ARAKAKI

Last-modified: 2023-12-19 (火) 12:15:17

新垣渚(元ダイエー・ソフトバンク→ヤクルト)の暴投に由来する蔑称。
転じて、暴投(ワイルドピッチ)そのものを指す言葉。


概要

入団当初は速球と荒れ球、そして「バニッシュボール」と渾名された鋭い縦変化のスライダーを武器に、斉藤和田杉内と共にホークス4本柱を形成し最多奪三振のタイトルを取るなど活躍していた新垣。
しかし、2007年を境にその荒れ球ぶりが深刻化*1。併せて得意の縦スライダーも捕手が止めきれなくなった*2ことで暴投数が一気に増加してしまう。

  • シーズン25暴投のプロ野球記録(2007年)*3
  • 1イニング3暴投のプロ野球タイ記録(2008年8月20日)
  • 1試合5暴投のプロ野球記録(同上)
  • 1試合4暴投をセ・パ両リーグで記録(プロ野球史上初)
  • 1試合4暴投を通算3回記録(プロ野球史上初)
  • 村田兆治、石井一久に次いで史上3人目となるプロ通算100暴投*4
  • 2007年以降でリーグ最多暴投が4回(いずれも規定投球回未満*5

これらの輝かしくも褒められない記録を持つ彼の栄誉を讃え、その名前は暴投の代名詞として定着していった。

この「暴投=ARAKAKI」に倣って特定のプレーに選手の名前を付けようと努力するファンも存在したが、
結果的に定着したのはKURA(捕逸)・ISOBE(併殺打)・GG(外野手のエラー)・HIYANE(同左)程度である。


関連動画

その他、暴投の多い投手たち

  • 越智大祐(元巨人)
    山口鉄也と「風神雷神」コンビで活躍した越智だが非常に暴投が多かった。一軍での実働は5年、リリーフでの登板のみだったにも関わらず現役通算242イニングで24暴投およそ10.0イニングに1回と頻度では新垣を上回っている。一軍デビュー年の2008年に記録した15暴投は、先発のない投手のシーズン記録としては歴代最多。
  • 小川一平(阪神)
    ルーキーイヤーだった2020年は21試合に登板し21回を投げて5暴投、約4イニングに1回と頻度が極めて高く*6、一時はセ・リーグ最多暴投に躍り出た*7ことから「新垣二世」という蔑称を付けられた。ただ2021年以降は暴投が激減し、この蔑称は殆ど使われなくなった。

関連項目


*1 幼少期に脚の怪我が多かったことからノーコン気質で暴投も多い方ではあったが、シュートを習得したことで更に暴投が増加したと言われている。
*2 ちょうどこの時期、打力に優れる田上秀則が台頭し、キャッチングに定評のある山崎勝己と的場直樹の出番が減少したことが大きな要因だと考えられている
*3 ちなみにその前後の年も2桁暴投を記録している('06年に10暴投、'08年に15暴投)。また、一般的に暴投しやすいとされるフォークを多投する上原浩治は日米20年間でわずか19暴投である。
*4 ちなみに、通算最多暴投の村田が3331.1回投げて148暴投(22.5イニングに1回)、2位の石井が2153.1回投げて115暴投(18.7イニングに1回)というペースなのに対して、3位の新垣は1077.1回投げて101暴投(10.66イニングに1回)とその暴投率は群を抜いている。
*5 通算でも5度のリーグ最多暴投( ソフトバンク時代に4度、ヤクルト時代に1度)を記録。
*6 2008年の越智(71.1イニングで15暴投)でさえ約5イニングに1回レベルである。
*7 シーズン記録はK.ジョンソンと並ぶ同率3位。