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日本が結ぼうとした不平等条約

Last-modified: 2017-01-11 (水) 12:48:13

作中では日本政府や自衛隊は講和条約を含む様々な条約を結ぼうとした。

【帝国との講和交渉】 Edit

2.炎龍編<上> P141〜142

一.帝国は戦争責任を認め謝罪し、責任者を処罰すること。
二.帝国はこの戦争によって日本側が被った損害について、賠償をすること。その額、スワニ貨幣で5億枚とする。
三.『門』のあるアルヌスを中心に、半径百リーグの円を描く範囲を日本国に割譲する。
  さらに新規に引かれた国境から十リーグは、双方ともに兵を配置しないこと。
四.通商条約の締結。
「ご、ご、5億スワニ?」
「そもそも、全世界のスワニ金貨を集めてもそんな枚数にはならんぞっ!」
「責任者の処罰、領土の割譲に加えて、なんと無茶な要求か」
「そうだ。我が帝国を亡ぼすつもりかっ!」
 議員たちの驚いた様に、慌てて菅原は説明を付け加えた。
「別に、一時に全額を支払う必要はありません。それに、土地や鉱物等の採掘権などで替えてもよいという訓令を受けています」

2.炎龍編<上> P144

 対するに、スワニ金貨はこの特地世界で最強の貨幣である。金の含有量は一枚六十グラムに及び、直径は五百円玉ぐらい。

2.炎龍編<上> P145

 ちなみに特地で流通量が最も多い金貨はシンクである。こちらは貨幣のサイズもスワニに較べて小さくなり、金含有量も十グラムよりやや少ない。これが、この特地の基軸通貨なのだが

作者が書き始めた前年(前年でないと金価値は出ない)2005年当時の金価値(金1gを1600円とする)に直しても、総額48兆円になる。
第一次大戦後のドイツではGNP比に直すと20年分の賠償額と言われていたが、それでもここまで酷い賠償金額ではなかったと思われる。
ちなみに中世スペインの最盛期(スペインが世界の中心にあり各地に植民地を増やしていった時代の黄金期)の国家予算は約500万デュカート(1デュカート=金3.5g)。
2005年の金価値に直すと、単純計算だが予算280億円になる。
280億円の年間予算を全て使って48兆円を何年で返済できるのかを計算してみると、1714年かかる事になる(実際には公債は日本のように国家予算の30%程度に抑えないと財政が破綻してしまうからもっと返済にはもっと年数がかかる)。
1700年間も同じ予算であるという事はありえないが(しかし特地では文明の進展がある事情によって遅いのであり得るかもしれない)、この賠償金額の異常性を証明するためにちょっと遊んでみた。

 

2.炎龍編<上> P143

 菅原はどうしたものかと思いつつも、告げる。
「単純に金貨一枚に含有している金の価値を、我が国の相場に当てはめて換算しただけなんですがね。それでも我が日本国の年間一般会計予算をちょっと超える程度でしかないんですよ」
 議員達はへなへなと座り込んだ。

金貨を現代の相場に当てはめて、年間予算を少し超える程度というのだが「なぜその金額を提示したのか」という理由にはなっていない。
その上、文明の格差が大きいのだから規模だって違うのは当然。
これもまた剣と盾の敵を相手に、現代兵器で無双しているのと同じレベルの描写だ。
こういう描写では、現代の世界経済の規模が大きい証明にはなっても日本が大国である証明にはなっていない。
ちなみに、作者が書いた2006年当時の国家予算は80兆円。
賠償金額は48兆円。
「年間一般会計予算をちょっと超える程度」というのは嘘である。
金の価値を知らなかったのか、それとも一般会計予算を知らなかったのか、どちらにしろ調べてから比較すべきではなかったか。

 

2.炎龍編<上> P145〜146

 このように金にしろ銀にしろ要求しただけそのまま差し出させたら、帝国どころか、この特地経済を徹底的に破綻させてしまうことになる。また、もし『金』の都合がついたとしても、一時に『門』を越えて持ち帰ったら、米・露・中・フランス・イギリス等の核保有国から核攻撃を喰らうこと必至である。
 金相場が大暴落して、全世界経済が大混乱の上に破綻するに決まっているからだ。

「経済の破綻」とはどういう状態なのだろうか。
まずは一つの国の経済破綻を考えてみたい。
一つの国の経済が破綻するとは
国債がデフォルトされる
それによって起こるハイパーインフレ状態
の一連の流れである
実は一つの国の経済破綻は珍しいことではない。
日本も戦後に経済破綻が起こっている。
しかし、それでは世界経済の破綻とはどういう状態なのか。
世界各国で国債がデフォルトされ、各国でハイパーインフレ状態が起こる
という状況である
これに一番近かった状況というのは、1929年の世界恐慌である。
発端であるアメリカは数々の銀行が閉鎖され、最後には全銀行が閉鎖されたほどだった。
世界各地でもアメリカに影響され、ソ連以外は未曾有の危機に晒された。
特にドイツは多額の賠償金を課せられていたこともあり、ドイツマルクは紙切れ同然に扱われパン一つが一兆マルクという事態に陥り、100兆マルク紙幣なども発行された。
この状態が、世界経済の破綻に一番近かったと思われる。

さて話を戻して、72兆円くらいの金が流入したところで金本位制であるならばともかくとして、現在の管理通貨制度の下では金の価値下落は世界経済に悪影響は及ぼすであろうが、破綻にまでは至らない。
文章を書く仕事である以上、そして曲りなりにも政治()や経済()を書いている以上、言葉というのは正しく使ってもらいたいものである。

 

2.炎龍編<上> P146

帝国への賠償金額について

これには、被災者への保障、各種の損害賠償、銀座には企業も多いので利益損失等々、
さらには自衛隊が消費した弾薬等の費用、人件費、燃料代なども当然のことながら含まれている。

と言われているが、当の銀座では復興支援など行われていない。
銀座事件の1〜2ヵ月後に行われた特地人による銀座訪問でも、全く何も破壊されていない銀座の風景が見られる。
つまり人的被害を除けば、復興が行われる必要のないくらいの被害しか出ていないという事だ。
48兆円もの損失が出たのならば、復興支援に追われノンキに特地へピクニックになど行けなかったはずだ。

 

【エルベ藩王国デュラン陛下からの炎龍討伐依頼】 Edit

2.炎龍編<下> P124〜125

 柳田は、遠慮なく欲しいものは欲しいと素直に告げることにした。
「地下資源の採掘権。税の免除」
「金山と銅山は、我が国の富の源泉じゃ」
「ことごとく寄越せとは申しません」
「しかしなぁ……」
「では、金と銀と銅については半分。
 そして金銀銅以外で、有望な資源があったら、それらについては全てということで」
「ちょっと待て。今、ある金鉱も半分か?」
「では、新規に開発する金、銀、銅の鉱山については半分と、
 金銀銅以外の未開発の地下資源については全てということで」
「安易に答えられぬなぁ」
「何故ですか?」
「お前さんが、金銀銅以外は全て寄越せと口にする理由じゃ。妙に気になる。
 金銀銅以外で価値のあるものが、我が国に埋まっておることを知っておるのではないか?」
「それを知っていて、教えて差し上げなければならない理由がありますか?」
 デュランは「欲をかいては損をするぞ」と場の緊張を解きほぐすように笑った。
 柳田は損をするのは陛下の方だとそっぽを向いて呟く。
「知らないのですから、ないのと同じでしょう。これからも知らずに居てください。
 それとも、やはり塩の用意が必要ですかねぇ?」
「分かった、分かった。金銀銅など貨幣に用いる鉱物以外の、地下資源一切でどうか?」
 柳田は立ち上がると、デュランの差し伸ばした手を取りつつ念を押した。「免税特権をお忘れなく」と。
これを忘れると、油田や鉱山の利益、そして通商と通行に莫大な税金をかけてくるおそれがある。

 

このような交渉を、なぜ陸尉に過ぎない柳田に任せているのだろうか。
これはれっきとした「外交」である。
であるならば、外交官の菅原が行うべきことではないのか。
自衛隊の一陸尉の権限を越えている。
GATEにはこのような越権行為が数多く見られ、特に自衛隊員が外交や国政を行ったりする描写が多い。
曲りなりにも政治()を描きたいなら、このような越権行為を普通に書くのはいかがなものだろう。