500年後からの来訪者After Future4-9(163-39)

Last-modified: 2016-11-08 (火) 20:03:39

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future4-9163-39氏

作品

各国を経由して我が社の支店があるフランスへとやってきた。ジョンと俺で色々と調べてみたが、イタリアのような危険度はないらしい。温度調節やUVカットを含めた閉鎖空間とコーティングを施しておいたからこれで彼女が銃弾で撃たれて死ぬことは無い。とはいえ、そこまでの状況に陥ってしまえば、いくら説明したところで精神的ダメージを受けてしまう。マネージャーに詳しい内容を告げて無事に連れて帰るとは伝えたし、再度記憶操作をすることになら無ければいいのだが。かなり遠回りはしたものの、これで異世界人についてヒロインに説明することができた。ヒロインもハルヒ二人が揃ったところを見てみたいとも言っていたし、いつでも日本に連れて来られる。ヒロインを寝かせたところで、イタリアマフィア潰しを再開した。

 

 全て壊滅しなければこちらに被害が出る以上、一つたりとも残すことなく組織を潰さなければならん。その中の組織と密輸入をしていたアメリカや中国などのマフィアが襲ってくれば、それもすべて沈静化させないとな。すでに末端組織はすべて潰したが、リーダー格は頭が良くても、部下がアホの谷口のような連中であればやることは変わらん。俺たちのせいでヒロインは精神的に淀んで、リムジンの運転手が殺された。イタリアの社員で一人暮らしをしている社員はすべて本社の下層階に住みこみで働けるように手続きをした。引っ越しも終わらせているし、後は俺たちが動けばいい。今から行く組織のアジトもハルヒ達が満足するほどではないが、それなりに人数も多く、やっていることも末端組織とは大違いだ。麻薬をどうするかが問題だが、俺たちが持っていてもメリットが一つもない。一度ハルヒ達と相談することにしよう。向こうもそろそろ夕刻だ。
「よう、こっちから来てやったぞ」
「ひっ、に、逃げろ――――――――!!」
『うわあああぁぁぁ―――――!!』
朝倉のように異空間に閉じ込める、影分身で逃げ場を無くす、エネルギー波一発で全員塵にするなどいくつか選択肢はあったが殺気を放っただけでピタリと止まった。これ以上逃げようとしたら死ぬとでも思ったんだろうが、勘違いしてもらっては困る。
「折角来てやったのに逃げることはないだろう?少しはイタリアマフィアの意地を見せたらどうだ?」
「頼む!見逃してくれ!」
「見逃したところで、どうせまた襲撃に現れる。重症を負わせるのならまだしも殺されたんじゃ生き返らせることなんてできないんだよ。おまえらを見逃して俺の仲間やうちの社員を脅すようなアホが仕掛けてきた時点でこっちの犠牲者が増えるだけ。ならばいっそ、おまえら全員俺たちで潰すまで。アメリカの連中も、ある程度の組織を潰したところで、敵に回す相手を間違えたと判断して、それ以降は一切攻撃を仕掛けて来なくなった。おまえらにそれができるか?全組織に連絡して絶対に手を出すなと念押しができるか?何かしらの形で、一人でも俺たちの邪魔をして来た時点で、今度こそ全組織を壊滅させる。他の組織の雑魚が何かしたとしてもおまえら全員の命が無くなると思え!それができるのなら見逃してやる。来てすぐ逃げられるんじゃこっちも拍子抜けするんでな」
「や、約束する!!ファミリー全体に誰一人として手を出すなと伝える。だから頼む!!見逃してくれ!!」
「次に来たときは、容赦なく潰す。あとはおまえたちでなんとかしろ。じゃあな」

 

 やれやれ、この調子じゃ他の組織に行っても似たような状態になるだろうな。いい時間だし日本に帰ろう。あんな状態じゃ張り合いが無い。少しでも子供たちとの時間を作るか。今頃、夕食を食べている頃合いだろう。
「ただいま」
『キョンパパ!!』
「ちょっとあんた!朝比奈さんから聞いたわよ!?一夫多妻制にするって、どういうつもりよ!!」
「待ってください!キョン君もハルヒさんもわたし達のお願いを叶えてくれただけなんです!何度もアプローチしてやっと二人がOKしてくれたんです!責めるならわたし達にしてください!キョン君もハルヒさんも何も悪い事はしてません!」
「だとしても、あんた一体これからどうする気なの?」
「とりあえず、この後六人を連れて結婚指輪を買いに行く。結婚指輪さえはめてしまえば、佐々木たちもデザイン課の男性陣からのアプローチも無くなるだろう。ただし、六人は左手の薬指に指輪をはめても俺の左手にはハルヒとの結婚指輪一つのみ。それ以外はネックレスとして常時つけていようと思ってる。ただ、W朝倉W古泉を除くほぼ全員が俺と同じ名字になってしまう。名前で呼ぶのは抵抗があるというメンバーもいるはずだから、呼び方はこれまで通りで統一したい。それに、今後もそれぞれ自分の部屋で生活する。一夫多妻制を採用しても、妻全員と99階で寝るわけにもいかないんでな。そこはちゃんと線引きをしておく。まぁ、たまにはそんなことがあってもいいとは思うが、ハルヒの機嫌を損ねるような真似だけはしたくない。優先するのはハルヒと双子だということに変わりは無い。俺からはそんなところかな」
『くっくっ、僕は今歓喜に満ち溢れているよ。断念するしかないと思っていた一つ目の存在意義を満たすことができるようになったんだからね。その相手はキミしか考えられなかったんだ。朝比奈さんからそれを聞いたときの僕の喜びがどれだけ大きかったかキミにぜひ伝えたいんだけどね。どうすれば伝わるのか教えてくれたまえ』
「北高時代の古泉じゃあるまいし、おまえらも表現の仕方が大袈裟すぎる」
「おや?北高時代の僕がそんな風に見られていたとは思いませんでしたよ。一夫多妻制の話はここで区切らせていただきたいのですが、そちらの方は今どういう状況なんです?加えて、野球の試合には出場できるんですか?」
「例えば…『あなたには予知能力でもあるのですか?ここまであなたの想像していた通りに事が運ぶと、圧巻としか言いようがありませんよ』とか言ってたし、過去の古泉を見た森さんが北高時代の古泉を思い出したなんて話になっていただろ?とりあえず、今フランスのホテルで眠っていることになっている。明日はフランス時間で十一時の飛行機で空港を出て、日本時間で土曜の午前四時に韓国に着く予定だ。それから、各TV局を回ることになっている。それが終わり次第、モスクワに向けて出発する。俺も計算を間違えていてな。韓国に向かう飛行機に乗っている最中に試合だとばかり思っていたんだが、もう一回計算をやり直したらこうなった。夕方にはモスクワへ行く機内の中だから間に合うとは思う。もし時間が押していたり何かトラブルが起こったりしなければ大丈夫なはずだ。それに、出番が来るまで影分身で取り繕うこともできる。とりあえずここで一旦話を切る。何かあれば言ってくれ」

 

「それは手厳しいですね。確かにそのセリフを言った記憶もありますし、先日森さんがそう仰っていたことも覚えています。あの頃の僕のセリフを一語一句違うことなく言われたようにしか聞こえませんでしたよ」
「打順やポジションは入れ替えなくてもよさそうですね」
「他に何も無いようなら、続きを聞かせてもらえないかね?」
「ここに来る前にイタリアに寄ってきたんだが、組織のアジトのど真ん中にテレポートしたら、全員で逃げようとしてな。殺気を放ったら止まって話をすることができたんだが、今後、イタリアの組織をハルヒ達が潰しに行ってもSOSと出しただけで、さっきの俺と同じパターンになる。今のアメリカ支部と似たような状態だってことだ。どの組織のアホが俺たちに危害を加えようとした時点で全組織を潰すと脅してきた。あとは報道陣からの偽名電話が沈静化すればイタリア支部はそれで済む。もっとも組織の大ボスが全メンバーを従えてイタリア支部を襲ってくるなんて可能性がないわけではない。だが、イタリア支部に張った閉鎖空間には、その組織の人間はもちろん、銃弾やミサイル、爆弾を投げたら自分のアジトにテレポートするようなトラップを張った。もしそうなった場合は攻撃させるだけ攻撃させたあと俺たち全員で潰しにかかればいい。今心配しているのは、イタリアよりも韓国の方だ。韓国の場合もイタリアと同様狙撃してくる可能性が十分あり得る。色々と調べていたら、煙草の銘柄みたいな名前のマフィアを見つけたよ」
「ってことは、イタリアの組織を襲っても何も面白くないってことじゃない!」
「涼宮さんも落ち着いてください。暴れる場ならすでに用意されています。拍子抜けするようなマフィアを襲うより、我々を倒しに来たという最強メンバーを相手にする方がよっぽど面白いとは思いませんか?海外組も戻すような記事が出ていたのを涼宮さんもご覧になったはずです」
「ふむ、それもそうね。倒しがいがありそうだわ!」
「キョン君、ヒロインさんの様子はどうなんですか?」
「トイレと風呂以外は俺が傍についていないと駄目ってところだ。佐々木と会話するほど話が膨れ上がったりはしないんだが、リムジンの中や機内から自宅にテレポートしたときは、例の一件を連想させないように、なるべく別の話をするようにしている。昨日もスカ○ターで生徒が寿司を食べたときの様子を見ていたり、今度のアテレコの練習をしたり、さっきまで日本のアニメ映画を見せていた。ついでに異世界の話も青チームの裕さんやOGとは違ったアプローチで話してある。『ハルヒさんが二人並んでいるところを見てみたいわね』なんて話していたよ。野球の試合も見に来たいそうだ。とりあえず、イタリア、マフィアに関連する、もしくは連想させるようなことやセリフを避けてくれれば、ここに連れてきたりすることも可能ってことだ。告知が終わったら、引退して我が社で働きたいと言うのも何度聞いたことか、もう数えるのも止めた。これでもし、韓国で似たような状況に陥ったら確実に引退することになるだろう。可能なら、青俺に韓国、イギリス、日本でのリムジンの運転を頼みたい。倉庫は他のメンバーに任せてな。イタリアのVTRを見ていても他の手ならと運転手になりすましかねないってことだ。青俺なら迎撃できるし、リムジンで早々と韓国のTV局を回って空港に乗らないと試合に間に合わない。もちろん韓国の報道陣に双子疑惑が出ないように催眠をかけた上でだ」

 

「だったら、あたし達がそいつらを潰せばいいわけでしょ?イタリアのマフィアなんてもう来ないわよ」
「韓国版アホの谷口は潰してさっさとおかないとな。分かった、リムジンの運転は俺が引き受ける」
「じゃあ、わたしがキョンの代わりに倉庫に向かう」
「組織に乗り込むときはわたしも誘ってもらえないかしら?」
「でも、ヒロインさんも引退してもいいんじゃないですか?黄キョン君も九月にはいってからほとんど寝ていません。そんなハードスケジュールでどこの国で誰に狙われているのか分からない状態じゃ引退したくもなります。わたしもニュースで出ていたVTRを見ましたけど、あんなの黄キョン君じゃないと防げません!SPだけじゃ絶対に無理です!」
「そういや、どんなに体調が悪くてもTV局内では平静を装って無ければいけないとも言ってたな。どうしてフランスの次がドイツやイギリス、スペインじゃなくて韓国なんだって俺も思ったよ。公開日時の関係ってだけで、なんでこんな効率の悪いまわり方しなくちゃならないんだってな。日本でもあれだけ告知したんだから、もう公開したっていいくらいだ。寝るときも今は俺が強引に寝かせて、起きる時間になったら眠気を取って起こしている。時差もあるし、生活リズムなんて狂ってばっかり。体型を維持するためのトレーニングも、告知にリムジンでの移動に飛行機の中じゃ続けられるわけがないとさ」
「そんなにハードなんだ……話を聞けば聞くほど可哀想になってきちゃったわね。イタリアにわたし達の支部があるせいでもあるんだし、ここで働きたいっていうのならそれでもいいんじゃないかしら?こことアメリカ支部なら専属モデルとして働いてもらえるわよ」
「でも、住む場所はどうするんだい?いくらなんでもハリウッドスターを下層階で生活させるわけにはいかない」
「それなら既に対策として考えていることがある。天空スタジアムがお披露目になれば100階からの景色よりも天空スタジアムからの景色の方が見たいと思うようになるはずだ。その分100階をヒロインに使ってもらうか、俺とハルヒ、青俺と青有希の部屋を一つ上に移動させて98階にするかだな。メンタル面のケアは、現状では俺が近くにいないとダメらしいんでな。彼女の自宅をそのまま一フロアで再現してしまおうかと思ってる」
「それだったら別に俺たちまで上げなくてもいいんじゃないのか?」
「まぁ、お二人に対する彼の配慮ですから、いいではありませんか。流石に我々よりも下というわけにもいきませんからね。ところで、裕さんやOGのときとは違うアプローチとは、どのように切り出したんです?今後の参考に教えていただけませんか?」

 

ヒロインがハリウッドスターを引退して我が社の専属モデルとして働くってことがどういうことになるのか説明したかったんだが、話が段々ズレていってしまった。まぁいい、どうやって切り出したか話すことにしよう。
『ブッ!くくっ、はははははははは……あっはははははははははははは……』
「ちょっと待ってくれ古泉。ジョンが今、俺の頭の中で鶴屋さん並の大爆笑をしているんでな」
『鶴屋さん並の大爆笑!?』
「おい、ジョン!何をそんなに大声で笑っているんだ?おまえは」
『アメリカの今朝のニュースを確認していただけだ。新聞の一面を出すから見てみろ』
「アメリカの今朝のニュース?」
机の上にジョンの言う新聞の一面が情報結合された。英字新聞の一面に当たり前のように俺の写真が載せられ、見出しは『He is a CRAZY GOD』と書かれていた。要するに、二つ名が決まったらしい。アメリカでの告知後、報道陣が全米にアンケート取り、その中から選びだしたのがどうやらこれらしい。事細かに他にもどんな意見が出ていたかまでランキング発表されてやがる。
『あっはははははははははは……ジョンが鶴ちゃん並に笑った理由が分かったわよ!クレイジーゴッドって何よ!プッ、あはははははははは』
「くっくっ、ジョンだからこそ大爆笑したに違いない。キミが闘うときの最終形態がまさにこれと連動してるじゃないか」
「やれやれ……年末で見せるつもりだったのに先を越されてしまったな。できるかどうか分からんが、ちょっとやってみるか」
『やってみる!?』
要は金色に光るのを青白く見せればいいんだろ?自分に催眠をかけてハルヒの力が体中を駆け巡っているイメージをしてから、それを一気に解放する。ついでに声帯も変えておこう。
「はっ!」
「なるほど、これぞまさしくクレイジーゴッドに相応しいパフォーマンスですよ。催眠で金色を青に見えるようにしたようですね。超サ○ヤ人ゴッドの超サ○ヤ人とは」
『キョンパパカッコイイ!!』

 

 既に夕食も終え、アメリカの新聞記事に笑い疲れたメンバー達がようやく落ち着いたが、誰も席を立とうとしていない。青古泉もいるし、いないのは青チームの森さん、裕さん、新川さん。
「それで、古泉のさっきの質問に応える前に先に質問していいか?」
「何かあったんですか?」
「おそらく店舗にいるであろう、青新川さん達と交代しなくてもいいのかと思ったんだよ。先に食べたのならそれでいいんだが」
「ええ、こちらの新川さんが早めに夕食を作って、店番の交代に来てくださいました。アルバイトも募集を締め切って、店員に慣れさせている状態です。しばらくの間は店舗を増やさずに人材の育成をすることになりそうですね」
「ん~すまん、明日の夕食、俺が作ってもいいか?青新川さんに伝えておいて欲しいんだが…」
「あんたね、自分で自分の首を絞めてどうするのよ!」
「そうでもない。イタリアのマフィア狩りをしようとしたら、肩透かしを食らって時間が空いたんだ。それに、折角だからみんなのことをヒロインに紹介したい。催眠をかけずに異世界人と一緒にいるってな。引退してここで働くことになれば、こうやってみんなで食事をすることになるし、早いか遅いかの違いだけだ」
「でも、キョン君、明日の夕食って、TV局回っているんじゃないんですか?」
「いや、早く起きる必要はあっても、十一時の飛行機でフランスを出発するから、機内に入った時点でまずはヒロインの自宅で映画を見てから100階にテレポートしてくる。ハルヒや青俺たちはどうする?一フロア上がるか?」
「今のままでいいわよ。双子も間違えて99階押しちゃいそうだし」
「ハルヒさんと一緒。わたし達も間違えそう」
「なら、100階にヒロインの部屋を作ることにする。引退しないで続けるのなら情報結合を解除するだけだ」
「ちょっと待ちたまえ。まだ引退しない可能性だってあるんだろう?そんなことをしたらより引退しようとする意識が強くなってしまうんじゃないかい?」
「でも、もうほとんど引退するつもりなんでしょう?少しでも不安を和らげて上げた方がいいわよ。何かあればここに来ればいいって思わせられれば安心するんじゃないかしら?」
「あたしは反対。告知が終わってもヒロインと過ごさなきゃいけないってことじゃない!あたしも双子も家族の時間が欲しいし、一夫多妻制をOKしたのに他のみんなの時間まで少なくなるじゃない!」
「分かった。100階の模様替えはやめにする。だが、夕食は俺に作らせてくれ。みんなを紹介したらヒロインの自宅に戻るから」

 

「では、そろそろ教えていただけませんか?どのようなアプローチをしたのか」
「披露試写会でも見せたが、今漫画の世界を実写化することにはまっていると説明して、『ドラ○もんって知ってるか?』って聞いたんだ。いくら世界各国で放送されているとはいえ、ハードスケジュールのハリウッドスターが知っているかどうか謎だったからな。そしたら『勿論知っているわよ。日本の漫画やアニメ、ゲームはこっちでも有名だから』と返ってきた。先月子供たちに見せたみたいに、四次元ポケットからどこ○もドアが出てきたかのように見せて実際にヒロインにもドアに足を踏み入れたり、手だけドアの奥に出してみたりしていた。他にも、ス○ールライト、タイム○ろしき、通り○けフープと紹介したんだが、もし○ボックスだけは現実化できなかったと話した。当然理由を聞かれたんだが、『もしも俺の頭が良くなったら』で試してみても俺の頭は一向に良くなることは無くパラレルワールドだけ出来てしまった。これ以上使うといくつも世界ができてしまうからそこで断念したんだが、そのパラレルワールドにも俺やハルヒ達がいて、今は異世界の自分たちと一緒に行動を共にしていると告げた。そしたらヒロインが『ハルヒさんが二人並んだところを見てみたい』と言いだしたんだよ。異世界の自分がどうしているのか聞きにいくのもいいかと思ってその話題を振った。ついでにもし○ボックスを使ったドラ○もんの映画があったからそれを見せていたってわけだ」
『キョンパパ!わたしもドラ○もんの映画見たい!』
「じゃあ、お風呂に入ってからな」
『キョンパパ、早くお風呂!』
「伊織パパ、わたしも映画見たい!織姫と一緒にお風呂にも入りたい!」
「というわけだ。子供たちを風呂に入れてくる。後を頼む」
『お疲れ様~』

 

「しかし驚きましたよ。あの披露試写会でのバトルまで利用したアプローチとは……僕にはそんな発想考えられません」
「ふふっ……」
「あら?有希さん、どうしたのかしら?」
「『もしも俺の頭が良くなったら』で試して黄キョン君の頭が良くならずに異世界だけができた。その異世界のキョンも頭が良いわけじゃなかったって考えたら急におかしくなって」
『あ~なるほど』
「『納得するな!』といいたいところだが真実だから何も言えん」
「キョン君やヒロインさんの様子を聞いていたらこんな時間になっちゃいましたね。折角キョン君が結婚指輪を買いに行こうって誘ってくれたのに」
「問題ない。急いで選ぶより自分の納得したものを時間をかけて選ぶべき」
「それはそうと、W佐々木はどっちが先に子供を産むつもりか決めているのか?できれば幸と双子のように学年が違うよりは一緒の方がいいんじゃないか?」
「バンド活動もあるし、催眠をかけたとしてもライブ中に具合が悪くなることだってあり得るから、二人同時に妊娠するわけにはいかない。でもキミの言う通り、できれば同じ学年になるようにしたいと思っているんだ。これについては黄僕に先を譲ろうと考えてる。存在意義さえ満たせるのならいつだって構わないからね」
「それにしても嬉しいよ。結婚指輪のことまで考えてくれていて、僕たちの分はネックレスとして常に身につけていてくれるんだろう?結婚式はできなくてもいいから、ウェディングドレス姿でキョンと一緒に撮影した写真を部屋に飾っておきたいくらいだよ」
「じゃあ、今まで冊子に載せたドレスの中から選ぶことにします。デザイン課にあるんですよね?」
「問題ない。でもわたしは自分でデザインしたものを着る」
『くっくっ、そうだね、自分のドレスは自分でデザインするのも悪くない。ついでにキョンの分も一緒に考えることにするよ。脚本もある程度できたし、研究に没頭するのはそれからになりそうだ』
「じゃあ、今日はこれにて解散!」
『お疲れ様でした!』

 

子供たちをお風呂に入れて「折角だから大画面で見よう」と子供たちに提案して、子供部屋のベッドに四人で横になった。巨大スクリーンを情報結合して上映開始。子供たちが映画に集中している間に隙を見て影分身を出し、宿泊客がいない事を確認して69階へと降りた。100階は何も弄ったりしないと決まったが、99階に妻全員集まられても困る。そうだな…『ハーレムフロア』ってところか。窓ガラスをすべてマジックミラーに変え、外からは見えない様に配慮。四隅にはそれぞれ違ったお風呂を用意して、風呂の内側にマジックミラー。みくるがこれまで着ていたコスプレ衣装に加えてナース服、北高の制服、男モノのYシャツなどを追加。アダルトなランジェリーや玩具も多数用意した。ど真ん中に円形の大きな天蓋付きベッドを用意。大きめの枕をど真ん中に置いて七人全員抱くときはここを使えばいい。ラブホテルのように回転式にしても良かったがそこまで必要性も感じられなかったからいいだろう。エレベーターで降りてくる以外の側面には個室を三つ用意。一つは全面鏡の部屋にダブルベッド。もう一つは天蓋付きのダブルベッドと遮音膜を付けてカラオケセットを用意。最後の一つは入口のスイッチを入れると天空スタジアムからの景色が堪能できる部屋にした。濃いめのピンクを基調とした天蓋付きベッドや枕、クッション、それに照明。テレパシーで妻を全員呼ぶのも悪くない。一般エレベーターの69階のスイッチを消してSOS団専用エレベーターの方に69階のスイッチを追加した。トイレは女性用だけで十分。青俺&青有希もこのフロアに入ることができるようにして、W古泉、W朝倉など関係者以外には見えないよう催眠をかけたが、朝倉にはバレてしまうだろうな。69階をハーレム部屋に作り替えた分、68階をスイートルームに模様替え。他のメンバーは…もう81階には片付け当番の榎本さんと中西さんだけ。ちょっと見せるだけ見せてみるか。
『おーい、Wハルヒ、有希、Wみくる、W佐々木。妻専用の特別フロアを用意してみたから69階まで降りて来いよ。風呂ならこっちでも入れるようにした』
『あんた、そんなところで何やってんのよ!双子と一緒に映画を見ていたんじゃなかったの?』
『影分身を有効活用しただけだ。いいから来てみろって』

 

 エレベーターが動きだして最初に現れたのは有希、青ハルヒ。
「何よこれ……あんたいつの間に」
「全員来てから話す。とりあえずフロア内を見回ってみてくれ」
次のエレベーターで残り五人も降りてきた。フロアに来て一番に声を出したのは当然ハルヒ。
「何コレ!?」
「いくらベッドを大きくしたからと言っても、99階に全員集まるわけにもいかないだろう?かといって各部屋に影分身すると意識がどれか一つに偏るし、このフロアならみんなで一緒に寝ることも可能だ。まぁ、暫定的に作ってみただけで必要があれば作り替えればいい。因みに窓はすべてマジックミラー。外側からは鏡に反射されて見えないようになっている。風呂も透けて見えるが内側からはマジックミラーだ。個室は全面鏡になっている部屋が一つ、カラオケボックスを備えて遮音膜を張ってある部屋が一つ、入口のスイッチを入れると天空スタジアムと同じ景色が見られる部屋が一つだ。『ハーレムフロア』ってところかな?全員でも二,三人でも来たいと思ったらここにきて俺に連絡してくれればいい」
「問題ない。今日から寝るときはここで寝る。シーツの交換は任せて」
『あっ!(黄)有希さんだけずるいです!わたしもここで寝ます!』
『くっくっ、研究に没頭していても毎日ここに戻って来たくなったよ。帰ってきたら、僕も仲間に入れてもらえないかい?』
「面白いじゃない!これからシャワーを浴びようと思っていたところなのよ。ここのシャワー借りてもいい?」
「借りるも何も、このフロアはここにいる全員のものだ。使ったらまずいモノなんて一つもない」
「ちょっとあんた!子供たちだっているんだから、あたし達が寝るときは99階よ?」
「当たり前だ。今、意識の1%がヒロインのところで寝た振りをしているのが本体、ハルヒと一緒に寝るときは50%だが、今は30%が子供たちと一緒にいる。で、残りがここだ」
「ちょっと待ちたまえ。本体がヒロインのところにいるっていうのは一体どういうことだい?」
「簡単だ。影分身を解けばヒロインのところに戻れるようになっている。余計なエネルギーを消費しなくて済む。告知が終われば本体は家族と一緒に99階。もしここに来るというのなら影分身をここに来させるまでだ」
「あたしは毎日あんたの腕枕がいいな」
「わたしも」
「わたしもここがいいです。でも黄キョン君の両腕が塞がっているんじゃ…」
「くっくっ、それについては心配する必要は無いよ。影分身を増やせばいいんだからね。僕も毎日キミに甘えさせてくれたまえ。いくら遮音膜の張ってある部屋に行ったところであまり話せないようだけどね」
「そういうことになるかな。まぁ、立って話しているのもどうかと思うし、それぞれ各部屋を見回ったり、シャワーを浴びたりしてくれて構わない。そのまま寝たいなら俺が腕枕してやるよ」

 

 すでにシャワーを浴びたらしきW佐々木は影分身一体と一緒に遮音膜を張った部屋へ。青ハルヒは四つの浴室を見て今日はここにすると決めたらしい。浴室に入って服を脱いでいた。ハルヒ、有希、みくるはコスプレ衣装を懐かしく感じていたり、ランジェリーや玩具に興味を示したりしていた。青みくるも浴室を一通り見てまわって青ハルヒとは別の浴室に入っていった。
「キョン、青僕と一緒にこうしているのもいいけど、やっぱりキミのことを一人占めしたい。影分身を増やしてくれないかい?」
「お安い御用だ……って、先に佐々木の方が子供を産むことになったのか」
「そうだね、できれば同じ学年がいい。今日は僕の子宮をキミの子種でいっぱいにしてもらえないかい?」
「横でそんなことをされたら寝られそうにないじゃないか。キョン、僕も同じようにしてくれないかい?」
「おまえらの満足のいくまで付き合ってやるよ」
遮音膜を張った部屋にはダブルベッドに俺の影分身が二体とW佐々木。それぞれお互いを見ながらW佐々木が俺に抱きついていた。各個室に遮音膜と逆遮音膜も張っておくか。いつまで経っても他から声が聞こえてきて寝られないんじゃ困る。コスプレ衣装に興味を示していた三人はそのまま着替え始めて、ハルヒは下着を付けずに黒のバニーガールの衣装、有希は秘部に亀裂の入ったアダルトな下着にノーブラ、北高の制服、さらにその上から魔法使いの衣装を纏っていた。みくるは自分の下着の上から北高時代毎日着ていたメイド服。ったく、用意した俺がいうのもどうかと思うが、そんな帽子を被ったまま寝る気かコイツは。
「財前さんと岡島さんを呼んで仮ENOZとしてライブでもするつもりか?有希は見た目と着けている下着が一致してないぞ」
「今日はこのまま抱いて欲しい」
「あたしもそれがいいな」
「キョン君、わたしもそうさせてください」
「じゃあ、こっちに来て横になれ。三人同時に抱いてやる」
青ハルヒと青みくるの分も含めて中央のベッドには影分身が五体。うち二体はハルヒ、みくると口づけを繰り返していた。青ハルヒと青みくるが浴室から裸のままの状態で出てくると、影分身二体の腕を掴んで別の方向から中央のベッドにダイブ。結局七人とも抱くことになってしまったな。子供たちが寝たところで幸をテレポート。99階にいた影分身を解いた。ちょっとした演出をしてみるか。ハルヒと有希には北高のステージ上にいる催眠をかけ、ステージ上には財前さんや岡島さんもいる。そして何より体育館中の生徒に見られている状態。有希は恥ずかしがることなんてないだろうが、ハルヒは……どうだろうな。みくるには周りが文芸部室に見える催眠をかけ、俺、ハルヒ、有希は勿論だが、古泉や朝倉の姿もある。
「キョン君、こんなの恥ずかしいです」
「あたしも皆が見ている前でこんなこと!」
「ちょっとした演出だよ。この方が盛り上がるだろ?」

 

 しばらくして余韻に浸っている六人に腕枕をして抱きしめていた。五人にはフロアの雰囲気に合ったクールケットをかけ、全裸の青ハルヒや青みくるはそれを隠している状態。ハルヒは胸をはだけてはいるが衣装は着たままだが、秘部が濡れていた。みくるも同様胸をはだけてブラもショーツも脱がせた。有希に至ってはずっと制服を着たまま下着もつけたままだったからランジェリーとスカートが濡れていた。佐々木の方が終わりそうにないため、青佐々木をお姫様抱っこで部屋から出てくると、中央のベッドに横になり青佐々木にもクールケットをかけた。
「こんなんじゃ、99階になんて、戻れないわよ。こんな格好で、明日の朝を迎えたら、双子に、何て言われるか、分かったもんじゃないわ。それより、有希、あんた、そんなに、大声、出せるんだったら、いつも、その声に、しなさいよ」
「いつもは出ない。でもこうしているときは出てしまう。理由はわたしにも不明」
「でも、これから、毎日、こうして、キョンに、抱かれて、いられると、思うと、幸せ。あんた、次は、いつ空くのよ?早く、指輪を、はめたい、のよね」
「大いに、賛成、したいね。キミの、今後の、スケジュールを、教えて、くれたまえ」
「そんな息を切らした状態で無理に喋るなって。シーツだけでなくコスプレ衣装も洗濯する必要がありそうだ。フランスは残り二つTV局を回ったら空港へ直行する。機内に入った時点で、日本時間だと午後六時頃。直接ヒロインを連れて本社100階に来るつもりだ。夕食を皆で食べて、それからヒロインを自宅に送る。寝不足の分しばらく付き合ってヒロインが寝た段階で1%残してこっちに戻って来られる。そしたら今日みたいに一人に付き一体影分身を作って今と同じようなことをするまでだ。韓国に着くのが日本時間で午前四時。青俺にリムジンの運転を頼んで、韓国のTV局を回ることになる。リムジンに乗ったら、他の車を排除してTV局間にかかる時間を短くするつもりだ。それが終わり次第、空港からモスクワに向けて行くことになるから、おそらく試合には間に合う。だが、結婚指輪を買うとなると、韓国でTV局を回っている最中に影分身をこっちに来させることくらいしかできない。当然リムジンの運転は不可能だ。青俺には韓国での運転を頼んであるし、古泉は休みなしで撮影。青古泉は青ハルヒがいる限りリムジンの運転はさせられない。あとは精々青新川さんに昼食の準備も頼むくらいしかできん。」
「じゃあ、朝食後少し待っていれば指輪を買いにいけるんですね?昼食のときに黄キョン君に指輪をはめて欲しいです。それまでに自分のウェディングドレスと黄キョン君のタキシードは決めておきます」
「ちょっと待て、みくるが説明してもまだ母親が口出ししてきたのに、みんなの前で指輪をはめるのか?それに、青新川さんの食事の支度を待っていたら、午前中じゃ時間も少ないんじゃないか?」
「なら、昼食の支度はあたしがするわ。ジョンの世界でやっておけば、土曜の朝食後すぐ出発できるわよ。新川さんにはあたしから伝えておくわ。結婚式じゃなくても、みんなの前でくらいはやらせてよ」
「みくるがあの日の翌日に説明したときの反応がどうだったかは知らんが、青古泉は今後大丈夫なのか?両方のハルヒと結婚する以上、青古泉に睨まれそうなもんだが……古泉と同様の頭脳も持っているし、やろうと思えば俺たちの会社が倒産させることだってできるはずだ」
「心配いらないよ。涼宮さんやハルヒさんがどんな立場であろうと、彼にとっては二人の傍にいられるだけで十分なんじゃないかい?敵対することになれば、それこそ先月の一週間のようになってしまうんだからね」
「そういうこと。目の前でキョンに結婚指輪をはめてもらっても、今まで通りあたしたちと行動するわよ」
「わたしもキョン君に早く指輪をはめてもらいたいです。でも、購入してすぐだと刻印を刻む時間が……みなさん刻印はつけないんですか?」
「そういえば、あたしも青有希ちゃんも購入するだけだったわね」

 

そこにいた六人がみくるの一言で悩み始めること数分。結局多数決を取ることになった。
「じゃあ、刻印ありがいい人!」
青ハルヒの一言に手を上げたのがWみくる、青佐々木。
「青佐々木の手が挙がったってことは佐々木もそうなりそうだな。……って、ちょっと待て。俺は失敗しそうだから断るが、有希やジョンなら刻印を刻めるんじゃないか?」
『あ――――――――――――――――!!』
「ちょっと黄有希!できるのなら先に言いなさいよ!」
「わたしも一緒。試したことがないからできるかどうか不明。それに失敗して情報結合したものをはめるのは嫌」
「じゃあ、やっぱり買ってお願いするしかないわね。みくるちゃんたちは何を刻むの?」
「I love you.とかForever.なんて文字にしたいです」
「記念日を入れるわけじゃないんだ。それならあたしも刻印を入れたいかな」
「ところでハルヒ、結婚していることがバレる前にPVやライブで指輪つけてたりしなかっただろうな?」
「あたしがそんな大ポカをするわけないでしょうが!あ、でもバレてからは気にしなくなったかも」
「参ったね。ライブやコンサート、ドラマ、PV撮影のときは細心の注意を払わないといけないってことかい?」
「特にWみくるは要注意しないとな。冊子に載せる撮影をするときも含めて。というより毎日のビラ配りのせいでほとんど指にはめていられないかもしれん。どうする?」
「Wあたしと涼子や有希、ENOZがメインになりそう。OGも会社を辞めたらこっちにくるだろうけど、流石にみくるちゃん達がビラ配りに一日も出ないのはまずいわね。とくにSOS団のシングルが出るときとか」
「問題ない。曜日を決めて二人とも出せばいい。あとランジェリーや衣装の洗濯もわたしがする。それと、ランジェリーを脱がせて。濡れていてちょっと不快」
「大事な話の最中にそんな大胆発言を入れるな。ったく、自分で脱げばよかったんじゃないのか?」
「くっくっ、キミに脱がせて欲しいのさ。僕も似た場面になったときは多分同じことを言いそうだ」
『あたしも』『わたしもです』
「やれやれ、結局全員か。それで?みくる達と佐々木達は週何回何曜日にする?」
「やるなら土日の休み日を狙った方がいいと思うんだけどどうだい?」
『問題ない』
「とりあえず、土曜日は買いに行くだけ買いに行って、指輪をはめるのは別の日にしよう。それまでに有希や佐々木はデザインも考えておかなくちゃならないだろ?それに、ハルヒ。おまえも一緒に来い。一周年記念とかのときにはケーキだけだったし、おまえも選べ」
「だったら青有希ちゃんたちも一緒に行かないと……って、リムジンの運転と倉庫の仕切りだから二人とも無理ね」
「キョン君にわたし達が合わせたから土曜日の午前中になっただけです。青キョン君たちならいつでも大丈夫なはずです」
「僕は結婚記念日を刻みたいんだけど、できれば指輪をはめる日にしたい。キョン、韓国のあとはどうなる予定なんだい?」
「確か韓国からモスクワまで機内で10時間。そのうち3時間は試合とパーティだし、文字を刻むのに必要な時間を聞いてからでないとスケジュールが組めそうにない。時差の計算をまた間違えるかもしれないし……しかし、結婚式の日が決まってから刻むことも…って、それも俺のスケジュール次第なのか」
「とにかく、かかる日数と購入後に刻印を入れてもらえるのか土曜日に確認しに行きましょ!」
『問題ない』
「じゃあ、このあとは試合に向けた練習だな。みんなお休み」
『おやすみなさい』
俺の方から六人にキスをして抱きしめた。ところでジョン。影分身を残してそっちにいけるのか?俺は。
『キョンのスケジュール的にもかなり時間が迫ってきている。後一体の方も終わらせて寝た方がいい』
分かった。佐々木に声をかけてすぐそっちに向かおう。

 

 ジョンの世界で夕食の支度を済ませて眼を覚ますと、七人にそれぞれ1%ずつ影分身が付き、本体を動かし始めた。俺とヒロインの眠気を取ってヒロインを抱きしめるとヒロインが起きてきた。
「嬉しい。今日もずっと抱きしめていてくれたんだ」
「ああ、ちょっと今日は急がないといけない。先にシャワーを浴びてきてくれ。朝食はリムジンの中で弁当になりそうだ。俺がシャワーに入っている時間は……もしかしたらないかもな」
「じゃあ、戻ってきたらゆっくりお風呂に入ればいいわよ。じゃあ、急いで浴びてくるわね」
なんてな。弁当も既に用意してあるしあとは身支度を整えるだけでいい。しばらくもしないうちにヒロインが出てきた。本当に急いで浴びてきたらしい。相変わらず裸なのは言うまでもない。
「あら?もうお弁当できたの?すぐ準備するわね!」
ちょっと太ったとか言ってたが、どこが太ったのか違いがわかりゃしない。ホテルから出てリムジンに乗り込んだ。狙撃の危険性もなし、リムジンも問題ない。遮音膜を張ってヒロインと話始めた。
「今日、空港についてリムジンに乗ったら、日本に行って夕食を食べながらみんなのことを紹介したい。ただ、俺やハルヒだけでなく、双子が10組くらいいるから心の準備はしておけよ?あ、あと俺たちの会社の支部がある国はリムジンの運転を異世界の俺に頼んだから、マネージャーに連絡して日本と、韓国とイギリスはリムジンの手配のキャンセルをしてくれるか?」
「そんなにたくさんいるの!?見分けがつくかしら?とりあえず、マネージャーには連絡しておくわね。でもその前に朝食を食べさせて!」
「朝食を食べながらでいい。話しておくことがある。『こっちの世界の』とか『異世界の』じゃ言いにくい上に訳が分からなくなるから、色で区別してるんだ」
「色?」
「そう。この世界の俺たちは黄色。異世界の俺たちは青色。名前の前に『黄』とか『青』とかつけて呼ぶんだ。例えば、異世界のハルヒだったら青ハルヒと呼ぶ。ハルヒは異世界の自分だから『青あたし』と呼んでる。逆に異世界のハルヒからは『黄あたし』と呼ばれている。とりあえず、黄色はこっち、青は異世界の俺たちだと思っていればいい。腕にバンダナでも巻いていてもらうよう俺から連絡しておく。テレパシーするから何かあれば終わってからにしてくれ」
「分かった」
ジョン、そっちにまだみんないるか?
『ああ、バンダナの件伝えておけばいいんだろ?それに俺も81階に実体化している。それでいいか?』
大丈夫だ。それで頼む。

 
 

…To be continued