のぶのぶんしょうシナリオ集
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金字塔です。 群を抜いてまとまった本。しかも薄い!安い!
疫学統計の壁を越えよう!
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東日本大震災 リンク集 に地震関連のことは残しました。 ○本の紹介はこちら http://booklog.jp/users/nobukin555 http://astore.amazon.co.jp/ebmtwiki-22
H24年4月22日は、摂南大学でのCASPワークショップでした。 学生さんを中心に、約40名の参加がありました。 5グループでのSGLで、半日で行いました。
2012年4月22日(日) 摂南大学薬学部にて。 12:30〜 受付 13:00〜13:20 ウェルカムセッション 13:20〜15:00 SGL(1) 15:00〜15:45 Feedback(1) 15:45〜17:00 SGL(2) 17;00〜 Feedback(2)とまとめ 17:45〜 閉会のあいさつ 18:00 閉会 スタッフミーティング・片付け
貴方は病院剤師です。 82歳の女性Aさんが腰椎圧迫骨折で入院してきました。 入院当初からAさんの血圧は収縮期血圧160代 拡張期血圧90代と高値だったので主治医は高血圧治療薬を処方しました。 しかしある日、病棟ナースから「Aさんの床頭台の引き出しから、飲んでるはずの血圧の薬がでてきたのよ。先生、ちゃんと服薬指導してくれないかなぁ」と言われました。 確かに処方時に血圧の薬だと説明に行ったのに、なんで飲んでないんだろう?と不思議に思ってAさんの病室を訪ねました。 私 「Aさん、痛みはどうですか?」 Aさん「ありがとう。痛みはだいぶましです」 私 「ところで、お薬飲めてないって聞いたんだけど」 Aさん「血圧の薬でしょ?今までも血圧が高いから飲んだ方がいいって言われてたんだけど、一度飲み始めるずーっと飲まないといけなくなるって聞いたことあるし、別に症状もないから。。。」 私 「でも血圧は下げておいた方がいいよ」 Aさん「薬剤師の先生には悪いけど、私、薬嫌いだし。薬は出来るだけ飲まない方がいいんじゃないの?それに、私も年だし、先短いんだよ」と苦笑いをされました。 Aさんの気持ちを尊重して主治医に薬の処方を止めてもらうべきか、あるいはAさんを説得して薬を飲んでもらうべきか私は判断に困りました。 そこで高齢者に対する高血圧治療について検索をしたところそれらしい論文が見つかり読んでみることにしました。
Treatment of Hypertension in Patient 80 Years of Age or Older http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0801369 HYVETスタディを使用いたしました。 Nigel S.Beckett, et al. New Eng J Med. May 1, 2008, Vol.358 No.18
全体が、PICOでかなり時間をとりました。 PICOは、今後別枠で練習する機会を作るべきですね。 非常に重要ですし、薬剤師さん達が習熟する意義の大きい技術です。 学生さん達は、初めてのEBMだったようです。 ワークショップにも慣れていない。。。 なかなか進みにくい面もありました。 最後の方で、適用に割く時間が無くなっていた感じがします。 進行の方法として、割愛する部分も作っていかないといけませんね。 代わりに、充実できる箇所ができたら、それでいいのです。 二日間のワークショップなら、じっくりやっても大丈夫なんですが・・ 論文としては、 ・製薬会社の出資ではなかった ・ランダム化の方法などが、あまり明確にかかれていない ・層別化とPermuted block ・ITTとPer protocol解析の両方が書かれている ・人年法での表記で、わかりにくい ・利尿剤&ACE阻害剤 VS プラセボ の研究である ・プライマリエンドポイントで有意差がぎりぎりなかった⇒サンプルサイズを増やせば有意差でそう ・3000人程度の研究で、血圧の大規模臨床試験としては小さ目 ・サンプルサイズ計算はどうやっているの? こういうような点が、ポイントだったかな・・ 初心者に対して、サンプルサイズのところはちょっと敷居が高すぎでしょうね。 ここをすらっと流して、適用やその他の所にじっくり時間を使いたいと感じました。
一応は、皆さんが参加してよかった、と書いてくれています。 しかし、実際は学習が継続するかどうかが大事です。 アンケートにいくら良いことを書いてくれても、学習を辞めたらダメなので。 今後の展開が、楽しみですね。
血圧計が現在の形になったのがだいたい100年前です。 それまでは、馬の首にチューブをさして、血液が飛ぶ高さで測定したりしていました。 命がけの測定だったんですね。 今風の血圧計が出来て簡単に測定が出来るようになってきたころ、1911年にアメリカの保険会社が測定を義務付けたのです。画期的な方針だったと言えるでしょう。 当時は、血圧が測定できるかどうか・・・という時代。 特筆すべきは、さらに当時の保険会社が血圧と死亡率の大規模なデータを残していたことです。 Build and Blood Pressure Study という歴史的なデータが、1970年代に発表されています。 あまり論文が手に入らないのですが、高血圧は、確実に死亡する疾患である、とされています。 何故かわからないが、1950年ごろから血圧による死亡率が下がってきている・・ とも書かれていました。 本になっているのですが、入手できないようです。。残念。 PCもない、統計学自体がないころに、数値でデータを残した・・・ フィッシャーなどが活躍する前ですよ。 計算機がまだ無いころに、研究はスタートしているんじゃないでしょうか? この大規模な研究が、歴史上最古の血圧のコホートと言っていいんじゃないかな。 その後、アメリカでは、アイゼンハワー大統領が高血圧から心筋梗塞、脳卒中をおこされて、国をあげて疾患への取り組みが始まります。 高血圧は、今のような気楽な状態ではなかったのです。 小さい臨床研究がちょこちょこと作られていました。 しかし、大規模な研究が幕をあけるのです。 人類最大級のコホート研究であるフラミンガム研究。 さらに、高血圧最初の大規模ランダム化比較試験であるSHEP研究が作られていきます。 フラミンガム研究は70年代に開始。 SHEPは1991年の発表でした。 医療は静かに、医者の経験則から、数千、数万単位の人類のデータをもとに考える科学に姿を変えていたのです。 逆に言うと、その程度の歴史しか、まだありません。 血圧の、基本的な大規模研究から約50年。 疫学研究を読み重ねて頂くと、比較的簡単に全貌が見えてきます。 学生の皆さんには疫学から、血圧を学んでほしいですね。
高血圧の疫学研究を読んでいくと、治療や医療に余裕が出てきます。 「さじ加減」が、生まれてくるのです。
疫学研究を読むことで、皆さんには例えば、 ・血圧を下げても脳卒中や心臓疾患は発症する というようなことを知ってほしい。
論文の図をみると、簡単にわかります。 HYVET研究のFig3をみると、積極的な降圧をしても心臓疾患による死亡は、2年で4%ぐらいです。 プラセボでも2年後に5%ぐらいしか死なない。 1%の差は、もちろん大きいのですよ。 100人治療したら1人助かるわけです。 日本、世界で取り組んだら、膨大な人間が助かります。 でも、目の前の患者さんに100人に1人助かる・・という説明は、意味がありますか? 血圧が下がっていたら、おばあちゃんは「血圧は薬で治した」って思いませんか? 「私は、高血圧は薬飲んでるから、脳卒中にはならない。」 患者さんは、そう思っていますよね? 「治療に対するイメージの大転換」 これが、疫学研究を読むことで得られる、医療への真の理解だと僕は思います。 「お薬は飲まないと駄目だよ!」 「血圧が高いんだから、飲まないと死んじゃうよ!」 など、薬が嫌いな患者さんを怒ったことがある人、いますよね? でもそんなに大きな差がないことをわかっていたら、シナリオのおばあさんに、みなさんはきっと優しく話せます。 薬を飲みたくないなら、あわてなくてもじっくりと、腰を据えて話してゆけばよいのです。 だってそんなに、死亡率の差はないのですから 疫学は、みなさんを医療者として成長させてくれるのです。 深く深く読み込んで、遠く遠く羽ばたいてほしい。 そう祈っています。
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