人を動かす

Last-modified: 2022-07-14 (木) 23:46:53
 

人を動かす三原則

批判も非難もしない。苦情も言わない。

  • 人を批評したり、非難したり、小言を言ったりしたりすることは、どんなばか者でも出来る。そして、馬鹿者にかぎって、それをしたがるものだ。
  • およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということを良く心得ておかねばならない。

率直で、誠実な評価を与える。

  • どんな人間でも、私の学ぶべきものを持っている点で、私よりも優れている。

強い欲求を起こさせる。

  • 人を動かす最善の方法は、相手の心の中に強い欲求を起こさせることである。
    これをやれる人は、万人の支持を得ることができるし、やれない人は、一人の支持者も得ることができない。
  • 常に相手の立場に身を置き、相手の立場から物事を考える。

人に好かれる六原則

誠実な関心を寄せる。

  • 我々は、自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる。

笑顔で接する。

  • 笑顔は好意のメッセンジャーだ。受け取る人々の生活を明るくする。しかめっ面、ふくれっ面、それに、わざと顔をそむけるような人々の中で、あなたの笑顔は雲の間から現れた太陽のように見えるものなのだ。特にそれが、上司や、顧客や、先生、あるいは両親や子供たちからの圧迫感に苦しんでいるような人であれば、「世間にはまだ楽しいことがあるんだな」と希望をよみがえらせる。
家から出る時は、いつでもあごを引いて頭をまっすぐに立て、できる限り大きく呼吸をすること。日光を吸い込むのだ。友人には笑顔を持って接し、握手には心をこめる。誤解される心配などはせず、敵のことに心をわずらわさない。やりたいことをしっかりと心の中で決める。そして、まっしぐらに目標に向かって突進する。大きな素晴らしいことをやり遂げたいと考え、それをたえず念頭に置く。すると、月日のたつに従って、いつの間にか、念願を達成するのに必要な機会が自分の手の中に握られていることに気がつくだろう。あたかも珊瑚虫が潮流から養分を摂取するようなものである。また、有能で真面目で、他人の役に立つ人物になることを心がけ、それを常に忘れないでいる。すると、日のたつに従って、そのような人物になっていく。……心の働きは絶妙なものである。正しい精神状態、すなわち勇気、率直、明朗さを常に持ち続けること。正しい精神状態はすぐれた創造力を備えている。すべての物事は願望から生まれ、心からの願いはすべてかなえられる。人間は、心がけたとおりになるものである。あごを引いて頭をまっすぐに立てよう。神となる前段階――それが人間なのだ。
~エルバート・ハバード~

名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない。

  • 人に好かれる一番簡単で、わかりきった、しかも一番大切な方法は、相手の名前を覚え、重要感を持たせることである。

聞き手にまわる。

  • 自分の言おうとすることばかり考えていて、耳のほうが留守になっている人が多い。お偉方は、とかく、話し上手よりも聞き上手な人を好くものだ。しかし、聞き上手という才能は、他の才能よりもはるかに得がたいもののようである。

相手の関心を見抜いて話題にする。

  • 人の心を捉える近道は、相手が最も深い関心を持っている問題を話題にすることだ。

重要感を与える-誠意を込めて。

  • 人は誰でも他人より何らかの点で優れたと思っている。だから、相手の心を確実に手に入れる方法は、相手が相手なりの世界で重要な人物であることを率直に認め、そのことをうまく相手に悟らせることである。
  • 人と話をするときは、その人自身のことを話題にせよ。そうすれば、相手は何時間でもこちらの話を聞いてくれる。

人を説得する十二原則

議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。

  • 議論は、ほとんど例外なく、双方に、自説をますます正しいと確信させて終わるものだ。議論に勝つことは不可能だ。たとえ買ったにしても、やはり負けているのだ。なぜかといえば、やっつけられたほうは劣等感を持ち、自尊心を傷つけられ、憤慨するだろう。議論に負けても、その人の意見は変わらない。

相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。

  • 人の意見を変えさせることは、最も恵まれた条件の下でさえ、大変な仕事だ。何を好んで条件を悪化させるのだ。
  • 人を説得したければ、相手に気づかれないようにやることだ。誰にも気づかれないように、巧妙にやることだ。
  • 人に物を教えることは出来ない。自ら気づく手助けが出来るだけだ。
  • 相手が明瞭な間違いをしている場合は、「実は、そんな封には考えていなかったのですが、おそらく私の間違いでしょう。私はよく間違います。間違っていたら改めたいと思いますので、ひとつ事実を良く考えて見ましょう。」という具合に切り出す。
  • 私達は、他人からいろいろなことを聞かされるが、そのとき、相手の言ったことに対して理解ではなく、価値判断をまず与えるのが普通である。即座に評価して決め付けてしまう。相手の真意が、どこにあるのか正確に理解しようと努めることは、きわめて稀である。
  • 我々は、自分の非を自分で認めることはよくある。また、それを他人から指摘された場合、相手の出方が優しくて巧妙だと、あっさり兜を脱いで、むしろ自分の率直さや腹の太さに誇りを感じることさえある。しかし、相手がそれを無理やりに押し付けてくると、そうはいかない。

自分の誤りを直ちに快く認める。

  • 自分に誤りがあるとわかれば、相手の言うことを先に自分で言ってしまうのだ。そうすれば、相手には何もいうことがなくなる。相手は寛大になり、こちらの誤りを許す態度に出るだろう。
  • 自分が犯した誤りを認める勇気は、ある種の満足感が伴う。罪悪感や自己防衛の緊張がほぐれるだけでなく、その誤りから生じた問題の解決に役立つ。
  • どんなばかものでも、過ちの言い逃れくらいは出来る。事実、ばか者はたいていこれをやる。自己の過失を認めることは、その人間の値打ちを引き上げ、自分にも何か高潔な感じがして嬉しくなるものだ。
  • 自分が正しいときは、相手を優しく巧妙に説得しようではないか。また、自分が間違っているとき(驚くほど多いものだ。)は、速やかに自分の誤りを快く認めることにしよう。苦しい言い訳をするよりも、よほど愉快な気持ちに慣れる。

穏やかに話す。

  • 相手の心が反抗と憎悪に満ちているときは、いかに理を尽くしても説得することは出来ない。人間は自分の心を変えたがらないということを、心得ておくべきだ。人を無理に自分の意見に従わせることは出来ない。しかし、優しい打ち解けた態度で話し合えば、相手の心を変えることもできる。
  • もし相手を自分の意見に賛成させたければ、まず、諸君が彼の味方だとわからせることだ。

相手が即座に”イエス”と答える問題を選ぶ。

  • 人と話をするとき、互いに意見の異なる問題を始めに取り上げてはならない。まず、互いの意見が一致してい問題から始め、それを絶えず強調しながら話を進める。互いに同一の目的に向かって努力しているのだということを、相手に理解させるようにし、違いはただその方法だけだと強調するのである。
  • 議論をすれば損をする。相手の立場で物事を考えることは、議論をするよりもかえって興味があり、しかも、比較にならぬほど利益がある。

相手にしゃべらせる。

  • 相手を説得しようとして、自分ばかりしゃべる人がいる。相手に十分しゃべらせるのだ。相手のことは相手が一番よく知っている。だから、その当人にしゃべらせることだ。

相手に思いつかせる。

  • 人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうを、我々は、はるかに大切にするものである。すると、人に自分の意見を押し付けようとするのは、そもそも間違いだといえる。暗示を与えて、結論は相手に出させるほうが、よほど利口だ。
  • 賢者は、人の上に立たんと欲すれば、人の下に身を置き、人の前に立たんと欲すれば、人の後ろに身を置く。かくして、賢者は人の上に立てども、人はその重みを感じることなく、人の前に立てども、人の心は傷つくことはない。

人の身になる。

  • 相手は間違っているかもしれないが、彼自身には、自分が間違っているとは決して思っていないのである。だから、相手を非難しても始まらない。非難は、どんな馬鹿者でも出来る。理解することに努めねばならない。懸命な人間は、相手を理解しようと努める。
  • 相手の考え、行動には、それぞれ、相当の理由があるはずだ。その理由を探し出さねばならない。そうすれば、相手の行動、さらには、相手の性格に対する鍵まで握ることが出来る。
  • 「もし自分が相手だったら、果たしてどう感じ、どう反応するだろうか」と自問自答してみるのだ。これをやると、腹を立てて時間を浪費するのが、ばかばかしくなる。原因に興味を持てば、結果にも同情が持てるようになるのだ。おまけに人の扱い方が一段とうまくなる。
  • 自分に対する強烈な関心と自分以外のものに対するいい加減な関心戸を比較し、次に、その点については、人間はみな同じであることを考えれば、あらゆる職業に必要な原則を把握することが出来る。すなわち、人を扱う秘訣は、相手の立場に同情し、それをよく理解することだ。
  • 自分の意見を述べるだけでなく、相手の意見をも尊重するところから、話し合いの道が開ける。まず、話し合いの目的、方向をはっきりさせて、相手の身になって話を進め、相手の意見を受け入れていけば、こちらの意見も、相手は受け入れる。
  • 他人に物を頼もうとするときには、まず目を閉じて、相手の立場から物事を良く考えてみようではないか。「どうすれば、相手はそれをやりたくなるだろうか」と考えてみるのだ。この方法は面倒には違いない。だが、これによって見方が増え、より良い結果がたやすく得られる。

相手の考えや希望に対して同情を寄せる。

  • 口論や悪感情を消滅させ、相手に善意を持たせて、あなたが言うことを、おとなしく聞かせるための文句は、「あなたがそう思うのは、もっともです。もし私があなただったら、やはり、そう思うでしょう。」といって話を始める。
  • 我々が交渉を持つ相手の4分の3は、みな同情に飢えている。それを与えてやるのだ。好かれることは請け合いである。

人の美しい心情に呼びかける。

  • 通常人間の行為には二つの理由がある。一つは、いかにも潤色された理由、いま一つは真実の理由である。真実の理由は、他のものがとやかく言わなくても、当人にはわかるはずだ。人間は誰でも理想主義的な傾向を持ち、自分の行為については、美しく潤色された理由をつけたがる。そこで、相手の考えを変えるには、この美しい理由をつけたがる気持ちに訴えるのが有効だ。
  • 相手の信用状態が不明のときは、彼を立派な紳士とみなし、そのつもりで取引を進めると間違いがないと、私は経験で知っている。ようするに、人間は誰でも正直で、義務を果たしたいと思っているのだ。これに対する例外は、比較的少ない。人をごまかすような人間でも、相手に心から信頼され、正直で公正な人物として扱われると、なかなか不正なことは出来ないものなのだ。

演出を考える。

  • 現代は演出の時代である。単に事実を述べるだけでは十分ではない。事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。興行的な手法を用いる必要がある。

対抗意識を刺激する。

  • 仕事には競争心が大切である。あくどい金儲けの競争ではなく、他人よりも優れたいという競争心を利用すべきである。
  • 成功者はみなゲームが好きだ。自己表現の機会が与えられるからだ。存分に腕を振るって相手に打ち勝つ機会、これが、いろいろな競争や競技を成立させる。優位を占めたい欲求、重要感を得たい願望、これを刺激するのだ。

人を変える九原則

まずほめる。

  • ・まず相手をほめておくのは、歯科医が局部麻酔をするのに似ている。もちろん、あとでガリガリやられるが、麻酔はその痛みを消してくれる。

遠まわしに注意を与える。

  • 人を批判する際、まずほめておいて、次に「しかし」という言葉を挟んで、批判的なことを言い始める人が多い。ところが、「しかし」という一言が耳に入るまで、今のほめ言葉が果たして本心だったのかどうか疑いたくなる。結局は批判するための前置きに過ぎなかったように思えてくる。この失敗は「しかし」ということばを「そして」に変えると、すぐに成功に転じる。

まず自分の誤りを話したあと相手に注意する。

  • 人に小言を言う場合、謙虚な態度で、自分は決して完全でなく、良く失敗するがと前置きをして、それから相手の間違いを注意してやると、相手はそれほど不愉快な思いをせずに済むものだ。
  • 自分自身の誤りを認めることは、たとえその誤りを正さず、そのままにしておいても、人を変えるのに役立つ。

命令をせず、意見を求める。

  • 命令ではなく、暗示を与える。「あれをせよ」「そうしてはいけない」などとは決して言わない。「こう考えたらどうだろう」「これでうまくいくだろうか」などといった具合に相手に意見を求める。決して命令はせず、自主的にやらせる。そして、失敗によって学ばせる。
    ・命令を質問の形に変えると、気持ちよく受け入れられるばかりか、相手に創造性を発揮させることもある。命令が出される過程に何らかの形で参画すれば、誰でもその命令を守る気になる。

顔を立てる。

  • 相手の顔を立てる!これは大切なことだ。しかも、その大切さを理解している人は果たして幾人いるだろうか。自分の気持ちを通すために、他人の感情を踏みにじっていく。相手の自尊心などはまったく考えない。もう少し考えて、一言二言思いやりのある言葉をかけ、相手の心情を理解してやれば、そのほうが、はるかにうまくいくだろうに。
  • 相手の自己評価を傷つけ、自己嫌悪に陥らせるようなことを言ったり、したりする権利は私にはない。大切なことは、相手を私がどう評価するか、ではなくて、相手が自分自身をどう評価するか、である。相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪なのだ。

わずかなことでも惜しみなく心からほめる。

  • 人を変えようとして、相手の心の中に隠された宝物の存在に気づかせることが出来たら、単にその人を変えるだけでなく、別人を誕生させることすら出来るのである。

期待をかける。

  • 相手をある点について矯正したいと思えば、その点について彼は既に人よりも長じているといってやることだ。良い評判を立ててやると、その人間はあなたの期待を裏切らないように努めるだろう。

激励して、能力に自信を持たせる。

  • 馬鹿だとか、能無しだとか、才能がないとか言って罵るのは、向上心を摘み取ってしまうことになる。その逆を行くのだ。大いに元気づけて、やりさえすれば容易にやれると思い込ませ、そして、相手の能力をこちらは信じているのだと知らせてやるのだ。そうすれば相手は、自分の優秀さを示そうと懸命に頑張る。

喜んで協力させる。

  • 肩書きや権威を与える。
  • 人を変える必要が生じた場合、考慮すべき事項
    1. 誠実であれ。守れない約束はするな。自分の利益は忘れ、相手の利益だけを考えよ。
    2. 相手に期待する協力は何か、明確に把握せよ。
    3. 相手の身になれ。相手の真の望みは何か?
    4. あなたに協力すれば相手にどんな利益があるか?
    5. 望みどおりの利益を相手に与えよ。
    6. 人に物を頼む場合、その望みが相手の利益にもなると気づくように話せ。