【リンクの冒険】

Last-modified: 2023-04-09 (日) 02:02:49

概要

1987年1月14日に任天堂が発売したアクションRPGで、ゼルダシリーズ2作目。
このわずか12日後に発売されたのが【ドラゴンクエストII 悪霊の神々】である。
DQで【キングスライム】が登場する(初登場は1990年発売のDQ4)前に合体したスライム「ボトマスター(普通のスライムは「ボト」)」が登場した作品でもある。但しこちらは最初から合体しており攻撃を与えると分裂するというDQとは逆の形。
ある墓を調べると

ユウシャロト ココニネムル

と言うメッセージが出てくる。
【勇者ロト】と言えばもちろんドラクエ。
ライバル会社のシンボルを墓に埋めるとはきついジョークであるが、当時の任天堂にとってエニックスはある意味ライバルであった。
というのも、任天堂は1986年2月にディスクシステムを発売したばかりで、この大容量とデータセーブ機能を誇る新機種で初代『ゼルダの伝説』をはじめ、ストーリー性のある RPG を展開していきたいと考えていたが、【ドラゴンクエスト】にほぼ完璧な形で先んじられてしまった。
あまつさえディスクシステムではなく ROM カセットで、である。
ディスクシステムの発売からわずか3ヶ月あまりでのドラクエ発売で、任天堂にとっては完全に出鼻をくじかれた形になってしまったが、その任天堂の社員であり、ゼルダシリーズ、そして『スーパーマリオブラザーズ』の生みの親でもある「ミヤホン」こと宮本茂は

「ドラクエのうまいとこは、言葉で生理的な感覚を引っ張り出しているんですわ」

とドラクエを評している。
ただし、海外での知名度が低いドラクエとは異なり、ゼルダシリーズは同じく中世ヨーロッパ風ファンタジーな世界観であるにもかかわらず、任天堂の巧みな売り込み手腕により、海外での人気が高い。
そのあたりでは任天堂は成功したといえるだろう。
 
ちなみに、そのリンクも初代『ファイナルファンタジー』において墓に埋められている。
メッセージは「リンク ここにねむる」。
当時はゲーム業界自体の歴史が浅く、お遊びとして許される範囲が(パロディする側だけでなく、される側にとっても)曖昧だった。
そんな時代の空気が如実に現れたエピソードと言えるだろう。
 
NES版リンクの冒険ではロトの墓は削除されているようだが、その影響なのか初代ファイナルファンタジーにあったリンクの墓が【Erdrick】の墓と掘り直されたらしい。
 
【ゲームセンターCX】でもリンクの冒険に挑戦した際にこの墓のことが紹介されている。
 
上記の通りDQ2とは同時期の発売で『ファミリーコンピュータMagazine』による1987年度ファミマガゲーム大賞では23.89点(30点満点)で7位と上位入選だったが、前年度にDQ1(25.02点)を破って堂々グランプリに輝いた「ゼルダの伝説」(26.12点)思えば、点数から見てもやはり落ちた感は否めない。と言うよりDQの急成長を如実に現した結果と言えるかもしれない。
この年はDQ2が28.02点と、結果的に最後まで破られなかった歴代最高得点を叩き出してグランプリに輝いた。前年のリベンジを倍返し以上のような形で果たした。
 
だが、キャラクター単体の評価では同誌で1989年に行われた『第1回美少年キャラコンテスト』においてリンクは2位に輝いており、DQシリーズの主人公をまとめて破っている。
【DQ1の勇者】(ランク外)
【ローレシアの王子】(6位)
【サマルトリアの王子】(15位)
【DQ3の勇者】(3位)
【DQ4の勇者】(9位)
因みに1位は「ファミコン探偵倶楽部(任天堂:1988年)」の主人公。

余談

現実でも有名人の墓は多数存在しており、その子孫を名乗る人が複数現れたりする。
それらは本気で信じているものばかりでなく、単に話題作りで冗談半分だったりするものも多い。
ゲーム業界の場合は、そのゲームやキャラクターの偉大さにあやかる意味もあるかもしれない。
 
時は流れて、2016年5月26日から27日にかけて配信されたニコニコ生放送「ドラゴンクエスト30周年お誕生日カウントダウンスペシャル」の終盤では長年ゲーム業界で切磋琢磨してきた戦友として、宮本茂(ゼルダシリーズなど)や坂口博信(ファイナルファンタジーシリーズ)からのお祝いメッセージが流れた。
 
そして2019年7月31日に『大乱闘スマッシュブラザーズSpecial』に【勇者(スマッシュブラザーズ)】が参戦し遂にロトとリンクが共演した。厳密に言えば本作のリンクとスマブラに登場しているリンク(ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)は別人であるが。
参戦PVではピンチになったリンクを颯爽と現れた【主人公(DQ11)】が助けている。一部では「墓参りしてくれたお礼ではないか」と言われている。
またスマブラSPでは勇者の一人である【主人公(DQ3)】のボイスを檜山修之が演じているが、「時のオカリナ」のリンクも檜山が演じておりスマブラ64とDXではリンクとしてスマブラに出演していた。【主人公(DQ11)】役の斎賀みつきと【主人公(DQ8)】役の梶裕貴もそれぞれ「神々のトライフォース2」と「ゼルダ無双」でリンク役を演じていた。
 
このゲームには【強くてニューゲーム】の先駆けと言えるシステムが存在し、クリアすると魔法やレベルを引き継いだ状態で二周目が始まる。
 
2019年頃から、堀井はインタビューで「勇者の墓」としてドラクエ世代向けの共同墓地の構想を語るようになっている。