【恐怖のムービー】

Last-modified: 2024-03-10 (日) 05:12:38

DQ7

PS版DQ7に登場するムービーの一つで、作中のムービーではある意味最も有名なもの。
DQ7がリリースされたプレステ全盛期の時代は、テレビゲームで本格的なアニメ映像や3Dムービーを実装できるようになった時代であり、今では当たり前となっている主題歌付きのアニメ映像や3D技術を駆使したゲームが定番になりつつある時期であった。
そういった世間のグラフィック重視の内容や美麗なプリレンダムービー乱発の波に耐え切れなかったのか、DQでもDQ7でついに3Dのムービーが導入された。
その中でも特に(悪い意味で)印象に残る、ユバールの踊り子による【神さま】復活の儀式のムービーのことを指す。
これらは、

  • 中途半端なCGであるためキャラの動きが不自然
  • 立体化されたというのにキャラの表情がアニメ的。と言うか表情が笑顔のまま変化しない

というかなり気持ち悪く不気味なもの。
そう、まさに「不気味の谷現象」を再現したといっても過言ではない。
族長だけはまだ違和感が無いが、【ジャン】および【ヨハン】はかなり微妙、踊り手の【ライラ】【アイラ】に至っては不気味としか言い様がない出来になっている。
これを過去と現代で合計2回、ムービーを見る時期は大幅に異なるものの、ほとんど同じものを見なければならない。ある意味拷問である。
 
DISC1の過去編では、神の踊り子【ライラ】【トゥーラ】の弾き手【ジャン】による復活の儀式を族長らが見守る、という形のもの。結果、儀式は失敗。
DISC2の現代編では【アイラ】が踊り、【ヨハン】がトゥーラを演奏するが、クライマックスは真顔の族長とドヤ顔のヨハンの映像が交錯した後に、不気味な笑みをたたえたアイラがズームしてくるという大変禍々しい仕上がりになっている。
その上、出てきたのは神ではなく、神を騙ったコイツだった。
 
DQ7は同年発売のFF9の後の発売にも関わらず、映像はその3年前のFF7以下と言われても仕方の無い出来であり、ムービー導入ということでわくわくしていたプレイヤーをどん底に叩き落とし、トラウマを刻み付けたのだった。
さらにDQ作品関連ではDQ7の約1年前にリリースされた【トルネコの大冒険2】オープニングムービーが上手くできていて好評だったため、期待感を裏切られた人も多かった。
 
記事名は便宜的に恐怖のムービーとなっているが、プレイヤーからは【ふしぎなおどり】【しのおどり】などと形容されることも多い模様。
このムービーで何か力が抜けたアナタは、たぶん間違っていない。
【ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書】の冒頭見開きでも、DQ7を代表するシーンのひとつとしてアイラバージョンの写真が載っている。誰得。
 
一応フォローしておくと全てのムービーがダメという訳ではなく、人物が出ない【ティラノス】復活のムービーは良い出来となっている。人物描写の方法に大きな問題があった形。
 
これのせいでDQ8が3Dで表現されると発表された際に批判が殺到し、前評判が微妙なものとなった。
だがDQ8はトゥーンシェーディングという技法を駆使して【鳥山明】のタッチを3Dで上手く表現したため、発売後は好意的な意見に変わった。
 
また、後のヒーローズシリーズでは、通常の3DCGを用いて、リアルな立体表現による身体描写と鳥山明のデフォルメの効いたキャラデザインを違和感なく共存させ、かつリアルな背景描写にもなじむキャラクター描写を実現しており、これらは作中のムービーシーンでも遺憾なく発揮されている。

参考

参考までに、DQ7発売直前の開発者インタビューの内容を載せておく。
↓『週刊ファミ通』2000年6月9日号から引用

『ドラクエ』シリーズとムービーの微妙な関係
──堀井さんのムービーに対する考えはどうなんでしょう。
堀井 最初、すごいモメたんだよね。ムービーを使うとすれば、当然その中に人が出てくるじゃないですか。
じゃあ『ドラクエ』のムービーでは人をどう表現すればいいのか。鳥山明さんのキャラ原画があって、画面上の2頭身キャラがあって、ではムービーの中の人はどういうイメージだろうと。
変に描いちゃったらイメージ壊しちゃうしな、って。
眞島 あと結構大きい問題だったのが、そのムービーの中の人物がしゃべるかどうか。
堀井 だから、そんなに多くないですよ、ムービーは。ムービーじゃなくても十分見られるクオリティーの画面ですしね。
山名 ムービーを使おう使おうという意識じゃないですからね。
なんか、『ドラクエ』にムービーっていうと、ものすごい言われかたするんだけど、何でかなあ(笑)。ムービーを入れてしまったら、それこそ『ドラクエ』が『ドラクエ』じゃなくなってしまうくらいの勢いですからね。
エニックスに来ているはがきにもムービー使わないでほしい、ポリゴンはやめてほしいという意見が多かったですね。

3DS版以降

通常の画面で動いている3Dポリゴンのキャラがそのまま自動で動く、いわゆるリアルタイムレンダリングムービーで済ませているため、恐怖のムービーは無事廃止された。
時代の流れでグラフィックが進化し、以前ではプリレンダムービーでなければ表現できなかったアクションも、ゲーム中のポリゴンキャラをそのまま動かすという新しい表現が可能になっている。
まあ、その時代の流れできちんとした美麗なムービーに作り直すことも出来たはずなので、それはそれで見てみたかった気もするが……。

シアトリズム

EMSの【凱旋そしてエピローグ】にしっかりこれが含まれている。
冒頭の魚の水揚げシーンも含め、過渡期のCGであったことを実感させる。