生物の分類上、近しい関係にある複数種の生物同士を指す言葉。
どの程度まで近い関係を指すのかまでは定義付けされておらず、時と場合による。
目次
概要
- 生物は周囲の環境や外敵となる種との攻防のため、進化を繰り返しながら繁栄していく。
かつては同じ姿であった生物でも、数世代後には姿も能力も異なる別種の生物として独立していく場合も多い。
「近縁種」とは、このような進化する前の世代までの距離が近い生物同士を指す。
大雑把な言い方をすれば「親戚」である。
これ等の生物をよく見比べてみると、一部の器官にその名残が見られたり、骨格構造がよく似ていたりなど、
何らかの共通点や関係性を匂わせる共通の特徴が確認できることもある。
ただしその一方で、一見するとかつては同種であったとは到底思えないほどに様変わりしている生物も多く、
その辺りは種によって様々である。
- MH世界のモンスターも、現実世界の生物と同じように進化を繰り返し、現在の姿となったものとされる。
「進化した」ということはつまり、その原型となった生物が存在したということ。
そしてそれは近縁種となる生物が存在する可能性を持つということである。
ハンター大全などに収録されている生態樹形図などを見てみれば、
意外なモンスター同士がこのような近縁種関係を持っている場合がある。
- 先に記した通り、現在の姿に進化する前の世代が比較的近いことが「近縁種」と呼ばれる条件となる。
例えばリオレウスとティガレックス、この二種の進化を遡っていくと、
やがては共通の祖先となるワイバーンレックスに行き着くが、
流石にこの例は世代が離れ過ぎている為、近縁種とはまず呼べない。
上述の通り定義が完全では無い為、この例で通る可能性もゼロでは無いが、正直ゼロも同然である。
尚、そのモンスターの亜種や希少種については、本来は最も近縁であると言える存在であると考えられるが、
MHシリーズでは近縁どころかむしろ「同種」に近い扱いとなっている場合が多い。- リオレウスとリオレイア、テオ・テスカトルとナナ・テスカトリ、アルセルタスとゲネル・セルタス、
カム・オルガロンとノノ・オルガロンとミドガロンなどは雌雄が異なるだけであり、生物学的には同種である。
もちろん、このようなケースは近縁種ではない。
- MHFのアクラ・ヴァシムとアクラ・ジェビア、ベルキュロスとドラギュロス、アビオルグとギアオルグなどは
名前が違えど、「近縁種」の関係と言うよりも「亜種」の関係に近いとされている。
MHFにはこの手の「実質的な亜種モンスター」がしばしば見られる。
- リオレウスとリオレイア、テオ・テスカトルとナナ・テスカトリ、アルセルタスとゲネル・セルタス、
- モンスターの近縁関係を語る場合は生態樹形図が参考とされる場合が多い。
一部の公式の設定資料にはその旨が記されている場合があるほか、
公式で近縁種の可能性が示唆される場合もある。
モンハンにおける近縁種の例
- 代表的な例としては以下のようなモンスター達が存在する。
- アプトノス、アプケロス、ズワロポス
- 何れも四足歩行の草食竜で、鳥盤目鎚尾亜目地竜下目に属するモンスター。
ズワロポスはそこから更に垂皮竜上科に分類される。
アプトノスとアプケロスは鎚尾亜目の分類に違わぬ発達した尾を持つという大まかな外見は共通するが、
ズワロポスの尾は短くトゲも無い。
更に鱗や甲殻が無く皮膚に覆われているなど、他二種とは大分異なる容姿をしている。
一方でアプケロスは乾燥地帯、ズワロポスは多湿な地域を好むという対照的な面もあるが、
火山地帯にも生息し、草食種の中ではタフで縄張り意識も強い。
大型モンスターが近くにいてもパニックを起こす様子も無いという共通点も持っている。
アプトノスはシンプルに生息域が広く、地域によっては大型化した個体が現れる事もある。
見た目はアプトノスとアプケロスが、性質はアプケロスとズワロポスが比較的似ているという所だろうか。
- ランポス、ゲネポス、イーオス、ギアノス
- ミナガルデ地方やドンドルマ地方などに分布する小型の鳥竜種モンスターたち。
分類的には全て竜盤目鳥脚亜目走竜下目に属する。
ランポスを原種とし、周囲の環境に合わせて進化した結果が現在のゲネポス、イーオスであるとされる。
ギアノスは姿がランポスに酷似しており、最近までランポスのアルビノなどと考えられていたが、
現在はゲネポスなどよりもさらに近縁の新種の鳥竜種として認定されるに至った。- 因みにジャギィ、バギィ、フロギィ、マッカォ、イズチ、オルギィの6種はそこから更に狗竜上科に分類され、
これに近い近縁関係である。
- 因みにジャギィ、バギィ、フロギィ、マッカォ、イズチ、オルギィの6種はそこから更に狗竜上科に分類され、
- クルルヤックとツィツィヤック
- 両者共に竜盤目鳥脚亜目走竜下目ヤック科に属する無翼の中型鳥竜種。
前述のランポス系・ジャギィ系とも近い関係で、大まかなシルエットも彼らによく似ている。
しかしクルルヤックはランポスらに比べると比較的温厚で動物食であっても卵を専門に食べる、
ツィツィヤックは頭部の閃光膜を使って閃光を放つ能力を持つなど独自の特徴も見られる。
- ジャグラス、ギルオス、シャムオス
- 3種とも竜脚目四脚亜目賊竜上目ジャグラス科に属する。
- なお、ドドガマルは竜脚目四脚亜目賊竜上目ドドガマル科に分類され、
ジャグラス科に近い関係にある。
- なお、ドドガマルは竜脚目四脚亜目賊竜上目ドドガマル科に分類され、
- ケストドンとガストドン
- 共に竜盤目獣脚亜目板角竜上科ケストドン科に属す二足歩行の草食竜。
後述のブロス科と同様特に近い関係にあり、両者とも草食種に分類されている。- 更にバフバロも板角竜上科バフバロ科に属す為、こちらも近縁と言える関係にある。
しかしバフバロは(比較的大人しくはあるが)"他の大型モンスターと縄張り争いを繰り広げる"という
ケストドン科とは別格の高い戦闘能力・脅威性を有している事から
「草食種」ではなく「獣竜種」に分類されている。
その為、姿勢(骨格)と食性以外を除けばとても近縁種とは思えない程に差が開いている。 - なおモンスターとして登場している生物の内、
「生物学的には近縁だが、カテゴリ上では別種として扱う」という事例は
現時点ではこの「板角竜上科」のモンスターのみである*1。
- 更にバフバロも板角竜上科バフバロ科に属す為、こちらも近縁と言える関係にある。
- イャンクックとイャンガルルガ
- 両者とも竜盤目鳥脚亜目鳥竜下目耳鳥竜上科に属する鳥竜種の大型モンスター。
現在ではイャンガルルガは「イャンクックが進化した姿」という説が有力視されている。
大きなクチバシを始めとして大雑把なシルエットが似通っており、
イャンガルルガはイャンクックの亜種と誤認されていた時期もあったほど。
しかし臆病なイャンクックに対し、イャンガルルガは獰猛で戦闘そのものを好むなど相違点も多い。
また、イャンガルルガはイャンクックが見つけた獲物を横取りしたり、雌はイャンクックの巣に托卵したり、
イャンクックを追跡する形で渡りを行っている説もあるなど切っても切れない関係にある。
イャンガルルガが一方的に絡んでいるだけだが。- なおMHRise現在の時点で登場している大型鳥竜種は、何れも「鳥竜下目」に属しているので、
クルペッコなど他の大型鳥竜とも近縁と呼べる距離である。
- なおMHRise現在の時点で登場している大型鳥竜種は、何れも「鳥竜下目」に属しているので、
- ディアブロスとモノブロス
- 両者共に竜盤目竜脚亜目重殻竜下目角竜上科ブロス科に分類される大型の飛竜種。
初期の頃から明確に設定付けされていた近縁種の大型モンスターで、
他のモンスターと比べても特に近しい関係にある。
両者とも砂漠地帯に生息し、戦法や生態も非常に似ているが、
モノブロスの方が生息域は狭いらしく、ロックラック地方などでは生息が確認されていない。
また、ディアブロスの雌は繁殖期には全身が黒ずむ、
モノブロスは興奮すると襟飾りに赤い模様が浮かび上がるなど、
生態上の差異が見受けられないということは無い。- 余談だが、グラビモスも「重殻竜下目」に属しており、
こちらも近縁種と言っても差し支えない距離である。
- 余談だが、グラビモスも「重殻竜下目」に属しており、
- ダイミョウザザミとショウグンギザミ
- 両者とも十脚目短尾下目に属する甲殻種の大型モンスター。
防御重視の進化を遂げたダイミョウザザミに対し、攻撃主体の進化を遂げたショウグンギザミは
まるで対のような関係に見えるが、生態的には似通った部分も少なくない。
余談だが、十脚目短尾下目は現実世界にも存在する甲殻類の分類グループの一つで、
いわゆる「カニ」の仲間たちである。
ダイミョウザザミもショウグンギザミもれっきとしたカニの仲間なのだろう。
しかし、前述の通り両者とも「十脚目」のくせに脚は爪を含めても6本しかない。
残りの4本は腹の下に隠れているのか、それとも進化の途中で退化したのだろうか。
なお、同じ十脚目でも異尾下目に属するヤドカリとは別種である(近縁であるとは言える)。
- フルフルとギギネブラ
- 両者とも竜盤目竜脚亜目奇怪竜下目に属する。
「奇怪竜下目」という名称がピッタリの不気味な飛竜コンビ。
鱗や甲殻の無い身体、天井や壁を這い回る能力、眼の無い頭部など、生態的な共通点が非常に多いのが特徴。
しかしながら、フルフルがワイバーン型の形態に進化したのに対し、
ギギネブラは原始的な骨格構造を保ったまま進化した種であり、基本的な姿勢がまったく異なる。
古代種の原型に近いのは、どちらかと言えばギギネブラの方なのかもしれない。
MH3やMHP3などで過去作から移ってきた多くのハンターは、
フルフルのようでフルフルではないギギネブラの姿に衝撃を受けた。
- ナルガクルガとベリオロス
- 竜盤目竜脚亜目前翼脚竜上科に属する飛竜種。
漆黒の体毛に身を包み、熱帯の樹海に生息するナルガクルガと、
純白の甲殻に身を包み、極寒の凍土に生息するベリオロスという、見事なまでに対になった存在。
先祖が同じでも、生息環境が違えばここまで異なる生物に進化するという証左である。
一部のベリオロスの個体は動き方がナルガクルガに酷似しているとされ、
実際MH3でのベリオロスの動きはナルガクルガに近かった。
しかし、ベリオロスはブレスが使える、飛行も得意、牙が主な武器となるなど、
生態的、能力的にもナルガクルガと大きく異なる部分が多く、とてもではないが同じ感覚では戦えない。
- ウラガンキンとラドバルキン
- 両者共に竜盤目獣脚亜目鎚竜下目に属する獣竜種。
ウラガンキンはさらにそこから「鎚顎竜上科」に分類される。
両者とも外見や生態が酷似しており、餌に関しても両者とも無機物(鉱物と骨)を主食とするという共通点を持つ。
分類を見るに、ラドバルキンが祖先種に近く、そこからウラガンキンが派生したとされている。
- トビカガチ、オドガロン、ルナガロン
- 3者とも竜脚目四脚亜目凄爪竜上科に属する牙竜種。
「凄爪竜上科」という分類名に相応しく、全員が特徴的に発達した爪を持っており、
それぞれが想定した用途で爪を使いこなす生態が確認できる。
一足先に登場した2種は、
白い体毛に覆われた爬虫類といった外見のトビカガチと
赤い外皮が露出した哺乳類といった外見のオドガロンという、
上記のナルガクルガとベリオロスのように対照的な関係。
トビカガチは比較的温厚で皮膜を持ち、体毛で溜めた電気と尾による攻撃を多用する、
オドガロンはかなり獰猛で隠し爪が仕込まれた前脚による攻撃を多用するなど、
能力的にも差異が多々見られるものの両者とも牙による攻撃も多い、
壁などに張り付き、飛び掛かる立体的な攻撃も繰り出すなどの共通点もある。
トビカガチ亜種はオドガロン(亜種含む)同様に、食事となる肉を咥えて持ち運ぶ行動も見せる。- なお、MHW:Iで登場した小型牙竜種のウルグはジャグラスなどと同骨格であったため、
賊竜上科に属すると考えられていたのだが、蓋を開けてみるとこちらも凄爪竜上科に属している事が明かされた。
- なお、MHW:Iで登場した小型牙竜種のウルグはジャグラスなどと同骨格であったため、
- 後にMHR:Sで追加された氷狼竜ルナガロンも名前などから
オドガロンの近縁種なのではないかと考察されていたが、
上述した通り両者と同じ凄爪竜上科に属することが判明した。
- 後にMHR:Sで追加された氷狼竜ルナガロンも名前などから
- ジエン・モーランとダレン・モーラン
- 両者とも古龍目峯龍亜目に属する古龍種の超巨大モンスター。
共に砂中を泳ぐことに特化した超巨大龍であり、全体のシルエットは非常に似通っているが、
ジエン・モーランは一対の長く伸びた牙が、ダレン・モーランは顔を覆う巨大な螺旋状の角が
生えているという違いがある。
頭部の牙および角は共に砂をかき分けて、立ち塞がる岩盤を突き崩すためのものであるとされるが、
これは普段身を潜めている深さへの適応進化の違いの結果とされており、
ジエン・モーランは砂が細かくて柔らかい砂漠の浅い場所を根城とした結果として
砂をかき分けるのに適した長い牙を発達させて、
対してダレン・モーランは硬い岩盤の多い砂漠の奥深くを主な生息域としており
そこの岩盤を掘削するのに適した形状の角を発達させたとされる。
- ラオシャンロンとゾラ・マグダラオス
- 両者とも古龍目山龍亜目に属する古龍種の超巨大4足歩行龍。
ゾラ・マグダラオスはそこから更に「熔龍下目」に分類される。
- オオナズチとネロミェール
- オオナズチの属する「霞龍下目」とネロミェールの属する「溟龍下目」は
現状では詳細が「不明」とされる共通の亜目から分かれたものとされている。
風貌が類似しているほか、能力面でも共通点が見られ、
水気を操ったりそれを放出する(オオナズチは擬態用の霧や毒液、ネロミェールは水そのものを操る)、
体内に発電器官を持っており必要に応じて皮膚を帯電させる
(オオナズチは擬態の際の皮膚の変色に電気を使い、ネロミェールは水を爆発させるのに電気を用いる)
といった能力を両者とも持っている。
- ミラボレアスとグラン・ミラオス
- 両者とも古龍目源龍亜目に属する伝説級の古龍種。
禁忌のモンスターの情報規制が緩和されたMHW:I以降における生態樹形図において
同じ源龍亜目の古龍である事が明言され、
それぞれ「ミラボレアス科」と「ミラオス科」に属する。
派生作品
- リオレウスとゼルレウス
- 詳細は不明だが、ゼルレウスは生物学的にはリオレウスに非常に近い存在であると言われている。
実際、そのシルエットはよく知られたリオレウスに酷似しているが、
赤い残像を引く眼光や、灼熱の炎ではなく眩い光のブレス、
敵の戦法に合わせて自らも変異するという能力など、両者の共通点は外見ほどしかない。
なお、ゼルレウスは近年目撃されている黒き飛竜と対を成す存在と言われている。
件の黒き飛竜はリオレイアに酷似した姿を持つが、この二種の関係性は未だ不明。
- クシャルダオラとガルバダオラ
- 銀色の鋼龍クシャルダオラに対し、金塵龍は金色のクシャルダオラと呼べる種。
ガルバダオラが黄金の甲殻を纏ったのは、砂金を多く食すなどほとんど食性に依存するものであり、
これら2種も近縁種と呼んで何ら差支えないと思われる。
ちなみに双方とも「風」を司るが、前者は嵐のような強烈な暴風雨を、
後者は自然現象とは異なる"風"の複属性を司る点で異なる。
- ラージャンとゴウガルフ
- 牙獣種に属する大型モンスターで、近縁種ではないかと考えられている*2。
ただし両者の生態的な特徴については類似点が少ない
(強靭な筋肉、好戦的な性格が共通するといった程度)こと、
そもそもラージャンに関しては分類学的に不透明な点があり
(その凶暴性ゆえに研究が進まず、未だに下目と上科が定まっていない)、
生態樹形図上の立ち位置すら曖昧な存在であるため、
ゴウガルフの発見から時間が経過し、ゴウガルフの生態調査が進んだ現在でも、
両者を近縁種と断定することはできておらず、調査が進んだゴウガルフの生態を元にして、
謎の多いラージャンの生態を解明するという事までには至らなかったことが、
ヴォージャンのモンスターリストで示唆されている。
余談
- 姿形は似ているが、近縁ではなく別の種が同じように進化したという例がある。
この場合は「収斂進化」と呼ばれ、現実でもモンスターハンターの世界でも多くの例がある。
分類学の発達により、過去に近縁とされた種が全くの別種であると判明した例も少なくない。
そこに分類されるモンスター同士は必ずしも近縁ではない。
当然その逆も存在しまったく異なる進化を遂げた結果、異種として分類されたものが近年になって
近縁種だと判明することもある。
- 前者は同じように水中に適応した結果、長大な体躯と高い遊泳能力を持つ魚竜種と海竜種、
後者は骨格に基づいた再分類の結果、飛竜種から蛇竜種になったガブラスが存在する。
関連項目
世界観/生態樹形図
システム/亜種 - ディアブロスとモノブロスなど、かつて生物学的な亜種とされていた近縁種も存在する。