500年後からの来訪者After Future5-13(163-39)

Last-modified: 2016-10-20 (木) 20:40:45

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future5-13163-39氏

作品

このひと月ばかりの間にみんな変わったと青朝倉が言い出したことをきっかけに、以前行った宝探しツアーで獲得した金塊のように、今度はダイヤモンドやプラチナを鉱山から発掘してこようということになった。年末のパーティの際にやる予定だったものとほぼ同等のものが出来上がり、あまりの巨大さに仕分け場所としてサハラ砂漠を選んで作業にあたっていた。そして、本日からSOS美容室がOPEN。第一号のお客様が店内に姿を現した。

 

「お首は苦しくございませんか?」
「はいっ!それにしても、バレーに料理にパフォーマンスに美容師なんて、社長って何でもできるんですね!」
「バレーに関しては個人の実力のみですが、そうですね……つい最近終わったばかりの古泉のドラマをご存じですか?」
「はい!毎週見ていました!……でも、それが何かあるんですか?」
「ドラマの中だけでなく、実際にサイコメトリー能力が使えるんですよ。断片的でなくもっとはっきりとね。勿論そこにいる古泉にも可能なんです」
「えぇっ!?あれってドラマの設定ってだけじゃなかったんですか!?」
「実際にお見せした方がよさそうですね。どんな風にカットをすればいいか頭の中でイメージしていただけますか?細かい注文も含めて遠慮なく。それをサイコメトリーで読み取ります」
「イメージ……ですか?えぇと……」
「OKです、伝わりました。ですが、これだけですと本当かどうか確証が持てないでしょうし、確認作業をします」
「確認…作業というと?」
「いただいたイメージを再度触れてお返しします。自分の注文と合っているか確認をしてください」
こんなことを言っても普通は信用できない。今日は九人だが、日本代表選手たちにも一人ずつ同じ説明をしないとな。まぁ、告知のように何百ものTV局をまわるわけでもないし、何人かに説明するだけで後は噂が広がっていくだろう。どこぞのリフォーム番組ではないが、表情が劇的に変わったのは言うまでもない。
「はい、大丈夫です!これでお願いします!!」
おそらくカチ合うだろうと思って古泉の催眠をかけた影分身を用意しておいてよかった。時間より少し前に来た次の団員のカットに入っている。佐々木たちに用意してもらった冊子にも興味を示しているようだし、夕食前には戻れそうだな。

 

 最後の客が来る頃にはSPと案内で一般人を敷地内に入れ、天空スタジアムへの誘導がほとんど終わっていた。空いている席は多いものの、今回はあくまで臨時のもの。観客たちも少ない方がいいと判断しているに違いない。例の特番もあってか、報道陣が一般客の列に紛れ込むことはなかったが、今回はカメラを破壊しないでおいてやる。明日の放送を確認してからカメラの破壊と負傷者を増やしていく。美容院の照明を切って81階へと戻った。W鶴屋さんもユニフォーム姿で準備万端のようだ。
「ただいま」
『おかえり~』
「どうだい?楽団員たちの様子は」
「ドラマでのサイコメトリー能力を本当に使う事ができると説明してから九人をシャンプー&カットをした。OG達と似たような反応だったから、これで楽団員の方は噂が広がる筈だ。明日からは夜練が終わった後の一時間と金曜日の夕食後に日本代表選手たちのシャンプー&カットも始めたいと思っている。楽団員の美容院の予約については佐々木、日本代表選手の予約についてはOG一人で集約を頼みたいんだがどうだ?」
「でも、それだとキョン君に更に負担がかかるんじゃ……」
「心配いりませんよ。明日以降は今日の逆をするだけです。僕が同位体一体を情報結合して彼に見える催眠をかけます。その状態でシャンプー&カットをすればいいでしょう。いくら人数は多くとも、女性ですし、そこまで忙しくなるようなことは、まずありえません」
「じゃあ、選手のみんなの予約は私がやります!四人はまだみんなのことをよく知らないだろうし、キョン先輩との時間を少しでも長く取りたいと思っているはずだから、私が適任です」
「分かった。決まり次第古泉に伝えてくれ。それと、19階にも団員用マンションにも100階にあるシャンプーやコンディショナーをすべて取り揃えてある。その二人と同様、ほとんどの選手がダメージケアを最優先することになるだろうが、必要に応じてシャンプー剤を選んでくれ」
「了解しました」

 

「ところで、僕が集約するのは構わないけれど、明日以降のキミのスケジュールが分からないと入れられない。特に自宅から通っている団員には練習後すぐの方がいいんじゃないかい?」
「店舗も青OGに任せればいいし、午後は妻を連れてチャペルまで行ってきたいと思っている。今のところ、青みくるとハルヒの二人だけだ。残り七人とも行ってきたいし、青俺や青有希も行く日が決まればポルシェを使ってもらって構わない。とりあえず明日は練習後から四時までにさせてくれ。そのあと、みくるともう一回北高の文芸部室に行ってくる」
『もう一回文芸部室に行くぅ!?』
「キョン君、今度は何をしに行くんですか?」
「ハルヒや佐々木達にも考えてもらっているが、あいつらにも『この格好とメイクでドラマに出るからイヤリングはどんなものがいいか』と聞いて考えさせる。パソコンでネットサーフィンしながら選ばせてもいいだろうし、思考回路が青古泉と同じ例のイスが妄想したものをサイコメトリーするつもりだ。無論、直接じゃ雑念が多すぎるだろうから、青古泉がランジェリーを考えてきたときと同様、ジョンに中継してもらう。まぁ、俺の場合雑念が多くともハルヒやみくるの妄想だったらそのまま受け入れてもいいけどな。不要物はすべて消せばいい。とにかく、少しでも多くの意見を取り入れたいのと、みくるとのデートが無くなった一回分の埋め合わせ、あとはあいつらにまたみくるのお茶を届ける。それだけだ」
「駄目、ジョンに中継役になってもらった方がいい」
「古泉と同じ思考回路じゃ何が入ってくるか分からんぞ!?」
「あのときの黄涼子や黄有希みたいに、あんたの気分を害することになるかもしれないのよ!?」
「おまえら……これまでのあいつの性癖がどうあれ、ようやく良い方向に向かってきているんだ。少しは青OG六人のレッテルをはがすような発言をしてやれって」
「逆に黄キョン先輩がいい人すぎるくらいに思えますよ……黄私みたいに結婚して欲しいくらいです!」
『とりあえず、まずは行ってみてからだな。それより、早く次の議題に行かないと時間が無いぞ』

 

 その話題に関する発言を打ち切るようにジョンが現れた。
「次の議題って試合前に一体何の話をするって言うのよ!?」
『元○玉の準備だ』
「するか阿呆!!……だが、それを連想させることには違いない」
「ジョンが嗜好品で例えてくるくらいですから、例の漫画に関係してくる何かなんでしょうが、試合後ではダメなのですか?」
「ああ、俺もまだ大枠しか考えてなくてな、それを考える時間も含めて試合の前に話しておきたいんだ」
「いいからさっさと説明しなさいよ!」
「たまには新聞社にも責任を取らせるんだよ」
「なるほど!それで元○玉の準備につながるわけですか!」
「えっ!?古泉君、何がなるほどなんですか!?」
「あの漫画のラストバトルと同じですよ。TV局はアナウンサーが謝罪するだけ、新聞社や週刊誌は何もせず知らない振りを貫き通す、加えてあのシーンに連想するものとすれば……新聞社の一面記事を有希さんにすり替えてもらう。違いますか?」
『新聞記事をすり替える!?』
「ああ、今古泉が言った通りだ。一昨日特番で放映された中から一番罪の軽かった一社の社長が土下座で謝罪している場面を写したものに切り替える。見出しもそれに沿ったものにするつもりだ。『我が社の社員のご無礼をどうかお許しください!!』、『わずかでも構いませんので懲役を軽くしてください!!』とかな。当然、記事が入れ替わっていれば報道陣の眼はその新聞社に向かって本社前から消え失せる。社長がいくら『あれは自分じゃない』と主張しても、もう取り返しがつかないだろう。だが、そのおかげでその日の新聞は売れ、先ほどの青古泉の話ではないが、日本全国からは他の新聞社より一目置かれた眼で見られることになる。無論、そうなれば他の新聞社やTV局も謝らざるを得ず、謝るまではいつまで経っても他の報道陣に執拗に追い詰められるって筋書きだ。見出しまでは大体決まったんだが、中身をどうしたものかと思って今話した。今までの鬱憤を晴らすいい機会だし、異世界の方でも十分使えるだろ?」

 

「やれやれ、面白そうだと思って聞いていたら逆に呆れたよ。どこからそんなアイディアが浮かんでくるのか知らないけれど、僕にも少し分けてくれたまえ。研究が一向に進まなくて困っていたんだ」
「問題ない。今からでも十分間に合う。わたしが記事をすりかえる。内容は任せて」
「『たまには地球人にも責任を取らせる』のセリフをアレンジして元○玉につなげるのか。ジョンらしいな」
『キョキョロット、貴様、今まで何回地球を救った!?』
『プッ……くくくっ、キョ、キョキョロット!?ブッ、あっははははははははは……これは傑作っさ!も、もうちょっと何とかならなかったにょろ!?名前がキョキョロットなんて……あははははははは………』
「ふふっ、キョンとカ○ロットじゃジョンの言った名前しか考えられない。プッ……くくく」
ジョンの一言でW鶴屋さんや青有希だけでなく、周り中大笑いしてやがる。………おっと。
「大御所芸能人達が敷地内へ入った。青ハルヒ、一階に降りて誘導を頼む。ジョンと青俺はブルペンで例の球の練習、出場するメンバーはグラウンドでアップを始めてくれ」
『問題ない、ププッ!』
さて、あとは監督と誰が交代してくるかだが、時間によってはアルバイト達に任せて戻ってくるだろう。ポジションや打順は決まっているし、ブルペンの映像を見たくとも俺たち以外操作できなくなっている。あとはアナウンサーや実況、ウグイス嬢は向こうが用意してくれる。すでにジョンから全員にスカ○ターが手渡され、投球練習をしながら青ハルヒと国民的アイドルが会話をしているシーンが映っていた。
「観客こんなにいるけど、夜景とか大丈夫?」
「先週のコンサートの反省を活かして、キョンが改善してくれたので大丈夫です!」
「じゃあ、宜しくお願いします」
「宜しくお願いします!」

 

 カメラマンは三人か。もし足りなければこちらから撮影した映像を送ればいいだろう。スタジアム中の照明が消えたところで俺たちもベンチに戻り、マウンドから青ハルヒのマイクパフォーマンス。
「先週のコンサートの反省を活かして、キョンがスタジアムを改良してくれました。満点の星空と絶好の夜景をぜひ堪能していってください!」
青ハルヒの指が鳴り天空スタジアムが透明になっていく。俺たちからは観客ごと透明になっていくように見えている。その姿を抑えようと、観客の方にカメラを向けていた。自分と自分の関係者、及び俺たちを除いた観客全員も一緒に透明にしてしまう閉鎖空間だ。観客の歓声や「おぉ――――っ!!」という絶景を見渡す声が会場中に響き渡る。カメラも一通り夜景を収めたところで青ハルヒの指が再び鳴った。再度カメラが観客に向き、透き通っていた観客が元に戻っていく様子を捉えていた。
「やれやれと言いたくなりましたよ。もう少し早く交代してもらえませんか?」
「おまえ、一体誰と交代してきたんだ?」
「青チームの圭一さんです。ここからの試合の流れはすべてスカ○ターで見るそうです。しかし、向こうのベンチも物凄いメンバーが揃っていますね。特番で確認した二人を除いて、あとはすべて国内のプロ野球選手ですか。涼宮さんの投球の見せどころですね」
ベンチもそうだが、アナウンス席もとんでもないことになっているな……大御所MC自ら野球のアナウンサーを務めることになるとは……どの番組で放送することになるのやら。

 

 ホームベースを挟んでハルヒ達が並ぶ。前回は古泉が入っていたが、今回は鶴屋さんが入っているからな。『元』報道陣たちではないが、このメンバーで勝てるのかという疑念を観客だけでなく選手たちも抱いている。まぁ、今に始まったことではない。前回と同様、相手チームの先攻。
「今回は司令塔はいませんが、それぞれ活躍する場面が前回よりも多く出てくることになるでしょう。よろしくお願いしますよ?」
『問題ない』
監督の一言など、あって無いようなものだが、『問題ない』の一言で、今回こそ自分が一番目立つと言いたげだな。ショートにポジションをチェンジしたハルヒ、異世界での試合に向けてひたすらピッチング練習を繰り返してきた青ハルヒ、前回は見事にバントを成功させた青佐々木に、久々の出場でやる気たっぷりの鶴屋さん。最初にバッターボックスに入ったのは、SOS団がどれくらい強いのか分からないと言っていた某プロダクション社長。青ハルヒの投球をじっくりと吟味するように様子を見た後、ワンストライクスリーボールから第五球でバットを振った。当然全員木製バット。レフト前とまではいかなかったが、ハルヒがボールに素早く駆け寄り青みくるへと送球。手堅くワンアウトを勝ち取った。
「いや~今のプレーだけ見ても、ぎこちなさがどこにもないですよね。これなら中○君に挑戦状叩きつけてきてもおかしくないんじゃないかな」
「今も石○君がバッターボックスに立っていたけども、芸能人チームとはいえそれなりの野球経験者は揃えたって中○は言っていたよね。それでも、ボッコボコにされて帰って来たっていうんだから、凄いよねぇ……」
スカ○ターから実況席で話している某お笑いタレントと大御所MCの声が聞こえてくる。
二番手は異世界でも勝負した東京ドームを本拠地にするプロ野球チームの選手。しかし、渡辺投手の姿が見えないな。アンダースロー対策はしてこなかったのか?ツーストライクまで追い詰められたところで、内角高めのボールを打ち上げライト方向へ。案の定、わざと落として朝倉の超高速送球。青みくるとほとんど距離がないっていうのによくやるよ、まったく。

 

「えっ!?今のレーザービームより早くない!?」
「いや、中○君、近距離だったからってだけでしょ」
「今の球もう一回投げてくれないかな……できればホームベースに」
そのチャンスもこれからやってくるかもしれん。三番手にはセンター前ヒットを打たれてしまい、続く四番手が初球から動いた!打球はレフト前へ。
『ハルヒ!二塁につけ!そのままみくるに投げてダブルプレーだ!!』
やれやれと言いたくなってしまう。セカンドに居てもそこまで活躍できないからショートと代えたのに、今頃になってダブルプレーのチャンスが来るとはな。ベンチに戻ってくるハルヒに声をかける。
「ハルヒ、ナイスアシスト!」
「フフン、ようやくダブルプレーのチャンスが来たわね。でも、いくらなんでも遅過ぎよ!もうちょっと早く来なさいよ、まったく。あたしが取った時点でスリーアウトだったし……」
「キミのテレパシーで助かったよ。僕が有希さんの超光速送球を受けないといけないのかと正直怖かったからね」
「だが、これで守備の方はそれぞれの持ち味を出せたんじゃないか?バッティングの方も頼んだぞ?」
「前回は相手の意表をついただけにすぎない。あまり期待しないでくれよ?」
「佐々木より経験が浅い分こっちの世界で自信をつけていけば大丈夫だ。行ってこい!」
自信満々の有希とは逆に、この場になんで自分が立っているんだと言わんばかりに、いそいそとバッターズサークルへと足を運んで行く。投手も国民的アイドルではなくプロ球団の一軍投手。ジョンの世界での練習風景はスカウターでしか確認していないから良く分からない部分もあるが、ちょっとやそっとの変化球くらいじゃ、俺たちには通用しない。

 

 一回裏、SOS団の攻撃。バッターボックスに立ったのは有希。プロ野球の投手ならどんな球が投げられるのかTVで見ているしな。しばらく様子見をしたかと思うと、三遊間を抜いて一塁へ。因みに二塁に国民的アイドル、ショートに某芸能プロダクション社長がグローブを構えていた。勢いのある球がバウンドしていったせいもあり、先ほどのハルヒのプレーのお返しというわけにはいかずに悔しがっていた。続く二番青佐々木の打順、牽制球は投げられたものの、有希のリードは変わらず。佐々木と同様、一球目でバントに構えて有希を安全に二塁へ運ぶと、塁から離れて前よりに構えたサードとショートの間を狙った内野安打。有希は難なく三塁に留まり、青佐々木も見事に一塁へ進出した。
「有希っ子はあたしがホームベースに帰してやるっさ!」
バッターズサークルで待機するのを忘れていたようだ。堂々と先制点をもぎ取ると宣言しているし、まぁ、いいだろう。バッターボックスに立つと、先ほどの有希と青佐々木の分だけで十分だったらしいな。スカ○ターの映像でもキャッチャーの後ろから撮影したものだったし、相手投手の初球で左中間へ。有希はホームベースを踏めたが、流石はプロ球団。青佐々木の足の速さもあるかもしれんが、そう簡単にツーベースヒットにはさせてもらえない。次はハルヒ達のどちらかを一番手に組み込んでもよさそうだ。
「まだ三番手なのに初球を叩いて左中間は凄いよ。どんな練習したらあんなに撃てるわけ?しかも木製バットで女の子でしょう?」
「いや、それが僕にも分からないんですよね。前回も全員にヒットを許してしまいましたから……」
「この前中○君が挑戦した180km/h投球も三球が限度なんでしょ?」
「ええ、この試合が終わったらまた挑戦しようと思っているんですけど、社長はまだみたいですね。球数の制限が無くても150km/h台が投げられるのなら、それでバッティング練習しているのかも知れません。でも、映画の告知に行っててそんな余裕無いはずなんですよね……」
ははは……160km/h台投球が三人いると言ったら驚くだろうな。バレーの非公開練習もバレる可能性があるし、インタビューされてもなるべく隠すように青ハルヒに話しておこう。

 

 待ってましたと言わんばかりのこの状況に、バッターボックスでバックスクリーンを見ながらバットを担ぐように持っていた。待ち望んでいたのは分かったからさっさと打席について構えろよ……まったく。次のバッターも朝倉ではなく青みくるだからな。わざわざホームランを狙う必要性はないが、そう簡単には二つ進ませてはもらえまい。本塁打かフェンス直撃弾だと嬉しいが、何を考えて口角をあげているのやら。鶴屋さんのように初球を叩くわけではなかったが、ワンストライクスリーボールでハルヒが動いた。
「えっ!スリーボールから打ちに行くの!?」
異世界でも四球を狙っていなかったことに対して『度胸がある』と話題になっていたからな。驚いて当然か。打った打球はレフトへ向けて一直線。しかし、これはフェンスにあたるな。ハルヒの打球をすかさず判断した青佐々木が動いた。遅れて鶴屋さんも走り出したが、青佐々木と鶴屋さんでは脚力が違う。遅れた分を取り返すには充分すぎるくらいだ。フェンスに当たったボールを捕り、振り向いて投げようとしたものの、青佐々木はホームベースを踏み、ノーアウトランナー二、三塁。この状況で青みくるなら悪くてもワンアウト。ランナーは変わらん。アイコンタクトした様子もなかったが、相手投手のモーションと同時に鶴屋さんとハルヒが動いた。テレパシーで確認し合っていたらしいな。青みくるの初球、相手の意表を突く、三塁側へのセーフティバント。逆回転はかかっておらず、サードもキャッチャーも動けない。鶴屋さんとハルヒの走力があってこそのプレーだ。3-0で鶴屋さんがベンチに戻り、ランナー一、三塁。青佐々木、青みくるがバントで出塁した以上、もうバントは使えない。青朝倉がどう出るかだ。狙ったところに打てるボールをとチャンスを待っていたが、既にツーストライクツーボールで後が無い。プロ球団の投手ということもあり、青朝倉のストライクゾーンは見切っている。第五球、放たれた球に対して青朝倉がバットを振った。モーションの最中から走り出していたハルヒだったが、青朝倉の球はショートゴロ。すぐにキャッチャーに送球されて、ハルヒの目の前にボールを持ったキャッチャーが立ち塞がり、ピッチャーも駆け寄る。さすがにこれは無理と判断してとぼとぼと三塁へと戻っていく………まさかとはおもうが、アイツ……

 

 アウトをとれる絶好のチャンスと判断したキャッチャーがピッチャーに送球しハルヒにタッチしようと試みたが、案の定、球を放る音に集中していたハルヒが即座に振りかえりホームを目指す。すぐにキャッチャーにボールが返されたが、あとは壁一枚を飛び越えるのみと判断したらしい。ミットを当てられる前に飛び上がり、ハルヒの伸身ムーンサルトが炸裂。ホームベースに着地してY字を作ったが、審判の判定はアウト。前宙だけでよかったものを伸身ムーンサルトなんかやるからだ。途中でしっかりとキャッチャーに捕えられていた。客席からは笑いと拍手が送られていた。だが、ハルヒが犠牲になった分、ショートゴロだったはずの青朝倉が一塁、青みくるが二塁へと進出。朝倉のバックスクリーン直撃弾で点数は一挙に6-0。流石にここで相手チームがタイムを取った。
「くっくっ、もう二度と使えないと思うけど、ただのショートゴロだけであそこまで魅せてくれるとは思わなかったよ。あれが前宙だったら間違いなくセーフだったはずだ」
「どうせ、黄有希の真似がしたかったんだろう?しかし、同じワンアウトとはいえ、相手チームを精神的に追い込むことができた。朝倉もツーストライクから打ちにいくことができたし、成果としては十分なんじゃないのか?」
「うるさいわね!も―――――――――――――っ!!あとちょっと高く跳んでいればセーフだったのに!!」
「問題ない。10.0」
「そういう問題じゃないわよ!」
「あとちょっとだったのに!!」というハルヒのセリフが野球の試合だけで今まで何回あったか数えてみたくなったが……もう記憶に残っていない。おっと、チアガール達の声帯を治しに行くのをすっかり忘れていた。

 

 チアガールの声帯を治し終えた頃には、相手チームのタイムも終わり、青ハルヒがバッターボックスに立っていた。そろそろステルスを解除してベンチに来たってことにしても大丈夫だろう。一旦ベンチ奥に隠れて、すぐにベンチに戻った。カメラマンたちも含めてまだ俺には気付いてないらしいな。とにかくこの回をなんとかしのごうとしているようだが、際立った策は見受けられない。右中間を狙ったヒットだったが、やはりこれも一塁止まり。本塁打を狙っても良かった気はするが……青ハルヒももっと投げたいのかもしれん。外野の選手のど真ん中を狙ってもツーベースヒットにはならないのならと、三塁側ファールギリギリのラインを勢いよく抜く青鶴屋さんの打球だったが、惜しくもサードの選手に捕られてしまい、青ハルヒと一緒にダブルプレーを取られてしまった。
「今の打球は悔しかったですね。抜けていたら間違いなくツーベースヒットだったんですが……しかし、我々の実力をすべて見せたわけではありません。二回表の皆さんのご活躍を拝見させてもらいますよ?」
『問題ない』
 こっちは青鶴屋さんまで回り、二回裏は有希からのスタート。先ほどの攻撃で本塁打を打ったのは朝倉ただ一人。有希も次は本塁打を狙うかもしれんな。
「ところで、青ハルヒの奴、ジョンの世界でどういう練習をしているんだ?相手チームもアンダースローに対して策をほとんど立てていないように俺には見えるんだが、それにしては打たれすぎじゃないのか?ミスサブマリンの名が泣くぞ」
『いや、対策は十分立ててきている。今後この試合が放映される頃には練習風景と一緒にVTRとして流れることになる。あれだけ悔しい思いをして、報道陣に社会的制裁まで加えているんだ。対涼宮ハルヒ用の練習はしているはずだ。この放映されたときも、「アンダースローはあんなに打ちにくいものなのか」と発言していた』
「俺たちの世界での試合に向けてピッチングに集中していたのは黄俺以外のメンバーなら全員知っている。それでもあれだけ打たれるんだから、今回は来ていないが渡辺投手に投げてもらっていたのかもしれん」

 

 ジョンと青俺がこぞって青ハルヒのことを言うからには相当な練習を積んだと見て間違いなさそうだ。相手チームの五番手でようやく国民的アイドルが姿を現した。他にも五番手を務められる選手はたくさんいたはずだが、前回のように自分の出番が来る前に終わってしまうんじゃないかと勘繰ったんだろう。アンダースローなんて滅多に打てるものじゃないからな。空振りもあったものの、四球を終えてツーストライクツーボール。第五球で放たれた内角高めを打ち返した。先ほどの青鶴屋さん同様、青朝倉が捕ったものの、三塁から一塁へ送るにはまだ危ないと判断したらしいな。青ハルヒにボールを戻して次のバッターを見据える。
『ハルヒ、前に走れ!!』
六番手が仕掛けてきたのはサードに向けたバント。先ほどのプレーで三塁側が弱いと判断したらしい。どっちのハルヒでも良かったが、青ハルヒがボールを掴んでファーストへ。しかし、線審の判定はセーフ。ショートにハルヒを据えているとはいえ、今後も三塁側が狙われかねん。次のバッターも三塁方向へバント。今度は青鶴屋さんも動いたが、三塁は既に国民的アイドルが乗っ取り、その間にすべての塁が満たされた。青古泉が重い腰を上げる。
「選手交代です」
アナウンスが入り、青朝倉と交代したのは青俺。俺の指示もこれで必要ないな。バントはもう使えない。満塁ホームランを狙えるだけの選手が次に控えているのかどうかが問題だが、八番手ではその可能性も薄い。
「ようやく中○君たちのチームにチャンスが訪れましたね~」
「でも、八番手じゃちょっと厳しいかもしれない。一気に捕られることだって十分ありえるよ」

 

 大御所MCもああ言ってはいるが、向こうのベンチを見たところ交代要員はいない様子だ。こういうときに代打を使いたいところだが、駒が足りないか、もしくは俺たちがあの八番手を侮っているかのどちらかだ。周りはどうかは知らないが、年越しパーティじゃないんだ。青ハルヒに緊張という言葉は欠片も無い。有希から指示された球で三振を狙う。ジャイロボール、チェンジアップ、相手を誘うボール球ときて、ツーストライクワンボール。下手に打つよりはアウトの方がいい場面。次の采配は内角高めに見せかけたジャイロボールで内角の中ほどを狙った。八番手がバットを振り、案の定上から叩いてしまったボールが一、二塁間を通過。前に詰め寄っていた朝倉からの超光速送球が青鶴屋さん目掛けて一直線。さて、こっちの世界ではどちらに軍配が上がるかな?主審の判定は……アウト。当然のように、審判に猛抗議していた。
「え~~~~~~~~~~っ!!ライト前まで行った球でアウト~~~~~~っ!?イチローのレーザービーム並じゃん!!ちょっとスロー再生で見せてくれない!?」
その一言に大御所芸人達がモニターに集まってきた。まだ試合中なんだが………野球に関して自由奔放なのはどちらの世界でも変わらんな。
「えぇ~っ!?中○君がさぁ、この場所に居てこれでボールが間に合ったってこと?」
「中○の足が遅いってわけじゃないし……」
「中○君もとんでもないチーム相手にしてるんじゃない?さっき交代したけど、まだ余裕を残してそうだよ」
「イチローとどっちが速いのか比べてみたくなりましたよ。とりあえず満塁は続いていますし、ライト方向に打たなければ点数取れるんじゃないかな」
「えぇ~っ!そんな大事な場面で俺が出るの!?」
「タカさんが一番にアンダースローを見てみたいって言ったんじゃないですか!」
「いや、俺さぁ……選手じゃない方が良かったかもしれない」
「とりあえず、確認できたから試合を再開しよう」

 

 ようやくそれぞれの場所に戻ると主審がプレー再開のコールをした。一順まわってバッターズサークルには先ほどの会話でちょっとビビっていた某芸能プロダクション社長。九番手として相手投手が打席に立った。ハルヒが三塁寄りに構えている。バントの対処に青俺が出向き、サードポジションにスイッチするためだろう。朝倉に届かないように一、二塁間を狙うか、レフト方向を狙うか、本塁打を狙うかの三択。アンダースローを相手にホームランは難しいだろうし、青ハルヒがそれを許すまい。執拗に低めを狙って内野ゴロで打ち取り、二回表を0点に抑えることができた。
「一応、俺はそこまでいられないことになっているんだ。ハルヒがホームラン打ってそれで終わりにしてくれ」
「あんたに言われなくても分かっているわよ!そのくらい……」
『ママ、ホームラン!!』
「まいったね。ハルヒさんで終わりってことは僕もアウトを取られたら駄目だってことだろう?誰か代打で出てくれないかい?」
「佐々木さんなら心配いりませんよ。出塁するだけでいいんですから。彼のプランにわざわざ乗る必要はありません。ハルヒさんのあとはいかようにでも対応できるんですからね」
「そうかい?じゃあ、行ってくるけど、あまり期待しないでくれよ?」
「おまえなら出塁できると確信しているからハルヒにホームランで終わらせろと言ったんだ。おまえなら大丈夫だ」

 

 アウトを取られることなく、ハルヒまでまわって本塁打を放てばそれでコールド勝ちが確定する。有希もホームラン狙いかと思ったが、相手の初球を難なくヒットに持ち込んで出塁。続く青佐々木は初球がボール球だと見切ってバントに構えず、第二球で先ほどと同じバントを放ってランナー一、三塁。
「悪いにょろが、ハルにゃんには今回はソロホームランで我慢して欲しいっさ!」
鶴屋さんのツーランホームラン宣言なんて初めてな気がする。まぁ、それだけ試合に出たかったってことでいいだろう。鶴屋さんとハルヒがそれぞれ左右にホームランを放ちゲーム終了。さて、ここからが本番だな。スタッフに呼ばれたのは、俺、朝倉、青ハルヒ、青鶴屋さんの四人。異世界と同様、超光速送球に対抗していたが、軍配は朝倉にあがった。次につなげられるものが見せられてこっちとしても一安心だ。
「すいませ~~~~~~ん!!180km/h台の球打たせてください!!」
大御所芸能人たちと俺にマイクが取り付けられ、会話を会場中に聞こえるようにするようだ。マイクをテレポートするつもりだったが、これならその必要もなくなった。
「いくら前回打てなかったからってさぁ、中○君ばっかりずるくない?俺にも打席に立たせてよ!」
「一球だけ!一球だけ僕にやらせてください!」
「じゃ、俺たちは後ろから見させてもらおう」
準備が整ったところで第一球。放ったと同時にバットを振り、掠ったものの軌道がずれることなくミットに収まった。スピードガンには186km/hと表示されている。
「掠った!!今掠ったよね!?よ~し、次絶対当ててやる!」
「中○君、ずるいよ!一球だけってさっき言ってたじゃん!」
「タカさん、三球あるのでもう一球だけ、もう一球だけお願いできませんか?」
「それより、もう一段階上の球に挑戦してみませんか?」
『もう一段階上ぇ!?』
「え―――――――――――――っ!!180km/h台のさらに上があるの!?」
「ちなみに……何km/hなんですか?」
実況をしていたお笑いタレントが叫び、国民的アイドルが真剣な眼差しで俺に声をかけてきた。
「先に教えてしまうよりも、投げてからの方が驚くと思いますよ?」
「じゃあ、中○君、俺と交代して!俺がその球を打つから!」

 

やむなくバッターを交代させられていたが、スピードガンの表示とこれから投げる俺を交互に見ていた。催眠と条件付きの遮音膜、衝撃吸収膜三枚で芸能人達にもバレていない様子だ。青俺のミットめがけて全力投球。俺もいくつか気になるから、早く球速を教えて欲しいんだが……数字を見て、どうやら固まっているようだ。
「俺にはボールが光ったようにしか見えなかったぜ!?一体いくつなの?」
「に…にひゃ、224km/h」
『224km/h―――――――――――――――――――――――――――――!?』
「こんなの、即ギネス記録認定じゃん!!」
「一体どうやったらこんなスピード出せるんですか!?180km/hのときもフォームは至って普通だったし……」
「マジシャンと同様、パフォーマンスの一部ですから、ギネス記録には登録させられませんし、残念ながらタネをお教えすることもできません。それにこの球、誰にも打てないんですよ」
『誰にも打てない!?』
「そりゃあ、あのスピードじゃ慣れるまでに相当時間がかかるだろうけど、打てないって程でもないんじゃないの?」
「お見せした方が早そうですね。お~い、ジョン、金属バットを持って打席に立ってくれ!カメラさん、ジョンが金属バットを振る瞬間をしっかり抑えてください!」
俺が球を投げる瞬間をとらえるためのカメラが一台、残り二台はジョンとバットが通るであろうストライクゾーンを映していた。制限のかかった球だからな。これ以上投げろなんて言わないでくれよ?大御所芸能人たちの眼が集中したところで投球フォームに入った。さっきもステルスで後ろから見ていたし、多分当ててくれるだろう。
『え―――――――――――――――――――――――――っっっ!?きっ、金属バットが壊れたぁ!?』
「ちょっと待って。ボールは!?ボールはどこに飛んで行ったの!?」
「ボールならミットの中ですよ」
青俺がミットを真上に上げて後ろにいたメンバーに見せた。
「ってことはさぁ、金属バットでもあの投球の軌道すら変えられないってこと?」
「そういうことになりますね。僕とべーさんの番組のタイトル通り世界が驚きますよ、こんなの」

 

「とにかく、スローVTRでもう一回見てみよう」
大御所MCの一言でVTRに注目した。客席にいる観客はもはやどうでもいいようだって、俺たちが勝手に招き入れたんだけどな。夜景を映すのにも邪魔にならないよう配慮もしたから撮れ高は十分だ。
「これは凄いね――――!金属バットってこんな風に壊れるんだ」
「あんた、MCなんだから、もうちょっと上手い言い方ないの?」
「いや、でも僕もこんなの初めて見ましたよ。タモさんでも無理ですって」
「じゃあ、すみませんが、そろそろ戻らないといけないので、俺はこれで失礼します」
「あっ、キョン社長、どうもありがとうございました――――――――――!!」
会場から歓声と拍手が送られてきた。スタッフにマイクを返してベンチの後ろから外に出た。あとは誘導とSPの方に意識を送ってスタジアムの中の様子はスカ○ターで確認すればいい。先に81階に降りてダイヤモンドの仕分け作業の続きといこう。既に毒サソリに何か所も刺されていたが、ただの人形に毒は通じない。こいつらをアホの谷口の胃の中にテレポートしても興が削がれるだけだし、ズタズタの人生をまっとうしてもらうことにしよう。
「今日も白熱したものを見せてもらったよ。古泉たちはまだ降りてこないのかね?」
「ええ、俺が映画の告知をしているからという理由で先に抜けてきただけです。芸能人たちが先ほどのパフォーマンスに納得するまでもう少し時間がかかるかと……鉱山に行くのは明日でも構いませんし、お疲れのようでしたら先に休んでください」
「こんな試合を見せられては寝られそうにない。それに、原石発掘作業も楽しみで仕方がない。早く戻ってきてもらいたいものだが………」
「新川さんのディナーの終了を待ってからということになりますし、何かジュエリーや腕時計のデザインを調べるというのはいかがですか?『これと同じものを純金で』という注文でしたら、いくらでも可能です」
「私がそんな高価なものを身につけるなどと考えたことも無かったよ。だが、我々も区別がつくようにということであれば、何か探さないといけない。しかし、朝倉さんだけでなく、古泉の方も何かしら身につけないと区別ができないんじゃないのかね?」
「あいつなら、もうしばらくすれば区別がつけられるようになりますよ。俺の勝手な妄想かも知れませんけどね」

 

 それから待つこと20分弱。SPと案内役の影分身がようやく仕事を終えて他のメンバー達も戻ってきた。天空スタジアムの照明はジョンが消してくれたらしいな。店舗に行っていた青圭一さんたちも戻ってきていた。
「黄新川がまだのようだから、先に始めていてくれ」
青新川さんが用意してくれた豪華料理に毎度毎度申し訳ありませんと思いながらも、ハルヒが乾杯の音頭を取ろうとしたところで、青朝倉が待ったをかけた。
「まだ涼宮さんが戻ってきてないし、もう少しだけ待ってもらえないかしら?」
子供たちも試合と目の前の料理に興奮して眠れない状態だというのに、俺や圭一さん達は更に待ったをかけられ、よだれは出ていないとはいえ、この間のW有希のような状態になってしまった。
「たっだいま~!」
「それじゃ、青あたしも戻ってきたし、こっちの世界での二度目の試合の勝利を祝して、乾杯!!」
『かんぱ~い!!』
「それにしてもハルヒ、やけに嬉しそうだな。もう再戦の日程が決まったのか?」
「え?いや、その………そういうわけじゃないんだけど……」
ハルヒ風に言えば「何よ、さっさと話しなさいよ!」だな。何をらしくないことをしているんだ?コイツは。
「じゃあ、どういうわけなのよ!?」
「中○君の……連絡先、教えてもらっちゃった」
『連絡先を教えてもらった――――――――――っ!?』
「くっくっ、『今度は報道陣を介さずに直接連絡をくれ』ってことかい?」
「すぐに涼宮さんの携帯で連絡した方がよさそうね。それにしても、古泉君もライバルが一人増えたんじゃない?」
「ライバルが何人いようと僕には関係ありませんよ」
確かに、コイツの場合、違う意味でライバルなんて関係なさそうだ。しかし、先週から今日までの流れでここまで進展するとは俺も予想外だ。異世界の方より先に進んだんじゃないか?まぁいい、パーティが終わったら財宝発掘ツアーに出かけるとしよう。

 
 

…To be continued