【MP】

Last-modified: 2024-04-15 (月) 00:28:47

概要

キャラクターの能力値の一つ。シリーズ初期より【呪文】を使用する時に消費する数値だが、DQ6以降は【とくぎ】でも消費する。
そのキャラの持ちうるMPの最大値を【さいだいMP】という。単にMPという場合には「最大MP」と「現在MP」のどちらの意味かは文脈による。「○○はMPが高い」などという場合は最大MPを、「MPが残り少ない」などという場合は現在MPを指す。
 
呪文・特技には1種類ずつ消費MPが設定されており、使用するとそのキャラの現在のMPが消費MPの分だけ差し引かれる。現在MPが消費MPより少ないと「MPが たりない!」と表示され、その技を使うことが使えない。
消費MPが多い技ほど強力であることが多く、例えばDQ3の【イオ】は消費MP5、【イオラ】は9、【イオナズン】は18となっている。

呼称・読み方について

魔力と呼ばれることもあるが、DQ9以降は別のパラメータ(【こうげき魔力】【かいふく魔力】)のことを指すので注意。
リメイク版DQ3の【ノアニール西の洞窟】に登場する【神父】【回復の泉】を「体力や気力を回復する泉」と呼んでいるため、気力(精神力)を指している可能性もある。
 
DQシリーズにおいてはMPとはMagic Power(マジック・パワー)の略称であるが、実際にはそのまま「エムピー」と読むことが多い。セリフに声優の声が付いているソードでは「エムピー」と読まれている。
【HP】が「ヒット・ポイント」であることに加え、後述のように英語圏発祥の『ウィザードリィ』やファイナルファンタジーシリーズでは「マジック・ポイント」なのでマジックポイントと読まれることも多いが、ドラクエでは先述の通り「マジック・パワー」である。
これはDQ9で【サンディ】も指摘しているとおりドラクエ作品におけるこだわりの1つのはずなのだが、実は英語版だと「MPはマジックポイントの略」と言っている。英語圏ではMPはMana-PointかMagic-Pointの略であることが主流であり、Magic Power(和製英語)ではニュアンスが伝わりづらいという判断だろうか。
 
世に多数あるRPGにおいて「魔法や技を出すための数値」の呼称は多岐に渡り、ドラクエを含めたMPの他、AP(アクションポイント)、PP(パワーポイント、サイコポイント)、TP(テクニカルポイント)、和風RPGの場合は「技」「法力(ほうりき)」などがある。
「MP」を採用している作品は複数あるが、その意味するところも細かく異なっており、「マジックパワー」はほぼドラクエ特有の読み方だが、FF4でもマジックパワーと読まれる。他のFF作品では一部を除いて「マジックポイント」である。『クロノ・トリガー』では「マインドポイント」、スターオーシャンシリーズは「メンタルポイント」と読む。
魔法が存在しない世界では、技を出すための数値として「マジック」という言葉を用いるはずがないし、魔法が存在する世界でも「マジック」という言葉では魔法以外の技を出すための数値としてはやや不自然なのが原因と思われる。
今のドラクエはマジックパワーを消費して特技を使うという意味ではこの理屈に違反しているのだが、初期の作品では、呪文はMPを消費する一方で特技はMPは消費しないものだと強く区別されていた。
マジックパワーの命名の意図は間違い無く理屈通りのステータス値で、MP消費の特技はシリーズを重ねてバランス調整が必要になって生まれてきた、あくまでも単なる例外なのだ。
 
実は特にSFC末期以降に誕生した後発RPGではMPをマジックポイント/マジックパワーと読ませる例は非常に少なく、そもそもMPというパラメーターがなくPPやTPなどに置き換わっている例の方が多いほど。
一方で特にSFC初期以前から存在したRPGでMP以外の魔法関係のパラメーターが定義されている例も非常に少ない。
これはドラクエもそうだが初期のRPGでは特技(特殊攻撃)というものがモンスター専用とされる場合がほとんどであり、味方が使える通常攻撃以外の手段がほぼ呪文/魔法に限られていたことが大きな原因の1つといえる。
 
漫画作品ではMPを始めとしたステータスが表示されることも少なく、セリフでも略さず「マジックパワー」と呼ぶことが多いので上記のような誤解は生まれにくくなっている。

本編

味方キャラクター

HP同様、ステータス表示欄に各キャラの現在のMPが表示される。DQ3~DQ7の時代では「M」と略されている。ただし作品によってはターン中はMPの表示が行われないこともある。
DQ9以降はHPとともにゲージが表示されるようになった。

最大MP

最大MPは【レベル】アップや【ふしぎなきのみ】で上昇していく。
基本的に魔法を使うキャラクターほど最大MPが伸びやすく、魔法を使わないキャラクターほど伸びにくい。
DQ3のみ【かしこさ】と深く関係しており、FC版ではレベルアップ時の賢さの上昇量の約2倍が最大MPの上昇量となり、リメイク版では賢さの約2倍が最大MPとなる。
DQ4はステータスの項目はDQ3と同じであるため勘違いしやすいが、DQ4のキャラのMPの多さは、賢さの高さとは直接関係しない。
DQ6、DQ7、DQ9の各PC【主人公(DQ10)】【職業】によって変動し、【魔法使い】【僧侶】はもちろん最大MPが高い。
DQ8以降では一部のスキルでも最大MPが上昇するほか、同じくDQ8以降では【ソーサリーリング】などを装備することで一時的に最大MPを増やすことができる。
ただし、どれだけ不思議な木の実を使ってもMPの最大値は999より多くなることはない。
 
DQ5以前の作品には呪文やMP消費特技を覚えないプレイヤーキャラクターも多く、それらはMPを必要としないため最大MPが0から増えることはない。その最初の例が【ローレシアの王子】で、歴代主人公の中で唯一のMP0のキャラでもある。
DQ3では呪文を覚えない職業は0から増えないが、呪文を覚える職業に【転職】した後は増えていくようになる。逆に呪文を覚える職業から覚えない職業に転職すると最大MPは転職前の1/2のまま増えなくなる。
DQ4では【ライアン】【アリーナ】【トルネコ】、DQ5では【ピピン】と肉体派の【仲間モンスター】が終始MP0のキャラに該当する。ただしDQ5では最大MPが0のキャラに不思議な木の実を使うとレベルアップの度に最大MPが伸びて行くようになる。【ミナデイン】を唱える際に役立つ以外にはほとんど意味のないことであるが。
DQ6とDQ7では2代目転職システムの採用によりあらゆるキャラがMPを消費する可能性が発生し、さらにDQ8以降の作品では物理系でもMPを消費する特技が増えていったため、最大MPが伸びにくいキャラはいても、最大MPが0のままのキャラは転職解禁前に離脱する【キーファ】で今のところ最後となっている。
 
他にも全体的な傾向として男性キャラより女性キャラの方が「力が低い代わりに魔法に長ける」と言う設定を持ち、MPが多いことが多い。
【キャラクターメイキング】【性別】を選べる作品では、選んだ性別によってそのような差が発生することはないが、DQ2以降、最初から設定を持つ仲間キャラクターにおいては多くがその傾向に従っている。例外と言えるのがDQ4のアリーナ、DQ7の【アイラ】、DQ11の【マルティナ】である。

MPの消費

ほとんどの呪文はMPを消費する。MPが足りない場合は、コマンドでその技を選択した時点で「MPが たりない!」と表示される。
例外として【マホトラ】とDQ3の【アバカム】、DQ9・DQ11での【ルーラ】、DQ11の【リレミト】は消費MP0である。
一時期、呪文の消費MPは減少傾向にあったが、DQ9以降は上級の攻撃・回復呪文を中心に膨大なMPを消費するものが増えている。
一方、DQ5では非呪文の特技はMP不要であり、DQ6・DQ7では一部のみMPを消費する特技が登場。DQ8以降(リメイク版DQ7含む)はかなり多くの特技がMPを消費するようになっている。
また、【りりょくのつえ】【えいゆうの杖】の通常攻撃でも消費する。
 
【ふしぎなぼうし】職業・スキルによる効果によって消費MPを通常より抑えることもできる。
DQ4以降では【作戦】にもMPの消費を抑えるための【じゅもんせつやく】、MPの消費を禁止する【じゅもんつかうな】(後の【MPつかうな】)が登場した。
一方DQ10オフラインでは【消費MPがすべて2倍】というしばりプレイを設定できる。
 
敵の特殊攻撃にも【ふしぎなおどり】などMPを減らしてしまう(MPダメージを与える)ものがある。ターン最初にMPを消費する技を命令していて、その後そのキャラが行動する前にMPを減らされて現在値が消費MPを下回った場合は、行動時に「MPが たりない!」と表示されて不発に終わる。
 
シリーズを通じてMPを消費してHPを回復する【ホイミ】系の呪文が物語の序盤から登場するため、MPさえ保てれば【全滅】は考えづらくなっている。DQ1ではラダトーム城にMPのみ回復するNPCが存在することからも分かるように、MPの枯渇が主な原因となって拠点へ帰還する動機になっていた。これはウィザードリィシリーズの影響が考えられる(同作の宿屋は料金を支払った分だけHPが回復するシステムなので、MP回復だけが目的なら金を払わずに泊まることもできる)。
DQ5までは道中でHPを回復する場合、呪文以外の手段はほぼ消耗品に限られる。また後述の通りMPを回復するアイテムも存在したが入手の難しいものが多く、HPを回復するためのMPがある程度消費されることによってダンジョンなどから引き返す目安となっていた。
DQ6からは消耗品でないHP回復道具が比較的序盤から手に入り、また特技によってHPの回復にMPを消費しないものが登場し、MP残量が帰還の目安にはなりにくくなった。後に特技でもMPを消費するようになったりしたが、レベルデザインの変化やMPを回復するアイテムの入手が簡易になったことにより、やはりMPを引き返す基準として考えることは難しくなっている。

MPの回復

HPと同様、MPの現在値が上昇することを「MPが回復する」という。
基本的には【宿屋】または【タダ宿】に泊まることで現在のMPは最大MPの値まで回復する。他には特定のNPCと話す、【回復の泉】を利用することでも全快になる。
MP回復アイテムにはランダムで消耗する【いのりのゆびわ】、消耗品である【まほうのこびん】【まほうのせいすい】【けんじゃのせいすい】【エルフののみぐすり】、移動するごとにMPを回復できる【しあわせのぼうし】【めがみのゆびわ】などがある。
MPを回復する呪文や特技は【マホアゲル】【MPパサー】【せいしんとういつ】など。
【マホトラ】【ふしぎなボレロ】【マホキテ】などによる敵のMP吸収で回復することもできる。
 
しかし上記の各アイテムは非売品であることが多く、呪文・特技にしても回復量は限られており、MPの回復手段はHPに比べると大きく制限されている。このため遠出やダンジョンに挑む際にはいかに道中でのMPを節約するかが重要なポイントとなっている。
DQ1では回復手段が宿屋か【ラダトーム城の老人】しか無く、DQ2からはいのりのゆびわが登場したが非売品のうえにランダムで消失するため頼りすぎるわけにもいかず、状況はほとんど変わらない。
DQ4からはまほうのせいすいやしあわせのぼうしが登場し、スタンバイシステム導入や、回復ポイントを備えたダンジョンが増えたりもしたことで、状況にもよるが若干緩和された。
DQ9以降では杖やスティックを装備していると物理攻撃した際やターン経過でMPを回復できるようになるなどMP回復の機会が増加。また3DS版DQ8やDQ11、DQ10オフラインではレベルアップ時に最大値まで回復するようになった。さらにDQ11では【ボス級モンスター】の手前でMP回復アイテムをまとめて入手でき、これらのことから通常の攻略でMP不足に悩まされる心配がかなり少なくなってきている。

敵モンスター

DQ3以降、敵にもMPが設定された。
FC版のDQ1とDQ2では敵側にMPの設定が無く、いくら呪文を使ってもMPが足りない状態にはならない。
リメイク版ではDQ3以降と同様に最大MPが設定されており、このようなことはなくなっている。
敵のMPは、0の場合・有限の場合・無限の場合の3つがある。
 
【スライム】【ドラキー】などのMPを使用する攻撃を持たない(特に序盤に多い)敵は、基本的に最大MPは0となっている。
こういったMP0の敵のほとんどは【マホトーン】【マホトラ】に完全または最高の【耐性】を持っている。
呪文を使う敵にマホトーンなどが効かない場合もあるので注意しよう。
DQ11ではMPを消費する行動を行わない敵を含むほぼ全ての敵にMPが設定されているが、【マシン系】の敵の多くはMPを持っていないという特徴がある。
 
呪文などでMPを使うモンスターのほとんどは、自身の持つ呪文を数発放てるくらいの最大MPが設定されている。
例えば、DQ4の【みならいあくま】はMP消費2の【メラ】を唱えるが、最大MPも2なので1回しか使えない。
同じくDQ4の【かまいたち】はMP消費2のバギを唱え、最大MPは4なので2回まで唱えることができる。
こういった敵に対してはひたすら【ぼうぎょ】してダメージを減らし、MP切れを狙うのも手だ。
なお、「使用呪文が1種類しかないのに、MPがその呪文の消費MPの倍数になっていない」ケースは結構多く、その場合中途半端にMPが残って弾切れとなる。
なぜ中途半端な数値になっているのかは不明だが、マホトラやふしぎなおどりに対する耐性として設定されているのかもしれない。
 
【ホイミスライム】【はぐれメタル】など一部のザコ敵とほとんどのボス敵はMPを無限に持っている。
こうした敵のほとんどは最大MP255と設定されているが、敵のMPが255の場合【数値無限化設定】がなされ、MPが減らなくなる。
【パルプンテ】でMP切れを起こしても普通に使用する。
一部の攻略本では内部データがそのまま載っていて、例えばホイミスライムのMPが255と表記されているが、実際のゲームではこれらの敵もMPは無限なので気を付けよう。
 
自身の覚えている呪文(特技)の消費MPが現在MPよりも高い場合、その行動は【判断力】によって以下の3種に分かれる。

  • 判断力0(低い):MPが足りなくても気にせず呪文を唱え続ける。
  • 判断力1(普通):MPが足りずに不発になると、以降その呪文は使わない。
  • 判断力2(高い):MPが足りない場合はその呪文を使わない。

【ベビーサタン】【プチプリースト】らが呪文を唱えることに失敗するのは、最大MPがイオナズンや【ベホマズン】より下に設定されているのに判断力が0のためである。
なお、敵側の初期MPはHPとは違って最大MPで出現するのが基本であるが、DQ5の【ひとくいばこ】のように初期MPが最大MPより低い状態で出現するパターンもごく稀に存在する。

DQ10オンライン

こちらを参照。

モンスターズシリーズ

おおむね本編と同じだが、DQMシリーズではほぼ全ての特技が呪文と同様にMPを消費するため、本編以上にその重要度は高い。
MP回復アイテムが店で売られていたり、よく【フィールド】に落ちていたりと入手しやすくなっている。また、DQM1・2では敵の出る場所を歩くと数歩毎にMPが回復する。
 
キャラバンハートまでの最大値は他のステータス同様999。
ジョーカー以降はモンスターの種類によって異なる上限が設けられている。
ジョーカー1でのMP最大値は999だが、ジョーカー2/2プロは1200が最高となり、テリワン3D、イルルカで9999が上限に変更された。
 
近年の作品ではしばしば対戦のバランス調整のために、強力なモンスターや特技はMPが切れやすく設定されることが多い。
【しょうひMP×2】の特性や、テリワン3Dの【空裂斬】の凄まじい消費MPなどが代表的。

ジョーカー1~3

本シリーズの問題点の1つとして、「消費MPが戦闘中の命令をする際にしか表示・確認できない」という欠点がある。
フィールド上で使える特技のみ確認可能だがそれ以外はモンスターのステータスやライブラリ等どこを見ても確認できないのだ。
モンスターズの仕様としてただでさえMPのやりくりに苦労するのに、「あと何回特技を使えるのか」などといった重要な要素が戦闘中でしか見られないのは困る。
特に【AI】のみの対戦では全く確認できない。

ヒーローズシリーズ

本シリーズではMPが自動で少しずつ回復していくが、一部の【アクセサリー】を装備すると回復しなくなったり【会心の一撃】を出すとMPが回復するようになるなど、他のシリーズからすれば独特な仕様がある。
ヒーローズ2では内部にいる人間のMPが0になる牢屋が登場した。すごい技術だ!

ライバルズ

他のカードゲームでいうマナやPPの役割を果たす。
カードを使う際は、左上に書かれたコスト分のMPを消費してプレイする。
プレイヤーはMP0から始まり上限は10。これは自分のターンが回ってきた時に自動的に1増える。
MPは毎ターン開始時に最大値まで回復し、使い残しを保持することはできない。
一部カードを使えば現MPの回復や最大MPの増加が可能で、これは職業の一つである魔剣士に多い。

小説版DQ2・3

呪文を唱えると「体力を消耗する」と表現されている。
肉体が傷付くことが「HPの減少」、傷付かずに疲れることが「MPの減少」と差別化されているといえる。

ドラゴンクエスト4コママンガ劇場

【柴田亜美】の作品で、DQ3の勇者が【戦士】に「ムチムチプリンプリンという意味らしいぞ」と嘘を教えるというものが存在した(6巻P14)。

ダイの大冒険

単行本のステータス表記でさいだいMPが登場しているが、キャラクターの台詞では魔法力という言葉になっている。
魔法の聖水も魔法力を回復する効果があると言われており、MPと意味は同じではある。
 
本作では、魔法力の残量が呪文の効果に影響するらしく、長時間【光魔の杖】を使用したあとの【バーン】は杖自体の【攻撃力】が減衰した他、【カイザーフェニックス】の威力が弱まるなどの描写が見られた。

ロトの紋章

【タルキン】【アリアハン】での戦いにてMPを枯渇した際、【バギ】を唱えても発動しなかったことに驚いている。
どうも自分の残りMPを感覚で把握することは難しいようだ。
ちなみに、ゲーム本編では自分のMPの枯渇を理解できずに「MPがたりない!」となるのは【判断力】1以下のモンスターか【遊び人】だけである。
通常はターン開始時にMPが足りていなければ呪文行動を選択することすらできない(ターン中にMP不足になった場合はこの限りではないが)。
追い詰められたシリアスな場面であり絶体絶命を演出するための描写ではあったが、このお爺ちゃんはマホトーン状態のまま【ザキ】を連発した前科もあるのがなんとも…。
 
また、タルキンに続いてMP切れに気づいたアルスが「MPが切れた……!」と呟くが、「マジックパワー」と読み仮名が降られている。

スマブラSP

【勇者(スマッシュブラザーズ)】が必殺技を使うのに消費する。最大値は100で、時間経過や攻撃を当てることで回復する。