スマブラ個人小説/ななみの小説/亜空の使者 〜もう一つの物語〜5

Last-modified: 2011-03-02 (水) 13:49:10

亜空の使者 ~もう一つの物語~4の続きです。続編ではありません。
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第38話 それぞれの想い

クリスタル達の助けもあり、やっと亜空間からマリオ達は姿を現した。
クッパ「ぬぅウ・・・。まさかやられるとは思ってもなかったのダ!不覚だったのダ~~~ッ!」
レッド「でも・・・大変な事になりましたね。やっとタブーを倒したと思ったのに、まさかその力を取り込んでいかれるなんて・・・。」
ファルコ「で、どうすんだ?」
プリン「決まってんでしょ~~~ッ!!アイツをぶっ飛ばす!それ以外なんかあるわけ!?文句ある!?」
全員「あ・・・ありません・・・。」
全員がプリンの大声で感づいた。「怒らせたらマズイなぁ・・・」と。
クリスタル「とにかく今は休みましょう。あなた達だって、連戦で疲れてるんでしょう?」
トゥーンリンク「でも・・・早くあいつを追っかけないと・・・。」
チョッパー「今は体調管理の方が大事だぞ。休める時は休まなきゃダメだ。」
ドクターマリオ「チョッパーくんの言うとおりですよ。急いで彼らを追いかけたい気持ちは十分分かりますが、かといって今無茶をして負けたら元も子もないですよ。」
ソニック「Oh?そうなっちまうのか?」
陽平「そうなるよッ!!」
マリオ達は急ぎたいとも思っていたが、思ってみると確かに連戦で体は疲れきっていた。そしてマリオ達は一端休む事に決定したのだった。

サンジ「さぁ、どんどん食えよ!」
サンジが料理を出す出す。みんなはそれにがっつく。
カワサキ「料理する場所なんかあったかね~?」
サンジ「あそこにかなり熱せられた石があったんでな。コンロ代わりに使わせてもらった。」
椿「いわゆる“石焼”ですね?」
サンジが出した料理をちょっとかじったカワサキは、途端にやる気になった。
カワサキ「これ、美味いね~・・・!オレも負けてられないね~!美味い料理作ってくるね~!」
そう言うと、カワサキは勢いよくその方へ走っていった。
シェイミ『美味しいんですかねぇ?』
カービィ「ボクは美味しいと思ってるよ~?」
デデデ「そもそもお前には味覚がそんなにないだろ・・・。」
カービィ「あーッ!言ったな~!?こんにゃろ、喰らえ!」
デデデ「ギャー!ハンマーを振り回すなーッ!」
メタナイト「二人ともうるさいぞ!」
始まってしまうケンカ(汗)メタナイト、ナイスツッコミだが無視されてるぞ・・・。
ゾロ「やれやれ・・・騒がしい連中だ。」
清麿「それは同感だな。」
ガッシュ「そうか?私はこっちの方が楽しいのだ!」
清麿「・・・まぁ、そうだがな?」
すると・・・カワサキが駆けてきた。
カワサキ「料理出来たね~!どんどん食べるね~!」
両手には大きなお皿に乗った餃子らしき食べ物が。カワサキはそれをみんなの前に出した。全員絶句。
レシィ「あの・・・これ・・・?」
カワサキ「カワサキ餃子スペシャルね~!さ、どんどん食べるね~!」
確かに餃子の原型は留めていた。だが・・・どこか黒い。焦げている。
だがその餃子を真っ先に箸で取ったのはヒデヨシだった。餃子をじ~っと見つめ、かじった。途端に「ブッ!?」と声を上げた。
レオルド「ド、ドウナサイマシタカ!?ひでよしサン!?」
ヒデヨシ「・・・・・マズイ・・・・・。」
口を押さえながらヒデヨシは言った。その言葉にカワサキはショックを受けた。
カワサキ「え~~~~~~~ッ!?」
サンジ「・・・おい、お前!」
カワサキ「え・・・?な、何だよ~?」
サンジ「お前料理人だろうが!!どうしてこんなクソマズイもんを作れんだ!まさかこんな料理を店に出してたんじゃねぇだろうな!?」
カワサキ「え~・・・いつもオレの料理はこんな感じね~・・・。」
サンジ「オロすぞ、タマゴ野郎!」
カワサキ「うぅ~~・・・。やっぱりオレに料理人の資格なんかないね~・・・。店・・・たたもうかな~・・・。」
サンジ「店をたためとも言ってねぇッ!
だー、もういい!単刀直入に言うぞ。お前の料理は今のままじゃダメだ。おれが指導してやるよ。」
その途端、カワサキの顔が驚きの顔になった。
カワサキ「え~!?いいの~!?」
サンジ「ああ。今のままじゃお前の店潰れっだろ。だからおれが指導してやるって言ってんだ。」
カワサキ「よ!よろしくお願いするね~!」
そしてサンジとカワサキはさっき料理を作っていた所まで戻っていった。
カービィ「・・・美味しいのに。」
デデデ「だからお前は味覚がないんだろうが。」
カービィ「ぎゃーッ!また言ったなーッ!?」
再びケンカ勃発。止めるみんな。何なんだ、この構図は(汗)
と、その時だ。誰かがこちらに向かって歩いてくる。それは・・・あい、清一郎、鈴子、そしてロベルトだったのだ!だが、あいと鈴子は気絶しているように見える。清一郎とロベルトは、その二人の肩を持ちながらこちらへ来ている。
植木「!? みんな・・・!?」
ヒデヨシ「・・・・・!!」
心配する植木に対し、ヒデヨシは警戒心を露わにした。左手の指を折り曲げる。
ヒデヨシ「(ロベルト・・・今回は何のつもりだッ!?)」
すると・・・清一郎はバタリと倒れたのだ。ロベルトのみが立ったまま、マリオ達に向かって言った。
ロベルト「安心していいよ・・・。戦いに来たんじゃない。」
ヒデヨシ「その証拠はッ!?」
ロベルトに対して、ヒデヨシは怒鳴りつけた。ロベルトはフフッと笑ってこう言った。
ロベルト「僕はね、逃げて来たんだよ・・・。ザキラの下から・・・ね。彼らも同じ・・・。でも逃げる際に負傷してね・・・。なんとか逃げ延びたものの・・・もう体力が続かないかな・・・。」
植木「・・・? ちょっと待てよ?ロベルト!お前ってアノンに取り込まれたんだよな?どうしてここに居るんだ!?」
ロベルト「それについては・・・僕も・・・よく分からない・・・かな・・・。」
そして・・・ロベルトも倒れたのだ。
植木「おい!大丈夫か!?」
植木が急いでロベルトを起こす。その時、彼を見たガノンドロフが口を開いた。
ガノンドロフ「こいつ・・・意識だけの存在だな?」
リンク「!? どういうことだ!?」
ガノンドロフ「簡単に言えば・・・体は別の所にあって、意識だけがここにやってきた。これだったら、そのアノンとやらにこいつが体を取り込まれていたとしても、意識だけが召喚されたとするならうなずける。」
ゼルダ「どうして・・・そのような事を知っているのですか?」
ガノンドロフ「・・・どこかで見た事がある。」
そう言うと、ガノンドロフは清一郎とロベルトを担いでいった。植木はあいの肩を持った。ヒデヨシが残った鈴子の肩を持っていく。
ハサハ「・・・しょうかん・・・。」
バルレル「ケッ!胸くそ悪ィぜ・・・。」
「見つけたぞ~~~~~ッ!!」
突然誰かの声がした。だが一人の声ではなく、大勢の声だった。
そしてその声が聞こえた所から飛び出してきたのは・・・実在人物らだった。
ピット「あなたは・・・あの時の!?」
ナベアツ「覚えてもらってたとは~。芸人としては光栄です!」
よしお「かと言って逃がすわけにはいかねぇけどな~!」
田村裕「あーっ!お前らはいつぞやの子供と本持った奴!」
ガッシュ「あ!そういえば知ってるような気がするのだ!」
清麿「今更何の用だ・・・!?」
つるの「コラー!植木達、よくもザキラ側に寝返ったな~!?」
野久保「悪いけどここで倒させてもらうよ!」
上地「ガンモさんもどうしたんですか、こんな所で?」
ヒデヨシ「やっかいな奴らが来たよ・・・。」
植木「あ・・・そういやオレ達最初は亜空軍だったけ。」
ガノンドロフ「ガンモでもねーし・・・お前も何を今更思い出してんだよ!?」
千場吉兆の女将「店のためです!やられてください!」
ジャック「店ってなんの話ッスか!?意味不明ッス!」
英孝「よくもボクらを騙したね~?い~けないんだ~、イケメンだ~。フゥ!」
レノ「ヘッ。騙された方が悪いんじゃねぇの?」
バルレル「悪魔にとって騙しなんざ当たり前だぜ。」
ドナルド「ドナルドは、みんなを倒しにここに来たんだ!」
騒音おばさん「ハイ、フィギュアになりー、フィギュアになりー、とっととフィギュアになりー!」
キーボードクラッシャー「イスラエルにトルネードスピィィィィン!!」
アルヴィス「まずいな・・・この辺は強敵だぞ・・・!」
ギンタ「負けねぇぞ!」
フランキー「ま、やりがいはありそうだな!」
ルフィ「邪魔すんならぶっ飛ばーす!」
途端に戦いの姿勢になる面々。その時・・・スノウが呟いた。
スノウ「ねぇ・・・なんであなた達は戦いに来たの?」
よしお「そりゃ“マスター”って呼ばれる奴の命令で・・・なぁ?」
その言葉に、実在人物達はうんうんとうなずいた。
富竹「いやー、残念だけど、その亜空軍はもう無いよ?」
田村裕「・・・は?」
その言葉に、実在人物達は耳を疑った。
アラン「簡単に説明してやる。お前らが指令を受けて俺達を探してる間に、マスターハンド・・・いや、その裏で操っていたタブーは倒された。つまり・・・亜空軍なんてモンはもう存在しねぇのさ。」

「えぇーーーーーーーーッ!?」

驚き、そして悔しがる実在人物達。
野久保「そんな・・・!“人気を上げるチャンスだ”って誘われて、慣れないのに戦闘も頑張ってきたのに?」
つるの「なんだってんだよー!最後の結果はこれかよ!」
上地「結局人気も上がらず、今までやってきた事も無意味って・・・なんだっけ、腕折り損のくたばり儲け?」
ナベアツ「“骨折り損のくたびれ儲け”だよ~!・・・はぁ~、ガッカリ。」
田村裕「書いた本が映画化もしたし、ここから巻き返してやろうと・・・。」
ドナルド「僕は亜空軍が気に入ってたんだけどな~・・・。」
よしお「マジかよー!せっかく人気上げられると思ったのにー!」
英孝「え、何?まさか人気低迷の状況に逆戻り!?」
千場吉兆の女将「そんなまさか・・・!店に付いた汚点を返上して、また運営できるとばかり・・・!」
騒音おばさん「あー、腹立つ!腹立つ!猛烈に腹立つ!」
キーボードクラッシャー「クソッ・・・!せっかくゲームの世界に来られたのに・・・!」
どうやら・・・実在人物達は人気や地位を取り戻そうとしていたらしい。だが・・・その思いも、全て水の泡となって消えてしまったのだ。
マリオ達はかける言葉が見つからない・・・ように見えた。プリンが前に出て・・・実在人物達に一発ずつパンチをかました。そして言ったのだ。
プリン「アンタらバカぁ!?アンタらの世界がどんなか知らないけど・・・人の力に頼って得た人気なんてね、自分の人気じゃないのよ!!人気ってのはね・・・努力して努力して、やっと掴み取るモンなのよ!!それを他人に頼ってみんさい!あっという間よ!?そんな人気!本当に人気になりたいなら、努力しなさいよッ!」
ルカリオ「・・・珍しくいい事を言っているな・・・。」
ルカリオは言葉の選択を誤ってしまったようです(汗) プリンの恐ろしい目線がルカリオに向く。
プリン「・・・あ゛?」
ルカリオ「あー、すまん。冗談だ。」
スネーク「(あと一歩で恐ろしい状況にでもなっていたのだろうな・・・。)」
だが・・・それは実在人物達の心に刺さったようだった。
つるの「・・・やっぱり、人気を死守したいからって、他人に頼るのはダメだよな・・・。」
野久保「僕達がやってきた事は無駄じゃない・・・。また頑張ればいいんだ!」
上地「そうだね、そうしよう!ありがとな、プリン!」
よしお「俺も目が覚めたぜ~!」
どうやら彼らは新しい方向を見つけたようだった。
ナベアツ「・・・あ、僕達ついていってもいいですか?」
マリオ「・・・まぁ、いいよ?」
「やったーーーー!」
実在人物達は喜んだ。そんな中、表情を曇らせている者が居た・・・。

学「(やっぱり・・・この問題は僕が持ち込んだものだ・・・。)」
みんながきゃあきゃあとはしゃぎ回っている中、学は自分のした事をずっと悩んでいた。
学「(僕の持っている力が、善悪問わず“この世界”に連れ込んでしまうものなら・・・きっとザキラもこれによって引き込まれたんだ・・・。責任は僕にある・・・。だったら僕だって・・・戦わなくちゃ。)」
そう思い、学はずっと何かと考え込んでいた。
ブラック☆スター「そこのハゲデコッ!どうした?」
学「・・・今君・・・なんて言ったかな?」
ブラック☆スター「え?」
まずい、学の目が死んだぞ(汗)
学「今すぐ・・・前言撤回した方が・・・身のためだよ?」
ブラック☆スター「すまん、前言撤回(汗) どうしたんだ、学?なにやら考え込んでるが・・・。」
すると、学の目の色が戻った。
学「え?あ・・・いや、なんでもないよ。気にしないで・・・。」
モン太「気になるんスよ、雪さん!何黙ってるんスか!」
学「いや・・・本当に大丈夫だよ・・・。」
モン太「うっそだ~!雪さん、一人で考え込んでも何も・・・」
「大丈夫だって言ってるだろ!!!」
突然学が怒鳴った。そこに居たメンバーの視線が学に釘付けになる。
学「・・・ごめん、一人にしてくれ・・・。」
学はそう言うと、別の所へと歩いていった。その時、物陰からそっと椿と陽平が現れた。
椿「・・・ああいう時が、一番大丈夫じゃないっていうけどね・・・。」
陽平「いいのかよ、モン太?あいつお前の先輩なんだろ?」
モン太「気になるのは山々さ・・・。でも、いつも冷静な雪さんが、あんな怒鳴りつけるほど考えてんだ。そっとしといた方が雪さんのためだ。」
ブラック☆スター「・・・一応様子は見ておくぞ?ザキラ達が来ても困るからな。椿、オレと一緒に残ってくれ。」
椿「分かった。二人は戻ってていいよ。」
陽平「・・・いや、今まで色々と関わってきたんだし・・・ほっとけないって。」
モン太「オレも残る。なんか・・・心配だし。」
4人は学の様子を見るため、そこに残った。
学「(言い過ぎたかな・・・。それにしても・・・頭が・・・痛い・・・。)」
切り株の上に座った学は、ずっと頭を抱えていた。

レオルド「遂ニ・・・ざきらハ動キ出シタヨウデスネ・・・。」
レシィ「ボク達・・・戦う事になるんでしょうか・・・。」
バルレル「たりめぇだろッ!でも・・・なぁ・・・。」
ハサハ「・・・あのひとをたおしたら・・・かえれない・・・。」
そう・・・ザキラは誓約をかけた上で、彼らを召喚したのだ。そして護衛獣にした・・・。
そして、誓約を受けた召喚獣というのは、召喚主が死んでしまったり、はぐれるなどして誓約が解けなくなってしまうと、彼らの誓約は、二度と解かれる事がない。召喚主が居なければ、元の世界に帰る事すらできない。それが“はぐれ召喚獣”と呼ばれる存在だ。
彼らが召喚される前に居た世界が取り囲むように、リィンバウムという世界が存在した。召喚先は主にそこだ。そこにも“はぐれ召喚獣”は少なからず居る。だがそれも別の召喚師がどうにかすれば戻れる事もある。
だが・・・“この世界”には召喚師など居ないだろう。もしここで召喚主であるザキラを倒してしまったら・・・彼らは“この世界”に召喚師が来ない限り、帰る事などできないだろう。
ハサハ「ハサハ・・・ずっとここにはいたくない・・・。」
バルレル「ケッ!それはオレも同じだっつーの!だが・・・ここに召喚師なんざ居ねぇ・・・。」
レシィ「ボク、帰れなくなるんですか?うぅう・・・。」
レオルド「モシ新タニ誓約ヲ結ブ、トイウ方ガ現レレバ・・・。」

「じゃあ頼んでみる?」

4人がその声の方を向く。そこに居たのは、パノ、レノ、植木、そしてヒデヨシだった。
植木「話は全部聞いたぞ?お前ら・・・このままだと帰れなくなるんだってな・・・。」
レノ「俺達はまだ平気だろうが・・・んなルールがあるんじゃどうしようもねぇな?」
バルレル「・・・ま、オレは別にアイツを倒して、ここに残っても構わねぇがな!」
レシィ「そうですね・・・“この世界”を支配されてしまうくらいなら・・・!」
すると、植木達は笑っていた。
パノ「新しい誓約が結ばれれば、それでOK・・・帰れるんでしょ?」
ハサハ「・・・・・(こくん)」
ヒデヨシ「んじゃ、簡単じゃねぇか!オレ達がその“召喚師”になればいいんだよ!!」
レオルド「・・・!? 本気デスカ!?」
召喚獣ら4人は驚いた。だが植木達は相変わらず笑っていた。
レシィ「でも・・・そんないきなり無理ですぅ~っ!」
バルレル「バカか、お前ら!?召喚師になるにはな、それについて学ばなきゃなんねーらしいぞ!?何年かかると思ってんだよ!?」
レノ「じゃあ聞くがよ。そのザキラってのは召喚師について学んでたのか?」
ハサハ「・・・はじめたばっかり・・・。」
パノ「じゃ、ちょっとやれば出来るんじゃん!これでOKね!」
レオルド「シカシ、召喚師トシテノ鍛錬モ積マズ・・・成功スルデショウカ・・・?」
植木「大丈夫だろ!1%でも可能性があるなら、やってみるんだ。」
ヒデヨシ「心配すんなって!オレ達を信じろ!」
植木達の笑顔とその言葉に、召喚獣達は戸惑った。だが・・・。
ハサハ「・・・やくそく、してね?」
パノ「うん!約束、約束!」
バルレル「お前が言うからにゃ信じてみるが、失敗してどうなっても知らねぇぞ!?」
レノ「安心しろ、お前が思ってるほどバカじゃねぇから。」
レシィ「あの・・・頑張ってくださいね!」
植木「あぁ、きっと成功させる!」
レオルド「貴方ニ信ジラレテイタカラニハ、私モ信ジマス・・・。」
ヒデヨシ「きっと会おうぜ!オレ、やり方分かったらやってみっからよ!」
召喚獣と、彼らと強い絆を結んだ4人とに、“約束”は生まれた・・・。

起こった事:ロベルト、清一郎、あい、鈴子、実在人物が仲間に。
召喚獣4人とヒデヨシ、パノ、レノ、植木、彼らと約束をする。

第39話 コーヒーブレイク

~荒野~
アイク「ここは・・・戻っていたのか。」
ロボット「たぶーニヨッテ取リ込マレテイマシタガ、ソレヲ集メタたぶーヲ倒シタ事ニヨリ戻ッタヨウデスネ・・・。」
その時・・・突然プリンが立ち止まった。
プリン「ねぇ、アンタ達。ちょっと休まない?」
ナベアツ「休むって・・・この前休んだばっかりじゃないですか?」
プリン「アタシじゃない!ただ・・・あっちよ。」
プリンが指した方向には・・・学が居た。ただ、疲れているのか、かなり遅れをとっている。
学「ハァ・・・ハァ・・・。遅れて・・・すみません・・・。」
クリスタル「大丈夫?ずいぶん疲れてるみたいだけど・・・。」
学「あ、大丈夫です・・・。」
笑顔でそう言う学だったが、体はかなり疲れているようだった。
田村裕「・・・本当に平気?休んだ方がいいんじゃ?」
学「大丈夫ですッ!ほらっ・・・!」
そう言ってステップを踏んでみせる学。だが・・・やはり体は猛烈に疲れているようだった。
ウルフ「お前・・・どっかで休め。でないと足手まといだ。」
学「ッ・・・お断りしますッ!!
突然学は怒鳴った。そして「あ・・・」と呟くと、頭を少し下げた。
学「あの・・・本当に大丈夫ですので・・・。それに・・・休む事に時間をとってしまって・・・もし、ザキラが目的を達成してしまったら・・・僕のせいです。僕はそれこそ足手まとい・・・いや、ザキラの計画に協力した事になってしまう・・・。それはあなた達にとっては迷惑どころの騒ぎではないはずです。だから・・・休んでる暇なんか・・・!」
学の訴えに、全員はうなずいた。だが・・・
ドクターマリオ「なるほど・・・気持ちは十分理解できますね。ですが・・・だからといって体調を損なうような事をしては、いざという時に困りますよ?」
チョッパー「学・・・責任感じてるのか?でも、大丈夫だぞ!おれ達も居るんだ!休む時は休まなくちゃな。」
学「だけど・・・!」
椿「・・・あの、少し・・・いいですか?」
突然椿が言った。
椿「あの・・・ファルコンさんの姿がないみたいですけど・・・?」
その途端、みんながファルコンの姿を探し始めた。だが・・・見つからない。
その時・・・サムスは突然どこかを指差した。
サムス「・・・あっちへ行きましょう。」
ギンタ「え?何で?」
サムス「とにかく・・・私はあっちへ行きたいわ。」
そう言うと、サムスはすぐさま走っていってしまった。

そこにあったのは・・・コーヒーハウスか何かのようだった。そして・・・サムスはそこにすぐに入っていった。
アルヴィス「待ってください、サムスさん?こんな所にコーヒーハウスがあるはずがない。きっと罠・・・」

「いらっしゃいませ。」

バーから声がした。そこに居たのは、左の眉毛に傷がある・・・
「ダンディなバーテンダーです。」
全員「言うなよ、自分でッ!
そんな中、サムスはバーの椅子に座った。
サムス「・・・いつものをお願い。」
「かしこまりました。」
そう言うとバーテンダーはコーヒーをブレンドし始め、そして一杯のコーヒーをサムスに差し出した。サムスはそれを飲む。
バルレル「・・・怪しくねぇか?なんでこんなトコに店があんだよ?それになんだよ、コイツは!」
フォックス「あぁ・・・知り合いだ。バート、俺もいつもの貰えるか?」
バートと呼ばれたバーテンダーは、フォックスのコーヒーもブレンドし始めた。その時・・・サンジはふと気が付いた。
サンジ「(サムスさんのとキツネのとで・・・ブレンドしたコーヒーの種類が違う・・・?)」
チョッパー「何だ何だ!?おれにもくれーっ!」
するとバートは・・・コーヒーではなくココアの粉末を取り出し、ココアを作ってチョッパーに渡した。
バート「あなたはあちらは飲まない方がいいですよ?あれはコーヒーですから。はい、あなたにはこれを。」
チョッパー「ん?あ、ありがとな。」
ココアを一口飲んだ途端・・・チョッパーは飛び上がった。
チョッパー「おぉーっ!!甘くてうめぇーっ!」
ヒデヨシ「ぶ、ぶっちゃけホントか!?なぁチョッパー!オレに少しくれ!」
するとバートはココアを作り始めた。
バート「彼のはあなたの口には合わないと思いますよ?こちらをどうぞ。」
ヒデヨシ「あ、サンキュー!」
ヒデヨシはそれを飲んで、チョッパーと同じように「うめぇーっ!」と叫んだ。
植木「なぁ、この本面白いな~。特にこの『株式会社・ポケモンズにて。』ってやつ。」
バート「あぁ、“週刊ニンテン”の4コママンガですか?確かに、私もそれは面白いと思っていますよ。」
その時、サンジはバートに尋ねた。
サンジ「おい、一つ聞いていいか?」
バート「・・・私に答えられる事ならば。」
サンジ「どうしてお前は・・・相手の好みの味が分かったんだ?サムスさんやキツネは前来てるみてぇだが、おれ達はそうじゃない。なのにお前はチョッパーとヒデヨシが甘いモン好きだと見抜いてた。どういう事だ?」
するとバートは微笑みを浮かべた。
バート「癖なんですよ・・・。相手を見ただけで、好みが分かってしまうんです。あの二人は甘党で、尚且つコーヒーは苦手。なのであの二人にはココアを出させていただきました。」
チョッパー「おれ、おかわりーっ!」
ヒデヨシ「あ、オレもー!」
バート「かしこまりました。」
そう言うとバートは再びココアを作り始めた。そして二人に出した。
ヒデヨシ「ありがと・・・って、甘ぁぁぁぁぁぁぁッ!!!?」
チョッパー「う~ん・・・何か物足りねぇぞ?」
するとバートは二人に出したカップを見て、困ったように言った。
バート「あ、すみません。出すカップを間違えていました。」
チョッパー「そうだったのか~。じゃあこれはヒデヨシにあげるぞ!」
ヒデヨシ「へへっ、交換か。じゃあこれはチョッパーに、だな。」
お互いのカップを交換した二人は、そのココアを飲んだ。そして先程のように「うめぇ~!」と叫んでいた。
サンジ「!!(あいつ・・・ココアの甘さまで変えてたのか!?)」
驚くサンジを見て、バートは言った。
バート「お望みなら、お仲間さん達のお好みのブレンドのレシピをお教えしますよ?」
サンジ「そうだな・・・貰っとく。」
バート「麦わらさんとトナカイ君はコーヒーは苦手です。作るのであれば・・・そうですね、砂糖を多く入れた方がいいです。銘柄にはこだわらないタイプでしょう。
剣士さんはとても珍しい作り方ですが、アイリッシュ・コーヒーのようなカクテルタイプのコーヒーが好みです。
オレンジ色の髪の女性はレモンコーヒーがお好みですね。豆との相性さえ合えば、レモンをみかんに代えたものの方がお好みではないでしょうか。
長鼻君は東南の海の豆で煎れたアメリカン・コーヒーがお好みでしょう。
黒い髪の女性は古豆で煎れたコーヒーがお好みです。
サングラスの方は・・・砂糖をコーラに代えたものがお好みのようですね。私には理解できませんが・・・。
ガイコツさんはカフェオレがお好みのようです。少し甘めだとより喜んでくれると思いますよ。
そしてあなたは・・・もっぱらキリマンジャロがお好みのようですね。」
サンジ「・・・正解だ。さて、仲間の分はメモった・・・。そうだ、台所を貸してくれないか?あいつらにメシを作ってやらなきゃな。」
バート「えぇ、どうぞ。あちらにあります。」
そしてサンジは台所へと向かって行った。丁度その時・・・あいが飛び起きた。
あい「!? あれ、ここは!?って、植木にヒデヨシ!?」
植木「あ、森。起きたか。」
ヒデヨシ「ぶっちゃけずっと寝てるかと思ったぞ?」
あい「あ・・・そっか、そうだった・・・。あたし達、ザキラの所から抜け出してきたんだった・・・。」
頭を下げ、うなだれるあい。その時・・・台所から何かを煮込む音が聞こえてくる。あいは頭を上げた。
あい「あ・・・!すみませーん!手伝いますかー?」
サンジ「ん?あぁ悪ぃね、お譲ちゃん。じゃあ大きい皿を持ってきてくれないか?」
あい「はーい!」
あいはサンジの手伝いをし始めた。それを植木は不思議に思った。
植木「森・・・何か知ってるのか・・・?」
「それについては、俺らもよう知っとるわ。」
「私達の逃げてきた理由も・・・合わせてお伝えしますわ。」
起き上がったのは、清一郎と鈴子だった。
ヒデヨシ「お前ら・・・もう大丈夫なのか?」
清一郎「ああ。ちーっとばかり寝すぎたわな。」
鈴子「それはそうと・・・私達は・・・ザキラの計画の本来の形を見て・・・逃げてきたんですの。」
植木「本来の形?」
植木がそう聞くと、二人はほぼ同時にうなずいた。
清一郎「そうや。なんでも・・・『とある4人の子供が持ってる力を利用して、“この世界”だけでなく他の世界にも進出し、支配してやろう』っちゅうモンだったんや。鼻っから俺らの世界なんざ救う気は無かったんや・・・。」
鈴子「それだから、私達は逃げてきた・・・。だけど、まさか途中で気付かれるとは思いませんでしたわ。彼の計画は、進んでいます。現に、私達の世界の能力者が数名連れてこられていて・・・。」
植木「!? 本当か!?」
ヒデヨシ「んな事があったら・・・ここは・・・!!」
慌てる二人に、清一郎は言った。
清一郎「落ち着きぃや。そうとは言っても、まだ未完成らしいんや。その能力者っちゅーのもたったの4人、その他にはお前らと同い年ぐらいの男子が2人。それぐらいやったわ。」
鈴子「それを彼は“召喚”と呼んでいましたけど、未完成ですからその6人を呼んだだけですぐに疲れて倒れそうになっていましたわ。恐らく、その計画に“力を持つ4人の子供”が居ないと駄目なんだと思うんですの。」
マリオ「つまり・・・そうか、その子供を見つけられないうちにそれを阻止しようって事?」
清一郎「そういうこっちゃ!」
清一郎が笑ってみせる。
ルイージ「ところで・・・その“力を持つ4人の子供”って誰なの?」
すると二人の表情が曇った。
鈴子「申し訳ありませんが・・・その事については、彼の側近と幹部の方にしか知らされていませんの。」
清一郎「俺らは、単にフィギュアだけ集めて来いって言われてただけやったからなぁ・・・。」
ルイージ「そ、そうだったんだ・・・。ごめんね、変な事聞いて。」
その時、サンジが台所から出てきた。
サンジ「さぁ、お前ら!メシが出来たぞ!」
ルフィ「おぉーっ!みんな来ーい!サンジのメシだー!」
ルフィの声で、全員が一斉にサンジの出した料理に飛びついた。その時、サンジがまだ途中のようなポテトサラダを出しながら、あいに話した。
サンジ「いいか、あいちゃん?味は悪くねぇんだが、見た目も大事だ。だから例えばここに赤を置くと・・・。」
あい「あっ、キレイ!」
サンジ「だろ?見た目も食欲をそそるんだ。だから見た目にもこだわった方がいいぜ?」
あい「う~ん・・・よし!次の料理は考えてみよう!ありがと、サンジさん!」
サンジ「いや~、それほどでもねぇよ~!」
どうしよう、サンジがラブハリケーンをやりだした。目もハートだ。そんなサンジにゾロが一言。
ゾロ「アホコック。」
サンジ「んだと、コラァ!このマリモ!」
ゾロ「やんのか!?」
いつものようにケンカを始める二人。周りもギャーギャーと騒がしくなる。だがみんな笑っていた。
そんな中・・・ずっと表情を曇らせている者が居た。学である。
学「(どうしよう・・・。もうすぐ夜だ・・・。僕のせいで遅れをとってしまってる・・・。僕が疲れなんて見せなければ、みんなザキラの所へ急げたのに・・・それなのに、僕は・・・!!)」
その時、学の前のテーブルにコトンとコーヒーの入ったカップが置かれた。
バート「どうぞ。」
学「え・・・あ・・・。ありがとうございます・・・。」
バートから貰ったコーヒーを、学はゆっくりと飲み始めた。
バート「何か・・・お困りですか?」
学「え、あの・・・実は僕達はザキラという人を探してるんです。その人は・・・色んな世界を支配しようと企んでるみたいで・・・。僕達はそれを追いかけてたんですけど、僕が疲れを見せたせいで・・・みんな急ぎなのに、休む事になってしまって・・・。
こんな緊急の時に疲れを見せてしまうなんて・・・僕は、足手まといなんでしょうね・・・。」
その話を聞き、バートは答えた。
バート「最後の切り札というのは、いざという時に力が発揮できなくては駄目なのです。だから、今は力を“その時”のために蓄えておくのがいいでしょう。それに・・・急いで走っても、いずれどこかで疲れて倒れてしまう。ゆっくり歩くのも、悪くないんですよ。」
学「あっ・・・。」
その答えは、学の心につっかえていた何かを取り除いた。学はあっけに取られたようにぽかんとした顔をしていた。
モン太「雪さ~ん!メシですよ、メシ!早く食わないと取られるッスよ!?」
ブラック☆スター「いらないのか~?よしっ、ならオレ様がお前の分も食ってやろう!」
椿「こらっ!駄目だよ、ブラック☆スター?」
サンジ「あっ、テメェ!どんどん食えとは言ったが人の分まで取るんじゃねぇ!」
陽平「この肉美味いよ~!早く来ないとみんな取られるよ!?」
ピカチュウ「リンゴ!そのリンゴ欲しいでチュッ!」
カービィ「ヤダ!あげないもんね~!・・・ってあ!?無くなった!?」
ソニック「もたもたしてると貰うぜ?」
よしお「あっ、コラお前一人で食うなよ!」
田村裕「こっちは亜空軍の時にあんまり美味いモン食べてないんだぞ~!?」
ドナルド「じゃあ僕がハンバーガーを作ってあげるよ☆」
食べ物の取り合いが勃発。だけど・・・みんなは楽しそうだった。
学は何か分かった気がした。「ゆっくり歩いていこう、自分にはこんなにたくさんの仲間が居る」・・・と。
その時、口にエビフライをくわえたシェイミが学の前に飛んできた。学の前の皿の上に、それを置く。
シェイミ『しっかり食べないとお腹減るです!』
学「・・・ふふっ、そうだね。ありがとう。」
そう言うと、学はエビフライに噛り付いた。
ゾロ「お前、もう頭には乗せないでいいな?」
シェイミ『ミーなら飛べるから平気です!』
その時だ。すっかり橙色になった太陽が、山の中へと消えていった。その時・・・ゾロの腹巻にはさんでおいてあったグラシデアの花が閉じた。その途端、シェイミはランドフォルムに戻り、地面に落ちたのだ。
シェイミ『・・・やっぱ乗せるでしゅ!』
ゾロ「てめっ!さっき平気だって言ったばっかじゃねぇか!」
シェイミ『前言撤回でしゅ!』
その様子を見て・・・学はくすくすと笑い出した。そして・・・。
学「ふっ・・・くすくすっ・・・あははははっ!」
学が大笑いした。それは、みんなにとってはあまり見慣れない光景だった。
モン太「やっと緊張が取れたッスね~、雪さん?」
学「ふふっ、ははっ・・・。お陰様でね。」
陽平「お前って意外とそんな顔するんだ・・・初めて見た。」
椿「笑った方が、気持ちいいからね。」
ブラック☆スター「よし、ここでいっちょ乾杯でもするかー!」
その途端、全員がグラスを持った。

全員「かんぱーい!」

その日の夜、コーヒーハウスの中はとてもにぎやかで、みんなは楽しい時を過ごしていた。
そして・・・その後ファーストのスマブラのメンバーを除くメンバーは全員ベッドを借りて眠っていた。
バーにはマリオ、ルイージ、ドンキー、ヨッシー、フォックス、ピカチュウ、プリン、ネス、カービィ、サムス、そしてバートが残っていた。
フォックス「・・・みんなに正体を明かしてもいいんじゃないか?“キャプテン”。」
マリオ「そうだね。みんなきっと話しても分かってくれると思うよ?」
キャプテンと呼ばれたバート。何を隠そう、彼がキャプテン・ファルコンなのだ。だが、この事実を知っているのはファーストのスマブラのメンバーのみ。サードや他のメンバーはもちろん、セカンドのメンバーも彼がファルコンだとは知らないのだ。
カービィ「大丈夫だって~!恥ずかしくないよ、みんな分かるって~!」
するとバートは微笑んで言った。
バート「ヒーローというのは、正体を隠すものなんですよ。」
ヨッシー「・・・まぁ、バートさんがそう言うならいいんじゃないの?」
ドンキー「でも驚きだよな~。まさかファーストから居る俺達しかお前がファルコンだって知らないなんてよ。」
ルイージ「まぁ・・・ファースト以降からファルコンハウスもあんまり出せなくなっちゃったからね。忙しくて。」
そんな中・・・サムスはコーヒーを飲んでいた。
サムス「・・・おかわりを貰える?」
バート「ありがとうございます。」
そう言ってバートはコーヒーを入れ始めた。
ネス「サムスさんって、バートさんのコーヒー飲んでる時は優しい顔してるよね・・・。」
ピカチュウ「落ち着くんじゃないでチュかね?」
プリン「・・・あ、そうだ。あたしベッドの整理と様子見と騒いでる連中を叩き潰してくるわ。」
全員「最後のは要らんだろっ!」
その時だ。突然モン太がバーの前に駆け込んできた。
モン太「おいっ!大変だッ!!」
ルイージ「えっ?何?どうしたの?」
モン太「雪さんが・・・雪さんが居なくなった!!」
突然の学の失踪。
果たして学はどこへと行ったのだろうか・・・。

起こった事:荒野でファルコンハウス(コーヒーハウス)に到着。休みを取る。
学、突然の失踪。

第40話 悪夢の競い合い!?+神の御使い登場!? ~どっちもいきなり何なんだよ~

ファルコンハウスでの穏やかなひと時もつかの間・・・突然入った、「学が居ない」との一報。
果たして学はどこへと消えたのか。そしてそれは自分からした事なのか、それとも何かの被害に遭ったのか。
マリオ達はみんなを起こし、学の捜索を開始した。
レノ「あのデコ・・・。どこ行きやがったんだ?」
オタコン「バケ、君のレーダーで探せるかい?」
バケロー「駄目だ、レーダーの圏外に居るみたいだな・・・。」
ピット「こんな時に一体どこに・・・。」
その時、ロビンがクロスさせていた腕を下ろした。そして首を横に振った。
ロビン「・・・私の能力で探せる所まで探したけど、見つからなかったわ。」
ディディー「何かあった!?何かあったのかな!?」
何かあったのだろうと各々が察した。その時、野久保が手を挙げた。
野久保「あの~、これ・・・僕の意見なんだけど・・・いい?」
メタナイト「何か心当たりがあるのか?」
すると野久保はうなずいた。
野久保「なんか学くん・・・ここに来る前から様子が変だったよね?やたらと休もうとしなかったり、イライラしてたり・・・。もしかして、自分のせいだって思ってザキラを一人で倒しに行っちゃったんじゃ・・・。」
その時、全員が「それも一理ある」と感じた。
ワリオ「・・・えーい、てめぇらだらしねぇな!お宝が無くなったなら探すまでよ!」
そう言うと、ワリオはダーっと駆けていった。
マリオ「珍しくやる気だな・・・。よし、僕達も負けてられない!みんな、探しに行こう!」
全員がほぼ同時にうなずき、ほぼ全員がファルコンハウスから出た。
その中には・・・サムスとバートだけが残った。
サムス「・・・ファルコン。」
バート「分かりました。」
その後二人は同時にうなずき、サムスは先に出て行った。

ファルコンハウスを出たマリオ達。だが・・・どこへ向かえばいいのか分からなくなってしまった。
ルイージ「どうしよう・・・どこに向かったんだか全然分からないよ・・・。」
その時・・・モン太、陽平、ブラック☆スターが自分の拳を握りしめた。
ピーチ「??? どうなさいましたの?」
モン太「いや・・・悔しいんだ・・・。オレ、同じ部屋だったのに・・・ちょっと出て行ったりするから・・・クソッ!」
陽平「何で残らなかったんだ・・・。何で僕はあそこに残れなかったんだッ!!」
ブラック☆スター「もう問題は解決したと思って・・・安心しきってた!オレのせいだ・・・。」
学が消えた事を自分をせいだと責めだす三人。
ドロシー「何、どうしたの?別にアンタらのせいじゃ・・・。」
その時、レッドはドロシーを止めた。
レッド「・・・三人は苦しいんです。同じ部屋に居たのもあるけど、今まで一緒に行動してたみたいですし・・・。自分を責めたくなるのも、分かる気がします。」
そして全員は黙ってしまった。
その時だ。ルカリオが地面に手をかざす。するとルカリオの耳が風にあおられているかのように浮き、震えた。そしてルカリオは立ち上がった。
ルカリオ「・・・こちらだ!」
走り出すルカリオ。全員はその後を追いかけた。
よしお「お~い!一体何があったんだよ~!?」
ルカリオ「学の波導を感じ取った。まだ時間は経っていない。その波導の位置が空中である・・・とすると、学は何かトラブルに巻き込まれたに違いない!」
ルカリオの後を追いながら、マリオ達が辿り着いたのは渓谷のような場所だった。だが周りには絶壁がある。その下には奈落の底のように暗い穴しかない。そして・・・手足を鋼鉄の輪のようなもので留められた学が絶壁に磔(はりつけ)にされていたのだ!その鋼鉄の輪が絶壁に食い込んでいる。
カービィ「あぁっ!学~~~っ!」
カービィが駆け寄ろうとする。すると学は目を覚ました。そして力一杯叫んだのだ。
学「みんなっ!来ちゃダメだ!!これは罠だ!!早く逃げてッ!?」
その時・・・後ろの絶壁から誰かが飛び降りてきた。
そこにはケロロ、タママ、ギロロ、クルル、ドロロ、ドラえもん、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫、出来杉・・・そして悲愴感の三人も居たのだ!
上地「あれっ!?田中さんに山本さんに鈴木さんまで・・・どうしたんですか!?」
田中「いや、なんか戦っておけってケロロが・・・。」
そんな中、ケロロがゲ~ロゲロゲロと笑い出す。
ケロロ「仲間一人連れ去られて、まんまとここに来たでありますな、ファイター共?ここまででありますよ、もう我が輩達の勝ちは決まったであります!」
清一郎「何や・・・自信満々やな?」
ナナシ「意外と勝機がある場合もあるで?」
清一郎は手ぬぐいを持ち、ナナシはグリフィンランスを出す。するとジャイアンががっはっはと笑い出した。
ジャイアン「残念だが、それは絶対にねーぜ!」
そう言うと、ジャイアンは何故かスネ夫を殴り飛ばした。
スネ夫「ひぎゃ~~~~~ッ!?」
ガッシュ「い、いきなり何なのだ!?」
清麿「仲間を攻撃して、何が“勝機が無い”だ?まさかパワーアップしたとでも言いたいのか?」
その時・・・スネ夫が左の手首に付けていた腕輪の赤いランプが点滅しだした。すると学の手足の鋼鉄の輪は「ピピピピ」と音を鳴らし、鋼鉄の輪の赤いランプも点滅し始めたのだ。
学「・・・・・?」
次の瞬間・・・輪から学の体に電撃が流れた。
学「ッ!!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
リュカ「!? 学さんっ!?」
電撃は止まった。だが学にはダメージが来ているようだ。
よく見ると、ケロロ達全員が同じような腕輪を付けている。するとクルルがく~っくっくっくと笑い出した。
クルル「このリングはこのリングを付けている人間がダメージを受けると、その倍のダメージをあのメインリングから放出させるっつーモンだぜぇ?」
ウルフ「ちっ、まさか・・・!?」
ギロロ「無闇に攻撃すれば・・・奴の命に危険が及ぶぞ?」
その答えは、全員の察していた通りだった。その時、プリンがえぇいっ!と叫んだ。
プリン「みんなして迷ってんじゃないわよっ!あのリングをブッ壊せばいいのよっ!」
全員がそうかと思った。だが・・・相手は顔色を変えない。
タママ「それは無理ですぅ!メインリングもこのリングも、ボクのタママインパクトでも壊せないぐらい頑丈なんですぅ!」
クリスタル「そんな・・・!じゃあ学くんを傷つけるしかないって事・・・!?」
ダークライ「外道が・・・ッ!」
その時、出来杉が言った。
出来杉「実は僕達の中に一人、“サブメインリング”を付けてる人が居るんです。サブメインのリングにだけスイッチがあって、そのスイッチを落とせば他のリングの機能も止まるし、メインリングも外れるんですよ。」
 ・ ・ ・ ・ ・ 
スリッピー「ソレ・・・教えて良かったの?」
山本「ゲゲッ!?何言ってんだよ、出来杉!?」
すると出来杉はニコニコと笑い出した。
出来杉「だって・・・僕達の目的は仲間を増やす事、もしくは“例のあの能力”を持っている人を連れ帰る事じゃないですか。スリルがあった方が、やる方も楽しいですし・・・ね。」
いきなりニヤリと笑う出来杉。何があった!?(おいおい)
鈴木「なるほど、それなら納得!(にしても怖い事言うガキだな~・・・。)」
相手が構えだすが、マリオ達は構えない。
サンジ「どうすんだ、お前ら・・・!無闇に手ぇ出せねぇぞ!?」
レシィ「そのサブなんとかっていうのを探してる間にも学さんが~・・・!?はわわわわ~!?」
ゼニガメ「どうすんの!?でも戦わないと探せないんでしょ!?」
その様子を見たのび太はこう切り出した。
のび太「ぼ、僕達の仲間になるか、その能力者を出してくれれば、誰も傷つかないで済むよ?」
すると・・・マリオはケロロ達の前に立った。
マリオ「(誰も傷つけたくない・・・ここは・・・仲間になる以外、道は無い・・・!!)」
そしてマリオが手を出そうとした時だ。マリオにクッパのキックが飛んだ。
クッパ「貴様ーーーーッ!まさか仲間になろうなんて考えたんじゃないだろうナーーーーッ!?」
マリオ「だって・・・誰も傷つけないにはそれしかないんだ!!」
するとクッパは口からゴオーーーーッと炎を吐き出した。
クッパ「バカモーーーンッ!お前は色んな世界を回ってきたマリオだローーーッ!それなのにこんなんに屈してどうするのダ!?そんなマリオ、ワガハイはライバルだと認めんゾーーーーッ!!」
すると・・・マリオは顔を上げた。
マリオ「分かった・・・。勝負だ、君達!学君は絶対に助け出してみせる!」
しずか「あら~、苦しい道を選んじゃうんですかぁ~?」
タママ「ここはレッツ・暴力で!」
そんな中・・・ドロロは一人、浮かない顔をしていた。
ドロロ「(どういう事でござるか・・・。拙者はペコポンの平和を望んでいたはずでござる・・・。だから“この世界”の侵略に協力した・・・だが拙者は今、あの少年の生死を分けるような事をしている・・・。)」
そう・・・ドロロは一人、苦悩していたのだ。そんな中、戦いは始まった。

ドラえもん「僕らを殴ったら彼が傷つくよ~!」
レオルド「生命ノ優先・・・勝率・32%・・・!!」
圧倒的に不利な中、ガノンドロフの攻撃がギロロに炸裂した。再び学の全身に電撃が走る。
学「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
リンク「ガノンドロフ、力の配分をしろ!?」
ガノンドロフ「分かっている!だが連中・・・わざと力が強く加わる所に当たりに来る!!」
攻撃すら出来ない。次第にマリオ達の勝機は薄れていった。そんな中・・・。
ドロロ「(拙者は間違っているのでは・・・、いや、間違っているでござる!!)」
ドロロはそう思った。そして近くへと来たギンタのダガーアームを受け止め・・・ドロロは言った。
ドロロ「少年・・・!サブメインリングを付けているのはしずか殿でござる!」
ギンタ「!? しずかってあの女の子の事か?って、どうして教えてくれるんだ!?」
ドロロ「迷っている暇はないでござる!さぁ、早くッ!!」
ドロロの言葉に従い、ギンタはしずかに狙いを変更した。その時、その前にのび太とジャイアンが現れたのだ!
ギンタ「邪魔すんなッ!!」
のび太「しずかちゃんは僕が守るんだ~ッ!!」
ジャイアン「お前なんかギッタンギッタンにしてやる!!」
二人が襲いかかってきた。その時だ。その前にカービィとウソップが出てきた。
ギンタ「二人とも・・・!?」
カービィ「ここはボクとウソップに任せて!」
ウソップ「ギンタは早く行けっ!こっちは向こうに因縁があるんだ・・・!!」
ギンタ「(因縁・・・?)分かった、頼んだぞ!!」
その場を二人に任せ、ギンタは走っていった。
のび太「あっ、待て~~~っ!!」
のび太は射的の弾を放った。それを鉛の弾が弾き飛ばす。
ウソップ「お前、射的が得意そうだが・・・それだったらおれの方が上だ!!狙撃だったら誰にも負けねぇ!」
のび太「くぅ~~~っ!僕の射撃の腕を見くびるな!」
そして、二人の撃ち合いが始まった。
だけど皆さん、よく考えてみ?のび太は射的の弾に過ぎないけど、ウソップは鉛星だの火炎星だの、バリエーション豊富なのよ。どっち勝つと思う?

~数秒後。~

のび太「強すぎ・・・。」
ウソップ「よっしゃあ!!勝ったぁぁぁぁぁ!!」
その時、学の「ぎゃああああああッ!!」という叫び声が聞こえた。
ウソップ「!! しまった、リングがある事を忘れてた・・・!!」
ウソップは急いで学の元へと走った。

カービィ「お前・・・マイク持ってるけど!!歌が好きなの!?」
ジャイアン「当然だ!俺はいつも空き地でリサイタルやってんだ!!」
カービィ「歌が好きなのはボクも同じだッ!!だからボクはお前にカラオケ対決を申し込むっ!!」
ジャイアン「臨む所だ~~~ッ!!」
二人はどこから取り出したのかカラオケマシンの前に立った。そしてカービィが選んだ曲。悲愴感。ジャイアンが選んだ曲。羞恥心。
そして。二人は歌いだした。ストレートに言うね。めっちゃ音痴やで!!
羞恥心「って、えぇ~~~~~~~ッ!!!??俺(僕、オレ)達の歌ってあんななの~~~~~ッ!!!?」
悲愴感「(俺達の歌はあんなモンだよな・・・。)何このマイナス思考!?)」
モン太「二人とも~ッ!歌うのやめてくれ~!!雪さんが!音痴な歌で死にかけてるぞ~ッ!!」
モン太は叫んだ。でも多分聞こえてない(ダメじゃん)。
その間に、ギンタはしずかの所へと駆けてきた。
ギンタ「あの腕輪にスイッチが・・・!!いっけぇ、バッボぉぉぉぉッ!!」
ギンタがバッボを放り投げる。
しずか「あら、危ない!」
しずかは飛んで来たバッボを避けた。だが、バッボも諦めない。
バッボ「仲間のためじゃ!切らせてもらおう!」
自慢の鼻でリングのスイッチをOFFにした。その途端ケロロ達のリングの光が消え、学の手足のリングが外れた。
そして・・・学はそのまま真っ逆さまに落ちていった。
ギンタ「!! まずい!」
ギンタは走る。だが・・・!!
ギンタ「(くそっ・・・!!これじゃ間に合わねぇ・・・!!)」
だが、それでもギンタは腕をのばそうとした。その時だ。遠くから何かが走ってくる。それは・・・ブルーファルコン!!
そしてそこからは颯爽(さっそう)とファルコンが飛び出し、落ちる学を受け止め、壁を蹴り返してそのまま着地した。
ギンタ「だ、大丈夫か!?」
ファルコン「私は問題ないぞ。」
バッボ「にしてもファルコン。お前今までどこへ行っとったんじゃ?」
するとファルコンはふっと笑った。
ファルコン「正義の味方は、ピンチに現われるものとはよく言うだろう。」
学「う・・・うぅん・・・。あっ?」
ギンタ「あっ!気がついたな!」
学「僕は・・・そうだ、あの人達に捕まって・・・。ごめんなさい・・・ご迷惑をおかけしました・・・。やっぱり僕は・・・居るだけ足手まといなんじゃ・・・。」
学はがくりと顔をうつむけた。するとファルコンは学に言った。
ファルコン「お前は最後の切り札だ。最後の切り札がそんなでは、周りもフルのパワーは出せない・・・。お前は堂々としていろ。」
学「えっ・・・。」
学は驚いたような顔して、ファルコンを見た。ファルコンは笑っている。
で。学が助かったにも関わらず・・・カービィとジャイアンが相変わらず歌っている。もうね、お前らはね。歌声じゃなくって騒音で競ってればいいよ。そうすりゃ騒音おばさんも入れるだろうよ(おいコラ)。
その時・・・ブルックが険を抜いて二人の元へ歩き出した。そして。
ブルック「鼻唄三丁・・・矢筈斬り(怒りバージョン)!!!」
カービィ&ジャイアン「痛いよ、ママーーーーーーーーーーーッ!!!」
二人の叫び声がおかしいのは置いといて(置いとくな)。ブルックは二人を正座させた。いわゆる・・・説教だね。
ブルック「いいですか!?あなた達が歌ってるのは“歌”じゃありません!!騒音です!!歌というのは、もっとリズム感があって、ついでに音程もしっかりしてなきゃダメなんですよ!!」
♪恋を夢見るお姫様は いつか素敵な王子様に 巡り会える
ブルック「そう、あんな感じで・・・!!」
みんなが一斉に後ろを向く。そこには・・・何故か空にテレビのモニターが。映ってんの誰?(えぇぇ)
「あ、間違えた。(カチッ)」
誰かがリモコンっぽいの(ぽいの!?)のスイッチを押し、モニターを消した。その誰かは、16~17歳くらいの少女のような姿をしていた。するとその姿を見るや否、ドラえもん達が騒ぎだした。
ドラえもん「あの子はマズいよ~!!逃げよう、逃げよう!!」
すると、ドラえもん達は消えた。ケロロ達と、悲愴感を残して・・・。
ケロロ「あれっ!?ちょっと!?おーい!!僕達忘れてな~~~い!?」
その声は、空しく響いただけだった(汗)。
ワリオ「なっ、何だぁ!?てめぇは!?」
すると少女はマリオ達の方を向いた。
「安心なさい、私は敵ではないわ。」
そう言うと、その少女はいきなり話を切り出した。
「・・・何故あなた達はこれほどとまでに大人数になってもザキラの仲間達が焦りすらしなかったのか・・・分かる?」
ドナルド「そういえば、そうだね。ドナルドやキーボード君、騒音さんはとっても強いから、敵になったら怖いと思うのに。あんまり焦ってなかったね。僕も不思議に思ってたんだ☆」
すると少女は言った。それは、マリオ達にとって絶望的な真実だった。
「理由は簡単よ。元々彼の世界ではカードからクリーチャーを召喚するのにマナというものが必要なの。そして倒されたクリーチャーは、普通墓場へと送られる。だけど、“この世界”にはそんな観念はない・・・。だから奴の戦力は、限りなく無限に近いのよ。」

「なッ・・・何ィーーーーーーーーーーーーッ!!?」

「言っておくけど、私の言ってる事は嘘じゃないわよ。これから言う事も然り。
“この世界”は、元の世界の観念を持つ者が二人、元の世界の観念で戦おうとすると、その時だけその周りの空間でのみ元の世界の観念が働くのよ。だから・・・ザキラの世界の人間さえ仲間にするか召喚すれば、勝ち目はあるのよ。」
そう言うと、少女はどこかへと行こうとした。
マリオ「ま、待って!君は・・・一体・・・!?」
すると少女はにこりと笑って言った。
「神の御使い・・・とでも言っておきましょうか。」
リンク「そ、そうか・・・。」
魅花「MI☆KAちゃんよ。」
フォックス「(言っちゃった・・・。つか何だよ、それ・・・。)」
魅花「それではさらばじゃ!」
そう言うと魅花は突然姿を消した。
マリオ「ザキラ・・・無敵なんてない。絶対に倒してみせるっ!」
ゼット「(あの女の声、どっかで聞いたな・・・?)」
「話はだいたい聞いたよ・・・。」
その声は、ロベルトのものだった。コックピットの開いたブルーファルコンから起き上がった所らしい。
鈴子「ロベルト・・・!怪我は大丈夫ですの?」
ロベルト「あぁ、平気だよ・・・。ところでb」
その時、ファルコンがすごい早さで走ってきて、ロベルトの口の前に手を出した。「私がバートである事は言わないでくれ」と言いたいようだ。ロベルトはそれを察し、その事を黙った。
ロディ「ところで、どうしてここに・・・?」
ロベルト「・・・バートさんのコーヒーハウスがどこかへ行くみたいだったからね・・・。その時ファルコンさんも来てくれて、そのまま乗らせてもらったよ。ただ・・・その中で寝ちゃったけどね。」
そう言って、ロベルトはごまかした。その時、ドロシーがはっとした。
ドロシー「まさか・・・あの子、亜空間に行く前に“渓谷に行け”って言った!?」
だが・・・当然ながらプリンチーム&ソニックチームが知るはずもない。
プリン「? 何、ソレ。」
ソニック「Oh?そういや言ってた言ってた!」
アラン「それを早く言えぇぇぇぇぇぇッ!?」
富竹「それで助けた後に渓谷に走っていったんだ~。」
ブルック「成る程・・・ヨホホホホ~。」
ゼット「・・・ま、俺様は知ってたがな!!」
その途端・・・プリンの目つきが変わった。
プリン「あ~・・・思い出した~・・・。聞こえなかった理由~・・・。」
その時、マリオ達は察した!!
ルイージ「みんな逃げて~!?」
逃げ出すみんな。ゼットとプリンだけが残る。
ゼット「え?あ?ん?」
プリン「ア ン タ の せ い で カ イ オ ー ガ に 追 わ れ て た か ら だ っ た わ ね ?
その後、音高くブン殴る音がしたのは、言うまでもない・・・。

起こった事:学、誘拐され人質にされるも無事救出される。

第41話 秘宝より、大切なもの

バートのコーヒーハウスで一休みしてから、一日明けた。そんな中。
プリン「・・・ちょっと~?アンタら~?」
突然だけど呼び出しを食らったケロロ小隊&悲愴感。
ケロロ「な・・・なんでありますかね、プリン殿?」
プリン「アンタら・・・これからどうしたいわけ?ま、逃がしはしないけどね?
そう言うプリンが構えているのは、モーニングスター(鉄球にトゲトゲの付いたやつ)だった・・・。
田中「いや、帰れないし・・・。」
ファルコ「? どういうこった、そりゃ?」
ギロロ「・・・これを聞いてみろ。」
するとギロロは通信機のようなものを取り出した。そして再生ボタンを押すと・・・。
『任務を失敗した君達は、もう帰ってこなくてもいい。元々君達は失敗が多かったし、幹部にすら及ぶような実力でもなかった。命があるだけ感謝しろ。だが、その後は我々は何も支援しないし、関与もしない。以上だ。』
それで通信は切れていた。
マリオ「そうか・・・戻ろうにも戻れないって状況なんだね。」
ベル「ちょっと・・・かわいそうかも。」
ちょうどその時、サンジはカワサキとあいが見守る中、料理を作っている所だった。
サンジ「待てよ、ここは緑を・・・。おぉ、一層美味そうだ!」
カワサキ「あ、ここの黄色い所は赤を入れたらいいと思うね~!」
あい「緑を集めて森をイメージ・・・なんてどうですか?」
全員の意見を出し合いつつ、料理は着実に出来てきていた。
数分後。
サンジ「よし、出来たぞ!それに二人も料理にこだわりが出てきたな。」
あい「あっ、そうですか?」
カワサキ「俺なんてまだまだ半人前ね~!そうだ、俺皿持って行くね~!」
そう言ってカワサキとあいは料理を運んでいった。だが。
サンジ「さて・・・料理が二品残っちまったな。まぁ、往復にもそんなにかからないしな。後から持っていくか。」
その時である。誰かがその二つの皿を両手に持った。それは学であった。
サンジ「お前・・・学?どうした?」
学「あ、サンジさん。いや、僕もお手伝いできる事はないかなぁって思いまして!」
学はサンジに対し、にこりと笑顔を浮かべた。
サンジ「そうか、悪いな。だがあんま無理はするなよ。」
学「ご心配ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。今日は元気です。」
そう言って学は料理を運んでいった。サンジは学から、どこか不安が消えているように感じた。

サンジ「さぁ、どんどん食えよ!」
シェイミ『サンジのご飯でしゅ!美味しいでしゅ!』
プチトマトにかじりつきながら、シェイミはテレパシーで喋る。
陽平「ところで学さ、体の方は大丈夫?昨日、あんなに電撃食らっただろ?」
すると、学は少し笑顔を浮かべた。
学「まだ背中と手は痛い・・・ね。電撃で傷が出来たんじゃないかと思う。」
チョッパー「傷が悪化したら大変だ!ちょっと薬塗ろう!」
学「あ・・・そっか。ごめんね。」
そう言ってチョッパーは学を向こうまで連れて行った。
フォックス「・・・学のやつ・・・初めて会った時と変わったな。」
モン太「そりゃあ、もう不安がねぇんだよ。」
フォックス「・・・デコの光り具合が。」
モン太「ッ、おいッ!!!それ禁句だぞ!?」
だが・・・誰も来ない。強いて言えば、向こうで学が「ハゲーン・・・」と呟いてショックを受けていた。
プリン「あら、暴走しない。だいぶ精神も安定してきたのね・・・。」
フランキー「てぇっと・・・どういう事だ?」
するとプリンは「ぷーっ!」と言った後、語った。
プリン「学はね、ここに来てからずっと不安だったのよ?仲間と引き離されて、知らない土地に飛ばされて・・・。そこで会ったあたし達に対して不安を覚えても、無理ないわね。
でも・・・それもどんどん明るくなってる。きっと不安とか、不信とか、消えてるのね。」
それは、誰もが分かりかけてきていた事だった。チョッパーの手当てを受ける学の顔が、どこか明るい。笑って話もしていた。
その時である。
クルル「く~っくっくっく。お前らにちょっと情報をくれてやる。」
ワリオ「あ!?何だ、テメェその態度h」
ギンタ&ルフィ「何だ何だ!?聞かせろ!!(完璧に同時)」
するとクルルはくっくっくと笑い、持っているパソコンの画面を見せた。そこには何かのデータが映し出されている。それに周りのみんなも釘付けになる。
清一郎「何や、コレは?剣みたいな形しとるわな。」
クルル「コイツはザキラが様々な兵器の動力のエネルギーとして使われてた剣だ。“機械遺跡”っつー所で見つけたモンで、ザキラはこれからある程度のエネルギーは貰ってたって話だぜぇ?くっくっく。」
レオルド「・・・ソレハ・・・“じぇねれいたー”デスカ?」
レオルドが突然言った。
ルフィ「じぇねれーたー?」
ブラック☆スター「ひゃっはー☆よく分からないがオレが持つにふさわしそうな名前だな!」
ナミ「こら、ブラック☆スター!お宝だったら渡さないからね!あたしの物だからねッ!」
ブラック☆スター「何だとぉ?!」
ナミとブラック☆スターが喧嘩を始める。それを椿が必死で止めていた。
リンク「何なんだ、それは?」
レオルド「ろれいらるノ技術デ造ラレタ剣ノ事デス。何故、ソレガココニ・・・。」
ギロロ「これは俺の予想だが・・・恐らくま・・・」
ギロロは学達“能力を持つ子供”の名を挙げようとしたが、仲間達をパニックにさせないためにも、黙った。その時である。
陽平「・・・僕とモン太、それに学にブラック☆スターの持ってる能力のせいで、“この世界”に流れてきた・・・って言いたいのか?」
ギロロ「!! お前・・・話して良かったのか!?」
ピーチ「あら?何のお話ですの?」
すると陽平はくくっと笑った。
陽平「だって黙っておく事でもないだろ?それに黙ってるって、僕は好きじゃない。それに3人だって、いつか話そうって言ってた。ちょうどいいタイミングだったよ。」
その話を聞き、ギロロは少しため息をつき、話を戻した。
ギロロ「・・・俺の考えていたのは、陽平の言った通りだ。4人の能力によって、お前の世界から流出してきたのだろう。それをザキラが見つけ、エネルギー源にしていた、と俺は考えている。」
ドロロ「それにしても・・・あれは剣だったのでござるか・・・。」
ドロロが呟いた。それにアルヴィスが反応する。
アルヴィス「どういう事だ?」
ドロロ「ザキラ殿の護衛として同行した時、それを見たのでござる。ただ、誰も使う気配はなかってでござる・・・。」
鬼太郎「そんな?武器が目の前にあるのに、なんでまた?」
ドロロ「恐らくはエネルギー源を手放さないためというのが有力でござるが、それ以前にあの剣には柄はあったものの、刃が付いていなかったでござる。」
ゾロ「おいおい・・・そりゃ剣って呼ばねぇだろ。」
するとレオルドが答えた。
レオルド「ソレハ当然デス。じぇねれいたーハえねるぎーヲ刃トスル、イワバ光ノ剣デス。ぷろてくとヲ解除セズニ使用スル事ハ不可能ナノデス。」
ドナルド「そうなんだ。でも、どうしてその剣が欲しいの?」
レオルド「じぇねれいたーデ切断出来ナイモノハマズ存在シマセン。入手出来レバ心強イ武器トナルハズ。」
キーボードクラッシャー「チート的な武器ってか・・・!!」
レノ「・・・恐らくそのプロテクトってのが外せなかったから、エネルギー源として使わざるを得なかったんだろうな?損な連中だぜ。」
マリオ「よしっ、じゃあそのジェネレイターを取りに向かおう。クルル、その機械遺跡はどこにあるんだい?」
するとクルルはパソコンを打ち出した。そしてまたくっくっくと笑う。
クルル「こっからまっすぐに東。そう遠くはねぇぜ。」
マリオ「じゃあみんな!出発しよう!」
そしてマリオ達は機械遺跡に向かう事となった。そんな中・・・。
鈴子「ジェネレイター、ですか・・・。それがもし手に入ったら、ヒデヨシ君、あなたが扱うべきですわ。」
ヒデヨシ「えっ?ぶっちゃけ何でオレなんだよ!?」
あい「だってホラ!レオルドとずっと一緒に居たのはヒデヨシなんだし!」
清一郎「せやな!貰うに越したことはないで!」
するとヒデヨシはうつむいた。
ヒデヨシ「オレは・・・いいよ・・・。」
植木「どうしてだ?もしかしたら、強くなれるかも・・・」
ヒデヨシ「だからいいんだよ。弱いオレが持ったところで、どうにもなんねぇ・・・。植木、佐野、鈴子。ぶっちゃけお前ら辺りが使うべきだ。」
鈴子「でも、ヒデヨシ君・・・!!」
ヒデヨシ「せっかくの強い武器を・・・ぶっちゃけ弱いオレなんかが使うなんて無駄だろ!!」
そう言うと、ヒデヨシは足早に歩いていった。

~機械遺跡~
ナナシ「うっひゃ~、ホンマに遺跡なんか疑問な所やなぁ、ここは・・・。」
清一郎「全くやなぁ・・・。」
ガノンドロフ「・・・レオルド、本当にここなのか?」
レオルド「ハイ。間違イアリマセン。」
遺跡・・・と呼んで良いのか悪いのか、大量の機械が詰まれた遺跡に、マリオ達は居た。
英孝「イケメンには似合わない所だなぁ~。ちゃちゃっと取って、とっとと出ようよ!何出るか分からないし。」
クリスタル「それは同感かも。それに何だか嫌な空気だわ・・・。」
スリッピー「クルル!ここの情報はないの?」
クルル「悪いが、そいつはねぇ。そのデータはザキラしか持ってねぇんだ。恐らく裏切ってそのデータを持ち出されないようにでもしたんだろ。」
探索するしかないと思われた瞬間、バケローのレーダーが光った。何かに反応しているようだ。
オタコン「? バケ、何か分かるのかい?」
バケロー「ああ!この前取り付けてくれたクォーツに似た反応だ。」
オタコン「よし・・・この反応に沿って行こう!」

バケローのレーダーを頼りに、マリオ達は遺跡の中を進んでいった。
ロビン「! ねぇ、もしかしてあれじゃないの?」
ついにそれは見つかったのだ。だが・・・周りが何か肉の塊のようなもので包まれている。
ロディ「こ、これは!?」
富竹「なんか肉の塊みたいで・・・グロテスクだなぁ・・・?」
ゼット「うげぇぇぇぇ!?」
プリン「キモッ!?見てるだけでもキモッ!?」
ブルック「これは・・・剣を守るための罠でしょうか?」
すると、目玉おやじが言った。
目玉おやじ「いや、それだけではないぞ!これがこの剣からエネルギーを吸い取っておるようじゃ!」
バッボ「う~む・・・どちらにせよ、この罠をどうにかせねば剣は手に入れられぬという事かの。」
ポポ「でも、簡単に取りに行けるかなぁ~?」
よしお「でも黙っててもどうにもなんねぇし、とっとと取りに行かね?」
清麿「待て、それじゃ簡単過ぎる・・・!きっと何かあるはずだ!」
全員がう~んと考える中、レオルドが一歩前に出た。
レオルド「私ガ、取リニ行キマショウ。」
ヒデヨシ「・・・!? レオルド?」
レオルド「機械デアル自分ナラバ、多少ノとらぶるニモ対応デキマス。オ任セ下サイ?」
ヒデヨシ「分かった・・・。でも、ぶっちゃけ無理すんなよ?」
レオルド「了解シマシタ。」
そうして、レオルドは一歩一歩ジェネレイターに近づいていった。そしてジェネレイターに手を掛けた時だ。
周りの肉の塊のようなものから触手のようなものが飛び出し、レオルドに突き刺さったのだ!!
レオルド「ッ!?」
ヒデヨシ「!? レオルドッ!?」
レオルドの異変に気付き、ヒデヨシはレオルドの元へ駆け寄ろうとした。
レオルド「近付クナ、ひでよしッ!?」
ヒデヨシ「・・・・・!?」
そして、レオルドは弱ったような声で言った。
レオルド「ドウヤラ・・・コノ生物ハ、アラユル物カラえねるぎーヲ奪ウラシイ・・・!近付ケバ・・・人間トテ、無事ニハ済マナイノデス!?」
ヒデヨシ「お前・・・っ!!」
レオルド「ひでよしサン、貴方ハコノ剣ヲ持ッテオ逃ゲ下サイ・・・!!」
ヒデヨシ「逃げるかよッ!?逃げる訳ねぇだろッ!!ぶっちゃけどうして逃げろなんて言うんだよっ!?」
レオルド「コイツハ・・・ッ、私ノえねるぎーヲ吸イ尽クスマデ、離レナイデショウ・・・。ココハ私ガココニ残り、皆サンノ無事ヲ確認シタ次第・・・自爆シマス・・・!!」
「!!?」
その言葉に、全員が息を呑んだ。レオルドは続ける。
レオルド「コレガ・・・最善ノ方法ナノデス・・・!ひでよしサン・・・今マデ、アリガトウゴザイマシタ・・・。サァ、奴ラガ私カラ離レナイウチニ・・・早クッ!?」
それを誰もが認めるはずがない。だが・・・。
ルフィ「ロビンッ!!レオルド外してくれ!!」
ルフィの言葉に従い、ロビンはハナハナの能力でレオルドの体から6本の腕を咲かせた。そして罠を引き剥がそうとするが・・・。
ロビン「ダメだわ、無理に引き剥がそうとしたら彼を傷付けてしまう!」
フランキー「クソッ、どうしろってんだ!?」
ゾロ「あの塊をブッた斬るってのはどうだ?」
ナミ「そしたらあのお宝が傷つくでしょうがっ!!」
サンジ「だがナミさん!今回ばっかりはそれどころじゃねぇぜ!?」
ウソップ「レオルドも傷つけらんねぇし、犠牲者は増やしたくねぇし・・・どうすりゃいんだぁぁぁぁ!?」

ギンタ「くっ・・・!!バッボ・バージョン1!ダガー・・・」
アラン「やめろ、ギンタ!!無理にやったら犠牲者が増えるだけだ!!ここはあいつの指示通りに・・・!!」
スノウ「ここから逃げるの!?ダメだよ、そんなの!!」
アルヴィス「だが、彼を助けようとして時間を喰っていたら、彼の思いを無駄にする事になるんだぞ!?」
ナナシ「けど見捨てるっちゅうんはいただけんやろ!!」
パノ「見捨てて後悔すんのはあたし達よ!?」
ドロシー「あいつはああ言ってんのよ?あいつの指示通りに逃げた方があいつのためよ!!」
ジャック「オイラは逃げない・・・逃げないッスよ!?」

フォックス「くっ・・・!!逃げるしかないのか!?」
誰もが、道は決定したと思った時だ。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」
誰かが飛び出していく。そしてレオルドにしがみ付いた。それはヒデヨシだった!!
レオルド「ひでよしッ!?離レテ下サイッ!!コノママデハ・・・貴方マデコイツノ餌食ニ・・・ッ!?ソレデハ、私ノ使命ガ・・・ッ!?貴方ヲ守ルトイウ、最優先命令ガ・・・!!」
レオルドの声に、ヒデヨシは大声で叫んだ。
ヒデヨシ「使命だの命令だの・・・ぶっちゃけんなモンどうだっていいだろッ!?レオルドッ!!オレはこんなの認めねぇぞ!?お前を犠牲にしてッ!“友達”を犠牲にしてッ!?こんな剣手に入ったところで・・・みんなが嬉しいわけねぇだろッ!!?」
レオルド「ひでよし・・・?」
ヒデヨシ「ぶっちゃけオレ・・・元の世界でも友達少なかったんだよ!?『嘘つきだから』『インチキだから』って・・・。オレはいつも、仲間や友達に飢えてた・・・!!ぶっちゃけ仲間とか、友達っていうのはな!?それだけでも価値があるモンなんだぞ、レオルドッ!?」
その時、別の触手がヒデヨシの背中に刺さった。
ヒデヨシ「ッ!! ぐあぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
レオルド「ひでよしサン!!離レテ下サイ!?」
激しい痛みを伴っているに違いない。だが、ヒデヨシは離れなかった。歯を食いしばり、レオルドにしがみ付いている。
ヒデヨシ「痛くも・・・かゆくもねぇよ・・・、こんなモン・・・ッ!!!」
その時、ヒデヨシの右手の指がジェネレイターに触れた。その途端、ジェネレイターが肉の塊のようなものの中で輝き始めたのだ!
レオルド「!? ぷろてくとヲ解除シテイナイじぇねれいたーガ・・・起動シタ・・・!?」
ヒデヨシはぐっと歯を食いしばり、右腕でジェネレイターを握った。そして左手も重ねてジェネレイターをしっかりと握って振り上げ、そして一気に振り下ろした。
ジェネレイターの刃の一閃が、肉の塊のようなものと触手を切り裂いた。そして・・・残ったのはヒデヨシとレオルド、そしてヒデヨシの手の中に刃の消えたジェネレイターがあった。
ネス「二人ともっ!!大丈夫!?」
ドクターマリオ「少し怪我を負ったようですね・・・。すぐに治療しましょう!」
オタコン「君の傷も直さなくちゃね、レオルド?スリッピー、手伝ってくれる?」
スリッピー「任せてよ、オタコン!」
仲間達が駆け寄る中・・・ヒデヨシは呟いた。
ヒデヨシ「レオルド・・・ぶっちゃけ助けられてよかったぜ・・・。」
レオルド「ひでよしサン・・・。」
そして、傷ついているはずの容態にも関わらず、ヒデヨシが叫んだ。
ヒデヨシ「自分が機械だからって・・・ぶっちゃけ無茶ばっかしやがって!?お前は満足でも、オレ達はどうしろってんだよ!?悲しみを背負ってけっていうのか!?ぶっちゃけ二度と自爆するなんて言うなよッ!?そんな事言った時は・・・オレは・・・!!」
レオルド「分カリマシタ・・・。ゴメンナサイ、ひでよし・・・。」
すると、ウルフがレオルドを横目で見ながら言った。
ウルフ「死んだお前がどう思うかは俺は知らねぇが、その道を選んだところで・・・良かったと思う野郎は誰も居なかったろうな。」
レオルド「・・・スミマセン・・・。」
ザキラのデータを元に、機械遺跡でジェネレイターを手に入れたマリオ達。
だが、手に入ったのは、ジェネレイターだけでなく、ヒデヨシとレオルドの絆もあるかも知れない・・・。

起こった事:マリオ一行、機械遺跡にてジェネレイターを入手。

第42話 一度きりの奇跡

アイク「まさか・・・あのような強力な剣が、あんな遺跡に隠されていたとはな・・・。」
ロイ「それはそうだね。これをエネルギーとして使っていたんだから、もしかしたら相手も十分な力を得てるかも知れない。」
鈴木「でも、さっきの罠は取ったから、これ以上の強化はできないと思うぞ。多分。」
ジェネレイターの話で盛り上がる中、ヒデヨシは少し大きい岩に腰掛け、柄だけになったジェネレイターを見つめていた。
ヒデヨシ「オレ・・・こいつに何もしてねぇのに・・・こいつ・・・刃を出したよな・・・?」
あの時の事は、ヒデヨシ自身にとっても不思議だった。彼は何もしてない。にも関わらず、刃が出たのである。そこにヨッシーとタママ、そしてレオルドが現れた。先にヒデヨシに飛びついたのはヨッシー。
ヨッシー「ヒデヨシ、ヒデヨシ!!ジェネレイター貸~し~て!」
ヒデヨシ「??? いいぞ?」
ヒデヨシはヨッシーに柄だけのジェネレイターを渡す。そしてヨッシーは両手で握った。
ヨッシー「いっくよ~・・・。そーれぇぇぇぇッ!!」
ヨッシーは思いっきりジェネレイターを振った。ところが・・・刃は全く出てこない。
タママ「刃が出てこないですかぁ~?ボクがやるですぅ~~~!」
そう言ってタママはヨッシーからジェネレイターを受け取り、振った。だがやはり刃は出てこない。
レオルド「刃ガ出テコナイノハ仕方ガナイデショウ・・・。じぇねれいたーハぷろてくとガカカッタママデス。」
タママ「でもヨシ君は使えたですぅ~?プロテクト解除なんて出来たんですかぁ~?」
ヒデヨシ「(ヨシ君?)いや、ぶっちゃけオレは何もしてねぇよ。ただ・・・触ったらいきなり刃が出たんだ。」
レオルド「ぷろてくとヲ解除セズシテ使用ハ出来ナイハズ・・・。」
ヨッシー「ビームソードの事例もあるって言うし、なんか武器がヒデヨシを気に入ってるってゆーか、そんな気がする~。」
ヒデヨシ「おい、バカ言うなって!ぶっちゃけ“モノ”が意思なんて・・・。」
その時、ふとヒデヨシの目にレオルドの姿が映った。するとヒデヨシはふっと笑った。
ヒデヨシ「・・・意思を持ってる可能性は、あるかもな。」
そう言うと、ヒデヨシは立ち上がった。
ヒデヨシ「さて、ぶっちゃけそろそろメシみてぇだな。戻るぜ!」
レオルド「ソウデスネ・・・。急イデ戻リマショウ。」
ヨッシー「おっけ~!」
タママ「あーっ!置いて行かないでですぅ~っ!!」
そんな中、レオルドは小さな声でヒデヨシに言った。
レオルド「助ケテ頂キ・・・アリガトウゴザイマシタ。」
ヒデヨシ「・・・礼には及ばねぇよ。オレは・・・お前を犠牲にしたくなかっただけだぜ。ぶっちゃけな。」
そして、改めて二人が戻ろうとした時である。

「何なのよ、アンタ!?わッ!?」

マリオ達の居る方から、声が聞こえる。ドロシーの声のようだ。
田中「ん?何かあった?」
ロイ「今の声からして・・・敵じゃないか?急いで戻ろう!!」
ロイ達が急いで駆け出す。それを見て、ヒデヨシ達も急いでマリオ達の元へと向かった。

アイク「どうした?何があった?」
マリオ「そ、それが・・・!!」
アイク達とヒデヨシ達は、ほぼ同時に駆けつけた。だが現状は思わしくないようだ。かなり苦戦しているらしい。
タママ「どうしたんですかぁ~?」
タママが駆け出した。それと同時にアイク達、ヒデヨシ達も駆け出す。その時である。
駆けつけて来た彼らがいきなり地面に叩きつけられた。だが、それだけではないらしい。
ロイ「!? なんだっ・・・!?体が・・・重い・・・ッ!!」
ヨッシー「立てない立てない立てないって!?」

「ふふっ・・・ボクの美しい奇襲攻撃からは逃れられなかったようだね?」

その時、何者かが地中から姿を現した。その姿を見た途端、ヒデヨシの形相が怒りの形相に変わった。
ヒデヨシ「!! てめぇ・・・ニコッ!?」
清一郎「な、なんや?知り合いなんか?」
鈴子「という事は、彼も能力者!?」
するとニコと呼ばれた少年は髪を手でかき上げ、そして言った。
ニコ「こんな所で会うとは・・・奇遇だね、ヒデヨシ!だけどボクには勝てないよ?ボクだって力を得たからね?」
あい「どういう事・・・?っていうか、アンタが居るんだったらカプーショって奴らも居るんじゃないの?」
するとニコはふふっと笑って言った。
ニコ「それは推測してご覧よ?ま、それを推測できた所で、別に何も変わらないからね。」
そう言うと、ニコはまた自分の髪をかき上げた。すると・・・彼の髪はドリルに変わったのだ!!
野久保「気をつけて!彼は自分の髪をドリルに変えられるんだ!!」
植木「それは知ってる!!潜らせなきゃいいだけだ・・・!」
ニコ「それはどうかな?」
ニコはにやりと笑った。ニコは大きく飛び上がり、そして地面に潜り込んだのだ。
ギロロ「おのれっ!また潜りおったか!」
アイク「気にするな!隙は見えるはず・・・!!」
だが、その次の瞬間である。ニコを倒しに向かったアイク達が、地面に伏した。
アイク「ッ・・・!?体が・・・動かない・・・だと・・・ッ!?」
そこにニコが飛び出してくる。そこにシェイミが飛び出し、エナジーボールをアイクに向かって放った。吹き飛ばされる形で、アイクは間一髪ドリルを避けた。
シェイミ『ミーに感謝するでしゅ!』
アイク「手荒だが・・・まぁいい。」
ニコは地面に着地した。そして再び髪をかき上げる。
ニコ「よくかわしたね。でも今のは仲間の力によってかわせただけであって、もしその子が居なかったら君は間違いなくボクの美しい攻撃を受けていただろうね?」
ニコの自信満々の顔と、先程の攻撃を見て、植木は思った。
植木「(コイツ・・・前戦った時より強くなってる・・・!!前はオレでも簡単にあしらえたけど、今はそうじゃない・・・!まさかコイツもレベル2に・・・!?でも、だとしたら何なんだ・・・!?アイツのレベル2は!?)」
その時である。ヒデヨシが一歩前に出た。
鈴子「・・・!? ヒデヨシ君ッ!?」
ヒデヨシはごくりと唾を飲んだ。そしてニコに対して言った。
ヒデヨシ「お前は・・・いや、ぶっちゃけお前達のチームは・・・カプーショは、自分の能力とオレの能力を組み合わせて最強にしようとしてたんだよな?」
ニコ「ん?あぁ、そうだね。」
ヒデヨシ「もしここでオレがお前達の仲間になると言ったら・・・コイツらを見逃してくれるか!?」
「!!?」
その言葉は、信じがたいものであった。だが、ヒデヨシも苦渋の決断をしていた。
ヒデヨシ「(ぶっちゃけすまねぇ、みんな・・・!!だけど、コイツは間違いなく強くなってる!!能力の攻略する前に誰かがやられっちまったら・・・どうしようもねぇ!!
植木・・・、森・・・、佐野・・・、鈴子・・・。悪かったな。仲間は新しい奴を探してくれ・・・。)」
そしてヒデヨシはニコに向かって叫んだ。
ヒデヨシ「さぁッ!!連れてけよ!?」
するとニコはにこりと笑った(ギャグのつもりは毛頭ないよ)。そしてヒデヨシに向かって言った。

ニコ「お断りだよ。」

ヒデヨシ「!!? お前・・・ッ!!お前のチームはオレの能力が必要なんじゃねぇのか!?」
ニコ「あぁ、必要だったよ。昔はね。だけどもう今は必要なくなったんだ。君よりもっと強い人が見つかったからね。」
ヒデヨシ「!? 何だと・・・!?」
ニコ「だから・・・ボクがここで君達を消す事に変わりは無いんだよ!!
そう叫ぶとニコの髪がドリルに変わった。ヒデヨシに突っ込んでくる。ヒデヨシはとっさに伏せてそれを避けた。
ヒデヨシ「んにゃろぉ・・・!!!」
ヒデヨシはジェネレイターを構えた。ジェネレイターから刃が飛び出す。
ニコ「おや、それが噂に聞いたジェネレイターだね。だけどボクが地面に潜りさえすれば、それも無力!」
ニコは地面へと潜り込んだ。そしてニコの元へと走っていたヒデヨシが走るのをやめた途端・・・。
ヒデヨシ「!!(また・・・体が・・・!!)」
再びヒデヨシの体は地面に押し付けられたように重くなった。だが・・・ヒデヨシはふと気が付いた。
ヒデヨシ「(待てよ・・・?あいつが仮に重力をコントロール出来るようになってるとすれば、どうしてわざわざ潜る必要があるんだ?それに、オレがアイツの所に走っていっていた時は、重力なんて感じなかった。まさか・・・!?)」
その時、ニコが地中から飛び出してきた。ヒデヨシはジェネレイターをぐっと力を入れて持ち直した。そして立ち上がり、ニコ目がけて振りかざした。
ニコ「おっと・・・危ない!」
ニコは地中に潜ってそれをかわした。そして地中の中でニコはにやりと笑った。
ニコ「(君がどんな強い武器を手に入れたとしても、ボクのレベル2の前では無力なんだよ・・・。次でとどめだ!美しい髪をドリルに変える能力・レベル2!!)」
そしてニコは地中から飛び出した。その時、ニコの顔面目がけて・・・何かが飛んできた。斬撃である。
ニコ「!!?」
ニコはとっさに避けた。だがそこに飛んできたのは・・・電撃を帯びた鉄球だ!!
パノ「ボールハンマー+ハサハの召雷・・・、受けたらひとたまりもないわよッ!!」
さすがにそれは避けられず、ニコはその一撃をまともに受けた。だがフィギュア化はしていない。
ニコ「ふふっ・・・。まさかレベル2を受けなかったとはね・・・。攻略が出来たのかい?」
ヒデヨシ「ああ、おかげさまでな!
ぶっちゃけお前のレベル2が重力のコントロールだって事は、食らってみて分かったぜ。だが問題はそれを相手に与える時だ。お前に突っ込んでった時に、そいつも分かった。お前は“自分が地中に潜っていて”、なおかつ“相手が両足を地面に付いている”状態でなきゃ重力をコントロール出来ねぇんだ!もう食らわねぇ!」
するとニコはふふふと笑った。
ニコ「よく分かったね・・・。だけどそのレベル2は、あくまでも応用した力に過ぎない。本当の恐ろしさはこれからだよ・・・!!」
ニコが髪をかき上げる。そしてドリルに変わった。ヒデヨシはジェネレイターを構え、パノもボールハンマーを構えた。その時である。
『ニコ、戻って来い。』
突然ニコの持っていた通信機から声が聞こえた。
ニコ「? あれ、通信かな?その声は“頭脳(ブレーン)”の幹部さん?」
『ああ、そうだ。まぁそれはいい。本題に入る。ザキラ様が戻って来いと言っている。早急に帰って来い。』
ニコ「え?今戦ってる所なんだよ?それに能力者を連れて帰らなきゃダメなんでしょ?それなのに・・・。」
『理由はザキラ様が直々に話される。戻って来い。』
その後、通信は切れた。ニコはマリオ達を見て言った。
ニコ「運が良かったね、君達!ボクは命令で帰らなくちゃならない。だけど次来る時は、絶対に彼らはいただくよ!」
そう言うと、ニコは青っぽい石を地面に投げつけた。そして・・・その姿を消した。
清一郎「逃げてったわな・・・。」
フォックス「だが・・・あいつの通信で、さっき“ザキラ様”って・・・?」
サムス「恐らく、あの子供もザキラの支配下。だけど、何のために・・・?」
ミュウツー「・・・敵の事が少し分かっただけでも収穫だろう。我々は急いで奴を止めねば。」
ナナシ「せやな。アイツの好きにさせてしもうたらマズイわな。」
そして一行が再び戻ろうとした時である。
ゼット「・・・ん?何だ、こりゃ?」
ニコが消えた辺りの所で、黒い羽根があった。ゼットはそれを拾い上げた。その時である。
突然羽根から黒いオーラのようなものが飛び出し、ゼットに向かって行った。
ゼット「なななーーーーッ!?」
「危ないッ!!?」
それを庇ったのは、ジャックだった。オーラは向きを変えず、そのままジャックに向かっていく。そして当たるか当たらないかの時であった。

ジャック「・・・!!?」
ジャックの前で、誰かが倒れた。それは・・・パノだった。
レノ「姉ちゃん!!?」
ハサハ「おねえちゃん・・・!!」
ジャック「パノさぁぁぁぁぁぁんッ!!!」
ジャックがパノを起こす。だが、パノは眠ったように動かない。
レノ「姉ちゃんは・・・!?なぁ、姉ちゃんはどうなったんだ!?」
即座にドクターマリオが駆け寄り、脈を計った。
ドクターマリオ「生きては・・・いるようです。ですが・・・全く起きる気配がありません・・・。」
その時である。
パノ「が、ぐ・・・が・・・っ!ぐる、るるる・・・があ・・・ッ!!!」
倒れたパノが、突然苦しみ始めた。うめき声がどこかおかしい。
椿「!! いけない・・・!!あの黒い羽根の力・・・すごく禍々しい力・・・!!このままじゃ、パノちゃんは妖怪に変えられてしまう!!」
ジャック「・・・・・!?」
レノ「な・・・何だと!?」
ハサハ「おねえちゃんっ!!しっかりしてぇぇぇぇぇっ!?」
その声は、パノには届いていた。だが・・・体がまったく動かない。
パノ「(みんな・・・ダメ、意識が・・・遠くなって・・・。)」

「起きなさい。」
何者かの声がした。パノは目を覚ます。何も無かった。真っ黒な空間が広がっているだけだった。
パノ「・・・? どこなの、ここ・・・?暗くて・・・何も見えない・・・?」
「アンタの心の中よ、ここは・・・。」
パノ「!? 誰!?」
パノは後ろを振り返る。だが、そこには誰も居ない。だが声は聞こえた。
「ここはアンタの心の中の、最も深い所・・・。アンタが忘れようとした、もしくは忘れたつもりになってるどす黒い衝動が積もった場所よ・・・。くすくす・・・。」
その途端、パノの体に何かがまとわり付いた。どす黒い塊か何かのようである。
パノ「この・・・体にまとわり付いてくるドロドロしたのが・・・あたしの心に溜まってる、どす黒い衝動だって言うの!?そんな・・・!!冗談はやめなさいよ!?あたしの中にこんな感情、あるわけない!!アンタがあたしに何か仕掛けるために仕組んだんでしょ!?」
「くすくすっ・・・。残念だけど、それはないわ。あたしはずっとここで生きてるの。アンタの心を、ずーっと見てきたわ。」
パノ「ふざけんじゃないわよ!!あたしの心を見てきた、ですって!?よくそんな嘘つけるわね!?」
「嘘じゃないわ。だってあたしは・・・
あなたなんだもの。」
闇の中からゆっくりとパノに歩み寄り、現れたのは紛れも無く彼女自身であった。
パノ「!? あ・・・あたし!?」
「わざわざこんな所に潜ってくるなんて、よっぽど辛くなったのかしら?別にいいけどね、それでも。アンタはこのまま闇に取り付かれて妖怪になるのか、それとも狂って死んじゃうのか・・・。どっちにしてもあたしは見てて楽しいけどね?アーッハッハッハ!!」
その途端、パノの目の前に、もっと強烈な闇が迫った。
パノ「い、いやぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

その頃、マリオ達は・・・。
ブラック☆スター「くっ・・・、椿!忍者刀になれ!」
クリスタル「!? 待って、何をするつもり!?」
ブラック☆スター「周りの黒いオーラを振り払う!!ここで黙ってるよりはマシだろ!?」
椿「ダメよ、ブラック☆スター!!下手に手を付けたら、彼女の精神まで傷つくの!そうなったら、責任持てないでしょ!?ずっと悲しみを背負っていく事になるんだよ!?」
ブラック☆スター「じゃあここで黙って見てろって言うのかッ!?」
ロディ「ちょっとみんな・・・!もっと落ち着いて!?」
学「ッ・・・!!(僕は・・・こんな時に仲間一人救えないのか!?)」
レノ「嫌だ・・・!そんなの嫌だよ、姉ちゃん・・・ッ!!」
ハサハ「・・・・・。」
そんな中・・・ハサハはその様子を見ながら、持っている宝珠をぎゅっと強く抱いた。

そして、パノは・・・。
パノ「・・・そうだった・・・。あたしは、子供の時からずっと『弱虫』っていじめられてて・・・。だからチェスの兵隊(コマ)に入った・・・。いつかあいつらを見返してやろうって思ってた・・・。殺したいって・・・思ってた・・・。どうして・・・忘れてたんだろ・・・?」
「怖かったんでしょ?」
その言葉に、パノは首を縦に振った。
パノ「そう・・・怖かった・・・。自分の中に芽生えた殺意が、すごく怖かった・・・。でも、その時だけじゃない・・・。あたしはいつも心の底で思ってた。憎い、恨めしい、うらやましい・・・。そんな気持ちを持った自分が嫌だったから、心の底に押し込めたの・・・。」
「ここに誘い込んだのは、あたしかも知れない。でもね、この衝動はアンタのモンよ?」
パノ「そうね・・・。あーあ、あたしの心って、こんなにも汚れた物だったんだ?
もういいや、楽になりたい・・・。何も・・・見たくない・・・。何にも・・・。」
その様子を見て、黒いパノはにやりと笑った。その時である。

『それは・・・ちがうよ・・・?』

パノ「・・・ハサハ?」
それは、ハサハの声だった。その途端、暗闇の中に光が差した。
『きたないものだけじゃないんだよ・・・?きれいなものも・・・あったよね・・・?』
「!? 何なの、この声は・・・!?この光は・・・ッ!?」
パノ「・・・ハサハ、なの・・・?」
『心をとざさないで・・・!!うつむかずに・・・みつめて?おねえ、ちゃん・・・。
おねえちゃんっ!!』
光は、一層強くなった。

ソニック「Oh!?何だ!?何が起こったってんだ!?」
スノウ「すごい魔力・・・これ、もしかして!?」
その強い魔力を放っていたのは、ハサハの持つ宝珠だった。
ハサハ「みんな・・・もう、泣かないで?」
椿「ハサハちゃん・・・、あなた・・・?」
ゼルダ「この魔力は・・・ハサハさん、あなたのその宝珠のものなんですか!?」
ハサハはこくんとうなずいた後、宝珠をぎゅっと抱き締めた。
ハサハ「ハサハ・・・おねえちゃんのこと・・・守ってみせるよ!!」
そして、まばゆい光はハサハを包んだ。
学「!? こ、これは・・・!?」
陽平「ハサハの身体が・・・大人に・・・変わっていく・・・!?」
そして光はゆっくりと収まり、大人の姿に変わったハサハが光の中から現れた。
ハサハ「・・・宝珠の力を借りたの。ハサハが人間になるために集めていた魔力を使って・・・。
パノお姉ちゃんの心を、ハサハが救ってみせるよ!」
そして、ハサハの抱いている宝珠が光り輝いた。ハサハの姿は消えた。
モン太「あいつ・・・!まさか、本当にパノの心の中に!?」
ロビン「分からないけど、きっとそうだと思うわ。彼女を信じましょう。」
ジャック「・・・・・。」
ジャックは無言で、倒れたパノの姿をじっと見つめていた。

ハサハ「パノお姉ちゃん・・・帰ろう?ハサハと一緒に・・・みんなの所に帰ろうよ?」
パノ「・・・うん・・・。」
「あたしの楽しみの邪魔をするつもり!?妖怪の分際でッ!!」
その言葉に、ハサハは答えた。
ハサハ「パノお姉ちゃんの心を、貴方のような人に支配させたりしない・・・!パノお姉ちゃんは・・・ハサハが守るんだもの!!」
「ふふっ・・・じゃああたしを追い出す、とでも言うの?パノはあたし。あたしはパノ。私を傷付ければ、パノの心も傷つくわよ?」
ハサハ「これ以上・・・お姉ちゃんの心は傷付けさせない!!」
パノの心の中で、二人の魔力がぶつかり合った。

アラン「おい・・・遅すぎやしねぇか?」
椿「強烈な戦いは出来ないんです。もし彼女の心を傷付けるような事になってしまったら、逆効果になってしまうんです。だから・・・ハサハちゃんも、きっと・・・。」
ジャック「・・・・・ッ!!」
ジャックはパノに駆け寄った。そして叫んだ。
ジャック「パノさんっ!!負けちゃダメッスよ!?自分自身に勝つんッスよ!?オイラ・・・オイラ、きっと迎えに行くからッ!!
その時・・・ジャックの体が光に包まれた。
ギンタ「!? ジャック・・・!?ジャックっ!!」
だが、光が消えた時、そこにジャックの姿は無かった。

そして・・・パノの心の中では・・・。
「ふんっ、なんて情けないの?結局アンタはパノの心を傷付けない事で精一杯。あたしと互角にやりあう事すら出来ない・・・。」
状況は思わしくなかった。ハサハはパノの心を庇いながら戦っている。だが相手はそういう考えを持たない。フルパワーで向かってくる相手に、ハサハは対処しきれなかったのだ。
ハサハ「ダメ・・・これ以上、お姉ちゃんの心は・・・!!」
「傷付けさせない、とでも言いたいの?でもね、庇い続けてもフルパワーは出せない。あたしはフルパワーを出して戦ってる。アンタに勝ち目なんざないの。魔力が尽きる前に、とっとと帰ったら?」
ハサハ「逃げない・・・。ハサハは逃げないよッ!!」
パノ「やめて・・・もうやめて、ハサハ!これ以上戦って、もしアンタに何かあったら・・・!!」
その時である。

『パノさんっ!!負けちゃダメッスよ!?自分自身に勝つんッスよ!?オイラ・・・オイラ、きっと迎えに行くからッ!!

ジャックの声が響いた。そして・・・その時一筋の光が暗闇の中に差し込んだ。そこに・・・まるで眠ったように目を閉じたジャックが現れたのだ。
パノ「ジャック君・・・!?」
ハサハ「ジャックお兄ちゃん・・・?」
その時、ジャックはふと目を開けた。
ジャック「・・・? オイラは・・・一体?ここが・・・パノさんの・・・心?」
「お友達でも来たわけ?でもどうなろうと一緒よ。パノはここであたしに好き放題遊ばれる運命なのよ。」
その言葉を聞いた途端、ジャックの形相は変わった。
ジャック「パノさんはオモチャなんかじゃない・・・!!お前なんかに・・・お前なんかに・・・!!パノさんの心を壊させてなるモンかぁぁぁぁぁぁぁッ!!
ジャックから凄まじい魔力が溢れ出た。黒いパノはとっさに目を瞑った。
「!? 何なの・・・この凄まじい魔力・・・!?立っていられない・・・!!」
ジャック「あなたは・・・あなたはパノさんなんだろ?姿や性格が違っても・・・パノさんなんだろ?だったら・・・どうして・・・どうしてパノさんを傷付けるんだぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
ジャックの魔力はますます力強く、大きくなっていく。黒いパノは足を地面に着いた。
「あたしは・・・そう、パノよ・・・。パノ自身の暗い部分・・・。だけど、人は明るい部分だけ見て、暗い部分を捨てようとする・・・。だから、寂しかった・・・。あたしを無視し続けたパノを、いっその事こらしめてやろうと・・・。」
ジャック「確かに・・・人間は光ばかり見続ける。闇なんて見ようとしないかも知れない。でも、人はどちらも持ってこその人間なんだ。一方だけで支配するのは・・・おかしいと思う。」
すると黒いパノは目に涙を浮かべながら笑って言った。
「・・・今回は負けたわ。でもね、もしまた同じような事があったら・・・あたしは同じ事をする。」
そう言い残し、暗闇の中に姿を消した。

そして・・・暗闇の中には、宝珠から溢れ出るささやかな光が輝いていた。
パノ「あったかい・・・。ねぇ、ハサハ・・・?このあったかい光は、ハサハの宝珠のものなの?」
するとハサハは首を横に振った。
ハサハ「違うよ・・・。これは、パノお姉ちゃんの持ってる光だよ?」
パノ「あたしの・・・光・・・?これが・・・?」
ハサハはこくんとうなずいた。
ハサハ「パノお姉ちゃんの心は、強い光に溢れているの。だけど、光の下に影は出来るから・・・同じくらいの闇を、パノお姉ちゃんは持ってるの。だけどそれは誰もが同じだから、それは仕方の無い事なの。
でもね・・・闇も光もね、それだけを見つめてはダメなの・・・。大切なのはね、お姉ちゃん・・・。何もかも含めて、全部まるごと好きでいる事なんだよ?」
パノ「ハサハ・・・。」
そして、ハサハはふっと笑顔を浮かべた。
ハサハ「だから、もう・・・自分を嫌いになったらイヤだよ?ハサハ、泣いちゃうよ?」
するとパノもふっと笑った。
パノ「分かったわ、ハサハ。約束するわね。」
その言葉を聞くと、ハサハはこくんとうなずき、そして光に包まれ、消えていった。その時、ジャックの体はすぅーっと消え始めたのだ。
ジャック「・・・もう、時間、ないみたいッスね・・・。」
パノ「ジャック君・・・どうやってここに・・・?」
ジャック「分からない。でも、祈り続けていたら・・・助けたいって思い続けていたら・・・ここに居たッス。」
そう答えるジャックは、穏やかな笑顔を浮かべていた。
ジャック「パノさん・・・パノさんは、強い人だから・・・オイラ、安心してる。でも、人は何でも出来る訳じゃないって事は分かってると思うッス。だから・・・もし辛い事があったら・・・言ってほしいッス。オイラだけじゃない。みんな、相談乗ってくれるッスよ?それに・・・。」
その途端ジャックは一瞬考えた。だが、体はゆっくりと消えていく。
ジャックは意を決したような顔をして、パノに言った。
ジャック「もしパノさんに何かあったら、その時は絶対にオイラが助けるッス。だって・・・オイラは、パノさんを・・・守りたいから!!
その言葉を最後に、ジャックの姿は消えた。そしてパノの意識は、ゆっくりと戻ってきた。

そして、パノは意識を取り戻した。その傍らでは元の姿に戻ったハサハと、ジャックが倒れたように眠っていた。
ルイージ「パノさん・・・!良かった、無事だったんだね?」
パノ「・・・? あたしは・・・?」
アルヴィス「一種の呪いのようなものに取り憑かれていた。」
アルヴィスが言うと、パノは倒れている二人を見た。そして全てを悟った。
パノ「そっか・・・。じゃあ、あれは夢じゃなかったのね・・・。」
カービィ「二人がすっごい頑張ってくれたんだよ?だからこうしてまた話せるんだよねッ!!」
その時、目玉おやじがパノに言い聞かせた。
目玉おやじ「変化(へんげ)と呼ばれる力を使う妖怪の大半は、一度妖力・・・お主らでいう魔力を全て失ってしまうと、二度と化けられなくなってしまうんじゃ。そしてただの動物に戻ってしまう事が多いんじゃよ。」
それに椿は続いた。
椿「それに・・・ジャック君のした事も、命を捨てるような物なの。人の心に侵入するのは、容易じゃない。それにもし原因を突き止められなかったり、むしろ人の心を傷付け過ぎたら、心から出られなくなってしまう。その上侵入した人の心が入った人の心と融合して二重人格みたいになってしまったり、入った人が消えてしまう事もあるの・・・。」
パノ「え・・・。じゃあ、二人は・・・?」
ドロロ「それだけの覚悟で、二方はパノ殿を救おうとしたのでござる。大した心意気でござる・・・。」
パノ「そっか・・・。ありがとね、ハサハ・・・。ジャック君・・・。」
パノはふっと笑顔を見せた。

「パノ・・・さ・・・大好きッ・・・スよ・・・。」
「おね・・・ちゃ・・・だいすき・・・だよ・・・。」

二人は小さな寝言を呟いた。

~ザキラ軍・基地~
ニコ「ザキラ様?どうしてボクを呼び戻したりしたんです?連中だって捕まえられたかも知れないのに。」
するとザキラはくくくと笑った。
ザキラ「では一つ聞こう、ニコ君。君がイチゴを育てたとしよう。その時、まだ熟していない青いイチゴを・・・食べたいと思うかね?」
ニコ「いや、それはないですね。赤い熟したイチゴの方が食べられるのは常識ですし。」
ザキラ「それと同じなのだよ。彼らを利用するには、まだ早い。熟した頃に・・・使うのだよ。」
ニコ「へぇ?ところで、リーダーやみんなはどこ行ったんですか?」
ザキラ「君のように、待ち伏せの箇所へ行ったよ。まあ・・・報告を待とうではないか・・・。」
そう言ってザキラはにやりと笑った。

起こった事:マリオ一行、ニコの奇襲に遭遇。しかし撃退。
パノが闇の術のようなものにかかるものの、ハサハとジャックの活躍により無事救出。

第43話 裏切りと償いと解放と

ハサハ「う・・・ん・・・。」
ハサハはゆっくりと目を覚ました。まずその眼中に飛び込んできたのは、青い空。そして起き上がると、目の前にはパノが居た。
パノ「・・・あら、ハサハ?起きたのね。」
ハサハ「おねえちゃん・・・だいじょうぶ?」
パノ「お陰様で・・・ね。ジャック君は、まだ眠ってるみたいだけど・・・。」
パノは左を向いた。その目線の先には、眠ったままのジャックが居た。
ハサハ「・・・ハサハだけじゃ、パノおねえちゃんのこと、たすけられなかったよ?ジャックおにいちゃんが来てくれたから、たすけられたの・・・。ハサハのちからだけじゃないよ。」
パノ「そうね・・・。二人とも、ありがと。」
そう言ってパノはにこりと笑った。その時である。

「おい、ニンゲンっ!!それをよこしやがれぇぇぇぇっ!!」

誰かの騒ぐ声が聞こえる。それはバルレルであった。右手でその顔を押さえつけているのは陽平。左手に酒が入っていると思われる、透明な深緑色のビンがあった。
バルレル「おいッ!よこせっつってんだよッ!!」
陽平「ヤダよ!飲ませたら僕が飲ませたって事になる上にお前が酔い潰れたりしたら誰か来た時マズイだろ!」
バルレル「うるせぇ、よこせっ!サプレスにゃ酒がねぇから飲みてぇっつってんだよッ!!」
陽平「絶対飲ませるもんか!!飲ませないぞ、僕は!!」
陽平は腕を上に伸ばしてビンを守る。バルレルも身長が低いのに、つま先立ちして腕を伸ばす。でも、届くはずがない。
バルレル「んニャロぉ・・・!!フザけんな!!
陽平「ごふっ!?」
バルレルが陽平の腹に思いっきり蹴りを入れた!陽平がよろめく。ただ、ビンは放さない。
バルレル「ちッ、しぶてぇ野郎だ・・・!!とっとと放しやがれッ!!」
陽平はちらっと左を見た。モン太が居る。
陽平「モン太、パースっ!!」
そう叫んで、右手のビンを思いっきり放った。名前を呼ばれたモン太は右を向いた。ビンが飛んでくる。
モン太「!! キャッチマぁーーーーックスっ!!
モン太はアメフトの時の反射神経が出たのか、大ジャンプし、空中でビンをキャッチした。そして胸の所に抱え、そのまま前に数回転した後、着地した。右腕にビンを抱え、左手の人差し指で天を指差す。
モン太「・・・って、一体なんだよ!?」

「猿ッ!!それをよこしやがれぇぇぇぇぇぇッ!!」

モン太目がけて誰かがジャンプしてくる。バルレルだ。
モン太「いいぃっ!?ブラック☆スター!!どうにかしてくれーッ!!」
隣に居たブラック☆スター目がけてモン太はビンを投げる。だが・・・それは全くもって別の方向へ飛んでいった。草陰へと落ちる。
ブラック☆スター「・・・名前呼んどいてどこ投げてるんだよッ!!
モン太「むぎゃあーーーーッ!!悪ぃっ!!」
バルレル「へへっ!酒は貰ったぜえぇぇぇぇぇ!!」
バルレルは草陰へ飛び込んだ。
だが・・・酒の入ったビンはどこにも無かった。
バルレル「!? ね・・・ねぇ・・・!!どこにもねぇ・・・!?」
椿「あの・・・言うのもあれだけど・・・割れちゃったんじゃない?」
その言葉に、バルレルは反発した。
バルレル「バカ言うんじゃねぇ!それだったら割れる音とかすっだろ!ちっくしょ~・・・!どういう事だッ!?」
「・・・何してんだ、こんなトコで?」
上から声がする。バルレルは顔を上げた。それはレノだった。しかも・・・その手には先程の酒が!!
バルレル「なッ!?てめぇ、いつの間に盗りやがったな!?」
レノ「盗るも何も、これは俺んトコに降ってきたんだよ!俺が貰う。」
その途端、バルレルはレノに飛び掛かった。
バルレル「この酒はオレのモンだぁぁぁぁぁぁッ!!」
レノ「俺んトコに降ってきたんだから俺のモンだぁぁぁぁっ!!」
二人がケンカを始める。誰も止めに入れない、そんな状況になりかけた時である。
「・・・何やってるの?」
二人の後ろから声がする。その場に居た全員が一斉にそちらを向く。それは学であった。その手には酒が!!
それを見た二人は奪い取ろうと考えた。だが、仲間に手はかけられない。レノは学の前に出た。
レノ「あ~、学?出来ればそれ貸してくれねぇか?ちょっと料理に使おうと・・・。」
するとバルレルがレノの前に出た。
バルレル「ニンゲン、そいつをよこしてくれりゃあお前に一生ついてくぜ?」
するとレノは鼻で笑った。
レノ「お前みたいな悪魔についてこられた日にゃ、学は不幸になるだろうなー?」
バルレル「てめーみてぇな仮面つけた変質者よかマシだっつーの?」
レノ「んだとォ!?」
バルレル「んだよ!?」
二人が睨み合う。すると学はため息をつき、そのままルフィ達の元へ歩いていった。
レノ「!? どこ行くんだよ、学?」
バルレル「おいっ!それくれるだけでもいいんだぜ!?」
すると学はくるりと振り返って、言い放った。
学「そう言って僕から騙し取って、隠れて飲むつもりだろう?ダメだよ、二人ともまだ20歳以下なんだから。“お酒は二十歳になってから”・・・ってね。
それにこのお酒、ルフィ君達が持参した物じゃないか。それを盗み出す時点で、飲んじゃダメだよ。レノ君もバルレル君も、あと5年、8年ぐらい待てば飲めるようになるから、それまで我慢するんだよ?
それに飲みすぎたら急性アルコール中毒だとか、アルコール依存症だとか・・・そういうのにかかるんだよ?未成年者はそれにかかる割合が高いから禁止されてるんだよ!分かった?」
理屈を次から次へと並べると、学はルフィ達の所へと足早に歩いていった。
レノ「・・・なんだよ、アイツ・・・。」
バルレル「てめぇ・・・ニンゲンっ!!お前のせいで酒飲めなかったじゃねぇか!?」
レノ「しょうがねぇだろ!?そもそもありゃルフィ達のだったって言うじゃねぇか。盗んだお前が悪い!!」
するとバルレルはレノをきっと睨みつけた。
バルレル「ケッ・・・。元々悪人連中の集まりに居たクセに、こういう時は手のひら返すってか!?」
レノ「・・・・・!!」
バルレル「オレの見込み違いだったよ、お前は!!」
そう言うと、バルレルは林の奥へと去っていった。
レノ「!? おい、待てよ!バルレル!?」
リンク「そろそろ出発するぞ。・・・ん?どうした、レノ?」
レノ「いや、バルレルがどっか行っちまって・・・。」
するとカービィが言った。
カービィ「だいじょぶだって~。バルレルの性格からして、後でひょこひょこ戻ってくるって!」
だが、レノは引き下がらなかった。
レノ「だろうな・・・。だけど、先行っててくれ!!俺はあいつを連れて追いかける!」
リンク「だが・・・単独行動は危険じゃ・・・!!」
レノ「分かってら!大丈夫だっての、すぐ戻るから!!」
カービィ「OK、みんなには伝えとくよ!でも、気をつけてね?」
レノ「ああ!!」
そう言うと、レノはバルレルを追って林の中へと入っていった。

~林~
レノ「ったく、バルレルの野郎・・・!!どこ行きやがったんだよ!?」
レノは林の中を走り回る。その時である。

-元々悪人連中の集まりに居たクセに、こういう時は手のひら返すってか!?-

レノの脳裏に、バルレルの言葉が響いた。レノの足が止まる。
レノ「・・・分かってるよ、んな事・・・。俺は都合よく生きてる人間だって・・・。それに・・・!!」
その時である。誰かの話し声が聞こえた。レノは耳を澄ます。
「つまり、だ。ザキラはこのオレに舎弟になれって言ってんのかよ?」
バルレルの声だ。レノはそちらを見た。そこには確かにバルレルが立っていた。
レノ「(あいつは間違いなくバルレルだ・・・。だけどあいつが向かい合って話してんのは・・・ザキラ軍のガキ・・・?)」
その相手とは、スネ夫だった。話は続く。
スネ夫「そんなワケないだろ~?ザキラ様だって、そんな事考えてないよ。ザキラ様はお前がすごい悪魔だって事も知ってるんだ。とにかく話を戻すけど、ザキラ様は君に裏切りを勧めてるんだよ?」
レノ「(・・・“裏切り”!?)」
スネ夫「そのセーヤクされた体じゃ、本来の力の10%も出せない。ザキラ軍側に寝返ってくれれば、そのセーヤクも解いてやるさ。」
スネ夫は自慢げに言った。が・・・。
レノ「(・・・“セーヤクされた”って、日本語おかしくねぇか?(汗)あと10%の根拠はどこだよ・・・。それにどうやってお前が誓約解けるってんだよ!?そこんとこ説明しろよ。これだからガキは・・・。)」
レノは心の中で、そうツッこんでいた。
バルレル「ケッ!!ザキラの野郎の所に寝返るなんざゴメンだぜ?第一、誓約に使った石をお前らが持ってるってのも信じられねぇしなァ?」
スネ夫「嘘じゃないよ?ホラ!!」
そう言ってスネ夫が差し出したのは、紫色のサモナイト石だった。
バルレル「!? そいつは・・・!!」
スネ夫「お前のセーヤクに使ったサモナイト石さ。これさえあれば、セーヤクなんて簡単に解けるんだよ?だけどそれはこっちにあるんだ。それに召喚師は“この世界”でただ一人。解ける人間はこっちに居るんだ。」
バルレル「オレの・・・誓約が解ける・・・?」
レノ「(だから何でなにもかもお前がやったように言ってんだよ・・・。)」
そう思いながら、レノは二人のやりとりを見ていた。その時である。レノの頭に、ラジコンカーがぶつかった。レノはそのまま横に倒れる。
レノ「ッ!!いっ、つ~~~・・・!!」
バルレル「レノ!?テメェ・・・まさか聞いて・・・!?」
スネ夫「どうすんのさ、バルレル?口止めしないと、こいつバラすよ?きっとバラすよ!!」
スネ夫が言う。その手にはラジコンのコントローラーがあった。バルレルはレノの目を見た。
バルレル「・・・・・。」
レノ「ッ・・・・・。」
少しの沈黙の後、バルレルは槍を取り出した。そして両手で持ち、その鋭利な刃をレノに向ける。
レノ「!? バルレル・・・!?」
スネ夫「さっすが悪魔!!裏切るなんてフツーにするよね!それが悪魔だもんねー?」
バルレルはレノに刃を向けたまま、言った。
バルレル「レノ。オレはなァ、誰の下にもつきたくねぇのさ?頭ごなしに指図されるなんざ、まっぴらなんだよッ!だからよォ・・・。」
するとレノは右手でバルレルの槍の刃を掴んだ。そして自分の首に向ける。
レノ「・・・やれよ、バルレル。俺が邪魔なら、とっとと消せよ。
俺だってそろそろ消えてぇと思ってたんだ。俺は・・・あのÄRMを盗んで・・・盗んだその村で使った瞬間から・・・人の悲しみを背負い過ぎた。そろそろこの荷をどっかに降ろしてぇんだ。さ・・・やれよ?」
そう言いながら、レノはますます刃を掴む力を強めた。指からポタポタと血の雫がこぼれる。
するとバルレルはヘッと笑った。
バルレル「じゃあ今楽にしてやっからよォ・・・手ぇ離しな。」
レノはゆっくりと手を離した。バルレルは槍の柄を握り直す。
バルレル「そんじゃ・・・遠慮なんかしねぇで・・・やらせてもらおうじゃねぇかよッ!!
そう叫んで、バルレルは槍を振るった。

ザシュッ!!!

スネ夫「ぎゃあぁぁぁぁぁぁッ!!?」
その槍の刃が切り裂いたのは、スネ夫だった。
レノ「・・・!? バルレル、お前・・・!!どういう事だよッ!?」
バルレル「ケッ!そんな事も分かんねぇのかよ、テメェは?レノッ!!テメェやお前の仲間連中が、このオレに頭ごなしに命令したりしたかよッ!?」
レノ「・・・・・!!」
バルレルは槍を下ろしながら続けた。
バルレル「嘘つき野郎の手下に成り下がるくれぇなら、テメェんトコの方がマシなんだよ・・・。」
レノ「へっ・・・。よく言うぜ。」
スネ夫「うわーんっ!斬られたーっ!!バルレルめ、騙したなーッ!?」
するとバルレルは鼻で笑った。
バルレル「ケッ!それが悪魔の流儀ってモンなんだよ!」
スネ夫「くっそ~~~・・・!!許さないぞーーーッ!!」
スネ夫が叫ぶと、突然そこに大量のプリムが現れたのだ!!
レノ「!? なんつー大群だよ・・・。100体、200体どころの騒ぎじゃねーな・・・!?」
スネ夫「ザキラ軍の研究結果で、亜空軍が使ってたのと似てる、でもそれよりずっと強い奴を量産したんだよ。お前達なんかやられちゃえ!その間にボクは悠々としてるマリオ達の所に、たくさんのギラーンみたいな奴を送りつけてやるもんね!」
そう言うとスネ夫はマリオ達の所へと走っていった。
バルレル「あんにゃろう・・・!!あいつらを潰すつもりか!?」
レノ「・・・・・。」
その時、レノはすっとズボンのポケットに手を入れた。そこから、ネックレスのようにいくつも雫のような形をしたものが連なった真っ黒のブレスレット状のÄRMを取り出したのである。そしてそれをぐっと握り締めた。
バルレル「なんだ、そりゃ?」
レノ「・・・“地獄の業火・ダークファイアー”・・・まだチェスの兵隊になったばっかの頃、俺がある村から盗んだÄRMだ。そして追ってきた村の連中を追い払おうとして・・・俺は威嚇射撃みてぇにしたつもりだったんだ。」
その話を聞き、バルレルははっとした。
バルレル「おい・・・まさか?」
レノ「そ。コイツは俺の魔力で扱える代物じゃなかったんだよ。ÄRMは暴走して・・・村の連中をみんな焼き殺した上、その村すら焼き尽くしちまったのさ・・・。昔は“ざまぁ見ろ、チェスにたてつくからだ”って思ったんだろうな。だが今思うと、そんなつもりなんかなかったよ・・・。あの瞬間から、俺は数え切れねぇ程の人間の命と悲しみを背負っていく羽目になっちまったんだよ・・・。」
そしてレノはそれをプリム達に向けた。
レノ「お前は戻れ。俺はここに残る・・・。今が“償い時”みてぇだしな・・・!!
レノが叫ぶ。その目は、プリムの大群を見つめていた。だがその目に迷いや恐れは無かった。そして、抱いてる未練すら吹っ切ろうとしていた。
レノ「(ジャック・・・姉ちゃんの事は、頼んだぞ・・・。)」
だが・・・バルレルは動かなかった。
レノ「何やってんだよ!?とっとと行けよ!俺がコイツを使ったら、ここは全焼する。もし範囲内にお前が居たら、お前まで焼き殺しちまう。だからとっとと戻って、全員に逃げるように伝えろ!!」
バルレル「・・・さっきから誰に向かって指図してんだよ?」
レノ「指図のつもりは毛頭ねぇさ!!早く行けって・・・!!」
するとバルレルはレノの持つÄRMを見て言った。
バルレル「レノ。オレの誓約を解く自信はあるか?」
レノ「お前の誓約を・・・解く?」
バルレル「ああ。本来の力を使えりゃ、こんなゴミ共・・・オレ一人で十分だぜ?責任持って、テメエを仲間連中の所へ行かせてやらァ。」
レノ「だけど・・・どうやるってんだよ?オレはお前の誓約の解き方も知らねぇし、召喚師ですら・・・!!」
するとバルレルはレノに向かって何かを放り投げた。それはスネ夫の持っていたサモナイト石だったのである。先程落としていったらしい。
バルレル「コイツを通してかけられてる誓約を解くだけだ。あとはお前の魔力がオレの誓約を解ける程強ぇかどうかだがなァ。」
レノ「分かった・・・。やってやらぁ!!」
そう叫ぶと、レノはサモナイト石を握り締め、魔力を練り上げた。だが・・・。
レノ「(ダメだ・・・!やっぱルーク級のオレの力じゃ、コイツの誓約は・・・!!)」
その時である。レノの目に、ふとダークファイアーのÄRMが目に留まった。バルレルが言う。
バルレル「そいつを使え、レノ!そいつはどうやらお前の世界とサプレスの技術で作られたモンらしい・・・。同じ属性のそいつを使えばある程度は解きやすくなっだろ!」
レノ「お前・・・そんな事したら・・・!!」
バルレル「迷ってる場合じゃねぇだろ!そいつを使えと言ってんだ!!」
レノ「・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
叫び声を上げながら、レノはÄRMのを発動させた。だが・・・レノの恐れた風景は、見えなかった。
レノ「・・・!?炎が・・・出ない・・・?」
炎は出ていないわけではなかった。だが、その莫大な魔力のこもった炎は、みるみるサモナイト石に吸い込まれていた。そして・・・ついにサモナイト石は割れた。
その途端・・・バルレルの体は強い光に包まれた。そして・・・
バルレル「ウウウ・・・おおおおおぉぉぉォォッ!!!」
レノ「!? これが・・・バルレルの本当の姿だってのか・・・!?なんつー魔力だよ・・・!ファントムと同等・・・いや、それより上か!?
こんな奴を・・・アイツは封じてたって言うのか!?」
その光の中から現れたのは、子供の姿のバルレルではなかった。ハサハの時のように、姿を人間で言う大人に変え、額には第3の眼とも言うべきか、3つ目の眼があった。
そしてその魔力を前に・・・プリム達は怯んでいる。
バルレル「さァ、とっとと行きな!!」
その言葉の通り、レノはマリオ達の元へと走った。だが、一度振り向いて叫んだ。
レノ「バルレル!無事に戻って来なかったら、承知しねぇぞ!?俺達の仲間だって事忘れたら・・・一生許さねぇからな!?」
バルレル「ああ・・・。」
そして、レノはマリオ達の元へと急いだ。
バルレル「あのバカ・・・?大悪魔“狂嵐(きょうらん)の魔公子”をなんだと思ってやがる。ったく・・・。」
そしてバルレルは、いつもより長い槍を取り出し、構えた。
バルレル「さァ、薄汚ねェモノをまとめて一掃してやるぜェェェェェッ!!」
そう叫ぶと、バルレルはプリムの大群の中に飛び込んでいった。

その頃、マリオ達は・・・。
スネ夫「キミらの信じてる二人は、もうやっつけちゃったよ?」
パノ「ウソ・・・!?」
ナベアツ「デタラメを言うのは好きじゃないね!!」
ロボット「彼ラガ貴方ノヨウナ者ニ負ケルハズガナイ!!」
するとスネ夫はケラケラと笑った。
スネ夫「信じたくなければそうすればいいよ。どの道、今度はキミらがやられる番なんだ!!」
スネ夫は手に持っている、恐らく大量のギラーン達の入ってるカプセルを投げようとした。その時である。

「喰らって焼け腐れ!フレイムボール!!」

突然炎の弾が飛来し、内一つがスネ夫に命中した。
スネ夫「うわーッ!熱いよー!誰だーっ!?」
アルヴィス「この炎は・・・ÄRM!?」
ベル「ねぇ、アル!もしかして・・・!」
全員が一斉に炎の飛んできた所を見る。そこに立っていたのは・・・レノだ!
スネ夫「そんなっ!?なんでここに来られたの!?千体以上のプリム達を、たった二人で倒したって言うの~!?」
レノ「バルレルが俺を、ここに来させてくれた・・・。“絶対に帰ってくる”・・・アイツと約束したんだよ・・・ッ!だから・・・。
俺も約束を果たす!!お前を倒して・・・俺はバルレルと会うんだッ!!」
レノはストームカタールのÄRMを出し、スネ夫に迫った。スネ夫の手にあったカプセルを破壊し、スネ夫に渾身の一撃を放った。
スネ夫「うぎゃー!痛いよー!死ぬーーーっ!!」
レノ「うわぁぁぁぁぁぁッ!!」
レノはスネ夫に飛び掛かった。その時である。
突然空中から何かが発射された。エネルギーの弾のようだ。レノはそれを紙一重で回避した。
デデデ「なななッ!?なんだ、アレは!?」
ヒデヨシ「・・・・・!!」
上地「なんか戦隊ものに出てきそうな鳥の機械だ!?なんでこんな所に!?」
赤を基準にカラーリングされている鳥の機械は、レノを追う事は無かった。高スピードでスネ夫を回収すると、そのまま空の彼方へと飛んでいった。
プリン「・・・なんだったの、アレ?」
あい「分かんない・・・。でもさっきの機械、どっかで見覚えあるような・・・。」
フォックス「・・・レノ!バルレルはどこに・・・?」
レノ「あの林の中だ・・・。戻ろう!!」
そして、マリオ達は林の中へと入っていった。

そして林の中・・・。
ナミ「で、どこに行ったのかしら?バルレルは・・・。」
ギロロ「まさか負ける事はないだろうが・・・。」
その時、ピチューが騒ぎ始めた。
ピチュー「みんな!こっちきて!バルレルいるよ!」
シェイミ『本当でしゅか!?急ぐでしゅ、マリモッ!』
ゾロ「おれは乗りもんかッ!!」
全員がそこに向かうと、バルレルは手足を投げ出して倒れていた。そしてその姿は、普段の子供の姿に戻っていた。
レノ「バルレル!大丈夫か!?」
バルレル「うるせェなァ・・・。疲れてんだからよ。静かにしろっての?ケッ・・・!思った以上に手こずっちまったぜ。これじゃ、テメエからあのÄRMを奪ってとんずらする計画もブチ壊しだぜ・・・ッ。」
マリオ「!? バルレル、そんな事考えてたのかい!?」
そのマリオを、ピーチは落ち着けた。
ピーチ「落ち着いてください、マリオ?バルレル君は疲れているんですのよ。休ませてあげましょう?」
ドロシー「魔力の消耗がひどいわね。バルレル、アンタ、限界まで魔力を使ったでしょ?しばらく戦うのは控えときなよ?」
レノはバルレルを背負った。そしてマリオ達を追って歩き出す。
バルレル「ケッ!病人扱いかよ・・・。 ・・・レノ?」
レノ「・・・悪かったな、バルレル・・・。それと・・・ありがとな。」
レノは小声で言った。
バルレル「黙ってろ・・・っ!ったく・・・。」
マリオ達は、ザキラを追ってまた歩き出した。

~ザキラ軍・基地~
スネ夫「あー、危なかった。キミが居なかったら、今頃大変だったよ!」
「気にすんな。」
スネ夫は誰かと並んで歩いていた。少年のようである。少年はスネ夫に尋ねた。
「それより・・・サモナイト石取られっちまって良かったのか?」
スネ夫「良かないよ!!あー、ザキラ様になんて言おう?」
ザキラ「・・・話は聞いているよ、骨川スネ夫君。」
二人の背後に、ザキラが現れた。
スネ夫「!!? ぎゃー!ごめんなさい、ザキラ様!渡すつもりはなかったんです!!あれを使って仲間にするつもりだったんです!でも~!!」
ザキラ「ふふふ・・・構わんよ。そもそも私は彼にかかった誓約は解きたかったのだ。その方が、彼は本来の力の使えるからな。敵に回ったとはいえ、面白いではないか・・・。」
その時、スネ夫の隣で歩いていた少年はふと上を見て言った。
「ヒデヨシ・・・あいつも居たのか。久しぶりだな・・・。」
ザキラ「そうか・・・君にとっては久々の再会という事だな。」
「あいつ、でかくなったなァ・・・。でも・・・きっとオレの事は恨んでるだろうな。」
その少年は、ふと笑った。だが、その目からは涙がつーっと流れていた。

起こった事:バルレル、誓約が解ける。

戦いは、激化してゆく・・・。

続きはこちら→亜空の使者 ~もう一つの物語~6