【ムーンブルク王】

Last-modified: 2024-04-06 (土) 08:36:32

DQ2

【ムーンブルク】【国王】であり【ムーンブルクの王女】の父親。
【ハーゴン】の軍勢によりムーンブルクが陥落した際に命を落とした。
だが、その魂は成仏できずに城内をさまよっており、娘が【犬】にされたことを嘆き続けている。
多少は周囲の気配が分かるようだが既に五感が欠落しているらしく、元の姿に戻った王女が声をかけても

*「だれか いるのか? 
 わしには もう なにも きこえぬ。
 なにも みえぬ……。

と言って、娘が目の前に居ることに気付けない様子は涙を誘う。
魔族に殺された者は、成仏できず現世をさまようと言われており、その魂が成仏できずにさまよってしまっている。
 
その一方で、ご丁寧にも「わしはムーンブルクの王の魂じゃ」とか言ってくれるあたり、サービス精神がよろしい。
誰かがいるかどうかすら認識できないんじゃなかったのか?まさか、誰かがいるかどうか分からないまま、「わしはムーンブルク王の魂じゃ」と繰り返し言い続けているのか?とツッコミたくなるが、スタッフを咎めるのはやめてあげよう。
1Pコミックの2巻には、このセリフに対して主人公が「じゃあ何で返事してんだよ?」とツッコミを入れるネタが存在する。
あまりにも悲しい運命を辿った王ではあるが、ネタ要素が多く面白い人物でもある。
 
リメイクに際してネタ要素が増えており、
FC版では【エンディング】で話しかけても魂の共通のセリフを話すだけだったのだが、リメイク版では王の姿に戻り、娘との再会を喜んだあと安らかに天へ昇っていく。
……だが【フィールド】に出たり地下室に降りるなどして画面を切り替え、もう一度玉座に戻ってみると、何故か王の姿で現世に留まっている。
そしてもう一度話しかけると、同じ会話が繰り返された後にまた魂の姿に戻ってしまう。一体何なんだアンタ。
 
海外版では【プロローグ】としてムーンブルク城が襲撃されるシーンが追加されており、彼の最期の様子が見られる。
この時は通常攻撃や会心の一撃で何体かの敵を仕留めるという武闘派な一面を見せる。敵の攻撃にも結構耐えている。
しかしやがて複数の敵に囲まれ、痛恨の一撃を受け戦死した。
 
このシーンはリメイク版にも同じような形で受け継がれた。
リメイク版では武闘派ではなくなり、娘と同じく【呪文】を得意とするようで、青い炎らしきものを発して果敢に魔物と戦うも、背後を襲われあえなく……。
最期の言葉は【ぎょえーーっっ!!】 である。悲劇的なシーンなのだがこれもまた笑いを誘った。
よく見ると、画面の上方で【牢屋】に捕まっていた【じごくのつかい】【あくましんかん】だと思われる魔物(ドラマCDシアターではあくましんかん)が、いつの間にか鍵を開けた後に瞬間移動している。彼を娘の目の前で殺害したのはコイツである。
娘が犬にされた事を知ったのは死後のようだ。
 
なお、彼は魔物の襲撃の際に「【ローレシア】に襲われた事を知らせねば」と言うが、より近い【サマルトリア】を差し置いてローレシアの名前を出した理由は不明。
メタ的には主人公の出身国であるローレシアの国名を強調し、台詞を長くさせないようにする意図なのだろうが
サマルトリア王国では住民さえ「先日、南の空が赤く燃えるのを見ましたわ。もしやムーンブルクに何かあったのでは……」と察知していたように、伝えずとも危機があったことは伝わると考えていたのか、あるいはローレシアに向かわせれば途中でサマルトリアの兵士と会うだろうという算段だったのか……。
いずれにせよ、ローレシアに知らされてすぐにサマルトリアに向かっても【サマルトリアの王子】はとっくの昔に出発済みだったことを見るに、実際に知らせに行った【ムーンブルクの兵士】は通り道でサマルトリアにも知らせてくれていたようだ。
とすると「何故ローレシアへの伝達をサマルトリア兵に任せなかったのか?」「何故サマルトリアで休憩や回復アイテムの補給をしなかったのか?」という疑問が残ってしまうが、そこはあくまで「エンターテイメント」なので突っ込むのは無粋だろう。
【リリザ】あたりで見かけたサマルトリア兵に伝達を頼んだのかも知れない。

小説版

名前は「ファン103世」。65歳。王家の名は「ファンドリアン家」。妃も「シルサ」という名で登場する。
歳を取ってから生まれた娘セリアを可愛がっていたが、彼女の16歳の誕生日の夜に城が魔物に襲撃され、自身も妃共々セリアの目の前で【バズズ】に殺害された。
 
古代ムーンブルク語で「ファン」は「月」、「ファンドリアン」は「月を見張る者」という意味を持ち、王家は遠い昔から【ロンダルキア】の大地を監視する役目を持っていた。
……しかし、103世とは、平均在位期間を短めに20年程度と見積もっても2000年以上王家が続いていた計算になる。
余程名君が続いていたのか、逆に短期間で王が変わることが繰り返されたのか、ひょっとして途中で王家の歴史を盛ったりしていたのか……。

ゲームブック(双葉社)

個人名は不明。原作同様魂として登場するのみだが、彼から【ラーのかがみ】の話を聞いておかないと鏡は入手できない。

DQ7(漫画版)

【キーファ】の最初の転生先であるブルク編で、先代の【ブルク王】とキーファが該当する。
ブルク王の死後、キーファはブルク王の娘である【アイラ】と結婚することでムーンブルク王になる。
そして、キーファの娘がムーンブルクの王女になっている。
原作と同様、魔物の襲撃によりムーンブルクの王女が犬に変えられ、魔物の群れにアイラと共に殺されている。

ビルダーズ2

【ムーンブルク島】編に登場する国王。
赤いマントを羽織って王冠をかぶり、厳めしい面差しに髭をたくわえた、いかにもRPGの王様といったキャラモデルになっている。
ことあるごとに「ぎょえーーっっ!!」という、DQ2では最期の悲鳴だった言葉を口癖のように発し驚きのリアクションを取る役回り。
兎にも角にも、設定上では悲劇的な最期を遂げている割に、ネタ扱いからは逃れられない運命のようだ。
 
一国の王でありながら親しみやすく寛容な人柄。
現実の世界の住民である【ルル】に「うつくしい王女様が むかえてくれるはずよ!」と言われ向かったムーンブルク島では、王女でなく彼が統治する地の住民が【ハーゴン教団】との戦いを続けている。
【ビルダーの鐘】の音で徐々に世界の真実の断片に気付いていくものの、終盤近くまで時系列や自分に娘が居たかどうかについての記憶が曖昧になっている。
 
最初こそ玉座の間を寝室や作業場に利用されることに難色を示していたが、家臣の進言ですぐに受け入れ、仕舞いには面白くなってきたと言い出すなど融通の利く一面も見せる。
また、国民のことを「我が子のようなもの」と語るなど、永遠の戦争を続ける国の王という立場とは裏腹に、非常に民想いである。
気さくな分普段はやや荘厳さに欠け、また戦闘には一切参加せず、魔物に襲撃された際にも怯えているだけであり、DQ2の世界のムーンブルク王とは別の存在なのか、残念ながらDQ2本編世界のムーンブルク王がプロローグで魔物相手に奮闘していたような勇姿を見ることはできない。
 
専門分野に口出ししないタイプの指導者なのか、作戦立案や実行も将軍の【アネッサ】や参謀的立場の【リック】に任せきり、建築関連も「ビルダー頼みだ!」と言い切ってしまう上、
黒幕の謀略による希少な戦力の投獄や城の警備の無力化を止めることすら一切せず、城内まで魔物の侵攻を許し、危うく魔法兵器を乗っ取られる寸前まで状況に流されるままであったなど、本人が「結局のところ ビルダーだのみだ!」と言うように、他人任せな面が強い。
 
このため頼りない感じと思いきや、魔法作業台をいざというときのために隠し持っていたり、勇者の血筋を持つ王家の人間として【ミナデイン砲】建造のそれっぽい考えを主人公に伝えてくれるなど、事態打開のきっかけを用意している周到な一面も。
また、本作の舞台となる世界の秘密を確信した際には他の住民に混乱が起こらぬよう主人公と二人きりで互いの情報を交換しており、RPGの偉い人によくある「ストーリー進行に合わせた情報提供」という役回りになっている。
とは言えその憂慮は裏目に出て、世界の真実を知っていた住民を孤独へと追いやることになるのだが…
 
本作における幻の世界は元々ロトの三勇者を惑わすためだけにローレシア城を模して作られた世界であったが、現実の世界側の住民が地名さえ知らない【モンゾーラ島】【オッカムル島】まで創造主の意図に反して広がり続けていることが作中の登場人物にも言及されるなど、本作における現実の世界と幻の世界が個人に至るまで同期しているかは明らかではない。
 
しかしそんな中でも肩書きや立場、親子関係まで現実の世界と明確に繋がりを持っているムーンブルク王は、最終的に幻である世界の真実に辿り着いたことも含め、元々現実の世界と関わりの深い存在として、幻の世界の他の住人とは一味違う立場から主人公に接している。
この王様自身が現実世界の記憶も持つ幻の世界の住人なのか、あるいは落命したあと亡霊のような状態で幻の世界にやってきた御本人なのかは推測するしかないのだが、情報交換のおかげでこの世界に娘が存在しないことの真相も理解しており、もはや会うことの叶わないその身を案じていた。
主人公とシドーの手で幻の世界が安定した後も、幻の世界の住人達まで【伝説のビルダー】が復興させたという現実のアレフガルド側に行けるかは不明だが、再会できる日も来るのだろうか?
 
ムーンブルク島編クリア後は王であるからと島に残るため、【からっぽ島】に移動させられるのはクリア後になってから。
職業はそのまんま「王さま」で、この職業に当てはまるのはもちろんこの人のみ。
好みは広さと豪華さが最大なのは妥当なところだが、雰囲気はなんとビビッドであり、機械系や邪教系の装飾と相性が良い。
 
【玉座】【こわれた玉座】があれば一日の大半はそれに座っており、暇な住人が王を拝みに来る。
王はその度に「あいわかった」と気さくに謁見を受け入れ、この時、謁見をした住人はビルダーハートを落とす。
……のだが、住人によっては変な会話になる事がある。
例を上げると、
 
【少年シドー】「なんだテメー?」 王「あいわかった」
 
ムーンブルク兵「モノホンっすか!?」 王「あいわかった」
 
ムーンブルク兵「ひ…ひええ…」 王「あいわかった」
 
【くさったしたい】「え、えらいんだな・・・」 王「あいわかった」
 
【キラーマシン】「王様ヲトウロク・・・」 王「あいわかった」
 
【メタッツ】「オウサマってえらいの?」 王「あいわかった」
 
【にわとり】「コケッ」 王「あいわかった」
 
【うし】「モー」 王「あいわかった」
 
【ひつじ】「メェ」 王「あいわかった」
 
【キラーパンサー】「ガオッ!」 王「あいわかった」
 
などなど。
どんな無礼極まりない態度を取られようと「あいわかった」の一言で流し、挙句の果てに言葉が理解出来ていないであろう動物にでさえ「あいわかった」と同じ言葉を返し続ける。
一体何が分かったのか、本当に分かっているのか、そもそも人の話を聞いているのか…
王の真意は定かではない。
 
律儀に謁見の順番待ちの行列に並びながら、わざわざ「なんだテメー?」とケンカを売りに行くシドーの姿にはお前の方が何なんだと思わざるを得ない。