【隠しダンジョン】

Last-modified: 2022-09-15 (木) 08:52:20

概要

メインストーリーの【ラストダンジョン】よりもさらに強い敵キャラクターが登場する【ダンジョン】の俗称。他ジャンルゲームにおける「裏面」に相当するもの。
広く捉えればDQ2の【ロンダルキアへの洞窟】なども入口が隠されているため文字通りの「隠し」ダンジョンと言えるが、ここでは上記の定義に当てはまるダンジョンについて取り上げる。
 
DQシリーズの場合はエンディング前に行くことができず存在が隠されており、一度【ラスボス】を倒して【エンディング】を迎えた冒険の書で新たに行けるようになることが多く、このことから「隠し」と呼ばれる。上記の「裏面」に因んで「裏ダンジョン(裏ダン)」「エクストラダンジョン(EXダンジョン)」という呼び方もあり、DQ6やSFC版DQ3の発売時期の【月刊Vジャンプ】では「隠された物語」と表現されていた。
 
最深部にはラスボスよりも強い【裏ボス】が待ち構えている。
DQ5で初登場し、以降恒例化している。またDQ3とDQ4でもリメイクの際に新たに追加された。
DQ7では該当するダンジョンが2つ登場した他、GBC版DQ3と3DS版DQ8でもさらにもう1つの隠しダンジョンが追加された。これらは1つ目のダンジョンで条件を満たす(最低1回は裏ボスを倒す必要がある)ことで2つ目に挑めるようになる。
その一方で、オンラインゲームであるDQ10では、該当するダンジョンは存在しない。
なおRPG全般での隠しダンジョンはDQ5が初登場ではない(後述)。

導入された背景

ファミリーコンピュータが家庭用ビデオゲーム機の主力であった時代、ソフトの容量不足による短いプレイ時間は大きな問題であった(ゲームソフトは基本的に親が子供に買い与えるもので、子供が長く遊べるほど実際に購入する親からの評判が高くなる、という理屈)。
これを少しでも何とかするため、特別なキー操作で可能になるステージ分岐や、クリア後に解禁される高難度の二周目、雑誌などを見ないと解決不可能なほど難解な謎解きなど、様々な隠し要素がゲームに導入されていることが多かった。
 
そういった隠しコマンドや隠しステージ、強力な隠しキャラクターなどは元来隠されたものであるがゆえに、根拠不明の噂が出回ることもまた多く、それはDQなどのRPGにおいても同様であった。
DQ2が発売された1987年には、学研の雑誌『中二コース』付録の小冊子に「裏ドラクエ」の噂についての記事が掲載された。もちろん「残念ながら “ウラ” はないのだ!! オモテが終わったらジ・エンド」と結んであり、その存在は否定された。
余談だが堀井雄二はかつて中二コースで連載漫画のシナリオを手がけていた縁があり、同誌ではしばしばDQに関するインタビューが掲載されるなどしていた。
 
DQ5での隠しダンジョンの導入経緯について【堀井雄二】は、【週刊少年ジャンプ】1993年11号のゲームコーナー「ペーパーROMマガジンV-NET」内のコラムでDQ5の "エスタークが仲間になる噂" に関連して、

皆さんの希望がまじっているような、こういうウワサは、まったく意味がないこともありません。

というのも、Ⅳのとき "クリア後、謎の第6章がはじまる" といったウワサが、今回Ⅴのかくし洞くつとなって実現されたのでした。(メモリの関係で第1章ぶんとまでは、いきませんでしたが)

と綴っている。
ちなみにこのコラムにある【第六章】は、リメイク版DQ4で隠しダンジョンを含めた裏ストーリーとして実現することになる。
 
参考までに、ビデオゲームのRPGにおけるエンディング後の隠しエリアや裏ボスは、DQ5よりも前に、1989年にアイレムから発売されたファミコン用ソフト『神仙伝』で登場している。

特徴

初登場のDQ5ではオリジナルのマップが作られた。
DQ6、DQ7はストーリー中に通った既存マップを組み合わせたものとなっており、新規マップではなくなったもののトリップ感が味わえる作りになっている。
しかし、PS版DQ4に関しては一部マップとモンスターが同作品の過去の使い回しどころか、別作品であるDQ7の完全な使い回しだったために批判が集中した。
その後、DQ8やDS版以降のDQ4では全階層オリジナルマップ、DQ9は自動生成、DQ11は試練という部分を強調している影響もあり既存マップの流用になっている。
なお、DQ5以降のリメイク版に関してはオリジナル版に準拠している。
 
クリア後に行けるという設定から、出現するモンスターは【ラストダンジョン】以上に強い。
下手するとラスボスと並ぶステータスや火力を持つモンスターも多いので、レベルを上げるなど万全に準備をしてから挑むべきだろう。
その分宝箱から手に入るアイテムも強力なものが多い。
DQ6、DQ8、DQ11、リメイク版DQ3・DQ4では、中間に中継地がありいずれも【ルーラ】での往来が可能。
 
入口を出現させる点に関しての注意点として、SFCやGBCの作品では、エンディング後の【The End】の文字が出た後にフラグが自動的にセーブされる。
このため、それが出る前に電源を切るかソフトを終了させてしまうと、ダンジョンの入口が出現するフラグが立たず、そうなると、初回クリア前の最後のセーブポイントからやり直し、ラスボスと戦い直す羽目になってしまう。

DQ3(リメイク版)

エンディングを迎え「.ロト」の付された冒険の書で、【竜の女王の城】から【天界】に行けるようになり、そこから【謎の洞窟】を経て【謎の塔】に入れる。
中継地点として【ゼニスの城】があり、【ルーラ】で来ることができる。
謎の洞窟はSFC版DQ3の前に出たDQ6と同じく既存マップの流用で、謎の塔はオリジナルマップである。
ボスは【しんりゅう】

GBC版

神竜に願いの一つを叶えてもらうことにより、【レイアムランドのほこら】から第2の隠しダンジョン【氷の洞窟】に入ることができる。
全フロアオリジナルマップで、ボスは【グランドラゴーン】

DQ4(リメイク版)

エンディング後にセーブして「6章」と表示された冒険の書で、【ゴットサイド】から【謎のダンジョン】に入れる。
PS版では同作およびDQ7からマップを使い回しているが、DS版以降はオリジナルマップとなった。また全機種とも、ここ限定のモンスターはDQ7の終盤のものになっている。
中継地点として「なぞの教会」がありセーブが可能。別の場所に【宿屋】もある。
なお、ここは真のラスボスと戦う前に行けるダンジョンであるため、後述のネルセンの迷宮(あちらは攻略必須ではない)のように「本編の一部」とも解釈できる。
ボスは【エッグラ】【チキーラ】

DQ5

隠しダンジョンがDQシリーズで初めて採用された作品。
エンディングを迎えた冒険の書で【エビルマウンテン】の南の沼地に入ると、【謎の洞窟】に入ることができる。
全フロアオリジナルの構造であり、トラップも多い。中継地点は無し。
ボスは【エスターク】

DQ6

全ての職業の熟練度を★5以上にすると、【ダーマ神殿】に隠された入口が出現し、【お楽しみダンジョン】に入ることができる。
ただし全職業に転職するには、エンディング後の冒険の書に出現する【はぐれのさとり】が必要となる。
今作では初めて、既存ダンジョンのマップを繋ぎ合わせた形態のダンジョンとなっている。
また中間にはルーラで来られる【デスコッド】の村があり、買い物などが可能。
ボスは【ダークドレアム】
 
リメイク版ではエンディングを迎えると無条件で入れるようになった。

DQ7

今作の隠しダンジョンはメインストーリー中盤までの流れと同様に、【ふしぎな石版】【なぞの神殿】に集めることで行ける方式になっている。
【ふしぎな石版?】を4枚揃えることで【なぞの異世界】に行けるが、その石版のひとつはエンディング中に特殊な動作を行わないと入手できないようになっている(【こわれた石版】参照)。
ボス手前の教会でセーブ可能。神父が【きとうし】【あくま神官】っぽいがちゃんと普通の教会である。ボスは【神さま】
倒した後は任意の場所にワープさせてくれるが、この時「魔王【オルゴ・デミーラ】」を選ぶとそのままラスボス戦になり、倒してしまうとセーブできないため、神さまと再び戦い直す羽目になる。回避するのであれば全滅するしかない。
 
さらに今作は初めて2つ目の隠しダンジョンが存在し、別の「ふしぎな石版?」を8枚(うち3枚は神さま戦の報酬)揃えると【さらなる異世界】に行ける。
こちらのボスは【四精霊】
 
ダンジョンは双方とも既存マップの寄せ集めである。

DQ8

エンディング後の冒険の書で宿屋に泊まると(移植版では泊まらなくても)、【ベルガラック地方】の高台から【竜神の道】に入れるようになる。
それを抜けると中継点である【竜神族の里】を経て、【天の祭壇】に辿り着く。
全フロアともオリジナルマップになっているが、【地図】は利用できない。
 
今作の隠しダンジョンはただ通り抜けるだけでなく、一連のストーリーイベントが展開されることが特徴。真エンディングを見るためのフラグにもなっている。
なお、今作のここで出現する通常モンスターはメタル系を除き、他作品のクリア後ダンジョンと比較すると獲得経験値が低いのも特徴である。
ボスは【竜神王】、および【竜の試練】で出現する各巨竜。
 
PS2・スマホ版では、エンディング後のセーブはダンジョンフラグを立たせるための初回クリア時のみしかできない。
このため、竜神王を倒してそのままセーブせずに改めてラスボス【暗黒神ラプソーン】を倒してしまうと、竜神王と再び戦い直す羽目になるので注意。

3DS版

新たに追加された【追憶の回廊】が竜の試練の報酬により解放され、【メディばあさんの家】から入ることができる。
マップはオリジナルであるが、ザコ敵は【くちぶえ】以外では登場せず、主に追憶と付く各ボスと戦うためのダンジョンである。
最後のボスはエスターク。前半はともかく、後半はレベル99でも苦戦必至の超強敵が待ち構えている。

DQ9

実質上クリア後のみ行けるダンジョンとして【アルマの塔】がある。ここは【天の箱舟】を自在に使えるようにならないと行けない場所であり、そのためにはエンディング後のクエスト【幻の巨大魚を追え】をクリアする必要がある。
この塔には【アルマトラ】というボスがいるものの他の裏ボスとは異なり、一連の【ストーリークエスト】の中で戦うものである。一定条件を満たしていないと戦うことはできず、倒して褒美が得られる類のものでもない。
また、本作は【宝の地図】のように理論上クリア前でも可能なやり込み要素に重点を置かれており、アルマの塔の存在感は薄い。
むしろ宝の地図の洞窟の方が今回の隠しダンジョンといえる。

DQ11

過ぎ去りし時を求めた後のケトス覚醒イベントを終えると、【バンデルフォン王国跡】にかけられていた封印が解け、【ネルセンの迷宮】への扉が開かれる。
試練という名を冠していることからダンジョンそのものが試練という意味合いが強く、内部は既存マップの組み合わせであり(内容はハードによって異なる)、最深部での【ネルセンの最終試練】でボスと戦うという構成になっている。
中継点としてルーラで来られる【試練の里】がある。
今作はストーリー構造が従来と異なり、初回エンディングの後も本編と言えるストーリーが続くので、従来の隠しダンジョンの定義にあてはまるかどうかは皆さんの解釈次第である。

3DS版・DQ11S

最低でも1回は裏ラスボス【邪神ニズゼルファ】を倒し、全ての【冒険の書の世界】をクリアすると「過ぎ去りし時の祭壇」が出現する。
ただしダンジョンと呼べるほど入り組んだ構造はしておらず、ボスの間が用意されているのみである。