【ドラゴンクエストV 天空の花嫁】

Last-modified: 2024-02-27 (火) 09:10:27

・DQ本編シリーズ

DQ1DQ2DQ3DQ4DQ5DQ6DQ7DQ8DQ9DQ10DQ11

DQ1・2DQ1・2・3BSDQ1DQ10オフライン

DQ5関連一覧
キャラクター - 地名 - 呪文 - 特技 - 装備品(武器/よろい/たて/かぶと/装飾品) - 道具名産品) - モンスター仲間) - 音楽 - 台詞 - 裏技

作品データ

『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』
オリジナル版
発売日1992/9/27
対応環境スーパーファミコン
媒体ROMカセット(12Mbit)
型番SHVC-D5
価格(税別)9,600円
移植・リメイク
対応環境発売日
PlayStation 22004/3/25
ニンテンドーDS2008/7/17
iOS,Android2014/12/12
廉価版(アルティメットヒッツ)
対応環境発売日
PlayStation 22006/7/20
ニンテンドーDS2010/3/4
海外版
対応環境発売日
ニンテンドーDS北米 2009/2/17
豪州 2009/2/19
欧州 2009/2/20
iOS,Android2015/1/22

※参考:オリジナル版発売当時の消費税率は3%。
 
海外版タイトル
<DS版以降>
(英語)DRAGON QUEST V Hand of the Heavenly Bride
(DS欧州版英語)DRAGON QUEST The Hand of the Heavenly Bride

公式サイト

概要

【ドラゴンクエストシリーズ】第5作。対応機種はスーパーファミコン、開発は【チュンソフト】
1990年(平成2年)11月に発表され、1992年(平成4年)9月27日に発売された。
ハードがファミリーコンピュータから次世代機のSFCに移行し、DQ立ち上げメンバーであるチュンソフトが関わった最後のナンバリングオリジナル作品でもある。
 
容量は12メガビット(1.5MB)。数値だけで見れば前作の3倍だが、SFCへの移行によりグラフィックやサウンドに割かれる容量が増大したため、ゲーム内容自体のボリュームが3倍となったわけではない。
ストーリー設定は前作DQ4の未来の話とされ、【天空シリーズ】の2作目という位置づけである。
前作ではキャラクターの個性を出していく路線が取られたが、今作は「親子三代で魔王を討伐する」という構想で開発。しかし前作と違って主人公は終始変更しないという方針となり、その結果、主人公の誕生から親に連れられる幼年時代、独立した青年時代、そして結婚して子を持ち父親になった後までの「半生」を描いたストーリーとなった。
主人公が【勇者】ではなくなった最初の作品でもあり、最後にはラスボス戦があるものの、冒険の目的は主に人物やアイテムを探すことが中心であるなど、従来の作品とは異なる趣となっている。
また、本気でプレイヤーを悩ませたいという考えから、2人の女性のうちどちらと【結婚】するかを選択するイベントが導入され、話題を呼んだ。
4倍に増えたバックアップRAM容量を活用し、モンスターを仲間にするシステムも本格導入。これはモンスターズシリーズの原点のひとつにもなった。
 
後にPlayStation 2・ニンテンドーDS・スマホにてリメイク版が発売されている。
海外展開は1994年に "DRAGON WARRIOR V" として予定されていたが中止となり、その後DS版とスマホ版が海外展開されている。

開発

実際にDQ5の制作が始まったのは、前作のマスターROMが完成した後の1989年10月。前作発売から4ヵ月前で、SFC本体発売の前年のことである。
しかし実を言うと、さらにその前年の1988年秋頃から、当時の任天堂社長の山内溥によってSFCのソフトラインアップ構想の一つとしてDQ5(DQ4ではない)が挙げられていた。同年はDQ3の発売で盛り上がった年でまだDQ4すら未発表であり、その状況でいきなりDQ5の話題とは、なんとも気の早い話であった。(『ファミコン通信』1988年19・25号)
 
一方堀井雄二など開発スタッフ側では当初は従来のファミリーコンピュータで1年ほど開発を進めていた。だがFCで出すとなると高性能チップ「MMC5」を組み入れることとなり、14,000円というFC本体にも匹敵する高額ソフトになってしまうと試算された。
検討の結果、チップを組み込まなくても済むSFCで制作する方針に変更され、山内社長の理想が実現することとなった。
 
今作は自由度も残しつつ、ストーリーも楽しんでもらいたいという方針になり、従来よりもかなりストーリー面に重点が置かれた。
自動で進んでいくイベントも増加したが、それらはただ見せるだけでなく「いかにプレイヤーの気持ちをすんなり持って行かせるか」を重視したうえで考案された。
キャラクターの台詞も、口調だけで作っていたシリーズ初期の頃と比べ、生活感を出してより人間らしく作っている。
また【堀井雄二】曰く「前作までよりもマニアックに作った」とのことで、前作まではやらなかったことをいろいろと取り入れた。
例えばこれまで増え続けていた城や町の数を今作では減らし、その代わりに1つの町を奥深く作り上げた。
件の結婚相手の選択イベントの導入のほか、モンスターを多く仲間にしたりキャラを育成したりで長くプレイする所謂やりこみプレイヤーのために、隠しダンジョンを導入したりした。
一方でシナリオ進行上の自由度は前作以上に低くなってしまい、次作ではこれを反省点として自由度の向上が図られることとなった。
今作のシナリオは8cmのファイル6冊分となり、各種データも含めると10冊分、2,800ページに及んでいる。
 
メディアでの登場は1990年11月10日発売の【週刊少年ジャンプ】50号からで、対応機種と主人公のイラストが発表。同時期にエニックスからのダイレクトメールでも通知が行われた。次いで主要キャラのイラストとサブタイトル、1991年初頭には各キャラの関係と「かいはつちゅう が あらわれた」と表示された戦闘画面1点が発表された。
1991年3月にエニックスが創刊した【月刊少年ガンガン】でも本作とのタイアップ企画が行われたが、それ以降は5月にタイトルロゴが発表された以外に大きな動きはしばらく無く、同年末からようやくシステムの概要が明かされていった。
その後も開発は長引き、その間に戦闘画面の風景画が変更されたり、ジグザグ型のモンスターのフォーメーションが廃止されたりといった仕様変更が行われている。
【ヒャド】の呪文エフェクトも公開されていたが、実製品では自軍側の使い手がゼロになり通常プレイでは見られなくなった。
 
発売日は1992年1月に「5月31日発売」と決まるが、4月半ばには「8月発売予定」と延期。そして7月末にさらに延期が発表され「9月27日発売」と決まった。
任天堂は当初は上述のようにSFC初期のキラーソフトとして本作をと考えていたようだが、開発が長引いている間にSFCは普及。
『ファミコン通信』1992年8月14日号ゲームクリエイター対談(DQのスタッフは関わらず)では、本作に相応のクオリティが求められるようになったため、発売日の決定は慎重にならざるを得なくなったのではないかと言われた。
延期によって本作に使われるはずであった半導体は当時ゲームセンターで流行っていた『ストリートファイターII』のSFC移植版用に流れ、皮肉にも同作品のスムーズな大量販売に繋がったとも言われている。
 
また真相は定かではないが、制作開始時にチュンソフト内で内部対立が起き、プログラマー【内藤寛】が多数の社員を引き連れ独立するなどの現場の混乱によって開発が長引き、これが度重なる延期の原因となったという説もある。
 
(参考:『ファミコン通信』1990年25号・26号、【週刊少年ジャンプ】1992年20号・38号、同誌11月22日増刊V-JUMP、【月刊Vジャンプ】2004年5月号、『Beep21』2023年8月4日 中村光一 特別インタビュー など)

作品の特徴(オリジナル版)

ハードがFCからSFCに移ったことにより、グラフィックやインタフェースなどの変更点が多く見受けられる。
また従来よりもストーリーに重点が置かれるようになり、重要人物の会話が自動で進むイベントシーンが増加した。
仲間キャラも従来はパーティ加入時ぐらいにしか喋らなかったのに対し、今作は青年時代前半までは旅の途中で喋る場面が増えている。ただし、ルイーダの店での組み換えが可能になる青年時代後半では台詞が減少する。
 
シナリオ進行の自由度が低くなった一方、仲間モンスターの採用によってパーティ組成の自由度は高まり、仲間モンスターをどのように運用するかはプレイヤー次第。特に青年時代前半では人間キャラの加入が少ないため、仲間モンスターは戦力としても重要になってくる。
これまでほぼ敵専用だった特殊攻撃を自軍が自在に使えるようになったことや、複数攻撃武器の登場などで、単体打撃と呪文が中心だったFC時代とは違った戦術をとることも可能になった。
反面、DQ2~DQ4で呪文の強みの一つだった複数攻撃をMPを消費せず制限無しでできる手段が増えたため、後のシリーズで顕著となっていく「戦闘呪文の価値低下」が本作より始まった。
耐性面や特技により一部の仲間モンスターが反則級に強いため、「人間キャラが弱い」「主人公を外したい」などと言われることも多い。

演出面

ハードがSFCに変わったことからグラフィックの質は向上しており、使用色数が増えてより鮮やかな画面になっている。
一方でマップグラフィックやモンスターのドット絵の打ち方などFC時代の面影が残る部分も多い。
元チュンソフト社員の発言によれば、当初はキャラのサイズが現在よりも1.5倍ほど大きく、川の水を半透明で表現、木漏れ日や水滴の演出、グラデーションの色数も多く使うなどの高品質なグラフィックで作成されていたが、諸事情でFC時代からイメージを変えない方向に路線変更されたという(参考:Twitter)。
このため同時期発売のSFCゲームと比べると見劣りすることも否めず、SFCの目玉機能とされていた回転・拡大縮小機能も一部のイベントで使われているのみに留まっている。
 
移動画面では地形が1/2マス単位となったことが大きな変化点である。町や城のマップでは前作までより壁が高くかつ薄く描写され、扉の表現も変化。建物の外観も三角屋根が表現されたり、影も付くようになるなどリアル化している。
キャラのサイズは前作までの縦横比1 : 1の正方形サイズから1.5 : 1の縦長サイズとなり、壁のすぐ表側・裏側では上半身が地形に重なったり下半身が隠れたりするようになった。立体交差の表現も登場し、これを活かした構造のマップも登場した。
イベントシーンでは色の変化によって四季を表現したり、セピア色にして回想シーンを表すなどの演出が取り入れられている。
 
メッセージウィンドウではフォントが大きくなって漢字も使われるようになり、一度に4行まで表示可能。使用する漢字の選定基準は堀井の案によって「ジャンプに出ている漢字」が目安とされた。
それ以外のウィンドウや戦闘では従来からの小型フォントだが、今作からカタカナが五十音ほぼすべて使えるようになり、従来ならメモリ不足で他の記号を流用していた【呪い】【麻痺】の状態変化を示すアイコンも、独自のものが採用された。
瀕死や死亡状態での色の変化がキャラ別になったり、下に隠れたウィンドウが暗くなるなどの色使いの変更や、横罫線の追加といったデザインのマイナーチェンジもなされている。
 
スプライト(2DCGでのキャラクター表示手段)の表示能力が向上したため、戦闘画面のグラフィックも大きく変化。
DQ1と同じく移動画面の中央にウィンドウが開き、その中にモンスターが表示される形式。モンスターはスプライト表示、BG(背景)層を風景画に使う形式に回帰した。風景画も地形やダンジョンごとに異なる多彩なパターンが用意された(町中でのイベント戦闘ではメモリの都合上か周囲のマップ部分が真っ黒になることも)。
さらに、敵モンスターを標的とした攻撃や呪文・特技のエフェクトがアニメーションで表現されるようになった。敵が呪文やブレスを使ったときにはそのモンスターがフラッシュする。
戦闘画面のメッセージウィンドウは縦4行から3行分に縮小し(相手が4グループの場合の戦闘開始時のみ、縦4行のウィンドウを使用)、ターン中はステータスウィンドウのMPとレベルが非表示になりHPのみの表示に。これによって戦闘ウィンドウを広々と使ってモンスターやエフェクトを表示可能になっている。
 
サウンド面はステレオ音声に対応し、環境に応じてステレオ/モノラルの設定変更が可能。
音楽はイベント専用曲と【ボス級モンスター】専用曲も登場するようになった。
またHP回復時や戦闘中の状態変化時などSEが鳴る場面も増加。雷の音などイベント用の効果音も多く導入され、特にプロローグなどで使われる赤ちゃんの泣き声は、実際の泣き声をサンプリングして作られているそうだ。
楽曲の一覧はこちらを参照。
 
他に本作には、以下のように後に発売されたSFC版『DQ1・2』やDQ6などに受け継がれなかった独特の要素も多い。

  • 鼻の出っ張ったスタイルのキャラの横顔
  • 一部【NPC】の挙動(話しかけると頭部だけ向きが変わるなど)
  • ウィンドウ関連の演出(イベント戦闘発生時に左右にバラバラに散っていくなど)
  • イベント中の場面切り替え時の字幕で使用される装飾付きのメッセージウィンドウ
  • 戦闘背景の雲が動く

ダンジョン内の戦闘でBGMや効果音が響くように聞こえるリバーブ効果も本作で取り入れられたが、以降はしばらく採用されなかった。

主なシステム

プレイヤーキャラクター

今作の【パーティ】のキャラには主人公を含む人間キャラと、仲間モンスター(後述)が登場。
 
人間キャラは前作以上にストーリーとの関わりが強くなり、幼年時代から青年時代前半までは強制的に加入と離脱が繰り返され、結婚イベントでの主人公の選択によっても違いが生じる。青年時代後半になると【ルイーダの店】で組み替えが可能になる。
完全な【プレイヤーキャラクター】の他にNPCとして戦うストーリーキャラもいるが、今作では命令できたり成長があったりという扱いがキャラごとに異なっている。
前作までの職業に相当するものは今作では「肩書き」に近い位置づけであり、主人公や一部の仲間はストーリー進行に応じてこれが変化していく。
転職システムは無く、習得する【呪文】や能力の上昇傾向はキャラごとに決められている。DQ3以来の戦士系・僧侶系・魔法使い系といった区別が今作では曖昧になったが、最終的には主人公・妻・子供たちの4人で基本的な呪文が一通り揃う。
なおランダム成長は廃止され、上昇値と呪文習得レベルは固定となった。またレベルがある程度上がった状態で仲間に加わるキャラも登場するようになった。

仲間モンスター

前作では【ホイミン】【ドラン】というモンスターのNPCが仲間になったが、今作ではそれを発展させ、多くのモンスターを仲間にできるようになった。これを【仲間モンスター】と呼ぶ。
幼年時代はイベントで仲間になるベビーパンサーが唯一の仲間モンスターだが、青年時代は条件を満たしていれば戦闘終了後に一定確率で特定のモンスターが起き上がり、それをパーティに加えることができる。
 
仲間モンスターはPC扱いであり、レベルを上げたりアイテムを所持・装備させたりすることが可能。種族によっては呪文の他に、MPを消費しないモンスター特有の特殊攻撃も扱うことができ、本作ではこれらと呪文を合わせて【とくぎ】と呼ぶ。人間キャラには存在しない【耐性】を持つ種も多い。
名前、レベルの初期値と上限、成長パターン、装備可能品、習得特技、耐性はモンスターの種ごとに設定されている。同じモンスター種は3匹まで同時に仲間に入れておけるが、何匹目でも基本能力は同じで名前が変わるのみである。
 
使用しない仲間モンスターは、モンスター専用のルイーダの店に相当する【モンスターじいさん】に預けることが可能。
 
仲間モンスターの一覧はこちらを参照。

馬車スタンバイシステム

青年時代になると【馬車】を買うことができ、これにより前作と同じくスタンバイシステムが利用できる。
今作では最大人数が8人(便宜上モンスターも「人」でカウントする)までに減少し、また入れ替えをより活用してほしいという狙いから、バトルメンバーも前作の最大4人から最大3人に減少した。
今作から戦闘中の【いれかえ】が改良された。入れ替え自体に手数を費やさなくなり、入れ替えが完了している状態で次のターンを開始できるようになった。さらに1人を入れ替える「いれかえ」加え、バトルメンバーに出すキャラ全員を一度に指定する「そうがえ」が新たに登場した。
 
なお、町など一部の場所では強制的に人間キャラが優先して馬車から出てくるほか、主人公が「しに」の場合は自動的に教会での蘇生が行われる。

便利ボタン

本作からは【便利ボタン】が導入され、X(またはL・R)ボタンを押すと【はなす】【しらべる】【とびら】コマンドのうち、主人公の目の前や足元にあるものに応じたものが自動的に選択されて実行されるようになった。
前作までは移動途中のすべての行動を、コマンドウィンドウを開いてさらにそこからコマンドを選んで実行していたが、この便利ボタンによって手間が省けるようになった。
 
また調べられるモノ自体も増え、前作では単なる飾りだった【樽】【本棚】や、新たに登場した【張り紙】【落書き】も対象に追加された。
前作までは上に乗れる床の扱いであった【宝箱】も今作より立体オブジェクトの扱いとなり、箱の方を向いて調べて開ける形になった。

AI戦闘と「めいれいさせろ」

今作より仲間キャラは序盤からAI戦闘が可能になった。
さらに作戦にはマニュアル戦闘と同様に全員にコマンドで命令を出せる【めいれいさせろ】が新登場(代わって【いろいろやろうぜ】が削除)。これによってオートとマニュアルをプレイヤーが自由に選択できるようになった。
疑似学習機能の速度も速くなり、数回戦えば適切な行動を取るようになった(誤解されがちだが、初対面の頃は不適切な行動を取ることもある)。
ただし仲間モンスターの場合、【かしこさ】が10未満では作戦・命令に従わず、10~19でも従わないことが多い。
 
敵モンスターにはこちらの作戦をプレイヤーの意思とは無関係に変更してくるものも現れた。

クリア後のダンジョン・裏ボス

クリア後の【やり込み】要素として【隠しダンジョン】が初めて登場した。
【エンディング】を見終えるとクリアフラグがセーブされ、その冒険の書で再開すると、新たなダンジョンに挑めるようになる(ゲームはラスボスを倒す前の状態から再開)。
隠しダンジョンでしか入手できない強力なアイテムや限定モンスターが存在し、さらに最奥部に行くとラスボスよりも強い【裏ボス】が待ち受けている。
今作の裏ボスは討伐後に経過ターン数が表示されるものの、報酬などは無く専らプレイヤーの力試しのための存在である。

その他の変更点

全般

  • 【冒険の書】にセーブ場所が表示されるようになった。またセーブ時にセーブする冒険の書を選択可能になった。
  • 各種ウィンドウではカーソルが上下左右にループして動くようになった。FC時代から多くのゲームで実装されていたが、DQでは本作が初実装となった。
  • 呪文選択時に消費MPが表示されるようになった。

キャラ・育成関連

アイテム関連

  • 1人あたりのアイテム所持枠が従来の8枠から12枠に拡大。また装備中のアイテムは上の方に固まって表示されるようになった。
  • 通常攻撃で複数の敵を攻撃できる武器が初登場。基本的にムチがグループ攻撃、ブーメランが全体攻撃となった。これらの武器では【会心の一撃】は出ず、呪文・特殊攻撃とは異なり2体目以降はダメージが減っていく。
  • 【ちいさなメダル】は入手時に専用のエフェクトが発生するようになった。本作では発見したその場でメダル王に送れる。報酬は前作と同じく交換制。
  • 【キメラのつばさ】はルーラと差別化され、行先指定できず「ルーラ登録できる場所のうち最後に立ち寄った所」に飛ぶ仕様に劣化した。
  • 一部の重要アイテムや最強装備は、宝箱に入っているのではなく地面に直に置かれている形になり、外見がわかるようになった。

移動中

  • 移動単位が1/2マス単位になった。移動方向は従来どおり上下左右の4方向だが、マップ内階段の昇降やトロッコなど一部で斜めスクロールする場面も登場した。
  • ウィンドウを開いている時にBボタン(キャンセル)を押すと、前作までは全ウィンドウが閉じていたが、今作から1段階だけ閉じるようになった。
  • 【つよさ】のサブコマンドとして、自動的に呪文を連発して回復を行う【まんたん】コマンドが登場。
  • 【そうび】コマンドで、指輪や腕輪などの装備可能な道具の付け外しも可能になった。
  • 毒状態やダメージ床による移動中のHP減少が残り1で下げ止まり、死ななくなった(【ドラゴンの像】は例外)。

施設関連

  • 分類に関係なくアイテムを販売する【よろず屋】が初登場。
  • 買い物時、装備品の場合は装備可否とステータス変化、道具の場合は持っているかどうかが、カーソルを合わせるだけで全員分一覧表示されるようになった。
    また、装備品を買うとその場での装備が可能になった。
  • 【預かり所】が複数の場所に登場するようになった。引き取り手数料が廃止され、パーティから外れたキャラのアイテムは自動的に預けられるようになった。
  • 【カジノ】が引き続き登場。ポーカーは削除された。

戦闘関連

  • 【ランダムエンカウント】が歩けば歩くほどエンカウント率が上がっていくタイプになった。
  • 同一【グループ】内のモンスターの表示間隔が狭くなりグループ分けが視覚的にわかりやすくなった。また本作の独特仕様として、地上と空中の2段表示を採用。モンスターの影も表示。
  • 状態変化の表示は、レベル欄ではなくHP欄とMP欄の間に薄赤色の文字で書かれる(移動中は従来どおりレベル欄での表示)。
  • 個別指示の前にはパーティの状況にかかわらずメインコマンドが必ず出るようになった。「たたかう」「にげる」は常時表示で、AI戦闘可能な仲間・馬車が加わると「さくせん」「いれかえ」がそれぞれ追加される。
    • 「さくせん」は作戦変更のみとなり、能力や所持品を見る機能は「いれかえ」の「みる」に移動。
    • 個別指示は「こうげき/じゅもん/ぼうぎょ/どうぐ」に固定だが、仲間モンスターの場合は「じゅもん」が「とくぎ」に置きかわり、呪文と特殊攻撃がまとめて扱われる。
  • 【パーティアタック】が削除。
  • 指定した攻撃対象グループが既になくなっていた場合、【行動空振り】せずに【オートターゲット】で自動的に他のグループを攻撃するようになった。
  • ダメージ系の攻撃呪文に対するモンスターの【耐性】仕様が変更され、確率方式(効果ありor効果ゼロ)からダメージカット方式に変更。特技も同様。
  • 敵モンスターの行動に【強化攻撃】が初登場。
  • 幼年時代はHPが0になると「しに」ではなく【気絶】となる。主人公が気絶すると敗北となり、仲間が気絶した場合は戦闘後にHP1で復活する。

設定

以下はオリジナル版のものであり、後述するリメイク版では変更されている部分がある。

舞台

今回の舞台は前作より数百年後の時代の世界とされており、作中でも前作の主人公と思われる【伝説の勇者】という単語、およびその装備品である天空の各武具が登場する。
しかし人間の暮らす【人間界】の世界地図は、前作の面影がまったく無いといっていいほど別物になっている。
前作で空高く浮かんでいた【天空城】は湖の底に墜落してしまっており、人間界で唯一前作と共通する建物である【天空への塔】【セントベレス山】のそびえる中央の大陸にあるが、途中で崩壊している。
なお本作の人間界の大きな特徴として、諸大陸に囲まれた内海とその外側の外海とが、【浅瀬】で完全に隔てられているという点がある。
 
人間界のほか、小規模なフィールドマップとして【妖精】の住む【妖精の世界】、魔王の本拠地である【魔界】が存在する。なお妖精の世界にある【妖精の村】は青年時代後半にも訪れるが、フィールドを歩けるのは幼年時代のみ。
 
今作では城・町やダンジョンなどの総数は前作よりも減少したが、城・町一つあたりのイベントや台詞のボリュームが濃くなっている。
今作にはシナリオ進行による年月の流れがあり、前作同様に一度登場した地域を後の時代で再度登場させて、以前とは異なる台詞やイベントを設定するという手法を取り入れている。
時代の流れで登場人物が加齢や死亡するのはもちろんのこと、工事中であった建造物が完成していたり、逆に栄えていた村が滅んだりといった変化が起きていたりもする。フィールドマップの出現モンスターも時代によって変化する。
 
乗り物は【船】に加え、アイテムとして携帯可能な【まほうのじゅうたん】が初登場。これは浅瀬を含む水上や平地を低空飛行で超えられるが、山や森は超えられないという特殊性を持つ。
また先述の天空城は一定条件を満たすことで浮上して空飛ぶ乗り物として利用できるほか、【てんくうのベル】を使うと【マスタードラゴン】に乗って高速飛行が可能となり、天空城では行けないセントベレス山へも行ける。
 
地名一覧はこちらを参照。

キャラクター

今作のシナリオ中に登場する人間の仲間キャラクターは以下。

  • 【主人公】:心優しき少年で、紫色のターバンを頭に常に巻いている。成長すると倒したモンスターを改心させる能力を持つ。
  • 【パパス】:主人公の父親。主人公と一緒に旅を続けている。とても強く逞しい男。
  • 【サンチョ】:主人公とパパスに仕える召使い。横に広い体型が特徴的な世話好きの男。仲間として旅をするのは青年時代後半から。
  • 【ビアンカ】:サンタローズの隣町アルカパに住む金髪の少女。主人公の幼なじみで、花嫁候補のひとり。
  • 【ヘンリー】:ラインハット国の王子。青年時代初期に主人公とともに旅をする。
  • 【フローラ】:富豪【ルドマン】の娘である青髪の女性。父の方針で一時期は修道院で修業をした経験あり。花嫁候補のひとり。
  • 【男の子】【女の子】:主人公と妻との間に生まれる双子の子供。名前は自由に付けられる。髪の色は母が誰かにより異なる。男の子は天空の武具を装備できる。
  • 【ピピン】:青年時代後半に加入するグランバニア兵士で、サンチョと同じく主人公の家臣。

上記のうち【鳥山明】によってイラストが描かれ事前に公開されたのは主人公とパパス・ビアンカ(ナゾの少女)のみである。ストーリー上で時代の流れがあることから、主人公とビアンカに関しては幼年時代と青年時代との2パターンのイラストが用意された。
ほかの登場人物は【チュンソフト】のスタッフによって作られたオリジナルまたは汎用のグラフィックが用いられている。【公式ガイドブック】ではそれらに基づいて新たに描かれたイラストが掲載され、それらが公式イラストとなった。
 
一方、【週刊少年ジャンプ】1991年5号では上記3人以外にも、町のNPC用と思しき鳥山明のイラストが9点公開された(後に【鳥山明 ドラゴンクエスト イラストレーションズ】 p.76に掲載)。
それらは従来作のオードソックスな中世ヨーロッパの世界観とはやや趣が異なり、南アメリカの民族衣装のような独特な衣装を身に纏っている。
その独特なデザインは使い所が難しいという理由であまり参考にされなかったとのこと。唯一、テルパドールではそのイラストに近いものが参考にされている。
当時はこれに限らず、同時期に鳥山明がキャラクター原案を担当した【アニメ・ドラゴンクエスト】においても同じ傾向が見られた。
 
キャラクターの一覧はこちらを参照。

ストーリー

プロローグ

天空の勇者その仲間たち地獄の帝王魔族の王を打ち倒し、世界に平和をもたらしてから数百年後。
ある日どこかの城で、パパスという男とその妻との間に、ひとりの子供が誕生した。
 
時は流れ──。まだ年端いかない子供である主人公は、父パパスと共に船旅をしていた。やがて船は【ビスタ港】にたどり着き、そこから2年ぶりとなる幼なじみの村【サンタローズ】へと向かう。

シナリオ

今作のストーリーは幼年時代、青年時代前半、青年時代後半の三部に分かれている。これらの呼称はゲーム中で明言されているわけではなく、【公式ガイドブック】で使われているもの。
青年時代前半は幼年時代の約10年後、青年時代後半は青年時代前半の約8年後となる。
 
●幼年時代(少年時代)
主人公は父に連れられて旅をする中、ビアンカとの【レヌール城】でのおばけ退治や、妖精の世界の冒険といった体験をする。
だが、ラインハット国で起こった事件【光の教団】【ゲマ】に父を殺され、主人公は教団の奴隷とされてしまう。
●青年時代前半
奴隷の身分から脱出した主人公はパパスが遺した手紙の言葉に従い、魔界にさらわれた母【マーサ】を助けるため、伝説の勇者を捜し始める。
共に脱走したヘンリーの祖国を救った後、勇者にまつわる武具を手に入れる過程で主人公は【結婚】することになる。
そして父がかつての【グランバニア】王だっとことを知り、祖国に戻った主人公は王位を継ぎ、2人の子供をもうけるが、光の教団の手により妻を攫われる。
敵の拠点での戦いの中、妻が勇者の子孫であることを示唆されるが、夫妻まとめて教団の手で石化させられ、その間に夫妻は離ればなれに。
●青年時代後半
成長した子供たちによって石化が解かれた主人公は、妻の血を継いで天空の勇者となった息子などとともに、沈んだ天空城を浮上させた後、父の敵討ちも果たす。その後竜の姿を取り戻したマスタードラゴンの助けを借りて光の教団の教祖【イブール】を倒し、妻を助け出す。
そして魔界に乗り込んでマーサと対面後、力及ばず倒れた彼女とパパスの遺志を継いだ主人公は、魔界の王【ミルドラース】に戦いを挑む。
 
ストーリー重視の作風である本作はシナリオ進行が終始ほぼ一本道となっている。また従来作と比べて縛りが多く、中盤までの行動範囲が狭くなっている。
青年時代前半の中期のイベントでルーラを習得するまでは、シーンごとに自由行動範囲が限定され、特に幼年時代はパパスに引率されて次の場所へ移動する形で、自分からはフィールドマップに出ることすらできない場面もある。
これまでのシリーズではストーリーを進めるにつれて行動範囲が広がっていたのだが、今作では舞台が新たな地域に移ると以前行けた場所へ行けなくなってしまうというパターンも多い。特に妖精の世界のフィールドはシナリオをクリアするともう二度と訪れることができなくなる。
さらに、今回は浅瀬で海が区切られているため、船を入手しても青年時代前半は内海しか航海できない。
青年時代後半になると外海へも行けるようになるほか、新しい乗り物を得ることで段階的に行動範囲が広がっていく。ただしメインシナリオ上で行ける場所は基本的に一つであり、行うタイミングを自由に決められる必須イベントは【ブオーン】関連のみである。
一方、【カボチ】【テルパドール】など訪れなくてもゲーム進行に支障のない場所もいくつかあり、実は伝説の勇者(男の子)がいなくてもマーサに会えたりもする。
 
結婚のイベントではビアンカかフローラのどちらと結婚するかを自由に選択できる。ビアンカ・フローラそれぞれの専用イベントがあったり、フローラの場合はルドマンからの贈り物を受け取れたりするが、その後のストーリーに大きな変化はない。
 
前述のように、今作からクリア後限定の隠し要素が実装されたが、今回の隠し要素はダンジョンのみであり、新たなストーリーが展開されることは無い。

反響

DQ5の出荷本数は約280万本で、日本国内のSFCソフトの中では6位。
数値で見ればDQ3・DQ4よりも減少し、DQ2以来の300万本割れとなった。
因果関係は不明だが、本作よりROM価格の高騰によりソフトの価格が上昇しており、また時代背景としてはSFC本体の発売からまだ2年程度であったことや、バブル崩壊により日本中が不景気ムードに入っていたことなどが挙げられる。
 
発売当時の時点でDQシリーズが開始されてから6年が経過してシリーズ自体がマンネリ気味になっていたことや、DQ1の頃と比較するとRPGジャンルだけでなく家庭用ビデオゲームというジャンル自体の多種多様化が進んできたことにより、発売前半年ぐらいの『ファミコン通信』における読者の期待作ランキングでは、同じ年に発売された『ストリートファイターII』や『ファイナルファンタジーV』が本作を大差で上回ることが多かった(参考までに売上はスト2が290万本、FF5が245万本)。
また『ファミリーコンピュータMagazine』(以下ファミマガ)の「前人気ランキング」でも、前作まではランキング対象となっている間は常に完全な首位独走で2位に圧倒的大差をつけていたのに対し、本作ではランキング対象となった1991年1月の段階では首位にいたもののそれほど大差ではなく、後に首位を奪われたこともあった。
 
1992年度ファミマガゲーム大賞では、全部門で4点台をマークし総合点は26.28点とまずまずの評価は得られたものの、スト2(26.70点)に小差ながら敗れ2位となりDQ3以来のグランプリ獲得はならなかった(FF5は12月発売のため1993年度)。
同じ2位とはいえ総合25.34点と今一つな結果に終わった前作と比べれば大きく評価を上げたものの、歴代トップクラスの評価で文句なしのグランプリに輝いたDQ2やDQ3に比べると物足りない結果となった。
因みに1991年度はFF4が27.65点で『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』も27.04点、1993年度はFF5が27.93点と27点台という歴代屈指の高評価を得ている点から見ても、DQ2やDQ3の時期に比べて衰えた感は否めなかった。
 
しかし後の評価では、シリーズ全体の中でもDQ3と並んで高評価の作品となっていることが多い。
『週刊ファミ通』2012年8月9日号のDQ10発売直前企画での「いちばん好きな(DQの)作品は?」のアンケートでは本作が23.5%で1位となり、2位のDQ3(23.2%)をほんの僅差で上回った。
そのほか、同誌の記念読者投票企画では以下の順位となっている。

企画名順位シリーズ内順位
/対象作品数
500号記念 心のベストゲーム19984位2位/6作
900号記念 心のベストゲーム200611位4位/8作
1000号記念 未来に伝えたいゲーム20089位2位/8作
ベストオブRPG TOP1020098位3位/9作
30周年記念 機種別思い出のゲーム SFC部門20162位1位
1500号記念 RPG総選挙20176位2位/10作
1500号記念 ゲーム総選挙24位2位/10作
平成のゲーム 最高の1本20199位1位/8作

なおオリジナル版だけでなく後述のPS2版も、900号企画で40位、1000号企画で91位とベスト100入りを果たしている。
2021年12月27日にテレビ朝日で放送された『テレビゲーム総選挙』では2位(シリーズ中1位)にランクインした。
 
中古市場での人気も高く、ブックオフオンラインの年間ゲーム売上ランキングではPS2版がPS系の中でトップ10圏内(2023年は9位、前年は3位)をキープしている。

リメイク

PlayStation 2版

SFC版から約11年半後の2004年3月25日に発売された、DQナンバリングタイトル初のPS2進出作品。ゲームディスクはDVD-ROMで、当時開発中のDQ8のPVを収録したPS2専用CD-ROM「プレミアム映像ディスク」が特典として付属していた。
ゲーム本体の開発は【アルテピアッツァ】【マトリックス】 で、開発期間は約2年。本作からリメイク作品は新作(DQ8は【レベルファイブ】)と同ハードでも別会社が開発するようになり、独自の変化を辿ることになる。
出荷本数は180万本で、国内のPS2ソフトで第6位。DQシリーズのリメイク版の中では最も売れたソフトとなった。
SFC版から12年が経過していたことから、SFC時代は主人公に感情移入してプレイしていた当時の未成年者が、人によっては今度は父親パパスの気持ちになってプレイする、といったこともスタッフは想定していた(『週刊ファミ通』2004年4月9日号)。
2006年7月20日には「アルティメットヒッツ」のレーベルで【廉価版】が発売されている。
海外展開は行われていない。
 
仲間会話などDQ7以降に登場した要素を反映させたうえ、仲間モンスターの大量追加や、お楽しみ要素の充実も行われた。
そのほか、世界観やシナリオの根幹にかかわる部分に大規模な設定改変が行われた。
SFC版では当初公式イラストが存在しなかったフローラや子供たちなども、今回は鳥山明によって新たにキャライラストが描き下ろされた。
 
SFC版同様バグが多く、中にはバランスを崩壊させる裏技も存在する。詳細はこちらを参照。

演出面

グラフィックはDQ7・PS版DQ4に倣ったポリゴンマップの採用に加え、ナンバリング作で初めてキャラやモンスターもポリゴンによる3D表示となった。ただし視点などが大きく変わったDQ8とは違い、本作はDQ7の延長線上という感じになっている。
移動時はDQ7などと同様に俯瞰形だが、町などの建物内では手前側の壁が透けて見え、視点を回転させて人物や物を確認する煩わしさが軽減された。
カメラの角度は、場所によってはキャラの立ち位置によって変わり、主要な建物などがクローズアップされるなどの演出もあるほか、イベント時には効果的にキャラにズームしたり視点が変わったりといった演出がなされている。
早朝には町に朝靄がかかり、夜間のフィールドではキャラクターの周囲が明るくなる、夕方にはキャラクターが夕焼けのオレンジ色に照らされるなど、後のリメイクでは見られない演出も多々ある。
フィールドマップは地球のような丸さを意識して作られ、移動中に地平線と空が見えるようになった。
一方、従来作の名残からキャラは静止中でも常に足踏みをしており、3D描画ではやや不自然さを感じることとなった。視点回転があるため、穴があるマップでは操作ミスで落ちやすいという弊害もある。
プレイには一切の支障は無いものの、キャラクターと建物のサイズが合っておらず、場所によってはキャラクターが建物の壁や天井、入り口を突き抜けてしまう現象も起こる。
 
戦闘画面はフルスクリーンで、従来通りの一人称視点であり、主人公たちの姿の表示は無い。
モンスターのアニメーションが追加され、今作では行動時だけでなく待機中も動き続けたり、ダメージを与えた時や倒した時のリアクションも行うようになった。敵側への呪文・特技・武器攻撃のエフェクトも新しく作り直された。
モンスターの数に応じたズームイン、ズームアウトの演出も導入。同種属でも下位種・上位種でサイズが異なる場合もある。
スピード感も重視して作られ、アニメーション全体が従来と比べて短時間になった。PS版DQ4まではアニメーションが終わってからメッセージが進行したが、今作からはアニメーションで攻撃がヒットする瞬間にダメージが表示され、アニメーションが終わらないうちに戦闘がどんどん進行していく。
画面レイアウトは本作独特で、DQ2以来長らく受け継がれてきた各種ウィンドウの配置が変更。ステータスウィンドウはのちに標準となるキャラ別のスタイルを初めて採用し、画面下部のメッセージ/コマンドウィンドウ直上に配置。モンスター名の表示位置はモンスターの直上に変更された。
味方側にダメージや回復・状態変化などが起きた時には、対象のキャラのウィンドウが対応した色にフラッシュする。
 
ゲーム内でのフォントには丸ゴシック体の一種「JTCウインR4」を採用。DQ7・PS版DQ4と異なりルーラの行き先やアイテム名などは漢字混じり表記ではないが、一部アイテムはSFC版『DQ1・2』と同様にメッセージウィンドウ上のでのみ漢字が使われる。
 
BGMは楽団によるオーケストラ版をナンバリングタイトルで初めてゲームに採用。多くの曲は【NHK交響楽団】による『交響組曲ドラゴンクエストV』のものを使用している。

主要な追加要素

●仲間モンスターの増加
【仲間モンスター】の種類が42種から70種に大幅増加。DQ7から輸入した【コロボックル族】4種・【プチット族】4種や、特定の条件を満たすと仲間になる新たな個体も登場した。
ただし新規モンスターの多くはその加入可能タイミングの遅さから、実戦よりもコレクション向けと言える種も多い。
仲間モンスターを事実上無制限に預けられるようになり、また仲間モンスターの名前の変更が可能になった。
 
●名産品
世界各地の町などにまつわる【名産品】というアイテムが追加された。
名産品を集めて【名産博物館】に展示すると、その展示状況によって評価される。
集めることによる報酬はごくわずかなゴールドのみであるが、名産品は単なるコレクションに留まらず、戦闘に役立つものや装備品として活用できるものも存在する。
 
●すごろく・福引き
リメイク版DQ3に登場した【すごろく場】が再登場した。DQ3には無かった新要素としてすごろくダンジョンと【宝物庫】が新たに登場し、入手できるアイテムがさらに豊富になった。
また【福引き】も追加された。DQ2と違い、出てきた玉の色によって景品が貰える。

シナリオの変更点

●フローラ関連イベントの強化
【結婚】イベントはさらにプレイヤーを悩ませる仕掛けが取り入れられ、特に花嫁候補でビアンカよりも存在感の薄かったフローラに関して、設定やイベントに大幅に手が加えられた。
幼年時代は【ビスタの港】に向かう船がルドマン所有の船【ストレンジャー号】という設定になり、船上でフローラと会うイベントが追加。さらに青年時代前半に【ポートセルミ】に向かう船、結婚後に入手する船も同じストレンジャー号となった。
またフローラを妻に選んだ場合、結婚式は新規に追加された【カジノ船】で行われるようになり、贈り物もSFC版より1つ増加。
彼女が【海辺の修道院】で6年間修業したことも明言されるようになった。
 
●ゲマの登場回数増加
仇敵【ゲマ】のキャラ設定も変更され、関連イベントも大幅に増加した。SFC版の登場場面(【古代の遺跡】【ボブルの塔】)に加えて【デモンズタワー】【大神殿】でも登場するようになった。
さらにボブルの塔攻略後も生き延び、最後の決着はラストダンジョンである【エビルマウンテン】に持ち越されるようになった。
 
●その他

しかし設定を変えたにもかかわらずNPCの台詞の細部に手が入っていないなど製作側のチェックの甘い部分が見られ、その結果いくつかの場面で矛盾が生じてしまうことにもなった。

その他の変更点

最新作(DQ7等)のインタフェースの主な継承要素

キャラ・育成・呪文特技関連

  • DQ3以降の他作品に合わせてバトルメンバーが最大4人に増加。終盤では一家4人揃って戦うこともできるようになった。スタンバイも含めた総人数は8人で変わらない。
  • 【ベラ】が命令不可に、修道院に流れ着くまでの【ヘンリー】が戦闘に加わるようになった。青年時代前半のフローラは各種の制限が撤廃され、完全なPC扱いになった。
  • 【仲間モンスター】が命令を聞くかの判定が、【かしこさ】の数値が20未満か以上かに単純化。
  • 【サンチョ】が移動中の探索用呪文・特技を覚えるようになった。また、クリア後限定の仲間モンスターが使用するMP消費特技が追加。
  • レベルアップの際のステータス上昇値がランダム化。

アイテム関連

  • 装備品を選択する際に攻撃力・守備力の数値が増加なら緑、減少ならグレーと色分けされて表示されるようになった(シリーズ初)。
  • アイテムの売値が、買値の75%から50%に減少。
  • 女の子の【ストロスのつえ】が加入前のイベントで消失するようになった。女の子の初期装備武器は【まふうじのつえ】に、ストロスのつえの新たな入手場所は【ジャハンナ】に変更。
  • 【ときのすな】【やまびこのぼうし】が入手不可に(データ上は存在する)。
  • DQ3・DQ4のリメイク作品とは異なり、【装飾品】(SFC版における「装備できる道具」)をいくつでも装備できる点に関しては変更なし。

移動中

  • アナログスティックを使用するとDQ7以降の8方向だけでなく、柔軟なキャラ操作が可能に(シリーズ初)。
  • 【さくせん】コマンドにはDQ7のものに加え、新たにBGMと効果音のボリューム設定をする「せってい」が登場。
  • 【つよさ】コマンドで「ぜんいん」にカーソルを合わせると、【プレイ時間】の他に【ちいさなメダル】の入手枚数やカジノコイン枚数、ゴールド銀行預金額なども見られるようになった(シリーズ初)。
  • 【本棚】で読める本が大幅増加。
  • 【まんたん】コマンドがMP効率を考えない仕様に変更され、作戦によるアルゴリズムの変化もなくなった。
  • 地図アイテムが【たびびとのちず】から【ふしぎなちず】に変更され、拡大機能(シリーズ初)やオートマッピング機能が追加。入手タイミングもスタート直後に変更され、事実上最初から利用可能。

寄り道要素

戦闘・敵モンスター関連

  • エンカウントが【歩数エンカウント】方式に変更。
  • 【作戦】は主人公以外の個人別に設定する方式になり【みんながんばれ】【バッチリがんばれ】に変更、【じゅもんせつやく】が削除、【おれにまかせろ】が追加。
    AI戦闘は疑似学習機能が廃止され、最初から相手の特徴を知っている仕様に。ただし最適な行動をとらない、道具を使用しない、などプレイヤーからの評価は低い。
  • 【いれかえ】コマンドではキャラ名にカーソルを合わせると呪文・特技を確認可能になり、これに合わせ「みる」サブコマンドが削除。
    個別指示コマンドは【そうび】【にげる】が追加され、【個人逃げ】が使用可能。
    行動の対象を選択する際は、モンスターのグラフィックや仲間のステータスウィンドウを直接指定する方式に。
  • 状態変化はコマンド入力時にHP欄の上に別ウィンドウで表示され、複数の状態変化もリスト形式で表示。バイキルト状態などSFC版では非表示だったものにも対応。
  • 補助呪文の効果がターン経過で消滅するようになった。
  • バトルメンバー増加に伴ってモンスターの同時出現数も増加。一部【ボス級モンスター】の能力の強化・行動パターンの変更もされた。またボスは外見(色や装備)も変更された。

マップ関連

 
このほか、一部のモンスター・呪文・アイテムの仕様、宝箱等の入手アイテム、イベントなどの細かい変更が行われている。
なお、今回は名産品以外のアイテムの追加は少なく、装備品に至っては名産品のみである。

ニンテンドーDS版

天空三部作のDS展開第2弾として、2008年7月17日に発売された。
開発は【アルテピアッツァ】。出荷本数は130万本。
2009年2月には欧米などでも発売された。
2010年3月4日には「アルティメットヒッツ」のレーベルで【廉価版】が発売されている。
 
内容は基本的にPS2版が基となっているが、UIはDS版DQ4と共通化されている(詳細はこちら)。DQ4同様に【すれちがい通信】にも対応している。
共通化の影響によりキャラやモンスターは2Dのドット絵表示に回帰している。
BGMはタイトル画面の【序曲のマーチ】のみ【東京都交響楽団】によるオーケストラ版、それ以外はDSの内部音源である。
グラフィックやサウンドが劣化したのと引き換えに、新たな花嫁候補が登場して【結婚】イベントの選択肢が3択となったことが従来機種との大きな違いである(候補を増やすという案はPS2版の開発時にもあったが、その時は見送られている)。【堀井雄二】によると、演出に手を入れるよりも候補を増やした方がコストが安く済むとの判断によるものだという。
 
PS2版からの主な変更点は以下のとおり。

  • 【フローラ】の姉として【デボラ】が新たに追加され、花嫁候補に加わった。他の候補と同様に結婚した場合は仲間に加わり、彼女専用の装備品もわずかではあるが追加された。
    また、PS2版で追加された幼年時代にフローラと会うイベントにも、デボラが一緒に登場する。
  • DQ8より輸入された【プリズニャン】【アークデーモン】が新たに敵モンスターおよび【仲間モンスター】に追加。一方、【ベビーパンサー】は敵としては現れなくなり、カジノの【格闘場】でのみ戦闘画面でのグラフィックを見られる。
  • 預けられる仲間モンスターが再度制限され80匹に。倒して仲間にできるモンスターは76匹まで。
  • 移動中の【どうぐ】でのアイテム選択後のサブコマンドに【インパス】が追加。
  • モンスターボックスが【モンスターずかん】に変更。
  • 【すごろく場】の一部のマスが「好きな出目を選べるマス」に変更され、難易度が若干低下。ゴール時の景品が一部変更(【ときのすな】が復活)。
  • タッチスクリーンを使用するミニゲーム【スライムタッチ】が登場。専用のBGM【ずっこけモンスター】も新たに登場した。
  • オリジナルの名産品を作成してすれちがい通信で交換する機能が追加。イベント配信限定の名産品も登場した。また名産博物館の管理人が【ゆうじい】から【デスじい】に変更。
  • 戦闘時の個別コマンドのうち「そうび」が「どうぐ」に統合、「にげる」が削除されSFC版と同じ「こうげき/じゅもん(とくぎ)/どうぐ/ぼうぎょ」の4択になった。
  • 戦闘画面のズーム機能が無いため、一部を除いてモンスターの最大出現数が抑制された。その代わり、複数グループ時のグループあたりの出現数は上昇。
  • 【かしこさ】20未満のモンスターの行動の選択肢に【ぼうぎょ】が加わった。この影響で特技を覚えないモンスターが攻撃をする確率がダウン。
  • 【天空への塔】の構造がDS版DQ4に準じたものに変更。PS2版で変更された【迷いの森】と魔界のフィールドマップはSFC版準拠に戻る。

 
海外版では【仲間会話】が削除された前作に対し、本作ではしっかり搭載されている。

スマートフォン版

DQシリーズ8作品のスマホ展開の一環で、DQ3に続く6作目として2014年12月12日から配信。
開発は【アルテピアッツァ】、キャトルコール。iOSとAndroidに対応。Android版はGoogle Playのほか、2017年1月からはAmazonアプリストアでも配信されている。
海外各国での配信も行われている。
 
DQ4同様にほぼDS版のベタ移植で、縦持ちを前提としたUI、【オートセーブ】機能などスマホ版DQ4と共通のシステムを採用している(詳細はこちら)のに加え、画面ドラッグによるキャラ移動にも対応している。
冒険の書のクラウドセーブも可能。
BGMはバトルロードシリーズなどと共通のシンセサイザー音を使用している。
なお、DQ3では削除されていた【すごろく場】は、こちらでは健在である。
 
その他DS版との違いは以下。

関連作品

権利表記

SFC版
© 1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
PS2版
© 2004 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/ARTEPIAZZA/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
DS版
© 2008 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/ARTEPIAZZA/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
 
スマホ版
© 1992,2014 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
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