ポルシェのみち

Last-modified: 2017-11-11 (土) 18:43:46

分かれ道

ふむ?来客か?
珍しいな。いや、一時期Tier7目当てでここへ来るものも多かったからそれ以来か。
まあいい、よくきたな。
ここはポルシェのみち。
君たちⅣ号H型に与えられたひとつのみちだよ。
私か?
私は……まあ、ここの道先案内人といったところだ。
さて、君たちはこのポルシェのみちへの希望者ということだね?
念のために確認しておくがフリー経験値はあるのかね?
なに?ないだと?
……それは蕀のみちだよ。
それでもいくというのか?私はおすすめしないぞ?
…………そうか。ならば苦しむといい。
せいぜい味方のジャマにならないようにしたまえ……

(このページはまだ執筆途中です。すんまそん。またポルシェルート分裂前のものです。)

私はVK30.01(P)

変な人に色々言われたけれど、私はそのままTier6に行くことにしました。
まず最初の感想は「大きい」
これまでの姿と比べて、明らかに大きく、堅く、強そうに見えました。
ちょっと砲塔の形は変だけど。
これで、あの憎きKVシリーズにかてるといいな。

  • 初陣、Tier6戦場 カレリア

やった、TierTOPだ。
さあ、行くわ!
……って、あれ?
ちょっと……というか、かなり遅い……?
重戦車と同じ何それより遅いくらいじゃないこれ。
T-34-85とかに追い付けない。中戦車の会場に行けないわ……
仕方がない、大人しく重戦車の方へ行きましょう。

えっと、昼飯の角度?にすればいいのよね。
よいしょっと……って、きゃあっ!?弾薬庫が!?
嘘、抜かれたの!?
あっ……ここ、斜めの切りかきのところに被弾したの?
ここの裏、弾薬庫なのね……
えっと、下がって修理して、このところは隠したほうがいいかな。
よし、弾いた!
お返しよ、喰らいなさい!
私は主砲を相手の重戦車相手に放ち……弾かれてしまった。
VK36「ん?何だ今のへなちょこな弾は」
そんな、なんで……
呆然としている間に、相手のいたい反撃が飛んでくる。
私の攻撃は通用しない。

なんとか、味方の協力で倒し、私は南ラインを進む。
そして角を曲がった瞬間……何処からか敵の自走砲や駆逐戦車の砲弾が飛んでくる。
なんで!?まだここなら昔は見つからなかったのに!?
ここではっと気づく。
私の体は前と比べずいぶん大きくなった。
つまり、それだけ見つかりやすくなったということ……
T-150「そこの中戦車、無理はするな!俺に任せろ!」
立ち尽くす私の前にT-150が前に出て、敵のたまを受け止め、弾いてくれる。
ELC「おくれてごみんねー、ELCサマの登場だヨーン」
程なくして軽戦車が真ん中を突っ切って敵陣に切り込み、駆逐戦車を発見。自走歩や他の戦車の攻撃で撃破する。
M6「いまだ!全員突撃ぃ!」
チト「バンザーーーイ」
軽戦車の突撃にあわせ、私たちも敵陣地に雪崩れ込む。
当然、私もそれについて……
「あ、れ……?」
行けなかった。
敵の陣地は坂の上。
当然登る必要があるのだけれど……上り坂で、中戦車はおろか重戦車にまで置いていかれる。
なん、で……同じTier6なのに、皆が遠く見える……

クロ「背後からごめんあそばせー!そう簡単に陣地には行かせませんことよ!」
味方の占領が始まったとき、敵の中戦車が戻ってきた。
「させないっ!」
まだ半ばまでしかのぼっていなかった私は、なんとか車体を旋回させ敵の中戦車と向き合った。
クロ「邪魔するんですの?いいですわ、チャーチルⅦ様のおっ紅茶が冷める前に片付けてやりますわ!」
敵の中戦車はまず先に私を倒すべく突撃してくる。
早い、私とは大違いだ。
でも、あてるっ!
接近の前に1発おみまいする。
貫通したものの敵の中戦車はそのまま近づき……私の背後へ回り込もうとしてくる。
「NDK!?でも、させないっ!私だって、中戦車!」
砲塔と車体を同時に旋回させ、対処しようとする……が。
(回転が……追い付かない!?)
相手が早いというのはある。
けどそれ以上に……遅い。
砲塔の旋回が、車体の旋回が、遅いのだ。
必死に追いすがろうとするものの、敵の中戦車は飄々と攻撃をしてくる。
なんとか追い付いたと思ったら当たらない。
敵の砲弾が着々と私の体力を削っていく。
クロ「これでおしまいですわ!」
まさに、なすすべもなく止めの砲弾が放たれる

その寸前、敵の中戦車が炎上した。
クロ「おろろろっ!?な、何事ですの!?」
突然の攻撃に慌てら敵。
その背後には……
KV-85「よくやった、あとは任せろ」
北からやって来た、味方がいた。

このあと、残りの隠れている敵も殲滅し、私のチームは勝利した。
けれど。私の胸はどこかすっきりしまいままだった。

  • ガレージ外 夜

Ⅳ駆「どうしたの、こんなところで」
外の空気を吸っていると、顔馴染みがやってきた。
彼女は昔からの知り合い。第一ドイツ駆逐ルートを進み、私より先にTier6になっていた。
「別に、なんでもない」
Ⅳ駆「そう?私には悩んでいるように見えた」
彼女に隠し事は……今更無駄のようだった。
「私さ、憧れの戦車がいるんだ」
Ⅳ駆「憧れの……戦車?」
「VK45.01(P)さん。まだ私が38t.naだったとき。敵の大きい駆逐戦車の砲弾を食らいそうになった私の前に出て、真っ正面から受け止めて、ピンピンしてた。そしてそのままみんなと協力してその駆逐戦車を倒してくれたの」
今でも、その光景は目に焼き付いている。
もう、ずっと昔の話だけれど。
Ⅳ駆「…………」
「そのあとすぐにいっちゃって、なにも話せなかったけど……からの背中をみて私は決めたんだ。私は、強くなりたい。あの人みたいに、ほかの人を守れるようになりたい……ってね」
Ⅳ駆「でも、いまだにその強さは得られてない。むしろ守られてばかり……そう、おもっているってところかな?」
私は、無言で頷いた。
私がヘタクソっていうのは、否定しない。
でも……
「私、どうすればいいのかな」
Ⅳ駆「……ねえ、知ってる?私の今のあだ名」

Ⅳ苦

まあ、苦行といわれたら否定できないもの、と彼女は笑う。
Ⅳ駆「駆逐戦車としては致命的に貫通が足りない。精度が足りない。7.5cmなら貫通はましになるけど単発が足りないってね」
そう語る彼女の背中は、普段と違いかげってみえた
Ⅳ駆「でもね、今の私にもなにかできることがあるんじゃなあうかなって、思ったの。なにか、長所はないか。なにか私に足りないのか……」
「長所……足りない、もの……」
何が、ないの?
なにを、まだしてないの?
答えはすぐそこにあった。
私はまだ、開発が終わっていない。
私はまだ、この戦車のことをなにもわかっていない……
Ⅳ駆?「……ねえ、これ。受け取ってくれる?」
「これは……」
Ⅳ駆?「私の主砲、L56」
「!そ、そんな。受け取れないよ。だってこれ貴女の……」
Ⅳ駆?「うーん、何んちがいはしないでほしいかな。これはもう、私には必要のないものだもの」
そういう、彼女の目は……いや、姿はもう変わっていた。
より大きく、私より先にいく。やるべきことを見つけた大人の姿に。
ヤクパン「Tier7で待ってるよ。自分ができること、早く見つけてみてね」

  • Tier7戦場 ヒメルズドルフ

IS「丘上到着……ん?先に何か来てるか。砲塔正面を見せている中戦車か……正面からぶち抜いてやるか」
カキーン
IS「んな、いくら貫通175mmだからって格下中戦車にはじかれた!?ジャンボでもないのに!?」
「少し傾ければワンチャン弾ける砲塔正面。そしてそこまで悪くはない精度で……狙撃!」
IS「ドライバー逝ったァ!?」
IS-2「よくやった、あとは任せるアル」
comet「突撃だあああああ」
Chi-Ri「ぐわああああああ」
panther「こちら陣地!敵主力が西から来た!至急援護を要請……ぐわあああああ」
「陣地防衛は私に任せてください!」
急いで車体を旋回させ、坂を下って陣地へ向かう。
不整地は確かにきついけれど、ここは整地。下り坂も相まって最高速度の60キロ以上を発揮できる。
カーブで思いっきり建物にぶつかりそうになりつつ、CAPが進む陣地へと到達。CAPしていた軽戦車に一発お見舞いし、リセット。
もう一両の軽戦車には……
「どすこーい!」
12t「アイエエエエエ!?お相撲attack!?お相撲attackナンデ!?」
40t近い重量でのラムアタックを決める。
そうこうしているうちに味方が帰ってきてもう一両の戦車もカット。
丘上から攻めた味方がそのまま敵を殲滅して、この試合は私たちの勝利に終わった。

この戦いの結果、私はとうとう次のTierまで進むことができるようになった。
「次はVK45.01(P)……Tiger(P)」
そう、かつて私を助けてくれた、あの人と同じ車体に――

Tiger(P)へと進んだけれど

ついにTiher(P)になった私を待ち構えていたのは…とんでもない地獄だった。
事前に簡単なスペックはちゃんと確認した。
車体装甲、200/80/80。側背面は仕方がないにせよ、同格では恵まれた正面装甲の数字である。
たしかに、この体には200mmの車体装甲があった。あったのだが……。

「本当に、車体正面『だけ』なのね……」

そう、この体で200mmの装甲があるのは車体正面『だけ』。
正面は正面でも下部は80mm、斜めの切り欠き部分も80mmだ。
おまけに……

「砲塔の装甲、前の時と本当に進歩がないのね……」

防楯裏装甲がまったくと言っていいほど存在しない、135mm少々の砲塔。
しかも幅は広く……まるで狙ってくれと言わんばかり。
さらにはキューポラも大きく……

「200mmあっても、こうも弱点が多いとなあ」

今日もまた、負けてしまった。
各上にならまあ、仕方がないと割り切れなくはない。けれど……格下にあっさり抜かれてしまうのは、悔しい。

「せめて火力や機動力があればいいんだけど」

自分の長い主砲を、そして足元を見る。
前の反省から今回はちゃんと経験値を用意してからやってきた。
そのおかげで主砲もちゃんと開発したし履帯も開発したけれど。
今回の主砲は前の主砲がさらに延長された8.8cm KwK43 L/71。
前の主砲で気になっていた精度と貫通力がかなり改善されて満足…なんだけれども。
DPMが恐ろしく低い。
同じ主砲であるはずのTigerさんより明らかに装填が遅い。
撃ちっぱなしの時、明らかに装填が遅いISさんよりも総合ダメージが低い気がするほど。

おまけに足回りもひどい。
早いとか遅いとかそういうレベルの話じゃない。
エンジンは多分、前の時と変わらない。けれど、装甲が増えた私にとってそのエンジンは……非力だ。
前の時のように、いざとなったら回り込む……そんなことはとてもじゃないけれど厳しい。
むしろ、他の重戦車についていくのがやっとだ。

今日も私は戦場に出る。
でも、今の私は、欠陥戦車。
戦場に出ても足手まとい。
そんなこんないっている間にも、敵の砲弾は飛んでくる。
ボトム戦場。私の目の前には高火力の駆逐戦車。
圧倒的な絶望状況。でも、もういいかなっておもう。 
もう、ゴールしてもいいよね……?
敵の主砲が火を吹き、砲弾が私に迫る。
そしてたまが届くその時……

「貴様は、38naの時となにも変わってないな」

不意に聞こえた、低い声。
いつの日か、聞いた声。
憧れの人の、声がした。
目を開いて見てみると、私の前にはあの時のようにポルシェティーガー……ではなく。

砲搭が後ろにある、変わった姿の重戦車がたっていた。

あなたは、もしかして……

「全く、今となっては微妙と言われるこのルートに来るなんて。つくづくかわったやつだな。38naの嬢ちゃん」

あのとき、助けてくれたポルシェティーガーだったひとであった。

ポルシェティーガー……いえ。いまはVK4502Bさんは、敵の攻撃をことごとくはじき、反対に太くて立派な主砲を叩き込む。

この人のお陰でlineは維持。結果、私たちは逆転勝ちをした。

戦闘終了後、私は彼のもとへ駆け寄った。

「あ、あのっ。さっきはありがとうございました」
VKB「ん?……ああ。気にすることはない。前に出る勇気があるのはいいことだがTierボトムで無理はするんじゃないぞ。いくら今度は重戦車だからと言ってもな」
「……覚えてくれていたんですね」
VKB「あのとき、あれだけしつこく付きまとわれたらいやでも覚えているものさ」

そ、そうだっただろうか……とにかく感動した記憶しかなくて細かいことまでは覚えていなかった。

「その節はどうも。今回も、その……」
VKB「気にすることはないといっただろう。それが俺の役目だからな。ハッハッハ」

彼は笑いながら燃料と弾薬を一気に飲み干した。

VKB「にしても嬢ちゃん。その恰好……ということはポルシェルートにきちまったわけだな」
「はい。でも、まだうまく戦えなくて……」
VKB「まあ、そうかもしれないな。ポルシェティーガーは足も遅いし、DPMも低いし、お堅い装甲も弱点だらけだ」

それは、私も同感だ。だから、なにもできなくて……

VKB「でもな、嬢ちゃん。何もできないなんてことはないんだぜ」
「えっ?」
VKB「自分を一度見つめなおすといい。何ができていないから何もできてない気がするのか、な」

そういって、彼は去って行った。
今の試合のリプレイファイルと、プレ垢を置いて。

「何ができていないのか……」

私はリプレイファイルを握りしめながら、彼の言った言葉を反芻した。

自分を研究して気づいた。
私は、どのTierでも前に出ている。それも、敵のすぐ近くにまで。
距離が近いから、ISのような劣悪精度でも弱点に当ててきている。
そして、昼飯の角度で応対していたけれど……
「これ、切り欠き部分をさらしてるじゃない」
そして弾薬庫も損傷、ただでさえ低いDPMが下がる。
「おまけに、駆動輪ごと車体側面をぶち抜かれて、履帯が切れて逃げられなくなって」
さらに、出る角度の都合上キューポラをまったく隠せていないからそこも撃たれている。
これじゃあ、やられて当然ね。
でも、どうすればいいのだろう。
欠点はいくらでもあることはわかっている。
なら……長所は?自分の車両の長所は何だ。
硬い所は硬い正面装甲。
あとは……主砲の精度と貫通?
……それなら、無理に近距離とかで戦う必要は全くないじゃない。
VK30.01のときは貫通がなかったからスキを見て回りこむスタイルだったから、その癖が染みついているのかもしれ無い。
「やるべきことはわかった。でも、取り残される可能性も高い……」
こればかりは、実戦の中で、感覚を磨くしかない。
できれば、もっとうまい人の動きとかも参考にしたいのだけど……
「あれ」
その時、私は気づいた。
あの人が置いていったリプレイファイルの中に、動画データが入っていたことに。
この動画は……あの人の、過去の戦闘記録?
「……ありがとうございます、VKさん。いえ、師匠」
その日から、私は実戦と座学両方の特訓を開始した

A「諦めますか?」

あのあと。私は動きを見直し、あの人の戦いを参考に立ちまわって行った。
鈍足は全体の動きをよみ先回りなどでカバー。常に味方を意識し、基本は一歩引いたところから支援射撃。TOPの時や味方の体力次第では前に出て高めのHPと装甲を生かす。出方はキューポラや切り欠きを壁などで隠すよう強く意識……
そうした工夫の結果私の戦績は目に見えて向上した。
そして今、新しい姿へと生まれ変わった。
VK 45.02 (P) Ausf. A。
けれど、この戦車は……
「弱い」
私は、そう感じた。
まずもって、主砲が残念だ。
なんで同格のTigerⅡさんの中間砲止まりなのだろう。DPMはいいけれど精度はそこそこ程度、貫通は前身と変わらない。Tier10の化け物と当たるというのに。
装甲はTigerPだったときより使いやすくなったのは幸いだった。けれど、周りはもっと硬くなっているし各上も考えると相対的に薄い。
機動力が大幅に上がったのはうれしいのだけれど……
ドイツらしく、隠蔽は低く図体も大きいからその辺の配慮も必要で。

この車体、他と比べて特筆できる長所がないのだ。

「攻撃も、装甲も、全部微妙。私、どうしたらいいのかしら……」

もういっそ、諦めたほうが気が楽かもしれない。
そうだ、TigerPからはTigerやFerfinandに行く手段もあるんだ。そっちに行って勉強してから出直すのも正解なのかな……

「……でも、諦めない」

私は……絶対に、あの人のようになるんだ