ダンタリオン【1】
「ようこそ私の研究室へ。何が知りたくてここに来たのかしら?」 ダンタリオが何者なのか、それを断じるのは難しい。彼女は百もの顔を持ち、その正体は不定であるとしかいいようがないからだ。しかし、どのような顔の時でも共通していることは、ダンタリオンが多くの知識を持つ研究者だということだ。 |
ダンタリオン【2】
「魔力による未来予測には限界がある。科学による未来予測にも限界がある。だけど、その二つを融合させれば、あらゆる事象を見通す力が得られるわ」 ダンタリオンの研究を理解できる者は少ない。それほどに彼女の研究分野は広大で複雑なのだ。そして、彼女の思考回路も複雑怪奇なのである。 |
ダンタリオン【3】
「この世界のすべてを知るには、いかに悪魔の私とて時間が足りないわ。でも未来を見通すことができれば、きっと世界のすべてが分かる」 すべてを知りたいというのはあまりにも不遜な願いである。しかし、それでも彼女はその夢をあきらめることはなかった。あらゆる手段を尽くし、ついに禁断の研究を完成させた。 |
ダンタリオン【4】
「見える。未来が……ああ、そういうことなのね」 ダンタリオンは未来を見通し、すべてを知った。 そして、彼女はあらゆる研究から手を引いた。あれほど知識を貪ったダンタリオンが、なぜこれまでの成果を放棄したのか。それが妖しく微笑むダンタリオンの口から語られることはない。 |