小説における設定

Last-modified: 2015-11-02 (月) 00:56:47

アニメとは少し異なる設定についてのまとめ。
一部『冲方式ストーリー創作塾』及び『冲方丁のライトノベルの書き方講座』のプロットも含む。

 

各章副題

冲方サミット‏ @ubukata_summit

【蒼穹のファフナー四方山話】小説版ファフナーの各章タイトルはangelaによる最初期のファフナー・イメージソング『FLY ME TO THE SKY』の歌詞にちなんでいます。atsukoさんから「高価いですよ」と言われたとかないとか。冲方

プロローグ ノイズ

ラジオの声を聴く子供達

場所は「楠木公園」と呼ばれる子供達の遊び場。
ラジオは島の北側にあるゴミ集積所から拾って来たものらしい。
本文では明示されていないが、ラジオを修理したのはである。

一章 まだ見ぬ世界へ

戦闘区域

2つのヴェル・シールドに挟まれる事で形成される。
アニメでは、無印ではヴェル・シールドが破られた後に戦闘を展開する形式をとっていたが、『EXODUS』ではシールドによって「バトル・フィールド」が形成されている。

ファフナー

マークエルフ?の機体カラーは漆黒。
マークアイン?は灰色、マークドライ?は山吹色だが、マークフィアー?は青灰色で、一部アニメと機体カラーが異なる。
奇数番機は陸上での接近戦担当である模様。
また。マークドライは7名のパイロットが戦死しており、「黄色い棺桶」という異名で恐れられている。
衝撃吸収剤の成分が重層水銀である事も言及されている。

被同化状態

フェストゥムの同化可能領域までファフナーを踏みこませた状態の事。
この状態になる事で、ファフナーはフェストゥムと戦う事が可能となる。

マインブレード

作中での表記は「短剣型の列雷(マイン)」「列雷式の短剣」など。
上腕部の装甲内に収納。横に力を入れると簡単に折れるようになっており、刃が折れてから2秒後に爆発する。
刃は全部で12枚。一騎は0.2秒後に設定変更しており、以後最も愛用する武器とされている。
(なお、アニメで一騎がよく用いているのはルガーランスである)
アニメでは有効な武器ではないが、小説ではそれなりに効果があるようである。

総士の鏡像

総士が強く意識を向ける事で、パイロットが総士を赤い鏡像として認識する事が出来る。
パイロットの内部に共有意識が存在する事から、鏡像の総士は身体の内部の色=赤色をしている。
アニメでも総士の赤い鏡像が度々見られる。

喪失(ブランク)

コクピットの機能やジークフリード・システムからの誘導によって意識を喪失させ、眠った状態になる事。
この状態にある時は機体は自動操縦で動く。迅速な行動は出来ず、帰投時等に用いられる機能である模様。
アニメでは『EXODUS』にて搭載されている事が確認されている。

竜宮島における情報伝達媒体状況

本土とは以下の違いがあるとされている。

  • ラジオ:電波が届かない
  • テレビ:ローカル番組のみ
  • 新聞:4日遅れ
  • 雑誌:2週間遅れ

海野球

娯楽の少ない竜宮島において子供達が考え出した遊び。冬に行う場合「寒中」が頭につく。
「西坂」と「東坂」に分かれての勝負が島の名物になっているらしい。
一騎は西坂に所属している事になっており、運動神経の高さからチームの「秘密兵器」としてしばしば駆り出されているとの事。

史彦の店

アニメでは「器屋」だが、小説では「真壁食器店」となっている

真矢との付き合い

子供の頃は遠見家で晩御飯を御馳走になったり、千鶴弓子から料理を教えてもらったりしていた模様。
アニメでは第19話で弓子が一騎の料理の得意さに感心している描写があるが、一騎が遠見母娘から料理を教わっていたかは不明。

大人島

竜宮島の周囲にある群島(剛瑠島や慶樹島?)を指す。漁場や工場があるらしい。
本島には中学生以下の子供世代とその親世代しかおらず、中間世代は大人島で働いているとある。
アニメでも『RIGHT OF LEFT』にて、メモリージング覚醒者が「卒業」と称して島を離れるという慣習が存在している。

真矢と自転車と翔子

翔子が学校に行ける時は彼女を自転車に乗せて一緒に登校し、行けない時は始業ギリギリまで翔子と共にいて、その後真矢のみが急いで学校に向かう、とある。
アニメでも第1話で真矢が翔子の部屋で彼女と過ごした後、一人で自転車を押して学校に行く描写がある。

翔子の成績

体育を除いて全科目トップ。
アニメでは描写はなかったものの、DVD第8巻リーフレットにで言及されている。

「楽園」

洋風喫茶兼洋食店。一騎史彦に連れられてちょくちょくここを訪れ、そこで甲洋と仲良くなった。

ラジオの声を聞いた日

甲洋によると、「七年前の、三月三十一日の午後三時二十分頃」。
アニメでは9年前の出来事として設定されており(ただしドラマCDや無印本編では7年前であるとされている)、月日等の細かい時期は不明。

甲洋と養父母

甲洋が養父母から愛情を受けずに育ったエピソードの一つが語られている。

一騎への挑戦状

一騎が道場娘(咲良)を打ち負かした事を機に、男子達が一騎に勝負を挑むようになった。
挑戦日は主に土曜日の放課後、1日に8人以上は挑戦しない、賭け金の上限は二千円etc……といった暗黙のルールが決められていた模様。アニメでは剣司からの挑戦状・決闘が類似したものとして存在する。

甲洋へのラブレター

女子生徒からによるもの。無論、甲洋としては、彼女らの想いに応える事は出来ないが……。
一騎は甲洋に好きな人がいると真矢が断言していた事を知っている。
アニメではCDドラマ「NO WHERE」での真矢との電話にて、翔子が戦死し、甲洋が同化された後に初めて知る。

小説における総士

総士の分け隔てしない性格と、町長の息子という立場もあって、男女を問わずいつも大勢の取り巻きがいる。
町長(公蔵)の寄付により、竜宮島中学校は田舎町にしては近代的で施設も充実している。

クラス分け

一騎達の学年にはクラスが2つ存在している。一騎は、小学校でも中学校でも総士とは別のクラスだった。
アニメではクラス分けの設定が存在せず、教室の札には「三年生」とだけ書かれている。

一騎と総士の交友

かつて史彦公蔵が「同じ事業を行っていた」らしく、それが縁で親しくなった。
史彦は紅音の死後にその事業から遠ざかるも、公蔵と度々助言を求められていた。
その「事業」はおそらくアーカディアン・プロジェクトに関するものと思われるが、詳細は不明。

中枢情報管理(パノプテイコン)

肩の後ろ(男は右、女は左)に緊急時に個人の居場所を識別するためのチップ(?)が埋め込まれている。
アニメでも名称こそ出ないものの、身分証明のチップが身体に埋め込まれている事が言及されており、第2話で行方不明者に含まれていた真矢翔子の居場所が特定されている事から同様の機能があると思われる。

認識コード制限レベル

催眠学習(メモリージング)の解放レベルが設定されている。(アニメでは『RIGHT OF LEFT』にて言及)
人為的なレベル移行は可能だが、蔵前曰く、移行時に女子に心理障害を起こしやすい傾向がある模様。
催眠学習が13歳から行われるのはアニメと共通。
総士は基礎的な催眠学習に関しては6歳の頃から(学習の大半は13歳からのようだが)学習を始めていたらしい。
三章・初戦闘を終えた後の一騎の認識制限コードは第7レベル。総士や蔵前は既に第21レベルに達している。

蔵前果林

クラス委員を務めるしっかり者で、「おかみさん」と渾名されていた時期があったとの事。
起動テストのみで実戦経験のなかったアニメ版と異なり、小説では以前から実戦訓練を受けていた模様。

警戒態勢

第一種警戒態勢はヴァッフェ・ラーデンが展開されるもので、これはアニメも共通。
反応炉のフル稼働が12日後で、ヴェル・シールドの十分な形成は不可能だと総士が推察している。

二章 行く先は闇でも

ファフナー以外の防衛戦力

戦車などの陸戦部隊や防空隊の存在が描写されているが、フェストゥムへの被同化機能はない。
アニメではアルヴィス防空チーム「ブルギルム隊」が第1話で出撃しているが、戦闘開始から程なくしてパイロット全員が戦死している。

蔵前の境遇

皆城家の養子であるのはアニメと共通。
アニメでは不明だが、小説では皆城家と別々に暮らしていると蔵前の口から語られている。

誘導学習

誘導学習とは、基礎体力作りや闘争訓練などを自主的に行うよう誘導する学習の事。
身体訓練を促すための誘導学習について、一騎の成績はトップであった模様。
最も効果的に学習するために、無意識を刺激して楽しさとセットになった学習を促すものであり、洗脳の類ではない。

蔵前のシナジェティック・コード形成値

アニメでは同化耐久率は低いものの、それなりの適正値を持っていたが、小説では、シナジェティック・コードの形成値の指標になる程度にとどまっている。戦闘訓練についても、蔵前曰く、「シミュレーションの基準にもなれない結果」。

バーンツヴェック

前方に非常用避難室があり、切り離しが可能。アニメでも同様の機能があるのかは不明。

一騎の回想

総士の左目に傷を負わせた当時の様子が語られている。

三章 やがて来たる日々

本来の暦は9月末(表向きは4月)。南半球にいた事で季節が逆転している。
なお、アルヴィスは最大60ノットで移動可能らしい。

天才症候群(サヴァン・シンプトム)

フェストゥムの因子を移植された子供達に見られる兆候。
知的障害者や自閉症患者が驚異的な能力を発揮する「サヴァン症候群」とは異なる。
普通の人間以上の脳の処理速度、フェストゥムの読心能力への抵抗、それによるファフナー搭乗の可能、といったものはアニメと共通。小説では、これらの他に、各々がある能力において高い才能を発揮するとされている。
実際に小説で具体的な描写があったのは、一騎総士真矢翔子甲洋の5名のみ。
咲良剣司の設定はプロットの段階では存在したものの、執筆の過程で登場自体カットされた。
アニメでも限られた人物のみではあるが反映されており、天才症候群の設定が完全に切り捨てられた訳ではない。
【参考書籍】『冲方式ストーリー創作塾』/『冲方丁のライトノベルの書き方講座』

真壁一騎異常な耐久力と反射速度
常人よりも高い身体能力を持つ。
総士曰く、「競い合うライバルさえ居ればどこまでも成長し、オリンピックの全種目で金メダルを取れる」らしい。
この設定はアニメにも反映されている。
皆城総士並列処理能力
複数の人間の思考や感情を並列に処理できる。 この設定はアニメにも反映されている。
遠見真矢異常な推測能力
相手の顔や仕草を見ただけで考えている事が概ね把握出来る。この設定はアニメにも反映されている。
羽佐間翔子架空構成能力
あたかも自分が別の場所にいる、もしくは別の姿、行動をしているような状態に一瞬でなれる。
そのため、高度なイメージトレーニングを楽々とこなしてしまう。
春日井甲洋写像記憶力(フォトグラフィック・メモリー)
どんな些細な事でも記憶し、本のページを見ただけで最初から最後まで正確に暗唱できる。
また、数学に関して異常に高い能力を持っている。
要咲良力学的効果の把握
どこに力点を置けば物体のバランスが保たれるか、あるいは崩れるかを把握出来る。
近藤剣司直観的回答力
方程式を見ただけで答えを言えるといったもの。
しかし、どう計算すればその答えが出るのかがわからず、結果的に馬鹿にされてしまう。
この設定はアニメにも反映されており、直感の良さを発揮する場面が度々見られる。
小楯衛構造理解力
何でも分解・再構築できる。
この設定はアニメにも反映されており、幼少時に壊れたラジオを修理している(本編第1話より)。

竜宮島の教育制度

「出来るヤツには、どんどんやらせる」方針をとっており、生徒によって特定の授業だけ別にしたり、試験の問題を変えたりしている。小説独自の設定と思われる。

アルヴィスにおける史彦の肩書

戦闘指揮所での戦術顧問。総士によると、戦時下では総帥に等しい権限を持つとの事。
なお、公蔵は小説では死亡していないと思われる。

赤紙

パイロットの適性証であるのはアニメと共通。
小説では赤紙の誓約書に本人がサインをする事で、専用(パイロット用?)の時間割が適用される事になっており、知りたい事があれば電話で問い合わせる事が可能。
アニメでは類似した時間割が第18話における2年生の教室で見られる。

真矢のハンデ

「普通に生活する分には健康だが搭乗は不可能」となっている。病気ではなく、神経発達に関するものらしいが詳細は不明。なお、遠見家はパイロット選定会議において、子供達の肉体面でのデータ収集という重要な役割を担っている。

パイロット候補とそうでない者の行動プログラム

一時間目のみ授業を受けた後、パイロット候補とそれ以外の者とで異なる授業を受ける。
パイロット候補はアルヴィスにて、パイロットになる事の確認や、バウムテスト等の心理テストを受け、非パイロット候補は教師と話し合ったり世界状況を教わったりするメンタル・ケアに時間が充てられている。

ボーダーライン

自己が不確定な状態。エネルギーを生み出す状態にして、一方的に喪失する状態でもある。
脳が成長過程にある一騎ファフナーに乗れる理由の一つ。
現実に存在する「境界性人格障害」とは異なるものである。

ファフナーの戦闘形式

アニメでも見られたツインドッグ、トリプルドッグ、クロスドッグの他に、ファフナー全12機によるアルトドッグが存在する。
アニメでは「開発途中のものも含めて13機」*1となっており、続編にあたる『HEAVEN AND EARTH』にて13番目の機体・ドライツェン?が開発、運用された。

パイロット候補の内訳

確定、第一・第二・第三候補者の他に、赤紙が来なかったにもかかわらずパイロットに志願した予備候補者が存在している。
実技成績によっては候補者間での機体交代もあり得る模様。
また、ツインドッグにおけるパートナーは機体性能の組み合わせによって選定される。

マークフィアー

アニメでは中距離支援型だが、小説では偵察・攪乱が得意な「スピード型」となっている。

メディテーション

瞑想訓練。疑似コクピットに入り、ファフナーと一体化する瞬間の感覚を体験する。
瞑想状態に移行する事で、一体化に最適な精神状態を形成する。
CDドラマ「STAND BY ME」では、内的ビジョンを海として体験する適性訓練として行われている。

エネルギー喪失(デカテクシス)

ツインドッグにおいて、パイロット間の相互認識が失われた状態の事。
これをもたらすパイロットはどんなに優秀でも、全体を危機に陥れるものとして排除される。

ファフナーの訓練

イメージの発展訓練、痛覚訓練などが行われている。

翔子の持病

TVシリーズでは明確に語られなかったが、『RIGHT OF LEFT』にて小説同様、肝臓が正常に機能しない病である事が判明している。このため、翔子は肝臓に負担をかけるもの、特に肉類が殆ど食べられない。
翔子が一騎に憧れるきっかけとなった出来事は、CDドラマ「NO WHERE」でも語られている。
時期は中学校の「始業式の日」となっていたが、『ADOLESCENCE』ではCDドラマ同様「入学式の日」となっている。

エピローグ

「穀潰し」

機体や武器の損耗率が最も高い分、敵撃滅数もトップである一騎に対する、整備員の親しみのこもった渾名。
この時点での一騎の敵撃滅数は41体で、次点が甲洋の16体。

指輪の痕

ニーベルング・システムに指を通す事によって、指の付け根に生じる痕。
ファフナー乗りかそうでないか、熟練者かそうでないか見分けられる指標のようなものであるらしい。
アニメでは『EXODUS』にて、「ニーベルング接続による小規模の同化現象」と言及された。
なお、このシーンでフェストゥムという言葉の意味が「祝祭」である事が示されている。

甲洋「必ず……お前より優秀なパイロットであることを証明してやるよ。ローンドッグ野郎」

アニメよりも一騎甲洋の確執が強調されている。きっかけはアニメ同様、翔子の戦死
マークエルフ?のローンドッグ運用は、翔子を失った一騎が総士を説得し、総士が大人達を納得させた事により了承された。

学校

戦闘の激化もあって、一騎達パイロットはこの時点で二週間に一度程度しか学校に通えていない。

戦闘の傷跡

心身に傷を負った者の他に、アルヴィス内の様々な研究の過程で不治の病に罹った者が存在している模様。

著者・冲方丁氏によるその他四方山話

冲方サミット ‏@ubukata_summit

【蒼穹のファフナー四方山話】小説版『蒼穹のファフナー』の執筆は色々と同化現象中でした。第一期脚本最終回を書き終えた後にCDドラマを書き、日曜日にプロットを出して月曜日にOKが出て金曜日に脱稿後、救急車で運ばれて入院。五日間で一冊書けたのはファフナーだけです。冲方

冲方サミット ‏@ubukata_summit

【蒼穹のファフナー四方山話】退院翌日に『蒼穹のファフナーROL』のプロットを提出したかと思いきや脚本打ち合わせを入れた中西Pの笑顔は一生忘れないと思います。冲方


*1 DVD第1巻リーフレット・「ファフ辞苑①」より