80スレ/ア・カ・イ・イ・ト

Last-modified: 2014-06-11 (水) 23:38:07
753 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/11/26(火) 20:13:57.15 ID:AEq1Jxhq0
http://ux.getuploader.com/homumado/download/397/%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%88.txt
急にカッとなって書いてしまった。反省なんぞ愛の前には無いも同然。

つーか久しぶりにSS書いたぞ……拙い文ですまん

http://hello.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1385164632/753

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気づけば夜のとばりは既に落ちていた。いつのあたりからか眠ってしまったらしい。
しかし何かがおかしく感じる。頭の下が柔らかく、そして暖かく感じる。

「目が覚めちゃったかな?気持ちよさそうに寝ちゃってて」

聞き覚えのある声。私の目が一気に覚めた。私の眼前にはまどかの顔があった。
どうやらどういうわけかまどかの太股を膝枕にして寝ていたらしい。
それよりも驚く事があった。周囲は魔女の結界のような閉鎖された空間となっており、
何より私の姿が魔なる者としての黒き姿、そしてまどかもあの白きドレスに身を包んでいた。

「まどか……その姿って……」
「えへへ……いつの間にか思い出しちゃってた。黙っててごめんね、ほむらちゃん」

私のため、そしてまどかのためとして、一欠片を奪い取ったはずの円環の理の姿。ここにはそれがあった。
また取り返さないと、そう思って起き上がろうとする。
しかし何らかの力が働いてるのか、身体を起こす事ができない。

「だめだよ、ほむらちゃん。じっとしてないと」
円環の理としての力を取り戻した彼女によって縛り付けられた感じがする。
「……どうして、どうしてよまどか……」
「言ったじゃない。ひとりぼっちになったらダメだって。ほむらちゃんが悪魔になったって、欲望のままに生きようとしたって、私がいるんだから。一人にさせたくないもの」
「私は秩序を重んじる貴女の敵になったってかまわないのよ!?」
「それは本心じゃないよね」
私の心を見透かされた気がする。そんな声だった。
「わかったんだよ、ほむらちゃん。思い出したときにほむらちゃんの想いも伝わってきたんだよ。私の事を深く愛してくれてるって、大切に想ってくれてるって」
「でもこんな私のことをまどかは……」
言い始めたときまどかの顔が私の目の前を覆い、そして唇が重なった。
突然の事に目を見開いてしまう。

「こんなのじゃだめかな」
まどかは悪戯っぽく微笑む。女神のような姿なのにその笑みは小悪魔のように思えた。
「まどか……」
「それにね。ほむらちゃんには私の欠片はまだ残ってるんだよ。まだ大切に想ってくれてるから。だから今でも繋がってるんだよ」
まどかの視線が私を貫く。じわじわと私に残っているまどかの欠片が熱を帯びているような気がする。そう思った刹那。
「そして……私もほむらちゃんの欠片がほしいんだ」
まどかはそう言い放つと私の手を握りしめた。そして私に裂け目ができたような、大きな力が働く。
まるで私が彼女を裂いたときのように。
「う、ううっ、だ、だめぇっ!どうしてなの!?貴女がそういうことする必要無いのに!いやあああああ!」
私の欠片が切り離された。
そしてまどかはその欠片をいとおしく両手に包み込み強く抱きしめた。

「これでおあいこだね」
微笑む彼女。放心気味の私。
しかし、だんだんと繋がりが見えるのが感じられてきた。
私の中のまどか、まどかの中の私、それぞれの想いが繋がり合っているのだ。

「まどか……こんなことして貴女は大丈夫なの?」
「その答えはほむらちゃんはすぐに分かってるはずだよ」
「自分に正直になる?それが答えなの?」
「ほむらちゃんが私の事を想ってくれているように、私もほむらちゃんが大切だし愛おしいんだよ。聖と魔、秩序と混沌、立場の違いはあるかもしれない。それでも愛する気持ちは互いに重いものだから」
気づけばまどかの右手小指には赤い糸が結ばれており、その先が私の左手小指に巻き付かれていた。
互いの力の、互いの欠片の繋がりが見えてくる。
「ほむらちゃんも女神様になれるし、私だって悪魔と思われてもおかしくない。それでもいいんだ。ほむらちゃんと愛し合って、お互い支え合えれば、秩序と混沌のバランスも取れると思うんだ」
「まどか……本当に貴女は優しすぎるのね……」
思わずまどかをぎゅっと抱きしめていた。そしてはらはらと涙かこぼれ落ちていた。それはまどかも一緒だった。
互いに想いあっているからこそ、その涙の暖かさが感じられる。
そして互いに固く抱き合い、いつしか二人して眠りという深い暗闇へと潜り込んでいった……

「あれは夢だったのかしら……」
朝起きてみるとベッドの上だった。あの光景は幻だったのだろうか。しかしながら小指には何か結われた感じがする。
けだるい感じがしながら学校に向かうと、まどかに屋上に来るようにと声をかけられる。
「一体どうしたのかしら」
「ほむらちゃん、覚えてくれてるかな、と思って」
まどかは小指を立てた。その時きらっと赤い糸が見えた。そしてそれは明らかに私の小指にも繋がっている。
不意に風が吹き、まどかの耳を覆っていた短い髪が吹き上げられた。
その耳には私が付けている物よりも小ぶりで、銀色に光り、ピンク色の石がつり下げられたイヤーカフだった。
驚きと恐れとともに、熱い想いが痛みとなり、愛おしいくらいに貫いていく。
そして逆上せるように顔が、身体が火照るようだ。それはまどかも同じだった。

「ええ、覚えているわ。まどかも私と同じようにどうしようもないくらい愛しすぎるのだと言う事をね」
「よかったぁ。忘れられてたらどうしようかと思ってたけど、そんな心配しなくて良かったみたい」
「まどかの耳、私とおそろいね」
「えへへへ、ほむらちゃんが大好きだからだよ。もうずっと一緒だよ」
「そうね、これからもずっとね……」

私たちは微笑みあい、結ばれている手を握りあって、そしていつしか唇を重ね合っていた。