【マウリヤ】

Last-modified: 2021-06-17 (木) 11:16:30

DQ9

病弱で外で遊べない【マキナ】のために、両親が【サンマロウ】に住むからくり職人に頼んで作ってもらったマキナそっくりの人形。
英語版での名前はMarionette。
そのまま「操り人形」という意味で一見すると無粋な直訳のようにもみえるが、マキナの英語版での名前がMarionであることを考えると、なかなか意味深な名付けであったりする。
というのも、etteには「模造」と言う意味があるため、「人形」であるという意味に加え「Marionを模したもの」という意味も含むこととなる。
それとは別に人形を意味するマリオネットの語源はマリオンもしくはマリアという女性を模した人形にette(親愛なる)を付けたもの、という説もある。
 
マキナにとっては唯一の、そして大切な「お友達」である。
病気が治ると聞いて使用人は【女神の果実】を手に入れたものの、マキナ自身は果実の効果を信じずに口にすることなく、間もなく息を引き取る直前であった。
病気の発作で苦しむ中「せめてマウリヤとお話しできたら…」というマキナの死ぬ直前の願いで女神の果実の力が発動し、彼女(?)に生命が宿り動くことや話すことができるようになった。
その直後にマキナは亡くなり、彼女はマキナを裏庭の墓に密かに埋葬した後、自分自身がマキナとして生きることになる。
 
マウリヤはマキナの「私に代わってお友達をたくさん作って」という遺言を忠実に守り、できるだけ多くの人と友だちになろうとした。
しかしながら、元々人形でマキナ以外友達もおらず、マキナの部屋しか世界を知らないため、当然社会経験や一般常識は皆無。
自分に好意を向けた人物を無条件に「お友達」と認定し、マキナの財産の一部を片っ端からプレゼントとして与えていたため、サンマロウの街には彼女にゴマをすって財産を頂戴しようとする連中が大勢押し寄せることになってしまった。
病弱だった頃に比べたら明るくなったと肯定的に受け止めるものや、その破天荒ぶりを気に入って純粋に友人になっている者もいるが、大体は変人扱い、あるいは財産目当てでいいカモ扱いされている。
主人公が見聞きできる(マウリヤが演じている)マキナの異常な言動や行動はこれが原因である。
 
その一方で、使用人をいきなり全員クビにしたり、綺麗なリボンをあげようとした人に激怒して絶交したりと、突発的に不機嫌になって奇妙な行動を行うことも多々ある。
これも異常行動あるいは良くある気まぐれとして町の人達には認識されているが、実際は髪の手入れをしていた使用人に「人形みたい(に綺麗な髪)」と言われた、マキナとお揃いのリボンを侮辱された等と、本人なりの思いと解釈があった上での言動である。
船欲しさに主人公が訪れた際も、最初は好意的だったところを「私を迎えにきた」と言って恐怖し閉じこもったせいで、町中はちょっとした騒ぎになることに。
 
その直後、【サンマロウ北の洞窟】に巣食っていたあらくれに身代金目的で誘拐されてしまう。
さらに「お友達」に何でもプレゼントしていた結果、既に財産がほとんど残っていないことまで発覚してしまう。
こうなると人間薄情なもので、たくさんいたはずの「マキナのお友達」は誰ひとり彼女を助けにくることはなかった。
元使用人達や仲良くなった武闘家など、心からマキナを心配する者は何人かいるものの、力及ばなかったり身代金を支払えるほど裕福でなかったり等で半ば諦められてしまう。
 
もっとも、誘拐先でも破天荒ぶりを発揮しており、いとも簡単に牢屋の鉄格子をひん曲げて牢破りをやってのけたり、誘拐犯二人を普通にお友達と認識していたり(牢破りをしたのは二人とのお話がつまらなかったため)、【妖毒虫ズオー】とお友達になろうとして弾き飛ばされてちょっとの間気絶してもすぐ復活したりと、元人形ゆえにか異常な頑強さを見せ、無事に事件は解決する。
 
だが、壁に叩きつけられたにも拘わらず何事もなく立ち上がった彼女の異常さを見て誘拐犯のあらくれが叫んだ「バケモノ!」という言葉を聞き、マウリヤは自らが人ならざる者としてマキナの願いに反する行動をしていることを自覚する。
…実際、お金目的で人が群がっていることは理解していたが、本人もどうすればいいのかわからず、それでもマキナの最期の願いを叶えようと頑張っていたらしい。
そしてズオー戦の直後、マキナの霊の「人形に戻ってほしい」という願いを受け入れ、町の人々に「マキナは旅に出る」と伝えて元の人形に戻った。
また主人公にはお礼として、元々の主人公の頼みであった【船】を譲ってくれ、これがお友達に対する最後のプレゼントとなる。
 
この「旅に出る」という表現は、生き物の生死を理解できず「マキナに嫌われたから離れ離れになる」と思い込んだマウリヤに対し、天に召されるマキナが「遠いところに行く」と言ったことに由来する。
しかし(マウリヤの演じていた)マキナの異常な言動をずっと見聞きしていた町の人々は、奇行の延長として本当に旅に出たものと思っており、 マキナの屋敷でも使用人たちはずっと(本物の)マキナの帰りを待っている。
最期はマキナの墓前に寄り添い、女神の果実を主人公に返したところで、使用人によってマキナのベッドに運ばれている。
 
しかしその後も少なくとも動く能力は残っているようで、エンディングでもマキナの墓の前に移動していたマウリヤを使用人が不審そうにマキナの部屋に戻すシーンがある。