自己を見つめる言葉

Last-modified: 2016-07-03 (日) 14:35:12
 
「三界の狂人は狂せることを知らず、
四生の盲者は盲なることを識らず、
生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、
死に死に死に死んで死の終わりに冥い」
(『秘蔵宝鑰』 空海)

三界とは欲界・色界・無色界のことで、生きる者が住まう迷いの世界。
彼らは自らが狂人であることを知らない。
四生とは胎生・卵生・湿生・化生のどれかから生を受けたもの、
つまり生きとし生けるもの全て。
彼らは自らの目が見えていないことを認識できていない。
誰もがこの世に生きて、自分という存在と共に歩んでいるのに、
誰もが生の始まりを知らず、死の先を知らない。
誰もが、自分が無知であることを知らない。
空海は仏道に帰依する者達に、上記のように叱咤を送る。
すなわち、勉強しなさいと。
comment by 神居鈴
 
「今の情報化社会では知識や計算は簡単に手に入る、出来る物。
だからもうあまりそれらに意味はない。
これからの時代の人間にとって大事なのは決断する事だと思います」
(羽生善治)

ネットには膨大な知が溢れている。
脆弱な信念では溺れてしまうほどに大量の知が。
その奔流の中で自分を見失わないよう、
しっかりと選別し、選択し、そして思考する、
それこそが、現代人に求められる最難の課題かもしれません。
comment by 神居鈴
 
「人種の中に自閉する人々は人種的アイデンティティに固執し、
自分自身ではなく人種の中に力の源泉を見出すようになる。
こうして、人種的自閉は、黒人の最大の力と強さの源泉
――我々の個人的欲求の中に眠った活力――を台なしにする」
(『黒い憂鬱』 …著:シェルビー・スティール)

個人間の競争から逃避して、人種的被差別者であるという意識に逃げこもうとする、
アメリカ社会における黒人へのアンチテーゼ。
スティール自身も黒人であるだけに、その言葉には一層の説得力がある。
そして、この問題はアメリカにおける黒人のみならず、
現代の様々な局面においても、重要な示唆をもたらしてくれる。
comment by 神居鈴
 
「きれいごとになれた社会には評論家が大量発生します。
きれいごとが武器となり、他人を攻撃する時も自分を防衛する時にもこれを使うのです」
(宋文洲)

きれいごと、は決して不要なものではない。
しかし、他人を攻撃することに使っても益はない。
使うのであれば、自分を律するためにこそ。
何事も、使いどころは熟慮したいものです。
comment by 神居鈴
 
「自分がわからないものを一所懸命に人に説いても、わかるはずがない」
(『毒舌 仏教入門』 …著:今東光)

「相手は○○を分かってくれない」と思う時、
自分はそれを分かっているのだろうかと考えると、
案外そうでもなかったりします。
「○○」に入るのが「自分の事」であるとするなら、なおさらです。
comment by 神居鈴
 
「人見るもよし、人見ざるもよし、我は咲くなり」
(武者小路実篤)

人の事など関係ないから、好き勝手にしてていい?
いえ、解釈としては、「人が見ていても見ていなくても、
自分を律して(咲いて)いなければならない」
という、自分に厳しい言葉ではないかと思います。
咲くも咲かざるも己の心ひとつ。
だらけていては、どんどん堕ちてゆくばかりですから。
comment by 神居鈴
 
「『助けて』って叫んで良いんだよ」
(漫画『夜回り先生』 水谷修 …著:土田世紀、水谷修)

虐待やいじめのつらさを誰にも言えず抱え込んだままの翔太。
でも、彼にはただひとりだけ信じることのできる校長先生がいた。
そのことを聞いた"夜回り先生"こと水谷修は、翔太に対し、
「その先生の前でリストカットしてごらん」と言います。
その時に、併せて翔太に伝えた言葉が、
この「『助けて』って叫んで良いんだよ」というもの。
つらいならつらいと言えばいい、我慢できなければ逃げればいい。
ただ、死ぬのだけはダメだ。だから、遠慮無く助けを求めればいい。
一見、後ろ向きに見える水谷氏の言葉の中にこそ、
紛れもない希望の光があるのかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「人生の中には、抵抗しようとしても出来ないものがある。
僕には走るのを止めることは出来なかった。
僕に生命を与えてくれるのは戦いだよ。
この挑戦が無ければ、僕はもう存在しないだろう」
(アイルトン・セナ)

天職、あるいは天命と呼ばれるもの。
いや、そうでなくとも、好きで好きでたまらないものならば、
そこには挑戦する価値が必ずある。
好きなことから目を背けて長生きするより、
玉砕覚悟で突っ込んでみるのも良いかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「お前らひょっとして、生きてるってことは、
心臓や肺が動くことと勘違いしてるんじゃねえのか………?
だとしたら本当に無駄だから、さっさと死ねや。
おめえみてえなのは、本当にクソの役にもたたねえんだからよ…!
小利口な口がしゃらくさいだけの人間…………
プライドっていう臭いだけが鼻につく生ゴミ野郎ってこと…………
悪いこと言わねえから、世間の迷惑考えたら死ねや……船降りたらすぐによ……!」
(漫画『賭博黙示録カイジ』 伊藤開示 …著:福本伸行)

ただ無為に日々を過ごしているだけでは見えてこないものがある。
まして、遠くから石を投げているだけの日々では、生きている甲斐がない。
comment by 神居鈴
 
「みんなが見ているのは、ただの『ドミ子』じゃないわ。
あなたが演じたドミ子なのよ。
それは間違いなく、あなたの一部だわ」
(漫画『ななか6/17』 霧里七華 …著:八神健)

演じたキャラクターだけが必要であり、
自分自身は必要ないのではないかと悩む声優・月影奈乃を、
七華が励ました時の台詞。
この作品では「表の自分と裏の自分は、どちらが本当の人格か?」
という問いが繰り返し提示されます。
作中で何種類か出てくる回答の中でも、
特に象徴的な台詞の一つがこれです。
comment by 白詰草
 
「陽の当たる道を歩き出す機会は今までに何度もあったろうに…
すねて…ひねて…陰から人をバカにして偉くなった気になって…
弱みにつけこみ傷をつけて、勝ったような気になって…
そういう道を選んだ時から…おまえは"人"として負けてるんだよ!!」
(漫画『パスポート・ブルー』 真上直進 …著:石渡治)

少年時代に敗北を喫した真上を妬み、
復讐のためだけに人を陥れ続けた小坂直也に、真上がつきつけた言葉。
えてして人は他人を妬みやすい生き物。
でも、劣等感に負けて裏路地に引っ込んでしまうようでは、
自分が行けたはずの目的地になんてたどり着けやしない。
その道が茨に彩られていようと、大通りの中をまっすぐに進んでいかなければ、
やがて、袋小路の中で、自らの心を腐らせてしまう。
comment by 神居鈴
 
「本当の強さってのは…
たとえどんな状況にあろうと…
自分を信じ…あきらめず!!
いつもまっすぐに前を見て一歩一歩を歩いていく!!
それができるかどうかってことなんだ!!」
(漫画『"LOVe"』 鯨岡洋平 …著:石渡治)

ドーピングで手に入れた強さをもって立ちはだかった相手に対し、
自分が積み重ねてきた力を信じて戦い続ける高樹愛を見て、
ライバルである洋平が語った言葉。
安易に手に入れた出来合いの能力よりも、
こつこつ積み重ねた地道な努力が、
結局は最強の力として自分を支えてくれます。
comment by 白詰草
 
「…居場所なんて、どこにでもあるよ」
(PCゲーム『リトルバスターズ!』 神北小毬)

自分のいるそこが、自分の居場所。
そしてそれは、誰かに用意してもらうものではなく、自分で作る物。
comment by 白詰草
 
「さぁね…おとなの考えることなんてわかんない
夢とかねがいより出世の方が大事なんじゃない」
(漫画『しゅごキャラ!』 ほしな歌唄 …著:PEACH-PIT)

子供の目から見た大人の姿は、
そのように見えているのかも知れません。
そのとき、子供に対して大人は何を見せられるか?
何も見せることができなければ、それは……
comment by 白詰草
 
「人間は思考する努力を省きたいがために、
ありとあらゆる方便に頼ろうとする」
(トーマス・エジソン)

"頭脳労働"や"頭の体操"というくらい、頭を使うのは疲れるものです。
だからといって怠けてばかりいると、
身体を動かさずにいて太ってしまうが如く、
脳にもまた、思考力が衰え、余分な贅肉が付いてしまいます。
comment by 神居鈴
 
「過は足るを知らざるよりも大なるは無し」
(老子)

もう少し平易にいうならば、
「最大の禍は満ち足りていることを知らないことだ」
といったところ。
幸せを逃すより、幸せに気づかないことの方が問題なのです。
追い求め、走り続けるのも良いですが、
たまには立ち止まって、自分を取り巻く周囲に感謝してみれば、
そこに、新たな発見があるかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「自分の痛みさえわからないのに、他人の痛みなんかわかるわけないだろう」
(漫画『来世であいましょう』 ポワチン大魔王 …著:小路啓之)

物理的な「感覚」を持たないが故に、
自分を傷つけ、他人を傷つけても、
その重大性を理解できないポワチン大魔王の台詞。
この場面では物理的なことを語っていても、
真意は心の内面を見据えた言葉です。
案外、人は自分がどれだけ傷ついているかに気がつかないもの。
そして、気づいた時には修復できぬまでに広がっている。
まずは自分の心を見つめること。
その先に、他者への思いやりを持つ余裕が生まれます。
comment by 白詰草
 
「『どうせできない』『向いてない』そんな口グセの自分…あむちゃんは好き?」
(漫画『しゅごキャラ!』 ミキ …著:PEACH-PIT)

砂のオブジェ制作にあたり、
ミキに代行してもらおうとした主人公・あむに対し、ミキが返した言葉。
上手くやれることより、大事なのは「できるようにがんばること」。
なりたい自分になるために、少しずつ、努力していかねばなりません。
comment by 白詰草
 
「人生の大病は只これ一の傲の字也」
(『伝習録』王陽明)

傲慢こそが人を滅ぼす、という、中国の明時代の思想家・王陽明の言葉。
内面的には向上心を失わせ、外面的には敵を作ってしまうのが傲慢というもの。
上にのぼるほど、身を慎む必要があります。
comment by 神居鈴
 
「私が仲良くせねばならない人物が二人いる。
神と、この私、ガーフィールドだ。
この世では私はガーフィールドと共に暮らさねばならない。
あの世では神とともに生きる」
(ジェームズ・ガーフィールド)

何とも不思議な読後感の言葉ですが、
基本は「自分とうまくつきあう」ことに尽きます。
好いても嫌っても、どうせ死ぬまでは自分とつきあわねばならない。
なら、できるだけ仲良くした方が得策ですね。
comment by 神居鈴
 
「幸福は物事の味にあって、物事そのものにあるのではない。
幸福になるのは、自分の好きなものを持っているからであり、
他人がよいと思うものを持っているからではない」
(ラ・ロフシュコー)

自分の信じるものをどれだけ信じられるか?
なかなか思うように振る舞えないのが人の弱さ。
落ち着いて、自分の部屋を見渡してみると良いかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「肉食獣はけっして肥満することはない」
(『美味礼讃 ――味覚の生理学』 …著:ブリア・サヴァラン)

狩りで運動するから……。
食べた分、あるいはそれ以上、きっちり運動するから……。
うん、わかってる。わかってるんだけどね……。
comment by 神居鈴
 
「吉凶は人によりて、日によらず」
(随筆『徒然草』 …著:吉田兼好)

毎日起こる良いことも悪いことも、
単なる運勢に左右されているものではなく、
その裏には必ず人の営みの綾がある、と言う意味の吉田兼好の言葉。
いわゆる「因果」ということで、
結果の大元には必ず原因があると言うこと。
何かあったら一度立ち止まって、
ゆっくり自分の足跡を眺めてみると良いかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「生ぜしも独りなり、死するも独りなり」
(一遍)

さすがに生まれてくる時は独りではないにせよ(母親がいるため)、
生きることが孤独とのつきあいであることは論を待たない。
多くの場合、それをごまかしながら生きていますが、
たまには正面から孤独を見据えることで、
自分というものの一面が見えてくるかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「相手がタフに見えるのは、ママに仕送りもらってるからよ!」
(Xbox360/PS3『NO MORE HEROES 英雄たちの楽園』 シルヴィア・クリステル)

大人になると怖いものが増えますが、
その必要のないものまで無用に怖がっているのは、
大人になりきれていない証拠。
たまには不遜なくらい胸を張って歩いた方がよいのかも。
comment by 神居鈴
 
「金儲けの上手い人は、無一文になっても自分自身という財産を持っている」
(アラン)

最大の財産は自分自身と言うこと。
それを知っているかいないか、
あるいは、その財産に自信を持てるかどうかの違いです。
comment by 神居鈴
 
「自分たちの未来を信じている人は、
人の物がうらやましく見えるなんてことはないのね…」
(漫画『銀河鉄道999』 メーテル …著:松本零士)

台風で家を吹き飛ばされてもなお、「建て直せば大丈夫!」と笑い、
誰もが欲しがる高価な999のパスを見てもなお「働けばいつか自分で買えるよ」と豪語する、
そんなホテルの親子を見て、メーテルが鉄郎に語りかけた言葉。
その星の名は『これからの星』。
戦火の焼け野原から経済大国にまで発展させた戦後日本人を重ね合わせながら、
明日への希望を持ち続けることの尊さを讃えた台詞です。
comment by 神居鈴
 
「オウムはおしゃべりは上手だが、飛ぶのは下手だ」
(ウィルバー・ライト)

世界初の飛行機を開発したライト兄弟の、兄の方の言葉。
口を動かす暇があったら黙って飛べ、と。
実際飛んだ人の言葉だけに、重みがあります。
comment by 神居鈴
 
「毎日がつまらない人は、
『このままでいい、世界はいつも同じだ』
と決めつけている人なんです」
(養老孟司)

世界がいつも同じであることなど、よく考えればあり得ない。
変わらないように見えているなら、それは自分の周りしか見ていないせい。
ちょっと表に出てみれば、おもしろいことは山ほどある。
comment by 神居鈴
 
「道の行われざるや、我これを知れり。知者はこれに過ぎ、愚者は及ばざるなり」
(孔子)

愚か者は知恵が足りず、逆に、知恵者は知恵がありすぎて惑う、
という意味の孔子の言葉。
頭が良いということは必ずしも良いことばかりではないようです。
comment by 神居鈴
 
「自分の本心に背けば、一切の楽しみ、一切の関心事が必ず現実から遊離する。
そういうことをする人の全生涯は、単なる一場の劇としか映るまい」
(ナサニエル・ホーソーン)

現代が抱える心の病を一撃で表した名言。
周りを気にしすぎると、自分が見えなくなる。
たまには一切の雑事を忘れて、心の声と向き合ってみよう。
comment by 神居鈴
 
「いつまでも無知のままでいたければ、極めて簡単で効果のある方法がある。
自分の取るに足らぬ意見と知識に満足していれば良い」
(エルバート・ハバード)

「自分は物を知らない」と思うことから知の探求が始まる。
所詮、人の知など世界の深淵には程遠いのだから、
驕ることなくこの世と対峙することが重要。
comment by 神居鈴
 
「人の過を言うほどの者は、我が身に徳のなきおりのことなり」
(法語集『栂尾明恵上人遺訓』 明恵)

自分は人をとやかく言えるほど大層な人間だろうか?
人の振り見て我が振り直せ。
慎み深さが肝要です。
comment by 神居鈴
 
「土壇場……いや、土壇場でなくても
風向きや条件……状況……その変化で人は容易く寝返る!裏切る!
が……! 違う!!
どんな状況でも、例えそれが死や……
そう……! 今死んじまう……っていうような状況でも
人間らしさを失わない! 失わず死ぬ! そんな強さを見せる人間もいるんだ!
それは……一見弱々しそうに見える人間の中にも!」
(漫画『賭博堕天録カイジ』 伊藤開司)

裏切る人間、寝返る人間、
あるいは、強くあろうとする人間、信じることをやめない人間、
その全てが世界には混在し、ひしめいている。
どちらか一方だけではない。
そして、人の本質は聖でも邪でも、善でも悪でもない。
どちらも混在し、発露を待っているのが人というもの。
comment by 神居鈴
 
「狂気って、案外身近なのかもしれないよね」
(PCゲーム『雫』 新城沙織)

身近どころか、正気と狂気はいずれも同じ「心」が生み出すモノ。
そうであるなら、そもそもいま自分は正気なのか狂気なのか……。
comment by 白詰草
 
「しかし、君たち善良で愚かな坊やたちは違う。
サルトルでなければカミュだ。ちゃちな哲学をかつぎまわって大見得を切ろうというんだ。
殺すことにたいした意味があると思いこんでいる。
殺した自分にたいそうな意味があると思いこんでいる。
なんという馬鹿馬鹿しさだ。
君たちの殺人など、有史以来の血の大海に
新たにたったの一滴を加えたに過ぎない」
(推理小説『バイバイ、エンジェル』 矢吹駆 …著:笠井潔)

乱暴に解釈すると、この台詞が意味するところは「行為の価値は常に等価」ということ。
殺すことに意味はなく、殺す自分にも意味がないとするなら、
どれだけ大層な哲学を振りかざしてみても、その罪が希釈されることは決してない。
犯した罪から目を背けず、罪を犯した自分から目を背けず、
そして、自分が行った事を直視すること。
それができないのであれば、その事こそが最も忌み嫌われるべき罪となる。
comment by 神居鈴
 
「授かった力で不幸になったのは――、君がそれを選んだからだ!!
それだけの力を持っていながら、情けないことを言うなッ!!
君はなんにでもなれたし、どこにでも行けたんだ!!
この子たちの未来を自分と一緒にするんじゃない!!」
(漫画『絶対可憐チルドレン』 皆本光一 …著:椎名高志)

子供たちを誘惑しようとした犯罪者に皆本が突きつけた言葉。
シチュエーション的には厳しさを前面に出した言葉ですが、
その意味するところは人間への賛歌。
そう、私たちはどこへだって行ける。その意思があるかないか、それだけが契機となる。
comment by 白詰草
 
「言葉にできる寂しさは誰かが慰めてくれます。
言葉にしない悲しみは自分で乗り越えていくしかないのです」
(漫画『RozenMaiden』 翠星石 …著:PEACH-PIT)

「戦うことは生きるということであり、それが自分たちの誇り」
という意味のフレーズが本作では繰り返し出てきます。
それは直接的な意味での戦闘のみならず、自己の内面における葛藤にも当てはまる。
悩み、苦しみ、それを乗り越え、そうして人は生きていく。
それは戦いの歴史であり、そして――、成長していくことの証でもあります。
comment by 白詰草
 
「才能を疑い出すのが、まさしく才能の証なんだよ」
(小説『G町のジェズイット教会』 ビルクナー …著:E.T.A.ホフマン)

自分の才能を疑わなくなったら、
おそらくそこで成長は止まってしまう。
常にどこか自信を持てない部分がある方が、
高みを目指せるものかも知れません。
comment by 神居鈴
 
「この世で人を疲れ果てさせるものは、自己を偽る心です」
(アン・リンドバーグ)

嘘はつき続けなければ崩れてしまう。
最初からつかないのがいちばん楽。
comment by 神居鈴
 
「たった一回の人生も論理と計算ずくで生きていくの?」
(漫画『咲 Saki』 竹井久 …著:小林立)

「大事な局面では論理的思考に殉ずるべき」
という主旨の主張に対し、竹井部長が返した言葉。
竹井部長、この歳でなかなか老成してます。
comment by 白詰草
 
「隠れたるを索め怪しきを行うは、後世述ぶるもの有らんも、吾はこれを為さず。
君子、道に遵(したが)いて行けども、半途にして廃むるものあり。吾は已むこと能わず。
君子、中庸に依り、世を遯(のが)れて知られざるも悔いざるものあり。
唯だ聖者のみこれを能くす」
(孔子)

新しいことを発見すれば後世に名が残る。でも自分はそれを望んでいない。
道半ばで倒れるとしても、それでも志を捨てない。
世間に名が知られなくとも、忘れられようとも、それを後悔することはない。
それこそ、聖者と呼ばれるに相応しい。
と言う意味の孔子の言葉。
功名心を否定しているわけではなく、
功名のために自分が望まないことをすべきでない、ということでしょうね。
comment by 神居鈴
 
「己こそ己の寄る辺
己をおきて、誰に寄る辺ぞ
良く整えし己こそ、まこと得難き寄る辺なり」
(釈尊)

いわゆるお釈迦様の言葉。
まずは自己を律すること。他者のことをあれこれ考えるのはその後で良い。
だいたい、自分のこともままならないような人間が、
他者に何かできるはずはないのだから。
comment by 神居鈴
 
「自ら悪を為さば自ら汚れ
自ら悪を為さざれば自らが清し
清きも清かざるも自らのことなり
他の者によりて清むることを得ず」
(釈尊)

自分が悪の道に染まるのも、また正しい道を歩むのも
自己の責任であって他人のせいではない。
自分に厳しく、そして自分を大切にしなさいというお釈迦様の言葉。
comment by 神居鈴
 
「常々僕は思っています。この世界に、狂っていない人間など一人もいやしません。
この社会の成員全体の、あらゆる意味における平均値が正常(ノーマル) というものの定義だとして、
何らかの形で逸脱することを異常と呼ぶのだとすると、
厳密な意味でのノーマルなんてものは存在しえないんじゃないかと思う。
いや、そんなレベルに話を持っていく必要もないか。
どんな人間にせよ、どこかに狂気のポテンシャリティーを持っているはずだってことです。
小早川さん、あなただって、江南さんだって、こんな風に云ってる僕だってね。
いつどこで、どんな形の狂気に陥ってしまうか分ったもんじゃない。
たとえそうして狂ってしまったとしても、果たしてそれが他人の目に”狂った”と映るかどうかも分らない」
(推理小説 『時計館の殺人』 瓜生民佐男 …著:綾辻行人)

”正常”であることの定義と”狂っている”ことの定義をどう位置づけるのか。
その定義があいまいな以上、自分が”正常”であるなどと、どうして言えるのか。
それでも、”狂っている”とは思いたくない。
comment by 霧山伊吹
 
「私は、自分がもう一人どこかにいたら、彼女と友達になれるのかなって、よく考えるのよ」
(推理小説『アトポス』 松崎レオナ …著:島田荘司)

レオナが口にした中で、最もハッとさせられた一言。
御手洗シリーズではどうしても御手洗潔に目が行ってしまうが、
脇役達も実に面白い言葉の数々を残している。
comment by 神居鈴
 
「命あるものが、自分を守るため戦うのは、当然のことだ
"人間"だからこそ……だれかのために、戦える
……だれかのために、どれだけ強くなれるか……?
それこそが人間の価値」
(ゲームボーイアドバンス『逆転裁判3』 成歩堂龍一)

王泥喜くんがこの境地に達するまでにどのくらいかかるかな。
comment by 神居鈴
 
「大人って『動物をかわいがりましょう』って言うくせに、すぐ殺すんだから!」
(漫画『こどものじかん』 九重りん …著:私屋カヲル)

正しい道を歩くのは難しい。
だが、難しいからこそ、
そこにある真実は大切なものなのだ。
子供の目に映る自分は、
正しい道を歩いているだろうか?
comment by 白詰草
 
「トヨタ2000GTは、
発売前から激しくまぶしい歴史を持ったGTカーだったんだ。
そんな車が自分に本当にふさわしいのか悩んだ。
憧れだけで乗っていいクルマなんだろうかと。
――でも気がついたんだ…。めぐりあったこの2000GTは僕なんだと」
(漫画『彼女のカレラ』 老人 …著:麻宮騎亜)

車はただ移動するためだけの道具じゃない。
長い時を共に喜び、悲しみ、泣き、笑いあいながら、
どこまでも走っていく無二の親友であり、
そして――自分自身なのだ。
comment by 神居鈴
 
「ラムザ、お前は一体何を手に入れた?オレは…」
(PlayStation・PlayStationPortable『ファイナルファンタジータクティクス』 ディリータ・ハイラル)

誕生日を迎えたオヴェリアを祝うために花束を持ってきたディリータだが、
その直後、ディリータに刺されてしまう。
その直後ディリータは何も言わずに刺されたナイフを奪い、オヴェリアを刺殺する。
自分の野心の為にすべてを利用し、
そして何もかもを失ったディリータは空を見上げ、
今はいない親友のラムザにこう問いかけた。
物語はここで幕を閉じている。
comment by ロクサス
 
「…ねぇ、犬さん。おいしいって、どういう気持ちですか?」
(PCゲーム『ToHeart』 HMX12-マルチ)

食事を摂る必要のないマルチが、美味しそうにお菓子を食べる犬に対して問いかけた言葉。
些細な日常の中にこそ、大きな喜びがあることを端的に示した台詞だった。
comment by 白詰草
 
「心があるから痛みや喜びを知ることができるんじゃない。
痛みや喜びを知って、心が生まれるんですね。
いくつもの出会いが心になる。
もしかしたら、心はこの世界の表面を伝う、さざなみのようなもの。
心は身体の中にあるのではなく、外にあるのかもしれませんね」
(PlayStation2『ToHeart2』 イルファ)

人ならぬ存在は、それゆえに心を知る。
作中屈指の名台詞。
comment by 白詰草
 
「生きていても、いいんだよ。おまえは……
生きていても、いいんだ。
本当に、生きていても、いいんだよ」
(小説『永遠の仔』 優希、梁平、笙一郎 …著:天童荒太)

考えてみれば、至極当然の言葉なのに
何故こんなにもこの言葉は重いのか…
comment by 神居鈴
 
「もろいです。
しかし、その私達が、
今は生きているということが大事なのではありませんか。
百年生きようと千年生きようと、
結局持つのは今という一つの時の連続です。
もろさを知るからこそ、
手の中から擦り抜けそうな、その今をつかまえて、
何かをしようと思い、
何者かでありたいと願い、
また何かを残せるのでしょう」
(推理小説『秋の花』 春桜亭円紫 …著:北村薫)

主人公""私""の問い、
「私達って、そんなにもろいんでしょうか」
に対して、円紫師匠が返した回答。
人は弱い。それは否定できない。
でも――人は、その先を見つめることができるのだ。
comment by 神居鈴
 
「その時、憶い出したのだ。
トランペットではなくて。
僕が吹いていた楽器は、トランペットではなくて、
ほんとうはテューバだったことを」
(推理小説『黄金色の祈り』 僕 …著:西澤保彦)

自分を偽り続け、理想の姿を想い求めた果てに気付いた情景。
それでも、間違いを気付いたところから何かが始まるはずだ。
comment by 神居鈴
 
「でも私が何と言ったってあなたには全く通じないんでしょうね。
あなた自身が自分のことを卑しくない、汚れても臆してもいない人間と考えている限りは」
(推理小説『密閉教室』 吉沢信子 …著:法月綸太郎)

お子さまにはキツすぎた忠告
comment by 神居鈴
 
「人は壺中の天の甘美な幻想に浸りきったまま生きることはできないってことだね、
いつかは出てきて、現実と向き合わなくちゃいけない」
(推理小説『壺中の天国』 棚橋正太郎 …著:倉知淳)

ま、でもそれまでは、楽しんでいても良いんじゃない?
そんな気楽な感じで語られた真実。
comment by 神居鈴
 
「見なきゃいけないのか見なきゃいけないのか……
きっとすばらしい機械の体がたくさんのってるに違いない
だから…見るとぜったいほしくなるにちがいない……
見たら…ほしくなるにちがいない…
永遠の命…すばらしい機械の体…
限りある命……ぼくのこの体……
永遠の命……機械の体……」
(漫画『銀河鉄道999』 星野鉄郎 …著:松本零士)

この後、鉄郎はある結論を出す。
しかし、その結論自体が尊いのではない。
結論に至るまでに苦悩し、苦悩し、苦悩し…
果てしなく苦悩したこと…、それそのものが尊いのだ。
comment by 神居鈴
 
「本当の強さって、
他人がどうでも、自分で自分を好きでいつづけることよ」
(漫画『たまごのきみ』 アイミ …著:住吉文子)

もちろん、「他人なんかどうでもいい」と言っているわけではない。
他人を認めた上で、自分自身もまた好きになる。
強さとは、すなわち、自分を含めた""人""を思いやる心なのだ。
comment by 白詰草
 
 

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  • なせば成る、なさねばならぬ何事も成らぬは人のなさぬ成りけり -- 宮田? 2016-07-03 (日) 14:35:11