【マジックバリア】

Last-modified: 2024-04-07 (日) 22:42:10

概要

DQ6で初登場した【呪文】。特技のような名前だが、れっきとした呪文である。
ロト三部作及び天空三部作では、これ以外の呪文はすべて5文字以下なので、これだけ2文字分も長い。
後述するが、メラやホイミと言った造語ではなく、英語の「magic barrier」をそのまま名前に用いており、かなり珍しい呪文でもある。
この呪文の登場以後、名前が6文字以上の呪文や、実在の言語を用いた呪文も登場するようになった。
下位呪文に単体版の【マホバリア】、逆の呪文に【ディバインスペル】【マジックハック】が存在する。
 
DQ7以前では、使用したときに「マジックバリアを となえた!」としか表示されないせいで何が起こったのかわかりにくかったが、DQ8以降は効果を説明するメッセージが後に続くようになった。
DQ8のメッセージは、

◯◯◯◯たちを ふしぎな
まほうのバリアが つつみこんだ!

DQ11では、

◯◯◯◯たちの
呪文耐性が すこし あがった!

となっている。
  
最近の作品では、基本的に敵側の攻撃呪文に対してダメージを軽減する呪文として定着している。
だが、登場初期の作品(DQ6~8)では呪文だけでなく属性を持った特技に対しても効力がおよび、ダメージ軽減効果に加えて【ラリホー】【ステテコダンス】などの成功率を下げる効果もある。
作品によって具体的な仕様や軽減の原理が違っており、軽減不能な攻撃も存在するため注意が必要である。
現在、ナンバリングやモンスターズ作品では以下の3パターンのマジックバリアが登場している。

  • A. 耐性貫通力を変化させるタイプ
    • 防御側の耐性を変化させるのではなく、攻撃側の耐性貫通力を劣化させて計算するという処理を行う。
      呪文・特技による属性ダメージや状態異常付着率の軽減は、貫通力変化の結果として起こる。
      詳しくは【耐性貫通力】を参照。
    • ナンバリングではDQ6~DQ8までこのタイプが採用されたが、DQ6・DQ7とDQ8では仕様が微妙に違う。
      DQ6・DQ7の仕様では、貫通力と元の耐性によっては軽減できない攻撃も存在した。
  • B. 攻撃呪文の被ダメージを直接変化させるタイプ
    • ブレス攻撃に対する【フバーハ】と同じ原理で、属性耐性とは別に、呪文によるダメージを割合で軽減する。
      詳しくは【攻撃呪文軽減・弱体】【属性ダメージ倍率】を参照。
    • 軽減可能なのは攻撃呪文のみ。状態異常の付着率や、呪文以外の属性ダメージは軽減できない。
    • DQ9~DQ11でこのタイプが採用されている。
  • C. 耐性を変化させるタイプ
    • 対象の耐性そのものを変化させることで攻撃を軽減する。
    • 属性さえ持っていれば、あらゆる呪文・特技に対して効果がある。
    • テリワン3D以降のモンスターズでこのタイプが採用されている。

魔法に対する防御効果のある呪文としては【マホカンタ】【マホステ】という先輩がいる。
敵の攻撃に対する防御効果の点からは、呪文を全く受け付けなくなるマホカンタ・マホステと比べ、軽減するのみで通してしまうマジックバリアは劣っている。
他方、両呪文は味方の回復呪文まで届かなくしてしまう他、人的な効果範囲も一人だけなど、その癖もかなり強い呪文である。
味方全体に効果を持つ上、回復呪文などの有利な呪文は素通ししてくれるマジックバリアは両呪文と比べて癖のない強みを持っていると言える。

DQ6

本作が初登場。
【パラディン】★5か、【賢者】★7で習得可能。
選択時に「まほうにたいしバリアをはる」という説明がついており、名前の雰囲気からしても攻撃呪文に対する防御を高めるだろうことは容易に予想がつくが、上述の通り「マジックバリアを唱えた」と出るだけで、効果範囲が自分だけなのか【フバーハ】と同じ味方全体なのかすらわからない不親切仕様。
実のところ、上述の通り1人が唱えれば味方全員に効果があり、しかも呪文だけでなく特技にも効果を発揮する(一応、取扱説明書をちゃんと読めば効果範囲は書いてある)。
 
【かまいたち】【しんくうは】の他、一見わかりにくいが【岩石系】に属する【さみだれけん】【がんせきおとし】【じひびき】(実はバギ系)や【たいあたり】(ザキ系)なんかのダメージも軽減できる。
なお、呪文であればダメージ系のすべてに対して効果を発揮するが、一部の【耐性貫通力】の高い特技については、無耐性だとまったく効果を発揮しない。
例えば炎や吹雪系のブレス攻撃には人間キャラは誰も耐性を持たないので、フバーハと使い分けるとよい。
 
ダメージ系呪文以上に大きな効果を発揮するのは補助系の呪文・特技、および確率系の耐性貫通力を持つ特技に対してである。
ラリホーや【メダパニ】はもちろん、呪文ではない【あまいいき】も効きにくくできる。
さらには、意外なことに【せいけんづき】の命中率を大幅に下げられる。
ただし、敵のザキ系呪文や【やけつくいき】のように、敵専用の貫通テーブルを持つ呪文・特技の命中率は軽減できないという罠がある。
また、元々貫通力の低い【しのおどり】【バシルーラ】に対しても効果を発揮しない。効き目を過信しないように。
 
なお、DQ9以降とは違って重ね掛けしても効果は変わらない。
また、正反対の効果を持つ【ぶきみなひかり】とマジックバリアが同じ対象にかかった場合、後にかかったほうに効果が上書きされる。つまり、ぶきみなひかりがかかった対象にマジックバリアがかかった場合、何もない状態でマジックバリアの効果を得たのと同じ状態になる。
 
敵側では【マジックフライ】【ブースカ】、および中ボスの【ヘルクラウド】が唱えてくる。
ヘルクラウドにこれを唱えられると正拳突きが途端に当たらなくなるので、【いてつくはどう】を習得していればこれで消すか、他の攻撃手段で攻めよう。
 
【公式ガイドブック】には、【バーバラ】がこれを使っている挿絵がある。

リメイク版

軽減効果は「呪文に対してのみ」となった。
他の補助呪文はDQ7以降のターン経過で効果が切れる仕様となっているが、なぜかこの呪文はターンが経過しても効果は続く。
弱体化こそしたものの、呪文に対しては相変わらず強力である。

DQ7

【賢者】での習得が★4とかなり早まった。【パラディン】★5はそのまま。
また、【プロトキラー(職業)】★2でも習得可能になった。
 
効果は前作から据え置きであり、呪文だけでなく特技も軽減対象なのも同じ。
ただし、本作からの仕様によりターン経過で効果が切れるようになっている。
とはいえ、他の補助呪文効果が軒並み6~9ターンなのに対して11~14ターンも持続するので、余程の強敵戦以外でかけなおす機会はまれかもしれない。

リメイク版

リメイク版DQ6同様に、呪文にしか効果がなくなった。
その一方で、被弾率の増したザキ系をマジックバリアで軽減できるようになった。
 
仕様によりプロトキラー職を★2まで鍛えていない場合は、上級職ではパラディン★5か、賢者・【魔物ハンター】★4以上でないと使えなくなってしまった。
なぜ魔物ハンターが使えて、武器と魔法のエキスパートである【魔法戦士】が使えないのか?という点がよくツッこまれる。
最上級職では全職業使用できる、それぞれ【ゴッドハンド】★4、【天地雷鳴士】★1、【勇者】★1で習得。
 
特技に対して効力を発揮しなくなったため、【神さま】戦ではステテコダンスや【ジゴスパーク】を軽減する手段がなくなったのが痛い。

DQ8

【ゼシカ】【杖スキル】31で習得する。消費MPは3で、効果は6~9ターン継続する。
【ラジカルストーム】の効果の1つでもある。
 
持続ターンがやや短くなったが、それよりも呪文・特技の貫通テーブルが一新されたことで使用感が変わっている。
前作までは対応範囲外だった敵からのザキ系も軽減できるようになった。
炎・吹雪ブレスに対しても、これまで無耐性のメインキャラクターには恩恵がなかったが、効果を得られるようになった。
その一方で、前作までそれなりに軽減できた攻撃呪文に対する効果は、かなり小さくなっている。
 
総じて汎用性は上がっているのだが、"マジック"バリア=呪文を軽減という認識が強く、人によってはあまり使われないことも。
実際には、相手の攻撃呪文のために使用しても雀の涙ほどしかダメージを減らせない。ダメージ系ブレスなどは2割ほど軽減し、フバーハや炎の盾、氷の盾の道具使用とも重複するため貢献度が高い。
状態異常対策としての効果も相変わらず大きい。
【おたけび】【かまいたち】、ジゴスパークへの有力な対策になることを覚えておくと役立つだろう。
しかし、肝心の「マジック」には大してバリアしてくれないだなんて…。
 
敵では、【マジックリップス】のみがこれを使用する。

3DS版

【追憶のアルゴン】【追憶のドルマゲス】が使用するおたけびが、マジックバリアの効果が効かない特殊な仕様になっている。

DQ9

本作より、呪文のダメージのみ軽減するようになった。仕様は概要の項目で書いた通り。
習得時期は【パラディン】がLv28、【賢者】がLv38とかなり遅め。
呪文ダメージを1度使用で25%、重ね掛けすると50%軽減する。
これに頼るよりは1ターンで済む全体がけフォースで50%耐性を得たり、【ミラーシールド(特技)】+【におうだち】で反射ダメージまで狙った方がいいだろう。
補助によるパラメータの上げ幅が2段階制になったり、属性の概念が変わったりと本作では多くの仕様変更がなされたが、その煽りをモロにうけた不遇な呪文である。
 
また、【りんねの盾】系統を使用してもこの効果が発生する。

DQ10オフライン

習得条件は【フウラ】Lv17(初期習得済み)。
消費MPは4で、味方全員の呪文耐性を1段階上げる。

Ver.2

【アンルシア】はLv30で習得済み。

DQ10オンライン

どうぐ使いがLv48で、天地雷鳴士がLv75で習得。消費MPは4。
DQ9とほぼ同じ仕様(1回で20%、2回で40%軽減)で続投している。
詳しくはこちらを参照。

DQ11

【ベロニカ】【グレイグ】が初期習得している呪文。
消費MP4で、味方全体の呪文耐性を1段階上げる。
 
ベロニカが覚えているものは本作では数少ない「素早いキャラが使える防御呪文」なので重宝するかと思いきや、ベロニカ加入以降は物理・特技主体のボスが多いため、さほど活躍はしない。
雑魚敵では強力な攻撃呪文(特に【ヒャダルコ】)を唱えてくる者がいるが、ベロニカ自身が強力なアタッカーなので攻撃呪文で一刻も早く数を減らした方が安定する場合が多い。【ごくらくちょう】【リーズレット】と戦う場合に余裕があれば使う程度だろう。
しいて言えば、耐性装備が限られた【ホメロス】戦の【ドルマ】対策に使うくらいか。
世界に異変が起きた後でグレイグがマジックバリア役になった後も、大体は物理主体のボスが多いため【スクルト】を唱えてもらった方が安心できるうえ、呪文を多用してくる【フールフール】戦では開幕マホトーン状態を強いられるため、この時期でも活躍は微妙なところ。
 
この呪文が真価を発揮するのは過ぎ去りし時を求めた後からと言っても過言ではない。
【魔道士ウルノーガ】【キングマーマン・邪】といった呪文主体のボスや【ギラグレイド】を連発してくるボスが増えてくるため、【セーニャ】【たてごと】スキルと併用しての防御手段として出番が回ってくる。
 
なお、DQ9同様にりんねの盾系統を道具使用した際の効果になっている他、3DS版・DQ11Sでは【星のオーラ】を道具使用した際もこの効果が現れる。
ただりんねの盾系統の場合、PS4版・DQ11S3Dモードでは使用者のみ、3DS版(両モード)・DQ11S2Dモードでは味方全体と、ハードやモードごとで対象範囲が違っているため地味にややこしい。

モンスターズシリーズ

DQM1・2、キャラバンハート

消費MPは3。
敵からの呪文ダメージのみならず、【マダンテ】も軽減できる。
【ダーククラブ】【アイアンタートル】【コハクそう】【たまてがい】がLv19(キャラバンハートではLv13)で習得する。

ジョーカー1~イルルカ

味方全体の耐性を1段階上げる呪文。攻撃呪文の属性だけでなく状態異常の耐性も上がる。
イルルカではほとんど全てのボスに【全ガードブレイク】が付いているため、ストーリーに於けるこの呪文の重要性が高くなっている。
 
ジョーカー3では【フバーハ】の効果がブレス抵抗力アップから全属性耐性アップに変更され、この呪文は削除。
実質的に、ブレスを防ぐ旧フバーハが廃止され、マジックバリアがフバーハに名称変更されたと言える。
なお、ジョーカー3では他にも【ダウン】【ヘナトス】に改めたり、【グレイトハック】【バハック】に改めたりとドラクエらしからぬ英語呪文を減らそうという動きがみられている。
代替呪文を考えつかなかったのか【インテ】【フール】【チェンジ】【チェイン】あたりは続投しているが。

トルネコ2

魔法使いの呪文として登場。
消費HPは3で、10ターンの間ときどきモンスターからの魔法攻撃を無効化できるようになる。
しかし魔法使いは魔法攻撃を受けると覚えている呪文を忘れるので、確率ではなく絶対に食らってはいけない。
こんな曖昧な効果よりは、確実に跳ね返して回避する【マホカンタ】か、【メダパニ】でしばらく黙らせる方が良い。

バトルロード1

【SPカード】として第一章から登場。使用者は【ゼシカ】
そのターンのSPカードを含むあらゆる呪文攻撃を無効にする。相手が呪文パーティの時はかなり役に立つ。

バトルロード2

同じ効果の【マホステ】が登場するが、このカードは【レジェンドクエストVIII】を満点でクリアするのに必須なので両方持っておいて損はない。

DQMSL

サービス開始時から登場。
消費MP16で、味方全員の呪文耐性を1段階上昇させる(1段階目で50%、2段階目で75%)。
ごく基礎的な特技で上位互換も多数登場するが、超マスターエッグで誰にでも覚えさせられる点が長所。
高難易度のクエストではそのまま受けると即死級の威力となっている呪文が珍しくないため、
それらに対抗できるように覚えさせよう。

星ドラ

魔法戦士の職業スキルのほか、補助呪文のBランクとしても存在する。最大レベルでのCTは30秒。
マホステや魔法無効化のスキルと比べると、ダメージを0にできない反面、一度に全員にかけられるのが強み。
魔法戦士の輝石にはマジックバリアを2連続で発動させる「こだまするマジックバリア」というものもある。

タクト

Cランクとくぎとして登場。自分を含む射程1~2・消費MP16
「なかま1体の呪文耐性を大幅に上げる 効果3ターン」
最大強化で 消費MP6 まで強化可能。
【デビルプリンス】【レジェンドホーン】などが使用可能。

ロトの紋章

【ポロン】が使用する。
【アルス】【ジャガン】の最後の戦いの際、ジャガンの【エビルデイン】から仲間たちを守るため使用した。
基本的にDQ3やDQ4の呪文体系が基となるロトの紋章において、DQ6の呪文が使われたのは珍しい。
【フバーハ】で雷は防げず、【マホステ】は勇者だけが使える呪文であり、【マホカンタ】では反射して勝負に横槍を入れることになるため、これしか状況に即した呪文が無かったのだろう。

ネーミング

【ドラゴンクエストマスターズクラブ】内の質問コーナー「堀井雄二の DRAGON QUEST III Q&A」によると、従来、呪文のネーミングについては大きく2つのパターンがあったようで、次のような例が示されている。

  • そのものズバリ
    • 頭が混乱して目玉がパニック → メダパニ
    • カウンターマジック → マホカンタ
    • 消えたけど「でも居る」 → レムオル
    • 模写する → モシャス
  • その呪文を使った時の擬音を想像
    • ギラ系呪文
    • バギ系呪文

しかし、このマジックバリアはこういう語感や擬音からのネーミングではなく、英単語をそのまま並べただけであり、これまでのネーミングのパターンからは外れているため、DQ5以前からのプレイヤーにはどうしても違和感が拭えない。
さらに、DQ8以降では、これとは対になる弱体呪文に「【ディバインスペル】」が登場し、こちらも英語の「divine spell」(日本語にするなら「神聖な魔法」か。「spell」には「言葉を綴る」以外に「魔法、魔力、魅力」の意味もある)から採っている。