Aパート
シゲル:目標内部に、高エネルギー反応!
ミサト:なんですって!?
シゲル:円周部を加速!収束していきます!
リツコ:まさか!
BGM:1-3
ミサト:だめ!よけて!
シンジ:え!?
シンジ:うわああああ!
ミサト:戻して!早く!
シゲル:目標、完黙!
ミサト:シンジ君は?
マコト:生きています!
マヤ:初号機回収、第7ケイジへ!
ミサト:ケイジへ行くわ。後よろしく!
マヤ:初号機、固定完了!
マコト:パイロット、脳波乱れています、心音微弱!
リツコ:生命維持システム最大、心臓マッサージを!
マコト:はい!
マコト:パルス確認!
リツコ:プラグの強制排除、急いで!
リツコ:L.C.L.緊急排水!
マヤ:はい!
ミサト:いいから、ハッチを開けて!早く!
ミサト:シンジ君…!
BGM停止
ミサト:…
シゲル:敵、荷粒子砲命中、ダミー蒸発!
ミサト:次!
シゲル:12式自走臼砲消滅!
ミサト:…なるほどね。
BGM:2-12
職員:これまで採取したデータによりますと、目標は一定距離内の外敵を自動排除するもの、と推測されます。
マコト:エリア侵入と同時に荷粒子砲で100%狙い撃ち、EVAによる近接戦闘は、危険過ぎますね。
ミサト:A.T.フィールドはどう?
職員:健在です。相転移空間を肉眼で確認できるほど、強力なものが展開されています。
マコト:誘導火砲、爆撃などの生半可な攻撃では、泣きを見るだけですね、こりゃあ。
ミサト:攻守ともにほぼパーペキ…まさに空中要塞ね。で、問題のシールドは?
職員:現在目標はわれわれの直上、第3新東京市ゼロエリアに侵攻、直径17.5mの巨大シールドがジオフロント内、NERV本部に向かい穿孔中です。
マコト:敵はここ、NERV本部へ直接、攻撃を仕掛けるつもりですね。
ミサト:しゃらくさい!で、到達予想時刻は?
職員:あ、明朝午前0時06分54秒、その時刻には22層全ての装甲防御を貫通して、NERV本部へ到達するもの、と思われます。
ミサト:(後10時間足らずか…)
シゲル:敵シールド、第一装甲版に接触!
ミサト:で、こちらの初号機の状況は?
リツコ:胸部第3装甲板まで見事に融解。機能中枢をやられなかったのは、不幸中の幸いだわ。
マヤ:後3秒照射されていたら、アウトでしたけど…
ケイジ作業員:3時間後には換装作業、終了予定です。
ミサト:了解。零号機は?
マヤ:再起動自体に問題はありませんが、フィードバックにまだ誤差が残っています。
リツコ:実戦は…
ミサト:まだ無理か…
ミサト:初号機専属パイロットの容体は?
マコト:身体に異常はありません。神経パルスが0.8上昇していますが、許容範囲内です。
シゲル:敵シールド到達まで、後9時間55分!
ミサト:状況は芳しくないわね。
マコト:白旗でも揚げますか?
ミサト:その前に、ちょっち、やってみたいことがあるの。
BGM停止
冬月:目標のレンジ外、超長距離からの直接射撃かね?
ミサト:そうです。目標のA.T.フィールドを中和せず、高エネルギー収束帯による一点突破しか方法はありません。
冬月:MAGIはどう言ってる?
ミサト:スーパーコンピューターMAGIによる回答は、賛成2、条件付き賛成が1でした。
冬月:勝算は8.7%か。
ミサト:最も高い数値です。
ゲンドウ:反対する理由は無い。やりたまえ、葛城一尉
ミサト:はい。
リツコ:しかし、また無茶な作戦を立てたものね、葛城作戦部長さん?
ミサト:無茶とはまた失礼ね。残り9時間以内で実現可能、おまけにもっとも確実なものよ。
リツコ:これがねぇ…
リツコ:うちのポジトロンライフルじゃ、そんな大出力に耐えられないわよ。どうすんの?
ミサト:決まってるでしょ、借りるのよ。
リツコ:借りるって、まさか…
ミサト:そ。戦自研のプロトタイプ。
ミサト:以上の理由により、この自走陽電子砲は、本日15時より、特務機関NERVが徴発いたします。
戦自の人:かと言って、しかし、そんな無茶な…
ミサト:可能な限り、原形をとどめて返却するよう、努めますので。では、ご協力、感謝いたします。
ミサト:いーわよ、レイ!持ってってー!精密機械だから、そーっとねー!
マコト:しかし、A.T.フィールドをも貫くエネルギー算出量は、最低1億8千万kw、それだけの大電力を、どこから集めてくるんですか?
ミサト:決まってるじゃない、日本中よ。
TV(鈴原邸内):番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えいたします。
TV(洞木邸内):本日、午後11時30分より
TV(街頭):明日未明にかけて、全国で大規模な
ヘリコプター:停電があります。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
放送:繰り返しお伝えいたします。本日午後11時30分より、
宣伝カー:明日未明にかけて、全国で大規模な
放送:停電があります。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
BGM:2-12
オペレータ:敵シールド、第7装甲版を突破。
ミサト:エネルギーシステムの見通しは?
オペレータ:現在予定より3.2%遅れていますが、本日23時10分には、何とかできます。
ミサト:ポジトロンライフルはどう?
作業員:技術開発部第三課の意地にかけても、後3時間で形にして見せますよ!
ミサト:防御手段は?
リツコ:それはもう、盾で防ぐしかないわね。
マヤ:これが…盾ですか?
リツコ:そう、SSTOのお下がり。見た目はひどくとも、もともと底部は超電磁コーティングされている機種だし、あの砲撃にも17秒はもつわ。二課の保証書付きよ。
ミサト:結構。狙撃地点は?
マコト:目標との距離、地形、手頃な変電設備も考えると、やはりここです。
ミサト:フーン、確かにいけるわね…
ミサト:狙撃地点は二子山山頂。作戦開始時刻は明朝0時、以後、本作戦を、ヤシマ作戦と呼称します!
マコト:了解!
BGM停止
ミサト:(後は、パイロットの問題ね…)
職員:初号機パイロットの意識が戻ったそうです。検査数値に問題なし。
ミサト:そう。では作戦は予定どおりに。
職員:了解。
リツコ:でも、彼、もう一度乗るかしら?
ミサト:二子山決戦、急いで!
シンジ:ん?あぁ…?綾波…?
レイ:明日、午前0時より発動される、ヤシマ作戦のスケジュールを伝えます。
レイ:碇・綾波の両パイロットは、本日17:30(イチナナサンマル)、ケイジに集合。
レイ:18:00(イチハチマルマル)、初号機および零号機起動。
レイ:18:05(イチハチマルゴー)、発進。
レイ:同30(サンマル)、二子山仮設基地到着。
レイ:以降は別命あるまで待機。
レイ:明朝日付変更と同時に作戦行動開始。
レイ:これ、新しいの。
レイ:寝ぼけて、その格好で来ないでね。
シンジ:ん?…わっ!…ごめん…
BGM:1-5
シンジ:…昨日から、謝ってばかりいる…
レイ:食事。
シンジ:何も、食べたくない。
レイ:60分後に、出発よ。
シンジ:また、あれに乗らなきゃならないのかな…?
レイ:ええ、そうよ。
シンジ:僕は…嫌だ。綾波はまだあれに乗って、恐い目にあったことが無いからそんなことが言えるんだ!もうあんな思い、したくない…
レイ:じゃ、寝てたら?
シンジ:寝てたらって…?
レイ:初号機には私が乗る。赤城博士が初号機のパーソナルデータの書き換えの用意しているわ。
シンジ:リツコさんが?
レイ:じゃ、葛城一尉と赤城博士がケイジで待っているから。
レイ:さよなら。
BGM停止
シンジ:…
Bパート
トウジ:えらい遅いなぁ~。もう避難せなあかん時間やで。
ケンスケ:パパのデータをちょろまかして見たんだ。この時間に間違いないよ。
トウジ:せやけど、出てけえへんなぁ。
ケンスケ:ん?
男子生徒:おおっ?
トウジ:山が、動きよる!
ケンスケ:エヴァンゲリオンだ!
男子生徒:おおっ!
男子生徒:すっげーっ!
男子生徒:頑張れよー!
男子生徒:頼んだぞー!
男子生徒:頑張れー!
男子生徒:エヴァンゲリオ~ン!
男子生徒:おおーい!
男子生徒:気張っていけよー!
男子生徒:頑張れー!
男子生徒:頼むでー!
BGM:2-12
シゲル:敵シールド、第17装甲板を突破!本部到達まで、後3時間55分!
マコト:四国および九州エリアの通電完了。
オペレータ:各冷却システムは試運転に入ってください。
リツコ:精密機械だから、慎重にね。
シンジ:でも、こんな野戦向きじゃない兵器、役に立つんですか?
リツコ:仕方ないわよ、間に合わせなんだから。
シンジ:大丈夫ですよね。
リツコ:理論上はね。でも、銃身や加速器がもつかどうかは、撃ってみないと分からないわ。こんな大出力で試射したこと、一度も無いから。
ミサト:本作戦における、各担当を伝達します。
ミサト:シンジ君。
シンジ:はい。
ミサト:初号機で砲手を担当。
シンジ:はい。
ミサト:レイは零号機で防御を担当して。
レイ:はい。
リツコ:これは、シンジ君と初号機の方が、シンクロ率が高いからよ。今回はより精度の高いオペレーションが必要なの。
リツコ:陽電子は地球の自転、磁場、重力の影響を受け、直進しません。その誤差を修正するのを、忘れないでね。
リツコ:正確に、コア一点のみを貫くのよ。
シンジ:そんなこと、まだ練習してないですよ。
リツコ:大丈夫、あなたはテキストどおりにやって、最後に真ん中のマークがそろったらスイッチを押せばいいの。後は機械がやってくれるわ。
リツコ:それと、一度発射すると、冷却や再充填、ヒューズの交換などで、次に撃てるまで時間がかかるから。
シンジ:じゃあ、もし外れて敵が撃ち返してきたら…?
リツコ:今は余計なことを考えないで。一撃で撃破することだけを考えなさい。
シンジ:(大ピンチ、って事か…)
レイ:私は…私は初号機を護ればいいのね。
リツコ:そうよ。
レイ:分かりました。
ミサト:時間よ。2人とも着替えて。
シンジ・レイ:はい。
BGM停止
シンジ:これで死ぬかもしれないね…
レイ:どうしてそういうことを言うの?
レイ:あなたは死なないわ。
レイ:私が守るもの。
BGM:2-4
注)日本中の電気が消えていく。
BGM停止
シンジ:綾波はなぜこれに乗るの?
レイ:…絆だから。
シンジ:絆?
レイ:そう、絆。
シンジ:父さんとの?
レイ:みんなとの。
シンジ:強いんだな、綾波は。
レイ:私にはほかに何も無いもの。
シンジ:ほかに何も無いって…
レイ:時間よ。行きましょ。
レイ:じゃ、さようなら。
時報:ただいまより、0時0分0秒をお知らせします。
マコト:作戦、スタートです!
BGM:1-16
ミサト:シンジ君、日本中のエネルギー、あなたに預けるわ。
ミサト:頑張ってね!
シンジ:はいっ!
ミサト:第一次、接続開始!
マコト:第一から、第803(ハチマルサン)管区まで、送電開始!
オペレータ:電圧上昇中、加圧域へ!
マコト:全冷却システム、出力最大へ!
オペレータ:温度安定、問題なし!
オペレータ:陽電子流入、順調なり。
ミサト:第二次、接続!
オペレータ:全加速器、運転開始!
マヤ:強制収束器、作動!
オペレータ:全電力、二子山増設変電所へ!第三次接続、問題なし!
ミサト:最終安全装置、解除!
マコト:撃鉄起こせ!
オペレータ:地球自転、および、重力の誤差修正、+0.0009。電圧、発射点まで、後0.2。
マコト:第七次最終接続、全エネルギー、ポジトロンライフルへ!
マコト:8、7、6、5、
マヤ:目標に高エネルギー反応!
マコト:4、
リツコ:何ですって!
マコト:3、2、1!
ミサト:発射!
BGM停止
シンジ:ぐぅううううッ!
リツコ:きゃあっ!
ミサト:ミスった!
BGM:1-19後半
シゲル:敵シールド、ジオフロントへ侵入!
ミサト:第二射、急いで!
マコト:ヒューズ交換!再充填開始!
オペレータ:銃身、冷却開始。
マヤ:目標に再び高エネルギー反応!
ミサト:まずい!
シンジ:うゎ!
ミサト:シンジ君!
注)レイがシンジを盾で守る
シンジ:綾波!
リツコ:盾がもたない!
ミサト:まだなの!?
マコト:後10秒!
シンジ:早く…
シンジ:早く!
注)第2射発射 今度は成功
ミサト:いよっしゃあ!
BGM停止
シンジ:綾波ッ!
シンジ:うぅ……ぐぅぅぅ…うぅぅぅぅ…
注)シンジ、零号機のハッチをこじ開ける
シンジ:綾波!大丈夫か!綾波!
BGM:1-20
シンジ:自分には…自分にはほかに何も無いなんて、そんなこと言うなよ…
シンジ:別れ際にさよならなんて、悲しいこと言うなよ…
レイ:何泣いてるの?ごめんなさい、こういう時、どんな顔をすればいいのか分からないの…
シンジ:笑えばいいと思うよ…
注)レイはしばらくシンジを見つめ、やがて笑顔を見せる