から重要アイテムを拾得した場合はME鳴動後にアイテムの外見が浮かび上がる。
  • 【毒の沼地】の色が深緑色から紫色に変更。

ゲームボーイ版

1999年9月23日に発売された、ナンバリング作としては初の携帯機向けリメイク作品。正式タイトルは『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』
開発は【トーセ】。出荷本数は73.9万本。
ゲームボーイ(モノクロ)・ゲームボーイカラーの両機種に対応。SFC用の「スーパーゲームボーイ」で使用する際は場面に合わせ7種類(うちDQ1・DQ2兼用が3つ、DQ1用とDQ2用が各2つずつ)のピクチャーフレーム(外枠)が表示される。
海外では北米地域で "DRAGON WARRIOR I & II"として発売された。
 
DQ7が開発されている当時、「PlayStationのDQを出す前に、当時の小学生などポケモン世代のDQユーザーを獲得する」とのエニックス社長の狙いがあり(『週刊ファミ通』1997年11月28日号)、前年のDQMでドラゴンクエストの知名度を上げ、そして本作でDQのナンバリングタイトルに触れてからDQ7にもすんなり入ってもらう、という流れであろう。
 
基本的にはSFC版を踏襲しており、携帯機で遊びやすいようなカスタマイズがされている。
ハードの性能上、グラフィック面ではSFC版よりも劣る。フォントはFC版のような小型サイズのみだが、濁音は濁点を含めて1文字で扱われるようになり、漢字も一部使われている。
戦闘画面はDQ1の全編、DQ2の【ハーゴンの神殿】の各ボスといった、二体以上のモンスターが出現しない戦闘でのみ左右の部分に風景が描かれ、複数のモンスターが出るDQ2の通常戦では風景画は無い。
サウンドはDQMから一部音楽等を流用している。音楽はFCと同じく3和音程度ながら、オーケストラの奏法を再現している。
 
その他、GB版『DQ1・2』としての特徴は以下のとおり。
作品別の特徴はこちらを参照→DQ1DQ2

  • どこでもクイックセーブができる【中断の書】を初搭載。再開後は中断の書は消え、ダンジョン内で中断セーブした場合、再開時には入り口まで戻される。
  • コマンドはBボタンで呼び出す。コマンドウィンドウ呼出時はメモリの関係で背景が真っ白になる。
  • 【はなす】【しらべる】【とびら】のコマンドが削除され便利ボタンに一本化。代わって「そうび」がメインコマンドに再昇格。
  • 解像度の関係でメッセージウィンドウが2行分と小さく、メッセージを送る回数が他機種よりも増えている。Aボタンを押すことでメッセージの一括表示が可能(シリーズ初)。ただしBボタンでは一括表示出来ない。
  • ハードスペックの関係で1つのフロアに【NPC】を大量に描画できないため、町に2階部分が大幅に増え、一部のNPCがそちらに移動している。