20スレ/219-220

Last-modified: 2014-04-16 (水) 07:21:58
219 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/05/10(木) 01:26:21.62 ID:YBZs590oP
「ほむらちゃん……」
私の呼びかけに、その手は頬を撫でて応えてくれた。
部室棟の空き教室は静かで、廊下を歩く足音すら聞こえない。
窓から差す夕日に照らされて、ただでさえ赤くなっているほむらちゃんの顔が余計に染まっていく。
「くすぐったいな……」
壁にもたれてるように座り込んだ私達は、身体を寄り添い合って下校時刻までの僅かな時間を過ごしていた。
背中を抱いたほむらちゃんの手が私の頬や後ろ髪をいじる。
くすぐったくて、恥ずかしくなる。
「ほむらちゃん……?」
横には穏やかな表情のほむらちゃんが、目をつむってそこにいた。
視線の先には薄いラインの唇があって、白い前歯が覗いている。
「ほむらちゃんってば」
足を触って呼びかける。
首をかしげて、なぁに、とかすれたような甘い声が返ってきた。
うっすらと開いた目に見つめられて緊張してしまう……。
「えへ、呼んだだけ」
いたずらっぽく笑ってみえると、ほむらちゃんも優しく笑みを浮かべて、肩を抱き寄せてくれた。
誘われるまま肩を寄せる。
ほむらちゃんの横上が鼻をくすぐって、シャンプーの香りがした。
「おんなじシャンプーだね」
二人で買い物にいくと、私はついお揃いの日用品を求めてしまう。
お箸、マグカップ、シャーペン、シャンプー、リボン……。
私達は身に付けるものがどんどん瓜二つになって、それだけで嬉しくなる。
「そうね……」
今度はほむらちゃんが私の髪に匂いをかぐ。
まるで頭にキスをされてるみたいで、恥ずかしくなる……。
胸が震えて、腰がキュンとなる。
耐えられなくて、乱暴に抱きついてしまった。
「もう、甘えんぼ」
んんんっ……。
ほむらちゃんの胸に顔を擦り付ける私を、ほむらちゃんは腕で包み込んで、頭に頬ずりしてくれる。
私はすっかり好きの気持ちでいっぱいになって、それを伝える言葉ばかりを探していた。
好き、好き……。
「まどか……」
「……ほむらちゃん」
名前を呼び合うだけなのに。
息遣いや、音の紡ぎ方から好きを感じて、私はまた嬉しくなる。


220 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/05/10(木) 01:26:48.92 ID:YBZs590oP
「……もっかい、言って?」
顔を離して、見つめ合ってから言う。
それを聞いたほむらちゃんは、照れたように口をくしゃっと歪ませて笑って、
今度ははっきりと、まどか、と呼んでくれた。
「ほむらちゃん」
お返しに私からも呼ぶ。
そしたら二人共おかしくなって、笑い出してしまった。
ひとしきり笑顔を作ったら、また見つめ合って、名前を呼ぶ。
「ほむらちゃん……」
「うん……まどか」
好きって言葉は、もうたくさん言ったし、聞いてしまったから。
もう名前を呼び合うだけで気持ちはいくらでも伝わる。
私達はそんな関係だった。
ほむらちゃんの手が私の頬を伝って顎を撫で、その手でそっと上を向かせられる。
目で、いい? と合図をされる。
えへへ……。 遠慮しないでって、何度も言ったのにな。
いいんだよ、と笑って見せると、私達はどちらともなく目をつむって、唇を触れさせた。
「ほむら、ちゃん……」
唇が離れて、ほむらちゃんが切なそうな顔をしてたから……。
ちゅ。
小鳥みたいに、お返しのキスをしてあげた。
ほむらちゃんは目を丸くしてびっくりしてる。
あはは、可愛いんだから……。
あんまり恥ずかしがらせるとほむらちゃんは逃げちゃうから、そうできないようにぎゅっと抱きしめちゃう。
また上目遣いで見つめる。
さっきの私みたいに身体をもじもじさせてるほむらちゃんは、どこにでもいる女の子だった。
私と一緒のときは、自然にしてていいんだよ……。
私の視線に耐えられなくなったのか、目をきゅっとつむってしまった。
調子にのった私は、さっきのほむらちゃんみたいにそっと抱き寄せて、キスをする……。
ん……。
「えへへ……目、つむったらキスされちゃうってわかってるくせに」
「……して、ほしかったの」
わ……。
思わない反撃に、今度は私の方が恥ずかしくなってもじもじしてしまった。
やだなやだな、えへへ。
また、見つめ合って、抱き合って……。
下校のチャイムが鳴るまで、私達は互いを求め合った。
だいすきだよ……。

http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1336464198/219-220