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Backstory/Chronicles/Methods_of_Torture_The_Amarr

Last-modified: 2009-01-04 (日) 15:09:55

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Methods of Torture - The Amarr
拷問法 - Amarr

 

「目が覚めたようだね、Forte君。まことに結構。ああ、起き上がろうとはしない方がいい。その革紐には勝てないと思い知るだろうからね」皺だらけの老人は微笑み、眺めを楽しむために一歩下がった。Forteは金属の台に横たわり、その手が、足が、胴が、首が、革紐で縛られていた。この屋敷に侵入した時に着ていたままの服を身につけていたが、靴とベルトは外されていた。二人の男は、壁に掛けられた松明だけが照らす、暗く小さな小部屋にいた。

 

「私はVitor Draneraという者で」老人は言った。「君の到着を待っていたよ。もっと楽な姿勢にしてあげよう」老人は薄いリモコンを持ち上げ、ボタンを押した。台は空中に浮いたまま、その脚が低い唸りやカチカチ言う音とともに引き込まれた。もう一つのボタンを押すと、台は傾き始め、Forteの足側を下に向け、ほぼ垂直になって止まった。もう一度ボタンを押すと、台は透明になった。Forteの四肢に巻き付いている革紐だけは見えたままだった。

 

「凄いだろう?」Draneraは言った。「磁力と光、それだけだよ。君から眺めを奪うようなものはいらないからね」彼が歩を進めると、ホバーテーブルは静かに後に続いた。「完璧だ。今やこの台は自動的に私についてくるはずだ。正直言って、エンジニアたちが今度こそ上手くやってくれていたかどうか疑問だったのだがね。前回は少しばかり厄介なことになってね、特に『罪喰らい』に真っ直ぐ飛び込んで行った時なんかはね。掃除が大変だったよ」

 

「何だって?」Forteは言った。

 

「ああ、喋ったね!まことに結構」Draneraはにやりと笑った。「『罪喰らい (Sin Eater)』 だよ。この箱なんだがね−」

 

「何故…俺は何故ここにいる」Forteは言った。「ここはどこだ?」

 

Draneraは口を引き結んだ。「ミスター・Forte」彼は言った。「君に見せたいものがいくつかあってね、ごまかしは無しにしてくれると嬉しいのだけれどもね。君はGallenteの密偵だ。君は今年で5人目で、率直に言って、我々はこの進入沙汰に少しばかりうんざりしているのだよ。今から君にすることが、願わくば、君のような人々を我々の望まない場所へ絶え間なく立ち入らせるような、飽くなき知識欲を満たしてくれるとよいのだけれどね。というわけで!行こうか」彼はにこりと笑い、Forteを捕らえたホバーテーブルを後に従えながら、ゆっくりと部屋から歩み出た。

 

暗い回廊を通り過ぎ、金属の扉の前に出た。扉はシュッという音を立てて開き、青い、脈動する光が現れた。二人は洞窟のような部屋の、小さな張り出しの部分に立っていた。金属の橋が張り出しから延びて部屋全体を横切っており、両脇に極めて頑丈そうな金属の柵が取り付けられていた。色付きの投光器が天井に取り付けられ、そのぎらつく光が、橋のはるか下にある面に照り返されて、壁に奇妙で巨大な影を投げかけていた - 寄せては返す面に。

 

「堀か?」Forteは言った。その声は反響していた。

 

「いかにも。というより、湖だがね」Draneraは答えた。中ほどまで来ると、橋は少しばかり広くなり、金属のフェンスの代わりに透明な素材が使われ、眼下の湖が見えるようになっていた。Draneraはそこへ歩いて行き、ひざまずいて何かを拾い上げた。「ここは『聖なる水域』だよ」彼は言った。「何者も、この水を浴びることなしに上がってくることはできないと言われておる」彼はその物体を持ち上げ、Forteに見せた。切られた指であった。「個人的には、透明な水を抜けて上がってくるのは、簡単すぎる挑戦だと常々感じていたのだがね。見ていてくれたまえ」彼はフェンスに身を乗り出し、指を投げ落とした。それは長い間落ちていくように見えたが、それも巨大な触手が突然水から飛び出し、指に巻き付いてまた水中へ引っ込んでいくまでのことであった。

 

彼らは橋を渡り、静かに部屋を後にした。Draneraは始終にやにや笑いを浮かべたままであった。

 

次の部屋も同じように作られていた。大きな、柵付きの金属製の橋が、下方の広大な空間に渡してあった。しかし今回は、それは大地であり、深い森に覆われて木以外のものが見えないほどであり、天井に据え付けられたランプが、明るい黄色を投げかけていた。中ほどまで来ると、Draneraは再び立ち止まり、少し離れた天井からつり下げられている小さな檻を指さした。一人の男が中にいた。「君の仲間だ。確かね」Draneraは言った。「我々は彼から引き出せる全ての情報を手に入れた。だから彼はもう用無しだ」彼はリモコンをかかげ、ボタンを押した。ガチャリという音とともに檻の底が外れ、男は叫びながら、眼下の森へと落下していった。様々な場所からいくつもの咆哮が、そして大きな地響きの音が起き、いくつかの木々の頂が揺れ動いた。悲鳴は幾度も幾度も聞こえ、不運な囚人が恐怖と苦痛で肺を破裂させんばかりになるまで、大きく、生々しいものとなっていった。ついに叫び声は止み、湿った、バリバリ言う音が聞こえてきた。

 

「君が思っているより悪いものだよ」Draneraは、通り過ぎながらウインクして言った。「発情期なんだ」

 

 

二つ目の橋を渡り、反対側の入り口を抜けて二人が入った部屋は、有り難いことに他の生物はいなかった。そこにはただひとつの、しかし他の二つの部屋を合わせたよりも広い床があり、遊園地のびっくりハウスと、歯医者向けの小売店の中間のように見えた*1Draneraは小さく鼻歌を口ずさんでいたが、Forteの顔は青くなった。二人は巨大なガラスの檻いっぱいに詰め込まれた、柔らかな毛が生えた、何百ものピンクのテディベア-その目と口がグロテスクに大きい-の前を通り過ぎた。「ぼくら....君....ちゅき」それらは子供じみた声で抑揚をつけて合唱した。「きみ...ぼくら...ちゅき?ぼくら....君....ちゅき」何度も、何度も。

 

「気味が悪いね」Draneraは言った。「ここに詰めている従業員の子供たちにと思っていたんだが、欲しがらなくてね。そこで我々は、およそ偶然の賜物だが、彼らが侵入者に非常に効果的だということを発見したのだよ」彼は頭を振った。「あそこに一日かそこら放り込んでおけば、殺してくれと懇願してくるだろうね。ああ、これはもう少し品のあるやつだ」二人の目の前には、サルコファガス (大理石棺) があり、その両脇からは、先端がとても長い針になった金属の腕が生えていた。「これが君にさっき話した「罪喰らい」だよ。異教徒を中に入れて、封をし、針で浄化する。言うなれば、その罪を食らうわけだね」彼がボタンを押すと、金属の腕が動き始め、針を石棺の方へ向けて、ゆっくりと押し込んでいった。くぐもった悲鳴が聞こえた。

 

「『サルコファガス』という言葉の由来を知っておるかね?*2」Draneraは、針が深く差し込まれていく中で、何気ない様子で言った。「まあいずれにせよ、その角度からでは見えないけれどもね、これは酸素を注入するチューブに繋がっているのだよ。異教徒が超越を体験する前に窒息させたくはないからね」棺の中から、またくぐもった悲鳴が聞こえた。「行こうか。臭いが漏れてきたら、まあどうやってかはわからないが、いささか不快だからね」

 

二人は大広間の奥へと進み、様々な物の前を通り過ぎた。煮えたタールで一杯の大きな桶と、その脇に転がっている色々な大きさのじょうご (「じょうごは何に使うんだ?」「本当は知りたくないだろう」)、何千もの小さなチューブが横に繋がった透明な筒 (「圧縮空気だよ。君を少しずつ少しずつ、ぺらぺらになるまで押しつぶして、あとは見ての通り」

 

最後に二人は、暗い、開けた場所へやってきた。Draneraはリモコンをかかげ、二つのボタンを同時に押した。同時に全ての明かりが消え、二人の男を完全な闇の中へ投げ込んだ。

 

カチリという音がし、天井に取り付けられた投光器がひとつ灯り、二人の目の前の床へ光の円錐を投げおろした。その光は、それ自身があらゆる場所へ光を投げかけそうな、一つの奇妙な装置を照らし出していた。ガラスのような素材でできており、透明で、人の背丈ほどの高さがあり、5つ腕のあるヒトデのような形をしていた。それぞれの腕が光を反射して玉虫色に光り、その表面では生きたダイヤモンドがのたうち回っているように見えた。

 

「これが『聖なる星』だよ」Draneraは言ってそれに近づき、ホバーテーブルは後に続いて彼のすぐ近くまで来た。彼は手を伸ばし、片方の手のひらを腕につけて、それをForteの方へ差し出した。彼の手のひらは溝と、無数の小さな鉤爪が作ったような刻み目で覆われていた。「凄いだろう?」彼は言った。「力のないうちは、これがせいぜいだ。私は背中を掻くために、小さなレプリカを棒につけたやつを持ってさえいる」

 

「それで、力があれば?」Forteは尋ねた。

 

「よく訊いてくれた。少し下がろうか」かれは星から数歩離れ、叫んだ。「撃て!」

 

ギイギイ、キイキイという音がし、闇の中から小さな、毛皮で覆われた塊が飛び出した。それは「聖なる星」に、何か柔らかく湿った物が堅く容赦のないものに当たるような音とともにぶつかり、大の字に、パンケーキのように平べったくなってそこに張り付き、その後ろ姿が露わになった。

 

「あれは...furrier?」Forteは言った。

 

「いかにも。汚らわしい小さなけだものだ」Draneraは言った。「色々な実験で使っているのだよ」

 

Furrierは、深紅の軌跡を残して、ゆっくりと滑り落ち始めた。「さて、『星』が輝くのを見ようか」Draneraは言い、リモコンの前で空中にAmarrの印章である双弓を描いてから、ボタンを押した。星は、非常に緩やかに鳴動を始め、furrierの下降は止まった。歯の隙間から空気を吸い込んだような雑音が聞こえた。細い糸、赤い巻きひげが、まるで水に落としたインクのように、齧歯類から「聖なる星」のなかへゆっくりと染み込み始めた。

 

「Furrierを殺しているのか?」Forteは言った。

 

「というよりは」Draneraは手を振って言った「再教育と考えて欲しいね」

 

「Furrierを殺しているんだな」

 

「シッ、静かに。見たまえ」

 

巻きひげが星の中深くへ行くにつれ、furrierは明らかに衰え始めた。毛皮にはくぼみが現れ始め、いくつかの毛は抜けて床へ舞い落ちた。Forteが見つめるうちに、furrierの脚が星の中へ、入ると透明になる池の中への緩慢なダイビングのように、深く深く入り込んでいった。逆側に見えるのは、漂う赤い蜘蛛の糸のように手探りで進む、数を増した巻きひげだけだった。

 

最後に毛皮すら消えると、巻きひげは赤から白へ、そして茶色がかった灰色へと変わった。そしてfurrierは消えた。

 

「今まで見た中で一番気味が悪い」Forteは言った。

 

「ふむ、我々も最善を尽くしたのだがね」Doraneraは言った。「さて、残念ながら、我々の小旅行は終わりに近づいた。君の想像するとおり、我々は非常に忙しくてね。君に他の強烈な出逢いになると思う我々の成果を、もっと君に見せることができたらと思ったのだがね」彼はForteに笑いかけ、リモコンを向けてボタンを押した。垂直を保ったままのホバーテーブルは緩慢に浮遊し、Forteを「聖なる星」の直前、数歩手前まで運んだ。

 

「さようなら、ミスター・Forte」Draneraはいい、闇の中へ歩み去った。

 

カタツムリのようなのろさで、ホバーテーブルは「聖なる星」へ向けて進み始めた。

 

 

「よし。どこまで進んだかね」Draneraは、スクリーン上の画像を見つめながら言った。

 

「まだもがいています」制御盤の前に腰掛けた技術者は言った。「ホバーテーブルは既に1/3のところまで来ました」

 

Draneraは顔をしかめた。「自力で逃げる時間は充分以上にあると思ったのだが」

 

「できるでしょう。彼はもがいているだけで、あまりせっぱ詰まっているようにはみえません。まだ余裕があるのだと思います」

 

「よろしい」Draneraは言って、技術者の肩に手を置いた。「彼が死んでしまったら、次の『聖なる星』の担当が誰になるかは言うまでもないわけだからな」

 

「いえ」技術者は、正面のスクリーンに集中しながらいった。「彼は多分 - はい、うまくやると思います」

 

「モニターの中では、Forteが片手を自由にし、逆側の手の革紐にとりかかっていた。各モニターの両脇の壁の中に取り付けられたスピーカーからは、革紐が外れ落ちるとともに、小さなブンブン言う音が聞こえてきた。

 

「とらえたか?」Draneraは尋ねた。

 

「完璧です。通常光で8つの異なる角度から、さらに2つの赤外光とその他いくつかの特殊カメラでとらえました。彼のやり口が分かりました」

 

「素晴らしい。かの人々の逃亡にはうんざりしていたのだよ。前に『罪喰らい』から逃げ出された時は、収容所全体を閉鎖しなければいけなかったからね」

 

「全くですね」技術者は言った。二人は、Forteが、最後の脚の革紐を他の物と同様になんとか切り裂いて解放する作業をするのを見ていた。彼は少しの間くるぶしをさすり、そして走り出した。モニターの二つが、暗いホールの中へ逃げ込むForteを追って赤外に切り替わり、緑色になった。「記録を止めますか?」技術者は尋ねた。

 

「いや、続けたまえ」Doraneraは答えた。「新入社員向けのよい教材になるとよいな。果たしてどの罠が彼を-ああ、彼はきっと...うむ...そこを左に曲がるからね、だからあれを彼の-」

 

スピーカーからパチッという音が聞こえ、スクリーンは真っ白になった。映像が回復すると、一瞬前までForteがいた床の上には、小さな灰の塊が残るのみであった。

 

「残念。彼がもういくつかの罠をかいくぐってくれるのを期待したのだが」Draneraは言った。「まあ仕方ないな。誰か掃除夫を送ってくれたまえ」

 

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*2 訳註: sarcophagusは古代ギリシャで使われた大理石製の石棺で、ギリシャ語でsarx(肉+phagein(食べる)が語源。中に遺体を置くと、40日で歯を除く全身を喰らうと信じられていた。