Eliteシリーズを振返る

Last-modified: 2016-03-26 (土) 02:50:46

Eliteとはどういうゲームなのか?どういう経過で今に至っているのか?
シリーズ化されたこのゲームの歴史を振り返ることでその概要を簡潔に説明しているコメントが公式フォーラムにありましたので翻訳&意訳しました。原文のコメントタイトルは"A Brief History and Guide to the Previous Elite Games"です。

 
  • Eliteの誕生

     Eliteの歴史はかれこれ30年以上前に遡る。ここではどのような経緯で現在に至ったのか、そして現在のEliteの宇宙世界がどれだけ彩り豊かに描かれているかをみていこう。

     Eliteのオリジナル世界は1984年にDavid BrabenとIan Bellによって描かれた。当時はパックマン世代であり、二次元空間のゲームで、プレイヤーは3回死ぬとゲーム―オーバー、プレイ時間はせいぜい10分程度が当たり前の時代だったから、彼等が創り出したゲームの世界は当時画期的だった。プレイヤーはCobra Mk III型という宇宙船に搭乗する勇敢なパイロット"Commander Jameson"として宇宙を舞台に活躍するという筋書きだった。レイヴ(Lave)星系内のとある惑星の軌道上の宇宙ステーションをスタート地点として、計2,000の星系世界を舞台に貿易(Trade)や探検(Explore)を繰り広げるというゲームだった。その世界とどう関わり合うかはプレイヤーの自由であり、正義の味方として海賊を相手に戦っても、悪漢として警察を相手に戦っても、またあるときには人類の守る先鋒としてサーゴイド(Thargoids)と呼ばれる昆虫型宇宙人と戦ってもよかった。ファンがリメイクした"Oolite"は最新のハードウェアでこのゲーム世界を堪能できる最良の方法だ。

     オリジナル版をベースにした小説も出版された。小説によってゲーム内の世界はより活き活きと描かれ、プレイヤーはコンピューターゲームの中で再現されるよりもさらに緻密で深みのある世界をイメージすることができた。Ian Bellのウェブサイトに掲載されている"Elite:The Dark" Wheelを読んでみるといい。

 
  • Frontier-Elite 2

     1993年、David BrabenがFrontier: Elite 2(FE2)をリリースした。Eliteはすでにゲーム業界に変革をもたらしていた。9年前に比類のないリアリズムを提供したこのゲームの後継作として当時と同じような反響を得るためには、根本的な部分から仕切り直す必要があった。FE2の世界は天の川銀河に舞台を大きく広げ(おそらく当時のあらゆるSFゲームに比べて最も正確に再現されていた)、連邦(Federation)と帝国(Empire)という二大星間国家が冷戦状態にあるという筋書きが導入された。宇宙船のフライトモデルもより本物らしく改良されたため、当初はその操作に戸惑うプレイヤーも多かった。でもそこはEliteファン、彼等は独自にFE2戦闘チュートリアルを作成したのだ。FE2はシェアウェアとしてダウンロード可能になっておりDOSBox上で楽しむことができる。

     FE2では、前作の”The Dark Wheel”ほどではないにしろ、舞台となる銀河系世界の歴史や背景を解説した”gazetteer of selected worlds” や銀河系宇宙で繰り広げられる様々なドラマをストーリー化した"Stories of Life on the Frontier"など新機軸の要素が盛り込まれた。今後リリースされるElite:Dangerousで公式に採用されるストーリーもおよそこれらをベースに進められるはずだ。

 
  • Frontier-First Encounters

     1994年にBrabenはFrontier Developmentsを設立、1995年に新たな続編であるFrontier: First Encounters (FFE)をリリースした。本篇では第三の巨大勢力として”同盟(the Alliance)”が登場し、銀河系で起こる様々な出来事をニュース形式で伝えるニュース配信システムや、その中で語られている各種イベントに直接参加してゲームの成行きを変えることができるミッション・システムが導入された。FFEもシェアウェアとしてダウンロード可能になっておりDOSBox上で楽しむことができるが、FFEはリリースを急いだせいもあって公開以来ずっとバグに悩まされ続けた。Eliteファンは何とかバグを解消し、ゲーム機能も刷新しようと数年に亘って試行錯誤を繰り広げたという経緯がある。最新版はFFE-D3DのAndyJ's Modだ。

     FFEではこのゲーム独自の世界観に基づくストーリーが新たに作られた。"Further Stories of Life on the Frontier" を読むといい。これらのストーリーはEliteシリーズがこれまで描いてきた銀河系宇宙の世界に新たな背景描写を盛り込んだ。

 
  • Elite:受難の時代

     1995年以降は、法的問題や資金調達問題のためEliteの世界は冬眠状態を余儀なくされた。ただしファン・コミュニティによる活動は途絶えることなく続けられた。ユーザー主導のアップデートやリメイクだけに終わらず、Eliteの世界観に触発されたファンによる様々な創作活動が繰り広げられた。たとえばDrew Wagar氏による四編小説"Oolite saga" やChris Jarvis氏によるオーディオ・ドラマ"Escape Velocity"などがその最たる例だろう。両氏は共にElite: Dangerousの公式ライターとして創作活動を続けており、様々な著作が出版されている。

 
  • Elite Dangerous:新たな展開へ

     Frontierは最新のゲーム環境によって再現される彩豊かな銀河系世界の描写と、オリジナルのEliteが本来持っていた楽しみ、そして新たな資金調達システムであるクラウドファンディング・モデルを組み合わせ、オープンに行うデザイン・ディスカッション、公式の創作活動、フォーラムにおける対話を通じてファンとの率直なやり取りを今後も維持したいと考えている。

     いきなりゲームスタートしてドンパチやる楽しみ方もある。簡単といえば簡単だけどね。でもEliteには素晴らしいバック・ストーリ―がある。その物語を堪能してもらいたい。きっと君達の楽しみ方にさらなる奥行きを与えるはずだ。