:ふたなりの悶

Last-modified: 2016-10-21 (金) 19:55:37

文ちゃんが陰陽の御守りのせいで股間から陽の輝石生えたけど天狗の祠から封印せしものを出すのは恥ずかしくてどうしても遠征することができず行動力の火を消費できないまま持て余し溢れさせ夜も眠レズ悶々とする日々を送っていたら心配したとこよちゃんに腕力で助っ人募集させられて式姫変化を剥がされたありのままの姿を見られて恥ずかしいけど恥ずかしいはずなのにさらけ出された天狗の型紙は高々とはぐれ天狗しちゃうという裏話だよ

本番は無いから安心してね!

 
 
 

「三善先生! 陽の輝石をとってきました!」
「早いなとこよ……だが、助かったぞ。少し待っていてくれ……ってこれはまたずいぶん大きなものをとってきたな」
「はい! 陽の輝石が大きいほうが、瘴気を払う効果も高くなるんじゃないかと思って!」
「そうか。……そういう話は聞いたことはないが……だが、大きくて悪いなんてことはあるまい。先に取って来てもらっていた陰の輝石も使ってさっそく陰陽の御守りを作るとしよう」
「お願いします! ……ところで、ちょっと気になったんですけど」
「なんだ?」
「なんで、陰の輝石は天女の祠に、陽の輝石は天狗の祠にあるんですか?」
「ああ、それか。この世にある様々なものは陰の気質と陽の気質で分類されるという考え方があって、その考え方では陰は女性の気質、陽は男性の気質をそれぞれ内包しているとされるのだが――」
「女性と男性……あっ! それで天『女』の祠に陰の輝石があるんですね!」
「勘がいいな。おそらくそうだろうと考えられている」
「……あれ? じゃあ、天狗の祠に陽の輝石がある理由は……?」
「そ、それはだな」
「それは?」
「……大人になれば分かる」
「はい?」
「それより今は陰陽の御守りだ! すぐに作るからそこで待っていろ」
「あ、はい! お願いします!」

 
 
 

   ふたなりの悶

 
 
 

 逢魔時退魔学園の陰陽師になったとこよが、方位師になった百花文と自宅で暮らすようになってしばらく経った頃。
 各地への遠征や釣り、採掘、本格的な陰陽師としての漁師生活にも慣れてきたそんな頃。
 とこよは最近、文の様子が変だと感じていた。
 血を吐くのは変わりない。そこは相変わらずだ。
 変なのは夜のこと。文が寝苦しそうにしているのだ。
 最初は大して気にしなかった。せいぜい、枕が合わないのかなとか、布団が暑くて寝苦しいのかなとか軽く考えていた。
 それくらいのことなら自分でどうにかしてしまうだろうし、もしかしたら寝具のことを相談してくるかもしれない。
 しかし、二日、三日と経っても文が寝苦しそうにするのは変わらず、その後もずっと続いた。
 枕を新しくする素振りも無く、とこよに何かを相談してくることもない。
 とこよの心配な気持ちだけが日に日に強いものへと変わっていった。
 また、そんな風に寝苦しそうにするようになった同じ頃、文は何か調べごとをするようになった。
 どこかから書物を持ってきて、熱心に読み耽る姿をよく見かけるようになったのだ。
 何を調べているのか聞いてみると、「大したことではないですよ」とはぐらかされてしまった。
 一度だけ、文が留守の時を狙って、悪いとは思いながらもどんな書物を読んでいるのかこっそり見させてもらったことがある。
 文の読んでいる書物をぱらぱらとめくると、図解つきで男性と女性の体の各部が記してあるような本が多かった。
 体の調子に、やはり何か気になることがあるのだろうか。
 様子が変なところはまだある。
 一部の式姫をなんとなく避けているようで、かと思えば、その式姫の体をじっと見ていたりするのだ。
 文がじっと見る式姫に共通していることはすぐに分かった。肌を多く出していて、その体がよく見えることだ。
 つまり、式姫達の元気な体の秘訣を探しているということだろうか。余計な気を遣わせないよう、式姫達には悟られないように。
 だが、そう考えるのにはまだ少し気にかかることがあった。
 いや、少しではなく、とても気にかかることがあるのだ。
 文がなんとなく避けている感じがするのは式姫達だけではない。
 なんとなく、自分のことも避けているような……。
 とこよはそう感じていた。
 自分は確かに体が丈夫なほうだから、こっそりとその秘訣を見ようとしているのかもしれないけど……。
 しかし、とこよは首を捻る。
 それにしては、一緒に湯浴みをするのも避けるようになったし、寝巻きに着替える時にもさっさと着替えてすぐに布団に潜り込んでしまう。
 そういう時こそ、体をこっそり見る機会なのではないだろうか。それとも、元気の秘訣を見ているのを気づかれないようにしているのだろうか?
 それともやっぱり……、避けられているのだろうか。
 分からない。
 そう、分からないのだ。
 そういえば最近、文とあまり話をしていない気がする。
 ひょっとしたら、文の様子が少し変だと感じるようになったのは、以前よりも話をする時間が減ったからかもしれない。
 文が調べごとをしているから、ちょっとした買出しやちょっとした用事を一緒に済ませることも無くなった。
 湯浴みの時や寝る前の時間に、その日一日の話をすることも無くなった。
 だから文のことが分からなくて、ひょっとしたらそれで不安になっているだけなのかもしれない。
 ……今夜もまた、隣の布団からはなんとも寝苦しそうな吐息と何度も寝返りをうつ布団の擦れる音が聞こえている。
 文ちゃん最近どうしたの?
 そう聞いてしまいたい。
 しかし、もしも文が自分を避けていたとしたら……。それを確かめることが、とこよは怖かった。
 怖かったが、しかし、文の体調が悪いのなら放っておくことなどできない。陰陽師になってからというもの、文には助けられてばかりだ。
 だから、もし文が困っているなら助けてあげたい、絶対に。
 たとえ自分が文からどう思われていようとも……そこは絶対にそう思う。
 とこよはそう腹をくくって、その晩、最近の文の様子について本人に直接聞いてみることに決めた。

 

 「ねえ、文ちゃん。最近……、体の調子が悪かったり、する?」
 隣の布団で寝苦しそうな吐息を洩らしている文にとこよはそう聞いた。
 寝返りを繰り返していた文の動きが止まる。
 一瞬の沈黙の後、
「えっと。そんなことは、……ないですよ?」
 文はそう答えた。
「本当に? また、前の時みたいに隠してたりしてない?」
 以前、文は体の調子が悪いのを黙っていて、そのまま倒れたことがあった。
 それは、とこよと文が出会って最初の頃。
 体の弱い文はかくりよの門の瘴気の影響に体が耐えらなくなったのだ。
 方位師としての役割を負えなくなる事を恐れ、自身の体調が悪いことを見て見ぬ振りをして、結局は、倒れてしまった。
 だがその時は、二人の先生である三善に陰陽の御守りを製作してもらい、それを文が身につけ瘴気を払うことで無事ことなきを得た。
 それから文は、肌身離さず陰陽の御守りを身につけているはずである。
 とこよその時についてのことを言い、文がまた体調が悪いのを隠しているのではないかと聞いているのである。
「いえ、それは……」
「最近、夜はずっと寝苦しそうにしてるし」
「……確かに最近ちょっと寝苦しいですけど、体調自体は前みたいに悪くはないですから、そこは大丈夫ですよ」
 とこよを安心させるように、文は力強く答えた。
「でも、医術書みたいな本で何か調べごとしてるみたいだし」
「ゴフッ!」
 文が咳き込むように血を吐いた。
「えっと、それは別にちょっとした知的好奇心というか、そんな心配されるようなものではなくてですね」
「あと、狛犬ちゃんと白兎ちゃんと悪鬼ちゃんを何となく避けてない?」
「えっ、いえ、そんなことは……別に……」
「たまに体をじっと見てたりもするみたいだけど……」
「ゴフッ! ゴホッゴフッ!」
 文が勢いよく咳き込み血を吐いた。とこよがそれを心配した気配は特にない。
「……え、えええ!? そ、そうでしょうか? そんなにじっと見てましたでしょうか私?」
「うん。すごくじーっと見てた」
「うあぁぁ……私、そんな……」
「それに、私のことも、たまに避けてることが……ない、かな……?」
「えっ!? いえ、そんなこと絶対無いですよ!」
「そ、そう?」
「無いです。絶対に無いです」
「……そっかー、よかったー」
 とこよが大きく息を吐いた。安堵したように、口元に小さく笑みを浮かべて。
「私がとこよさんを避けるなんて、そんなはずないじゃないですか」
「だって、最近文ちゃん湯浴みするのも水浴びするのも厠に行くのも一人で行っちゃうし、距離感が前よりも遠いというか私が体を近づけるとさりげなく離れちゃうし、寝巻きに着替えるときだってさ、一人でささっと着替えたかと思ったら私には見向きもせずに布団に潜っちゃうし」
「そ……! それは、その……、だって、その……」
「だって?」
「……とにかく! それはとこよさんを避けているわけではないので安心してください! 狛犬さん達のこともです!」
「えー。……まあ、避けてるわけじゃないなら、そこは安心できたかな」
「それとですね、確かに最近ちょっと寝つきが悪いですが、それだけです。さっきも言いましたが、体調が悪いところは吐血するくらいなので特に問題ありません」
「自分でも吐血するのは問題じゃないんだね……。……でも、本当に大丈夫なの?」
「本当です。本当に大丈夫ですから……その、すみません、心配をお掛けしてしまい」
「何か、隠してない?」
「……ありがとうございます。でも、本当に大丈夫ですよ?」
「そう……」
 とこよが、寂しそうに呟いた。
 文はまだ何かを隠している。そしてそれを、自分に打ち明けてくれない。
 とこよにはそれが分かって、不満でもあり、悲しくもあった。寂しかった。
 しかし、これだけ聞いて何も教えてくれないのなら、文に教える気はないのだろう。
 それなら、これ以上無理に聞き出すことも憚られてしまう。
 とこよにはもう何も聞くことができなかった。
(……私を、そして、式姫達を避けてる訳じゃないって分かったから。それだけでも話をして良かった、って思うべきなのかな)
「でも文ちゃん。何か私が力になれることがあったらすぐに言ってね」
 それでも、力になれることがあれば何でも言ってほしい。とこよは自身の想いを伝える。
「……そうですね、とこよさんの力を借りたくなったら、すぐに言いますね」
「うん。文ちゃんの為にしてあげられることがあるんだったら、いつだって、何だってしちゃうよ」
 もし、文が誰かの力を頼りたくなった時は、いつでも自分に言って欲しい。とこよは言葉にそう願いを込める。
「何だってしちゃう……」
「うん! 文ちゃんにはいつも助けられてばかりだからね。して欲しいことがあったら何でも言ってね!」
「して、欲しい……」
 ごくり、と喉の鳴る音がした。
「ひょっとして何かして欲しいことがある? 文ちゃん?」
「……え? あっ、いえ、大丈夫です! 全然大丈夫ですよ!」
 文は今考えたことを頭の中から追い出そうとするかのようにぶんぶん首を振って、布団を頭まですっぽり被ってしまった。
「そっか……。でも、私にして欲しいことを思いついたら、本当に、いつでも言ってね」
「……はい。ありがとうございます」
「むしろ私が何かしてあげたくて仕方ないくらいだから」
「…………うぁぁ……」
「私にしてほしいこと考えておいてね」
「考えるのは、はい……」
「うん」
「あ、いえ、そうではなくて……、あっ、いえっ、な、何でもないです、何でもないですはい……」
「? 何でも言ってね?」
「…………うぅ」
 それで会話は終わってしまった。
 文は布団を頭から被ったまま、寝返りもせずに何かをじっと考えているようだった。
 とこよはその気配を感じながら、文が何かを言ってくれるのをゆっくりと待つように、目を閉じた。

 

「あの、とこ……うぅ……とこよ、さん……」
 か細く、遠慮がちで、消え入るような、震える声だった。
 とこよの目がぱちりと開く。
「なあに、文ちゃん?」
「あっ……とこよさ……起き……て」
 文の息遣いが、少し荒い。
「その……、私、とこよ、さんに……し、て……」
 ごくり、と文は喉を鳴らす。
「してほし、ぃ……こ……あ……」
 して欲しいことがあるんです。と、小さな声でごにょごにょと言ったのをとこよの耳は確かに聞いた。
「何なに文ちゃん? 何をして欲しいの?」
 とこよは、ばっと体を起こした。
 顔を輝かせて、文の顔を見つめる。
「えぅ……、それは、あの……その……」
 文は布団から目だけを覗かせて、口元を布団に押し付けてごにょごにょと言葉を濁す。
 今度は何を言っているのかとこよの耳にも届かなかった。
「え? 何て?」
「あの、その、うう……」
 文は尚もごにょごにょと言葉を濁し続ける。
 とこよは急かすことなどせず、文が自分から言ってくれることを待っている。
 文はしばらくごにょごにょと何かを言いよどんで、結局、恥ずかしそうに布団を引き上げて顔を隠してしまった。
「や、やっぱり、何でもないです……!……ぅぅ!」
「もう。文ちゃん。遠慮しないで何でも言っていいんだよ?」
「すみません忘れてくださいやっぱり何でもないです何でもないんです……!」
「ううん……、でも、何でもなくても、私にして欲しいことはあるんだよね」
「いえ、それはその……、気の迷いというか、頭がどうかしていたというか、違うんです、間違いなんです」
「間違いかどうかは、聞いてみないと私には分からないな」
「でも、こんな、言えません……」
「恥ずかしがらないでも大丈夫だよ。私と文ちゃんの仲じゃない」
「ううぅ……」
 なんと言おうとも、文は布団を被ったまま、とこよに何をして欲しいのか言い出さない。
 じれったくなったのか、寝巻き姿のとこよが動く。
「ほら、せめて顔を見せてよ文ちゃん」
 文の布団をひっぺがして脇へとほうり投げ、とこよと同じく寝巻き姿の小さな体を跨ぐと恥ずかしそうに目を逸らす頭の横に手をついて赤くなっている顔を見つめる。
「あぅぅ――あっ! わわっ!」
 顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた文が何かに気づき、慌てて自身の下腹部あたりを両手で押さえた。
 何を押さえたのか。
 とこよが視線を落とすと、文の股のあたり、何かが、寝巻きの下で膨らみを作っているのが見えた。
「何これ?」
「これは、いえ、その、なんでもなくて」
 文は真っ赤になりながら必死にそれを手で隠す。
 どうやらそれが文を悩ませている原因らしい。そう直感したとこよが目を光らせた。
「ちょっと見せてね」
「あ、だめ、だめです」
 膨らみを押さえる文の腕をつかんで持ち上げる。
 文も精一杯抵抗していたようだが、力の差は歴然としていて、あっという間に両腕を体の横で布団に押さえつけらてしまう。
「だめ、だめ、とこよさん……、見ちゃ、だめです……」
 目を潤ませて、消え入りそうな声で、懇願するように熱い息を吐き出す文。
 さすがのとこよの胸裏にも、無視することのできない程度には罪悪感が飛来する。
 どうしようか、とこよは文を押さえつけたまま逡巡する。
 押さえつけられた文の腕からはもう抵抗を感じない。力の差があり過ぎて腕力では敵わないと力を込めるのを諦めたのだろう。
 文は抵抗はせず、ただ、「だめです、とこよさん、だめなんです」と、懇願するばかりだ。
 とこよは、悩む。
 文の股の間に膨らむそれが何なのか、そこを覆っている寝巻きの裾を少しずらせば簡単に分かってしまうだろう。
 だが、罪悪感がすごかった。
 股の間、女の子の大事な部分だ。他人のそこを安易に見てしまうのはたとえ相手が文だとしても、いや文だからこそ、憚れてしまう。
 無理やりそこを見られた文は、傷ついてしまうかもしれない。
 でも、文を悩ませる原因が何なのかは気になる。
 力になりたい。
 できる限りのことをしたい。
 それに文も口ではだめだめ言っているが抵抗は少ないではないか。
 もし本当に嫌なのだったら、もっと激しく、何が何でも抵抗するのではないか。
 だがそれは、腕力の差をよく分かっているから、力での抵抗は諦めているだけかもしれない。
 文の顔は真っ赤で、今にも涙がこぼれそうなくらいに瞳は潤んでいて、小さく震える吐息がどうしようもなくか弱くて。
 とこよは文の顔から目を逸らすように、文の股間に視線を落とした。
 びくん、と。
 股間で膨らむそれが動いた気がした。
「……?」
 不思議なものを見たような顔で、とこよはそれを見つめる。
 びくん。
 また、それが動いた。
「だめ、です……そんなに見たら、見られたら……、見られただけなのに、なんで、こんな、うぅ……」
 文が弱々しく首を振って見せた。
「……うん?」
 とこよは片方の手を文の腕から離し、びくんと動いたそこに触れようとする。しかし、とこよの手が離れ自由になった文の片手が、触れようとしたとこよの手よりも素早くそこを覆い隠した。
「とこよさん……、もう、もうこれ以上は」
「ふむ」
 とこよはそこを隠している手は無視して、文の寝巻きを下からするりと一息にたくし上げた。
「えっ、ちょっ、とこよさん、だめ。だめですってば」
 とこよのたくし上げる手は、素早く、そして巧みだった。
 文が慌てて寝巻きの裾を押さえようとしたが遅い。
 股間の膨みと押さえる手の平の間で寝巻きの裾はするりと滑り、「ひぁぅ!?」お腹の辺りまですっかりとたくし上げられて、文の下半身は生まれたままの姿をあらわにする。
「わ、だめ、見ないでください。とこよさん、見ないでっ……!」
 裸の下半身で、文は尚もそこを小さな手で必死に覆い隠そうとする。しかし、隠しきれないほどの膨らみ――肉棒が、文の小さな手の平の下からはみ出てしまっていた。
「何これ?」
 とこよは不思議なものを見るような顔で、そこを見つめた。
「これは……。これは、うう……」
 文の顔はもう耳まで真っ赤で、なんとかとこよの視線から逃れようとしてなのか顔だけを横に逸らし、恥ずかしさに耐えるように肩を小さくさせていた。
 とこよの手が、文の腕をゆるゆると持ち上げる。
 文の手は力が入らなくなったかのようにあっさりと持ち上がって、小さな手の平からはみ出ていた物の全貌をとこよの目の前にすっかり晒してしまう。
 勃起した男性器がそこにあった。
 太い血管を浮き立たせてそそり立つ陰茎が、文の股間から生えていた。
 とこよの視線が真っ直ぐそこに注がれている。
 とこよが人生で初めて完全に勃起した男性器を直視した瞬間だった。
「……何これ?」
 とこよは、呆けたようにそこを見つめる。
 文は、ただひたすらとこよの視線をそこで受け止める。
 ただ、股間の一物が跳ね上がらないよう、できるだけ体に力が入らないよう、それだけを思って。
 ひたすら、自らの股間で痛いほどに硬くなっている男性器が、張ち切れそうなほどに膨らんでいる肉棒が、とこよの視線を浴びているのを感じて。
 泣きそうなほどの恥ずかしさが、文の体の内側から燃えるように熱を発していていた。
 その熱の塊が吐き出す息と共に自身に跨るとこよの目の前へ曝け出されてしまうのを恐れるかのように、熱く湿る吐息を口の中で静かに押し殺していた。