小説 CODE:F series3

Last-modified: 2017-12-30 (土) 09:52:13
シリーズ別

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本編

CODE:F series3 1話「緑」(総合30話)

GRtuneにS2000が運ばれてから2ヶ月が経った。
ブォオオンッブォオオン!! ヴァアアンッ!!
ミドリ)にしても、S2000って過激なクルマね…
ミキト) (カッコイイー…速そうだな…)
旭)青斗君が、そこらへんの峠でも流してこいって言ってたぞ。名義の変更のついでに行ってこい。
ミドリ)ありがとうございますっ!!
ミキト)あ、じゃ俺も行きますよー

そして、PM 10:00 いつもと同じく緑山峠
ブォオオオンッ!! ブォオオッ プッシャアア!!
ミドリ)このスーパーチャージャーの音って良いわねぇ…
ミキト)速いな…これが初めて乗る車の扱いかよ…恐ろしい…
ギュォオオオオッ!!
ミドリ)FDのコーナリングも良かったケド、こればっかりは比べ物にならないくらい速い…
ブォオオオッ!! ブォオ…
一方 GRtuneでは
アオト)実は、ミドリをS2000に乗せると言う事には迷いがあったんですよ。
旭)ほう?
アオト)FDとS2000。どちらも言わずと知れたコーナリングマシンであるがゆえに誰しも扱いは同じだろうと考えている者も多いようですが、実は、この二台は近くて遠い物なんです。
FDもS2000もピーキーな車です。S2000に限っては、ドライバーを限定しますし。ですが、REとVTECじゃ全く違いますし、FDはどちらかと言えば峠よりも湾岸の方が乗りやすいんですよ。で、S2000はチューニングすれば、峠向き。中 低速域がスカスカだったって事もありスーチャーを着けましたが、そのFDとS2の格差に、ミドリは対応出来ないと思っていたんです。
旭)まぁそうだろうな
アオト)でも、厳しくする事もアイツの成長になりますから。あの車以外には無い と。
旭)なるほどね…
その10分後 木崎家宅
ミドリ)明日の遠征先とバトルの相手は?
アオト)神奈川だよ。秦野市、ヤビツ峠。
ミドリ)ヤビツゥウ~…!? やだなァ。あんなタイトなコーナーばっかりなトコ。てかさ、走りの聖地である神奈川を先に攻めちゃって良いわけ?
アオト)あぁ。良いんだ。茨城エリアにはもっとヤバいチームがいるんだ。ここである程度慣れておけば、必勝法も見えてくるからね。明日のバトル相手は、峠に特化したスペシャルチームだ。しかも「シルビア」のワンメイクチーム。
ミドリ)なによ そのシルビア集団…
アオト)それを言えば、昔は俺らもFDだったろう…あの高橋兄弟でもFCとFDなのに…
ミドリ)あ、S2000…
アオト)あぁ。あのクルマで出ろ。
ミドリ)アタシなんかに乗せちゃって心配じゃないの?
アオト)アハハw 何を今さらw 自分のドライビングが心配か?なら、Fにいる資格はないぞ~
ミドリ)…。
翌日 PM 10:50
神奈川県 秦野市 ヤビツ峠
?)チームYBU(ワイビーユー)の沢村 斎(サワムラ イツキ)だ。今回はダウンヒルの担当をさせてもらう。俺の愛車はあそこに置いてあるS15だ。

ミドリ) 「ねぇ…あのS15のエアロってGB SPORTの150万は軽く越えるめっちゃ高いヤツよね…!!」
ミキト) 「マジすか…!? あの人、金持ちなんだなぁ…」
アオト&ミドリ) (ツッコミ所はそこじゃなかろうに。)
ミドリ)ダウンヒル担当の 木崎 緑です。私の車はあのS2000よ。
沢村)そうとう お金の掛かった車のようだね。
ミドリ)あなたのシルビアもそうでしょう? あのエアロを見れば分かるわ。
沢村)シルビアユーザーとして、完璧な車に仕上げているつもりだよ…w
そちらの車、綺麗だね。新品かい?
ミドリ)さぁ。ど~でしょ~?
アオト)それじゃあ、先行後追い方式のバトルになりますので、そちらが決めてください。
沢村)ん、そのスタイル、2年前のあの伝説のチームに似てるな…それじゃ、先行で行こうかな。
アオト)分かりました。
ミドリ)それじゃあ、私の第一戦を、始めましょう?

1話 完

CODE:F series3 2話「チャレンジ」(総合31話)

村岡)それじゃあ行きまーす。
10秒前ーッ………5秒前ーッ……3、2、1…ゴーッ!!
ドッシャァアアアアッ!! ギュルルルゥッ!! ブォオオンッ…
村岡)なぁアオト。なんで緑はプラクティスをしなかったのかね?
アオト)地元である神奈川だからな。コースはだいたい分かっているだろ。
だが本当の理由は、「相手」にあるだろうな。新車であると言う事を最低限さとらせない為だろう。
村岡)新車である事がどう関わるんだ…?
アオト)コレは、ミドリのチャレンジだ。
相手が新車だと気付けば、まず本気モードでかかる事は少ない。今回の相手に限ってそれは無いと思うケド、ミドリは、クルマの完成度では互角であろう相手に対して、新車であると言うハンデを持っていながらどこまで行けるかと言う挑戦をしているんだろうね。
村岡)この場に及んでそんな事を…
アオト)でも、ミドリの集中力は凄いんだ。ただ、なにか1つ気がかりな事があればその細い人はすぐ切れるケドね…
村岡)って事はまさか…
アオト)そう。バトルモードに入った時にあのS2000と言うピーキーなクルマを、乗りこなせなければ…
村岡)集中力は切れる…と…
アオト)その時点で勝負は決まる…!!

ブォオオオッ!! ブォンブォオン…
ミドリ)今 私は、3つの相手と戦ってる…コース、クルマ、相手…きっつゥ…
沢村)素晴らしい芸当だ。俺達の相手にふさわしいよ…
ギュォオオッ!! “ギュインッ!”
ミドリ)…!!
ブラインドコーナーに対し、あり得ない速度で進入する斎。斎が加速すると同時に緑がブレーキングした為、S15は残像を残してワープしたように見えたのだ。斎はコーナーに対する進入速度の限界を知り尽くしている。緑が 先行する斎に追い付くには、走りを完全にコピーする必要があるのだ!
ブォオオオンッ!! プシャアアッ!! キュルルゥ…
ミドリ)っぅ…追い付けない…コーナーを抜ける度に離される…!!
沢村)…♪……♪
ギュインッ!!
ミドリ)コーナーでの旋回能力はコッチが上…ならやってみるしか…ない…!!
今、緑がやろうとしている事は、S2000と言うクルマの長所を活かした新技であろう
これが、後の「緑の異次元空間」の始まりとなる…!!
沢村)3セクに入った…タイトなコーナーはまだ続く…
ブォオオオッ!! ギュインッ!
ミドリ)そっちがそう来るってぇならァ…こっちは「レイトブレーキング」よっ!!
ブォオオオオッ!! ドギャアアッ!!
沢村)ん…?いや、気にするな…
ミドリ)相手は、コーナーが速いんじゃなくて、コーナー進入速度が速いだけで、コーナリング中の速度調整は、完璧だけど、それはつまり普通のコーナリングのリズムを1テンポ遅らせただけ…旋回能力ならこのクルマが上よ…無理にコーナー勝負をしなくても、勝てる…!! レイトブレーキングは、充分な減速が しにくいから、ドン とABSを効かせなきゃ行けない…これはサーキット仕込みのテクね。そして、万が一 どこか崩れても、S2000のコーナリングでミスは補える…!! 勝てる勝負(コーナー勝負)は捨てずに、自信のないポイントはそのクルマの能力でかばう!

推奨BGM「Ace/Play The Music」

ミドリ)兄貴が、この車が来る前に、「コーナリングマシン」と言い聞かせたのはこのためだったのね…

先程、緑が「コーナーを抜ける度に離される」と言ったが、コーナリングのテンポがずれると、そのように感じてしまうのだ。連続してコーナーが続いたり、道幅が急に変わるポイントに入れば、視界も著しく狭まり更に差が開いているように思えてしまう。これは、相手の戦意を喪失させる為の斎のトラップでもあったと言えよう。今、峠ではハイレベルなバトルが繰り広げられている!!
沢村)何が「気にするな…」だ…自分にそう言い聞かせたってコレは現実じゃないか…

『明らかに……差が縮まっている…!!』
2話 完

CODE:F series3 3話「パッシング」(総合32話)

一方その頃、ヤビツ峠の菜の花 展望台 駐車場には、1台のS14が止まっていた。
コースマーシャル)宮内さーん!
宮内)どーした大西。
大西)もしかして、このバトル、もつれるんじゃないですかね?相手側のS2が追い上げてきてるって情報が入りました。
宮内)そうか。この峠に限って追い抜きはありえないからな。そう考えるのが妥当か。俺のS14の出番はまだ先か

宮内 純平(ミヤウチ ジュンペイ) ヒルクライム担当ドライバーだ。

大西)今回のチューンの内容は?
宮内)俺は基本的にFRを好むから、それを楽しむには下りかもしれねーけど、上りでこそコイツのパワーを感じれる快感がある。
大西)あ、宮内さんのシルビアはK'sですからね。
宮内)カム交換で、ブーストも上げて、タービンも交換し大容量の燃料タンクにしてやった。300馬力は行ってるだろ。トルクは30kg-mぐらいか
ブォオオオッ!! キュルルゥ…
ミドリ)ん…!
ブォオオオンブォオ ドォッ…キィイイッ!!
沢村)こんなところでか…!?
2台が、狭い道幅で横一列に並ぶ。
沢村)並走しながらこの先のコーナーを抜ける事は出来ない…!! 物理的にぜってー無理だっ!!
ミドリ)クリア出来るのは1台だけ…!!
ゴツッ… ドギャァアアッ!!
ミドリ)レイトブレーキングゥウウ!!
沢村)…!?
緑、タイトコーナーでオーバーテイク!!
沢村S15はコーナー進入直前にオーバーステア!!
沢村)「緑色」…
ブォオオッ!! ギュインッ!
ミドリの青いS2000は、緑色のオーラを放ちながら、沢村のシルビアを抜き去っていった。
宮内)斎ッ…!!こんな事があんのかよッ!
沢村)すまない…だが、あの連中は速い…
宮内)ふぅ…分かった。

宮内)ヒルクライム担当の宮内だ。宜しく頼む。
ミキト)楠田 未生斗です。宜しくお願いします。
ミドリ)S14のK's…ターボね。
アオト)上りはパワー必要だからな。
村岡)NISMO仕様のエアロってのがまた…金かけるねぇ
ブォオオンッ!! ゴォオオンッ ゴワッゴワッ
大西)カウント行きますねーッ!
6、5、4、3、2、イーチッ………ゴーッ!
ブォオオオンッ!! プッシャアア!!
ミキト)パワーの差ではこっちが上…
と言うか、なにもかもコッチが2倍上なんだよなぁ。誰も思わないさ…湾岸仕様のチューンが施されたクルマだなんて。
宮内)こんなFD見たことねぇ…!!
恐ろしいトラクション…

アオト)アイツのクルマは、峠ではパワーがありすぎて逆に使い辛いハズさ。
ミドリ)それもそうよね。まるでD1マシンみたいだし。
アオト)600psで最大トルク50kg-m以上。まさにモンスターだ。俺のクルマはアイツのFDに合わせてZ33の流用ミッションを利用した6速仕様でギアが細かく、Eg回転域のパワーバンドが広いから、腕は疲れるケド、意外といいんだ。“湾岸では” な。

ブォオオ!… スコッ ブォオオオ!!
宮内)先行を選らんだのは正解だ。
一応、書いてありますケド、もっかい書きます。

ヤビツ峠 ヒルクライム
宮内…先行
楠田…後追い
宮内)こっからは、道幅が狭くなる…低、中速セクション…!! 相手はこのコースにまだ慣れてないだろ…だったら俺がつきはなす!!お前はおとなしくそこにいろ…2本目には行かせない…!!2本目があれば俺の敗けだ!
ミキト)ん…ペース上げてきた…

アオト)もうこれは持久戦だろうな…うすうす相手は気付いてるんだ。ミキトが放つオーラとかってヤツを。
ミドリ)決着は?
アオト)もちろん、コッチだ。
ミドリ)長引くかな…
アオト)いや…

アオトは指を2本立てた。

ミドリ)え…?
3話 完

CODE:F series3 4話「決着 ヒルクライム」(総合33話)

ブォオオ…キュルルゥ…
宮内)安全マージンを保ちつつ、徐々にペースを上げる…もうこういう地道な作戦に切り替えていかねぇと…!!
プッシャァ!! ヴィィインッ!
ミキト)くらいつけェエ!!

ギャラリーA)嘘だろ!?速すぎる…!!
ギャラリーB)YBUも凄ぇが、あのFDはもっと凄ぇ…このままYBUが負けるんじゃ…
A)んな事あっかよ…!!
B)知らないのか…?あのFD、湾岸の「黒いカラス」って呼ばれてたんだぞ…!?
木崎 緑は、緑のカラス、その兄貴で伝説の公道ランナーの青斗が青いカラス!!
A)聞いたこと あるかも…

宮内)最終セクションだ…ヤバい!かなりヤバい!
ブォンブォン!
ミキト)スーパーチャージャーのタフな部分が、このコースにドンピシャにハマるぜ…!! 行ける…!!
宮内)っつぅ…!!
ギュッ…ブォオオンッ!!
宮内)ついて これっかァ…!?
ミキト)命知らずか っつぅの…!!
宮内)最後ォオオオオオッ!!!
ミキト)だぁァアアアア!!!
ブォオオブォンブォンギュァアアアッ!!
ギャラリーC)ピッタリFDがS14に張り付いてる…!?
宮内)クッソォオオオ!!
ミキト)っしゃァア!! パシッ!
ブォオン…キィッ ガチャ バタムッ
宮内)2本目か…スタートラインまで行くか…
ミキト)これで終わった訳じゃない…次は、俺がやり返す…!!
ミドリ)あ、兄貴、そういやさぁ、ガレージに兄貴のFD見かけないんだけどどしたの?
アオト)あぁ、GRtuneの方に置いてあるんだ。訳あってね。エアロを変えた。中身も少しイジったんだよ。
ミドリ)ミキトならもう気付いてると思ったケド、アイツも鈍感ね。首都高でのバトルの時に何か気付かなかったのかしら。
アオト)まぁ、その時はいつもの外観に戻してたし。中身には流石に気付く訳ないサ。
ミドリ)また…どんな理由だか知らないケド、変な事 しでかさないでよね。
アオト) (俺のやる事には意味がある…)
よし。2本目だ。
ミドリ)兄貴の予想じゃ2本目で終わるって…? こんな所でアドバンテージを広げられるわけぇ?
アオト)そんな事、容易い。
ミドリ)ま、アタシも出来るケド、地味な作戦よね。
アオト)そりゃどーかね…
久しぶりだなァ 書くぞい。本題↓

そして2本目がはじまった。
宮内 後追い 未生斗 先行

宮内)何としてでも食らいつかねぇと…!!
ミキト)(勝てるバトルは落とさないから…!!)

ミキトがアクセルを踏み込む。が、FDの挙動は乱れる。
ギュォオオ!! グラッ…グッグッ…『ゴツッ!』
FDが壁にバンパーをヒットさせた。

宮内)バカがァ…落ち着いて走れよ…どっちみち こんなコースじゃ追い抜きもしねーし、ペースを上げてチギるのも難しい…

ミキト)クッソ…これは、3本目にいくのが正解なのか…!? それとも今終わらせる…!?
でも、さっきみたいに挙動が乱れてフラつく…一体どーすりゃいいのさ…!!
アオト)チームとして行うバトルに、ミキトは慣れていない。相当なプレッシャーがかかってるハズさ。そんな中で、勝てる作戦を見つけだす事が出来なきゃ意味がないだろう?
ミドリ)そうね。ミキトがどう対処するか。そんなところを楽しんでいる、とでも言いたいのかしら?
アオト)違うと言えば嘘になる。奴は面白い。
2年で全国を制覇すると言う、現実味のない、むちゃくちゃすぎるゲームで、ミキトがどれだけ成長出来るか…最後の最後に俺が見届ける。
ミドリ) (このサイコパスめ。)

ブォオオオ…
ミキト)ぬぅ…もう後半セクション…この先、勾配はきつく、道も悪い…!!
ここからペースを上げてチギろうとすれば、かえって足を掬われる…!
ここは一つ、一か八かァアアアア!!!
ストレート区間に入った途端、ミキトは相手に、自分が油断したと思わせるため、わざとスペースをあけた…!!
宮内はそこに突っ込んで行く……
ギャラリーしていた沢村の前を、並走するFDとS14が走り去る…
沢村)こりゃァ、やられたわ…相手の作戦に引っ掛かりやがって…
コースマーシャル)でも、普通は行きません?
沢村)バァカ。頭使いなよ。その「普通は」が、この峠にゃ通用しねぇんだっつの。次のコーナーをよく見ろ。
コースマーシャル)ん…?確かここのすぐ後は…あ…!!
沢村さんがやられた所の反対…!!
沢村)左のタイトコーナー!!
ブォオオオン!!
宮内)行くっきゃねぇっしょ!!もう後がねぇ!!
ミキト)よし来たァァアア!!
ブォオオオ!! スパァアア!
黒のオーラを放ちながら、FDは勢いよくコーナーに突っ込む。

宮内)なっ…!?マズイ!相手の速度に乗せられた!
宮内)曲がら…ねぇ…!!
ギョァアアアアア!! ググッ…
宮内のS14は、コーナーの途中で止まった。
ブォオオオ…ブォオオンッ……
ギャラリーA)FDだ!FDが来たぞォオ!!
ギャラリーB)宮内さんは?宮内さんがいねぇぞ!!

ブォオオオ…キィ ドッ バタムッ
ミドリ)相手の車は?
ミキト)止まってた…みたいだけど、、、
アオト)バトル中に相手の車をSTOPさせるとは…予想の斜め上を行ったね…長期戦を予想していたんだけど、何でか、2本目で終わる気がしてね。3本目があったら、確実に負けてたよ。
ミドリ)初戦がこんなに強い相手になるとは思わなんだっ。この先、もっと大変じゃーん…
アオト)俺はYBUと話してくるから、その後は撤収だ。
村岡)ゴミ1つ残すなよーッ!

4話 完

CODE:F seriesZERO「悪魔?」

ヴィイイン…ブンッ ヴォオオッ!
ドギャアアアッ!! ヴィイイインッ!!

PM 11:20 椿ライン 神奈川県道75号湯河原箱根仙石原(せんごくばら)

アオト)この時間じゃ走り屋も多いかな…と思ったけど、そこまでじゃないのか。
ブォオン…ウィイイン
旭)どうかね。仕上がりは。
アオト)goodです。やはり軽量化が効いてますね。ここに来て急にマシンのエアロタイプまで変更するとなると「慣れ」が心配でしたけど、問題なく走れます。
青斗が駐車スペースにFDを入れようとしていた時、1台のクルマがやってきた。
ブォオオン… キキッ ウィイン…
旭)よぉ。どうだ、インプは。
リクヤ)えぇ。いい感じです。おっと、青斗君か。
アオト)どうも。確か、紅い閃光と呼ばれていた赤いGDBは廃車になったと聞いていますが、それは?
リクヤ)少ない金を叩いて買ったのサッ!
GC8。実は、旭サンにセッティング出ししてもらってたトコです。
アオト)実は僕もです。
旭)GC8は、速いぞ~
パワステでカウンター当てやすいしな。コーナーの出口でアクセル踏み込んでも前に出やがる。4WDとは恐ろしいなァ。
アオト)リクヤさんも…
リクヤ)あぁ。アイツをどうにかする。
アオト)やはり、そうでしたか。
アオト)そういやァ、同い年でしたよね?
リクヤ)んま、そーだな。俺が君より誕生日遅いから、少し前は25歳だったケド。
旭)お前ら、もう26なのか。過去にどんな未練があったんだ?
リクヤ)5~6年前かな。
アオト)僕達は同じ大学に通ってたんです。医学の。
リクヤ)俺は今 医者じゃないっすケド。
アオト)その時、同じ大学の同級生に、内野 陣(ウチノ ジン)と言う人がいたんですよ。
リクヤ)俺と陣は中学時代からの親しき仲でね。いつだか、陣の母親と父親が離婚して、父親が出ていって、母親と陣の二人きり。んで陣が中3の時に母親が死んで、精神的に病んでたんだよ。
旭)ほう。
リクヤ)学校には来てたんだ。そのまま、大学まで時間が流れてて、その時にはもう全然 陣とは話して無かったな。
ある時、陣に彼女が出来たんだけど、その女が、陣の父親の浮気相手との間に生まれた女だったわけよ。
リクヤ)こっからはミステリー小説みたいになんぞ。
陣の母親が死んだってさっき言ったろ? アレは、
旭)まさか…
リクヤ)そう。陣の父親が殺ったんだ。
陣は、まだ何も分かってなかったらしい。分かってるのは、母親が元父親に呼び出されて、その日から帰ってくる事がなかった。数日後、遺体となって発見 ってだけ。陣の父親は、陣や母親を嫌って、暴力をふってたらしい。酒癖も悪ぃし、ろくに働かねぇ。
俺も、中1か中2の時に陣の家遊びに行って、睨まれた事あんだわ。
離婚して金も無くなって、元妻への恨みってヤツだろうな。
そんな陣と、元陣の父親の娘は、彼氏彼女って関係で いる訳だから、トーゼン陣のオヤジは怒るべ?
幸い、陣は何も無かったんだけど、そんな辛すぎる過去を知っちゃった陣の彼女が、死んじまったんよ。
大事な人を二人も、それも父親のせいで失って、夜な夜な峠走っては、あの世に行こうとしてる。
リクヤ)自分の腹をナイフで刺せないからそーやって紛らわそうとしてんだろうケド。最近は、色んなクルマにぶつけるようになった。まるで、あの箱根の死神と同じサ。アイツは2年前に消えたけど、陣は4年前から今までずっと、まだ消えてない。
アイツも結局、父親と同じ人間になっちまったな。
アオト)陣サンの父親は確か、2年前に亡くなってますよね?
リクヤ)酒の飲みすぎよ。肝臓ガンだったっけ。葬式には陣は来てたけど、死んだ父親の顔見るなり歯食いしばって睨んでた。
旭)その4年間に、お前らが終止符を打つ…と。
アオト)そういう事です。

一方、マツダ箱根ターンパイク
ターンパイクは、箱根ターンパイクから、TOYOタイヤに、名前を決める権利があり、TOYOタイヤターンパイクでしたが、それがマツダに移りかわり、マツダの箱根ターンパイクとなりました。

ブォオオンッ…ドギャアアッ!!!
黒いスープラ。恭介ではない。陣のスープラである。
陣)同じFRでも、このモンスターには勝てねぇさ…!!
ゴツッ
走り屋)…!? マジかよォオオ!!
ギョォアアアアアアッ!!

S13シルビア、たまらずスピン!!壁スレスレで停車。
走り屋)運が悪すぎる…あんな事する奴はアイツしかいない…
『箱根の悪魔』…!!

CODE:F series3 5話「箱根の悪魔」(総合34話)

※番外の続きです。

ジン)親父ィ。テメェが俺のを全てを狂わせたんだ。
ジリジリジリジリ…ミィーン ミンミンミンミン ミィーン…

陣は、自分の父親の墓の前に立ち、ウィスキーが入ったビンを投げつける。
パリッ! ドバドバァ…

ジン)じゃあなッ。あの世で女と仲良くやってろヨ。クズが。

ドチャ キュルルッキュッキュッ ブォッブォオオオオン! キュルルゥ…

箱根ターンパイク(マツダ)

ジン)高校、大学、人間共の俺に対する視線は冷たく、俺を捨てた。全員敵だ。ただ、クルマだけは裏切らねぇ。この、スープラだけは…

ブォオオオオン!!キュルルゥッ…

リクヤの目の前をスープラが走り去って行った。
リクヤ)陣。もうすぐだ。待ってろよ。

そういって、リクヤはインプレッサに乗り込み走り出す。
車通りは多いわけでもなく、ちらほらとファミリーカーやトラック等が見えている程度だったが、リクヤにとってはずっと先にいるスープラしか、目に入っていなかった。料金所を過ぎたあたりで、そのスープラの姿は見えなくなった。

リクヤ)…。

一方、木崎家宅
アオト)次は、七曲がりか…
ミドリ)あー。テクニカルー。
アオト)約1400m区間でセクション分けされてる。
2セクは、コーナーが数えるほどしかない。
ミドリ)1つか、2つぐらいよね。
アオト)相手にはおそらく、FDがいる。
だが、FDvsFDにはならないだろう。
ミドリ)コーナリングマシン同士の戦い…
他の1台は?
アオト)情報が出ていないみたいだ。地元のギャラリーにすらあまり知られていない。
あ、そういえば、ミキトのFDを今度、デチューンするんだ。峠用のセッティングにする。
ミドリ)ほへー…そういや、兄貴の車も最近見かけないよ?
アオト)ヤビツ峠でのバトル中に言ったろ…問題はない。
ミドリ) (やっぱ気になるし…)
翌日、GRtuneガレージ内にて
アオト)トルクは40kg-mに抑え、パワーも450psに…
旭)峠のFD感は満載だなw
アオト)ですね。ミキトにはこれぐらいの方が乗りやすいでしょう。
旭)ところでだが、アオトくんヨォ、君のFDも、やる事があるな。
アオト)ええ。昨晩、ミドリが凄く気になっていました。バレるのも時間の問題かと。
旭)バレたって構わねぇサァ…
パワーをアップするぞ。相手が相手だしなぁ。
アオト)700psスープラ…!!

5話 完

CODE:F series3 6話「異次元」(総合35話)

七曲がりでのバトルが行われる2日前の事
木崎家のリビングのテーブルに置かれた手紙をミドリは見つけた。

ミドリ)「次のバトル、俺は行けない。」
え?なんでよ…困るわァ

「次のバトル、俺は行けない。今のお前達なら勝てるハズだ。村岡がついてる。心配しなくていいよ。」

ミドリ)はいはい。ミキトに伝えます。

パサッ

一方、GRtuneサイド
アオト)なぁ、高塚。
高塚)なんですか、アオトさん。

高塚 雄二(タカツカ ユウジ)
キャラ説明は、29話に記載されてます。

アオト)次のバトル、お前と村岡で
仕切れ。山崎はまだ慣れてないハズだ。
今回の、俺のバトル、この話を知っているのは、お前と旭さんだけだ。
俺は、リクヤさんと、走る。心配するな。
高塚)分かりました。俺は、何も心配してなんかいませんよ。
旭)アオトくん、来てくれ。
アオト)はい、出来ましたか。
旭)あぁ。TD06のツインターボ、12Aを2個つけて、4ローター化した。500psは余裕。2.6Lと大容量、大トルク。だけど、無理はすんな。エンジン、タービン共にそこまで耐えれるわけじゃない。
アオト)分かってます。
ブォオオオンッ…バラララ キィ ドッ
リクヤ)よっ。来たぜ。箱根ターンパイクでのバトルは無理そうだろ。
アオト)いえ、行けます。
リクヤ)それだけの車に仕上げたのか…恐ろしいな。
旭)リクヤのインプにも、紅い閃光と同じようなチューニングを施した。600psはいける。
リクヤ)どうも。あ、なぁ、アオト。
アオト)はい?
リクヤ)七曲がりの次は、確か長尾峠だったろ?ミキトとのバトルの相手は、おそらく俺の弟だ。
アオト)リョウ君ですか。分かりました。
リクヤ)8A-Gターボのハチロクで、FDを迎え撃つとか言ってるぜ。エアロタイプをD SPEEDの物にしたらしい。おとなしい見た目とは裏腹に、恐ろしく速い。あんなの86じゃねぇよ。
旭)面白そうじゃねぇか。俺も行くか。

高塚)それじゃあ、セッティング出しに行きますか。
旭)だな。
ブァアアアアアンッ!! バラバラバラバラッ(FD)
グルォオオオンッ! ブォッブォッブォッ…(インプ)

アオト)俺のF  Dに限っては、うるさすぎて車 内での  会話もままな ーらないな…
高塚)で  す ね… 途  切れ途 切れでし か聞こ  えない

リクヤ)すげぇな…
旭)こりゃ、5km先でも聞こえるレベルだわ。
(※マジです。)

FDには、アオト、高塚。インプには、リクヤ、旭が乗り込む。
そして、ターンパイクに向かっていく。
マツダ箱根ターンパイク
インプ、FDとスープラがすれ違う。

陣)…! アイツらを…俺は知ってる…
アオト、リクヤ)…!!
リクヤ)陣。あと2日だ。
高塚) (まさかアレが…!?)
そして駐車スペースにて

ブォオオオ…キィ ドチャ
陣)…。
リクヤ)よぉ。陣。
陣)何をしに来た。わざわざ有料で700円払ってまで来るところかよ。
リクヤ)安心しな。3日後にはもう来ねぇ。お前を止めれたらな。親父への怒りを一般人に向けてどうすんだよ。
陣)俺の周りは全員敵なんだよ。だから、全員潰す。

6話 完

CODE:F seriesZERO 1話~4話

CODE:F series3 7話「無名のチーム」(総合36話)

CODE:F遠征地  神奈川県足柄下郡箱根町・七曲り神奈川県道732号湯本元箱根線
通称、七曲がり
ここでは、アオトなしでの二回目遠征バトルが行われようとしていた。※seriesZEROとの同時進行

ブォオオオ…キィ
高塚)すいませーんっ!遅れましたァ
ミドリ)高塚、どこ行ってたの? 兄貴の所?
高塚)え、あ、いえ、違いますよ?アオトさんは、緊急の手術で病院にいるとか…
ミドリ) (どうして手紙には理由を書かなかったのよ…それに、FDを持ち出して何かする必要はあるのかしら?)

ミドリ)まぁ、いいわ。あれ?高塚のアテンザは?
高塚)いえ、今日は、タクシーで来てます。
(マズイな…今回のバトル、一番大事なのは、ミドリちゃんのS2000対相手のFD。ミキトは今回のバトル、確実に落とさない。ミドリちゃんのバトルが終わり次第、ソッコーでターンパイクに向かう…!!)

村岡)おーい!相手チームの先方さんに挨拶しにいくぞォ!

?)今回、あなた方のバトルの相手をさせていただく、チームspace(スペース)の白井 雄斗(シライ ユウト)です。下りの方を担当しています。
?)同じく、spaceの豊中(トヨナカ)です。上り担当です。ヨロシク。

CODE:Fサイドの紹介、挨拶も済み、上り戦のミキトvsトヨナカのバトルが始まろうとしていた。

村岡)ここでミキトの相手ドライバーの車が明らかになったか…プラクティスは前日に終わらせてるし、どんな車が相手でも楽に戦えるセッティングにはした。
ミドリ)相手の車は、どうやらランエボの5ね。
村岡)4WD相手だろうが、首都高ランナーから峠に行ったミキトのFDなんだ。デチューンしても速いだろう。というか、それとは違って、気がかりな事があるんだ。
ミドリ)なに?やっぱり兄貴?
村岡)いや、もちろんアオトの事も気になる。けど、俺らが色々言ってどうにかなるわけじゃないから、それじゃないんだけど、相手のチーム、情報が全っ然出回ってなくて、めっちゃ困ったよ…
ミドリ)今回のバトル相手にあのチームを選んだ、いや、存在を把握できたのはどうして?
村岡)あのチーム、昔は有名な走り屋だったんだよ…でも、なんでか活動が減ってきて、今は、地元の奴すら分からない、知る人ぞ知る無名のチームになったんだ。このチームの存在を知っていたのは、Fで俺とアオトだけ。あのチームはサーキットでもRE Sと、つるんでたそうだけど。けど、お前は強豪チーム以外は気にしなかったしなw
ミドリ)うん。全然覚えてないし。

高塚) (ミキトのバトルが)最初か…なら、山崎にS2000のセッティング法を教えて、ターンパイクに向かうとしよう。)

山崎)カウントいきますよー!6、5、4、3、2、イーチッ ゴーゥッ!
ミキト 先行  トヨナカ 後追い

ブォオオンッ!! キュルゥ ヴィイインッ!!
ミキト)バトル開始すぐに連続コーナーが来るぞ…
トヨナカ)ほう。これがカラスFDか。ま、ランエボに煽られる事の怖さを、トラウマを、アイツの心に植え付けてらるよ。せいぜいプレッシャーに負けて事故らねぇよう頑張りな。
ミキト)分かる…!!この人、バカに出来ない速さだ…!! ランエボに乗るからには自分のテクに自信があるんだろうけど、それは自信だけでなく、まるで鬼ごっこの一人狙いみたいな…とにかく、煽り方が不気味だ…!! 全く動く気配がないのに、逆にミスしそうだよ…

一方…
高塚)山崎君!
山崎)はい、なんでしょう?
高塚)俺は、このバトルが終わり次第、仕事の都合で別の場所に行く。だから、S2000の最終的なセッティング法を教えておく。

ブォオオオ…キュルルゥ
ミキト)もうすぐ、連続ヘアピン…相手が仕掛けるとしたらどこだ…ここは、まず ない…
3セクのロングストレート? いや、ドラテクに自信があるならそこを選ぶはずがない…だとすれば、4セク!土壇場でくる!こっちがFDだからって舐めてる間に3セク終盤で勝負を仕掛ける!!まずはこの連続ヘアピン!
ブォオオオ!!ドッ ギャンッ! ギョワァアアン!!!

トヨナカ)コイツ、ただのFDじゃねぇ…パワーが凄ぇ事ァ知ってた、だけど、それがここでバランスよく走れるのかは疑問だったが、やはり峠用に馬力を下げていたか…!!

ギョワワワワッ パッ…『~バシュンッ!~』
トヨナカがFDを一瞬見失いかけたのだ。それは、トヨナカの、後追いで恐怖心を煽る作戦が破れた瞬間でもあった。これが後に自分に帰ってくる事を、トヨナカは知るよしもない。

7話 完

CODE:F series3 8話「煽り、煽られ、折れた心」(総合37話)

推奨BGM『Kaioh / Sunlight』
七曲がり 上り 第2セクションの連続ヘアピンに突入 前にいるのは、FD。

ミキト)うぉおおおッ!!
ヴィイイインッ!! ゴギャアアッ! ブォオオンブォンブォン
トヨナカ)ヘアピンを曲がる速度じゃねぇだろ…!?

ギョァアアッ!!『~バシュンッ~』(FD)
トヨナカ)まただ…ハッキリと分かる…置いてかれる…!! クッソ…俺の作戦が!!

一方 CODE:F チームサイド
高塚)ダメだ…間に合わない…もう行こう。山崎、すまない。俺は行く。
山崎)あ、はい!分かり…ました。

高塚の向かう場所、それは、36、37話と同時に話が展開しているCODE:F series ZEROを見れば分かるハズだ。

ブォン…ボボボボボ…
山崎)ミドリさん、高塚さんが出ました。セッティング出しをするように頼まれてます。あ、あれ?バトル、まだ終わってないですケド、どうしてエンジンかけてらっしゃるんです?
ミドリ)決まってるじゃないの。ミキトのバトルは、1本目で終わるわ。
山崎)そうなんですか…。あ、えと、この峠にはBパターンの足がよろしいかと。
ミドリ)ん…。じゃ、もうちょいキャンバー角、プラスしていいかも。跳ねすぎると困るわ。
山崎)分かりました。

そして、バトルサイド
ブォオオオンッ!! ギョァアアア!! ブォオオ! ギョァアッ!
ミキト)よし、連続ヘアピンは抜けた、この時点で、3mくらいのアドバンテージ、リードを広げた。
そして…第3セクション通過!! 作戦を仕掛ける準備に入る…!!
トヨナカ)煽り散らして、恐怖心を募らせるハズが、俺が逆に心を煽られてる…負ける…コイツにだけじゃなく、自分にも負けちまう…!! 声がかすれてる…心臓の音しか聞こえない!
… ドクンッ……ドクンッ……ドクンッ……

ギャラリーA)ここの上り、第3セクションは、下りだと、2セクになる。どっちから来ても、直線が長い事に変わりはない。とにかくここはコーナーが1~3つしかないんだ。真っ直ぐにしたクリップを、真ん中で180°に折り曲げたようなグルンと回る大きなコーナーを抜けたら、また直線…俺は何度もCODE:Fの追っかけをしてるから分かるんだ。上り担当の、楠田が仕掛けるところはここしかない。spaceの豊中の戦意が喪失していなければついていける。多分、「楠田 未生斗」と言う男の後ろは、本当に精神が崩壊するくらいヤバいらしいんだ。アイツが首都高ランナーだった時、湾岸で、ミキトにチギられた奴が、皆口を揃えて言う言葉、それは…「怖かった。」と。
そうだね
ギャラリーB)湾岸のカラスの中で一番恐ろしいのは、ミキトかもな…
ギャラリーA)あぁそうさ。アイツに勝てるとすれば、たった1人。青いカラス。
ギャラリーB)木崎 兄…か…。

ミキト)よし…大きめのコーナー、1つ曲がって、仕掛ける所は、ここからァアアア!!

推奨BGM『DAVE RODGERS / I WANT TO FEEL』
ヴィイイイインッ!! プッシャァアアア!!
トヨナカ)…ヒィッ!? ついていかなきゃ…い、やられる!!
ドクンッ……ドクンッ…『ポキッ』…
トヨナカ)あ……? 今の音は……? もう、俺は無理なのか?

豊中の心が折れたと同時に、ミキトは異次元の加速でエボ5を突き放し、そのままFINISH。

ブォオン…ドドドドド…
『パシィッ!』緑とミキトがタッチを交わす。
ミドリ)じゃ、行きますか…っと。
ミキト)頑張って…ください。
ミドリ)え? いやいや、勝つわよ。大丈夫。
シライ)じゃ、宜しく頼む。
ミドリ)…OK。
ヴィイイインッ!!  ブォオオンッ!!
白井 雄斗(FD3S) vs 木崎 緑(S2000) 七曲がり 下り 白井 先行、緑 後追い
推奨BGM『FASTWAY / OPEN YOUR FIRE !』
山崎)カウントォオ!!行きまァアす! 6、5、4、3、2ィ…
シライ)っし。やったるか。
山崎)イーチッ…ゴォーッ!!
ブォオオブォンブォンブォン!!

8話 完

CODE:F series3 9話「トレース」(総合38話)

ブォオオ…ブォンブォ…ギョァアアアッ!!
ミドリ)ついていける。遅くはない。
シライ)んー…気掛かりだぜ。女の子を俺のバトル相手にするとは…舐めてるのか?
ヴィイイインッ!! プッシャァ
ミドリ)コイツ、変な動きをする…アタシが女だから流してる? そりゃないか…じゃあなんだろう。この違和感。

一方その頃、同時刻、椿ラインにて…
ブォオオオンッ!
白いスープラのサウンドが、夜の峠に響きわたる…
ギュルォオオオ!!! グウゥン…
?) 内野 陣ねぇ…同じ700馬力のスープラを操る者として、一度走ってみたいな。

視点を、ミドリのバトルサイドに切り替える。
ゴシャァアアッ!!
ミドリ)2セク突入。ん…?あれ? あ、1mかな…離されてた…
ブォオオンッ!
シライ)気付いてないな。俺は、ローペースで徐々にアクセルを踏んでいくスタイル。知らない間に「ポン」と車間が開いている事に気付けても、コレが作戦の1つだと ようやく気付くのは、君が負ける時だ!!
ヴィイインッ! 『シュッ!』
ミドリ)錯覚じゃない、離されてる。自分が遅いワケじゃない。相手のペースに合わせてやろうと思えばそうする事も出来る。なのに、それをしないのはどうしてだろう、アタシ。
『シュッ…』ブォオオンッ!! ギョァアアアアッ!!

推奨BGM『LIA / AII AROUND』

ミキト)山崎さん。
山崎)どうしたんだい?
ミキト)最近、ミドリさんの走りが変わったんですよ。余裕が見えると言うか…でも、気付くと自分と全く同じ走りをされてる気がするんです。
山崎)ほへぇ…そんな進化に気付けるんだ…
ミキト)はい、まぁ…
山崎)今回のバトルで、真相が明らかになるんじゃないかな。ミドリさんにはミドリさんなりの何かがあるんだ。ただの速さじゃなく、頭を使った走りが出来るだけじゃなく、やっぱり闘争心ってヤツが、他の人とは全く違うんだろうね…今は冷静だろうけど、それを剥き出しにするときが、本当の勝負だよ…!!

ミドリ)3セクに入った…いっちょやってみっかァア!!
ゴワァアアアア!!
シライ)なんだ。この気配は…クッソ…! ペース上げっかァ!?
ギュォオオオッ!!
FDの白いオーラとS2000の緑のオーラがぶつかりあう!

ミドリ)トレース走り…!!
シライ)張り付かれた…!!
ミドリ)アンタのラインを全てトレース、完全にコピーする!! アタシの、『異次元空間』の入り口へようこそ…♪
ブォオオンッ!! ドギャァアンッ!!
シライ)なんなんだコイツ…!! この連続ヘアピンで離すぞ…!!!!
ミドリ)っ…ココしか…ない!
グッ…グォンッ!
シライ)ノーブレーキ…!? いや、それはない…まさか!!
ミドリ)渾身の一撃ィイイ!!レイトブレーキング!!
ギャラリーA)ぉぉおおお!!右のヘアピンに入る直前、FDとS2が並んだァア!! S2がインを取ったァア!!
その他ギャラリー)オォォオオオ!!
ミドリ)抜いたァ!! まだよ、アンタは異次元空間に入ったばかり!!
ついていこうと、アタシのペースに合わせてアクセルを踏み込む…その時点で負け確定! 自分のペースは守りな!
シライ)焦んなぁ…抜かしゃァいい!

シライ)ぬっ…ペースが速すぎやしねぇか…!? ついていけるのに、抜かす事が出来ない…!! いや、コレは…引っ張られている!! クッ…これ以上はもう意味がない…。完敗だ。恐ろしいわお前ら。
ブォオオオ…… パシュゥ…
ミドリ)離脱。完全に私の勝ちね。

CODE:Fの第2戦は激闘の末、見事勝利を手にした。
その日から1日が経過した。この日の夜、椿ラインには白いスープラが姿を現した。
ギュルォオンッ!! ゴギャァアアッ!!
陵)…。
スープラが陣の、目の前を走り去る。
陣)…!! (なんだ…あの見慣れない奴は…。)

9話 完

CODE:F series3 10話「ラスト、陣。」(総合39話)

[seriesZERO、4話から]
バトルの場所は…… 「椿ライン」
39話↓

ブォオオオンッ!! ブォオオッ
内野 陣(先行)vs 新井 凌(後追い)
椿ライン 下り 夜
陣)コッチのタイミングでスタートか…最後のバトルの相手がこんな奴になるとはな。成りゆきで始まっちまったバトルだけに、納得がいかねぇぜ。ガッカリさせんなァ…!!
ブォオオオッ!! キュルルァアア!!
凌)始まった…!!

推奨BGM『MANUEL / NEVER SAY NEVER』

陣)普段、神奈川では一番楽しいとされているワインディングコースが、夜になれば俺たちみたいな連中の聖地になるんだ…!! おまけに このコースときたらテクニカルなコーナーが多すぎる! ナメんなぁ…!!
ドギャァアアアッ!!

凌の、弱アンダーの特性を活かした走りは、他とは違い、曲がる為に減速するのではなく、曲がれないからこその減速と言う考え方をするのが妥当だろう。
本人にとっては、全くもってこの表現のしかたとは違うのだが、見てる方からすれば、アンダーステアを速さに変えているように見えるため、先ほどのような表し方になってしまう。

陣)危っ…!!
ギョァアア!!
凌)っ!
ドギャンッ!! ゴワァアア!!
陣)なんだそのコーナリングはァ…!?
凌)2セクに入って、早くも横一列に並走…

2台の700馬力オーバー スープラは異様な音を響かせてストレートを駆け抜ける!!

陣)ブチ抜かれたァ…!!
凌)と言っても、すんなりと逃げ切らせてくれる訳ャ ないよな!
プッシャァアア!! ブォオオンッ!! キュルルゥ…
陣)しゃぁねぇ…連続コーナーだらけの後半セクションで抜き返したるァア!!
凌) (来てみろよ…!! 箱根の悪魔!!)

陣)ここからだ。第3セクションに入る…。
凌)恐ろしい威圧感…!! 来る!!
ブァアアアンッ!! コツンッ ベタァ
白いスープラのリアバンパーをつつき、べったりと張り付く青いスープラ。
陣)おるァ!
ブォオァアンッ!! ギョワァア
陣)左、右、左、連続するM字のコーナー!!
ブォオオッ スゥゥーッ キュィイイッ!
凌)アクオフ、ちょいちょいブレーキかけながらコーナーを抜ける!!

陣)…油断したなァ! 立ち上がり、ミスったかァ!? スープラの乗り方を知れ!!
凌)ぅ゙ッ!
ブォオオン!!
青いスープラが白いスープラの前に出る。

10話 完

CODE:F series3 11話「亮のお楽しみ」(総合40話)

バトルは、第4セクションに入り、陣が逃げ切りかと思われたその時だった。
ブォオオンッ!! 「ズリッ」 ギュイイッ
陣)おいおい…ここでタイヤがくるかよっ だが、ここまで来れば抜かれる事ァないな!
凌)もうどーにもならん…仕掛ける場所は、ゴール前、約30mの直線!!

陣)おい、嘘だろォ…!?
タイヤの熱垂れによって外側に膨らむ青いスープラ。それに追い討ちをかけるようにして、白いスープラがイン側をこじ開けながら、並走。
ゴールまで、残り、

凌)約、20m…!!
グゥインッ! ギョァアアッ!!
陣)残り10mあるか!?ないか!?

白いスープラは、直ドリ状態で青いスープラをブロックし、そのままFINISH!!
このバトルを制したのは、新井 凌だった。
数分後、スープラから降りた陣の顔の表情は、怒りそのものだった。
陣)ふざけるのもいい加減にしろよ。
凌)どういう…事だ?
陣)まさか俺のラストランがこんな風にして幕を閉じるとはな。まるで、どいつもこいつも、俺に「もう潮時か」なんて思わせたいと言わんばかり。
凌)そんなの知ったこっちゃないぜ。
陣)だろうな。俺は、お前の速さが気にくわない。負け惜しみなんかじゃない。{青斗}よりも速い奴がいる事に怒りを覚えているんだ。だからと言って、アオトが動き出す訳でもない。だからと言ってこの事を隠し通そうとしている自分にも腹立たしくて、もう意味が分からねぇ。だからと言って、お前がどうにかなるわけじゃない…。
凌)…。
陣)すまない。深く考えるなよ? 俺の勝手な言い分だ。気にしないでくれ。俺はもう帰る。
単純に一言で言おう。お前は速かった。それだけだ。じゃァな。
キィッ ピピッ ドチャッ バタムッ! キュルルッキュッキュ ブォァアアアンッ!! ブォオンッブォッブォ ブォオオンッ!! キュルルゥ…((エンジン始動からここまで長っw
凌)なんだよ…全然、悪魔じゃねぇじゃん…

一方、CODE:Fの遠征先は、いよいよ神奈川エリアラストの長尾峠に進出。
その前日、そこら中で知らない人間はいないと言われるほど有名で、サーキットではRE-Sともつるんで走っていた長尾峠のチーム「NS」では、とんでもない事が起きていた。

11話 完

閲覧数?