102スレ/あなたともっと

Last-modified: 2014-05-27 (火) 18:02:36

 <1st take ver>

322 名前:262[sage] 投稿日:2014/05/18(日) 17:19:21.78 ID:KSoh+xQb0
「14世紀中頃からイングランドとフランスの間で発生した戦争は、およそ1世紀近くも続き、
 百年戦争とも呼ばれています。膠着状態となっていた中、フランスでは王の早世などで
 国内は乱れ、イングランドに攻め入れられていました。そんなフランスの危機を救ったのが、
 皆さんもよく知っている、ジャンヌ・ダルクという少女です。彼女は…」
世界史の授業で出てきたジャンヌ・ダルク。一時は救世主・聖女と呼ばれてフランスの皆に
愛された彼女でしたが、王家のいざこざに巻き込まれ、最後は処刑されてしまいます。
信じていた国に裏切られた想い、どれだけ無念だったのでしょうか。それとも、自分の力が
及ばなかったとしても、できることはやったと満足したのでしょうか…
私にとっては大昔の人の話、しかも遠く離れたヨーロッパのことのはず。なのに、なぜか
全くの他人事とは思えません。まるで、ジャンヌ・ダルクと直接話したことがあるような…

「まどか、どうしたのかしら」
「あ、ほむらちゃん。何でもないよ、えへへ」
「さっきの世界史の授業のことで考え込んでいるのでしょう?」
「えっ!?」
なんで、そんなに見て分かるぐらい私は悩んでいるように見えたのでしょうか。
「ふふっ、私はまどかのことは何でもお見通しよ」
…それはそれで恐い気がします。

「あなたにとって全く関係の無い歴史の話でそんなに悩むなんて、本当に優しい子ね」
「えへへ、そんな恥ずかしいよほむらちゃん。そんなことないって」
「いいえ、あなたはどんな人にでも優しく、真摯に対応できるわ。まるで女神様ね」
「そ、そんな私が女神様だなんて、そんなことないよ~」
「そう、それを聞いて安心したわ。あなたはあなたのままでいいのよ。これからもずっとね」
「…?」
その時のほむらちゃんは、遠いところを見ているようでした。私に向かって話しかけて
いるのに、もっと先を見ているような… まるで、もう一人の私がそこにいるかのように。

「まどか…あなたは優しすぎるわ。歴史上の人物のことを思うより先に、あなたの家族や
 身近な友人のことをもっと大切にしなさい」
「そうだね、うん。じゃあ、ほむらちゃんともっともっとずっと仲良くしたいな」
「そう…そうだと嬉しいわね」
そう言いながらも、ほむらちゃんは少し寂しそうな顔をしていました。
本当は仲良くしたいのに、何か後ろめたいことがあるような、そんな表情を…

私は、そんなほむらちゃんのことをもっと知りたいと、少し勇気を出してみました。
「じゃあさ、今度の土曜日、うちにお泊まりに来ない? パパの料理美味しいんだよ!
 きっとほむらちゃんも気に入ってくれると思うんだ、どうかな? えへへ」


969 名前:262 (666)[sage] 投稿日:2014/05/25(日) 23:15:23.43 ID:BZdkx4DT0
『じゃあさ、今度の土曜日、うちにお泊まりに来ない? パパの料理美味しいんだよ!
 きっとほむらちゃんも気に入ってくれると思うんだ、どうかな? えへへ』
『あら、こんな私のことを泊まりに誘うなんて、まどかはイヤらしい子ね。いいわ、
 考えておいてあげる』
『ええっ!? イヤらしいってどういうこと!?』
『まどかにはちょっと早かったかしら? 私と一夜を共にするなんて、どんなことが
 あっても知らないわよ』
『大丈夫、だってほむらちゃんのこと信じてるもん、変なことなんてしないよね?』
『さあ、それはどうかしらね。だって私は…』

…

「ふふっ、この子達がこの後どうなるのか、楽しみね」

漆黒の闇に包まれた世界。ここはまるで、我々が【魔界】や【地獄】と呼ぶような
景色のようにも思える。その一角に、先ほどの女子学生同士のやりとりを、空中に
大写しにして見ている人影があった。
その人影は長い黒髪をカチューシャと大きな赤いリボンで留め、バレリーナのような
黒い衣装をまとい、黒い羽を持つ女性…まさに「悪魔」の姿である。
そして悪魔の隣には、人が入ってもまだ余裕があるほどの、大きな鳥かごがあった。
その中にはピンクのロングヘアーをツーサイドアップにし、純白のドレスを着た女性の
姿が見える。後ろに見える大きな白い翼が、救済の女神としての神々しさを示している。
しかし、彼女の両手首には手枷がつけられ、両手の自由が奪われている。さらには
首輪がはめられ、鳥かごの頂点からのチェーンと繋がれている。
そう、この場所に最もふさわしい表現をするならば…ここは女神を閉じ込めておくための
【牢獄】であるに違いない。

「ほむらちゃん、私をここから出して!」
「ダメよ、〔あの子〕は親しい人達と別れたくない、と告白してくれたわ。あなたが
 自由になると〔あの子〕があなたの一部になってしまうの。
 そうなればまた〔あの子〕が家族や友人と離れ離れになってしまう。
 〔あの子〕がまた悲しむ所を見るのは耐えられないの、わかる?〔円環の理〕さん?」
「そんなことないよ、私、さやかちゃんやなぎさちゃん、それに魔法少女の皆と一緒に
 居られたから、寂しくなんて無かった。ほむらちゃんのこと信じてたのに何で…」
「あなたの信じていた《暁美ほむら》はもうここには居ないわ。私はあなたを自分の
 望むままにここに閉じ込めた〔悪魔〕よ」
「ううん、そんなことない、どんな姿形をしていても、ほむらちゃんは私の知ってる
 ほむらちゃんだよ」
「《鹿目まどか》だった頃の記憶は〔あの子〕にしか無いはずなのに、どうしても
 あなたは私をほむらだと言いたいのね」
「だってほむらちゃんは私のことをずっと見守っていてくれた恩人だもの。絶対
 忘れたりしないよ。それはほむらちゃんも一緒のはずだよ」
「ふふっ、女神様なのに悪魔よりも強情なのね。いいわ、あなたもまどかの一部で
 あることに変わりは無いのだから」

その時の女神は、まどかと呼ばれたことで少し顔が緩んだようにも見えた。

「ほむらちゃん、どうして、こんなことしたの… 私、ほむらちゃんにいろいろと
 無理させちゃったのかな。ごめんね…」
「そうね… あなたにも分からないかもしれないけれど、私は気づいてしまったの。
 私のまどかへの想い… そう、愛よ」
「えっ! 愛というのはもっと優しくて、安らぎを与えてくれるものなのに…」
「ふふっ、あなたの言う愛は全ての人に等しく与えられる愛ね。私の愛は違うわ、
 私の行動の全てはまどかのためだけのもの。
 まどかのためなら、どんなことだってできるわ。あなたをここに閉じ込めておくことも、ね」
「そんな… ほむらちゃんのそんな想いに気づくことができなくて、ごめんね…」
「あなたが謝る必要は無いわ。それに、あなたと〔あの子〕はまだ繋がっているよう
 だから、あなたが悲しむのも見たくないの」


970 名前:262 (666)[sage] 投稿日:2014/05/25(日) 23:16:42.34 ID:BZdkx4DT0
「それじゃあ…!」
「そう、だから、あなたにも私の想いを…愛を注ぐことに決めたわ、まどか」
「ほむらちゃん… やっとで私のこと、名前で呼んでくれたね。いつ以来かな…?」
「そんなこともあったわね。いつだったかしら、もう遠い昔のことみたい…」

そう言った二人の表情が緩む。まどかと呼ばれた女神は、ほっとしたように見えた。
しかし、直後にはっと大事なことに気づいたようだ。

「あの… これ、外してくれないの…?」
「ああ、その拘束ね、まどかの女神としての力を抑え込むために必要なの。大丈夫、
 そのままでも愛し合うことはできるわ」
「ってほむらちゃん!? 何するつもりなの!??」
「あら、こういうのは趣味じゃ無かったかしら? でもね、時間は永遠にあるわ。
 楽しみましょう、ふふふ…」
「ほむらちゃんダメ!また私が裂けちゃう!!」


…その後。あの映されていた世界の出来事。
ここはどうやらあの時の一人、まどかの部屋のようだ。
『ほむらちゃん、あ、あのね… 何だか変な気持ちなの』
『あら、やっぱりそういうつもりで家に呼んだのね。仕方ないわ、朝まで楽しみましょう』
『そんなつもりじゃなかったのに!どうしてこうなっちゃったの!!』
『大丈夫よまどか。私はずっと、あなたのこと愛してるから』
『えっ!?』
驚いているまどかに抱きつくほむら。そして、口づけを交わす二人。
『ふふっ、あなたのそんな顔もかわいいわね』
『もう…ほむらちゃん…はずかしいょぅ…』

…

こちらの世界が無事であるということは、悪魔と女神の方も平和に過ごしているようである。

========================

先週書いたSS(>>322)の続きを作ってみた。
お泊まり回だからと、ちょっとFUKENZENなネタを入れようかとここで聞いたら、
レス番がまさかの >>666 だったから、これは悪アルを書けという啓示だと思って、
最初の構想から大きく変わってしまった…
この板でのFUKENZENネタの許容範囲内にギリギリ収まるつもりで、あからさまな
表現はしていないけれど、アウトだったら申し訳ない。

なにぶんSS書くのは初めてで、かなり中二病チックな表現が多いけれど、
少し大目に見てもらえると、それはとっても嬉しいなって。

もう一つ、>>337 の続きも思いついたら書いてみるよ。





 <リテイクver>

337 名前:262 (リテイク版)[sage] 投稿日:2014/05/18(日) 18:51:28.81 ID:KSoh+xQb0
「14世紀中頃からイングランドとフランスの間で発生した戦争は、およそ1世紀近くも続き、
 百年戦争とも呼ばれています。膠着状態となっていた中、フランスでは王の早世などで
 国内は乱れ、イングランドに攻め入れられていました。そんなフランスの危機を救ったのが、
 皆さんもよく知っている、ジャンヌ・ダルクという少女です。彼女は…」
世界史の授業で出てきたジャンヌ・ダルク。一時は救世主・聖女と呼ばれてフランスの皆に
愛された彼女でしたが、王家のいざこざに巻き込まれ、最後は処刑されてしまいます。
信じていた国に裏切られた想い、どれだけ無念だったのでしょうか。それとも、自分の力が
及ばなかったとしても、できることはやったと満足したのでしょうか…
私にとっては大昔の人の話、しかも遠く離れたヨーロッパのことのはず。なのに、なぜか
全くの他人事とは思えません。まるで、ジャンヌ・ダルクと直接話したことがあるような…

「まどか!」
「…ってほ、ほむらちゃん!? どうして!!?」
気がつくと私はほむらちゃんに抱きしめられていました。
何度か同じようなことがありましたが、こんな時のほむらちゃんはいつも必死な表情です。

「さっきの世界史の授業のことを考えていたのでしょう!?」
「えっ!?、う、うん、そうなんだけど…えっと、ずっとこの格好はちょっと恥ずかしいな…」
「あら、私はずっとこのままでも良いのだけど?」
クラスのみんなから見られてるから…と話をしたら落ち着いて離れてくれました。
もしかすると、本当にずっと抱きついていたかったのかもしれませんが、いくら学校とはいえ、
私にも社会的な立場というのがあるのです…

「あなたにとって全く関係の無い歴史の話でそんなに悩むなんて、本当に優しい子ね」
「えへへ、そんな恥ずかしいよほむらちゃん。そんなことないって」
「いいえ、あなたはどんな人にでも優しいわ。ずっとずっと、いつも、どんなときも」
「何だかまるで、ほむらちゃんは私のことずっと昔から知ってるみたい」
「そうね、私はあなたのことをずっと見ていたから、見えないものも見えるのかもしれないわね」
「…?」
その時のほむらちゃんは、遠いところを見ているようでした。私に向かって話しかけて
いるのに、もっと先を見ているような… まるで、もう一人の私がそこにいるかのように。

「まどか…あなたは優しすぎるわ。歴史上の人物のことを思うより先に、あなたの家族や
 身近な友人のことをもっと大切にしなさい」
「そうだね、うん。じゃあ、ほむらちゃんともっともっとずっと仲良くしたいな」
「そう…こんな私にも優しくしてくれるのね。やはりあなたはずっと変わらないわ。」
「じゃあさ、今度の土曜日、うちにお泊まりに来ない? パパの料理美味しいんだよ!
 きっとほむらちゃんも気に入ってくれると思うんだ、どうかな? えへへ」
「そうね… 考えておくわ」
「よかった!楽しみにしててね!家族みんなでお迎えするから!」
そう言って、私はちょっと強引かもしれないけれど、ほむらちゃんを家に呼ぶことにしました。
誘った時にほむらちゃんの表情が、少し緩んで見えたのは多分気のせいでは無いと思います。

http://hello.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1400172351/322
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1400172351/969-970
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1400172351/337