BGEE Manual/戦闘について

Last-modified: 2015-01-04 (日) 06:42:22

戦闘について (Combat in Baldur's Gate)

バルダーズ・ゲートはAD&Dのルールに則っていますが、全く同じではありません。最も大きな違いは個々のイニシアチブラウンドにリアルタイム制を適用したことです。基本的な規則のほとんどの部分は、あなたが物語と世界に没頭できるように、コンピューターが引き受けます。

ハック&スラッシュを超えて (More than just Hack and Slash)

AD&Dでは戦闘が重要ですが、それがプレイの究極の目的ではありません。状況に対処するだけでは一方通行でしかありません。戦闘を行うだけならば、あらゆる出会いが同じものとなり、ゲームはすぐに退屈なものとなるでしょう。このゲームには戦闘以外にも多くの意味があり、単純なハック&スラッシュ戦闘以上のものがあります。攻撃の命中やミスなどの基本的な戦闘システムに加え、ターンアンデッドや特殊攻撃、防衛、毒、壮烈な妙技など多くのルールがあります。バルダーズ・ゲートが変更の加えられたラウンド制のシステムであることを忘れないで下さい。全て(キャラクター、NPC、モンスター)が固有のイニシアチブラウンドで行動します。指示を出したいときにはいつでもゲームを一時停止することができます。

個々のイニシアチブラウンド (Personal Initiative Rounds)

バルダーズ・ゲートではリアルタイム制の戦闘や移動のために、キャラクターやモンスターは、それぞれの独立した6秒間のイニシアチブラウンドに則って行動します。個々のイニシアチブラウンド内では、武器のスピードファクターや呪文の詠唱時間など、AD&Dのルールが全て用いられます。1ラウンド中に1回以上攻撃可能なキャラクターのため、武器のスピードファクターにより、6秒の内で2回目の攻撃がいつ発生するかが決まります。

スピードファクター (Speed Factor)

1ラウンド中に1回攻撃できるキャラクターのために、スピードファクターは1~10の間の数字で表されます。これは1ラウンドの1/10~10/10を意味します。スピードファクターの値により、1ラウンドの1/10~10/10の間のどこで攻撃ができるのかを表します。

詠唱時間 (Casting Time)

プリーストやウィザードの詠唱時間は武器のスピードファクターと同等のものです。詠唱時間は1~10の間の数値で、ウィザードやプリーストがいかに早く呪文を放てるかを表します。スピードファクターのように、低い数値の方が早く呪文を唱えられます。

イニシアチブ (Initiative)

イニシアチブは技術、状況、機会の組み合わせによって決定されます。バルダーズ・ゲートのイニシアチブはどれくらい素早く呪文や攻撃を行えるかに関して、ランダムな変化を与えます。わずかですが、詠唱時間やスピードファクターを変化させます。

アーマークラス (Armor Class)

アーマークラス(AC)は防具の防御値です。防具は敵の攻撃がキャラクターに命中する確率を減少させることができます(結果、被害が減少します)。防具はダメージを受けないようにすることはできますが、ダメージの値自体を減らすことはできません。フルプレートメイルを装備したファイターは動きが遅いかもしれませんが、その鎧を貫通してダメージを与えるのは容易なことではないのです。アーマークラスの値は、最も悪い状態(防具を着用していない状態)の10から、ゼロ以下まで、定量的に示されます。値が低ければ低いほど、良くなります(大変強力な魔法の防具を装備したときのみACは-10以下になるでしょう)。魔法の品同様、シールドもまたキャラクターのACを下げることが出来ます。

 

能力値や特定の状況も、キャラクターのACに影響します。例えばデクスタリティが高いとACにボーナスがつきます。

THAC0

THAC0は『To Hit Armor Class 0』の頭文字です。これはAC0のターゲットに攻撃を成功させるために必要な値という意味です。THAC0はキャラクターのクラスとレベルに依存します。THAC0は命中に必要な値を計算するために使用されます。

アタックロール (The Attack Roll)

戦闘システムの中核はアタックロールであり、ダイスをロールする(振る)ことにより、攻撃の成功・失敗が決まります。攻撃を成功させるために必要とされる値は命中(to hit)値とも呼ばれます。これはキャラクターのTHAC0とターゲットのACから、コンピューターが決定します。拳による打撃や他の接近戦と同様に、アタックロールは剣、弓、岩、その他の武器による攻撃で用いられます。バルダーズ・ゲートでは命中ロールはゲーム内の裏で行われ、成功すれば命中し、失敗すれば空振りとなります。

 

攻撃が行われると、攻撃側のTHAC0から、攻撃を受ける側のACが引き算されます。その結果の値が、命中させるために攻撃者がロールしなければならない値です。このダイス・ロールはd20、または20面ダイスを用いて行われ、1から20までの結果をもたらします。攻撃者が必要値と同じかそれ以上の値をロールすれば攻撃は成功し、ダメージが与えられます。攻撃が不成功だと、攻撃は完全に失敗するか、対象の防具を貫通することができないということになります。

 

18のTHAC0を持つ3レベルのファイターを例にします。ファイターがAC5のホブゴブリンに攻撃したとします。ホブゴブリンのACはTHAC0から引かれ、『to hit』値は13です。20面ダイスを使用してファイターが13以上の値をロールすれば、攻撃は成功してダメージが入ります。

 
生き死にを決定するルールで、過酷なのは確かだが、優雅さと確かさが無いってわけじゃぁない -ヴォロ

クリティカルヒットとクリティカルミス (Critical Hits and Misses)

キャラクターが自然に20の目をロールしたら(つまり補正が適用される前のアタックロールが20なら)、クリティカルヒットが発生し、その攻撃のダメージは2倍になります。自然に1の目をロールしたらクリティカルミスとなり、立て直すのに時間的ペナルティが課されるでしょう。ACに関わらず、自然に20の目をロールした場合は必ず命中し、自然に1の目をロールした場合は必ずミスとなります。ヘルメットを着用できるキャラクターなら、そうすることでクリティカルヒットを避けることが出来ます。

戦闘における確率の改善 (Improving the Odds in Combat)

戦闘では様々な要素が、攻撃を成功させるための値に修正を加えます。これら修正を与える変数は命中値やアタックロールを変化させます。

ストレングス修正 (Strength Modifiers)

キャラクターのストレングスは命中率とダメージに修正を与えます。この修正は接近戦において常に適用されるものです。いくつかの遠距離武器(スローイングアックス、スローイングダガー、スリング)は、そのダメージにストレングス修正を受けますが、アタックロールには適用されません。

マジックアイテム (Magical Items)

武器の魔法的特性もまた、戦闘を変化させます。アタックロールやACにボーナスを与えるアイテムはプラスサインによって識別されます。例えばソード+1なら、キャラクターの命中率を1だけ改善し、また攻撃成功時の追加ダメージを1上昇させます。チェインメイル+1なら、通常の非魔法のチェインメイルよりもACが1だけ改善します(キャラクターのACから1引くことを意味します。AC5からAC4へと改善されるということです)。呪われたアイテムには負の効果(ペナルティ)があり、アタックロールを減少させたり、AC値を上昇させたりします。ダイスロールに適用される修正数に制限はありません。また、ダイスロールに適用される全修正の総計にも制限はありません。

 

注意:似たような効果を発揮する魔法のアイテムを、複数装備することはできません。例えば、リング・オブ・プロテクションを2つ装備することや、リング・オブ・プロテクションとレザーアーマー+1を同時に装備することなどはできません。

遠距離武器におけるデクスタリティ修正 (Dexterity Modifiers for Missile Weapons)

デクスタリティは遠距離武器での戦闘に影響を与えます。ストレングスのように、高いデクスタリティは命中率を増加させ、低いデクスタリティは減少させます。デクスタリティは命中率にのみ影響し、ダメージ量には影響を与えません。

戦闘における遠距離武器―射率 (Missile Weapons in Combat―Rate of Fire)

弓やクロスボウ、その他多くの遠距離武器は射率(ROF)が異なります。射率(ROF)はrates of fireの略で、1ラウンド中にどれほどの量の弾を放てるかを示します。矢やスローイングダガーは1ラウンドで2回攻撃することが出来ます。クロスボウやスリングのような武器は装填に長い時間を要しますし、またスローイングアックスのような武器は素早く放つにはあまりに大きいため、1ラウンド毎に1回しか放てません。ダーツは1ラウンドに3回放てます。複数回の遠距離攻撃において(ROFに関わらず)、イニシアチブは他の複数回攻撃と同様に決定されます。
射率はボウ系が2回、ダーツが3回、クロスボウ、スローイングダガー、スローイングアックス、スリングが1回です。

呪文詠唱 (Casting Spells)

ウィザードやプリーストは呪文詠唱のために同じルールを用います。呪文を詠唱するためには、キャラクターはまず呪文を記憶しなければなりません。記憶していない場合、呪文を唱えることはできません(ソーサラーはこのルールから外れます。記憶せずに、どの呪文も唱えることが出来ます)。術者は声を発せられなければならず(サイレンスの影響下やさるぐつわをはめられた状態では不可能です)、また両手が自由である必要があります(例えばマヒ状態では不可能です)。呪文の目標を人物や場所、物体に定めたら、術者は目標を視認しなければなりません。150フィート先の暗闇にファイアーボールを放つことはできません。術者は爆発地点と距離を理解する必要があります。いったん詠唱が始まったなら、キャラクターは静止する必要があります。

 

注意:呪文を選択した後でも目標を定める前ならば、右クリックすることで呪文詠唱をキャンセルできます。この際、呪文は記憶から失われません。

 

タッチパネルでは、他のアクションアイコンか、ユーザーインターフェースの非ボタン部のような無効なものをクリックすることで呪文をキャンセルできます。

呪文の中断 (Spell Disruption)

もし術者が、詠唱完了前に武器で打たれるかセービングスローに失敗した場合、術者の集中は妨げられます。呪文は役に立たないエネルギーとして立ち消え、再び記憶されるまで、術者の記憶から消去されます。呪文を唱えたいならば、どんな戦闘でも前線には立たないように、と呪文詠唱者はよく忠告を受けます。

セービングスロー (Saving Throws)

セービングスロー(ST)は肉体や精神に影響を与える攻撃や、毒や魔法などの特殊攻撃に対するキャラクターの抵抗力を表したものです。セービングスローはTHAC0と同様の方法で行われます(呪文や特殊効果は、このロールによりペナルティを受けるか、ボーナスを与えられます)。セービングスローはレベルアップに伴いよくなっていきます。

 

セービングスローが成功するとダメージが減るか、呪文や攻撃の効果を完全に防ぐ事ができるかもしれません。いくつかの呪文(例えば防御呪文)を用いれば、さまざまな攻撃に対してセービングスローが劇的に向上します。以下に、優先度の高いものから順にセービングスローを記載します。例えば、麻痺を引き起こす呪文にはvs麻痺のセービングスローを用い、石化を引き起こすワンドでは、vsワンドのセービングスローを用いるでしょう。

vs. 麻痺/毒/死 (Save vs. Paralyzation, Poison, and Death Magic)

このセーブはキャラクターが以下の効果にさらされた時に用います。
麻痺攻撃(手段に因らず)、毒(どんな強さでも)、いくつかの呪文と即死させるマジックアイテム(詳細画面に記述)。

vs. ロッド/スタッフ/ワンド (Save vs. Rod, Staff, or Wand)

名前の通り、キャラクターがロッド、スタッフ、ワンドの脅威にさらされた時、より高い優先度のセービングスローが求められない場合に、このセーブが用いられます。

vs. 石化/ポリモーフ (Save vs. Petrification or Polymorph)

キャラクターが石化や物理的な変化を引き起こす呪文の対象になった時は、いつでもこのセービングスローを用います。

vs. ブレスウェポン (Save vs. Breath Weapon)

ブレス攻撃を持つモンスター、特にドラゴンの強力な一吹きに直面した際にこのセーブを用います。

vs. 呪文 (Save vs. Spell)

他に指定されたセービングスローがない場合、キャラクターがスペルキャスターやマジックアイテムによる魔法の効果に抵抗しようとする際に、このセーブが用いられます。

セービングスローへの修正 (Modifying Saving Throws)

マジックアイテムや特定のルール、特別な状況により、セービングスローには補正がかかります。これら補正はセービングスローの成功確率を増加させたり減少させたりします。

  • クローク・オブ・プロテクションやリング・オブ・プロテクションのようなマジックアイテムは、キャラクターのセービングスローにボーナスを与えます。
  • 通常の場合も魔法の場合も、物理的なものでセーブが必要な際、セービングスローボーナスつきの魔法のアーマーのみがセーブを行います。
  • 特定の呪文とマジックアイテムは良かれ悪しかれセービングスローを伴う効果を発揮します。いくつかの呪文はその被害者にセーブにペナルティを与え、その場合無害な呪文さえかなり危険になります。(このマニュアル内の呪文についての項に特定の情報が詳述されます)

士気 (Morale)

各生物は基本的な士気レベルを持っています。これは戦闘中、戦うか逃げるかという行動の選択に影響します。士気に影響されないのは、あなたが作成したキャラクターのみで、パーティに加入した他キャラクターはそのモラルを示す会話とスクリプトに従って行動します。各生物は士気が下がった時、普段と異なる行動をとるように設定されています。士気の段階によって区別され、その時の士気のレベルに従って異なった攻撃をしかけてきます。例えば、ある生物の士気が十分高い場合は近接戦闘を選択するかもしれませんし、低い場合には遠距離攻撃を行うかもしれません。全ての生物は士気が普段の状態に戻るまでの回復時間が定められています。生物の士気が下がると、士気は通常の状態までゆっくりと回復します。もしパーティ内のキャラクターが士気のチェックに失敗すると選択サークルが通常の緑から黄色に変化します。

 

士気は以下の事柄により上向きの影響を受けます。

  • 高いカリスマをもったリーダー(ポートレートの一番上のキャラクター)
  • キャラクターのいる環境(例:コボルトやドロウは開けた屋外より地下を好む)
  • 呪文(例:リムーブフィアー)
  • 現在見えている敵の種類(楽な敵ならば士気が上昇)
 

士気は以下の事柄により下向きの影響を受けます。

  • 強力な魔法で攻撃されたとき
  • パーティ内の誰かが殺されたり気絶したのを見たとき
  • 大量のヒットポイントを失ったとき
  • 強敵に出くわしたとき

戦闘による影響と回復 (Combat Effects and Recovery)

敵の攻撃が成功したとき、キャラクターはダメージや怪我、死を被るでしょう。ダメージは毒や炎、落下、酸などによって生じます。現実世界ではほんの少しの危険であってもダメージを受けます。攻撃によるダメージはヒットポイント(HP)により表現します。全てのキャラクターは現在のヒットポイントと、最大ヒットポイント値をもちます。キャラクターが攻撃を受けるたび、ダメージポイントを受けます。これらポイントはキャラクターの現在のヒットポイントから引かれます。これが0になるとキャラクターは死亡します。キャラクターは死亡時の影響により肉体が破壊された場合(ディスインテグレートの呪文や単に多大なダメージを受けたときなど)、復活は絶望的で永久に死んだままとなります。

治癒とヒットポイント (Healing and Hit Points)

キャラクターが傷付けられると、プレイヤーはキャラクターが自然に治癒することを望みます。キャラクターは自然と、あるいは魔法の手段によって治癒します。自然治癒は遅いですが、クラスに関わらず全キャラクターが可能です。魔法による治癒はスペルキャスターか魔法のアイテムにより可能になります。治癒により回復できるダメージ量は、そのキャラクターの持っている最大ヒットポイント値を超えません。

 

注意:特別なアビリティやネクロマンシーの呪文を使うと、時間限定ながら最大ヒットポイント値を増やすことができます。

自然治癒 (Natural Healing)

キャラクターは休息期間(8時間)ごとにいくらかの割合で自然に治癒します。キャラクターが宿屋で休息した場合、より上等な部屋に泊れば回復量はさらに増します。ただしもちろんお値段もそれなりです。荒野でのキャンプは呪文の記憶はできますが、ヒットポイントは少量しか回復しません。休息はパーティの視界内に敵がいない時のみ行えます。もし敵がいた場合は、休息をとる前にその敵から離れるか、友好関係を結びましょう(チャームの呪文や会話など)。休息中にパーティが襲われることがあります。この場合、キャラクターは回復も呪文の記憶もしてません。

 
宿屋で休む理由はこれさ! -ヴォロ

魔法による治癒 (Magical Healing)

治癒呪文やポーション、魔法のアイテムを使えば治癒速度が早まります。そのような治癒については、この大冊の後半の呪文詳細に記述されています。これらの方法を使う事により、傷はすぐにふさがり力を取り戻すことでしょう。効果は即座に現れます。

 

魔法による治癒は戦闘の最中、とても有用です。また危険な遭遇に対する準備のために、あらかじめ使用するのもよいでしょう。しかしながら敵もまた同じように治癒手段をもっていることを心に留めておいてください。悪の高僧はその手下やガードにかけるための治癒呪文をもっているのです。治癒はそのキャラクターの最大ヒットポイント値までに限られ、その値を超すことはありません。

死者の蘇生 (Raising the Dead)

治癒や回復呪文は死者には何の効果もありません。レイズデッドやリザレクションの呪文、あるいは同様の効果のあるアイテムで生命を取り戻すしかありません。レイズデッドの呪文により新たに蘇生したキャラクターはとても弱っており(1ヒットポイントしかありません)、戦闘で活躍するためにはさらに治癒をする必要があります。キャラクターが蘇生の呪文を唱えられないなら、少額の報酬で、近くの寺院の助けが得られます。

 
少額ってのはもちろん相対的な見地から、さ。有名なら有名なほど、坊主は蘇生費用を高く期待するものさ -ヴォロ
 
費用なんて安いものじゃろう。それで2度目の人生がやりなおせるのじゃから。
ま、もっとも2度目でなく3度目、いや、ひょっとしたら17度目くらいなのかも知れんがね。 -エルミンスター

麻痺 (Paralysis)

キャラクターや生物は麻痺の影響を受けます。麻痺を受けている間は完全に動きが取れなくなります。麻痺の被害者は呼吸や思考はでき、見たり聞いたりすることもできますが、話すことはできず、どんな形にせよ動くことはできません。

毒 (Poison)

キャラクターや生物は、毒の付与された武器や毒性のクリーチャーに攻撃されたとき、毒に対するセービングスローを行わなければなりません。毒のタイプによっては、セービングスローは毒の効果を完全に打ち消すか、あるいは毒の効果を下げます。毒は大抵、数時間内で致命的になるため、迅速に回復手段をみつけることをお勧めします。

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